JP2005163187A - 製鋼原料用のブリケット - Google Patents

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Masataka Ishihara
正孝 石原
Akio Maemoto
昭雄 前本
Mitsuma Matsuda
光馬 松田
Yoshihiro Kiyoo
良弘 清尾
Shoichi Kashino
彰一 樫野
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Abstract

【課題】 研削切粉を有効に再利用することができる製鋼原料用のブリケットを提供する。
【解決手段】 粉状の純鉄と油分とを含むものであって、鉄系金属の研削切粉を含む綿状凝集体Bを微細にせん断して得られる粉体Dを、固形化補助剤Eを用いて固形化し、乾燥したものである。また、前記綿状凝集体Bを圧縮成形して得られる脆性成形体Cを、無機質の固形化補助剤Dを含浸させて固形化したものである。
【選択図】 図1

Description

この発明は、製鋼原料用のブリケットに関し、特に、鉄系金属の研削切粉を有効利用する技術に関する。
軸受鋼や浸炭鋼等の鉄系金属を研削(以下、研磨、超仕上げ研磨及びラッピング等も含む概念として使用する)した際に生じる切粉は、水分及び油分を含有する研削液や砥粒等を含む綿状(繊維状)凝集体として回収されている。この綿状凝集体は、多量の純鉄を含むことからこれを製鋼原料として再利用することが試みられている。しかし、この綿状凝集体は多量の水分を含有していることから、これを溶鉱炉にそのまま投入すると、当該水分によって突沸(水蒸気爆発)が生じるという問題を引き起こす。そこで、綿状凝集体中の水分を遠心分離等によって除去することが考えられるが、この場合には、綿状凝集体に含まれる油分も水分とともに除去されて、綿状凝集体の自然発熱により研削切粉の成分である純鉄が酸化鉄に変質する。このため、これを製鋼原料として再利用するには還元する必要があり、還元剤の使用等によりコスト高になる。
また、前記油分の付着した研削切粉は相互に密着し難いことから、綿状凝集体を圧縮成形しても所望の強度に固形化するのが困難である。さらに、炭素の含有量が0.2重量%以上の鉄系金属の研削切粉を多量に含む綿状凝集体については、圧縮時のスプリングバックが大きいので、これを圧縮成形しても所望の強度に固形化するのが困難である。したがって、圧縮成形した綿状凝集体を溶鉱炉に投入しても、飛散しながら舞い上がって、集塵機によって大半が回収されてしまうという問題を生じる。
さらに、前記綿状凝集体に含まれる繊維状の研削切粉は、ハンマーミル等で粉砕することが困難であるので、綿状凝集体を細かくせん断することができない。このため、綿状凝集体をブリケット等に加工することも困難である。
したがって、前記綿状凝集体は再利用することなく廃棄物処理業者に委託して埋め立て処分されているのが実状である。
しかし、このような綿状凝集体の埋め立て処分は、資源の有効利用という観点から好ましくない。また、環境悪化を引き起こすとともに、廃棄コストが高くつくという問題もある。
この発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、研削切粉を有効に再利用することができる製鋼原料用のブリケットを提供することを目的とする。
前記目的を達成するためのこの発明のブリケットは、粉状の純鉄と油分とを含む乾燥したブリケットであって、鉄系金属の研削切粉と油分及び水分を含有する研削液とを含む綿状凝集体を粗せん断するとともに余剰の水分及び油分を除去した後微細に粉砕して得られる粉体を、固形化補助剤を用いて固形化してなることを特徴としている(請求項1)。
また、この発明の他のブリケットは、粉状の純鉄と油分とを含む乾燥したブリケットであって、鉄系金属の研削切粉と油分及び水分を含有する研削液とを含む綿状凝集体を圧縮成形して余剰の水分及び油分を除去した後微細にせん断して得られる粉体を、固形化補助剤を用いて固形化してなることを特徴としている(請求項2)。
このように構成された製鋼原料用のブリケットは、乾燥した固形物であるので、そのまま溶鉱炉に投入しても、突沸を生じたり舞い上がったりするおそれがないとともに、運搬、貯蔵等の取り扱いが容易なものになる。また、油分を含有するので、粉状の純鉄が酸化するのが防止される。
前記固形化補助剤としては、米糠、廃糖蜜、澱粉類、生石灰、コロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウム、酢酸ビニル汚泥、アスファルト乳剤、ベントナイトから選択される少なくとも1種であるのが好ましく(請求項3)、これにより、油分を含有しているにもかかわらず強固に固形化されたものになる。
また、この発明の他のブリケットは、粉状の純鉄と油分とを含む乾燥したブリケットであって、鉄系金属の研削切粉を含む綿状凝集体を圧縮成形して得られる脆性成形体を、無機質の固形化補助剤を含浸させて固形化してなることを特徴としている(請求項4)。
このブリケットについても、乾燥した固形物であるので、そのまま溶鉱炉に投入しても、突沸を生じたり舞い上がったりするおそれがないとともに、運搬、貯蔵等の取り扱いが容易なものになる。また、油分を含有するので、粉状の純鉄が酸化するのが防止される。
前記製鋼原料用のブリケットにおいて(請求項4)、無機質の固形化補助剤はコロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウムから選択される少なくとも1種であるのが好ましく(請求項5)、これにより、油分を含有しているにもかかわらず強固に固形化されたものになる。
前記した各製鋼原料用のブリケットは、固形化補助剤を2〜30重量%含むのが好ましく(請求項6)、これにより、より一層強固に固形化されたものになる。
前記した各ブリケットは、ほぼピロー形状のものであるのが好ましく(請求項7)、これにより、圧縮強度を高めることができるとともに、部分的な破損が生じ難いものになる。
以上のように、請求項1及び2記載の製鋼原料用のブリケットは、水分が除去された固形のものであるので、そのまま溶鉱炉に投入しても、突沸を生じたり舞い上がったりするおそれがないとともに、運搬、貯蔵等の取り扱いが容易なものになる。また、油分を含有するので粉状の純鉄が酸化するのが防止される。したがって、高品質の製鋼原料として再利用が可能であり、環境保全に役立つとともに、研削切粉の廃棄コストを削減することができる。
請求項3記載のブリケットによれば、前記固形化補助剤が、米糠、廃糖蜜、澱粉類、生石灰、コロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウム、酢酸ビニル汚泥、アスファルト乳剤、ベントナイトから選択される少なくとも1種であるので、油分を含むにもかかわらず強固に固形化されたものになる。このため、運搬、貯蔵等の取り扱いがさらに容易になる。
請求項4記載のブリケットについても、水分が除去された固形のものであるので、そのまま溶鉱炉に投入しても、突沸を生じたり舞い上がったりするおそれがないとともに、運搬、貯蔵等の取り扱いが容易なものになる。また、含有する油分によって粉状の純鉄が酸化するのが防止される。したがって、高品質の製鋼原料として再利用が可能であり、環境保全に役立つとともに、研削切粉の廃棄コストを削減することができる。
請求項5記載の製鋼原料用のブリケットによれば、前記無機質の固形化補助剤がコロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウムから選択される少なくとも1種であるので、油分を含むにもかかわらず強固に固形化されたものになる。このため、運搬、貯蔵等の取り扱いがさらに容易になる。
請求項6記載の製鋼原料用のブリケットによれば、固形化補助剤を2〜30重量%混合するので、粉体をさらに強固に固形化することができる。このため、運搬、貯蔵等の取り扱いがさらに容易になる。
請求項7記載の製鋼原料用のブリケットによれば、ほぼピロー形状のものであるので、圧縮強度を高めることができるとともに、部分的な破損が生じ難いものになる。このため、運搬、貯蔵等の取り扱いがさらに容易になる。
以下、この発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳述する。
図1はこの発明の一実施形態に係る製鋼原料用のブリケットを示す一部欠截斜視図である。このブリケットAは、粉状の純鉄と油分とを含むものであり、鉄系金属の研削切粉と油分及び水分を含有する研削液とを含む綿状凝集体を微細にせん断して得られる粉体を、固形化補助剤を用いて固形化し、これを乾燥させて前記水分を除去したものである。このブリケットAの形状はほぼピロー形状に形成されている。
図2は前記ブリケットAの製造方法を示す工程図である。このブリケットAの製造においては、まず鉄系金属を研削加工する際に発生する研削切粉の綿状凝集体B(図2(a)参照)を加圧圧縮して、当該綿状凝集体Bに含まれる研削液の成分である水分及び油分の含有量を予備的に調整する。この綿状凝集体Bの加圧圧縮は、例えばベルトコンベア1にて搬送しながら一対のロール2間に挟み込むことにより行う(図2(b)参照)。この際、綿状凝集体Bは、含水率が50重量%を超えない範囲に、含油率が10重量%を超えない範囲にそれぞれ調整するのが好ましく、これにより、綿状凝集体Bの搬送、貯蔵等の取り扱いが容易となる。
次に、水分及び油分の含有量が調整された前記綿状凝集体Bを、成形型3を用いてプレスにより圧縮成形して脆性成形体Cを得る(図2(c)参照)。この圧縮成形によって、綿状凝集体Bに含まれるスパイラル繊維状の研削切粉が粗せん断される。また、余剰の水分及び油分が除去されて、前記脆性成形体Cの含水率が2〜12重量%に、含油率が1〜5重量%に調整される。これにより、最小限の残留油分によって研削切粉が酸化するのを効果的に防止することができる。また、前工程において綿状凝集体Bの含水率が50重量%、含油率が10重量%をそれぞれ超えない範囲に予め調整されているので、前記脆性成形体Cの水分及び油分の含有割合を圧縮成形のみによって容易かつ適正に調整することができる。
前記脆性成形体Cは、円柱形、球形、角柱形等の取り扱いの容易な形状に形成されているとともに、次工程への搬送時等に崩壊しない程度の強度に固められている。
次いで、前記脆性成形体Cを固形化補助剤Dとともに回転刃4を備えるチョッパーミル付きミキサー(又はヘンシェル型ミキサー)5に投入して粉砕する(図2(d)参照)。これにより脆性成形体Cの研削切粉をさらに細かくせん断(仕上げせん断)して、純鉄の粉と固形化補助剤Dとを含む粉体Eを得ることができる(図2(e)参照)。前記純鉄の粉の長径は3〜1000μm程度のものである。この脆性成形体Cの粉砕に際しては、当該脆性成形体C中の繊維状の研削切粉が予め粗せん断されているので、これを支障なく仕上げせん断することができる。この脆性成形体C中の繊維状の研削切粉が粗せん断がされていない場合には、これを前記ミキサー5によって粉砕することが非常に困難であり、微細な粉体Eを得ることは不可能である。
前記固形化補助剤Dとしては、米糠(米糠の精)、サトウキビ等の廃糖蜜、芋澱粉やコーンスターチ等の澱粉類、生石灰、コロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウム、酢酸ビニル汚泥、アスファルト乳剤、ベントナイトのうちから選択される1種又は2種以上が好適に使用される。このような固形化補助剤Dは2〜30重量%含有するのが好ましい。特に、前記米糠及び廃糖蜜については、粉体E中に多量に含まれる純鉄の粉が変質するのを効果的に防止できるとともに、その価格も安いことから固形化補助剤Dとしてきわめて好適である。また、アスファルト乳剤は混練後、アスファルトと水に分離すると粘結性が生じ、強度が発現する。このアスファルト乳剤としては、アニオン系アスファルトが好適に使用される。
次に、所定量の前記粉体Eを、成形型6を用いてプレスにより圧縮成形して(図2(f)参照)、多量の純鉄を含有するほぼピロー形状の含水ブリケットFを得る。この粉体Eの圧縮成形に際しては、前記固形化補助剤Dと粉体E中の水分とによって、油脂が付着した純鉄の粉どうしを強固に結合して固形化することができる。特に、粉体Eとして水分5〜6重量%、米糠4重量%及び廃糖蜜2重量%含むもの、並びに水分7〜15重量%、酢酸ビニル汚泥2〜10重量%含むものを用いる場合には、より強固に固形化された含水ブリケットFを得ることができる。
なお、前記「ほぼピロー形状」とは、周縁部に丸みを有し、周縁部から中央部に向かって肉厚が漸次厚くなる形状であって、卵形、アーモンド形、ラグビーボール形等を含む形状であり、このような形状に成形することにより、圧縮荷重に強く崩壊し難いとともに、角部等における部分的な破損が生じ難いブリケットAを得ることができる。
そして、圧縮成形直後の含水ブリケットFに常温又は冷却されたエアーを吹き付けてこれを急速冷却する(図2(g)参照)。これにより、当該含水ブリケットFを容易且つ安定的に固形化することができる。その後、含水ブリケットFを養生(乾燥)してその含有水分を除去することにより(図2(h)参照)、製鋼原料用のブリケットAを得ることができる(図2(i)参照)。この養生は2日間程度行うのが含有水分を確実に除去することができるので好ましい。
以上により得られたブリケットAは、粉体Eを固形化した多孔質のものであるので、養生によって含有水分を容易且つ確実に除去することができる。このため、そのまま溶鉱炉に投入しても突沸が生じたり舞い上がって排出されたりするおそれがない。また、研削液の油分の一部を常に保持した状態で加工しているので、純鉄の酸化が効果的に防止されている。例えば軸受鋼(SUJ−2)の研削切粉を含む綿状凝集体Bを用いて製造されたブリケットAについては、84〜95重量%の純鉄を含むことが確認されている。したがって、溶解歩留まりが90%以上と非常に高く、高品質の製鋼原料として製鋼メーカに有償で提供することができる。しかも、固形にて運搬その他の取り扱いが容易である。
図3はこの発明のブリケットAの他の製造方法を示す工程図である。この製造方法が図1に示す製造方法と主に異なる点は、脆性成形体Cの粉砕工程を省略した点である。すなわち、この製造方法においては、図1に示す製造方法と全く同様にして、綿状凝集体Bから脆性成形体Cを得ている(図3(a)〜(c)参照)。
そして、これらの工程を経て得られた脆性成形体Cに、液状の固形化補助剤Dを含浸させる。この固形化補助剤Dの含浸は、例えば脆性成形体Cをベルトコンベア7にて搬送しながら、タンク8に注入した前記固形化補助剤Dに浸漬させることにより行う(図3(d)参照)。この製造方法に用いる固形化補助剤Dとしては、コロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウムから選択される少なくとも1種を用いるのが好ましく、これにより、脆性成形体Cを容易且つ強固に固形化することができる。
次に、前記固形化補助剤Dを含浸させた脆性成形体Cを(図3(e)参照)養生(乾燥)して(図3(f)参照)、製鋼原料用のブリケットAを得る(図3(g)参照)。
以上により得られたブリケットAは、図1に示す製造方法により得られるブリケットAと同じ作用を奏することができる。また、図3に示す製造方法は、脆性成形体Cを粉砕する工程を省略しているので、ブリケットAをより能率よく製造することができる。
前記した各ブリケットの製造方法は、炭素を0.2重量%以上含む研削切粉を再利用するのに特に好適に適用される。このような研削切粉は、スプリングバックが大きく、固形化が困難であるが、この発明の製造方法を適用することにより、当該スプリングバックの影響を排除して強固に固形化されたブリケットAを容易に得ることができる。なお、炭素を0.2重量%以上含む研削切粉の代表例としては、軸受鋼の研削切粉を挙げることができる。
ブリケットの一部欠截斜視図である。 この発明のブリケットの製造方法を示す工程図である。 この発明のブリケットの他の製造方法を示す工程図である。
符号の説明
A ブリケット
B 綿状凝集体
C 脆性成形体
D 固形化補助剤
E 粉体

Claims (7)

  1. 粉状の純鉄と油分とを含む乾燥したブリケットであって、鉄系金属の研削切粉と油分及び水分を含有する研削液とを含む綿状凝集体を粗せん断するとともに余剰の水分及び油分を除去した後微細に粉砕して得られる粉体を、固形化補助剤を用いて固形化してなることを特徴とする製鋼原料用のブリケット。
  2. 粉状の純鉄と油分とを含む乾燥したブリケットであって、鉄系金属の研削切粉と油分及び水分を含有する研削液とを含む綿状凝集体を圧縮成形して余剰の水分及び油分を除去した後微細にせん断して得られる粉体を、固形化補助剤を用いて固形化してなることを特徴とする製鋼原料用のブリケット。
  3. 前記固形化補助剤が、米糠、廃糖蜜、澱粉類、生石灰、コロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウム、酢酸ビニル汚泥、アスファルト乳剤、ベントナイトから選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2記載の製鋼原料用のブリケット。
  4. 粉状の純鉄と油分とを含む乾燥したブリケットであって、鉄系金属の研削切粉と油分及び水分を含有する研削液とを含む綿状凝集体を圧縮成形して得られる余剰の水分及び油分を除去した脆性成形体を、無機質の固形化補助剤を含浸させて固形化してなることを特徴とする製鋼原料用のブリケット。
  5. 前記無機質の固形化補助剤が、コロイダルシリカ、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウムから選択される少なくとも1種である請求項4記載の製鋼原料用のブリケット。
  6. 前記固形化補助剤を2〜30重量%含む請求項2又は請求項4記載の製鋼原料用のブリケット。
  7. ほぼピロー形状である請求項1ないし請求項4記載の製鋼原料用のブリケット。
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