JP2005162926A - 温度応答性高分子材料の製造方法 - Google Patents

温度応答性高分子材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
容易にかつ効率的に温度応答性高分子材料を製造する方法を提供する。
【解決手段】
温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を含む水溶液をアクリル系ポリマーに添加することにより、容易に温度応答性高分子を有する材料を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、温度応答性高分子材料の製造方法に関するものであり、温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を水溶液状態にし、アクリル系ポリマーに接触させることにより、容易に温度応答性高分子を有するアクリル系ポリマーからなる材料を提供できる。
近年、温度応答性高分子を用いた細胞分離法が研究用途、医療用途において利用されつつある。例えば、水に対する上限または下限臨界溶解温度が0〜80℃にあるポリマーもしくはコポリマー(温度応答性高分子)で表面を被覆した細胞培養材料などがある(特許文献1)。
しかし、材料に温度応答性高分子を被覆させるために、加水分解したり、プラズマ処理などしたりして、官能基を導入してから架橋剤などを用いて化学的に被覆したり、電子線やγ線を照射するなどして、被覆しており、製造における操作性やコストの面に問題がある。コーティングなどでは、被覆した高分子がはがれたり、被覆量が少ないという欠点がある。
アクリル系ポリマー、特にメタクリレート系ポリマーは生体適合性に優れており、眼内レンズやコンタクトレンズ、人工腎臓をはじめとして種々の分離膜やフィルム、ハイドロゲルなどに用いられている。一方、アクリル系ポリマーのような合成物質とポリアルキレングリコールと結合した物質との相互作用を利用した組成物に関する技術が知られており(特許文献2参照)、該技術によればアクリル系ポリマーへポリアルキレングリコールと結合した物質の固定が可能である。
特開平2−211865号公報 特表2001−527539号公報
本発明では、上記の問題を考慮して、汎用的に用いられているアクリル系ポリマーからなる材料に容易にかつ効率的に温度応答性高分子を導入できる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を水溶液状態にし、アクリル系ポリマーに接触させ固定させることを特徴とする温度応答性高分子材料の製造方法である。
本発明により、材料表面の性質が所定温度を境にして可逆的に変化する材料を温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を含む水溶液をアクリル系ポリマーに添加することにより、容易にかつ効率的にを提供することができる。
本発明におけるアクリル系ポリマーとは、主としてアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体などからなる重合体であり、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリフェニルアクリレートなどが挙げられるが、生体適合性の点からポリメチルメタクリレートが望ましい。本発明で用いられるアクリル系ポリマーは、その他のモノマーを共重合することにより適宜、コポリマーとして用いてもよい。
本発明に好ましく用いられるポリメチルメタクリレートは、アイソタクチック構造部分とシンジオタクチック構造部分をもつが、アイソタクチックリッチのポリマーを単独で用いてもよいし、シンジオタクチックリッチのポリマーを単独で用いてもよい。しかし、アイソタクチシチの高いポリメチルメタクリレートと、シンジオタクチシチの高いポリメチルメタクリレートとは、ある条件下において構造的な絡み合い、いわゆるステレオコンプレックスを形成できるため、成形性の観点から両者をブレンドしてステレオコンプレックス構造をもたせたものが望ましい。
アイソタクチックポリメチルメタクリレートとしては、アイソタクチック構造(トライアド表示)が50%以上、好ましくは70%以上を含むものが用いられる。ポリメチルメタクリレートの立体構造は核磁気共鳴吸収法によって、定量的に求めることができる。アイソタクチックポリメチルメタクリレートは一般にグリニヤ試薬またはアルキルリチウムなどの有機金属化合物を用いる重合によって得られ、このような方法によれば、アイソタクチック構造の含量90%以上のポリマーを得ることも可能である。
一方、シンジオタクチシチの高いシンジオタクチックポリメチルメタクリレートは通常のラジカル重合によって得られる。この場合、カルボキシル基や、スルホン酸基などの陰イオン性基あるいは第4級アンモニウム基や、アミノ基などの陽イオン性基、さらにヒドロキシエチルメタクリレートやアクリルアミドなどの非イオン性基などを含有するビニルモノマーなどを1種類以上共重合することも可能である。また、ポリメチルメタクリレート単独重合品や分子量の異なったポリマー、あるいは異なる種類の共重合ポリマーなどを数種類混合して用いることも、必要に応じて行なわれる。
ポリメチルメタクリレート系ポリマーの平均分子量は、目的とする材料の構造や、機械的特性、さらに紡糸性などを考慮すると、通常10万以上が好ましい。
材料の形態としては、繊維状のもの、球状のもの、平膜状のもの、中空糸膜状のものなど特に限定されない。
本発明で使用されるポリメチルメタクリレート系ポリマーは、例えば公知の乾湿式紡糸法で製造できる。ポリメチルメタクリレート系ポリマーの原液の溶媒としては、ゾル−ゲル変化を示すポリメタクリレート系ポリマーを溶解する溶媒はすべて使用可能であるが、原液を冷却した時に適当な温度で、ゲル化する溶媒が好ましく使用される。さらに、凝固時に脱溶媒して製品とするための凝固剤としては、水が好ましく用いられるため、この水と置換容易な溶媒が特に好ましい。このため、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸、アセトン、メチルエチルケトン、およびこれらの相互混合物などが用いられる。
また、ポリメチルメタクリレート系ポリマーの原液のポリマー濃度も分子量と同様に材料の構造や機械的特性あるいは紡糸性に関与してくるものであり、得られる材料の構造および機械的特性を考慮すると、原液中のポリマー濃度は5〜30重量%、さらには10〜30重量%の範囲に設定されることが好ましい。
さらに、材料の細孔径制御のために、多価アルコールや水、塩などといった第3の添加剤を加えることも通常行なわれる手段である。
このようして得られるポリメチルメタクリレート系ポリマーの原液の粘度は繊維状や中空糸膜状に製造する場合、紡糸性と深く関わってくる要因であり、用いる口金の形状や寸法あるいは制御可能な温度範囲、ゾル−ゲル変化温度などを考慮して決定することが好ましい。通常、10〜8000ポイズであることが好ましく、さらには100〜3000ポイズであることが好ましい。すなわちポリマー濃度と分子量を適宜選択することで最適な紡糸原液条件を設定することが可能となる。
次に、本発明に好ましく用いられる中空糸膜状の含水ポリメチルメタクリレート系材料を製造する例を示す。
通常、中空糸膜の紡糸に用いられる乾湿式紡糸法は、吐出された糸条を空中で伸長し、所定の寸法に設定した後、凝固浴に導いて凝固・脱溶媒を行なう方法であり、一般に広く採用されている。
中空糸は内側に中空部分を形成させるための液体もしくは気体を、外側に重合体を溶液に溶かした紡糸原液を流すことができる多重スリットを用い、これらの液体、気体を凝固浴に吐出することにより得られる。内側に注入される液体としては、たとえば、該紡糸原液の溶媒および水やアルコールなどの凝固剤、これらの混合物、あるいは該共重合体やそれとの混合物の非溶媒であるような疎水性の液体、たとえば、n−オクタン、流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素、ミリスチン酸イソプロピルの様な脂肪酸エステルなども使用できる。親水性の凝固剤を使用した場合には凝固剤に親和性の高い親水性ポリマ成分が膜内表面に移動し、凝固する。また、吐出糸条が空中での温度変化によってゲル化したり、凝固によって速やかに強固な構造を形成する場合には、自己吸引や圧入によって、窒素ガスや空気などの不活性気体を用いることができる。このような気体注入法は工程上からも非常に有利な方法である。温度変化によってゲル化をおこすような原液系の場合には、乾式部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させることができる。中空糸の膜厚は紡糸原液の吐出量により、内径は注入液体もしくは気体の量によりコントロールする方法が一般的である。
吐出口金から浴液までの距離、いわゆる乾式部分の長さ(以下、乾式長と略)は、吐出ゾルの形状を目的寸法までに引き伸ばすために、一定距離を空中部分において、ゾルの状態でドラフトをかけることが好ましい。一方で、急激なドラフトは製糸安定性を低下させるため、ある程度乾式長を長くとることが好ましい。また同時に、乾式長が長すぎると、ゾルの変形が不安定となり、中空糸の寸法安定性が悪くなる傾向がある。したがって、乾式長は1mm以上、30mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mm以上20mm以下に設定される。
吐出ゾルをゲル化させ中空糸形状を固定するための液浴は、ゲル化のみを行なわせることもあるが、ゲル化と共にその脱溶媒を同時に行なう方が工程上有利な場合が多く、凝固浴として用いられる。したがって、その組成および特にその温度が中空糸の透過特性にも影響を及ぼす可能性がある。一般的には凝固浴温が高くなると、膜の透過性(孔径)は大きくなるが、寸法安定性は低下する傾向にあるため、目的の中空糸の特性に応じた条件が選択され、通常5〜70℃であることが好ましく、さらには、20〜50℃であることが好ましい。凝固浴は通常、水やアルコールなどの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混合物からなる。凝固浴の組成はその凝固性によって、紡糸安定性や中空繊維の膜構造に影響する。
かくして得られた中空糸状ゲルは、十分に水洗され、膜の空隙に水分子を含有した含水ゲル構造が得られる。含水ゲル構造はいったん乾燥すると、再び元の含水ゲル構造に戻すことは困難であるため、乾燥によって、その膜構造が破壊されないようグリセリンなどの保湿剤を付与して、モジュール化などが行われる。
乾燥したポリメタクリレート系多孔質材料の場合は、水に浸漬しても含水状態にはならないが、表面張力の小さいエタノールなどにいったん浸漬した後、水と徐々に置換させることにより、再び含水化させることが可能である。
本発明でいう含水状態とは含水率が10重量%以上の状態であることをいい、本発明の温度応答性高分子を有するアクリル系ポリマーからなる材料は含水率が10重量%以上であることが必要である。含水率とは、水を含んだ材料中の水の重量を含水状態の材料の重量で割った値に100をかけた値のことをいう。具体的には、水を含んだ材料の表面の水を拭き取り、その重量を測定し、その後その材料を十分乾燥して乾燥重量を測定して、含まれていた水の重量を算出する。
本発明のアクリル系ポリマーに温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を水溶液状態にして固定させる材料の製造方法においては、材料の含水率が高いほど、温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体の固定化効率は高い。したがって、含水率としては10重量%以上が必要であり、望ましくは30重量%以上である。
材料を含水状態にするには、材料が多孔質であることが好ましい。多孔質材料における空孔率が高いほど、より高い含水状態を達成できる。ここでいう空孔率とは、以下の式により算出される。
A:実際の材料の乾燥重量(g)
B:材料に空孔がないと仮定した場合の材料の重量(g)(材料に空孔がないと仮定した場合の体積に材料素材の比重をかけた値)
空孔率={1−(A/B)}×100
空孔率は高いほどよいが、含水率を10重量%以上とするためには30%以上が好ましく、さらに好ましくは50%以上である。
材料の形状としては平膜状、粒子状、中空糸状、繊維状、スポンジ状、カットファイバーなど何でもよいが、温度応答性高分子をもつ平膜上で疎水性表面の上で細胞を接着、培養した後、材料を親水性表面に変化させて細胞を分離すれば、人工皮膚のような細胞シートが得られる。温度応答性高分子をもつ中空糸内を疎水性表面にして細胞を接着、培養した後、材料を親水性表面に変化させて細胞を分離すれば、血管様の管腔組織が得られる。中空糸の場合は、物質交換能を利用して連続培養しながら細胞を培養できる。多孔質材料の場合は、製造条件を制御することにより孔の制御も可能である。さらに、温度応答性高分子をもつ中空糸膜や繊維の場合は、末梢血の体外循環により、白血球や血小板を捕捉させた後、回収することも可能である。
本発明における温度応答性高分子とは、高分子の性質が温度などの外部環境の変化によって、その性質が可逆的に変化するような高分子のことをいう。例えば、温度の変化により、高分子の親水性と疎水性が変化したり、収縮していた高分子が膨潤したりするものが知られている。例えば、温度応答性高分子を表面に導入した材料を用いて、疎水性表面をもつ材料に疎水性相互作用を利用して、抗体などを結合させておいてから、細胞を特異的に材料に認識させた後、温度を変えて親水性にすることで、細胞が結合した抗体とともに材料から脱離し、細胞を回収できる。また、疎水性表面で、接着性の細胞を培養して、細胞の集合体からなる組織を形成させた後、親水性にすることで、細胞を分散させることなく、組織を形成させたまま、細胞集合体からなる組織を回収できる。また、収縮させた高分子の中に薬物を封入しておき、温度を変えることで膨潤させ、薬物を放出できる材料を作ることもできる。
温度応答性高分子には、N−イソプロピルアクリルアミドやN,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミドなどがあげられ、単一のモノマーを重合したものであっても、その他のモノマーが共重合されていてもよい。
本発明におけるポリアルキレングリコールとは、アクリル系ポリマーと相互作用を有するものであれば、何でもよいが、中でもポリアルキレングリコールが好適に用いられる。
本発明におけるポリアルキレングリコールは、例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールに代表される主鎖中に酸素原子を含む親水性の鎖状高分子であるが、ポリアルキレングリコールの一部が修飾されたポリマーであってもよい。ポリアルキレングリコールの分子量は、特に限定されるものではなく、数平均分子量で1000〜100万程度のものが用いられるが、アクリル系ポリマーに対する被覆能を考慮した上での最適な分子量としては、例えば2000〜10万程度のものが好ましく用いられる。
本発明における結合体とは、物質が結合したものをいい、本発明における結合とは、共有結合、イオン結合(静電相互作用)、疎水性相互作用による結合などのことをいう。
温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体は、合成したものを用いてもよいし、市販されているものを用いてもよい。合成する場合は、例えば、温度応答性高分子にスクシンイミド基などの活性基をあらかじめ導入しておいたものとあらかじめアミノ基をもつポリアルキレングリコールを混合して、結合させる方法がある。市販されているものでは、ポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体であるメビオールジェル(池田理化)などがあげられる。
結合体の形式は、AB型ブロックコポリマーでもよいし、ABA型ブロックコポリマーでもよいし、くし型でも星形でもよく、結合体の形式は限定されない。
アクリル系ポリマーへの温度応答性高分子の導入は、含水状態のアクリル系ポリマーに温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を含む水溶液を添加することにより、達成することができる。ポリアルキレングリコールとして、ポリアルキレングリコールを用いる場合は疎水的相互作用および水素結合によりアクリル系ポリマーからなる材料に固定される。メビオールジェルの場合は約22℃でゾル−ゲルの温度応答を示すため、アクリル系ポリマーに接触、固定させる際は、10℃以下のゾル状態で行うことが望ましい。
材料をカラムとして利用する場合、特に中空糸を用いる場合は以下のようにして製造されるが、特に限定されるものではない。一例を示すと次の通りである。まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状ケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部にポッティング剤(例えば、二液混合型ポリウレタン系接着剤)を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる方法は、ポッティング剤が均一に充填されるために好ましい方法である。ポッティング剤が固化した後、中空糸膜の両端が開口するように両端部を切断し、中空糸膜モジュールを得る。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体の濃度は高速液体クロマトグラフィーで測定した(溶離液:0.2M リン酸緩衝液、pH8.0、カラム:東ソー製 G3000SWXL、装置:東ソー社、HPLCシステム、流速:1.0ml/min、温度:10℃)。
固定化率は、ポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体の濃度から下記式により求めた。
固定化率=ポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体混合前の濃度−混合後の濃度/混合前の濃度
[作製例1 ステレオコンプレックス型ポリメチルメタクリレート(PMMA)中空糸の作製]
ポリスチレン換算のGPC法による重量平均分子量が40万のシンジオタクチック(syn)−PMMA137gと重量平均分子量が140万のsyn−PMMA80g、平均分子量が50万のアイソタクチック(iso)−PMMA35gをジメチルスルホキシド1185gと混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。
得られた紡糸原液を99℃に保温された外径/内径=2.1/1.95mmφの環状スリット型中空口金から、1.1g/minの割合で、空気中に吐出した。同時に中空内部には窒素ガスを注入した。乾式部分の長さは60cm、凝固浴には40℃の水を用いた。凝固した中空糸を水洗後、75℃、73%のグリセリン水溶液で5%の弛緩熱処理を行ってサンプリングした。該中空糸の内径/膜厚は200/30μmであった。得られた中空糸は25kGyでγ線滅菌した。
[作製例2 ステレオコンプレックス非形成型PMMA中空糸の作製]
ポリスチレン換算のGPC法による重量平均分子量が40万のsyn−PMMA198gと重量平均分子量が140万のsyn−PMMA154gをジメチルスルホキシド1655gと混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。
得られた紡糸原液を99℃に保温された外径/内径=2.1/1.95mmφの環状スリット型中空口金から、1.1g/minの割合で、空気中に吐出した。同時に中空内部には窒素ガスを注入した。乾式部分の長さは60cm、凝固浴には40℃の水を用いた。凝固した中空糸を水洗後、75℃、73%のグリセリン水溶液で5%の弛緩熱処理を行ってサンプリングした。該中空糸の内径/膜厚は200/30μmであった。得られた中空糸は25kGyでγ線滅菌した。
[作製例3 ステレオコンプレックス非形成型PMMA平膜の作製]
ポリスチレン換算のGPC法による重量平均分子量が40万のsyn−PMMA10重量%をジメチルスルホキシドと混合し、80℃で8時間撹拌し原液を調製した。この溶液を0.1mmスペーサー付きの80℃のガラス板に塗布し、ドクターブレードにて溶液を引き延ばしたものを水中にいれて、凝固させ、PMMAからなる平膜状の材料を作製した。得られた平膜は25kGyでγ線滅菌した。
<実施例1、比較例1>
市販のポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体(メビオールジェル、池田理化)の500ppm水溶液1mlに作製例3で得られたPMMA平膜(含水率75重量%)を0.36g(乾燥重量0.1g)を添加したところポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体は固定され(80%)、温度応答性高分子を有する材料を作製することができた。一方、平膜を乾燥させたものには固定されなかった(比較例1)。
<実施例2、比較例2>
市販のポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体(メビオールジェル、池田理化)の510ppm水溶液1mlに作製例1で得られた(含水率83重量%、空孔率80%)中空糸0.86g(乾燥重量0.15g)を添加したところポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体は固定され(95%)、温度応答性高分子を固定した材料を作製することができた。一方、中空糸を乾燥させたものには固定されなかった(比較例2)。
<実施例3、比較例3>
市販のポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体(メビオールジェル、池田理化)の500ppm水溶液1mlに作製例2で得られた中空糸(含水率79重量%、空孔率75%)0.96g(乾燥重量0.2g)を添加したところポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体は固定され(95%)、温度応答性高分子を固定した材料を作製することができた。一方、中空糸を乾燥させたものには固定されなかった(比較例3)。
<実施例4>
25kGyでγ線滅菌されたPMMA中空糸膜からなる東レ製人工腎臓“フィルトライザー”(BK−1.0F)に市販のポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体(メビオールジェル、池田理化)、500ppmの水溶液を灌流後、水洗した。ポリイソプロピルアクリルアミドとポリエチレングリコールの結合体は1モジュール当たり100mg固定され、温度応答性高分子を固定した材料からなるカラムを作製することができた。

Claims (1)

  1. 温度応答性高分子とポリアルキレングリコールの結合体を水溶液状態にし、アクリル系ポリマーに接触させ固定させることを特徴とする温度応答性高分子材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008259802A (ja) * 2007-03-16 2008-10-30 Toray Ind Inc 中空糸膜およびこれを内蔵してなる血液浄化器
WO2016093231A1 (ja) * 2014-12-12 2016-06-16 東洋インキScホールディングス株式会社 細胞培養用物品および生体適合性重合体

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