JP2005162560A - 化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法 - Google Patents

化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリートの表面に凹凸を形成するのではなく、平面状態のコンクリート部材に、簡単に模様を描くことができ、長年にわたって摩耗を受けても模様が消滅しない部材を提供する。
【解決手段】直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせを使用する。この粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせと、少なくともセメントと水とによって構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、平滑なコンクリートの表面に模様を描くことができる、化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法に関するものである。
コンクリートやモルタルで製造した板や構造物の表面に模様を付するために従来から各種の方法が開発されている。
たとえば次のような方法が公知である。
<1>固化する前のコンクリート板に模様着きベルトコンベアで模様をつけ、同時に塗料を吹き付ける製造方法(特許文献1)。
<2>凹凸模様を付した型枠を使用し、この型枠内にコンクリートを打設することによって型枠の凹凸をコンクリート表面に形成する方法(特許文献2)。
<3>模様を描いた化粧板をコンクリートの表面に接着する方法(特許文献3)。
<4>転写シートを加圧して押し付けたり、溶解させたりすることによって、コンクリート表面に模様を転写する方法(特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
<5>コンクリートの表面に硬化遅延材を混入した未硬化層を形成し、あるいは高圧ジェット水を噴射して表面のセメントペーストを洗い出すことによって、骨材の一部を露出させて模様を形成する方法(特許文献7、特許文献8)。
<6>コンクリート表面に塗料を吹き付けて模様を描く方法(特許文献9、特許文献10)。

特開2003−200412号公報 特開2003−206628号公報 特開2003−183088号公報 特開2003−39893号公報 特開2001−341112号公報 特開2001−199195号公報 特開2002−59411号公報 特開2001−269920号公報 特開2001−121071号公報 特開2001−64907号公報
前記した従来の化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法にあっては、次のような問題点がある。
<1>凹凸を設けた型枠などを使用してコンクリートを打設する方法は、コンクリートの表面に凹凸をつくることを目的としている。したがって平面状態のコンクリート版に模様を描くものではなく、本発明の目的とはその目的を異にしている。
<2>模様を描いた化粧板を別に用意し、その化粧板をコンクリートの表面に取り付ける方法では、当然ながら化粧板の製造費、その取り付け費が必要となり高価なものとなる。
<3>転写シートで模様をコンクリート表面に転写する方法、あるいは塗料を吹き付ける方法では、模様はその表面に描かれているに過ぎない。したがって道路の表面や床のように長年にわたって摩耗を受ける用途に使用することはできない。
<4>表面のモルタル分を除去して骨材を露出させて模様を形成する方法では、コンクリートの表面は凹凸が形成されており、さらに露出した骨材は剥離しやすいから、特殊な用途に限定される。
上記のような従来の課題を解決するために、本発明の化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法は、直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせと、少なくともセメントと水とによって構成した、化粧モルタル、コンクリート部材を特徴としたものである。
さらに、直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせと、少なくともセメントと水を混合して行なう、化粧モルタル、コンクリート部材の製造方法を特徴としたものである。
さらに、直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合せに対して、少なくともセメントと水を混合し、硬化した後に、その表面を研磨して主に表面のモルタル分を除去すること、あるいは硬化したモルタルを切断することによって行なう、化粧モルタル、コンクリート部材の製造方法を特徴としたものである。
本発明の化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1>表面に凹凸が存在しない、平滑な面であって、かつその表面に人目を引く模様を形成することができる。
<2>コンクリート部材とは別に化粧板を用意する必要がないから安価に模様着きの化粧版を得ることができる。
<3>歩道の舗装板や建築物の床面のように、長年にわたって摩耗を受ける場所に使用しても、いつまでも模様を表現することができる。
<4>骨材として廃棄物を利用して製造することができるから、廃棄物の有効な活用を図ることができるとともに、安価な製品を提供することができる。
<5>廃棄物を利用する結果、山や川、海に存在する砂を採取する必要がないから、自然を破壊することがない。
発明を実施するための最良の形態は、直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせと、少なくともセメントと水とによって構成した、化粧モルタル、コンクリート部材である。
以下図面を参照しながら本発明の化粧モルタル、コンクリート部材とその製造方法の実施例について説明する。
<1>炭酸カルシュウム粒状体(晶析)。
本発明の化粧モルタル、コンクリート部材では、細骨材として直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせを使用する。
このような炭酸カルシュウムの粒状体は、例えば地下水などの原水の硬度を低減化する工程で得ることができる。
すなわち原水の硬度を低減化する方法として高速晶析反応装置を使用する方法では、原水にあらかじめ炭酸カルシュウムの種をいれておき、アルカリ剤を加えてpHを8〜9程度に上昇させる。
すると水の中の硬度成分がアルカリ剤が反応して不溶性の炭酸カルシュウムが生成される。この炭酸カルシュウムが種の周りに付着して直径が1〜2mm程度の粒状体に成長する。この炭酸カルシュウムの粒状体が「晶析」と呼ばれる。
反応装置の上澄みから流れだした晶析は「種」として再利用するが、底部まで沈下させた晶析は廃棄しなければならず、その処分のための用地確保や運送に経費を要するものであった。
本発明は、このような原水の硬度を減少化する装置から排出された廃棄物を細骨材として利用するものである。
<2>晶析の形状と色彩。
各晶析は、精密に測定すればともかく、肉眼で判断するレベルでは一粒ごとに形状の整った、ほぼ整然とした球状を呈する。
さらに各粒は淡い白色を呈する。この点も本発明の特徴のひとつであって、一般の砂やモルタルは濃い灰色を呈するが、晶析の色彩がそれと異なって淡い白色を呈することから、モルタル版やコンクリート版の表面を研磨した場合に、晶析の存在が際立って目立つことになる。また、研磨する代わりに硬化したモルタルを切断することもできる。
<3>晶析の特性。
こうして得られた晶析の特性を、従来の一般の細骨材と比較すると次の表のようになる。
Figure 2005162560
<4>混練工程。
上記のように廃棄物として生成した炭酸カルシュウムの粒状体1を細骨材として利用し、モルタルの場合にはセメント2と水を、コンクリートの場合にはさらに粗骨材を投入して混合し、モルタル部材A、コンクリート部材を製造する。
<5>研磨工程。
上記の工程で製造した化粧モルタル部材Aやコンクリート部材が硬化したらその表面にグラインダーなどを当てて研磨する。
この研磨は部材の表面を深く研磨する必要はなく、主に表面のモルタル分2を除去する程度でよい。また、研磨する代わりに硬化したモルタルを切断しても良い。
すると、部材Aの表面を被覆するセメント分2の色彩のために全体に濃い灰色だった部材は、研磨又は切断することによって炭酸カルシュウムの粒状体1の一部が露出する。
前記したように炭酸カルシュウムの粒状体1は淡い白色を呈するから、部材Aの表面には周囲をセメント2の膜で包囲され内部が白色の円が、多数描かれることになる。すなわち、図1に示した断面図と同様の模様が研磨又は切断した表面に現れる。
セメント2の灰色の中に白色の円が点在する模様は、炭酸カルシュウムの粒状体1が研磨又は切断されてできたものであり、表面だけに描いたものではない。そのために例えば車道の舗装面に使用して、その後にさらに研磨工程が継続しても模様が消えることはない。
<6>一般のモルタルとの比較。
上記のような構成のモルタル部材、コンクリート部材の圧縮強度などが、砂を細骨材として使用した一般のモルタルやコンクリート部材に比較して低い値を呈するものであるとすると、その用途が制限される。
そこで以下に砂を使用したモルタルと、本発明のモルタルのテストピースの特性を比較する。次表に配合を示す。
Figure 2005162560
上表の配合に従って製作したテストピースに対しておこなった圧縮強度試験結果を次表に示す。
Figure 2005162560
また、以下の方法で耐摩耗性試験をおこなった。
耐摩耗性試験は、晶析を骨材として用いたモルタルのすりへりの程度を評価するためにテーバー式摩耗試験機により摩耗試験をおこない、摩耗質量で評価する試験である。君津産細骨材を用いた基本配合のモルタルと比較し耐摩耗性を検討する。
試験体は、細骨材に君津産細骨材を使用した基本配合と、本発明の晶析配合とし、試験体寸法は100×100×10 (mm)、数量は各配合3体、養生は20℃、80%Rhにて型枠付のまま7日間恒温恒湿養生、脱型後24時間20℃、60%Rhとした。
試験方法は、前処理として試験体をテーバー式摩耗試験機にセットし荷重9.8N(1kg)の荷重を載荷して摩耗輪を回転させ、試験体が均等に摩耗するまで予め200回転摩耗し平滑処理する。そして、処理後の試験体質量を1mgの精度で量る。その後500回転毎に試験体質量を計測し、1500回転まで摩耗試験を行い、前処理後の質量と摩耗試験後の質量の差から摩耗質量を求める。なお、使用する摩耗輪はHー22(硬い床材用)を用いる。
耐摩耗性試験の結果を表4及び図3に示す。
Figure 2005162560
<7>用途。
上記のような構造を備えたモルタル部材、コンクリート部材は次のような用途に使用することができる。
例えば硬度の高い地下水しか利用できないような島嶼では、硬度低減化用のプラントから輩出された炭酸カルシュウムの粒状体を、あらゆるモルタル部材、コンクリート部材、構造物の骨材として利用できる。その場合には産業廃棄物の活用としてきわめて有効である。
歩道版やビルの床面のように摩耗を与えられる場所では、表面を研磨して白色円の模様を浮き出させることによって、いつまでも模様が消滅しない歩道や床面として利用できる。
本発明の化粧モルタル部材の実施例の断面図。 表面を研磨した状態の説明図。 耐摩耗性試験結果を示したグラフ。
符号の説明
1:炭酸カルシュウムの粒状体
2:セメント分

Claims (3)

  1. 直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせと、
    少なくともセメントと水とによって構成した、
    化粧モルタル、コンクリート部材。
  2. 直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせと、
    少なくともセメントと水を混合して行なう、
    化粧モルタル、コンクリート部材の製造方法。
  3. 直径が5mm以下の不溶性の炭酸カルシュウムの粒状体、粉状体あるいはそれらの組み合わせに対して、
    少なくともセメントと水を混合し、
    硬化した後に、その表面を研磨して主に表面のモルタル分を除去すること、あるいは硬化したモルタルを切断することによって行なう、
    化粧モルタル、コンクリート部材の製造方法。



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