JP2005159343A - ソーラータイルおよびその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タイルに発電機能を備えさせると共に、従来技術のように、釉薬を介在させた場合に比し、より強力な起電力が得られるようなソーラータイルの構成を提供することである。
【解決手段】 太陽光によってタイルが発電できるように構成した機能性タイルであって、窯業用無機質坏土の表面に燐・珪酸塩ガラス及び/又は硼・珪酸塩ガラスを素材とするガラス質コーティング剤を塗布して焼成されるタイル基盤と、当該タイル基盤の上側に位置し、かつnip構造またはpin構造を持つシリコン層と、前記シリコン層の上下面に設けた酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)を素材とする透明導電膜と、前記シリコン層との間にて発生した電流を、前記透明導電膜を介して供給し得る給電部とを備えていること
に基づき、前記課題を達成し得るソーラータイル。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光を電気に変換する発電素子が組み込まれることにより、太陽光発電ができるようにしたタイルに関する。
太陽光を利用して発電する太陽電池は、発電素子(セル)に、単結晶シリコンセルや多結晶シリコンセル、もしくは、アモルファスシリコンセルが利用され、コストや発電効率が改善されている。
また、一般家庭においては、太陽電池を壁もしくは屋根に設置することで、電気代が節約できることから、広く普及したものとなっている。
発電素子を複数取り付けてパネル状に保持させることができるようにしたものとして、特表2003−506884には、ソーラータイル組立体が開示されている。
このソーラータイル組立体は、第1の電気コネクタを有する取り外し可能な外側パネルと、第2の電気コネクタを有する内側支持構造とを有し、第1の電気コネクタと第2の電気コネクタとの間の電気接続が外側パネル及び内側支持構造を接合することによって実現されるよう配置されるものであり、発電素子は、外側パネルに設けられている。
しかし、このようなソーラータイル組立体においては、施工現場で、施工面の形状に合わせて施工することが難しく、また、建築物を構成する部材とはなりえないものとなっている。
即ち、一般的に、太陽光を利用して発電可能に構成された太陽電池パネルにおいては、概ね、規格化されて構築物に取り付けられるものとなっていることから建築物の概観を損ねる場合もあり、取付箇所も限られていた。
他方、特開昭61−141060号公報においては、基盤タイルの表面における施釉面に、酸化錫(SnO)又は酸化インジウム(In)による電極層を積層し、更にはnip構造によるシリコン層、及び透明保護膜を積層したことによる構成を開示している。
しかしながら、特開昭61−1410605号公報の場合のように、通常アルカリ、石灰、マグネシア、酸化亜鉛、鉛等による塩基成分、アルミナ、及び珪酸を成分とするアルミノ珪酸塩を素材としている釉薬を基盤タイルと電極層との間に介在させた場合には、十分な起電力が得られる訳ではない。
特表2003−506884号公報 特開昭61−141060号公報
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み、タイルに発電機能を備えさせると共に、従来技術のように、釉薬を介在させた場合に比し、より強力な起電力が得られるようなソーラータイルの構成を提供することを課題としている。
前記課題を解決する為、本発明の基本構成は、太陽光によってタイルが発電できるように構成した機能性タイルであって、窯業用無機質坏土の表面に燐・珪酸塩ガラス及び/又は硼・珪酸塩ガラスを素材とするガラス質コーティング剤を塗布して焼成されるタイル基盤と、当該タイル基盤の上側に位置し、かつnip構造またはpin構造を持つシリコン層と、前記シリコン層の上下面に設けた酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)を素材とする透明導電膜と、前記シリコン層との間にて発生した電流を、前記透明導電膜を介して供給し得る給電部とを備えていることに基づくソーラータイルからなる。
タイル基盤の表面に、光を電気に変換するシリコン層(nip構造またはpin構造を持つ発電素子)と、シリコン層の上下面に設けた透明導電膜とを備えることにより、発電機能を備えたタイルを実現することができる。
燐・珪酸塩ガラス及び/又は硼・珪酸塩ガラスを素材とするガラス質コーティング剤を、二酸化錫及び/又は二酸化インジウムを素材とする、透明電極との間にて積層することにより、従来の釉薬を採用した場合に比し、発電効率を上昇させることができる。
反射防止保護膜は、透明導電膜を保護し、且つ、太陽光の反射を防止するので、シリコン層が光を効率良く電気に変換するものとなる。
発電機能を備えたタイルは、建築物を構成する構成部材となり、建築物の一部分となることから、建築物の概観を損ねることがない発電装置となる。
発電機能を備えたタイルは、好適なサイズとすることにより、タイルを貼る施工現場において、自在に組み合わせで施工できるものとなる。
太陽光の露光面に施工されたタイルは、それぞれのタイル間を給電部(導電性の目地もしくはリード線)で繋ぐことにより、必要な電力が供給可能となる。
タイル生地の上に、燐・珪酸塩ガラス素材及び硼・珪酸塩ガラスからなるガラス質コーティング剤を塗布してタイル基盤とし、その上面で、太陽光を電気に変換するシリコン層を二酸化錫及び/又は二酸化インジウム(透明導電膜)で挟み込み形成し、最上面に反射防止保護膜を形成することにより効率の良い電力が得られるソーラタイルとすることができる。
図1は、本発明のソーラタイル10の断面を説明する説明図である。
このソーラタイル10は、タイル基盤が、タイル片1と、その表面に形成される燐・珪酸塩ガラス及び/又は硼・珪酸塩ガラスを素材とするガラス質コーティング層2とで構成され、その上に、下面側において酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)を素材としている透明導電膜3a、シリコン層(n型シリコン層4、i型シリコン層5、p型シリコン層6)、上面側において酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)を素材としている透明導電膜3bが積層され、さらに、反射防止保護膜8がコーティングされ、全体の厚さとして4〜13mm程度にて形成される。
前記厚さは、タイル基盤の厚さであり、その上に形成される透明導電膜(3a、3b)、シリコン層(4,5、6)、反射防止保護膜8の各厚さは極めて薄い層として形成されている。
具体的な製造工程について説明するに、タイル基盤は、タイル生地の表面に前記ガラス質コーティング剤を塗布したうえで、1150±50度℃にて焼成することにより形成され、タイル生地は、窯業用無機質坏土を高圧プレスすることにより形成される。
前記ガラス質コーティング剤は、通常3ないし10μmの厚さとなるように設計されている。
窯業用無機質坏土は、天然に産する石・粘土からなり、これをボールミルによって微粉砕し、泥しょう状にしたものを、スプレードライヤーで噴霧乾燥したものであり、タイル生地は、この窯業用無機質坏土を金型に入れて約150〜300kg/cmの圧力にてプレスすることによって製作される。
前記透明導電膜3aは、スパッタ法やスプレー法等により膜厚1〜4μm程度の透明な薄膜として形成される。
さらに、プラズマCVD装置や高周波(RF)スパッタリング装置を利用し、n,i,pの各型のシリコン層(非晶質半導体層)が形成される。
このプラズマCVD装置は、基盤上にシリコンの薄層が形成できるものであり、高周波電力をアノード電極とカソード電極間にかけて、プラズマを発生させることが可能となる。
その他に、スプレー法により、ナノアモルファスシリコン粒子をスプレーして、n,i,pの各型のシリコン層を形成することもできる。
また、例えば、ガスラインにより、シラン(SiH)とフォスフィン(PH)を供給することにより、ガスがプラズマで分解されてn型のシリコンの薄層を形成し、同様に、i型シリコン層は、ガスラインによりシラン(SiH)が供給されて形成され、p型シリコン層は、シラン(SiH4 )、メタン(CH4 )、ジボラン(B26 )、水素(H2 )が供給されて形成されること等適宜実施できる。
さらに、シリコン層の上面には、SnO・Inからなる透明導電膜3bが、膜厚1〜4μm程度の透明な薄膜として形成され、反射防止保護膜8は、前記透明導電膜3bの上面に形成される。
リード線7は、透明導電膜(3a、3b)に、電子ビーム装置等で電極が設けられることにより繋がれる。
反射防止保護膜8は、透明導電膜を保護し、且つ、太陽光の反射を防止するように形成されるものであり、酸化チタンと酸化シリコンを9.2Vol%含む。
因みに、二酸化チタンは不透明粒子であるが、水酸化チタンのゾル溶液を粒径約50nm以下に結晶化させることにより、これを分散させた反射防止保護膜8では全体として十分透明なものとなる。
この反射防止保護膜8は、噴霧装置により噴霧して形成されるものであり、その噴霧液の組成は、上述した酸化チタンと酸化シリコンを9.2Vol%と、更に、スプレー化剤(2―エチルー1−ヘキサノール)40Vol%、溶剤(ブチルアセテート)20Vol%、レベリング剤(イソプロパノール)30.8Vol%とを含む。
図2は、建築物にソーラタイル10を施工した部分であり、隣り合うソーラタイル10がリード線7(7aもしくは7b)で連結されていることを示したものである。
この図に示すように、モルタルまたはコンクリートで形成された建築物の壁面には、タイルを1枚ずつ貼付けることにより、壁面が所定出力の太陽光発電システムの出力部となる。
出力される電圧(V)は、連結されるソーラタイル10の枚数に比例するが、二次電池に充電することにより、常時、必要な電力を得るように設計することができる。
上面側透明電極3a、下面側透明電極3b、及びその中間に位置しているシリコン層の厚さを3μmとし、ガラス質コーティング層2の厚さを7μmと設定したうえで、2カロリー/cmの照度を有する太陽光によって10cm×10cmの本発明に係るソーラータイルに照射した場合の実施例、及び燐・珪酸塩ガラと、硼・珪酸塩ガラスとをそれぞれ50重量%混合したことによる素材のガラス質コーティング層2に代えて、従来技術による釉薬を7μmの厚さとしたうえで設計したことによる対照例について、各発生電圧と発生電流及び発生電力の関係は以下の表1記載の通りである。
Figure 2005159343
前記結果からも明らかなように、従来のような釉薬を使用した場合に比し、本願発明のように、燐・珪酸塩ガラス、及び硼・珪酸塩ガラスを使用した場合の方が明らかに効率的な太陽光線発電を実現していることが判明する。
一般の釉薬を使用した場合に比し、前記のように効率的な太陽光線発電を実現し得る根拠について言及するに、燐・珪酸塩ガラス、又は硼・珪酸塩ガラス層表面と酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)と透明電極層の界面との電子分光法(ESCA)、及びオージェ分光法(AES)による元素分析観察を行った場合には、当該境界層におけるガラス層の各粒子と電極層の各粒子の分布配列が一般的釉薬の場合と明らかに異なる状態であることが発見され、この境界状態が結局、境界面における電極の導電機能に多大な相違を与えているものと考えられる。
このような境界面の状況は、ソーラータイルの発電能力(光電変換効率、耐用性、集電効率など)に重要な因子であることを示すだけではなく、一般の太陽電池の各層の界面及び境界の構造においても妥当することを示唆している。
但し、前記境界状態の相違と、太陽光線発電における効率上の相違に関する具体的な因果関係については、現時点では明らかではない。
ソーラタイルが施工される箇所は、通常のタイルが施工できる場所であれば同様に施工できるものであり、建築物における壁面として好適に採用可能である。
しかも、壁面に限定されることなく、屋根や路面など太陽光が得られる箇所であれば、何れの場所においても、施工可能である。
ソーラタイルの断面を説明する説明図である。 建築物における壁面に施工されたソーラタイルを示したものである。
符号の説明
1 タイル片
2 ガラス質コーティング層
3a、3b 透明導電膜
4 n型シリコン層
5 i型シリコン層
6 p型シリコン層
7、7a、7b リード線
8 反射防止保護膜
10 ソーラタイル

Claims (4)

  1. 太陽光によってタイルが発電できるように構成した機能性タイルであって、窯業用無機質坏土の表面に燐・珪酸塩ガラス及び/又は硼・珪酸塩ガラスを素材とするガラス質コーティング剤を塗布して焼成されるタイル基盤と、当該タイル基盤の上側に位置し、かつnip構造またはpin構造を持つシリコン層と、前記シリコン層の上下面に設けた酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)を素材とする透明導電膜と、前記シリコン層との間にて発生した電流を、前記透明導電膜を介して供給し得る給電部とを備えていることに基づくソーラータイル。
  2. 燐・珪酸塩ガラスまたは硼・珪酸塩ガラスの厚さが3〜10μmであり、酸化第二錫(SnO)及び/又は酸化第二インジウム(In)の膜厚が、1〜4μmであることを特徴とする請求項1記載のソーラータイル。
  3. 太陽光の反射を防止するように、前記透明導電膜の上面には、酸化チタン及び酸化シリコンを含む反射防止保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のソーラタイル。
  4. 請求項1ないし3に記載のソーラタイルにおいて、前記給電部が、それぞれの前記透明導電膜を繋ぐリード線もしくは導電性目地を構成することにより、所定出力の太陽光発電システムの出力部を壁面または屋根に施工することを特徴とするソーラタイルの施工方法。

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