JP2005158886A - 光増幅器、レーザ発振器およびmopaレーザ装置 - Google Patents

光増幅器、レーザ発振器およびmopaレーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 固体レーザ媒質が破壊されたときにも励起光源を保護することができる光増幅器を提供する。
【解決手段】 励起光源32a,32bから出力された励起光は、光ガイド部36a,36bを透過し、さらにウィンドウ部35a,35bを透過して、固体レーザ媒質31に照射される。固体レーザ媒質31への励起光照射により、固体レーザ媒質31において所定波長の光が光増幅される。仮にウィンドウ部35a,35bが破壊されて冷却水が流れ出すというような事態になったとしても、光源収納部34a,34bの内部に収納された励起光源32a,32bは冷却水により汚染されることはない。
【選択図】 図2


Description

本発明は、所定波長の光を誘導放射して光増幅し得る光増幅器、該光増幅器を共振器内に含むレーザ発振器、および、光源と該光増幅器とを含むMOPA(Main Oscillator Power Amplifier)レーザ装置に関するものである。
固体レーザ媒質を含む光増幅器が知られている(例えば非特許文献1を参照)。この光増幅器では、固体レーザ媒質に励起光を照射して、この固体レーザ媒質に含まれている活性元素(例えば希土類元素や遷移元素)を励起し、この固体レーザ媒質における誘導放射現象を利用して所定波長の光を光増幅する。また、この光増幅器と共振器とからレーザ発振器が構成され、光源と光増幅器とからMOPAレーザ装置が構成され得る。例えば、固体レーザ媒質はNdドープガラスであり、励起光源はレーザダイオードアレイであり、光増幅し得る光の波長は1053nmである。
このような構成の光増幅器では、動作時に固体レーザ媒質が高温になることから、固体レーザ媒質を冷却する必要がある。そこで、固体レーザ媒質を媒質収納部の内部に収納して、この媒質収納部の内部に水を流して固体レーザ媒質を水冷する。また、媒質収納部に透明なウィンドウ部を設けて、このウィンドウ部を経て励起光を外部から内部へ透過させ、その励起光を固体レーザ媒質に照射させる。
T. Kawashima, et al., "Design and Performance of a Diode-Pumped Nd:Silica-Phosphate Glass Zig-Zag Slab Laser Amplifier for Inertial Fusion Energy", Jpn.J.Appl.Phys., Vol.40, Pt.1, No.11, pp.6415-6425 (2001)
上記のような構成の光増幅器では、光増幅の利得を大きくしようとすると、固体レーザ媒質に照射される励起光のエネルギを大きくする必要がある。例えば、励起効率が0.5であるとすると、固体レーザ媒質に照射される励起光のエネルギの半分以上が熱エネルギに変換されてしまうことになり、その熱エネルギが数十Jにもなる場合がある。したがって、冷却水による固体レーザ媒質の冷却が効果的に行われる必要がある。
しかし、仮に何らかの理由で冷却が効果的に行われなくなると、固体レーザ媒質が破壊される可能性がある。そして、固体レーザ媒質が破壊されると、更にウィンドウ部も破壊され、媒質収納部から外部へ冷却水が流れ出して、この冷却水により励起光源が汚染される事態が生じることになる。このような事態が生じると、光増幅器の構成部品を交換する手間が必要となるだけでなく、コストも高くなる。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、固体レーザ媒質が破壊されたときにも励起光源を保護することができる光増幅器、ならびに、このような光増幅器を含むレーザ発振器およびMOPAレーザ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光増幅器は、(1) 励起光が照射されることにより所定波長の光を誘導放射し得る固体レーザ媒質と、(2) 固体レーザ媒質を内部に収納し、励起光を外部から内部へ透過させるウィンドウ部を有するとともに、内部に水を流して固体レーザ媒質を水冷する水冷手段を有する媒質収納部と、(3) 励起光を出力する励起光源と、(4) 励起光源を内部に収納し、励起光源から出力された励起光を内部から外部へ透過させ該励起光の発散を抑制する光ガイド部を有し、この光ガイド部を透過した励起光をウィンドウ部を経て固体レーザ媒質に照射させる光源収納部と、を備えることを特徴とする。また、励起光源がレーザダイオードアレイまたはレーザダイオードアレイスタックを含むのが好適である。
この光増幅器では、光源収納部の内部に収納された励起光源から出力された励起光は、光源収納部の一部に設けられた光ガイド部を透過し、さらに、媒質収納部の一部に設けられたウィンドウ部を透過して、媒質収納部の内部に収納されている固体レーザ媒質に照射される。そして、固体レーザ媒質への励起光照射により、固体レーザ媒質に含まれる活性元素が励起され、所定波長の光が固体レーザ媒質に入射すると誘導放射が生じて、その所定波長の光が光増幅される。仮に固体レーザ媒質やウィンドウ部が破壊されて冷却水が流れ出すというような事態になったとしても、光源収納部の内部に収納された励起光源は冷却水により汚染されることはない。
本発明に係る光増幅器は、光源収納部が複数の励起光源を内部に収納しており、これら複数の励起光源それぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質の中心部の方向に傾いているのが好適である。この場合には、固体レーザ媒質の高さ方向の励起光照射分布が均一化される。
本発明に係る光増幅器は、光源収納部が複数の励起光源を内部に収納しており、これら複数の励起光源それぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質の端部の方向に傾いているのが好適である。この場合には、固体レーザ媒質における熱レンズ効果等の発生が抑制される。
本発明に係る光増幅器は、光源収納部の内部から外部へ向かって光ガイド部の断面形状の幅が次第に小さくなるのが好適である。この場合には、励起光の集光効果が得られ、固体レーザ媒質に照射される励起光のエネルギ密度が高まる。
本発明に係る光増幅器は、光源収納部が複数の励起光源を内部に収納しており、これら複数の励起光源の配置に応じて光ガイド部の励起光入射面が分割され、その分割された各々の面に垂直な方向が固体レーザ媒質の中心部の方向に傾いているのが好適である。また、複数の励起光源それぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質の中心部の方向に傾いているのが好適である。これらの場合には、固体レーザ媒質における熱レンズ効果等の発生が抑制される。
本発明に係るレーザ発振器は、上記の本発明に係る光増幅器と、この光増幅器に含まれる固体レーザ媒質を共振光路上に有する共振器と、を備えることを特徴とする。また、本発明に係るMOPAレーザ装置は、光を出力する光源と、この光源から出力された光を入力し光増幅して出力する上記の本発明に係る光増幅器と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、固体レーザ媒質が破壊されたときにも励起光源を保護することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
先ず、本実施形態に係るMOPAレーザ装置1について説明する。図1は、本実施形態に係るMOPAレーザ装置1の構成図である。この図に示されるMOPAレーザ装置1は、レーザ光源11、光増幅器12、ビームエクスパンダ13、光学マスク14、スペーシャルフィルタ15、ファラデーローテータ16、光増幅器17、スペーシャルフィルタ18およびポラライザ19を備える。
レーザ光源11は、レーザ光を出力するものである。このレーザ光源11から出力される光の波長は、光増幅器12および光増幅器17それぞれにおいて光増幅され得る波長である。光増幅器12は、レーザ光源11から出力された光を入力し光増幅して出力する。ビームエクスパンダ13は、光増幅器12から出力されミラー21により反射されて到達した光を入力し、この光のビーム径を大きくして出力する。光学マスク14は、開口を有しており、ビームエクスパンダ13から出力されミラー22により反射されて到達した光を入力し、開口のみに光を透過させて、この光の空間分布形状を矩形状に整形して出力する。
スペーシャルフィルタ15は、レンズ15a,レンズ15bおよびピンホール15cを有している。また、スペーシャルフィルタ18も、レンズ18a,レンズ18bおよびピンホール18cを有している。レンズ15aおよびレンズ15bはケプラ型逆望遠系の共焦点光学系を構成しており、レンズ18aおよびレンズ18bもケプラ型逆望遠系の共焦点光学系を構成しており、これらは光学マスク14の位置における光のビーム断面形状を次々に像転送するものである。
ピンホール15cはレンズ15aとレンズ15bとの間の焦点位置にあり、ピンホール18cはレンズ18aとレンズ18bとの間の焦点位置にある。これらピンホール15cおよびピンホール18cは空間的な高調波成分を除去するために設けられている。また、ピンホール15cおよびピンホール18cそれぞれは、集光位置に設けられることから、耐熱衝撃抵抗が大きく硬度が高い材料からなることが望ましく、セラミックスからなるのが好適であり、そのうちでも、アルミナ、窒化珪素、窒化炭素もしくは窒化ボロン、または、これらの混合物等からなるのが好適である。また、ピンホール15cおよびピンホール18cそれぞれの開口形状は、光学マスク14の開口形状をフーリエ変換した形状と略相似形であるのが好適である。
光増幅器17は、固体レーザ媒質31、励起光源32aおよび励起光源32bを含む。固体レーザ媒質31に照射されるべき励起光を出力する励起光源32aおよび励起光源32bは、好適にはレーザダイオードアレイまたはレーザダイオードアレイスタックを含む。固体レーザ媒質31は、励起光が照射されることにより所定波長の光を誘導放射し得るものであり、スラブ形状のガラスからなる。光増幅されるべき光は、固体レーザ媒質31の端面に斜めに入射し、固体レーザ媒質31の側面で繰り返し反射されながら、固体レーザ媒質31内をジグザグに進む。この光増幅器17は、ミラー23から固体レーザ媒質31の第1端面に入力した光を該固体レーザ媒質31において光増幅し、その光増幅した後の光を第2端面からミラー24へ出力する。また、光増幅器17は、ミラー24から固体レーザ媒質31の第2端面に入力した光を該固体レーザ媒質31において光増幅し、その光増幅した後の光を第1端面からミラー25へ出力する。固体レーザ媒質31の第1端面および第2端面それぞれには、反射低減膜が形成されている。
ファラデーローテータ16は、スペーシャルフィルタ15とミラー26との間の光路上に設けられ、光の偏光方位を2回の通過で90度回転させ、また、熱複屈折の補償を図る。ポラライザ19は、スペーシャルフィルタ15から出力されて到達した光のうち特定方位の偏光成分の光を選択的に反射させて、この反射光をMOPAレーザ装置1の出力光とする。
このMOPAレーザ装置1は以下のように動作する。レーザ光源11から出力された光は、光増幅器12により光増幅され、ビームエクスパンダ13によりビーム径が拡大されて、光学マスク14に入力する。この光学マスク14によりビーム断面形状が矩形状とされた光は、スペーシャルフィルタ15、ミラー23、光増幅器17、ミラー24、スペーシャルフィルタ18、ミラー27、ミラー28、スペーシャルフィルタ18、ミラー25、光増幅器17、ミラー26、ファラデーローテータ16およびスペーシャルフィルタ15を順に経て、ミラー29に到達する。この光学マスク14からミラー29に到るまでの光路を往路として、ミラー29に到達して反射された光は、往路と同一の光路である復路を経てポラライザ19に到達する。
これら往路(光学マスク14からミラー29に到るまでの光路)および復路(ミラー29からポラライザ19に到るまでの光路)の間に、光はファラデーローテータ16を2回通過するので、合計で90度だけ光の偏光方位が回転する。したがって、復路でポラライザ19に到達した光はポラライザ19により反射されて、この反射光がMOPAレーザ装置1の出力光となる。
また、往路および復路の間に、光学マスク14の位置における光のビーム断面形状は、スペーシャルフィルタ15またはスペーシャルフィルタ18により、8回の像転送が為され、また、熱歪み等に因る空間的な高調波成分が除去される。これにより、MOPAレーザ装置1の出力光は、回折が低減されたものとなる。また、往路および復路の間に光は光増幅器17を4回通過して、その通過の度に光は光増幅器17において光増幅される。
MOPAレーザ装置1のより具体的な構成の一例は以下のとおりである。レーザ光源11は、Nd:YLFを連続発振のレーザダイオードで励起する単一縦横シードレーザ光源と、Nd:YLFをレーザダイオードで励起するQスイッチ光増幅器と、を含む構成のものであり、波長1053nmの出力パルス光の立ち上がり時間を最小とするアルゴリズムでフィードバック制御して、単一モードの安定化を図る。光増幅器12は、ロッド形状のNd:YLFをレーザダイオードで励起する構成のものである。光増幅器17に含まれる固体レーザ媒質31は、スラブ形状のNdドープガラスであり、当該長手方向の両端面が光増幅される光の入出射面となる。励起光源32aおよび励起光源32bそれぞれはレーザダイオードアレイスタックを含む。固体レーザ媒質31に照射される励起光の全エネルギは48Jであり、励起効率が0.5である。このとき、ポラライザ19から出力される光のエネルギは10Jである。
次に、本実施形態に係る光増幅器17について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る光増幅器17の断面図である。この図は、光増幅される光が固体レーザ媒質31に入出射する面に平行な断面を示している。光増幅器17は、前述した固体レーザ媒質31および励起光源32a,32bを備える他、媒質収納部33および光源収納部34a,34bをも備える。
媒質収納部33は、固体レーザ媒質31を内部に収納し、励起光を外部から内部へ透過させるウィンドウ部35a,35bを有する。また、媒質収納部33は、内部に水を流して、固体レーザ媒質31を水冷することができる。固体レーザ媒質31を挟んでウィンドウ部35aとウィンドウ部35bとが設けられている。ウィンドウ部35aおよびウィンドウ部35bそれぞれは、平板状であって互いに平行であり、また、固体レーザ媒質31の側面に平行である。ウィンドウ部35aの外側に光源収納部34aが配置され、ウィンドウ部35bの外側に光源収納部34bが配置される。
光源収納部34aは、励起光源32aを内部に収納し、励起光源32aから出力された励起光を内部から外部へ透過させる光ガイド部36aを一部に有する。この光ガイド部36aは、ウィンドウ部35aと対向する位置に設けられ、励起光を内部から外部へ透過させる際に該励起光の発散を抑制する。また、光源収納部34aは、内部に窒素ガスを流して、励起光源32aの光出射面および光ガイド部36aの内面を湿気から保護することができる。
光源収納部34bは、励起光源32bを内部に収納し、励起光源32bから出力された励起光を内部から外部へ透過させる光ガイド部36bを一部に有する。この光ガイド部36bは、ウィンドウ部35bと対向する位置に設けられ、励起光を内部から外部へ透過させる際に該励起光の発散を抑制する。また、光源収納部34bは、内部に窒素ガスを流して、励起光源32bの光出射面および光ガイド部36bの内面を湿気から保護することができる。
光ガイド部36a,36bそれぞれの材質は、例えば、光学ガラス(BK7、合成石英、等)、透明な光学結晶、励起光吸収や光劣化が小さい合成樹脂などである。光ガイド部36a,36bそれぞれの励起光入射面および出射面は、光学研磨が施された上で反射低減膜が形成されていて、光の散乱や反射が低減されている。また、光ガイド部36a,36bそれぞれの側面は、光学研磨が施された上で、誘電体多層膜が形成されて励起光波長に対して高反射率とされており、或いは、周囲媒質の屈折率の方が小さく励起光が全反射するようになっている。
光ガイド部36a,36bそれぞれの側面に接する周囲媒質は、光ガイド部36a,36bの屈折率より小さい屈折率を有するものであるのが好適であり、例えば、空気などの気体である。ただし、光ガイド部36a,36bそれぞれの4つの側面の全域が空気に接するのではなく、光源収納部34a,34bに光ガイド部36a,36bが固定され得る程度に、且つ、仮にウィンドウ部35a,35bが破壊されたとしても冷却水によって励起光源32a,32bが汚染されない程度に、光ガイド部36a,36bそれぞれの4つの側面のうちの多くの部分が空気に接しているのが好ましい。
光ガイド部36a,36bの側面を傷つけないために、光源収納部34a,34bのうち光ガイド部36a,36bの側面に接する部分には、テフロン(登録商標)等の合成樹脂が用いられるのが好ましい。また、光ガイド部36a,36bは、励起光源32a,32bから出力された光を効率よく固体レーザ媒質31に照射させるために、励起光源32a,32bより幾らか大きいのが好ましい。
また、固体レーザ媒質31は、一方向に長いスラブ形状のものであって、当該長手方向の両端面が光増幅される光の入出射面となっている。この固体レーザ媒質31の形状に合わせて、ウィンドウ部35a,35bそれぞれも長手方向に長い平板形状のものであり、光ガイド部36a,36bそれぞれも長手方向に長いスラブ形状のものである。励起光源32a,32bそれぞれはレーザダイオードアレイであり、各々のレーザダイオードの活性層からの励起光の出射方向は固体レーザ媒質31の側面に垂直であり、出力励起光の拡がり角が30deg程度と大きいファーストアクシス方向が長手方向とされている。このような形状とすることで励起光照射効率が高まる。また、レーザダイオードアレイが高さ方向に多段に設けられる場合には、ファーストアクシス方向を高さ方向とすることにより、高さ方向の励起光照射分布を均一化することができる。
この光増幅器17は以下のように動作する。励起光源32aから出力された励起光は、光ガイド部36aを透過し、さらにウィンドウ部35aを透過して、固体レーザ媒質31に照射される。励起光源32bから出力された励起光は、光ガイド部36bを透過し、さらにウィンドウ部35bを透過して、固体レーザ媒質31に照射される。そして、固体レーザ媒質31への励起光照射により、固体レーザ媒質31に含まれる活性元素が励起され、所定波長の光が固体レーザ媒質31に入射すると誘導放射が生じて、その所定波長の光が光増幅される。
この光増幅器17では、仮に固体レーザ媒質31やウィンドウ部35a,35bが破壊されて冷却水が流れ出すというような事態になったとしても、光源収納部34a,34bの内部に収納された励起光源32a,32bは冷却水により汚染されることはない。したがって、励起光源32a,32bを保護することができ、光増幅器17の構成部品(特に、励起光源32a,32b)を交換する手間が無くなり、コストを低減できる。
このように光源収納部34a,34bの内部に励起光源32a,32bが収納されることにより、励起光源32a,32bと固体レーザ媒質31との距離が長くなるので、固体レーザ媒質31における励起光照射分布は均一化される。また、この励起光照射分布の均一化により、固体レーザ媒質31の破壊の危険が低減される。
その一方で、仮に、光ガイド部36a,36bが単に励起光を透過させるだけのものであると、励起光源32a,32bから出力された励起光は、固体レーザ媒質31に到達するまで発散し続けて、照射効率が悪くなる。しかし、本実施形態では、光ガイド部36a,36bが励起光の発散を抑制する機能をも有しているので、励起光源32a,32bから出力された励起光は固体レーザ媒質31に高効率に照射される。
図3は、光増幅器において固体レーザ媒質31の高さ方向に励起光源32aを2段に配置した場合の構成を示す断面図である。同図(a)は、光ガイド部36aを有する実施例の断面構成を示し、同図(b)は、光ガイド部36aが無いとした場合の比較例の断面構成を示す。この図は、光増幅される光が固体レーザ媒質31に入出射する面に平行な断面を示しており、また、固体レーザ媒質31の一方の側における光ウィンドウ部35a,光ガイド部36aおよび励起光源32aの配置を示している。なお、この図では、媒質収納部および光源収納部の図示は省略されている。図4は、図3に示された実施例および比較例それぞれの場合における高さ方向の励起光照射分布を示す図である。ここでは、2つの励起光源32aそれぞれをレーザダイオードアレイスタックとし、両者の間の電気的絶縁をとるために、両者の間には一定の間隔が必要である。
図4に示されるように、比較例の場合(図3(b))の高さ方向の励起光照射分布は、中央付近で励起光照射量が小さい。これに対して、実施例の場合(図3(a))の高さ方向の励起光照射分布は、中央付近の励起光照射量の減少が抑制されて、均一化されており、また、比較例の場合と同程度の照射量となっている。これは、光ガイド部36aを設けたことに因る効果である。
次に、本実施形態に係る光増幅器17の変形例について図5〜図12を用いて説明する。以降に示す図5〜図11それぞれは、光増幅される光がスラブ形状の固体レーザ媒質31に入出射する面に平行な断面を示しており、また、固体レーザ媒質の一方の側における光ウィンドウ部,光ガイド部および励起光源の配置を示している。図12は、光増幅される光がロッド形状の固体レーザ媒質に入出射する面に平行な断面を示しており、また、その周囲における光ガイド部および励起光源の配置を示している。なお、これらの図では、媒質収納部および光源収納部の図示は省略されている。
図5は、第1変形例の構成を示す断面図である。図3(a)に示された実施例の構成と比較すると、この図5に示される第1変形例の構成では、光源収納部内に2つの励起光源32aが収納されている点、および、光ガイド部36aが一方向に長いスラブ形状のものである点、で共通する。しかし、この第1変形例の構成では、2つの励起光源32aそれぞれの励起光出射方向は固体レーザ媒質31の中心部の方向に傾いている。このような構成とすることにより、図4に示した実施例の場合(図3(a))の励起光照射分布に見られた中央付近の励起光照射量の減少が更に僅かなものとなり、高さ方向の励起光照射分布が更に均一化される。
図6は、第2変形例の構成を示す断面図である。図3(a)に示された実施例の構成と比較すると、この図6に示される第2変形例の構成では、光源収納部内に2つの励起光源32aが収納されている点、および、光ガイド部36aが一方向に長いスラブ形状のものである点、で共通する。しかし、この第2変形例の構成では、2つの励起光源32aそれぞれの励起光出射方向は固体レーザ媒質31の端部の方向に傾いている。このような構成とすることにより、固体レーザ媒質31において中心部より上下部分に励起光照射量が多くなって、固体レーザ媒質31における熱レンズ効果等の発生が抑制される。
なお、第1変形例(図5)および第2変形例(図6)の如く2つの励起光源32aそれぞれの励起光出射方向を設定するに際しては、2つの励起光源32aそれぞれの出力光強度分布や固体レーザ媒質31からの抽出エネルギ等に応じて、各々の励起光出射方向を設定する。
図7は、第3変形例の構成を示す断面図である。図3(a)に示された実施例の構成と比較すると、この図7に示される第3変形例の構成では、光源収納部内に2つの励起光源32aが収納されている点、および、2つの励起光源32aそれぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質31の側面に垂直である点、で共通する。しかし、この第3変形例の構成では、光ガイド部136aの断面形状は、光源収納部の内部から外部へ向かって次第に幅が小さくなっており、図示されるようにテーパ形状となっている。このような構成とすることにより、励起光の集光効果が得られ、固体レーザ媒質31に照射される励起光のエネルギ密度が高まる。これは、励起光源32aの高さより固体レーザ媒質31の高さが小さい場合に有効である。
図8は、第4変形例の構成を示す断面図である。図3(a)に示された実施例の構成と比較すると、この図8に示される第4変形例の構成では、光源収納部内に2つの励起光源32aが収納されている点、および、2つの励起光源32aそれぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質31の側面に垂直である点、で共通する。しかし、この第4変形例の構成では、2つの励起光源32aの配置に応じて光ガイド部236aの励起光入射面が2分割され、その分割された各々の面に垂直な方向が固体レーザ媒質31の中心部の方向に傾いていて、図示されるように断面形状が五角形となっている。このような構成とすることにより、光ガイド部236aに励起光が入射する際に屈折して、第1変形例(図5)の場合と同様の効果が得られる。
図9は、第5変形例の構成を示す断面図である。図8に示された第4変形例の構成と比較すると、この図9に示される第5変形例の構成では、2つの励起光源32aそれぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質31の中心部の方向に傾いている点で相違する。このような構成とすることによっても、第1変形例(図5)の場合と同様の効果が得られる。
図10は、第6変形例の構成を示す断面図である。図8に示された第4変形例の構成と比較すると、この図10に示される第6変形例の構成では、光源収納部に収納される励起光源の個数が3である点、および、これに伴い光ガイド部336aの励起光入射面が3分割されている点、で相違する。その3分割された面のうち、上下の2面に垂直な方向は固体レーザ媒質31の中心部の方向に傾いていて、中央の1面は固体レーザ媒質31の側面に平行である。このような構成とすることにより、光ガイド部336aに励起光が入射する際に屈折して、第1変形例(図5)の場合と同様の効果が得られる。
図11は、第7変形例の構成を示す断面図である。図10に示された第6変形例の構成と比較すると、この図11に示される第7変形例の構成では、3つの励起光源32aのうち上下の2つの励起光源それぞれの励起光出射方向が固体レーザ媒質31の中心部の方向に傾いている点で相違する。このような構成とすることによっても、第1変形例(図5)の場合と同様の効果が得られる。
なお、第4変形例(図8),第5変形例(図9),第6変形例(図10)および第47変形例(図11)それぞれにおいても、第3変形例(図7)に示された如く、光ガイド部の断面形状は、光源収納部の内部から外部へ向かって次第に幅が小さくなっているのが好適であり、このような構成とすることにより、励起光の集光効果が得られ、固体レーザ媒質31に照射される励起光のエネルギ密度が高まる。
図12は、第7変形例の構成を示す断面図である。この図に示される第7変形例では、固体レーザ媒質131は、断面形状が円形であるロッド形状のものである。また、この固体レーザ媒質131の周囲に、3組の励起光源32aおよび光ガイド部36aが配置されている。このように、固体レーザ媒質は、スラブ形状であってもよいし、ロッド形状であってもよい。また、励起光源および光ガイド部を含む組の数は任意である。
次に、本実施形態に係るレーザ発振器2について説明する。図13は、本実施形態に係るレーザ発振器2の構成図である。この図に示されるレーザ発振器2は、上述した光増幅器17と、この光増幅器17に含まれる固体レーザ媒質31を共振光路上に有する共振器と、を備える。
ミラー41およびミラー42は共振器を構成している。一方のミラー41は、固体レーザ媒質31で自然放射される光の波長に対して高い反射率を有している。他方のミラー42は、その波長に対して比較的に低い反射率を有している。
このレーザ発振器2では、励起光源32a,32bから出力された励起光が固体レーザ媒質31に照射されると、固体レーザ媒質31に含まれる活性元素が励起され、所定波長の光が放射される。その光はミラー41およびミラー42それぞれで反射されて共振器内を往復し、これにより、固体レーザ媒質31において誘導放射が生じて、その所定波長の光が光増幅される。そして、共振器内で光増幅された光の一部は、ミラー42を透過して、レーザ発振器2の出力光として外部へ出力される。
このレーザ発振器2に含まれる光増幅器17は、上述した構成のものであるので、固体レーザ媒質31が破壊されたときにも励起光源32a,32bを保護することができる。
本実施形態に係るMOPAレーザ装置1の構成図である。 本実施形態に係る光増幅器17の断面図である。 光増幅器において固体レーザ媒質31の高さ方向に励起光源32aを2段に配置した場合の構成を示す断面図である。 図3に示された実施例および比較例それぞれの場合における高さ方向の励起光照射分布を示す図である。 第1変形例の構成を示す断面図である。 第2変形例の構成を示す断面図である。 第3変形例の構成を示す断面図である。 第4変形例の構成を示す断面図である。 第5変形例の構成を示す断面図である。 第6変形例の構成を示す断面図である。 第7変形例の構成を示す断面図である。 第8変形例の構成を示す断面図である。 本実施形態に係るレーザ発振器2の構成図である。
符号の説明
1…MOPAレーザ装置、2…レーザ発振器、11…レーザ光源、12…光増幅器、13…ビームエクスパンダ、14…光学マスク、15…スペーシャルフィルタ、16…ファラデーローテータ、17…光増幅器、18…スペーシャルフィルタ、19…ポラライザ、21〜29…ミラー、31…固体レーザ媒質、32a,32b…励起光源、33…媒質収納部、34a,34b…光源収納部、35a,35b…ウィンドウ部、36a,36b…光ガイド部、41,42…ミラー。

Claims (9)

  1. 励起光が照射されることにより所定波長の光を誘導放射し得る固体レーザ媒質と、
    前記固体レーザ媒質を内部に収納し、前記励起光を外部から内部へ透過させるウィンドウ部を有するとともに、内部に水を流して前記固体レーザ媒質を水冷する水冷手段を有する媒質収納部と、
    前記励起光を出力する励起光源と、
    前記励起光源を内部に収納し、前記励起光源から出力された励起光を内部から外部へ透過させ該励起光の発散を抑制する光ガイド部を有し、この光ガイド部を透過した励起光を前記ウィンドウ部を経て前記固体レーザ媒質に照射させる光源収納部と、
    を備えることを特徴とする光増幅器。
  2. 前記励起光源がレーザダイオードアレイまたはレーザダイオードアレイスタックを含むことを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
  3. 前記光源収納部が複数の前記励起光源を内部に収納しており、これら複数の励起光源それぞれの励起光出射方向が前記固体レーザ媒質の中心部の方向に傾いている、ことを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
  4. 前記光源収納部が複数の前記励起光源を内部に収納しており、これら複数の励起光源それぞれの励起光出射方向が前記固体レーザ媒質の端部の方向に傾いている、ことを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
  5. 前記光源収納部の内部から外部へ向かって前記光ガイド部の断面形状の幅が次第に小さくなることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
  6. 前記光源収納部が複数の前記励起光源を内部に収納しており、これら複数の励起光源の配置に応じて前記光ガイド部の励起光入射面が分割され、その分割された各々の面に垂直な方向が前記固体レーザ媒質の中心部の方向に傾いている、ことを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
  7. 前記複数の励起光源それぞれの励起光出射方向が前記固体レーザ媒質の中心部の方向に傾いていることを特徴とする請求項7記載の光増幅器。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の光増幅器と、
    この光増幅器に含まれる固体レーザ媒質を共振光路上に有する共振器と、
    を備えることを特徴とするレーザ発振器。
  9. 光を出力する光源と、
    この光源から出力された光を入力し光増幅して出力する請求項1〜7の何れか1項に記載の光増幅器と、
    を備えることを特徴とするMOPAレーザ装置。
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