JP2005154741A - レドックス重合法 - Google Patents

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俊一 檜森
Kiichi Ito
喜一 伊藤
Yasunari Sugiyou
保成 須堯
Yoshiaki Mori
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Abstract

【課題】 重合速度を飛躍的に向上させたレドックス重合法を提供すること。
【解決手段】 非金属還元剤および非金属酸化剤を用いるモノマーのレドックス重合法において、還元剤および酸化剤の他に遷移金属化合物をモノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いること。
【選択図】 なし

Description

本発明はレドックス重合の重合速度を飛躍的に加速させ、生産性を向上させるものである。特に吸水性樹脂、水溶性樹脂、凝集剤、分散剤等親水性樹脂の製造に好適な(メタ)アクリル酸の迅速な重合法を提供するものである。
従来から、エマルション塗料や吸水性樹脂等の製造にレドックス重合法が用いられてきた。レドックス重合法自体の重合速度は他の重合法に対して決して遅くないが、生産性の向上あるいは重合装置の小型化のため更に重合速度を速めることが求められている。
特開2000−328456号公報には、過酸化水素/L−アスコルビン酸のレドックス重合系を用いて、部分中和(メタ)アクリル酸を気相中で落下させながら、空中で重合させる迅速な吸水性樹脂の製造法が提案されている。この製造法は、それまでの手法と比較して格段に迅速な手法である。しかしながら重合完結のために必要な落下滞留時間を確保するためには、高さ3メートル以上の重合槽を必要としていた。
同様に、C. Briensら(Ind. Eng. Chem. Res. 2001, 40, 5386-5390)は、「吸水性樹脂の超高速反応器」を報告している。この技術は基本的に特開2000−328456号公報と同様の概念で同様の反応系を用いている。超高速というものの、中和発熱を用いた最速の場合でも、重合転化率40%を得るためには2秒以上を要し、中和熱を利用しない通常の場合は3秒以上を要する。いずれも重合速度の迅速性は不十分であった。
一方、迅速な重合を行う場合は、重合阻害剤に対する脆弱性も考慮しなければならない。すなわち、重合所要時間が数時間である通常の重合に比較して、秒単位で重合が完結する迅速な重合法は、1秒以下のわずかな重合遅延あるいはわずかな重合阻害があっても迅速な重合に重大な影響を与えてしまう。具体的には、(メタ)アクリル酸製造工程で副生する微量不純物が、重合を大幅に遅延させることが知られている。その結果、生成ポリマー中の残存モノマー(本明細書においてモノマーとは重合性モノマーを意味する)が大幅に増加することが報告されている。たとえば、WO第01/98382号公報には、アクリル酸の重合において、製造に際して副生する特定の微量の不純物(プロトアネモニンおよびフルフラール)が重合に悪影響を与え、結果的に残存モノマーが増加することが記載されている。そのために、これら微量不純物を除去精製した「超精製アクリル酸」を使用することが提案されている。
また、同様に特許第3349768号公報、特許第3357093号公報、特開平6−56931号公報には、製造に際して副生する微量のβ−ヒドキシプロピオン酸が重合に悪影響を与え、結果的に残存モノマーが増加することが記載されている。そのために、この微量不純物を除去精製したアクリル酸の使用が提案されている。
また製造、貯蔵、移送設備の材質由来の微量金属不純物に著しい重合阻害作用があることも知られている。「機能性アクリル系樹脂」(大森英三、(株)テクノシステム、1985、28頁2行目以下)には銅、鉄、クロム、亜鉛、水銀等に重合阻害作用があることが記載されている。更に、特開平3−31306号公報には、鉄、マンガン、クロム、銅、鉛等の重金属が重合に悪影響を与え、結果的に残存モノマーが増加することが記載されている。そのために、モノマーを重金属と接触させないように装置をライニングおよび/またはコーティング処理された材質で構成するか、あるいはこれら重金属を除去精製したアクリル酸を利用することが提案されている。これら不純物除去のための精製工程の付加あるいは、装置のライニングおよび/またはコーティン処理には多大の費用、労力、エネルギーを要し、コスト上昇の要因となる。このため、これらの微量の不純物に対して脆弱でない迅速な重合法を開発することが望まれていた。
他方、レドックス重合法で得られる親水性樹脂は紙おむつ等の衛生材料として有用である。吸水性樹脂中の残存モノマーは、吸水性樹脂の吸水性を阻害する上に汚染等のおそれがあり衛生上の問題を生じる。したがって、残存モノマーの量をより一層低減化することも望まれていた。残存モノマーを低減化する方法については、これまでに種々の提案がなされてきた。たとえば、1)モノマーの重合を進行させる方法、2)モノマーを他の誘導体へ導く方法、3)モノマーを除去する方法が挙げられる。1)のモノマーの重合を進行させる方法としては、例えばポリマーをさらに加熱する方法、吸水性樹脂にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加した後に加熱する方法(特開昭64−024808号公報,特開平01−103644号公報)、紫外線を照射する方法(特開昭63−260907号公報)、電磁放射線または微粒子性イオン化放射線を照射する方法(特開昭63−043930号公報)などが挙げられる。しかし、これらの手法は処理に比較的長い時間を要したり、高価な設備を必要としたりする。
2)のモノマーを他の誘導体へ導く方法としては、例えばアミン、アンモニア等を加える方法(特開昭50−040689号公報)、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩等の還元剤を加える方法(特開昭64−062317号公報)が挙げられる。この方法により、確かにモノマーは激減する場合があるが、添加する薬剤自身あるいはモノマー誘導体の毒性に難点がある。
3)のモノマーを除去する方法としては、例えば有機溶媒により抽出(特開平01−292003号公報)、留去する方法(特開平01−026604号公報)が挙げられる。この手法は多大なエネルギーを消費する欠点を有するのみならず、かえって有機溶媒由来の不純物の混入が懸念される。これら従来技術の短所を鑑み、衛生性が高く、低コストの残存モノマー量低減化法が望まれていた。
一方、重合中に特定の金属を添加することによって生成物を改良する技術については、これまでにも種々の提案がなされている。
たとえば、特開昭63−210102号公報には、吸水性樹脂を製造するためのレドックス重合系において、還元剤として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸アルカリ金属塩、酢酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一鉄等を用いることが提案されている。しかしながら、ここでは非金属還元剤および非金属酸化剤を用いるレドックス重合、たとえば、L−アスコルビン酸/過酸化水素に対して鉄化合物を併用したときに、鉄化合物が重合速度を迅速化する重合活性化剤として作用することや、不純物に対して重合安定性を確保する抗重合阻害剤として作用することについては記述も示唆もない。また、特開昭63−210102号公報において鉄化合物は、あくまでも還元剤として用いるため酸化数が低位の状態の化合物しか用いることができない。事実、鉄化合物として硫酸第一鉄(II)のみが例示されているにすぎず、3価以上の鉄についての使用に関する記述も示唆もない。
また、特開平4−372604号公報には、重合により吸水性樹脂を製造する際にFe(II)、Fe(III)の金属塩化合物を添加して、吸水性樹脂の性能を向上させる方法が記載されている。この方法は金属塩化合物を重合時に添加するものであるが、重合時の反応様態の改良を目的したものではない。添加した金属塩化合物は重合反応時には不活性であり、もっぱら重合完了後における吸水性樹脂の吸水性能を改良することを意図したものである。特開平4−372604号公報中には、これらの金属塩化合物はレドックス重合開始に関与しないことが明記されており、その実験的根拠も示されている。また、レドックス系の製造例や実施例も公報中に記載されていない。したがって、レドックス重合に直接関与する重合活性化剤あるいは抗重合阻害剤、また残存モノマー量低減化を図る残存モノマー量低減化剤に関する示唆はまったくない。
特開2000−328456号公報 WO第01/98382号公報 特許第3349768号公報 特許第3357093号公報 特開平6−56931号公報 特開平3−31306号公報 特開昭64−024808号公報 特開平01−103644号公報 特開昭63−260907号公報 特開昭63−043930号公報 特開昭50−040689号公報 特開昭64−062317号公報 特開平01−292003号公報 特開平01−026604号公報 特開昭63−210102号公報 特開平4−372604号公報 C. Briensら, Ind. Eng. Chem. Res. 2001, 40, 5386-5390 「機能性アクリル系樹脂」、大森英三、(株)テクノシステム、1985、28頁2行目以下
本発明は、上記公報や文献に記載されている従来技術の課題や問題点を解決するためになされたものである。即ち、本発明は、重合速度を飛躍的に向上させたレドックス重合法を提供することを目的とする。また本発明は、重合阻害剤を含有するレドックス重合系(たとえば粗製(メタ)アクリル酸をモノマーとして用いた場合など)であっても、重合阻害が少なく、安定した重合挙動が得られるレドックス重合法を提供することを目的とする。さらに本発明は、残存モノマーの量を低減化することができるレドックス重合法を提供することを目的とする。また本発明は、レドックス重合用の重合活性化剤および抗重合阻害剤を提供し、さらにレドックス重合で得られたポリマーの残存モノマー量低減化剤を提供することも目的とする。
前記の「機能性アクリル系樹脂」(大森英三、(株)テクノシステム、1985、28頁2行目以下)や特開平3−31306号公報に記載されているように、一般に鉄をはじめとする金属はアクリル酸の重合を阻害することが知られている。ところが、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに逆にごく微量の遷移金属化合物を特定のレドックス重合系に添加することにより重合速度を飛躍的に向上させることができることが見いだされた。また、驚くべきことに、本来重合阻害物質の共存に対して重合速度や重合安定性の面で脆弱であったレドックス重合系において、微量の遷移金属化合物を添加することにより十分な重合速度を安定的に実現しうることが見いだされた。本発明は、遷移金属化合物がこのような重合活性化剤としての作用と抗重合阻害剤としての作用を有することを初めて発見したことに基づき提供されたものである。
すなわち本発明は、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合することによりポリマーを製造する方法において、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とするものである。また本発明は、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合する際の重合活性を高める方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とするものである。さらに本発明は、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合する際に反応系内に存在する重合阻害剤の活性を阻害する方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とするものである。また本発明は、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合することにより得られるポリマーに含まれる残存モノマー量を低減する方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とするものである。例えば、前記レドックス重合終了後の生成物を、前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppmの遷移金属化合物の存在下で、相対湿度80%以上の雰囲気下に保持するか水を付与することにより行うことができる。
これらの本発明の方法において、前記遷移金属化合物は前記還元剤により還元される化合物であることが好ましく、第一遷移金属化合物であることがより好ましく、鉄化合物であることがさらに好ましい。また、前記非金属還元剤の酸化還元電位は−2〜0.3Vであり、非金属酸化剤の酸化還元電位は0.6〜2.5Vであり、かつ、前記遷移金属化合物中の遷移金属の酸化還元電位は非金属還元剤の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元電位より小さいことが好ましい。さらに、前記非金属還元剤を前記モノマーに対して0.001〜10重量%用いて、かつ、前記遷移金属化合物を前記非金属還元剤に対して金属換算で0.0001〜100重量%用いることが好ましい。
本発明の方法では、モノマーとして(メタ)アクリル酸を好ましく用いることができる。例えば、炭素数1〜8のアルデヒド類、炭素数1〜6の飽和または不飽和カルボン酸類(ただし酢酸、プロピオン酸およびダイマー酸を除く)、炭素数1〜6のエステル類、炭素数8〜10の環状不飽和炭化水素類、炭素数7〜16のヒドロキノンモノメチルエーテル以外のアルコキシヒドロキシ(多環)不飽和炭化水素類およびフェノチアジンからなる群より選択される1種ないし2種以上の重合阻害剤を1〜1000重量ppm、および/または、ヒドロキノンモノメチルエーテルを230〜5000重量ppm含有する粗製(メタ)アクリル酸を用いることもできる。また本発明の方法では、非金属還元剤として、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびそれらの塩からなる群より選択される1種ないし2種以上を好ましく用いることができる。さらに、非金属酸化剤として過酸化水素を好ましく用いることができる。本発明の方法を用いれば、レドックス重合開始から0.7秒後のモノマーの重合率を50%以上、または1.5秒後のモノマーの重合率を70%以上にすることができる。なお、ここでアスコルビン酸とは詳しくはL−アスコルビン酸を指し、エリソルビン酸とはL−アスコルビン酸の光学異性体でイソアスコルビン酸あるいはアラボアスコルビン酸とも別称されるものを指す。
さらに本発明は、遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いたレドックス重合用の重合活性化剤を提供する。また、遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いたレドックス重合用の抗重合阻害剤も提供する。さらに、遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いたレドックス重合により得られるポリマーの残存モノマー量低減化剤も提供する。
また本発明は、酸化還元電位が0〜2Vである遷移金属化合物を金属換算で0.01〜100重量ppm含有し、かつ、非金属還元剤を0.0001〜10重量%含有することを特徴とする親水性ポリマーも提供する。
本発明の方法によれば、レドックス重合の速度を飛躍的に向上させることができる。また、重合阻害剤を含有するレドックス重合系であっても、重合阻害が少なく、安定した重合挙動が得られる。さらに本発明のレドックス重合法によれば、残存モノマーの量を低減化することができる。これらを実施するために、本発明の重合活性化剤、抗重合阻害剤および残存モノマー量低減化剤を効果的に用いることができる。
発明の実施の形態
以下において、本発明のレドックス重合法およびそれに用いる組成物について好ましい態様を参照しながら詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明の重合活性化剤、抗重合阻害剤および残存モノマー量低減化剤を総称して本発明の試薬という。以下において、本発明の試薬から順に説明する。
1.本発明の試薬
(1−1)試薬の成分と組成
(遷移金属化合物)
本発明の試薬は遷移金属化合物を含有することを特徴とする。
本発明の試薬に用いる遷移金属化合物は、該化合物に含まれる遷移金属の酸化還元電位が非金属還元剤の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元電位より小さいものが好ましい。遷移元素は、第一遷移系列、第二遷移系列、第三遷移系列、ランタニド系列およびアクチニド系列のいずれに属するものであってもよいが、第一遷移系列に属する遷移元素であることが好ましい。第一遷移系列に属する元素は、具体的にはチタン(−0.37V)、バナジウム(−1.19V、−0.25V)、クロム(−0.91V、−0.41V)、マンガン(−1.18V、1.59V)、鉄(−0.44V、0.77V)、コバルト(−0.28V、1.84V)、ニッケル(−0.24V)および銅(0.34V、0.15V、0.52V)である(括弧内の数値は酸化還元電位を表す)。この中でも、酸化還元電位が0〜2Vの範囲にあるものが好ましく、鉄および銅がさらに好ましく、鉄がもっとも好ましい。なお、上述のように遷移元素の中には複数の酸化還元電位を有するものがあるが、そのうち一以上の酸化還元電位が非金属還元剤の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元電位より小さければ、上述のレドックスサイクルに好ましく作用する。
本発明で用いる遷移金属化合物に含まれる遷移金属の酸化数は特に制限されない。遷移金属の酸化数によって、遷移金属化合物の性質は異なる。例えば、3価以上の鉄化合物と2価以下の鉄化合物はいずれも優れた重合活性作用を有するが、3価の鉄は空気中の酸素に対して安定であるという利点を有するものの赤紫着色が大きいという短所を有する。一方、2価以下の鉄化合物は赤紫着色が小さいという利点を有するものの空気中の酸素に対する安定性が小さいという短所を有する。このように含まれる遷移金属の酸化数によって性質が異なるため、このような性質の違いや本発明の試薬の使用目的、使用対象、使用環境、使用量などを考慮したうえで、遷移金属の酸化数を選択することが好ましい。本発明の試薬には、1種類の遷移金属化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の遷移金属化合物を組み合わせて用いてもよい。
遷移金属化合物としては、遷移金属と無機酸あるいは有機酸との塩、酸化物、合金が挙げられる。ここでいう無機酸としては、塩酸、ふっ酸、硫酸、硝酸、りん酸、炭酸等が挙げられる。中でも、塩酸および硫酸が好ましい。また、ここでいう有機酸としては、有機基を有するカルボン酸、スルフィン酸、フェノール、エノール、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルホンアミド、第一級および第二級ニトロ化合物等が挙げられる。中でも、カルボン酸、エノールが好ましい。
例えば遷移金属が3価以上の鉄である遷移金属化合物の具体例として、塩化鉄(III)、ふっ化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、りん酸鉄(III)あるいはそれらの水和物;モノカルボン酸のぎ酸鉄(III)、酢酸鉄(III)、プロピオン酸鉄(III)、アクリル酸鉄(III)、しゅう酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、グルコン酸(III)、2−エチルヘキ酸鉄(III)、乳酸鉄(III)、ナフテン酸鉄(III)、ジカルボン酸のフマル酸鉄(III)、マレイン酸鉄(III)、ポリカルボン酸のポリアクリル酸鉄(III)、エノールのL−アスコルビン酸鉄(III)、エリソルビン酸鉄(III)あるいはそれらの水和物;酸化鉄(III)、鉄(IV)酸塩、鉄(V)酸塩等が挙げられる。遷移金属が2価以下の鉄である遷移金属化合物の具体例として、塩化鉄(II)、ふっ化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、りん酸鉄(II)あるいはそれらの水和物;モノカルボン酸のぎ酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、プロピオン酸鉄(II)、アクリル酸鉄(II)、しゅう酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)、グルコン酸(II)、2−エチルヘキ酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、ナフテン酸鉄(II)、ジカルボン酸のフマル酸鉄(II)、マレイン酸鉄(II)、ポリカルボン酸のポリアクリル酸鉄(II)、エノールのL−アスコルビン酸鉄(II)、エリソルビン酸鉄(II)あるいはそれらの水和物;酸化鉄(II);鉄合金が挙げられる。
(組成)
本発明の試薬は、遷移金属化合物のみからなるものであってもよいし、遷移金属化合物を適当な媒体に溶解または分散させたものであってもよい。溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、水、エタノール、アセトンを用いることができるが、安全性、衛生性、溶解性、経済性の観点から水が好適である。
(1−2)重合活性化剤
本発明の重合活性化剤は、レドックス重合をより活性化させ、重合速度を高速化させ、その結果、迅速な重合を実現しうる試薬である。
(添加濃度、添加方法)
本発明の重合活性化剤の添加量は、モノマーに対して遷移金属化合物が金属換算で0.01〜100重量ppmであり、0.05〜50重量ppmが好ましく、0.1ppm〜20ppmがさらに好ましい。0.01重量ppm未満の濃度では十分な重合活性化効果が得られず、逆に100重量ppmを超える量を使用しても効果は向上せず不経済になる。
また、遷移金属/非金属還元剤の比も重要であり、重合活性化剤の添加量は非金属還元剤に対して金属換算で0.0001〜100重量%であることが好ましく、0.001〜10重量%であることがより好ましく、0.01〜1重量%であることがさらに好ましい。
本発明の重合活性化剤は、酸化剤を含有するモノマー液に添加しても良いし、還元剤を含有するモノマー液に添加しても良い。酸化剤と還元剤を混合したときに、本発明の重合活性化剤は均一に存在していることが望ましいことから、酸化剤を含有するモノマー液と還元剤を含有するモノマー液の双方に本発明の重合活性化剤を添加することが好ましい。このとき、双方に添加する本発明の重合活性化剤の組成は同一であっても異なっていてもよい。また、添加量は同一であっても異なっていてもよい。好ましいのは、同一組成の重合活性化剤を同一量添加する場合である。なお、酸化剤と還元剤を混合したときに速やかに本発明の重合活性化剤が均一に分散しうる条件を選択する場合は、いずれか一方のみに本発明の重合活性化剤を添加しても十分な重合活性化効果が得られる。
またこれらモノマー液と重合活性化剤との混合は、どのような手法でも差し支えない。たとえば、モノマー液にあらかじめ仕込むとか、ラインミキサーを用いて配管内で混合させる手法等が例示できる。モノマー液と重合活性化剤は、重合開始以前に混合しておくことが特に好ましい。ただし、本発明は、重合開始後に重合活性化剤をさらに添加する場合を排除するものではない。モノマー液と重合活性化剤を混合する際の温度は、通常常温〜約60℃、好ましくは常温〜約40℃である。混合時の温度が高すぎるとモノマー液の安定性が損なわれる場合がある。
なお、上の説明では、酸化剤を含有する液と還元剤を含有する液の双方にモノマーが含まれている態様を例に挙げたが、モノマーは必ずしも双方に含まれている必要はなく、いずれか一方のみに含まれている態様も本発明に含まれる。すなわち、酸化剤を含有する液にのみモノマーが含まれていてもよいし、還元剤を含有する液にのみモノマーが含まれていてもよい。この場合に、本発明の重合活性化剤は、モノマーが含まれている液に添加してもよいし、モノマーが含まれていない液に添加してもよいし、双方に添加してもよい。好ましいのは、双方に添加する場合と、モノマーが含まれている液に添加する場合である。
(反応条件)
本発明の重合活性化剤はレドックス重合の過程を通して効果を発現するものである。したがってレドックス重合が十分実現する条件であれば、その反応条件については特に制限はない。具体的には重合工程の項で後述する。
(効果)
本発明の重合活性化剤を添加することにより、レドックス重合をより活性化させ、重合速度を高速化させ、その結果、迅速な重合を実現することができる。具体的には、本発明の重合活性化剤を添加することにより、レドックス重合開始から0.7秒後の重合率を50%以上、または1.5秒後の重合率を70%以上にすることができる。より好ましくは重合開始から0.7秒後の重合率を55%以上、または1.5秒後の重合率を75%以上にすることができる。さらに好ましくは重合開始から0.7秒後の重合率を60%以上、または1.5秒後の重合率を80%以上にすることができる。
(1−3)抗重合阻害剤
本発明の抗重合阻害剤は、レドックス重合の反応系に存在する重合阻害剤の重合阻害活性を低減化させ、その結果、生成ポリマー中の残存モノマー量を増大させない作用を示す試薬である。本発明の抗重合阻害剤は、特に重合阻害剤を含むモノマーを用いてレドックス重合を行う場合に、その重合阻害剤の重合阻害作用を抑制することができる点で有用である。中でも、粗製(メタ)アクリル酸を用いてレドックス重合を行う場合に有用である。添加濃度、添加方法および反応条件は、上記の重合活性化剤と同じである。
(効果)
本発明の抗重合阻害剤を添加することにより、レドックス重合の進行を促進し、レドックス重合で得られるポリマー中の残存モノマー量を低減させることができる。例えば、粗製(メタ)アクリル酸を用いたレドックス重合において、本発明の抗重合阻害剤を添加することにより、得られるポリマー中の残存モノマー量を好ましくは2000重量ppm以下、より好ましくは1000重量ppm以下、さらに好ましくは500重量ppm以下、最も好ましくは300重量ppm以下にすることができる。
(1−4)残存モノマー量低減化剤
本発明の残存モノマー量低減化剤は、レドックス重合により得られるポリマーの残存モノマー量を低減することができる試薬である。
(形態)
本発明の残存モノマー量低減化剤は、ポリマーに適用するときの容易性や効率を考慮して、溶液にして適用することが好ましい。本発明の残存モノマー量低減化剤の溶液濃度は特に制限されないが、通常金属換算で0.01〜5重量%に設定する。
(添加濃度、添加方法)
本発明の残存モノマー量低減化剤の添加量は、重合後のポリマーの乾燥重量に対して金属換算で、0.01〜100重量ppmであり、好ましくは0.05〜50ppm、より好ましくは0.1〜20ppmである。0.01重量ppm未満では、残存モノマー量低減作用が十分でなく、逆に100重量ppmを超える量を使用しても効果は向上せず不経済になる。
本発明の残存モノマー量低減化剤の添加方法としては、これら遷移金属化合物の溶液を対象ポリマーに対して噴霧ないし塗布する方法が好ましく選択される。添加温度は特に制限されないが、通常は常温〜100℃にする。添加の際の雰囲気についても特段の制限はない、窒素、アルゴンあるいは二酸化炭素のような不活性気体でも良いが空気でも差し支えない。取り扱いの簡便性、経済性からは空気が好ましい。
(反応条件)
本発明の残存モノマー量低減化剤が十分に効果を発揮するためには、適用対象となるポリマー中で遷移金属化合物が十分な易動性を有することが必要である。そのためには、ポリマーの含水率が湿潤基準で通常40重量%以上、より好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であることが求められる。このような条件になるように水を添加してもよい。また、反応温度は15〜100℃が好ましく、25〜100℃がより好ましく、40〜100℃が最も好ましい。反応時の相対湿度は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。反応時間は含水率や反応温度にもよるが、0.1秒〜60分が好ましく、0.5秒〜30分がより好ましく、1秒〜20分が最も好ましい。
(効果)
本発明の残存モノマー量低減化剤を添加することにより、レドックス重合により得られるポリマー中の残存モノマー量が好ましくは500重量ppm以下、より好ましくは300ppm以下、最も好ましくは200ppm以下にすることができる。なお、ここでいう残存モノマー量は、モノマー主成分(即ちモノマーの中で50重量%以上の含有量を有する成分)の残存量の精製ポリマー中における重量比率を示す。
2.製造原料および重合開始剤
(2−1)モノマー
本発明の方法において使用するモノマーは、レドックス系開始剤によってその重合が開始される重合性モノマーである。重合することによって親水性樹脂を与えるものであって、水溶性のものが好ましい。ここでいう親水性樹脂とは、水ないし水溶液により膨潤あるいは溶解する性質を有する、水との親和性の強い高分子ないし高分子架橋体を示す。吸水性樹脂、水溶性樹脂、凝集剤、分散剤向けに広く用いられているものである。
このようなモノマーの代表例であって、しかも本発明で使用するのに好ましいものは、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩である。具体的には、アクリル酸またはその塩、メタクリル酸またはその塩等の不飽和モノカルボン酸またはその塩;或いはマレイン酸またはその塩、イタコン酸またはその塩等の不飽和ジカルボン酸またはその塩を例示することができ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。この中で好ましいのは、アクリル酸またはその塩、およびメタクリル酸またはその塩であり、特に好ましいのはアクリル酸またはその塩である。アクリル酸およびメタクリル酸の原料としては、石油由来のナフサを原料とするプロピレンが用いられることが多いが、石炭由来のフィッシャー・トロプシュ法によるプロピレンを用いることもできる。
(粗製(メタ)アクリル酸)
本発明の抗重合阻害剤を用いれば、精製が十分でない、いわゆる粗製(メタ)アクリル酸を用いてレドックス重合を行うことができる。ここでいう粗製(メタ)アクリル酸とは、以下の一種または二種以上の重合阻害剤を1〜1000重量ppm、あるいはヒドロキノンモノメチルエーテル(MQ)を230〜5000重量ppm含む(メタ)アクリル酸である。一方、以下の重合阻害剤のいずれの濃度も1重量ppm未満であって、MQの濃度が230重量ppm未満である(メタ)アクリル酸を、高純度(メタ)アクリル酸と称して区別することがある。
重合阻害剤としては、(メタ)アクリル酸の製造、精製、処理、貯蔵あるいは移送時に副生ないし混入するフルフラール等の炭素数1〜6のアルデヒド類、β−ヒドロキシプロピオン酸等、炭素数1〜6の飽和または不飽和カルボン酸類(ただし、酢酸、プロピオン酸およびダイマー酸を除く)、プロトアネモニン等の炭素数1〜6のエステル類、ヒドロキノン、ヒドロキシメトキシナフタレン等のヒドロキノンモノメチルエーテル以外のアルコキシヒドロキシ(多環)芳香族炭化水素を挙げることができる。ここでダイマー酸とはアクリル酸が付加反応により2量化したβ−アクリロキシプロピオン酸を指す。なお、通常工業的に製造される高純度(メタ)アクリル酸には酢酸、プロピオン酸およびダイマー酸が10〜1000重量ppm含有される。一般的にこの高純度アクリル酸を重合に供する場合、さらなる酢酸、プロピオン酸およびダイマー酸の除去、減量をせずに用いることが多い。
(モノマーの水溶液)
本発明で用いるモノマーとしては、上記の如く脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩が好ましいので、このモノマーの水溶液としては脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とする水溶液が好ましい。ここで、「脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とする」とは、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩がモノマーの全量に対して50モル%以上、好ましくは80モル%以上含まれることを意味する。
脂肪族不飽和カルボン酸の塩としては、水溶性の塩、たとえば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が通常用いられる。また、その中和度は、目的に応じて適宜定められるが、吸水性樹脂を与える(メタ)アクリル酸の場合には、カルボキシル基の20〜90モル%がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されたものが好ましい。(メタ)アクリル酸モノマーの部分中和度が20モル%未満であると、生成する吸水性樹脂の吸水能が著しく低下する傾向がある。
(メタ)アクリル酸モノマーの中和には、アルカリ金属の水酸化物や重炭酸塩等または水酸化アンモニウム等が使用可能であるが、好ましいのはアルカリ金属水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
(共重合可能なモノマー)
また、本発明においては、前記の脂肪族不飽和カルボン酸以外に、これらと共重合可能なモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または低水溶性モノマーではあるが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等も、生成親水性樹脂の性能を低下させない範囲の量で共重合させても差し支えない。本明細書中「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」および「メタクリル」の何れをも意味するものとする。
なお、これらのモノマーのうち親水性樹脂を与えるものは、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩に対する補助成分としてではなく、「親水性樹脂を与えるモノマーの水溶液」の主要モノマーとして使用することもできる。
(モノマー濃度)
上述の脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分として含むモノマー水溶液のモノマーの濃度は、通常20重量%以上、好ましくは25重量%以上である。濃度が20重量%より少ないと重合後の親水性樹脂の吸水能が十分に得られないことがある。上限は重合反応液の取り扱い上から80重量%程度とするのが良い。なお、モノマー濃度あるいは本発明の試薬のモノマーに対する濃度を見積もる際のモノマー重量は、モノマーおよびその塩の合計重量である。
(2−2)架橋剤
レドックス重合により得られるポリマーの用途に応じて、ポリマーに架橋構造を導入する事がある。特に吸水性樹脂を製造する場合においては、架橋構造を導入することが重要な場合がある。脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩、特に(メタ)アクリル酸またはその塩は、それ自身で自己架橋ポリマーを形成することがあるが、架橋剤を併用して架橋構造を積極的に形成させることもできる。架橋剤を併用すると、一般に生成吸水性樹脂の吸水性能が向上する。架橋剤としては、前記モノマーと共重合可能なジビニル化合物、例えば、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールポリ(メタ)アクリレート類等、ならびにカルボン酸と反応し得る2個以上の官能基を有する水溶性の化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、あるいはグリセロールポリグリシジルエーテルのようなポリエチレングリコールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が好適に使用される。この中で特に好ましいのは、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールポリ(メタ)アクリレートおよびグリセロールポリグリシジルエーテルである。架橋剤の使用量は、モノマーに対して0.001〜3重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
(2−3)重合開始剤
本発明で用いられる重合開始剤は、ある程度水溶性のレドックス系をなす、非金属酸化剤と非金属還元剤の組み合わせである。ここで金属とは前記の遷移金属と同義である。
非金属酸化剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドその他、第二セリウム塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩等が挙げられる。中でも本発明では、酸化還元電位が0.6〜2.5Vである非金属酸化剤を好ましく用いることができる。酸化還元電位が0.6〜2.5Vである非金属酸化剤としては、過酸化水素(1.14V)、過硫酸塩(2.01V)、亜塩素酸塩(0.66V)、次亜塩素酸塩(0.89V)を挙げることができる(括弧内の数値は酸化還元電位を示す)。特に好ましい非金属酸化剤は過酸化水素である。これら非金属酸化剤の使用量は、モノマーに対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
非金属還元剤は、前記酸化剤とレドックス系を形成しうるものである。本発明では、酸化還元電位が−2〜0.3Vである非金属還元剤を好ましく用いることができる。酸化還元電位が−2〜0.3Vである非金属還元剤としては、アスコルビン酸(0.127V)、エリソルビン酸(0.127V)およびこれらの塩(0.127V)、チオ硫酸塩(−0.017V)、亜硫酸塩(−1.12V)、亜硫酸水素塩(−0.08V)を挙げることができる(括弧内の数値は酸化還元電位を示す)。中でもアスコルビン酸、エリソルビン酸およびそれらの塩が好ましく、アスコルビン酸およびその塩がさらに好ましい。これらの非金属還元剤の使用量は、モノマーに対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
さらにレドックス系をなす、酸化剤と還元剤の組み合わせ以外の、水溶液ラジカル重合で用いられる作用機構の異なる重合開始剤も併用することができる。このような開始剤としては、無機および有機過酸化物が挙げられ、例えばアンモニウムやアルカリ金属、特にカリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルパーオキシドやアセチルパーオキシド等が挙げられる。
さらに、アゾ化合物として知られている開始剤も用いることができる。例えばある程度水溶性を示す、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド等が挙げられる。
3.作用
(レドックスサイクル)
非金属還元剤、非金属酸化剤および遷移金属化合物の詳細な作用機構については、必ずしも明らかではない。いかなる理論にも拘泥するものではないが、これらは以下のようなレドックスサイクル系を形成しているものと考えられる。
1)非金属還元剤が遷移金属を還元して還元型遷移金属に変換する。その際、非金属還元剤は化学変化して消費される。
2)非金属酸化剤が還元型遷移金属を酸化する(還元型遷移金属が非金属酸化剤を還元する)。
3)2)の反応で非金属酸化剤自身は分解して、ラジカル重合開始剤を発生する。その際、非金属酸化剤は消費される。
4)2)の反応で酸化された遷移金属は、酸化型遷移金属となり、もはや非金属酸化剤を還元する能力を失い、失活する。
5)非金属還元剤が失活した酸化型遷移金属を還元し、還元型遷移金属として賦活する。その際、非金属還元剤は酸化等の化学変化を通じて消費される。
6)賦活された還元型遷移金属が再び2)の反応を惹起する。
このレドックスサイクルの中で消費されないのは遷移金属であり、消費されるのは非金属酸化剤および非金属還元剤である。このことより、非金属酸化剤および非金属還元剤が比較的多量に必要であるのに対して遷移金属がごく微量で十分であることがわかる。また、このレドックスサイクルの中では、酸化型遷移金属は非金属還元剤で還元され、還元型遷移金属濃度が高くなる。このことより、添加する遷移金属の電子状態に左右されない安定した重合挙動を示す理由がわかる。また、このレドックスサイクルは常に還元型遷移金属が一定量存在するため長時間にわたり、安定した開始剤濃度を保持することができる。また、常に一定以上の開始剤濃度を安定的に供給できるので重合阻害剤が存在しても安定した重合挙動を得ることができる。
本発明で用いる非金属還元剤、非金属酸化剤および遷移金属化合物の量関係の必要条件は以下のように考えられる。
1)非金属酸化剤は全重合反応を通じて必要な重合開始剤を放出するのに必要な量
2)遷移金属は非金属酸化剤を還元(触媒)し、所望の開始剤濃度を発生させるにふさわしい量
3)非金属還元剤は全重合反応を通じて遷移金属を繰り返し還元(賦活)するのに必要な量
これらを鋭意検討した結果、以下のような量関係を見いだすに至った。
非金属酸化剤は、モノマーに対して好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。また、非金属還元剤はモノマーに対して好ましくは0.001〜10重量%より好ましくは0.01〜2重量%である。さらに遷移金属化合物はモノマーに対して、金属換算で0.01〜100重量ppm、好ましくは0.05〜50重量ppm、より好ましくは、0.1〜20重量ppmである。遷移金属化合物が非金属還元剤に対して、金属換算で好ましくは0.0001〜100重量%、より好ましくは0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。
(消臭)
遷移金属化合物および非金属還元剤を含有する本発明のポリマーは、尿、糞便に含まれる悪臭物質であるアミン類、チオール類を持続的に消臭可能であるという特徴を有する。
非金属還元剤および遷移金属化合物の詳細な作用機構については必ずしも明らかではない。いかなる理論にも拘泥するものではないが、これらは以下のようなレドックスサイクル系を形成しているものと考えられる。
1)非金属還元剤が遷移金属を還元して還元型遷移金属に変換する。
2)還元型遷移金属が悪臭物質を消臭する。
3)2)の反応あるいは酸素で酸化された遷移金属は、酸化型遷移金属となり、消臭能力を失い、失活する。
4)非金属還元剤が失活した酸化型遷移金属を還元し、還元型遷移金属として賦活する。
5)賦活された還元型遷移金属が再び2)の反応を惹起する。
このレドックスサイクルの中では酸化型遷移金属は非金属還元剤で常に還元され、常に還元型遷移金属が一定量存在する。このため、長時間にわたってごく微量の遷移金属が存在するために安定した消臭機能を保持することができる。
さらに、消臭に必要な非金属還元剤と遷移金属の量関係は以下のように考えられる。
1)遷移金属は悪臭物質を還元消臭させるにふさわしい量
2)非金属還元剤は消臭反応を通じて遷移金属を繰り返し還元(賦活)するのに必要な量
いずれも上記の好ましい量関係により満足される。
これらを鋭意検討した結果、以下のような量関係を見出すに至った。
遷移金属化合物はポリマーの乾燥重量に対して、金属換算で0.01〜100重量ppmであり、好ましくは0.05〜50重量ppm、より好ましくは0.1〜20重量ppmである。
また、非金属還元剤はポリマーの乾燥重量に対して、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜2重量%である。遷移金属化合物は非金属還元剤に対して金属換算で、好ましくは0.0001〜100重量%、より好ましくは0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。
4.製造工程
次に、本発明の方法を用いて、実用的な用途を有するポリマーを製造する工程を説明する。実用的な用途を有するポリマーを製造するためには、以下に述べる重合工程、残存モノマー量低減化工程、乾燥工程を行い、必要に応じてその他の付加的工程を行う。残存モノマー量低減化工程は必ずしも行う必要はないが、ポリマーの有用性を高めるために行うことが好ましい。以下において、各工程について具体的に説明する。
(4−1)重合工程
重合工程は、レドックス重合の原料調製、混合、反応、回収の各過程より成り立っている。本発明の重合促進剤および/または抗重合阻害剤は、この重合工程の原料調製過程もしくは混合過程において添加することができる。
好ましいレドックス重合法においては、親水性樹脂を与えるモノマーの水溶液、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とするモノマーの水溶液に、重合活性化剤および/または抗重合阻害剤を加え、レドックス系重合開始剤を配して混合し、当該モノマーの重合を開始させ、反応開始後のモノマーおよび生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、重合を完結させ親水性樹脂として回収したり、重合進行中の反応混合物を他の素材、たとえば繊維、不織布、無機粉末、有機粉末、高分子粉末と接触および/または接着させて親水性樹脂複合体として回収したりするものである。ここにおいて重合工程の完了とは、重合率が50%以上に達している状態を指す。
または、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とするモノマーの水溶液にレドックス系重合開始剤を配して混合と同時にあるいは混合の直後に、重合活性化剤および/または抗重合阻害剤を加え、当該モノマーの重合を開始させ、反応開始後のモノマーおよび生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、重合を完結させ親水性樹脂として回収したり、重合進行中の反応混合物を他の素材、たとえば繊維、不織布、無機粉末、有機粉末、高分子粉末と接触および/または接着させて親水性樹脂複合体として回収したりするものである。
気相中での液滴を重合させる好ましい一つの方法は、レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤と還元剤の一方を含むモノマー水溶液からなる第1液と、レドックス系重合開始剤の他方および所望によりモノマーを含む水溶液からなる第2液を気相中で混合することにより重合を開始させることからなる。
具体的な手段としては、例えば、第1液および第2液をノズルから流出する液同士の交差角度が15度以上の角度で、しかも液柱状態で衝突するようにそれぞれ別個のノズルより噴出させる方法がある。このように両液に交差角度を持たせて互いに衝突させることにより、ノズルからの流出エネルギーの一部を混合に利用することができる。それぞれのノズルから流出する第1液と第2液の交差角度は、使用するモノマーの性状、流量比等に応じ適宜選定する。例えば、液の線速度が大きければ交差角度は小さくすることができる。
なお、この場合、第1液の温度は通常常温〜約60℃、好ましくは常温〜約40℃であり、また、第2液の温度も通常常温〜約60℃、好ましくは、常温〜約40℃である。
このように、ノズルから噴出されたそれぞれの水溶液は、液柱状態で衝突させて両液を合体させる。合体後は液柱を形成していて、その状態がある時間保持されるが、その後この液柱は解体して液滴となる。生成した液滴は気相中で重合が進行する。好ましい液滴の大きさは直径約5〜3000μmである。
さらにこの他にも特開平11−49805号公報、特開2003−40903号公報、特開2003−40904号公報、特開2003−40905号公報および特開2003−113203号公報で提案されている種々のノズルも用いることができる。
このような重合の開始および重合進行中の液滴の形成を行う反応場を与える気相の気体としては、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の重合に不活性なものが好ましいが、空気でもよい。また、水蒸気のみの場合を含め、気体中の湿度には特に制限はないが、あまり湿度が低いと重合が進行する前にモノマー水溶液中の水分が蒸発してモノマーが析出し、その結果、重合速度が著しく低下、あるいは重合が途中で停止する可能性がある。気体の温度条件は、室温以上150℃以下、望ましくは100℃以下である。気体の流れ方向は液柱および液滴の進行方向に関して向流、並流のどちらでも良いが、液滴の気相中滞留時間を長くする必要がある場合、すなわちモノマーの重合率を上げ、ひいては液滴の粘度を高める必要がある場合には向流(反重力方向)の方がよい。
(4−2)残存モノマー量低減化工程
残存モノマー量低減化工程は、重合工程後のポリマーに対して残存モノマー量低減化剤を付与して反応させることにより、残存モノマー量を低減させる工程である。ここにおいて重合工程後のポリマーとは、重合工程での操作が終了した後に回収される、重合率が50重量%以上の重合進行物を指す。 前記のように添加方法としては、残存モノマー量低減化剤の溶液を対象ポリマーに対して噴霧ないし塗布する方法が好ましく選ばれる。具体的な様態としてはスプレーノズルを用いて噴霧したり、ロールブラシで残存モノマー量低減化剤を塗布する方法により行うのが好ましい。なお、残存モノマー量低減化剤を過剰に付与した後、圧搾ロールで親水性樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりして、余剰の残存モノマー量低減化剤を除去するようにしてもよい。
溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、水、エタノール、アセトンを用いることができるが、安全性、衛生性、溶解性、経済性の観点から水が好適である。添加の際の雰囲気にも特段の制限はない、窒素、アルゴンあるいは二酸化炭素のような不活性気体でも良いが空気でも差し支えない。取り扱いの簡便性、経済性からは空気が好ましい。後述の親水性樹脂を湿潤状態に保つためには水蒸気、水のミストを含んだ空気が好ましい。
本発明の残存モノマー量低減化剤が十分な効果を発揮するためには、適用対象となる親水性樹脂中で十分な易動性を有する必要がある。そのためには、親水性樹脂の含水率が湿潤基準で通常40重量%以上、より好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であることが求められるため、雰囲気は水蒸気、水のミストを含んだ湿潤状態のものが好ましい。また、反応温度は15〜100℃が好ましく、25〜100℃がより好ましく、40〜100℃が最も好ましい。反応時間は含水率、反応温度にもよるが、0.1秒〜60分が好ましく、0.5秒〜30分がより好ましく、1秒〜20分が最も好ましい。
(4−3)乾燥工程
一般にレドックス重合で得られる親水性樹脂は、乾燥状態で各用途に供する。従って、一般には重合工程の後のいずれか時点で乾燥工程を行う必要がある。乾燥条件は、生成した親水性樹脂が著しく分解しない条件で行うことが好ましい。
乾燥には100〜250℃の温風を用いることが好ましい。より好ましくは120〜200℃、最も好ましくは130〜180℃である。100℃未満の温風では乾燥が完了せず好ましくない。一方、250℃超過の温風を用いると親水性樹脂の分解反応が無視できなくなり、親水性樹脂の着色等の品質劣化、性能低下が起こり好ましくない。乾燥時間は乾燥温度によるが、通常、0.1〜30分である。
これらの条件を満足する乾燥方法としては、従来公知の乾燥機を用いることができる。例えば「化学工学III第2版」(藤田重文、東畑平一郎、東京化学同人(1972))(352頁)に例示されているものが使用できる。具体的には、トンネル乾燥機、バンド乾燥機、ターボ縦型乾燥機、縦型乾燥機、ドラム乾燥機、円筒乾燥機、赤外線乾燥機、高周波乾燥機等が挙げられる。
(4−4)その他の付加的工程
本発明の方法を用いてポリマーを製造する際に、その他の付加的工程として、表面架橋工程や添加剤添加工程などを加えてもよい。
(表面架橋工程)
表面架橋工程は、ポリマーの表面を架橋することによってポリマーの機能を増強したり、新たな機能を付与したりする工程である。例えば、吸水性能を向上させる目的で、親水性ポリマーの表面を架橋剤により架橋させることができる。一般に、粉末状の吸水性樹脂の表面に架橋剤とともに適量の水分を付与した後、加熱して表面を架橋することにより樹脂粒子の特性を改良することは公知であり、表面に選択的に架橋構造が形成される結果、吸水して膨潤するに際し、膨潤を阻害せずにその形状を維持することができるものと考えられている。この工程ではまず吸水性樹脂に表面架橋剤の溶液を付与する。
表面架橋剤としてはN,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールビス(メタ)アクリレート等のモノマーと共重合し得る多官能化合物や、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等のカルボン酸基と反応し得る官能基を複数個有する化合物が用いられる。これらの表面架橋剤は、通常、吸水性樹脂に対して0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%となるように用いられる。
なお、これらの表面架橋剤は、吸水性樹脂全体に均一に付与されるように、水、エタノール、メタノールなどで希釈して0.1〜1重量%、特に0.2〜0.5重量%の溶液として用いるのが好ましい。架橋剤溶液の付与は通常は噴霧器を用いて架橋剤溶液を吸水性樹脂に噴霧したり、ロールブラシで架橋剤溶液を塗布したりする方法により行うのが好ましい。なお、架橋剤溶液を過剰に付与した後、圧搾ロールで樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりして、余剰の架橋剤溶液を除去するようにしてもよい。この架橋剤溶液の付与は室温で行えばよい。架橋剤溶液を付与された吸水性樹脂は、次いで加熱して架橋反応を進行させ、吸水性樹脂表面に選択的に架橋構造を形成させる。架橋反応の条件は用いる架橋剤により適宜選択すればよいが、通常は100℃以上の温度で10分間以上反応させる。本発明では、吸水性樹脂として不飽和カルボン酸重合物架橋体や部分中和アクリル酸重合物架橋体を好ましく用いることができる。
(添加剤添加工程)
目的とする用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添加剤を加えることができる。これら添加剤としては、吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤、芳香剤、発泡剤、pH緩衝剤等を挙げることができる。
<安定剤>
このうち吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤としては排泄物(即ち人尿、糞便)、体液(人血、経血、分泌液等の体液)による吸水性樹脂の分解、変質を防止する安定剤が挙げられる。特開昭63−118375号公報にはポリマー中に含酸素還元性無機塩及び/又は有機酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−153060号公報には酸化剤を含有させる方法、特開昭63−127754号公報には酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−272349号公報には硫黄含有還元剤を含有させる方法、特開昭63−146964号公報には金属キレート剤を含有させる方法、特開昭63−15266号公報にはラジカル連鎖禁止剤を含有させる方法、特開平1−275661号公報にはホスフィン酸基またはホスホン酸基含有アミン化合物またはその塩を含有させる方法、特開昭64−29257号公報には多価金属酸化物を含有させる方法、特開平2−255804号公報、特開平3−179008号公報には重合時水溶性連鎖移動剤を共存させる方法等が提案されている。これらはすべて本発明にて使用することができる。また、特開平6−306202号公報、特開平7−53884号公報、特開平7−62252号公報、特開平7−113048号公報、特開平7−145326号公報、特開平7−145263号公報、特開平7−228788号公報、特開平7−228790号公報に記載される材料および方法を使用することもできる。具体的にはたとえばシュウ酸チタン酸カリウム、タンニン酸、酸化チタン、ホスフィン酸アミン(またはその塩)、ホスホン酸アミン(またはその塩)、金属キレート等挙げられる。このうち特に人尿、人血、経血に対する安定剤をそれぞれ人尿安定剤、人血安定剤、経血安定剤と呼ぶことがある。
<抗菌剤>
吸収した液による腐敗を防止するためには抗菌剤が用いられる。抗菌剤として例えば、「殺菌・抗菌技術の新展開」17〜80頁(東レリサーチセンター(1994))、「抗菌・抗カビ剤の検査・評価法と製品設計」128〜344頁(エヌ・ティー・エス(1997))、特許第2760814号公報、特開昭39−179114号公報、特開昭56−31425号公報、特開昭57−25813号公報、特開昭59−189854号公報、特開昭59−105448号公報、特開昭60−158861号公報、特開昭61−181532号公報、特開昭63−135501号公報、特開昭63−139556号公報、特開昭63−156540号公報、特開昭64−5546号公報、特開昭64−5547号公報、特開平1−153748号公報、特開平1−221242号公報、特開平2−253847号公報、特開平3−59075号公報、特開平3−103254号公報、特開平3−221141号公報、特開平4−11948号公報、特開平4−92664号公報、特開平4−138165号公報、特開平4−266947号公報、特開平5−9344号公報、特開平5−68694号公報、特開平5−161671号公報、特開平5−179053号公報、特開平5−269164号公報、特開平7−165981号公報に紹介されているものを適宜選択できる。
例えばアルキルピリジニウム塩、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ピリジオン亜鉛、銀系無機粉体等が挙げられる。四級窒素系の抗菌剤の代表的な例としては、メチルベンズエトニウムクロライド、ベンズアルコニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを挙げることができる。ヘテロ環四級窒素系の抗菌剤としては、ドデシルピリジニウムクロライド、テトラデシルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド及びテトラデシル−4−メチルピリジニウムクロライドを挙げることができる。
他の好ましい抗菌剤として、ビス−ビグアニド類を挙げることができる。これらは、例えば、米国特許第2,684,924号明細書、同2,990,425号明細書、同第2,830,006号明細書及び同第2,863,019号明細書に詳細に記載されている。最も好ましいビス−ビグアニドとしては、1,6−ビス(4−クロロフェニル)ジグアニドヘキサンであり、クロロヘキシジン及びその水溶性塩として知られているものである。特に好ましいのは、クロロヘキシジンの塩酸塩、酢酸塩及びグルコン酸塩である。
他のいくつかのタイプの抗菌剤も有用である。例えば、カルバニリド類、置換フェノール、金属化合物及び界面活性剤の希土類塩を例示することができる。カルバニリドとしては、3,4,4'−トリクロロカルバニリド(TCC,トリクロカルバン)及び3−(トリフルオロメチル−4,4'−ジクロロカルバニリド(IRGASAN)が含まれる。置換フェノールとしては、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(IRGASAN DP−300)を挙げることができる。金属化合物としては、黒鉛及びすずの塩、例えば塩化亜鉛、硫化亜鉛及び塩化すずが含まれる。界面活性剤の希土類塩は、欧州特許公開第10819号公報に開示されている。このタイプの希土類塩としては、炭素数10〜18の直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩のランタン塩などを例示することができる。
<消臭剤、脱臭剤、芳香剤>
また、吸収した液の不快な臭気を防止あるいは緩和するものとして消臭剤、脱臭剤、芳香剤が用いられる。消臭剤、脱臭剤、芳香剤は例えば「新しい消臭・脱臭剤と技術と展望」(東レリサーチセンター(1994))、特開昭59−105448号公報、特開昭60−158861号公報、特開昭61−181532号公報、特開平1−153748号公報、特開平1−221242号公報、特開平1−265956号公報、特開平2−41155号公報、特開平2−253847号公報、特開平3−103254号公報、特開平5−269164号公報、特開平5−277143号公報に紹介されているものを適宜選択できる。具体的には消臭剤、脱臭剤としては鉄錯体、茶抽出成分、活性炭が挙げられる。芳香剤としては例えば香料系(シトラール、シンナミックアルデヒド、ヘリオトピン、カンファ、ボルニルアセテート)木酢液、パラジクロルベンゼン、界面活性剤、高級アルコール、テルペン系化合物(リモネン、ピネン、カンファ、ボルネオール、ユカリプトール、オイゲノール)が挙げられる。
<発泡剤、発泡助剤>
また吸水性樹脂の吸水性能向上のために多孔化、広表面積化を図るべく、発泡剤、発泡助剤を併用することができる。発泡剤、発泡助剤としては例えば「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社、1989、259〜267頁)に紹介されているものを適宜選択できる。例えば重炭酸ナトリウム、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルフォニル・ヒドラジド等が挙げられる。
<pH緩衝剤>
脱臭や抗菌のため、親水性樹脂のpHを調整する、pH緩衝剤を付与することもできる。
これらの添加剤は、レドックス重合によりポリマーを製造する過程で目的、作用機構に応じ適宜加えられる。例えば発泡剤は、親水性樹脂を製造する際の重合工程前乃至重合工程途中で添加するのが適当である。人尿安定剤、人血安定剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤、pH緩衝剤は、親水性樹脂の製造工程やその後に行う親水性物品の製造工程において添加可能である。
5.評価法
後述する実施例および比較例に記載されるレドックス重合法を評価する方法を以下に記載する。
(5−1)重合率の測定
重合進行物の所定位置における重合率は以下の方法で求めた。まず、所定位置にメタノールの液面が位置するように約150gのメタノールの入ったビーカーを設置し、重合を開始させた反応混合物の液滴を気相中で形成し、ビーカー中のメタノールへ約1gの重合進行中の液滴が落下するようにした。メタノール中のモノマー量を液体クロマトグラフィーで測定した。また、メタノール中のポリマーを130℃で3時間減圧乾燥した後、重量を測定した。それぞれの重量から以下の式により重合率を計算した(Mpはポリマー重量、Mmはモノマー重量)。
Mp
重合率(%) = ――――――――― x 100
Mm + Mp
(5−2)残存モノマー(L−アスコルビン酸)量の測定
回収した親水性樹脂の試料中に残存するモノマー(L−アスコルビン酸)量は以下の方法で求めた。まず、試料の重量の250倍の蒸留水に試料を24時間浸漬し、残存モノマー(L−アスコルビン酸)を水相に抽出し、抽出水を得た。この抽出水を孔径0.45μmのセルロースアセテート製のメンブランフィルターでろ過し、ろ液を回収した。回収したろ液の中に含まれるモノマー(L−アスコルビン酸)量を、水系のカラムを備えた液体クロマトグラフィーを用いて求め、以下の式にしたがって残存モノマー量を計算した。
残存モノマー量(ppm)=
抽出されたモノマー(L−アスコルビン酸)重量(g)
――――――――――――――――――――――――― × 1,000,000
試料重量(g)
(5−3)含水率の測定
回収した親水性樹脂の試料の含水率は以下の方法で求めた。まず、約7gの試料を用意した。次いで、その試料の含水率を、赤外線水分計((株)ケット科学研究所製FD−100、乾燥熱源は280W環状セラミック溶射シーズヒーター)を用いて測定した。
(5−4)粉末消臭性試験
容量約500mlのガラス製容器の底にポリマー1gを入れ、さらに悪臭物質であるt−ブチルメルカプタン0.1重量%水溶液をシリンジにて400μl注入し、密栓をして室温で30時間放置し、ガステック製、検知管式気体測定器(検知管70L)を用いて容器内気相のt−ブチルメルカプタン濃度を測定した。
また、t−ブチルメルカプタン0.1重量%水溶液のかわりにメチルアミン0.1重量%水溶液を用い、検知管70Lのかわりに検知管180を用いて同様の測定を行った。
(5−5)ゲル消臭性試験
ポリマー4gをコットン製不織布(日付:150g/m2、大きさ1cm×8cm)の上に均一に散布した。さらに本不織布の上に同素材、同サイズのコットン製不織布を被せ、簡易的な吸液パッドを作製した。これを250mlのふた付きガラス容器に入れ、人尿(成人5名の人尿を混合)を100g吸収させた後、ふたをして40℃24時間保持し、ガステック製検知管式気体測定器(メチルアミン:検知管180、硫化水素:検知管4LT、メチルメルカプタン、検知管70L)を用いて容器内気相のメチルアミン、硫化水素およびメチルメルカプタン濃度を測定した。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
500重量ppmの酢酸、400重量ppmのプロピオン酸及び100重量ppmのダイマー酸を含有する、高純度アクリル酸100重量部に、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液133.3重量部、蒸留水3.3重量部を加えモノマー濃度50重量%、中和度60モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。
該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Xを調製した。この溶液Xにモノマーに対して鉄換算で5重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加え、溶液Aとした。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に還元剤としてL−アスコルビン酸0.57重量部を加えて溶液Yを調製した。この溶液Yにモノマーに対して鉄換算で5重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加え、溶液Bとした。
調製した溶液Aと溶液Bを、図1に示した混合装置を用いて混合した。この混合装置は、モノマー溶液の供給配管21,22に各々5本の噴出ノズル21a,22aが1cm間隔で設けられたものであり、このノズル21a,22aの内径は0.13mmである。ノズル21a,22aから流出する溶液Aと溶液Bとの交差角度θは30°、ノズル先端の距離dは4mmに調節した。溶液A及び溶液Bはそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒となるようにポンプで供給した(各20ml/分)。溶液A及び溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱23を形成した後、液滴24となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。溶液Aおよび溶液Bの合流点から鉛直下方1.6mの位置での重合率を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例1〜10、21、22および比較例1、2における合流点から鉛直下方1.6mの位置までの重合進行物の平均滞留時間はいずれも0.57秒であった。
<実施例2>
溶液X、Y双方にモノマーに対して鉄換算で5重量ppmのかわりに1重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例3>
溶液X、Y双方にモノマーに対して鉄換算で5重量ppmのかわりに10重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例4>
溶液X、Y双方にモノマーに対して鉄換算で塩化鉄(III)・六水和物のかわりに塩化鉄(II)・四水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例5>
溶液X、Y双方にモノマーに対して鉄換算で塩化鉄(III)・六水和物のかわりに硫酸鉄(III)・七水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例6>
溶液X、Y双方にモノマーに対して鉄換算で塩化鉄(III)・六水和物のかわりに硫酸鉄(II)・七水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例7>
溶液X、Y双方に加えるかわりに、溶液Xにのみモノマーに対して鉄換算で10重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例8>
溶液X、Y双方に加えるかわりに、溶液Yにのみモノマーに対して鉄換算で10重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例9>
溶液X、Y双方に加えるかわりに、溶液Xにのみモノマーに対して鉄換算で10重量ppmとなるように塩化鉄(II)・四水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例10>
溶液X、Y双方に加えるかわりに、溶液Yにのみモノマーに対して鉄換算で10重量ppmとなるように塩化鉄(II)・四水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例11>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンを含有し、500重量ppmの酢酸、400ppmのプロピオン酸及び100ppmのダイマー酸を含有する粗製アクリル酸100重量部に、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液133.3重量部、蒸留水3.3重量部を加えモノマー濃度50重量%、中和度60モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。
該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Xを調製した。この溶液Xにモノマーに対して鉄換算で5重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を抗重合阻害剤として加え、溶液Aとした。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に還元剤としてL−アスコルビン酸0.57重量部を加えて溶液Yを調製した。この溶液Yにモノマーに対して鉄換算で5重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を抗重合阻害剤として加え、溶液Bとした。
調製した溶液Aと溶液Bを、図1に示したノズルを用いて混合した。図1のノズルの内径は0.13mmであり、各溶液用のノズルは5本ずつ1cm間隔で配置されている。ノズルから流出する溶液Aと溶液Bとの交差角度は30度、ノズル先端の距離は4mmに調節した。溶液Aおよび溶液Bはそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒となるようにポンプで供給した。
溶液Aおよび溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。溶液Aおよび溶液Bの合流点から鉛直下方2.6mの位置にテフロン(登録商標)製の200メッシュの網を設置して約10gの重合進行物を得た。この重合進行物の含水率を測定したところ40重量%であった。さらにこの回収したポリマーを直ちに、内温を150℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させ残存モノマー濃度を測定した。結果を表2に示す。なお、実施例11〜20および比較例3〜12における合流点から鉛直下方2.6mの位置までの重合進行物の平均滞留時間はいずれも1.2秒であった。
<実施例12>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに500重量ppmの濃度のβ−ヒドロキシプロピオン酸を含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例13>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに500重量ppmの濃度のアセトアルデヒドを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例14>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに500重量ppmの濃度のベンズアルデヒドを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例15>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに500重量ppmの濃度のフルフラールを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例16>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに500重量ppmの濃度の無水マレイン酸を含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例17>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに100重量ppmの濃度のヒドロキノンを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例18>
50重量ppmの濃度のプロトアネモニンのかわりに1000重量ppmの濃度のMQを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<実施例19>
L−アスコルビン酸のかわりにL−アスコルビン酸ナトリウムを用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例20>
L−アスコルビン酸のかわりにエリソルビン酸を用いた以外は実施例11と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<実施例21>
500重量ppmの酢酸、400ppmのプロピオン酸及び100ppmのダイマー酸を含有する、高純度アクリル酸100重量部に、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液133.3重量部、蒸留水3.3重量部を加えモノマー濃度50重量%、中和度60モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。
該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して、架橋剤としてN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Xを調製した。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に還元剤としてL−アスコルビン酸0.57重量部を加えて溶液Yを調製した。
調製した溶液Xと溶液Yを、図1に示したノズルを用いて混合した。図1のノズルの内径は0.13mmであり、各溶液用のノズルは5本ずつ1cm間隔で配置されている。ノズルから流出する溶液Xと溶液Yとの交差角度は30度、ノズル先端の距離は4mmに調節した。溶液Xおよび溶液Yはそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒となるようにポンプで供給した。 溶液Aおよび溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。溶液Xおよび溶液Yの合流点から鉛直下方2.6mの位置にテフロン製の200メッシュの網を設置して約10gの重合進行物を得た。この重合進行物の含水率を測定したところ41重量%であった。併せてこの位置での重合率も測定したところ60重量%であった。したがってこのポリマーは本発明の残存モノマー量低減化工程の必要条件を満たした重合工程後のポリマーであるといえる。この回収した重合進行物のポリマーの乾燥重量に対して、残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物を金属換算で10ppmになるように金属換算で100重量ppm水溶液を均一に噴霧し、常温で30分保持後、内温を150℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させ、残存モノマー量およびL−アスコルビン酸量を測定した。さらに粉末消臭性試験およびゲル消臭性試験を実施した。結果を表3に示す。
<実施例22>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに塩化鉄(II)・四水和物を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例23>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに硫酸鉄(III)・七水和物を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例24>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに硫酸鉄(II)・七水和物を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例25>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに塩化銅(I)を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例26>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに塩化銅(II)を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例27>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに硫酸銅(II)・五水和物を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例28>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに塩化マンガン(II)・四水和物を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<実施例29>
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III)・六水和物のかわりに硫酸マンガン(II)・五水和物を用いること以外、実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
<比較例1>
溶液X、Y双方とも重合活性化剤を加えない以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<比較例2>
溶液X、Y双方にモノマーに対して鉄換算で5重量ppm加えるかわりに0.001重量ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例1と同じ操作をした。結果を表1に示す。
<比較例3〜10>
それぞれ、溶液X、Y双方に抗重合阻害剤である塩化鉄(III)・六水和物を加えない以外は実施例11〜18と同じ操作をした。結果を表2に示す。
<比較例11>
残存モノマー量低減化剤を加えない以外は実施例21と同じ操作をした。結果を表3に示す。
Figure 2005154741
Figure 2005154741
Figure 2005154741
重合工程で用いるモノマー水溶液を噴出させるためのノズルの一例である。
符号の説明
21,22 配管
21a,22a ノズル
23 液柱
24 液滴

Claims (19)

  1. 非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合することによりポリマーを製造する方法において、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とする方法。
  2. 非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合する際の重合活性を高める方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とする方法。
  3. 非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合する際に反応系内に存在する重合阻害剤の活性を阻害する方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とする方法。
  4. 非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合することにより得られるポリマーに含まれる残存モノマー量を低減する方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppm用いることを特徴とする方法。
  5. 前記レドックス重合終了後の生成物を、前記モノマーに対して金属換算で0.01〜100重量ppmの遷移金属化合物の存在下で、相対湿度80%以上の雰囲気下に保持するか水を付与することを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記遷移金属化合物が前記還元剤により還元される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記遷移金属化合物が第一遷移金属化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 前記遷移金属化合物が鉄化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  9. 前記非金属還元剤の酸化還元電位が−2〜0.3Vであり、非金属酸化剤の酸化還元電位が0.6〜2.5Vであり、かつ、前記遷移金属化合物中の遷移金属の酸化還元電位が非金属還元剤の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元電位より小さいことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記非金属還元剤を前記モノマーに対して0.001〜10重量%用いて、かつ、前記遷移金属化合物を前記非金属還元剤に対して金属換算で0.0001〜100重量%用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記モノマーとして(メタ)アクリル酸を用いる請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 炭素数1〜6のアルデヒド類、炭素数1〜6の飽和または不飽和カルボン酸類(ただし酢酸、プロピオン酸およびダイマー酸を除く)、炭素数1〜6のエステル類、炭素数8〜10の環状不飽和炭化水素類、炭素数7〜16のヒドロキノンモノメチルエーテル以外のアルコキシヒドロキシ(多環)不飽和炭化水素類およびフェノチアジンからなる群より選択される1種ないし2種以上の重合阻害剤を1〜1000重量ppm、および/または、ヒドロキノンモノメチルエーテルを230〜5000重量ppm含有する粗製(メタ)アクリル酸を用いる請求項11に記載の方法。
  13. 前記非金属還元剤として、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびそれらの塩からなる群より選択される1種ないし2種以上を用いる請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記非金属酸化剤として過酸化水素を用いる請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記モノマーの重合率が前記レドックス重合の開始から0.7秒後で50%以上であるか、または前記レドックス重合の開始から1.5秒後で70%以上である請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いたレドックス重合用の重合活性化剤。
  17. 遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いたレドックス重合用の抗重合阻害剤。
  18. 遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いたレドックス重合により得られるポリマーの残存モノマー量低減化剤。
  19. 酸化還元電位が0〜2Vである遷移金属化合物を金属換算で0.01〜100重量ppm含有し、かつ、非金属還元剤を0.0001〜10重量%含有することを特徴とする親水性ポリマー。
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