JP2005153736A - 駆動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 制動装置故障時の制動性能を改善する。
【解決手段】 車両の運転状態に基づいて車両の目標加減速度(tACC)を設定する目標加減速度設定手段(31)と、目標加減速度に基づいて車両の目標駆動トルク(cTDR)を設定する目標駆動トルク設定手段(40)と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標エンジントルク(cTE)と変速機の目標変速比(cRATIO)を設定する駆動力分配設定手段(60)を備えた駆動力制御装置において、車両のブレーキの故障を検出するブレーキ故障検出手段(3)を備え、前記ブレーキ故障検出手段が車両のブレーキ故障を検出し、前記目標加減速度設定手段が減速度を設定した場合には、目標加減速度設定手段で設定した目標減速度をより大きな減速度となるように補正する目標加減速度補正手段(32)を備える。
【選択図】 図7
【解決手段】 車両の運転状態に基づいて車両の目標加減速度(tACC)を設定する目標加減速度設定手段(31)と、目標加減速度に基づいて車両の目標駆動トルク(cTDR)を設定する目標駆動トルク設定手段(40)と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標エンジントルク(cTE)と変速機の目標変速比(cRATIO)を設定する駆動力分配設定手段(60)を備えた駆動力制御装置において、車両のブレーキの故障を検出するブレーキ故障検出手段(3)を備え、前記ブレーキ故障検出手段が車両のブレーキ故障を検出し、前記目標加減速度設定手段が減速度を設定した場合には、目標加減速度設定手段で設定した目標減速度をより大きな減速度となるように補正する目標加減速度補正手段(32)を備える。
【選択図】 図7
Description
本発明は、車両の駆動力制御装置に関するものである。
従来のブレーキ装置の故障を検出する機能を有する自動変速機として、ブレーキ装置の故障が検出されない通常時には変速比を走行状態に対応した最適変速比とする通常時制御を行い、故障を検出した故障時には変速比を通常時制御の変速比よりも大なる側(低速側)とする故障時制御を行うものがある(特許文献1参照)。この技術では、変速比を大なる側とすることで、アクセル操作に対し通常よりも大きなエンジンブレーキが作用することとなる。
特開平5−263914号公報
しかしながら従来の自動変速装置では、運転者のアクセル開度一定(エンジン出力一定)の状態でもブレーキ装置の故障検出時には、変速比を通常時制御の変速比よりも大なる側とするという構成になっているため、エンジン回転数が急に上昇し、運転者に違和感を与えてしまうという問題があった(図14参照)。また駆動トルクの変動により、前後G変動の発生も考えれる。
また路面状態に因らず常に同一の制御を実行しているため、ドライアスファルト路面など高μ路に合わせた設定を行うと雪路・氷結路など低μ路では減速度が強すぎて駆動輪がロック状態となる危険性がある(図15参照)。また低μ路に合わせた設定を行うと高μ路での減速度が弱すぎて車速がなかなか落ちないという問題があった(図16参照)。
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、制動装置故障時においても運転者に違和感を与えることなく制動性能を維持する駆動力制御装置を提供することを目的とするものである。
上記問題を解決するため、本発明の駆動力制御装置は、車両の運転状態に基づいて車両の目標加減速度を設定する目標加減速度設定手段と、目標加減速度に基づいて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標エンジントルクと変速機の目標変速比を設定する駆動力分配設定手段を備えた駆動力制御装置において、車両のブレーキの故障を検出するブレーキ故障検出手段を備え、前記ブレーキ故障検出手段が車両のブレーキ故障を検出し、前記目標加減速度設定手段が減速度を設定した場合には、目標加減速度設定手段で設定した目標減速度をより大きな減速度となるように補正する目標加減速度補正手段を備える。
また、本発明の駆動力制御装置は、車両の運転状態に基づいて車両の目標加減速度を設定する目標加減速度設定手段と、目標加減速度に基づいて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標エンジントルクと変速機の目標変速比を設定する駆動力分配設定手段を備えた駆動力制御装置において、車両のブレーキの故障を検出するブレーキ故障検出手段と、車両のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段とを備え、前記ブレーキ故障検出手段が車両のブレーキ故障を検出した場合には、前記目標加減速度設定手段で設定した目標加減速度を前記スリップ状態検出手段で検出したスリップ量に応じて補正する目標加減速度補正手段を備える。
本発明の駆動力制御装置によれば、車両減速中で、かつブレーキに故障が発見された場合には、目標減速度をより大きな減速度となるように補正するため、ブレーキが故障していても目標減速度を強めることでエンジンブレーキを強くし、速やかな減速を行うことができる。
また、ブレーキに故障が発見された場合には、目標加減速度をスリップ量に応じて補正するようにしたため、路面状態に応じた加減速度で加減速することが可能となる。ブレーキ故障時の目標加減速度を高μ路に見合った値に設定している場合、圧雪路や氷結路のような低μ路ではスリップ量に応じて減速度を弱める方向に補正することで、駆動輪のロックを防ぐことができる。また高μ路では補正を行わないことで高μ路に見合った減速度で減速することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の駆動力制御システムの構成を示す図である。
制御開始スイッチ(以下、SWと示す)1は、車速制御を実行するか否かを検出する。SWオン状態の場合は、車速制御実行と判断する。SWオフの場合は、車速制御を停止する。ブレーキSW2は、ドライバーがブレーキを踏んでいるか否かを検出する。ブレーキを踏んでいる場合、オン状態となる。ブレーキを離している場合、オフ状態となる。またブレーキが故障している場合は、常にオフ状態となる。制御開始SW1とブレーキSW2の信号は後述の制御開始判定部20に送られる。
ブレーキ故障検出装置3は、図示しないブレーキペダルストロークセンサやブレーキ液圧センサなどのセンサ信号をもとにブレーキ装置の故障(ブレーキオイルが漏れてブレーキオイルの量が不足したり、ブレーキパッドの摩耗が進んでブレーキパッドの厚みが基準厚さに満たなくなった場合など)を検出し、故障情報を目標車速算出部30に送信する。
アクセル開度センサ4は、ドライバーのアクセル踏込み量APOを検出し、検出データを目標車速算出部30に送信する。
各車輪に設置された車輪速センサ5は、タイヤの回転数から4輪の各車輪速を検出する。なお、右前輪速をVwFR、左前輪速をVwFL、右後輪速をVwRR、左後輪速をVwRLとする。検出された各車輪速は駆動輪速・非駆動輪速算出部70に送信される。
エンジン回転数センサ6は、エンジンの点火信号からエンジン回転数aNEを検出し、検出したエンジン回転数aNeを後述の実変速比算出部50に送信する。
車速制御ECU10は、マイクロコンピューターとその周辺部品により構成され、制御周期(例えば10ms)毎に制御開始SW1、ブレーキSW2、ブレーキ故障検出装置3、アクセル開度センサ4、車輪速センサ5、エンジン回転数センサ6からの信号を取込んで、エンジンECU7、トランスミッションECU8に指令値を出力する。車速制御ECU10は、図1に示すように、マイクロコンピューターのソフトウェア形態により構成される制御開始判定部20、目標車速算出部30、車速制御部40、実変速比算出部50、駆動力分配部60、駆動輪速・非駆動輪速算出部70からなる。
車速制御ECU10は、スロットルとトランスミッションを用いることによって、車速を制御する。
エンジンECU7は、車速制御ECU10から出力されたエンジントルク指令値cTEをもとにスロットル開度を算出し、スロットルアクチュエータ9にスロットル開度信号を出力する。スロットルアクチュエータ9は、スロットル開度信号に従ってエンジンのスロットルバルブを調整する。
トランスミッションECU8は、車速制御ECU10から出力された変速比指令値cRAT10をもとに変速機の変速比を調整する。
以下、車速制御ECU10の各構成について詳細に説明する。
《駆動輪速・非駆動輪速算出部》
駆動輪速・非駆動輪速算出部70は、図13に示すように車輪速用ローパスフィルタ部70aと左右平均値算出部70bより構成される。車輪速用ローパスフィルタ部70aは、時定数τVwの一次遅れ処理により構成され、VwFR、VwFL、VwRR、VwRLに対するフィルタ値VwFR_LPF、VwFL_LPF、VwRRLPF、VwRLLPFを算出する。左右平均値算出部70bは、左右前輪速フィルタ値VwFL_LPF、VwFRLPFより駆動輪速VwFを、左右後輪速フィルタ値VwRL_LPF、VwRR_LPFより非駆動輪速VwRを算出する。算出した駆動輪速VwFは、目標車速算出部30、車速制御部40、実変速比算出部50と駆動力分配部60へ、非駆動輪速VwRは目標車速算出部30へ送信される。尚、本実施例では前輪駆動車を対象とした。
《制御開始判定部》
制御開始判定部20の動作を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。ステップ1(図では、S1と略記する。以下同様)では、制御開始SW1からの信号を取込んでSWがオン状態であるか、オフ状態であるかを判定する。オン状態である場合はステップ2へ進み、オフ状態である場合はステップ4へ進む。ステップ2では、ブレーキSW2からの信号を取込んでSWがオン状態であるか、オフ状態であるかを判定する。オン状態である場合はステップ4へ進み、オフ状態である場合はステップ3へ進む。ステップ3では制御実行フラグfSTARTを1とし、処理を終了する。ステップ4では制御実行フラグfSTARTを0とし、処理を終了する。
《駆動輪速・非駆動輪速算出部》
駆動輪速・非駆動輪速算出部70は、図13に示すように車輪速用ローパスフィルタ部70aと左右平均値算出部70bより構成される。車輪速用ローパスフィルタ部70aは、時定数τVwの一次遅れ処理により構成され、VwFR、VwFL、VwRR、VwRLに対するフィルタ値VwFR_LPF、VwFL_LPF、VwRRLPF、VwRLLPFを算出する。左右平均値算出部70bは、左右前輪速フィルタ値VwFL_LPF、VwFRLPFより駆動輪速VwFを、左右後輪速フィルタ値VwRL_LPF、VwRR_LPFより非駆動輪速VwRを算出する。算出した駆動輪速VwFは、目標車速算出部30、車速制御部40、実変速比算出部50と駆動力分配部60へ、非駆動輪速VwRは目標車速算出部30へ送信される。尚、本実施例では前輪駆動車を対象とした。
《制御開始判定部》
制御開始判定部20の動作を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。ステップ1(図では、S1と略記する。以下同様)では、制御開始SW1からの信号を取込んでSWがオン状態であるか、オフ状態であるかを判定する。オン状態である場合はステップ2へ進み、オフ状態である場合はステップ4へ進む。ステップ2では、ブレーキSW2からの信号を取込んでSWがオン状態であるか、オフ状態であるかを判定する。オン状態である場合はステップ4へ進み、オフ状態である場合はステップ3へ進む。ステップ3では制御実行フラグfSTARTを1とし、処理を終了する。ステップ4では制御実行フラグfSTARTを0とし、処理を終了する。
制御実行フラグfSTARTが0の場合、車速制御は停止される。ドライバーがブレーキを踏んでいる場合は、スロットル開度と変速比では目標車速tVSPに駆動輪速VwFを追従させることができないため、フラグを0とし、制御を停止する。制御実行フラグが1の場合、制御実行となる。
制御実行フラグfSTARTは、車速制御ECU10からエンジンECU7、トランスミッションECU8に出力され、エンジンECU7、トランスミッションECU8はフラグに従って以下のように制御される。
制御実行フラグfSTARTが1の場合、エンジンECU7は車速制御実行状態と判定し、車速制御ECU10から出力されたエンジントルク指令値cTEに基づいたエンジントルクを出力するようにスロットルACTR9を制御する。制御実行フラグfSTARTが0の場合、エンジンECU7は車速制御停止状態と判定し、アクセル踏込み量APOに応じたエンジントルクを出力するようにスロットルACTR9を制御する。
同様に制御実行フラグfSTARTが1の場合、トランスミッションECU8は車速制御実行状態と判定し、車速制御ECU10から出力された変速比指令値cRATIOに変速比を設定する。制御実行フラグfSTARTが0の場合、トランスミッションECU8は車速制御停止状態と判定し、アクセル踏込み量APOと駆動輪速VwFに応じた変速比を設定する。
《目標車速算出部》
目標車速算出部30は、図3に示すように目標加速度決定部31、目標加速度補正処理部32、積分処理部33より構成され、制御実行フラグfSTART、駆動輪速VwF、非駆動輪速VwR、ブレーキ故障情報、アクセル踏込み量APOを取込み、目標車速tVSPを算出し、車速制御部40に出力する。
《目標車速算出部》
目標車速算出部30は、図3に示すように目標加速度決定部31、目標加速度補正処理部32、積分処理部33より構成され、制御実行フラグfSTART、駆動輪速VwF、非駆動輪速VwR、ブレーキ故障情報、アクセル踏込み量APOを取込み、目標車速tVSPを算出し、車速制御部40に出力する。
目標加速度決定部31は、アクセル踏込み量APOと積分処理部33で算出された目標車速tVSPから図5に示すマップをもとに目標加速度tACCを決定する。図5に示されるように目標加速度tACCは、アクセル踏込み量が大きいほど大きくなる。また車速が高くなるほど走行抵抗は大きくなり、実現可能な加速度は小さくなることに対応するため、図5では同じアクセル踏込み量であれば、車速が高いほど、目標加速度は小さくなるように設定されている。
目標加速度補正処理部32では、ブレーキ故障情報、駆動輪速VwF、非駆動輪速VwRより目標加速度tACCを補正し、目標加速度補正値tACC_hoseiとする。動作の詳細は後に説明する。
積分処理部33は、制御実行フラグfSTART、駆動輪速VwF、目標加速度補正値tACC_hoseiをもとに目標車速tVSPを算出する。図8に積分処理部33の処理内容を示す。制御実行フラグfSTARTが0の場合、つまり制御開始SW1がオフ状態、またはブレーキを踏んでいる場合は、目標車速tVSPとtVSP前回値を駆動輪速VwFで初期化する。制御実行フラグfSTARTが1の場合、つまり制御開始SW1オン状態且つブレーキを踏んでいない場合は、tVSP前回値に目標加速度補正値tACC_hoseiを加算して目標車速tVSPとする。目標車速tVSP算出後、tVSP前回値を目標車速tVSPで更新する。目標車速tVSPは車速制御部40に出力される。
《目標加速度補正処理部》
目標加速度補正処理部32は、図4に示すようにスリップ量算出部320、目標加速度補正ゲイン算出部321、目標加速度補正値決定部322より構成され、目標加速度tACCをブレーキ故障情報と駆動輪速VwF、非駆動輪速VwRより算出されたスリップ量に基づいて補正し、目標加速度補正値tACC_hoseiを出力する。
《目標加速度補正処理部》
目標加速度補正処理部32は、図4に示すようにスリップ量算出部320、目標加速度補正ゲイン算出部321、目標加速度補正値決定部322より構成され、目標加速度tACCをブレーキ故障情報と駆動輪速VwF、非駆動輪速VwRより算出されたスリップ量に基づいて補正し、目標加速度補正値tACC_hoseiを出力する。
スリップ量算出部320では、以下の式に示されるように非駆動輪速VwRから駆動輪速VwFを引くことでスリップ量Slipを算出する。
Slip=VwR−VwF
目標加速度補正ゲイン算出部321では車輪のスリップ量Slipに応じて図6に示されるマップを用いて目標加速度補正ゲインHoseiGain_tAccを求める。図6に示される通り、スリップ量Slipが微小の場合、ゲインは1となる。スリップ量が大きくなるに従ってゲインは小さくなり、所定のスリップ量を越えるとゲインは負の値となる。
目標加速度補正ゲイン算出部321では車輪のスリップ量Slipに応じて図6に示されるマップを用いて目標加速度補正ゲインHoseiGain_tAccを求める。図6に示される通り、スリップ量Slipが微小の場合、ゲインは1となる。スリップ量が大きくなるに従ってゲインは小さくなり、所定のスリップ量を越えるとゲインは負の値となる。
次に目標加速度補正値決定部322では、ブレーキ故障情報、目標加速度補正ゲインHoseiGain_tAccと目標加速度tACCより目標加速度補正値tACC_hoseiを決定する。
目標加速度補正値決定部322の動作を図7に示したフローチャートに基づいて説明する。
ステップ1(以下、S1と略記する。以下同様)では、目標加速度tACCが0未満であるか否かを判定する。0未満つまり減速中の場合は、S2へ進み、0以上つまり加速中もしくは一定速中の場合は、S5へ進む。
S2では、ブレーキ装置に故障が発生しているか否かを判定する。ブレーキ装置に故障が発生している場合は、S3へ進む。ブレーキ装置が正常な場合は、S5へ進む。S3では、目標加速度tACCにブレーキ故障時補正ゲインHoseiGain_BRKFail(>1)を掛け、tACC_tmpとする。ブレーキ故障時は、目標加速度に1より大きいゲインを掛けることで図17に示されるように通常の減速時よりも強いエンジンブレーキで減速することが可能となる。次にS4では、tACC_tmpにスリップ量Slipに基づいて算出された目標加速度補正ゲインHoseiGain_tAccを掛け、目標加速度補正値tACC_hoseiとする。目標加速度補正ゲインHoseiGain_tAccは、先述した通りスリップ量が大きくなるほど小さな値をとるように設定することで、図18に示されるようにスリップ量が増加した場合は、目標減速度を小さくすることで車輪のロックを防止することができる。逆に高μ路面で減速した場合のようにスリップ量が小さい場合はゲインを1として補正を行わないため、強い減速度で減速することが可能となる。最後に、S5では目標加速度には補正を行わず、tACC_hosei=tACCとする。
《車速制御部》
図9に車速制御部40の構成を示す。車速制御部40はフィードフォワード制御部(以下F/F制御部と略す)とフィードバック制御部(以下F/B制御部と略す)からなる2自由度制御系で構成されている。車速制御部40は、目標車速tVSPを入力とし出力を駆動輪速VwFとした場合の伝達特性が図9の規範モデル42の伝達特性となるようにF/F制御部とF/B制御部を用いて制御を行う。規範モデル42の伝達関数GT(s)は、次式で表される。
《車速制御部》
図9に車速制御部40の構成を示す。車速制御部40はフィードフォワード制御部(以下F/F制御部と略す)とフィードバック制御部(以下F/B制御部と略す)からなる2自由度制御系で構成されている。車速制御部40は、目標車速tVSPを入力とし出力を駆動輪速VwFとした場合の伝達特性が図9の規範モデル42の伝達特性となるようにF/F制御部とF/B制御部を用いて制御を行う。規範モデル42の伝達関数GT(s)は、次式で表される。
すなわち、規範モデル42の伝達特性GT(s)は時定数τHの1次のローパスフィルタと無駄時間Lvからなる。ここでsはラプラス演算子を表す。
制御対象の車両モデルは、駆動トルク指令値を操作量とし、車速を制御量としてモデル化することによって、車両のパワートレインの挙動は図10に示す簡易非線形モデルで表すことができ、次式で表される。
ここで、Mは車両質量、Rtはタイヤ動半径、Lpは無駄時間を表す。駆動トルク指令値を入力とし、車速を出力とする車両モデルは積分特性となる。ただし、制御対象の特性にはパワートレイン系の遅れにより無駄時間も含まれることになり、使用するアクチュエータやエンジンによって無駄時間Lpは変化する。
F/F制御部は位相補償器41で構成され、F/F指令値は目標車速tVSPを入力とし駆動輪速VwFを出力とした場合の制御対象の応答特性を、予め定めた一次遅れと無駄時間要素を持つ所定の伝達特性GT(s)の特性に一致させる。制御対象の無駄時間を無視して、規範モデル42の伝達特性GT(s)を時定数τHの1次のローパスフィルタとすると、位相補償器41の伝達特性Gc(s)は、次式で表される。
F/B制御部は規範モデル42とフィードバック補償器43より構成される。規範モデル42から出力される規範応答Vrefと駆動輪速VwFとの差をフィードバック補償器43の入力とし、F/B指令値を算出する。F/B指令値により外乱やモデル化誤差による影響を抑える。フィードバック補償器の一例として図9に示されるように比例ゲインKPと積分ゲインKIからなるPI補償器がある。
位相補償器(F/F制御部)41で算出されたF/F指令値にF/B補償器43で算出されたF/B指令値を加えた値に対して駆動トルク変換部45にて車両質量M、タイヤ動半径Rtを掛け合わせ、駆動トルク指令値cTDRを算出する。
《実変速比算出部》
実変速比算出部50は、駆動輪速VwFとエンジン回転数aNEより下式に従って実変速比aRATIOを算出する。
《実変速比算出部》
実変速比算出部50は、駆動輪速VwFとエンジン回転数aNEより下式に従って実変速比aRATIOを算出する。
Gf:ファイナルギア比
《駆動力分配部》
駆動力分配部60について図11をもとに説明する。駆動力分配部60では、駆動輪速VwF、駆動トルク指令値cTDR、実変速比aRATIOを入力として変速比指令値cRATIOとエンジントルク指令値cTEを算出する。
《駆動力分配部》
駆動力分配部60について図11をもとに説明する。駆動力分配部60では、駆動輪速VwF、駆動トルク指令値cTDR、実変速比aRATIOを入力として変速比指令値cRATIOとエンジントルク指令値cTEを算出する。
変速比指令値cRATIOについては、変速比指令値設定部61にて算出される。変速比指令値設定部61では、図12に示されるマップを用いて駆動トルク指令値cTDRと駆動輪速VwFから変速比指令値cRATIOを決定する。尚、図12は無段変速機を用いた場合のマップを示している。
エンジントルク指令値算出部62では、駆動トルク指令値cTDRと実変速比aRATIOより下式に従ってエンジントルク指令値cTEを算出する。
駆動力分配部60にて算出された変速比指令値cRATIOは、図1に示される通り、トランスミッションECU7へ出力される。エンジントルク指令値cTEは、エンジンECU6へ出力される。
従って、本発明においては、車両減速中(図7、S1)で、かつ制動装置に故障が発見された場合(S2)には、目標減速度をより大きな減速度となるように補正する(S3)ため、制動装置が故障していても目標減速度を強めることでエンジンブレーキを強くし、速やかな減速を行うことができる。一方、運転者に加速意志がある場合は、目標加減速度は通常時制御時のままであるため、エンジン回転数や前後Gの変動などにより違和感を与えることはない。本発明の効果を図17に示す。
また、制動装置に故障が発見された場合には、目標加減速度をスリップ量に応じて補正する(S4)ようにしたため、路面状態に応じた加減速度で加減速することが可能となる。制動装置故障時の目標加減速度を高μ路に見合った値に設定している場合、圧雪路や氷結路のような低μ路ではスリップ量に応じて減速度を弱める方向に補正することで、駆動輪のロックを防ぐことができる。また高μ路では補正を行わないことで高μ路に見合った減速度で減速することができる。この効果を図18に示す。
本発明は、車両の制動装置故障時の制動性能を向上する駆動力制御装置であり、無段変速機を備えた車両に有用である。
1:制御開始スイッチ
2:ブレーキスイッチ
3:ブレーキ故障検出装置
4:アクセル開度センサ
5:車輪速センサ
6:エンジン回転数センサ
7:エンジンECU
8:トランスミッションECU
9:スロットルアクチュエータ
10:車速制御ECU
20:制御開始判定部
30:目標車速算出部
31:目標加速度決定部
32:目標加速度補正処理部
33:積分処理部
40:車速制御部
41:位相補償器
42:規範モデル
43:フィードバック補償器
44:駆動トルク変換部
45:車両モデル
50:実変速比算出部
60:駆動力分配部
61:変速比指令値設定部
62:エンジントルク指令値算出部
70:駆動輪速非駆動輪速算出部
70a:車輪速用ローパスフィルタ
70b:左右平均値算出部
2:ブレーキスイッチ
3:ブレーキ故障検出装置
4:アクセル開度センサ
5:車輪速センサ
6:エンジン回転数センサ
7:エンジンECU
8:トランスミッションECU
9:スロットルアクチュエータ
10:車速制御ECU
20:制御開始判定部
30:目標車速算出部
31:目標加速度決定部
32:目標加速度補正処理部
33:積分処理部
40:車速制御部
41:位相補償器
42:規範モデル
43:フィードバック補償器
44:駆動トルク変換部
45:車両モデル
50:実変速比算出部
60:駆動力分配部
61:変速比指令値設定部
62:エンジントルク指令値算出部
70:駆動輪速非駆動輪速算出部
70a:車輪速用ローパスフィルタ
70b:左右平均値算出部
Claims (3)
- 車両の運転状態に基づいて車両の目標加減速度を設定する目標加減速度設定手段と、
目標加減速度に基づいて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、
車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標エンジントルクと変速機の目標変速比を設定する駆動力分配設定手段を備えた駆動力制御装置において、
車両のブレーキの故障を検出するブレーキ故障検出手段を備え、
前記ブレーキ故障検出手段が車両のブレーキ故障を検出し、前記目標加減速度設定手段が減速度を設定した場合には、目標加減速度設定手段で設定した目標減速度をより大きな減速度となるように補正する目標加減速度補正手段を備えたことを特徴とする駆動力制御装置。 - 車両のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段とを備え、
前記目標加減速度補正手段は、前記目標減速度を前記スリップ状態検出手段で検出したスリップ量に応じて補正することを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。 - 車両の運転状態に基づいて車両の目標加減速度を設定する目標加減速度設定手段と、
目標加減速度に基づいて車両の目標駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手段と、
車両の目標駆動トルクに基づいてエンジンの目標エンジントルクと変速機の目標変速比を設定する駆動力分配設定手段を備えた駆動力制御装置において、
車両のブレーキの故障を検出するブレーキ故障検出手段と、
車両のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段とを備え、
前記ブレーキ故障検出手段が車両のブレーキ故障を検出した場合には、前記目標加減速度設定手段で設定した目標加減速度を前記スリップ状態検出手段で検出したスリップ量に応じて補正する目標加減速度補正手段を備えたことを特徴とする駆動力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003395970A JP2005153736A (ja) | 2003-11-26 | 2003-11-26 | 駆動力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003395970A JP2005153736A (ja) | 2003-11-26 | 2003-11-26 | 駆動力制御装置 |
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JP2009013822A (ja) * | 2007-07-02 | 2009-01-22 | Toyota Motor Corp | 制駆動力制御装置 |
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-
2003
- 2003-11-26 JP JP2003395970A patent/JP2005153736A/ja active Pending
Cited By (5)
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JP2007131294A (ja) * | 2005-10-13 | 2007-05-31 | Nissan Motor Co Ltd | 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両 |
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