JP2005153680A - 航空機に用いられるfrp製窓枠用のドライプリフォーム - Google Patents

航空機に用いられるfrp製窓枠用のドライプリフォーム

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Abstract

【課題】 周方向に強化繊維が配向され、周方向の強度が大きい航空機の窓枠用ドライプリフォームを提供する。
【解決手段】 有孔略楕円形状の窓枠用ドライプリフォーム1は、いずれの部材においても少なくとも強化繊維が周方向に螺旋状に配向されている、略楕円筒状部分2と、この略楕円筒状部分2の下端から外方に延びるフランジ3と、前記略楕円筒状部分2の下端から斜め内方に延びるウェブ4とを有する。このドライプリフォーム1は、平板状の有孔略楕円形状の第1部材5と、断面形状がL字状の有孔略楕円形状の第2部材6と、断面形状が略L字状の有孔略楕円形状の第3部材8と、前記第1部材5,第2部材6および第3部材8によって形成される隙間に充填された断面形状が三角形状の有孔略楕円形状の第4部材8とを組み合わせて構成した強化繊維群集合体9を、熱可塑性繊維などで一体化して製造する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、航空機に用いられるFRP製窓枠を製造するのに好適なドライプリフォームに関する。
航空機用の窓枠には従来からアルミニウム合金などの金属材料が用いられてきた。金属製の航空機用の窓枠を得るためには、切削装置を使って、金属のブロックから所望する形状に切削加工する方法や、型を用いて鍛造する方法などがある。こうして製造された金属製窓枠は広く航空機に適用されてきた。しかし最近では、航空機業界でも省エネルギー化に向けて機体の軽量化が検討されている。金属材料に比べて、比強度や比剛性などを特徴とする繊維強化複合材料(FRP)の研究開発が進められており、航空機の各種構造材料に適用されつつある。
航空機用のFRP製窓枠を製造するための方法としては、強化繊維を製織して得られた二次元の強化繊維織物や、強化繊維を開繊処理して一方向に引きそろえたものなどに樹脂を予め含浸し適度に半硬化させたプリプレグを使用したりすることができる。プリプレグを冷凍庫などにて保管し、必要なときに取り出してきて、それらを切断し、積層して、所望する形状にし、それをオートクレーブで加熱・硬化させるハンドレイアップ法が考えられる。
プリプレグ自体の変形性が十分でないため、航空機用の窓枠のような異形断面を有する略楕円形状に沿わせることが難しいので、二次元材料を細かく裁断して基材を準備し、それらを一枚ずつ手作業で積層するなどの作業工程が必要となる。しかしながら、裁断して積層されたプリプレグは、窓枠の周方向の強化繊維が不連続となるため、周方向に連続して強化繊維が切断されずに配置された場合と比較すると強度が劣ることが予想される。
また、プリプレグは二次元材料を得るために製織や開繊などの準備工程が必要であったり、その二次元材料に予め含浸してある半硬化状態の樹脂を含んでいるために保存期間や三次元形状の製造工程にかけられる時間に制限があるし、硬化前の製品についても保管状態の管理に配慮する必要があるなど煩雑である。
同じくプリプレグを使用する複合材料の製造方法として、強化繊維のロービングに樹脂を含浸、半硬化させたロービング・プリプレグや、ロービングより幅があるテープ状のプリプレグをロールにしたものを使用し、機械制御でさまざまな繊維配向に自動積層する、オート・テープ・レイアップマシン(ATL)を使用することも考えられるが、この装置は大きな繊維構造体を得ることを得意としていて、複雑に細かく入り組んだ形状を製造するには効率が良くないと考えられるし、ハンドレイアップ法と同じく、略楕円形状における周方向の強化繊維を連続して湾曲させながら皺を生じさせずに配置していくことが難しいと思われる。
また、民間航空機用のFRP製窓枠を製造する方法として、バイアス方向に強化繊維を組織したブレード(組み紐)基材を使用する方法もある。ブレード基材は、主にバイアス方向に強化繊維が配向されているため変形量が豊富であり、複雑な三次元形状を比較的得やすい材料として知られている。例えば、ブレード基材を用いて窓枠形状を得るには、適当な幅を持ったブレード基材を型などに沿って変形させながらなじませていき、所定の厚みになるまでブレード基材を周回させて、それを固定した後に、樹脂含浸し、硬化させて成形物を得る方法などが考えられる。しかし、前述のとおりブレード基材は主にバイアス方向の繊維配向であるので、それ以外の繊維配向には自由度が少ないし、形状に沿って湾曲変形させる際に幅の変化が生じ、周方向の強化繊維を配置したとしてもその間隔に違いが生じ、不均一な繊維配向となることが予想される。
また、強化繊維を織機によって製織したクロス基材を用いた航空機用窓枠の製造方法も考えられる。例えば、クロス基材の使用方法としては、均一な幅を持ったクロス基材を切り出し、所望する窓枠形状に賦形していくなどの方法である。クロス基材を用いて所望する繊維配向のうち、特に周方向の強化繊維を配向させる場合には、強化繊維が製織によって上下に組織されているので大きく湾曲する変形に追従させにくく皺が生じる。皺を生じさせないためには、クロス基材を適当な大きさに裁断する工程が必要になり、その結果、周方向の強化繊維が切断された状態になる。
また、周方向の強化繊維を配向させた螺旋状のクロス基材を製織することも考えられるが、航空機用の窓枠のような略楕円形状の基材を得ることは難しいと思われる。また、この螺旋状のクロス基材を使用すると周方向の強化繊維を配向させることはできるが、窓枠形状のフランジとウェブを得るために三次元的に変形させることは通常のクロス基材を使用する場合と同じく皺を生じさせることになるため、形状になじませるために周方向の強化繊維を切断する必要が生じ、周方向の強化繊維に不連続な部分が出てくる。また、製織されてはいないが、同じく二次元形状の強化繊維基材として、多方向に強化繊維を配向し、ニッティングなどによって一体化した多軸組物もあるが、クロス基材と同様に形状への追従が難しく、皺を生じさせないためには周方向の強化繊維を切断する必要が生じる。
また、強化繊維を直接三次元形状に組織していく三次元織物も窓枠形状を得る方法として考えられる。これは、多数本のパイプを規則的に直立配置させておき、そのパイプ間に強化繊維を必要とされる繊維配向になるよう積層していき、所定の積層体が得られた時点で多数本のパイプを厚み方向の繊維に入れ替えて積層してある強化繊維を固定していく方法である。この方法によれば、窓枠形状を得ることは可能であり、周方向の強化繊維を配向することも可能であるし、フランジとウェブを二次元的に縦通する強化繊維を配向できるが、フランジとウェブを三次元的につなぐ繊維を配向するためには非常に手間がかるし、多数本のパイプを厚み方向の強化繊維に置き換えていくには多くの時間を要する。
また、立体形状の枠組み上の要所にピンが設置してあり、そのピンに強化繊維を張設し、枠組みの取り外しと設置を繰り返しながら厚み方向の繊維を挿入し、積層した強化繊維を一体化させていく方法(例えば、特許文献1)が知られている。この方法によれば強化繊維を立体形状に自由に配向させることができるために、窓枠形状においても周方向の強化繊維とフランジとウェブを三次元的につなぐ強化繊維を配向させることもが可能であるが、厚み方向の繊維を挿入するために枠組み状の治具を取り外し、また取り付けるという方法は効率的ではないし、枠組み状の治具であるために、積層された強化繊維の裏面には空間があり、強化繊維が本来あるべき曲面形状を省略した形状に積層されており、成形品においての強化繊維とは異なる形状であるために、成形時に内部応力が発生し、製品自体に悪影響を及ぼす可能性もある。また、成形後の内部応力を減らすために枠の本数をさらに増やしていくことはできるが、そうすることによってさらに工数が増えてしまう傾向があると考えられる。従来方法には以上のような各種の問題点がある。
特開平11−1843号公報
本発明は以上の問題点を解決して、周方向に強化繊維が連続的に配向されていて、ウェブとフランジをつなぐ強化繊維が連続的かつ三次元的に編組せずに配置されているので、強化繊維が持つ強度を十分に発揮させることができ、しかも従来は多くの工程を必要とした三次元形状を得る手段を省工程化し、低コストである、航空機に用いられるFRP製窓枠のためのドライプリフォームを提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するため本発明は、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、強化繊維を組織することなく配置し一体化してなる複数の強化繊維群を接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームとした(請求項1)。
ここで、上記の「強化繊維」とは、複合材料の強化のために使用される繊維のことであって、代表的なものとしては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの高強度繊維が使用できる。これらの強化繊維で製造されたドライプリフォームは、液体のマトリックス樹脂を含浸して、その後硬化して成形品とするのが一般的である。本発明のドライプリフォームに適用できる代表的な成形方法としては、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)法や、バキューム・アシスト・レジン・トランスファー・モールディング(VaRTM)法、レジン・フィルム・インフュージョン(RFI)などが挙げられる。これらの成形方法はいずれもマトリックス樹脂を含まない強化繊維によって製造されるドライプリフォームを使用することを特徴としている。これらの成形方法は低コスト複合材料を製造する方法として注目されている。また、上記の「所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を周方向で適宜分割した」とは、本発明に係るドライプリフォームは強化繊維を積層し、層状をなすものであるから、周方向に配向された強化繊維を寸断することなく配置させ、複数の強化繊維群を効率よく得るためには、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように分割することを意味する。
また、本発明は、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、強化繊維を組織することなく配置し、熱可塑性繊維および/または最小限のステッチにて一体化してなる複数の強化繊維群を熱可塑性繊維および/または最小限のステッチにて接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームとした(請求項2)。
ここで、「最小限のステッチ」なる用語は、強化繊維群を一体化する工程において取り扱い性を保持するのに十分な必要最小限のステッチを意味している。また、ここでいう「熱可塑性繊維」とは、熱可塑性樹脂を延伸したり、紡糸したりなどして得られる繊維状の熱可塑性樹脂のことを指す。この熱可塑性繊維としては、ナイロンやポリエステル、ポリプロピレンなどや、これらを混合したものが使用できる。繊維強化繊維群を一体化するにあたって、熱可塑性繊維だけでは十分な取り扱い性が保持できないようなときには、熱可塑性繊維と併用して強化繊維群の外縁部などを、必要最小限のステッチで一体化させる。このステッチに使用される繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などステッチ糸として使用できる繊維を適宜選択して使用する。これらのステッチ糸を使用したステッチは主としてミシンを用いる。
また、本発明は、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、強化繊維を組織することなく配置し、ニードルパンチにて一体化してなる複数の強化繊維群を熱可塑性樹脂および/またはステッチにて接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームとした(請求項3)。
上記の「ニードルパンチ」とは、いわゆるフェルトニードルを用いたものであって、強化繊維群を構成する強化繊維をフェルトニードルのワーク部分に存在するバーブで引っ掛け、積層した層間を貫通する毛羽を発生させて一体化することができる。このようなニードルパンチを用いて強化繊維群を一体化することによって、大面積を一度に接合できるため、効率よく一体化を図ることができる。また、こうしたニードルパンチは強化繊維群に微細な貫通孔を無数に存在させることができ、RTM法やVaRTM法などによって樹脂含浸する際の含浸スピードを向上させ、隅々まで樹脂を行き渡らせるという効果も期待できる。ニードルパンチを行う際は、強化繊維群や強化繊維集合体の、フェルトニードルが突き出す側にフェルトニードルが刺さっても形状が変化することがないような発泡体によってなる型などが必要となる。
また、本発明は、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、分割されたパーツをダイレクトに最終形状になるように三次元的に積層した強化繊維を組織することなく熱可塑性繊維および/またはステッチにて一体化して構成された強化繊維群を含むことを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームとした(請求項4)。
また、本発明は、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の複数の強化繊維群を接合する際に生じる空隙部を充填するための、熱可塑性繊維にて一体化された一方向強化繊維群を含むことを特徴とする。請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームとした(請求項5)。
本発明の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームによれば、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状の周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、任意の繊維配向で組織することなく配置され一体化された複数の強化繊維群を、前記所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状になるように接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームとしたので、窓枠形状の周方向に強化繊維を螺旋状に配向することができ、ウェブとフランジに三次元的に強化繊維を配置することができ、より理想的な繊維強化の効果を得ることができ、異形断面を有する略楕円形状の窓枠形状を適宜分割して、各基材を任意の繊維配向で構成した複数の強化繊維集合体を一体化して得られた窓枠形状であるので、従来に比べて工数が少なく、低コストで高品質の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームを提供することができる。
以下に本発明に係る航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームの実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の航空機に用いられる客席用FRP窓枠用のドライプリフォーム1は、図1(A)〜図1(C)に示すように、有孔略楕円形状を有する。このドライプリフォーム1は、図から明らかなように、航空機の機体スキン100に形成された略楕円形状の窓枠用孔101と略同一形状の略楕円筒部分2と、この略楕円筒部分2を機体スキン100に固定する固定部材となるフランジ3と、窓枠用孔101に嵌め込まれるとともに略楕円筒部分2内に突出して窓部材が当接されるウェブ4とを有する。そして、図1(C)から明らかなように、全体として航空機の機体スキン100の湾曲形状に沿った緩やかな曲率半径Rの湾曲形状をしている。なお、図1(C)において、図面左側(略楕円筒状部分2側)が機体内側で、図面右側(窓枠用孔101に嵌め込まれているウェブ4側)が機体外側である。
図1のドライプリフォーム1は、図2(A)〜(B)に示すように、4つの強化繊維群を接合した強化繊維群集合体9によって構成されている。すなわち、ドライプリフォーム1は、有孔略楕円板状の第1部材5と、断面形状がL字状の有孔略楕円状の第2部材6と、断面形状が略L字状の有孔略楕円状の第3部材7と、前記第1部材5と第2部材6と第3部材7とで形成される隙間に充填される断面形状が三角形状の有孔略楕円状の第4部材8とを組み合わせた強化繊維群集合体9を一体化して構成されている。
すなわち、略楕円筒状部分2は、第2部材6の略楕円筒状部分6aと、第3部材7の略楕円筒状部分7aとを接合することによって構成されている。フランジ3は、第1部材5の外周側部分5aと、第2部材6の鍔部6bとを接合することによって構成されている。さらに、ウェブ4は、第1部材5の内周側部分5bと、第3部材7の斜め下方に向かう鍔部7bとによって形成される隙間に、第4部材8を充填することによって構成されている。
ここで、上記第1部材5から第4部材8は全て、少なくともその一部分において、強化繊維が周方向に切断されていない状態に所定間隔で螺旋状に周回して配向されている。なお、以下の説明において、強化繊維および熱可塑性繊維の配向方向は、有孔略楕円形状のドライプリフォーム1および第1部材5〜第4部材8の周方向を0°とする。また、強化繊維層を炭素繊維、熱可塑性繊維層をポリアミド繊維で構成するものとして、強化繊維をCF、強化繊維層の層符号をC、熱可塑性繊維をAd、熱可塑性繊維層の層符号をAとし、強化繊維に熱可塑性繊維を螺旋状に巻き付けたものの符号をCF−Adとして説明する。
第1部材5を、例えば表1に示すように、第1〜第8の強化繊維層5C1〜5C8と、第1〜第7の熱可塑性繊維層5A1〜5A7とを交互に積層形成した15層の積層体で構成することができる。
すなわち、第1部材5は、第1の強化繊維層5C1の強化繊維を90°、第1の熱可塑性繊維層5A1の熱可塑性繊維を90°、第2の強化繊維層5C2の強化繊維を−45°、第2の熱可塑性繊維層5A2の熱可塑性繊維を90°、第3の強化繊維層5C3の強化繊維を0°、第3の熱可塑性繊維層5A3の熱可塑性繊維を90°、第4の強化繊維層5C4の強化繊維を+45°、第4の熱可塑性繊維層5A4の熱可塑性繊維を90°、第5の強化繊維層5C5の強化繊維を90°、第5の熱可塑性繊維層5A5の熱可塑性繊維を90°、第6の強化繊維層5C6の強化繊維を−45°、第6の熱可塑性繊維層5A6の熱可塑性繊維を90°、第7の強化繊維層5C7の強化繊維を0°、第7の熱可塑性繊維層5A7の熱可塑性繊維を90°、第8の強化繊維層5C8の強化繊維を+45°に配向して製作することができる。この第1部材5を図3(A)に示し、周方向の強化繊維を破線で示している。
また、第2部材6を、例えば表2に示すように、第1〜第8の強化繊維層6C1〜6C8と、第1〜第7の熱可塑性繊維層6A1〜6A7とを交互に積層形成した15層の積層体で構成することができる。
すなわち、第2部材6は、第1の強化繊維層6C1の強化繊維を+45°、第1の熱可塑性繊維層6A1の熱可塑性繊維を90°、第2の強化繊維層6C2の強化繊維を0°、第2の熱可塑性繊維層6A2の熱可塑性繊維を90°、第3の強化繊維層6C3の強化繊維を−45°、第3の熱可塑性繊維層6A3の熱可塑性繊維を90°、第4の強化繊維層6C4の強化繊維を90°、第4の熱可塑性繊維6A4層の熱可塑性繊維を90°、第5の強化繊維層6C5の強化繊維を+45°、第5の熱可塑性繊維層6A5の熱可塑性繊維を90°、第6の強化繊維層6C6の強化繊維を0°、第6の熱可塑性繊維層6A6の熱可塑性繊維を90°、第7の強化繊維層65C7の強化繊維を−45°、第7の熱可塑性繊維層6A7の熱可塑性繊維を90°、第8の強化繊維層5C8の強化繊維を90°に配向して製作することができる。この第2部材6を図3(B)に示し、周方向の強化繊維を破線で示している。
また、第3部材7を、例えば表3に示すように、第1〜第8の強化繊維層7C1〜7C8と、第1〜第7の熱可塑性繊維層7A1〜7A7とを交互に積層形成した15層の積層体で構成することができる。
すなわち、第3部材7は、第1の強化繊維層7C1の強化繊維を+45°、第1の熱可塑性繊維層7A1の熱可塑性繊維を90°、第2の強化繊維層7C2の強化繊維を0°、第2の熱可塑性繊維層7A2の熱可塑性繊維を90°、第3の強化繊維層7C3の強化繊維を−45°、第3の熱可塑性繊維層7A3の熱可塑性繊維を90°、第4の強化繊維層6C4の強化繊維を90°、第4の熱可塑性繊維層7A4の熱可塑性繊維を90°、第5の強化繊維層7C5の強化繊維を+45°、第5の熱可塑性繊維層7A5の熱可塑性繊維を90°、第6の強化繊維層7C6の強化繊維を0°、第6の熱可塑性繊維層7A6の熱可塑性繊維を90°、第7の強化繊維層7C7の強化繊維を−45°、第7の熱可塑性繊維層7A7の熱可塑性繊維を90°、第8の強化繊維層7C8の強化繊維を90°に配向して製作することができる。この第3部材7を図3(C)に示し、周方向の強化繊維を破線で示している。
また、第4部材8を、例えば、熱可塑性繊維をつる巻き状に巻き付けた強化繊維を表4に示すように、0°に配向して螺旋状に周回させて、前記熱可塑性繊維で接合一体化して製作することができる。なお、この第4部材8は、径外方向に向かって厚さが漸次増大する断面形状を有するので、径外方向になるほど、その巻き付け回数を増大して、その厚さを大きくする。この第4部材8を図3(D)に示し、周方向の強化繊維を実線で示している。
上記のように製作した第1部材5〜第4部材8を、図2(A)に示すように組み合わせて、全体を熱可塑性繊維の融点以上の温度、例えば、熱可塑性繊維がポリアミド樹脂(融点110℃〜120℃)からなる場合は、110°〜150℃で加熱すると、熱可塑性繊維が溶融し、この溶融した熱可塑性繊維によって、第1部材5〜第4部材8からなる強化繊維群集合体9が接合一体化されて、図1(A)のドライプリフォーム1が得られる。
以上のように作成されたドライプリフォーム1は、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した複数の強化繊維群を接合した強化繊維群集合体が、立体的に積層された強化繊維を組織することなく熱可塑性繊維で接合一体化して構成された強化繊維群を含むものであり、強化繊維を組織したものに比較して、製造が容易で安価に出来る。
なお、第1部材5〜第4部材8を組み合わせた強化繊維群群集合体9が、加熱工程への搬送時や加熱工程での搬送中に位置ずれするのを防止するために、加熱前に第1部材5〜第4部材8を最小限のステッチで一体化しておいてもよい。また、場合によっては、熱可塑性繊維層を省略して、第1部材5〜第4部材8からなる強化繊維群集合体9を、最小限のステッチのみで一体化して、ドライプリフォーム1を得るようにしてもよい。
また、第1部材5〜第4部材8を組み合わせた強化繊維群集合体9を一体化する方法として、上記の熱可塑性繊維および/または最小限のステッチによる方法に代えて、ニードルパンチによって一体化して、ドライプリフォーム1を得るようにしてもよい。
上記のドライプリフォーム1の製造方法は、異形断面形状を有する第2部材6および第3部材7を最初から所望の異形断面形状に製作する場合について説明したが、一旦、平板状の有孔略楕円形状または略楕円筒形状の前駆体を製作し、その幅方向の一部を直角または所定角度だけ折り曲げることによって、所望の異形断面形状に製作することもできる。
例えば、第2部材6は、図4(A)に示すように、平板状の有孔略楕円形状の前駆体60を、内周側部分60aと外周側部分60bとに分けて、内周側部分60aは強化繊維が周方向を除いた斜交方向および径方向に配向され、また、外周側部分60bは強化繊維が斜交方向、径方向および周方向に配向された状態に製作し、図4(B)に示すように、内周側部分60aを外周側部分60bに対して90°折り曲げることによって製作することができる。なお、図4(A)(B)において、内周側部分60aには周方向に強化繊維が配向されていないことを白抜きで示し、外周側部分60bには周方向に強化繊維が配向されていることを周方向の破線で示している。この内周側部分60aの折り曲げ時に、内周側部分60aの各部の径が変化(増大)するが、内周側部分60aには周方向の強化繊維が配向されていないことによって、内周側部分60aは変形性を有するので、内周側部分60aを外周側部分60bに対して容易に90°折り曲げることができる。
なお、上記と逆に、外周側部分60bを内周側部分60aに対して90°折り曲げることも可能で、この場合は、第2部材6の前駆体を、内周側部分60aは強化繊維が周方向に配向され、外周側部分60bは強化繊維が周方向に配向されないように製作すればよい。また、上記の内周側部分60aを折り曲げた第2部材61と、外周側部分60bを折り曲げた第2部材62とを接合一体化して、第2部材6を製作することもできる。このようにして製作した第2部材6は、全体に渡って周方向に強化繊維が配向されているので、大きな強度が得られる。
また、断面形状が略L字状の第3部材7は、図5(A)に示すように、有孔略楕円形状の前駆体70を下方側部分70aと上方側部分70bとに分け、下方側部分70aは強化繊維が周方向を除いた斜交方向および径方向に配向され、また、上方側部分70bは強化繊維が斜交方向、径方向および周方向に配向されるように製作し、図5(B)に示すように、下方側部分70aを上方側部分70bに対して略90°内方側に折り曲げることによって製作することができる。図5(A)(B)において、下方側部分70aには周方向に強化繊維が配向されていないことを白抜きで示し、上方部分70bには周方向に強化繊維が配向されていることを破線で示している。この下方側部分70aの折り曲げ時に、下方側部分70aの各部の径が変化(縮小)するが、下方側部分70aには周方向に強化繊維が配向されていないことによって、下方側部分70aは変形性を有しているため、下方側部分70aを上方側部分70bに対して皺を生じることなく容易に略90°折り曲げることができる。
なお、上記と逆に、上方側部分70bを下方側部分70aに対して外方に折り曲げることも可能で、この場合の第3部材7の前駆体は、下方側部分70aには周方向に強化繊維を配向され、上方側部分70bには周方向に強化繊維を配向しないように製作すればよい。また、上記の下方側部分70aを折り曲げた第3部材71と、上方側部分70bを折り曲げた第3部材72とを接合一体化して、第3部材7を製作することもできる。このようにして製作した第3部材7は、全体に渡って周方向に強化繊維が配向されているので、大きな強度が得られる。
以上のように作成されたドライプリフォーム1は、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の複数の強化繊維群を接合した強化繊維群集合体が、立体的に積層された強化繊維を組織することなく熱可塑性繊維で一体化して構成された強化繊維群を含むものであり、強化繊維を組織したものに比較して、製造が容易で安価にできる。
なお、表1〜表3に示した第1部材5〜第3部材7における強化繊維および/または熱可塑性繊維の配向および積層数は、本発明の配向例のほんの一例を示したものであって、本発明はこの実施形態に限定されることなく、任意に配向および積層することができる。
(A)は本発明の航空機に用いられるFRP製窓枠用ドライプリフォームの実施形態の斜視図、(B)は(A)のドライプリフォームの正面図、(C)は(A)のドライプリフォームの側面図である。 (A)は図1のドライプリフォームを構成する強化繊維群集合体の拡大部分縦断面図(B)は(A)の強化繊維群集合体の拡大分解部分縦断面図である。 (A)は図2の強化繊維群集合体における第1部材の斜視図および部分断面図、(B)は図2の強化繊維群集合体における第2部材の斜視図および部分断面図、(C)は図2の強化繊維群集合体における第3部材の斜視図および部分断面図、(D)は図2の強化繊維群集合体における第4部材の斜視図および部分断面図である。 (A)は図2の第2部材の異なる製造方法について説明する前駆体の斜視図、(B)は(A)の前駆体の内周側部分を折り曲げて製造した第2部材の斜視図である。 (A)は図2の第3部材の異なる製造方法について説明する前駆体の斜視図、(B)は(A)の前駆体の下方側部分を折り曲げて製造した第3部材の斜視図である。
符号の説明
1 ドライプリフォーム
2 略楕円筒部分
3 フランジ
4 ウェブ
5 第1部材
6 第2部材
7 第3部材
8 第4部材
9 強化繊維群集合体
60 第2部材の前駆体
60a 内周側部分
60b 外周側部分
70 第3部材の前駆体
70a 下方側部分
70b 上方側部分
R 曲率半径

Claims (5)

  1. 航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、強化繊維を組織することなく配置し一体化してなる複数の強化繊維群を接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォーム。
  2. 航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、強化繊維を組織することなく配置し、熱可塑性繊維および/または最小限のステッチにて一体化してなる複数の強化繊維群を熱可塑性繊維および/または最小限のステッチにて接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォーム。
  3. 航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、強化繊維を組織することなく配置し、ニードルパンチにて一体化してなる複数の強化繊維群を熱可塑性樹脂および/またはステッチにて接合した強化繊維群集合体であり、周方向に配向されている強化繊維が連続的に適当な間隔で螺旋状に周回して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォーム。
  4. 航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の、分割されたパーツをダイレクトに最終形状になるように三次元的に積層した強化繊維を組織することなく熱可塑性繊維および/またはステッチにて一体化して構成された強化繊維群を含むことを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォーム。
  5. 航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォームにおいて、所望する任意の異形断面を持つ有孔略楕円形状を、周方向に配向されている強化繊維を切断しないように適宜分割した形状の複数の強化繊維群を接合する際に生じる空隙部を充填するための、熱可塑性繊維またはニードルパンチにて一体化された一方向強化繊維群を含むことを特徴とする、請求項1に記載の航空機に用いられるFRP製窓枠用のドライプリフォーム。
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