JP2005152507A - ガス状汚染物質除去装置及びガス状汚染物質除去方法 - Google Patents

ガス状汚染物質除去装置及びガス状汚染物質除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な装置構成でガス汚染物質を高効率で除去可能とする。
【解決手段】 被処理気体中のガス状汚染物質を分解除去するガス状汚染物質除去装置である。光触媒面と、光触媒面に光を照射する光源と、光触媒面を冷却し被処理気体に含まれる凝縮性気体を光触媒面で凝縮させる冷却手段とを有する。光触媒面を冷却して被処理気体に含まれる凝縮性蒸気を凝縮させて光触媒面に液膜を形成し、光触媒面に光を照射することにより液膜中のガス状汚染物質を分解する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被処理気体中のガス状汚染物質を分解除去するためのガス状汚染物質除去装置及びガス状汚染物質除去方法に関する。
情報通信産業、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー等の先端技術分野では、研究開発現場や製造プロセスにおいて高度な空気清浄度、すなわちコンタミネーションコントロールが要求されている。これまで、空気清浄度は主に微粒子状物質によって決まると考えられてきたが、近年では微粒子除去技術では対応できないガス状汚染物質が与える影響も重大であることがわかってきており、ガス状汚染物質の高性能除去技術の確立が急がれている。一方、一般住環境においても、アレルギーやシックハウス症候群等の対策として空気清浄技術の研究開発が重要視されている。特に、従来の空気汚染の原因であるハウスダストや微生物といった微粒子除去技術に加えて、住宅の高気密化・高断熱化による自然換気量の減少や多種の建築資材及び化学物質の使用により、揮発性有機化合物のようなガス状汚染物質による空気汚染や室内臭気が問題となっており、これらを対象とした空気清浄技術が極めて重要である。
気体中のガス状汚染物質の除去技術は、乾式法と湿式法とに大別することができる。乾式法としては、直接燃焼法、触媒酸化法、オゾン酸化法等があり、これらを単独又は複数組み合わせて用いる。湿式法は、何らかの方法によりガス状汚染物質等の対象成分と液とを接触させることにより、気体中の対象成分を液中に移動させて除去する方法で、物理吸収法や化学吸収法等がある。
近年、ガス状汚染物質の除去には強力な酸化分解力を持つ光触媒を用いた除去技術が最も有効な手法の一つとして注目されている。光触媒による除去技術とは、紫外線等の光を半導体光触媒に照射することにより発生する活性酸素の強力な酸化力により、ガス状汚染物質等の対象となる物質を分解除去する技術のことである。
光触媒を利用した空気清浄技術は、これまでの空気清浄技術と同様に乾式及び湿式に区分することができ、乾式法の一例として、紫外線の照射下で悪臭ガスを光触媒の一種である酸化亜鉛に接触させることによって、悪臭を大幅に除去する技術(例えば特許文献1参照)が挙げられる。
また、光触媒を利用した湿式法の一例として、汚染物質を汚染された媒体から溶媒に移すように構成されたコンバータと、コンバータに接続された光触媒システムであって、溶媒中の汚染物質を光触媒反応を起こすように操作可能な光触媒システムとを備えるシステムが提案されている(例えば特許文献2参照)。このシステムによれば、例えば気相中の汚染物質は、水等の液相に移送され、その中で光触媒により分解されるので、汚染物質と光触媒との衝突頻度(物質移動)が向上し、高い除去効率を実現できる。
特開昭55−39257号公報 特表2001−515786号公報
しかしながら、前記特許文献1記載の技術を利用した光触媒による空気清浄処理では、光触媒表面に直接紫外線が到達するといった利点があるものの、光触媒表面へのガス分子の吸着が物理吸着のみであるためガス分子の捕捉効率が低いことや、紫外線照射により光触媒の表面に生じた活性酸素の拡散効率が低いこと等の問題があり、汚染物質の除去効率の面で課題を残している。
また前記特許文献2記載の技術では、従来の乾式法に比べて汚染物質の除去効率の改善がみられるが、汚染物質を水に回収するためのコンバータと回収した水中の汚染物質を分解するための光触媒システムとを別々に設けるため、処理液体量及びシステムが大がかりなものとなるという問題がある。
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、簡単な装置構成でガス汚染物質を高効率で除去することができるガス状汚染物質除去装置及びガス状汚染物質除去方法を提供することを目的とする。
上述の問題を解決するために、本発明に係るガス状汚染物質除去装置は、被処理気体中のガス状汚染物質を分解除去するガス状汚染物質除去装置であって、光触媒面と、前記光触媒面に光を照射する光源と、前記光触媒面を冷却し被処理気体に含まれる凝縮性気体を前記光触媒面で凝縮させる冷却手段とを有することを特徴とする。また、本発明に係るガス状汚染物質除去方法は、被処理気体中のガス状汚染物質を分解除去するガス状汚染物質除去方法であって、光触媒面を冷却して被処理気体に含まれる凝縮性蒸気を凝縮させて光触媒面に液膜を形成するとともに、前記光触媒面に光を照射することにより前記液膜中のガス状汚染物質を分解することを特徴とする。
本発明に係るガス状汚染物質除去装置、ガス状汚染物質除去方法では、光触媒面が冷却手段によって冷却されることにより、被処理気体中の凝縮性気体が凝縮して光触媒面に液膜を形成する。それと同時に、液膜が溶媒となって被処理気体中のガス状汚染物質を吸収する。吸収されたガス状汚染物質は、光触媒への光照射により発生した活性酸素と液膜中で反応し、分解される。
光触媒面の液膜にガス状汚染物質を吸収することにより、光触媒面へのガス状汚染物質の捕捉効率が向上し、また、ガス状汚染物質の光触媒面への捕捉時間が長くなる。これらの相乗効果により、ガス状汚染物質と光触媒より発生する活性酸素との衝突頻度が向上し、ガス状汚染物質の分解が促進される。また、光触媒面の液膜は、光触媒を冷却し凝縮を利用して形成されるので、装置外から水等の液体を供給する必要がなく、装置構成が簡略化される。
本発明のガス状汚染物質除去装置によれば、光触媒面の液膜にガス状汚染物質を吸収することにより、ガス状汚染物質の分解を促進し、高い効率でガス状汚染物質を被処理気体から除去することができる。また、本発明によれば、光触媒を冷却し凝縮性気体を凝縮させるという簡単なプロセスで液膜を形成するので、装置構成を極めて簡単にすることができ、ガス状汚染物質除去装置の小型化や省スペース化を実現することができる。
また、本発明のガス状汚染物質除去方法によれば、光触媒によるガス状汚染物質の分解と凝縮による液膜の利用とを組み合わせることにより、ガス状汚染物質の分解を促進して高効率でガス状汚染物質を除去することができる。また、本発明のガス状汚染物質除去方法によれば、液膜を形成するにあたって光触媒の冷却による凝縮性気体の凝縮を利用するので、工程を簡略化することができ、また、液膜形成に必要な液体の使用量を最小限に抑えることができる。
以下、本発明を適用したガス状汚染物質除去装置及びガス状汚染物質除去方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のガス状汚染物質除去装置及びガス状汚染物質除去方法は、光触媒面への光照射によりガス状汚染物質を酸化分解する技術であって、主にガス状汚染物質を光触媒面へ高効率で捕捉する目的で、被処理気体中の凝縮性気体が光触媒表面に凝縮することによる凝縮液を利用することに主たる特徴がある。
最初に、本発明のガス状汚染物質除去装置についての理解を助けるために、従来技術である凝縮液を用いない乾式法と比較しながら、湿式法である本発明のガス状汚染物質除去方法の原理について説明する。
従来の凝縮を利用しない光触媒によるガス状汚染物質の除去方法は、図1(a)に示すように、光触媒1に光(例えば紫外線UV)を照射することで発生される活性酸素種(例えばヒドロキシラジカル2)によって、光触媒1表面に付着したガス状汚染物質3を分解除去するものである。光触媒1を用いてガス状汚染物質3を分解除去する際には、空気中のガス状汚染物質3を光触媒1表面に物理吸着で捕捉する必要があるが、吸着力が弱いために光触媒反応に必要な時間、すなわち活性酸素2と衝突する間、ガス状汚染物質3を捕捉することができない。光触媒1による分解量は、光触媒1表面へのガス状汚染物質3の捕捉量に依存するため、図1(a)に示す従来方式では、ガス状汚染物質3の高効率な分解が難しいという問題がある。
これに対して、本発明のガス状汚染物質の除去方法は、空気等の被処理気体中のガス状汚染物質3を光触媒1の表面へ高効率で捕捉するために、光触媒1表面に例えば空気中の水分、水蒸気等の凝縮性気体4を凝縮させることにより形成した液膜5を利用する。すなわち、図1(b)に示すように、図示しない冷却手段により光触媒1を冷却し、この光触媒1の表面にガス状汚染物質3及び凝縮性気体4を含んだ空気を導く。凝縮性気体4が飽和温度より低い温度に冷却された光触媒1に接触すると、凝縮性気体4は凝縮を始め、光触媒1の表面に液膜5を形成する。それと同時に、液膜5の表面への気相拡散輸送により、空気中のガス状汚染物質3が液膜5に吸収される。液膜5に吸収されたガス状汚染物質3は、液膜5内を拡散し、紫外線UVを光触媒1に照射することにより発生した活性酸素としてのヒドロキシラジカル2と反応して、二酸化炭素、水、窒素等に分解される。
本発明で除去対象となるガス状汚染物質3としては如何なるものであってもよく、例えば臭気成分や低濃度の有害成分等を分解することができ、具体的にはメルカプト基、チオール基等を含む硫黄系化合物、アミン類、ニトリル基、イソニトリル、チオシアン基を含む窒素系化合物、カルボニル基、水酸基、エーテル基、エステル基のような官能基を持つ化合物や不飽和結合を持つ化合物等が挙げられる。
以上のように、本発明のガス状汚染物質除去方法によれば、被処理気体中のガス状汚染物質3を光触媒1表面の液膜5に吸収させることにより、光触媒1表面に捕捉されるガス状汚染物質3の量が増加し、且つ光触媒1の表面に長時間保持されることになるので、光触媒1を冷却しない従来の方式に比べて、ガス状汚染物質3の高い分解効果を得ることができる。
また、被処理気体中の凝縮性気体の凝縮を利用することにより、光触媒1を冷却するといった極めて単純な操作で、光触媒1の全面に均一且つ確実に光触媒1表面に液膜5を形成することができる。また、本方式では、光触媒1表面に液膜を保持するために被処理気体中の凝縮性気体4を凝縮を利用するので、液膜5を形成するための液体の使用量を最小限に抑えることができる。
ところで、OHラジカル(ヒドロキシラジカル)等の活性酸素は、光触媒に紫外線照射することで光触媒表面に発生され、光触媒面上の凝縮水(物理吸着水)中に拡散することができる。しかしながら、OHラジカルは極めて不安定であり、安定状態に移行しようと速やかに周囲の水等と反応するため、光触媒表面からの拡散距離には限界がある。したがって、凝縮液膜が厚くなりすぎると、ガス状汚染物質とOHラジカルとの接触効率が低下し、分解量の低下に繋がるものと推測される。光触媒1では、紫外線を照射することにより表面に親水基が形成され、付着した凝縮液が膜状化するという親水効果を有するため、非常に薄く且つ均一な液膜5を形成することができる。この結果、ガス状汚染物質とOHラジカルとの接触効率が上昇し、ガス状汚染物質の分解速度を促進することができる。
また、光触媒面に凝縮液膜を形成することにより、紫外線の光触媒面への浸透率が低下することが懸念されるが、光触媒面への凝縮により形成された液膜は非常に薄いため、紫外線の浸透率の低下が抑制され、ガス状汚染物質の分解低下が抑制される。
本発明のガス状汚染物質除去装置は、上述の図1(b)の方式を利用したものである。以下、本発明のガス状汚染物質除去装置の具体例について、図2を参照しながら説明する。図2に示すガス状汚染物質除去装置は、ガス状汚染物質を含む被処理気体としての空気を光触媒により酸化分解する汚染物質分解除去部10を備える。汚染物質分解除去部10は、光の照射により光触媒能を発現しガス状汚染物質を分解する光触媒11、光触媒11の表面温度を調節・冷却し、凝縮性気体としての水蒸気を凝縮させるための冷却部12、並びに光触媒11へ向けて光を照射する光源13を備え、これらが筐体14内に収容されている。また、図3に示すように、光触媒11の下方に、光触媒11の壁面で凝縮し流下した凝縮液を捕集する水槽15が設置されている。冷却部12は、被処理気体との接触によるガス状汚染物質の付着や水蒸気の凝縮を防ぐため、例えばアクリル製の保護板16内に設置される。
光触媒11は、例えばアルミニウム等からなる略平板状の支持プレート上に、光触媒材料としての酸化チタンを含む光触媒層によって被覆することにより構成される。光触媒11に用いる光触媒としては、酸化力の強さ、化学的安定性、安全性、価格等の観点から酸化チタン(TiO2)を用いることが最も好ましいが、その他、酸化亜鉛(ZnO)等の公知の光触媒を用いることができる。酸化チタン(TiO2)は、結晶構造によってアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型に分類されるが、工業用として一般的なアナターゼ型又はルチル型のものを用いることが好ましく、酸化力及び還元力ともに優れ、より高い光触媒活性を示すと考えられることから、アナターゼ型の酸化チタンを用いることがより好ましい。
光触媒11において、支持プレートを構成する材料としては、アルミニウムが好適であるが、ガラス、銅等を用いてもよい。また、支持プレートを省略して、光触媒材料そのものを略平板状に成形し、光触媒11とすることも可能である。
光触媒11は、略平板状であり、且つ鉛直方向に設置されることが好ましく、これにより、凝縮液は重力にしたがって光触媒11の表面(壁面)を流下するので、光触媒11の表面に常に新しい液膜が形成され、ガス状汚染物質の吸収促進が期待される。
光触媒11の表面形状は特に問わないが、光触媒表面が平滑面であると、凝縮液量の増加とともに液面と光触媒11表面との距離が大きくなり、ガス分解量の低下を招く。したがって、効果的なガス分解促進を図るには、光触媒面の形状が重要となる。具体的には、光触媒11の支持プレートは、鉛直方向に平行なフィンを表面に有することが好ましい。光触媒11の支持プレートにフィン加工を施し、表面に鉛直方向に平行なフィンを形成することによって、凝縮液量の増加によりガス状汚染物質の液膜への吸収量が増加し、また、光触媒面積の増加によりガス状汚染物質の分解量が増加し、これら2重の効果が期待できるからである。
また、例えば、図4(a)に示すように、支持プレートの表面に適当なピッチ及び高さを有するフィンを有し、断面鋸歯状とされた光触媒11の表面を冷却すると、凸部と凹部との間の表面張力による圧力勾配により、凸部で凝縮した凝縮液が凹部へ引き込まれ、その結果、凸部の液膜17が非常に薄くなり、伝熱が促進されるとともに、凹部の液膜17は厚くなり重力による凝縮液の流下が促進される。このため、平滑面の場合に比べて凝縮速度が上昇し、且つ、凝縮速度が大きく凝縮液量が増加しても凝縮液膜が厚くなりすぎず、ガス状汚染物質の分解効率を飛躍的に高めることができる。
フィンの最適ピッチ、高さ等は、ガス状汚染物質濃度、湿度、光触媒11の冷却面温度等によって決まる。例えば、ピッチについては、小さすぎると図4(b)に示すように溝(凹部)が埋まりやすく、凝縮液膜17が厚くなりすぎてガス状汚染物質の分解効率の飛躍的な向上が期待できない。また、ピッチが大きすぎると溝(凹部)のキャパシティは大きくなるが、表面張力の効果が低下してしまう。フィン高さは、その値が大きくなるとフィンの実面積が増加するため熱伝達率が増加し、また、表面張力の効果も大きくなるが、ある程度以上大きくなると収束し、加工・材料費の点から最適値が存在する。肉厚については、フィン内の熱伝導の影響で、厚くなるほどに伝熱も良くなるが、同時に溝部(凹部)が狭くなり、フィンが埋まりやすくなるため、これにも最適値が存在する。以上のことから、フィンの最適形状については、次のようなことが言える。1)フィン先端の曲率半径が小さいこと。2)フィン側面に先端から根本に向かうにつれて平面に近づくような曲率変化を持つこと。3)溝(凹部)の断面積が大きいこと。4)フィンピッチを適切な値に設定することが好ましいこと。フィンピッチが小さすぎると溝の大部分が凝縮液で満たされてしまう。一方、フィンピッチが大きすぎると溝底における表面張力の作用が減るとともにフィン密度が減少する。5)フィンの肉厚を適切な値に設定することが好ましいこと。肉厚も同様に薄すぎるとフィン内の熱伝導による熱抵抗が大きくなりすぎ、厚すぎるとその分だけ溝の断面積が小さくなり、溝が液体で満たされ易くなる。
具体的なフィン形状としては、図4に示すような断面鋸歯状の他、例えば図5(a)に示すような断面波状、図5(b)に示すような凸部先端の曲率半径が小さく且つ凹部が平底状とされた形状等が挙げられる。
冷却部12は、光触媒11の光触媒層が被覆された側と反対側(支持プレートの裏面側)に接触するように設置される。図2に示す冷却部12は、電子冷却と水冷との併用方式を利用している。すなわち、冷却部12は、電子冷却モジュール18で光触媒11から奪った熱を水冷用配管19内を流れる水で装置外部へ逃がす構成を採る。冷却部12には直流電源20が接続されており、この直流電源の電流制御によって光触媒11の表面温度制御を行うことができる。なお、冷却部12の熱を装置外に逃がす手法としては、水冷の他に空冷等でもよく、また、光触媒11を冷却する方法も電子冷却の他、公知の冷却手段をいずれも用いることができる。
光源13としては、光触媒11に光触媒能を発現させるために、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射することができるものを用い、例えば紫外線を照射可能なUV蛍光灯等を用いることができる。なお、ここでは、光触媒11での紫外線強度分布をほぼ均一とするために、一対の棒状の光源を略平行に並列配置したが、光源の形状や個数は適宜変更することができる。光源13には、光源13の光強度を調節するための電圧調整器21が接続される。
汚染物質分解除去部10の筐体14には、水分及びガス状汚染物質を含む空気を光触媒11の表面に(矢印A方向に)導入するための噴射口22が取り付けられる。また、汚染物質分解除去部10の筐体14には、噴射口22に水分及びガス状汚染物質を含む空気を供給する入口配管23と、ガス状汚染物質除去後の空気を排気するための出口配管24とを有する。出口配管24の途中には、処理後の空気を吸い込み空気中のガス状汚染物質の濃度を測定するオドメータ25等が接続される。オドメータ25のデータはコンピュータ26等により記録される。
汚染物質分解除去部10の入口配管23の上流には、汚染物質分解除去部10へ送る空気を加湿するための加湿器27が設けられる。この加湿器27は、本発明のガス状汚染物質処理装置では必須ではないが、光触媒11における凝縮速度が速いほどガス状汚染物質の分解速度が高くなることから、設置することが好ましい。加湿器27としては、空気を加湿できるものであれば、ボイラー等により水を蒸発させる方法や、超音波方式により水を噴霧するする方法等、如何なる種類のものでもよい。このガス状汚染物質除去装置では、加湿器27の電圧調整を行い湿度を調節する電圧調整器28が接続されている。
加湿器27と汚染物質分解除去部10との間には、加湿器27で加湿された湿り空気が流通する配管29、配管29内の空気流量を調節するバルブ30、配管29から送られる湿り空気の流量を調節するファン31、湿り空気に測定用のガス状汚染物質を拡散するためのガス拡散部32が配置される。ガス拡散部32には、汚染物質分解除去部10へ送る空気の温度及び湿度を測定をする温湿度計33が接続される。そして、加湿器27の電圧調整及びバルブ30により湿度調節した湿り空気をファンヒータ及び蒸気熱で所定の温度に昇温し、ファン31に接続された電圧調整器34の電圧調整により所定の流量に設定し、ガス拡散部32内に流す。なお、図2においては、本発明のガス状汚染物質処理装置の有効性を確認するために、ガス拡散部32内にガス状汚染物質源としてエチルアミン水溶液が入った容器35を配置したが、実際にはこの汚染物質源となる容器35は不要である。
以下、上述の図2に示すガス状汚染物質除去装置を用いて、被処理気体である空気からガス状汚染物質の分解除去を行う方法について説明する。先ず、光触媒11表面での水分の凝縮を促進させるため、加湿器27で空気を所定の湿度となるように加湿し、加湿された空気を配管29及びバルブ30を経由してガス拡散部32へ引き込む。
次に、ガス拡散部32において湿り空気中のガス状汚染物質濃度を調節し、さらに、ファン31やファンヒータ等によって流量や温度等を調整したガス状汚染物質を含む湿り空気を、入口配管23を介して汚染物質分解除去部10へ供給する。
次に、ガス状汚染物質を含む湿り空気を噴射口22より光触媒11の表面へ矢印A方向に吹き付ける。このとき、光触媒11の表面を冷却部12により予め冷却するとともに、光源13から光触媒11に向けて紫外線等の光を照射する。これにより、図1(b)において説明した原理により、空気中の水蒸気が凝縮して光触媒11表面に液膜が形成され、空気中のガス状汚染物質が液膜に吸収される。そして、液膜に吸収されたガス状汚染物質は、紫外線を光触媒11に照射することにより発生したOHラジカル等の活性酸素と反応して、二酸化炭素、水、窒素等に分解される。この結果、光触媒11の働きによりガス状汚染物質が除去され、清浄化された空気は矢印B方向に流れて出口配管24から排出される。
ここで、ガス状汚染物質除去装置の運転条件である被処理気体の湿度、被処理気体中のガス状汚染物質濃度、及び光触媒への被処理気体の噴射速度には、それぞれ装置の構造や形状等と密接な関係を持つ最適値が存在する。例えば、被処理気体の湿度を高くすることは、凝縮液量の増加に伴う液膜へのガス状汚染物質吸収量の増加により、ガス分解量の促進につながる。一方で、凝縮液量の増加は、同時に光触媒面上の液膜の厚みを増加させてガス状汚染物質分解量の低下を招くので、この点を考慮して被処理気体の湿度を設定する必要がある。また、被処理気体中のガス状汚染物質濃度を高くすることは、界面とのガス濃度の差を大きくし、吸収ポテンシャルが増すことによりガス分解量の促進につながるが、溶媒(凝縮液)が吸収できるガス量は飽和ガス濃度が最大であり、上述の凝縮液量の観点から最適値が存在する。また、光触媒への被処理気体の噴射速度の増加は、凝縮量及びガス吸収量の増加をもたらし、ガス分解量の向上が期待できる。しかしながら、被処理気体の噴射速度の過剰な増加は、光触媒面への単位時間あたりの供給ガス量の増加を招き、処理能力を越えるおそれがあることから、やはりこれらを考慮して最適な条件を決定することが好ましい。
以上のようなガス状汚染物質除去装置によれば、空気中のガス状汚染物質を光触媒11表面に形成した液膜に吸収してから、光触媒11に紫外線を照射することにより発生させた活性酸素でこれを分解するので、従来の液膜を利用しない乾式の光触媒によるガス状汚染物質除去技術に比べて、高効率でガス状汚染物質を光触媒11の表面に捕捉することができる。また、本発明のガス状汚染物質除去装置によれば、従来の液膜を利用しない乾式の光触媒によるガス状汚染物質除去技術に比べて、ガス状汚染物質の光触媒11表面への捕捉時間を延長することができる。これらの相乗効果によって、本発明のガス状汚染物質除去装置は、高いガス分解能力を発揮することができ、高性能な空気清浄や脱臭が可能となる。具体的には、本発明のガス状汚染物質除去装置により、これまでのいわゆる乾式のものに比して最大9倍近い、ガス状汚染物質の分解性能を得ることができた。
また、光触媒は、酸化分解の他に、光の照射により親水化するという特徴を持つ。本発明のガス状汚染物質除去装置では、この親水化と凝縮との相乗効果によって、光触媒表面を均一に冷却するといった極めて簡単な手法で薄く且つ均一な液膜を確実に光触媒表面に形成することができるので、光触媒表面への光透過率を高め、結果的にガス分解効果を高めることができる。
光触媒表面に液膜を形成する手法としては、例えば外部から引き込んだ水を連続的に光触媒表面に流下させることによって液膜を形成させる手法等も考えられるが、この場合は液体状の水の供給量が膨大となること、その大量の液体状の水の供給装置が別途必要となること等の不都合がある。これに対して空気中の水分の凝縮を利用した本発明のガス状汚染物質除去装置では、空気に含まれる水分を利用して液膜を形成するので、必要とする液体量は比較的少量で済み、その液を保持するための例えば加湿器も小容量でよいといった利点がある。また、従来の湿式法を利用した光触媒による空気清浄技術では、気体中のガス状汚染物質の液体への回収工程と、回収したガス状汚染物質の分解工程とで、それぞれの工程に装置が必要である。これに対して本発明では、これら2つの工程を、光触媒の表面という単一の極めて簡単な構成要素上で完結できる。以上のことから、本発明のガス状汚染物質除去装置は、ガス状汚染物質除去装置の全体構成の簡略化、小型化、省スペース化を実現することができる。
さらに、本発明のガス状汚染物質除去装置は、加湿器の運転を制御することによって空気の湿度を調整する、いわゆる湿度調整機としての機能を兼ね備えた空気清浄機としての利用が可能である。すなわち、ガス状汚染物質除去装置は、梅雨等の多湿環境においては加湿器の運転を抑制又は停止して光触媒表面における凝縮を利用して減湿を行い、冬等の乾燥環境においては加湿器を作動させて加湿を行うこともできる。
ところで、本発明のガス状汚染物質除去装置は、図2に示す構造に限定されず、例えば図6に示すように筐体内に全ての構成要素を格納した構造であってもよい。以下、図6のガス状汚染物質除去装置について説明するが、図2のガス状汚染物質除去装置と同じ部材については同じ符号を付し、ここではその説明は省略する。
図6に示すガス状汚染物質除去装置は、光を照射されることにより光触媒能を発現しガス状汚染物質を分解する光触媒11と、光触媒11へ向けて紫外線等の光を照射する光源13と、光触媒11の表面温度を調節・冷却し、凝縮性気体としての水蒸気を凝縮させるための冷却部12と、被処理気体を加湿する加湿器27とを1つの筐体40内に収めたものである。
筐体40はガス状汚染物質を含む汚染空気を内部に取り入れるための給気口41と、ガス状汚染物質除去後の清浄空気を筐体外に排出するための排気口42とを備える。給気口41及び排気口42にはそれぞれ、汚染空気を筐体40内に取り入れて光触媒11表面に吹き付けるための給気ファン43と、清浄空気を強制的に排出するための排気ファン44とが設けられる。光触媒11は、給気ファン43及び光源13と対向して配置される。光触媒11の背面に吸熱面を接するように配置された冷却部12は、放熱面を図示しない水冷式の放熱器に接触させ、ポンプ45によって冷却水を循環させることにより放熱する。また、このガス状汚染物質処理装置は、排気口42近傍に、内部に空気を加湿するための水を貯蔵するための貯水タンク46を備える。冷却水を冷却部12と貯水タンク46との間で循環させるためのポンプ45と、貯水タンク46内の水とは、熱交換可能に接触しており、ポンプ45で発生した熱が貯水タンク46内の水を蒸発させることにより加湿器27としての機能を果たす。光触媒11の下方には、光触媒表面から流下した凝縮液を捕集する水槽15が設置され、水槽15には捕集された凝縮液を装置外に排出するためのドレーン47が接続される。
以下、上述の図6に示すガス状汚染物質除去装置でガス状汚染物質を含む空気の清浄を行う場合について説明する。先ず、給気ファン43を作動させることによりガス状汚染物質を含む汚染空気を給気口41から筐体40内へ取り入れ、光触媒11の表面へ矢印C方向に吹き付ける。このとき、光触媒11の表面を予め冷却部12により冷却するとともに光源13より紫外線を照射すれば、図1(b)において説明した原理と同様にして、空気中の水蒸気が凝縮して光触媒11表面に液膜が形成され、同時にガス状汚染物質が液膜に吸収される。そして、液膜に吸収されたガス状汚染物質は、紫外線を光触媒に照射することにより発生したOHラジカル等の活性酸素と反応して、二酸化炭素、水、窒素等に分解される。光触媒表面から流下した凝縮液は水槽15に捕集され、ドレーン47から装置外へ排出される。このようにしてガス状汚染物質が除去されて清浄化された空気は、筐体40内を流通して貯水タンク46上を通過するときにポンプ45の熱により蒸発した蒸気を含んで加湿された後、矢印D方向に流れ、排気ファン44により排気口42を介して筐体40外へ排出される。したがって、例えば室内の空気が浄化された空気の排出に伴って加湿されることになる。
以上のような図6に示すガス状汚染物質除去装置は、図2に示す構成の装置の効果に加えて、以下のような利点がある。すなわち、このガス状汚染物質除去装置が室内に設置されている場合、排気口42から排出される清浄な空気は、筐体40内の加湿器27によって加湿されているため、ガス状汚染物質処理装置が設置された室内等を循環することにより、室内空気の加湿に寄与し、別のガス状汚染物質を含んで再び給気口41から筐体40内へ取り込まれたときに、凝縮液量の増加によりガス状汚染物質の分解速度を向上することができる。また、加湿器27を筐体40内に収めることができるので、ガス状汚染物質除去装置のさらなる小型化及び省スペース化も可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
<実験装置及び実験条件>
本実施例では、図2に示すガス状汚染物質除去装置を用いた。光触媒としては、アルミニウムからなる基材上にディップコーティングにより厚さ0.2μmの酸化チタン膜を形成したものを用いた。光触媒全体の寸法は、高さ120mm、幅100mm、厚さ5mmである。光触媒としては、表1及び図4に示すように、平面であるもの(平面)、断面鋸歯状のフィン付き面であるもの(フィン1)、断面鋸歯状のフィン付き面であり且つフィン1よりもフィン寸法の大きいもの(フィン2)を用意した。
Figure 2005152507
冷却部は、空気との接触によるガス状汚染物質の付着や水蒸気の凝縮を防ぐため、アクリル製のボックス内に設置し、アクリルボックスに設けた62mm×70mmのくりぬき部分から光触媒の背面と44mm×44mmの大きさのサーモモジュールとの接触を行った。サーモモジュールは、直流電源(住友電気工業社製、JI−23)に接続しており、入力電流を変化させることにより光触媒表面の温度調節を行った。サーモモジュールの放熱面は水冷式の放熱面に接触させることにより放熱を行った。冷却水には水道水を使用した。また、光触媒の下方にはアクリル製の水槽を設置し、ここに光触媒表面で凝縮し流下した凝縮液を捕集し、実験後にその質量を電子天秤にて計測した。
空気は、加湿器の電圧調整及びバルブにより蒸気の濃度を調節され、また、ファンヒータ及び蒸気熱で所定の温度に昇温され、ファンにより所定の流量に設定された後、ガス拡散部内に流される。ガス拡散部には濃度調節したエチルアミン水溶液を配置し、この上にファンから空気を流すことで空気中にエチルアミンを拡散させた。エチルアミン水溶液は、直径2.0mmの穴を空けた蓋をかぶせた直径30mmの円形容器に収容した。空気中のガス状汚染物質の濃度は、水溶液濃度を変化させることで調整した。このように、流量、主流温度、蒸気濃度、及びガス状汚染物質濃度を調節した被処理気体を、噴射口から光触媒表面に吹き付けた。
光源としては、波長254nm、4Wの紫外線蛍光灯(東芝社製)を用い、汚染物質分解部内に設置した外径34mm、内径30mm、全長200mmの石英ガラス製の円筒内に取り付けた。また、光触媒表面での紫外線強度分布をほぼ均一にするため、紫外線蛍光灯を上下2方向に設置し、紫外線蛍光灯間の距離を70mmとした。光触媒表面に照射される紫外線強度の調節は、電圧調整により行った。
主流温度及び蒸気濃度の測定には、温度湿度計(日本科学工業社製、Thermo-hygrometer)を、主流速度の測定には速度計(カノマックス社製、Climomaster model 6511)を、ガス成分の供給濃度及び排出濃度の測定には、ニオイセンサー(双葉エレクトロニクス社製FPO-2)を、凝縮液量の測定には電子上皿天秤(島津製作所社製、ED-H60)を、光触媒面の温度測定にはT型熱伝対をそれぞれ用いた。
実験は、被処理気体の温度Tinを32℃と一定に保ち、主流蒸気濃度Cvinを30〜80%RH、紫外線強度Iwを0.30〜1.16mW/cm2、光触媒壁面平均温度(以下、冷却面温度とする。)をTw=13〜16℃、ガス状汚染物質としてのエチルアミン濃度(以下、供給ガス濃度とする。)Cginを0.9〜1.7ppm、噴射口速度U=0.35〜1.47m/sの範囲でそれぞれ変化させ、定常状態のもとで各測定を行った。具体的には、供給流量をファン入力の電圧調整、供給蒸気濃度を加湿器中のヒーター入力の電圧調整、主流温度の調節を供給蒸気熱及びファンヒータによる調整、紫外線強度を蛍光灯入力の電圧調節、光触媒面の温度調整をサーモモジュール入力の電流調整により、所定の条件になるように調節した。以上の状態を定常状態になるまで行い、その後に実験及び計測を行った。
光触媒によるガス分解量を測定するために、供給ガス濃度Cgin及び出口ガス濃度Cgoutを計測した。具体的には、供給口及び排出口に取り付けてある吸入パイプにニオイセンサー(酸化物半導体センサー)の吸引口を取り付け、流体中のガス成分を自動吸引することでその点でのガス濃度を測定した。光触媒によるガス成分分解量Mg(ppm)及びガス成分分解率η(%)は、それぞれ下記式(1)及び式(2)により算出した。
Mg=Cgin−Cgout …式(1)
η=(Cgin−Cgout)/Cgin …式(2)
<実験1>
実験1では、光触媒表面の凝縮液膜を利用しない乾式法と、湿式法を応用した本発明のガス状汚染物質除去方法との比較を行った。先ず、本発明の実施例として、光触媒として表面形状が平面なものを用い、供給ガス濃度Cginを0.9ppmと一定にした状態で、主流蒸気濃度Cvinを30%RH、50%RH、60%RH、70%RH、及び80%RHとしたときの出口ガス濃度Cgoutをそれぞれ測定し、式(2)にしたがって各ガス成分分解率ηを算出した。また、光触媒としてフィン1又はフィン2を用いた場合についても、同様にしてガス成分分解率ηを算出した。なお、本実験では、紫外線強度Iwを1.15mW/cm2、噴射口速度Uを0.71m/sとし、冷却面温度Twについては、平面、フィン1、フィン2のいずれも13.2℃とした。結果を図7に示す。また、比較例として、凝縮を利用しない乾式法についても同様の実験及び測定を行った。具体的には、冷却部による光触媒の冷却をしないことにより、光触媒表面において凝縮を起こさせない状態で、実験及び測定を行った。結果を図7に示す。
図7より、従来の乾式法で行った場合、いずれの光触媒を用いても、供給蒸気濃度を増加させたときのガス分解率にほとんど変化は見られず、ほぼ一定値をとり、ガス分解の促進効果は見られない。これに対して、凝縮を利用した実施例では、いずれの光触媒を用いても、供給蒸気濃度の増加につれてガス分解率が増加し、乾式法に比べて極めて高い値を示した。したがって、実験1から本発明の有効性が明らかとなった。本発明の方法が従来の乾式法に比べて高いガス分解率を示した理由は、凝縮を利用することによりガス成分が光触媒表面に効率よく捕捉され、それによってガス分解が促進されたためと考えられる。
<実験2>
実験2では、形状の異なる3種類の光触媒によるガス分解性能について検討した。具体的には、供給ガス濃度Cginを0.9ppmとし、紫外線強度Iwを1.15mW/cm2、噴射口速度Uを0.71m/sとした状態で、単位時間あたりの凝縮液量Mvを順次変化させて実験を行い、ガス成分分解率ηを算出した。冷却面温度Twについては、平面で13.3℃、フィン1で13.5℃、フィン2で13.2℃とした。結果を図8に示す。
図8より、平面、フィン付き面(フィン1及びフィン2)のいずれの光触媒面においても、凝縮速度の増加とともにガス分解率ηが増加している。したがって、この実験2から、本発明の有効性を再確認することができた。
また、光触媒が平面の場合、ガス分解率ηは凝縮速度の増加とともに増加するが、60%程度で頭打ちとなっていることがわかる。これは、凝縮速度の増加により光触媒表面の凝縮液膜が厚くなり、それによって液膜表面と光触媒表面との距離が増加することで、液膜中に吸収されたガス分子が拡散してOHラジカルと反応する確率が低下するためと考えられる。
一方、フィン付き面であるフィン1及びフィン2の場合、凝縮速度及び分解率のいずれも平面のものより大きく、フィンによる効果が現れているといえる。また、フィン形状によるガス分解率ηの違いを図8の結果から比較すると、フィン2がフィン1に比べて凝縮速度が大きく、ガス分解率ηはほぼ直線状に増加している。フィン2に比べてフィン1の凝縮速度が低い原因は、フィン溝が小さいために凝縮速度の増加につれて溝が凝縮液によって覆われ、有効な凝縮面積が低下するためと考えられる。したがって、優れたフィン効果を得るためには、操作条件等を考慮して最適なフィン形状を決定する必要があるといえる。
<実験3>
実験3では、供給ガス濃度Cginを変化させたときのガス分解量Mgに対する影響について検討した。具体的には、光触媒としてフィン2を用い、噴射口速度Uを0.71m/sとし、紫外線強度Iwを1.15mW/cm2、冷却面温度Twを13.2℃とした状態で、供給ガス濃度Cginを変化させたときのガス分解量Mgを測定した。この実験を蒸気濃度Cvinを30%RH、50%RH、60%RH、70%RH、及び80%RHについてそれぞれ行った。結果を図9に示す。
図9から、いずれの蒸気濃度Cvinの場合でも、供給ガス濃度Cginが高いほどガス分解量Mgが高くなることがわかる。供給ガス濃度Cginの増加は界面とのガス濃度差を大きくし、吸収ポテンシャルが増すことにより吸収ガス濃度が増加し、それと同時に光触媒による分解量が増加するためと考えられる。
<実験4>
実験4では、噴射口からの主流の速度を変化させたときのガス分解率ηに対する影響について検討した。具体的には、光触媒としてフィン2を用い、供給ガス濃度Cginを1.7ppmとし、冷却面温度Twを13.3℃、紫外線強度Iwを1.15mW/cm2とした状態で、噴射口速度Uを変化させたときのガス分解率ηを測定した。この実験を蒸気濃度Cvinを30%RH、50%RH、60%RH、70%RH、及び80%RHについてそれぞれ行った。結果を図10に示す。
図10から、噴射口からの主流速度Uが大きくなるほど凝縮速度が増加し、同時にガス分解率ηも増加することがわかる。このことから、噴射口速度Uを増加させることで、物質伝達率の向上が図られガス分解を促進できると言える。
<実験5>
実験5では、光触媒表面の温度を変化させたときの影響について検討した。具体的には、光触媒としてフィン2を用い、供給ガス濃度Cginを0.9ppmとし、噴射口速度Uを0.71m/s、紫外線強度Iwを1.15mW/cm2、冷却面温度Twを13.2℃として、単位時間あたりの凝縮液量Mvを順次変化させて実験を行い、ガス成分分解率ηを算出した。また、供給ガス濃度Cginを1.3ppmとし、冷却面温度Twを13.2℃とした場合、供給ガス濃度Cginを0.9ppmとし、冷却面温度Twを15.9℃とした場合、及び供給ガス濃度Cginを1.3ppmとし、冷却面温度Twを15.9℃とした場合についても、同様に実験を行いガス成分分解率ηを算出した。結果を図11に示す。
図11から、いずれの供給ガス濃度Cginの場合でも、光触媒の表面温度である冷却面温度Twが低くなるほど、ガス分解率ηが高くなることがわかる。これは、冷却面温度Twを低下させることで凝縮液量が増加し、同時にガス分解量が増加するためと考えられる。
本発明の原理を説明するための図であり、(a)は従来の乾式法を示す概略断面図、(b)は本発明の湿式法を示す概略断面図である。 本発明を適用したガス状汚染物質除去装置の一例を示す斜視図である。 図2に示すガス状汚染物質除去装置の主要部の分解斜視図である。 断面鋸歯状のフィン付き光触媒面において凝縮が起こる様子を説明する図であり、(a)は適当なピッチを有する場合の断面図、(b)は狭いピッチを有する場合の断面図である。 光触媒の形状について説明するための図であり、(a)は波状フィンを示す断面図であり、(b)は凸部先端の曲率半径が小さく且つ凹部が平底状とされた形状のフィンを示す断面図である。 本発明を適用したガス状汚染物質除去装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明の凝縮を利用したガス状汚染物質除去方法と従来の乾式法によるガス状汚染物質除去方法とを比較するための特性図である。 フィン形状の違いによるガス分解性能を比較するための特性図である。 供給ガス濃度Cginを変化させたときの影響を示す特性図である。 噴射速度の影響を示す特性図である。 光触媒表面温度の影響を示す特性図である。
符号の説明
1 光触媒、2 活性酸素、3 ガス状汚染物質、4 凝縮性気体、5 液膜、10 汚染物質分解除去部、11 光触媒、12 冷却部、13 光源、14 筐体、15 水槽、16 保護板、17 液膜、18 電子冷却モジュール、19 水冷用配管、20 直流電源、21 電圧調整器、22 噴射口、23 入口配管、24 出口配管、25 オドメーター、26 コンピュータ、27 加湿器、28 電圧調整器、29 配管、30 バルブ、31 ファン、32 ガス拡散部、33 温湿度計、34 電圧調整器、35 容器、40 筐体、41 給気口、42 排気口、43 給気ファン、44 排気ファン、45 ポンプ、46 貯水タンク、47 ドレーン

Claims (15)

  1. 被処理気体中のガス状汚染物質を分解除去するガス状汚染物質除去装置であって、
    光触媒面と、
    前記光触媒面に光を照射する光源と、
    前記光触媒面を冷却し被処理気体に含まれる凝縮性気体を前記光触媒面で凝縮させる冷却手段とを有することを特徴とするガス状汚染物質除去装置。
  2. 前記光触媒面は、支持プレートの表面に光触媒層を形成することにより構成されていることを特徴とする請求項1記載のガス状汚染物質除去装置。
  3. 前記光触媒層は、光触媒として酸化チタンを含むことを特徴とする請求項2記載のガス状汚染物質除去装置。
  4. 前記光触媒面に照射される光は、紫外線であることを特徴とする請求項3記載のガス状汚染物質除去装置。
  5. 前記光触媒面が鉛直方向となるように設置されていることを特徴とする請求項1記載のガス状汚染物質除去装置。
  6. 前記支持プレートは、光触媒層が形成される面がフィン加工面とされ、表面に鉛直方向と略平行なフィンを有することを特徴とする請求項2記載のガス状汚染物質除去装置。
  7. 前記フィン加工面の断面形状が、鋸歯状、櫛歯状、又は波状であることを特徴とする請求項6記載のガス状汚染物質除去装置。
  8. 前記支持プレートの背面側に前記冷却手段が設置されていることを特徴とする請求項2記載のガス状汚染物質除去装置。
  9. 前記凝縮性気体は水蒸気であり、前記被処理気体を加湿する加湿装置を備えることを特徴とする請求項1記載のガス状汚染物質除去装置。
  10. 前記被処理気体を光触媒面に導くファンを備えることを特徴とする請求項1記載のガス状汚染物質除去装置。
  11. 被処理気体中のガス状汚染物質を分解除去するガス状汚染物質除去方法であって、
    光触媒面を冷却して被処理気体に含まれる凝縮性蒸気を凝縮させて光触媒面に液膜を形成するとともに、前記光触媒面に光を照射することにより前記液膜中のガス状汚染物質を分解することを特徴とするガス状汚染物質除去方法。
  12. 前記光触媒面上の液膜を順次排除しながら前記分解を行うことを特徴とする請求項11記載のガス状汚染物質除去方法。
  13. 重力により前記光触媒面上の液膜を順次排除することを特徴とする請求項12記載のガス状汚染物質除去方法。
  14. 前記被処理気体の相対湿度を30%以上とすることを特徴とする請求項11記載のガス状汚染物質除去方法。
  15. 前記被処理気体を予め加湿することを特徴とする請求項11記載のガス状汚染物質除去方法。
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