JP2005151702A - 巻き線の加熱方法及び加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
巻き線を閉ループ状態として誘導電流を流すことにより、そのジュール熱によって効率的に加熱することが可能な巻き線の加熱方法及び加熱装置を提供する。
【解決手段】
巻き線の端子間を接続して閉ループ状態とする導体と、前記巻き線の近傍に配置した平板状の加熱コイルと、該加熱コイルに高周波電流を供給する高周波発振機と、を備え、巻き線を導体で閉ループ状態とした後に、高周波発振機から加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線に誘導電流を流し、該誘導電流により巻き線を加熱することを特徴とする。
【選択図】 図1
巻き線を閉ループ状態として誘導電流を流すことにより、そのジュール熱によって効率的に加熱することが可能な巻き線の加熱方法及び加熱装置を提供する。
【解決手段】
巻き線の端子間を接続して閉ループ状態とする導体と、前記巻き線の近傍に配置した平板状の加熱コイルと、該加熱コイルに高周波電流を供給する高周波発振機と、を備え、巻き線を導体で閉ループ状態とした後に、高周波発振機から加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線に誘導電流を流し、該誘導電流により巻き線を加熱することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばモータコイル等の巻き線を加熱して樹脂を塗着する際に好適に使用される巻き線の加熱方法及び加熱装置に関する。
従来、セグメントコイル巻き線方式モータのコイルステータ等のように、複数のコイルを接続するコイル溶接部がある場合、コイル溶接部に絶縁性の樹脂を塗布して絶縁処理する必要があり、この樹脂の塗布方法としては、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示の塗布方法は、モータを駆動する際と同様に、巻き線の端子に電源を接続してコイル巻き線に電流を流すことにより、コイル巻き線に生じるジュール熱を利用して巻き線を加熱し、この熱をコイル溶接部に伝えて該コイル溶接部に保護塗料を溶融して塗布するようにしたものである。
特開2003−244909号公報
しかしながら、このような巻き線の加熱方法においては、コイル巻き線にモータを駆動させる際と同様の電流を単に流して巻き線をジュール熱で加熱してコイル溶接部に伝えるため、加熱効率が劣り比較的長い時間電流を流し続ける必要があって、塗料の塗布作業の作業効率が低いという問題点を有している。そこで、加熱時間の短縮化のために、大電流を流すことも考えられるが、この場合も定格以上の電流を流すことは、モータの品質上の観点から好ましくなく、流す電流値が自ずと規制されて加熱効率を十分に高めることが困難となる。特に、多数の巻き線を有し端子やコイル溶接部の数が多いコイル巻き線の場合に、上記問題点が一層顕著となり、その改善が望まれているのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、巻き線を閉ループ状態として誘導電流を流すことにより、そのジュール熱によって効率的に加熱することが可能な巻き線の加熱方法及び加熱装置を提供することにある。
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の巻き線の加熱方法は、巻き線の端子間を導体で接続して閉ループ状態とした後に、巻き線の近傍に配置した加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線に誘導電流を流し、該誘導電流により巻き線を加熱することを特徴とする。
また、請求項2に記載の巻き線の加熱装置は、巻き線の端子間を接続して閉ループ状態とする導体と、前記巻き線の近傍に配置した加熱コイルと、該加熱コイルに高周波電流を供給する高周波発振機と、を備え、前記巻き線を導体で閉ループ状態とした後に、高周波発振機から加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線に誘導電流を流し、該誘導電流により巻き線を加熱することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記加熱コイルと巻き線の相対位置関係を可変する位置可変手段を有することを特徴とし、この場合、前記位置可変手段は、請求項4に記載の発明のように、巻き線を支持する回転板と、該回転板を所定の回転数で回転させるモータと、を有することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記加熱コイルが、薄板状のコアの外周部に導体が巻回されて略平板形状に形成されていることを特徴とし、請求項6に記載の発明は、前記高周波発振機がトランジスタインバータで形成され、該トランジスタインバータの作動が前記位置可変手段等と関連付けて制御されることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記巻き線が複数設けられ、各巻き線の端子間が複数の導体により所定の形態で閉ループ状態に設定されることを特徴とし、請求項8に記載の発明は、前記巻き線がハウジング内に略円筒形状で巻回配置されたステータコイルであることを特徴とする。さらに、請求項9に記載の発明は、前記巻き線が、ハウジングの貫通方向の両端部に位置するコイルエンド部が加熱されることにより、該コイルエンド部に樹脂が塗着されることを特徴とする。
先ず、請求項1に記載の加熱方法によれば、巻き線の両端部の端子間を導体で接続して閉ループ状態とした後に、巻き線の近傍に配置した加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線を加熱するため、加熱コイルから発せられる磁束に基づく高周波の誘導電流自体による加熱と、閉ループの巻き線内を流れる誘導電流に基づくジュール熱による加熱とで、巻き線を所定温度まで短時間に効率的に加熱することができる。
また、請求項2に記載の加熱装置によれば、巻き線の端子間を導体で接続して巻き線を閉ループ状態とし、この状態で高周波発振機から巻き線の近傍に配置した加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線を加熱するため、加熱コイルから発せられる磁束に基づく高周波の誘導電流自体による加熱と、閉ループの巻き線内を流れる誘導電流に基づくジュール熱による加熱とで、巻き線を所定温度まで短時間に効率的に加熱することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、加熱コイルと巻き線の相対位置関係を可変する位置可変手段を有するため、位置可変手段で加熱コイルの巻き線に対する位置を可変(調整)できて、巻き線の例えば所定の面の略全域を均一に加熱することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、位置可変手段が、巻き線を支持する回転板と、該回転板を所定の回転数で回転させるモータとを有するため、位置可変手段のモータの回転数を制御することにより、回転板上に配置された巻き線と加熱コイルの位置を精度良く調整できて、巻き線を一層均一かつ良好に加熱することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項2ないし4に記載の発明の効果に加え、加熱コイルが薄板状のコアの外周部に導体が巻回されて略平板形状に形成されているため、加熱コイルを巻き線の所定位置にスムーズに配置できると共に、加熱コイルを巻き線に近づけることができてより一層効率的に加熱することができ、かつ加熱コイル自体の取り扱いを容易に行うことができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項2ないし5に記載の発明の効果に加え、高周波発振機がトランジスタインバータで形成され、該トランジスタインバータの作動が位置可変手段等と関連付けて制御されるため、高周波発振機自体をコンパクトで省電力化が可能に形成できると共に、位置可変手段等と関連付けて精度良く作動させることができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項2ないし6に記載の発明の効果に加え、巻き線が複数設けられ、各巻き線の端子間が複数の導体により所定の形態で閉ループ状態に設定されるため、多数の巻き線をその加熱位置等に応じ所定の閉ループ状態とすることができて、各種巻き線の加熱に効率的に対応することができる。
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項2ないし7に記載の発明の効果に加え、巻き線がハウジング内に略円筒形状に巻回配置されたステータコイルであるため、セグメントコイル巻き線方式モータ等のようなモータのステータに好適に使用できて、例えば巻き線の所定位置を樹脂で確実に固着(保護)できて、モータ性能の向上を図ることができる。
さらに、請求項9に記載の発明によれば、請求項2ないし8に記載の発明の効果に加え、巻き線のハウジングの貫通方向の両端部に位置するコイルエンド部が加熱されることにより、該コイルエンド部に樹脂が塗着されるため、例えばモータの巻き線のコイルエンド部を樹脂で確実に固着保持できて、モータ性能の一層の向上を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係わる巻き線の加熱装置の一実施形態を示し、図1がその基本的構成図、図2がその平面図、図3が加熱コイルの斜視図、図4が巻き線の接続形態の説明図である。
図1〜図4は、本発明に係わる巻き線の加熱装置の一実施形態を示し、図1がその基本的構成図、図2がその平面図、図3が加熱コイルの斜視図、図4が巻き線の接続形態の説明図である。
図1において、加熱装置1は、ステータ2内に配置された加熱コイル3と、この加熱コイル3に高周波電流を供給する高周波発振機4と、ステータ2を支持すると共に所定方向に回転させる位置可変機構5と、この位置可変機構5及び前記高周波発振機4等の作動を制御する制御装置6と、前記ステータ2の端子7a間を接続する導体8等を備えている。
前記ステータ2は、円筒形状のハウジング9と、このハウジング9内に嵌挿配置されステータコアとしての珪素鋼板10に巻回されたステータコイルとしての巻き線11を有し、巻き線11の両端部は、ハウジング9に外部に露出する状態で設けられ端子板7の端子7aに接続されている。また、巻き線11は、絶縁皮膜で覆われたエナメル線等の導線を、珪素鋼板10の外側に上下方向に指向して多数回巻回することにより中心位置に貫通孔11aを有する略円筒形状を呈すると共に、導線の上下端部の屈曲部が珪素鋼板10の上下端部より露出してコイルエンド部11bを形成するようになっている。
また、ステータ2は、巻き線11の中心位置に設けられ図示しないロータが嵌挿される貫通孔11aを垂直状態にした状態で、前記位置可変機構5を形成する回転板5a上に固定的に載置されている。位置可変機構5は、この回転板5aと、回転板5aを所定回転数で回転させるモータ5bと、ステータ2の下端外周部をモータ5dの作動でクランプするクランプ部材5c等を有している。そして、制御装置6の制御信号により、モータ5bが回転することによりステータ2が所定方向に回転すると共に、モータ5dの作動によりクランプ部材5cでステータ2が回転板5a上に固定されるようになっている。
前記加熱コイル3は、図3に示すように、薄板状のマグネットコア3aの外周面に円形の銅パイプ3bを単数もしくは複数回(図では2回)巻回して絶縁テープ3cで保持することにより略平板形状に形成され、銅パイプ3bの両端部がホルダー12に接続されている。ホルダー12は、銅パイプ3bの両端部がそれぞれ電気的に接続されると共に銅パイプ3bを保持し、かつ絶縁板12cを介して圧接固定された一対の銅板12a、12bを有し、このホルダー12が、前記高周波発振機4を構成するトランジスタインバータの出力端子に固定されることにより、加熱コイル3が高周波発振機4に電気的に接続されている。
なお、加熱コイル3は、図1に示すように、その上下の端部が巻き線11の上下のコイルエンド部11bをカバーできるようにその長さが設定され、幅の狭い平板状の一方の面が巻き線11の貫通孔11a内面(珪素鋼板10の内面)に略均等の間隔で対向するようになっている。また、加熱コイル3と高周波発振機4の接続は、前記ホルダー12よる直接接続に限らず、加熱コイル3の銅パイプ3bの両端部と高周波発振機4の出力端子とを可撓性の高周波ケーブルを介して接続することも可能である。このような移動可能な加熱コイル3を使用する場合は、加熱コイル3を例えば後述する樹脂噴射用ロボットのアームに固定することで、巻き線11の貫通孔11aとの相対位置関係を所定に設定すれば良い。
前記高周波発振機4は、例えばFET、IGBT、SIT等の半導体スイッチング素子からなるインバータ回路を有する前記トランジスタインバータで構成され、所定周波数の高周波の電流を加熱コイル3に供給できるように構成されている。また、この高周波発振機4には、図示しない冷却水供給装置が一体的に組み込まれ、加熱コイル3への高周波電流の供給と同時に加熱コイル3の銅パイプ3b内に冷却水が循環供給されて、銅パイプ3b(加熱コイル3)自体の発熱が抑えられるようになっている。
前記制御装置6は、例えばリレーやシーケンサーあるいはマイコン等が使用されて、予め設定されているプログラム等に基づいて高周波発振機4や位置可変機構5のモータ5b、5d等を制御するように構成されている。なお、この制御装置6は、高周波発振機4に一体化されており、図示しない操作盤や各種の操作スイッチに基づいて、所定の制御を実行するようになっている。
前記導体8は、例えば所定長さの導線の両端部にクリップ端子が接続されており、クリップ端子をステータ2の端子7aに接続することにより、巻き線11が所定の形態で閉ループ状態に設定されるようになっている。すなわち、ステータ2の巻き線11が、一つの巻き線で形成される場合は、巻き線11の両端部の一対の端子7aに導体8の各クリップ端子を接続して巻き線11を閉ループ状態とさせる。
また、図4(a)に示すように、ステータ2が2つの巻き線11を有する場合は、2本の導体8により、各巻き線11の端子7aを直列接続して2つの巻き線11を閉ループ状態とし、図4(b)に示すように、ステータ2が3つ以上の巻き線11を有する場合は、各巻き線11の端子7aを巻き線11の数に応じた本数の導体8で直列接続して、全ての巻き線11を閉ループ状態とする。
この各巻き線11の端子7a間を接続(短絡)する導体8としては、両端にクリップを有する導線の使用に限らず、例えば端子7aに嵌合可能な嵌合部を有する銅パイプや銅板を使用して着脱したり、あるいは導線の両端部に設けた接続部を、巻き線11の端子7aに半田付け等により着脱可能に取り付ける適宜の接続構造を採用することができる。また、導体8は、少なくとも巻き線11の導体と同じ通電容量を有し、ステータ2の回転に悪影響しないようにできるだけ短く設定することが好ましい。
なお、図1及び図2に示すように、ステータ2の巻き線11の貫通孔11a内の例えば一方(図では上部)のコイルエンド部11bには、樹脂吐出ノズル13が対向するようにハウジング9の上部から挿脱可能に配置されている。この樹脂吐出ノズル13は、例えば樹脂吐出用ロボットのアームに固定的に取り付けられると共に、樹脂吐出装置14に接続されている。
そして、前記制御装置6の制御信号でモータ5bが回転してステータ2が回転状態の時に、樹脂吐出装置14が作動してハウシング9内の所定位置(例えば巻き線11のコイルエンド部11b位置)に配置されている樹脂吐出ノズル13から、所定の樹脂が巻き線11の貫通孔11aの内面に吐出されることにより、加熱状態の巻き線11のコイルエンド部11bに樹脂が塗布され、この樹脂が巻き線11の温度で溶融して各巻き線の導線間に進入して固着されるようになっている。
次に、この加熱装置1の動作の一例について説明する。先ず、ステータ2を回転板5a上に載置しモータ5dによりクランプ部材5cを作動させてステータ2の下端部をクランプすると共に、巻き線11の貫通孔11a内に加熱コイル3を嵌挿配置してセット状態とする。このセット状態で、ステータ2のハウジング9の端子7a数に応じた所定数の導体8により、巻き線11を直列接続して閉ループ状態に設定する。この時、複数の巻き線11を有する場合は、各巻き線11が所定の向きで直列接続されるように、各巻き線11の端子7a間を導体8で接続する。
そして、導体8で巻き線11を閉ループ状態に設定し、例えば制御装置6に設けた図示しない加熱スイッチをオン操作すると、高周波発振機4から加熱コイル3に所定周波数の高周波電流が供給される。加熱コイル3に高周波電流が供給されるとその磁束により巻き線11に電流が誘起(誘導電流という)され、この誘導電流によって巻き線11が加熱される。また、巻き線11内に誘起された誘導電流は、閉ループ状態とされている巻き線11内を流れ、この誘導電流が流れることで、巻き線11内にジュール熱が発生して加熱される。つまり、加熱コイル3に供給される高周波電流に基づく誘導電流自体で巻き線11が加熱されると共に、この誘導電流によるジュール熱でも加熱されることになり、この時、誘導電流が高周波であることから巻き線11が効率的に加熱されることになる。
また、加熱コイル3への高周波電流の供給と同時に、制御装置6からモータ5bに制御信号が出力されて該モータ5bが回転し、これにより回転板5aが回転して回転板5a上のステータ2も所定回転数で回転する。このステータ2の回転により、巻き線11の貫通孔11a内面に対する加熱コイル3の位置が貫通孔11a内面の円周方向に沿って可変され、誘導電流が誘起される位置が円周方向に順に変化し、このステータ2の回転によって、巻き線11の円周方向の全域が均一に加熱されることになる。
そして、予め設定した時間加熱すると、例えば制御装置6の制御信号により樹脂吐出装置14を作動させて、樹脂吐出ノズル13から絶縁性や固着性を有する所定の樹脂を巻き線11のコイルエンド部11bに向けて噴射し、加熱されている巻き線11のコイルエンド部11bに吹き付ける。この樹脂の噴射も回転板5aを回転させた状態で行い、この時、加熱コイル3への通電は維持した状態でも遮断した状態のいずれでも良い。なお、ステータ2の上下のコイルエンド部11bへの樹脂の噴射は、1つの樹脂吐出ノズル13を上下動させて行うこともできるし、樹脂吐出ノズル13を予め上下にそれぞれ設ければ、加熱の場合と同様に一度に樹脂を噴射することができる。
樹脂を噴射して巻き線11のコイルエンド部11bに所定量塗着したら、樹脂吐出ノズル13からの樹脂の吐出を停止(加熱コイル3への通電も遮断)させ、回転板5aの回転を停止させてクランプ部材5cをアンクランプすることにより、ステータ2が回転板5a上から取り除かれる。これにより、ステータ2の巻き線11のコイルエンド部11bへの樹脂の塗着が終了することになり、ステータ2の回転板5a上へのセットから取り除きまでの一連の作業が、制御装置6の制御信号によって自動的に行われることになる。
なお、以上の加熱方法や樹脂の塗着方法は、一例であって、例えば加熱されたステータ2を塗着位置まで搬送して行う等、加熱と樹脂塗着を別位置で行うこともできるし、樹脂塗着を樹脂吐出用ロボットを使用することなく手動で行う等、巻き線11の加熱用途や巻き線11自体の形態等に応じて適宜の方法を採用することができる。
このように、上記実施形態の加熱装置1にあっては、ステータ2の巻き線11の端子7a間を導体8で接続して巻き線11を閉ループ状態とし、この状態で高周波発振機4から巻き線11の貫通孔11a内に配置した加熱コイル3に高周波電流を供給して巻き線11を加熱するため、加熱コイル3から発せられる磁束に基づく高周波の誘導電流自体(渦電流損)による加熱と、閉ループの巻き線11内を流れる高周波の誘導電流に基づくジュール熱による加熱とで、巻き線11を所定温度まで短時間に効率的に加熱することができる。
また、ステータ2の下端部を位置可変機構5の回転板5aにクランプして、位置可変機構5のモータ5bの回転でステータ2を回転させつつ、すなわち加熱コイル3と巻き線11の貫通孔11a内面の相対位置関係を可変しつつ加熱できるため、巻き線11の貫通孔11a内面の全域に誘導電流を均一に誘起させて、巻き線11の上下のコイルエンド部11bをその円周方向において均一に加熱することができる。これらにより、ステータ2の巻き線11のコイルエンド部11bを効果的に加熱して、該エンド部11bの各巻き線11間を樹脂で安定かつ確実に固着することができて、特性的に優れたモータを得ることができると共に、ステータ2の巻き線11に従来では得られなかった効率的で安定した加熱状態を容易に得ることが可能となる。
なお、実験によれば、上記例の巻き線11において、コイルエンド部11bが所定の温度まで加熱される時間を計測したところ、端子7a間にモータの電源電圧に相当する電圧を供給する特許文献1に記載の方法に比較して、数倍から十数倍の時間短縮が図れることが確認されており、例えばSC巻線モータのステータ巻き線等に適用することで、実用的に大きな効果を期待することができる。
また、加熱コイル3が薄板状のマグネットコア3aの外周部に銅パイプ3bが巻回されて略平板形状に形成されているため、加熱コイル3の一方の面と巻き線11の貫通孔11a内面との間を幅方向及び上下方向において、内面にできるだけ近づいた略等間隔の最適位置に容易に設定できて、貫通孔11a内面を一層均一に加熱できると共に、加熱コイル3自体の取り扱いが容易となり、巻き線11の貫通孔11a内への配置作業等をスムーズに行うことができる。
さらに、高周波発振機4がトランジスタインバータで形成され、該トランジスタインバータの作動が制御装置6によりモータ5b、5dや樹脂吐出装置14等と関連付けて制御されるため、高周波発振機4自体をコンパクトで省電力化が可能に形成できると共に、モータ5b、5dや樹脂吐出装置14等と関連付けて作動させることで、加熱作業と樹脂塗着作業の完全自動化が可能となる。また、導体8をハウジング9に設けた端子板7の端子7a間に接続して、例えば制御装置6の加熱スイッチをオン操作することにより、加熱作業等が自動的に実行されるため、加熱作業の作業性の向上を図ることができる。これらにより、操作性や作業性に優れた加熱装置1を得ることが可能となる。
また、巻き線11の端子7a間に導体8を接続することにより、加熱効率の向上が図れるため、複数の巻き線11を有する複雑な巻き線構造であっても容易に対応することができ、各種モータの巻き線等に効果的に適用できて、汎用性に優れた加熱装置1を得ることが可能となる。また、加熱コイル3が平板状に形成されるため、加熱コイル3自体の形状を簡略化して安価に形成できると共に、高周波発振機4として省電力化に優れたトランジスタインバータを使用しているため、ランニングコストの低減化を図ることができ、結果としてコスト安価なステータ2を得ることが可能となる。
なお、上記実施形態においては、ステータ2を平坦に配置した回転板5a上に縦方向に配置して回転させたが、本発明はこれに限定されず、例えば巻き線11の貫通孔11aを横方向に配置して回転させる構成を採用しても良く、この横方向回転の場合は、コイルエンド部11bが左右両端部に位置することから、加熱コイル3や樹脂吐出ノズル13の配置が容易に行えることになる。また、上記実施形態における位置可変機構5の構成等も一例であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
本発明は、SC巻き線モータのステータ巻き線に限らず、ステッピングモータ等の他のモータのステータ巻き線は勿論のこと各種モータのロータ巻き線、あるいはモータ以外の各種コイルの巻き線等の加熱にも適用できるし、塗着される樹脂も、巻き線の用途や形態等に応じて適宜の材料を使用することができる。
1 加熱装置
2 ステータ
3 加熱コイル
3a マグルットコア
3b 銅パイプ
3c 絶縁テープ
4 高周発振機
5 位置可変機構
5a 回転板
5b モータ
5c クランプ部材
5d モータ
6 制御装置
7 端子板
7a 端子
8 導体
9 ハウジング
12 ホルダー
13 樹脂吐出ノズル
14 樹脂吐出装置
2 ステータ
3 加熱コイル
3a マグルットコア
3b 銅パイプ
3c 絶縁テープ
4 高周発振機
5 位置可変機構
5a 回転板
5b モータ
5c クランプ部材
5d モータ
6 制御装置
7 端子板
7a 端子
8 導体
9 ハウジング
12 ホルダー
13 樹脂吐出ノズル
14 樹脂吐出装置
Claims (9)
- 巻き線の端子間を導体で接続して閉ループ状態とした後に、巻き線の近傍に配置した加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線に誘導電流を流し、該誘導電流により巻き線を加熱することを特徴とする巻き線の加熱方法。
- 巻き線の端子間を接続して閉ループ状態とする導体と、前記巻き線の近傍に配置した加熱コイルと、該加熱コイルに高周波電流を供給する高周波発振機と、を備え、
前記巻き線を導体で閉ループ状態とした後に、高周波発振機から加熱コイルに高周波電流を供給して巻き線に誘導電流を流し、該誘導電流により巻き線を加熱することを特徴とする巻き線の加熱装置。 - 前記加熱コイルと巻き線の相対位置関係を可変する位置可変手段を有することを特徴とする請求項2に記載の巻き線の加熱装置。
- 前記位置可変手段は、巻き線を支持する回転板と、該回転板を所定の回転数で回転させるモータと、を有することを特徴とする請求項3に記載の巻き線の加熱装置。
- 前記加熱コイルは、薄板状のコアの外周部に導体が巻回されて略平板形状に形成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の巻き線の加熱装置。
- 前記高周波発振機がトランジスタインバータで形成され、該トランジスタインバータの作動が前記位置可変手段等と関連付けて制御されることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の巻き線の加熱装置。
- 前記巻き線が複数設けられ、各巻き線の端子間が複数の導体により所定の形態で閉ループ状態に設定されることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の巻き線の加熱装置。
- 前記巻き線は、ハウジング内に略円筒形状で巻回配置されたステータコイルであることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の巻き線の加熱装置。
- 前記巻き線は、ハウジングの貫通方向の両端部に位置するコイルエンド部が加熱されることにより、該コイルエンド部に樹脂が塗着されることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の巻き線の加熱装置。
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CN115955074A (zh) * | 2022-12-13 | 2023-04-11 | 苏州贝爱特自动化科技有限公司 | 一种车载刹车马达壳体加热装置 |
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2003
- 2003-11-17 JP JP2003386062A patent/JP2005151702A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7168724B1 (ja) | 2021-06-01 | 2022-11-09 | 西芝電機株式会社 | 永久磁石ロータの製造方法 |
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