特許文献5、6で紹介されているように、例えば機密文書については背景に地紋パターンを埋め込んだ原稿画像として生成し、そのような機密文書が複写されると地紋パターンの一部が浮かび上がるようにした場合には、心理的に、複写に対する規制力を生じさせることができる。しかしながら、このような地紋パターンによる手法では、複写抑制効果が得られるに過ぎず、複写行為そのものを規制することができるわけではない。このため、地紋パターンが浮き上がることを気にしない者にとっては、機密文書の複写が可能になってしまうという問題がある。
そこで、このような問題を回避するには、特許文献1、2又は特許文献3、4で紹介されている技術が有効である。つまり、特許文献1、2に記載された技術によれば、入力された画像データを予め登録してある特定のマーク(パターンデータ)とパターンマッチング法で比較し、合致した場合に複写を禁止することで、紙幣や有価証券等の特殊原稿の複写を防止することができる。また、特許文献3、4に記載された技術によれば、マル秘マーク等のような機密文書であることを示すマークを検出したときに複写を禁止することで、機密文書の複写を防止することができる。
ところが、特許文献1、2に記載された技術では、複写を禁止したい原稿のパターンデータを全て予め登録しておかなければならない。したがって、紙幣や有価証券等の特殊原稿に対しては有効であるとしても、不特定多数の一般原稿、例えば機密文書に対して適用することは極めて困難である。また、特許文献3、4に記載された技術では、マル秘マーク等のような機密文書であることを示すマークの部分を紙などで覆い隠して画像読み取り動作が実行された場合には、当然のことながら機密文書であることを示すマークの存在を判定することができず、よって、複写を禁止すべき機密文書であってもその複写を防止することができないという問題がある。
このようなことから、この出願の発明者等は、特定の情報を意味するパターン、一例としてドットパターンを原稿画像記録用の原稿面に重畳し、その原稿画像が画像読み取りされた場合、そのようなドットパターン等のパターンを検出したらその原稿画像の出力を禁止する等のような制御をするようにした発明をなし、特許出願もしている(例えば、特願2002−213761、平成14年7月23日出願)。
しかしながら、検出対象となるパターン、一例としてドットパターンは、原稿読み取り装置に対して原稿が傾いてセットされた場合、つまりセットされた原稿が回転している場合には、この回転に合せて回転してしまう。このため、複数の代表回転角度に相当する個数だけドットパターン等の辞書パターンを持っておき、原稿の傾きに応じてそのドットパターン等を認識する等の措置が必要となる。このような手法は、比較的リアルタイム処理に向く手法であると言えるが、そのような手法を採用する場合、次に示すような問題が生ずる。
(第一の課題)
認識精度を向上させるためには、数多くの代表回転角度に対応する数多くの辞書パターンを持ち、認識の都度、画像読み取りしたドットパターン等と数多くの辞書パターンとをパターンマッチング等によって比較する必要がある。しかしながら、それでは認識処理に際してパターンマッチング等の比較処理の負担が増大し、リアルタイム処理が困難となってしまう。つまり、認識精度の向上とリアルタイム処理とは互いに矛盾して両立し難い。
そこで、本発明の目的は、認識精度の向上とリアルタイム処理との両立を図ることである。
(第二の課題) 原稿画像に対する画像読み取りに際しての各種読取り条件の相違等を原因として、必ずしもドットパターン等の特定の情報を意味するパターンの全てを検出することができるとは限らず、また、一般のドットからなる原稿画像中にたまたまそのようなパターンと一致するパターンが出現する可能性はあるため、特定の情報を意味するパターンを1個でも検出したら出力を制御する文書であると判定するのは妥当でない。特定の情報を意味するパターンがある程度の個数、密度で検出され、初めて出力を制御する文書であると判定するのが妥当である。このような背景からすると、認識精度を向上させるために、特定の情報を意味するパターン、例えばドットパターンを原稿画像の全面にできるだけ多く生成したいという要請がある。
ところが、特定の情報を意味するパターン、例えばドットパターンを単純に並べる場合には、余り密度を高くし過ぎると、隣接するドットパターンのドットと近接し過ぎて、そのようなドットパターンを構成する孤立ドットの認識が困難になってしまう。
そこで、本発明の目的は、特定の情報を意味するドットパターン等のパターンを原稿画像の全面にできるだけ多く生成したいという要請を満足させながら、隣接するドットパターンでの孤立ドットの誤認識を防止できるようにすることである。
(第三の課題)
特定の情報を意味するパターン、例えばドットパターンが均一なパターンではない場合を想定すると、そのような不均一なドットパターンを原稿面に単純に配置した場合、背景の地の模様としては均一性に乏しく、見た目に滑らかな背景でなくなってしまい、本来の原稿情報(文字や罫線など)が見づらくなってしまうという不都合が生ずる。
また、ドットパターンの一態様として特許文献5、6に紹介されているような地紋パターンがある。このような地紋パターンとして、複写時にドットが再現されずに消える部分で文字を浮かび上がらせる効果を持つ方のパターンを使用する場合、特定の情報を意味するドットパターン等のパターンを消えない方のパターンに使用すると、浮かび上がる白抜き文字が見づらくなるという問題も生ずる。
そこで、本発明の目的は、特定の情報を意味するドットパターン等のパターンによって、原稿画像における本来的な原稿情報の視認性が妨げられないようにすることである。
(第四の課題)
特定の情報を意味するドットパターン等のパターンを原稿面に配置した場合、通常、その原稿画像を見た一般のユーザに当該パターンが生成されていることが分かってしまう。このため、悪意のユーザによる攻撃を容易にするといったセキュリティ上好ましくない問題もある。
そこで、本発明の目的は、特定の情報を意味するドットパターン等のパターンを一般のユーザが見た場合であっても、セキュリティ性を維持できるようにすることである。
(第五の課題)
特定の情報を意味するパターン、例えばドットパターンが1種類だけであるとすると、原稿面に存在するかもしれない種々の線数の網点やドットからなる既存の模様等との間で誤検知がなされる可能性がある。
そこで、本発明の目的は、原稿面に存在するかもしれない既存の模様等と特定の情報を意味するドットパターン等のパターンとの間での誤検知を防止することである。
請求項1記載の発明は、原稿画像を記録するための原稿面に重畳されて特定の情報を意味するパターンを有する記録媒体であって、前記パターンが意味する前記特定の情報は、前記記録媒体に記録された前記原稿画像が画像処理装置によって画像読み取りされるに際してその画像処理装置に認識され、当該画像処理装置に所定の制御を実行させる情報であり、前記パターンは、複数の構成要素の組合せによって前記特定の情報を意味する単位を構成する基本パターンが複数合成された合成パターンとして生成されている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の記録媒体において、前記合成パターンは、複数の前記基本パターンの構成要素が互いに重なって生成されている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の記録媒体において、前記合成パターンは、前記基本パターンとは別にダミーパターンを有する。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の記録媒体において、前記合成パターンは、360度を整数分割して360度をその分割数で割った角度だけ回転させた複数の前記基本パターンを有する。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の記録媒体において、前記合成パターンは、所定角度回転した複数の前記基本パターンを有し、所定角度回転した複数の前記基本パターンを一組として前記特定の情報を意味する単位を構成する。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか一記載の記録媒体において、前記基本パターンの構成要素はドットである。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載の記録媒体において、前記特定の情報が前記画像処理装置に実行させる所定の制御は、前記原稿面に記録された原稿画像の出力禁止処理である。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の記録媒体において、前記出力禁止処理は、前記原稿画像のプリント出力の禁止処理である。
請求項1、6、7、8記載の発明によれば、上記課題の解決を図るための基礎を得ることができ、特に、合成パターンからは基本パターンを視認により確認することができないため、上記第四の課題を解決することができる。
請求項2、6、7、8記載の発明によれば、原稿面単位面積当たりに配置可能なパターン数を増やしてより高精度な検出を実現することができる。これにより、上記第二の課題の解決を図ることができる。
請求項3、6、7、8記載の発明によれば、全体の濃度の均一性が増して原稿画像が読み易くなり、また地紋効果における消えない方のパターンに使用した場合には浮かび上がる白抜き文字が見易くなるのと同時に基本パターンも視察で見つけられにくいようにすることができる。これにより、上記第三の課題の解決を図ることができる。
請求項4、6、7、8記載の発明によれば、回転バリエーションに対するパターンマッチング数を減少させてリアルタイム処理を実現させることができる。これにより、上記第一の課題を解決することができる。
請求項5、6、7、8記載の発明によれば、パターンの冗長性が増し、種々の線数の網点やドットからなる既存の模様等の存在によって生ずる誤検知の可能性を低くすることができる。これにより、上記第五の課題を解決することができる。
本発明の実施の形態を図1ないし図21に基づいて説明する。
1.記録媒体
まず、本実施の形態における記録媒体について図1ないし図18を参照しながら説明する。
(1)本実施の形態における特定情報を意味するパターンを説明するため前提となるパターン
図1ないし図12は、本実施の形態における特定情報を意味するパターンを説明するため前提となるパターンを有する記録媒体である。
図1は、原稿画像を例示する正面図である。図2は、原稿画像に埋め込まれたドットパターンが浮き上がって見えている原稿画像の複写物の一例を示す模式図である。図3は、原稿画像に埋め込まれたドットパターンが浮き上がって見えている原稿画像の複写物の別の一例を示す模式図である。図4は、図3に例示するドットパターンを拡大して示す模式図である。図5は、図2に例示するドットパターンを拡大して示す模式図である。
原稿画像101、図1に示す例では契約書である原稿画像101を作成する記録媒体としての原稿用紙102として、その背景に、出力禁止判定用のドット配列、つまりドットパターン103が埋め込まれた原稿用紙102が用いられている。もっとも、別の構成例として、ドットパターン103が形成されていない原稿用紙102を用い、契約書である原稿画像101を作成するに際して同時にドットパターン103を形成するようにしても良い。つまり、ドットパターン103は、原稿用紙102に予め印刷形成されていても良く、原稿用紙102に文字や図形等を画像形成するに際して同時に画像形成するようにしても良い。
図1ないし図5を参照して説明するドットパターン103は、ベース領域104とメッセージ領域105とを含んでいる。ベース領域104は、原稿用紙102の大部分を占める地部分の領域である。メッセージ領域105は、そのようなベース領域104中に分散されたメッセージを表現する領域である。これらのベース領域104とメッセージ領域105とは、ドットパターン103それ自体の基本的な構成そのものを異にするわけではなく、ドットパターン103に対する人間の価値判断としてベース領域104とメッセージ領域105とに別れているに過ぎない。本実施の形態において、メッセージ領域105は「複写禁止」という文字から構成されている。このようなメッセージ領域105を構成する文字としては、「複写禁止」の他、いかなる文字や記号その他のものをも用い得る。
このような原稿用紙102を用いて作成された原稿画像101は、この原稿画像101が複写等されると、ドットパターン103の一部が浮かび上がる。この場合、図2に例示する原稿画像101では、「複写禁止」という文字で表現されたメッセージ領域105が浮かび上がり、図3に例示する原稿画像101では、ベース領域104が浮かび上がる。
このように、ドットパターン103が埋め込まれた原稿画像101が複写されると、ドットパターン103においてメッセージ領域105とベース領域104との何れか一方が浮かび上がるのは、他方の領域104又は105が複写(再現)されにくいからである。換言すると、浮かび上がらない方の領域104又は105が消えることによって、残った方の領域104又は105が浮かび上がって見えるわけである。
このような現象を生じさせるドットパターン103は、例えば、図4及び図5に例示するように、大きさが異なる二種類のドット106の集合によって構成されている。つまり、これらの二種類のドット106のうち、小さなドット106bは複写(再現)されにくく、大きなドット106aは複写(再現)される。そこで、複写後にメッセージ領域105が浮き上がる図2に例示するドットパターン103では、図5に示すように、ベース領域104を構成する方に小さなドット106bが用いられ、メッセージ領域105を構成する方に大きなドット106aが用いられている。反対に、複写後にベース領域104が浮き上がる図3に例示するドットパターン103では、図4に示すように、メッセージ領域105を構成する方に小さなドット106bが用いられ、ベース領域104を構成する方に大きなドット106aが用いられている。
ドットパターン103の他の構成例として、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104は、ドットに限らず、細線パターンや特定の模様パターン等によっても構成可能である。
ここで、メッセージ領域105又はベース領域104は特徴量として扱い得る。ここでいう特徴量は、例えば原稿画像101を画像読み取りして得た画像データに含まれているある特徴をなす。これにより、メッセージ領域105又はベース領域104は、特定の情報を意味していることになる。そして、そのようなある特徴は、画像データに含まれている所定の情報として機能させることが可能である。例えば、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104がドット106で構成されているとすると、そのサイズ、密度(単位面積当たりにおけるドット数)、ドット間距離、ドット配置を、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104が細線パターンで構成されているとすると、その線の幅を、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104が特定の模様パターンで構成されているとすると、その模様の特徴等を、それぞれ特徴量として用いることができる。後述する本実施の形態では、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104を構成するドットパターンに特徴量を持たせ、このようなドットパターンに意味を持つ特定の情報を持たせている。
以上の例では、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104についての特徴量について限定したが、このような特徴量として、浮かび上がらないベース領域104又はメッセージ領域105、あるいは浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104と浮かび上がらないベース領域104又はメッセージ領域105との双方について、それぞれの特徴量を求めても良い。要は、ドットパターン103が埋め込まれた画像データが記録された原稿画像101が読み取られた際にそのベース領域104又はメッセージ領域105の何れか一方又は両方がデータとして判読できるものであれば、それを特徴量として扱うことが可能である。又は、データの形態で存在するドットパターン103が埋め込まれた画像データにおいて、そのドットパターン103を構成するベース領域104又はメッセージ領域105の何れか一方又は両方がデータとして判読できるものであれば、それを特徴量として扱うことが可能である。
別の構成例としては、前述した通り、ドットパターン103として、図6及び図7に例示するように、ベース領域104及びメッセージ領域105を有するドットパターン103ではないパターンを持ち得る。図6は、図1ないし図5を参照して説明したものとは別の構成例として、原稿画像とそのドットパターンとを例示する正面図、図7は図6とは異なる原稿画像とそのドットパターンとを例示する正面図である。図6及び図7に例示するドットパターン103は、単一の大きさのドット106から構成されている。このような図6及び図7に例示するドットパターン103は、いわば、図2ないし図5に例示するドットパターン103におけるベース領域104のみに相当するパターン、メッセージ領域105のみに相当するパターンと同様のものとして把握することが可能である。つまり、ベース領域104に相当するドットパターン103又はメッセージ領域105に相当するドットパターン103であっても、そのようなドットパターン103を有する原稿画像101が読み取られた際にそのドットパターン103がデータとして判読できれば、それを特徴量として扱うことが可能である。
図6に例示するドットパターン103は、原稿用紙102に描画された原稿画像101の背景画像として構成されている。この意味で、図2ないし図5に例示するドットパターン103と同様に、背景ドットパターンとなる。これに対して、図7に例示するドットパターン103は、原稿用紙102に描画された原稿画像101の上に描画されている。したがって、図7に例示するドットパターン103は、背景ドットパターンではなく、いわば前景ドットパターンである。
ここで、図2ないし図5、図6、図7に示すドットパターン103は、いずれも、ドットパターン103を構成する単一のドット106同士の関係が特徴量を持つドットパターン103である。つまり、図2ないし図5、図6、図7に示すドットパターン103の特徴量としては、ドット密度(単位面積当たりにおけるドット数)とドット間距離とを挙げることができるが、これらの特徴量は、いずれも、ドットパターン103を構成する単一のドット106同士の関係に含まれている。そこで、ドット密度という特徴量とドット間距離という特徴量とを比較して考察する。
まず、ドット106の密度であるドット密度は、前述したように、単位面積当たりにおけるドット数である。この特徴量は、判定対象となるある単位面積中のドットの数を計数することで判定可能である。実際のドット数を計数する場合、ある程度の検出漏れや誤検出が生ずる。そこで、計数したドット数の多少に対してある程度の許容値(閾値)を設定することで、ドット106の密度を特徴量としてその特徴量の検出が可能となる。この場合、計数したドット数の多少に対して設定する閾値が厳しい値、つまり許容範囲が小さい値であれば、判定漏れが生じ易く、反対に、計数したドット数の多少に対して設定する閾値が緩い値、つまり許容範囲が大きい値であれば、判定漏れが生じにくくなる。
ところが、図6に例示するドットパターン103を参照すると、ドットパターン103が含むあるドット106は原稿用紙102に描画された原稿画像101によって検出不可能な状態となっている。これに対して、図7に例示するドットパターン103では、原稿用紙102に描画された原稿画像101の上にドットパターン103が描画されていることから、図6に例示するドットパターン103よりは各ドット106を検出し易い状態である。しかしながら、原稿用紙102に描画された原稿画像101と重なるドット106については、必ずしも正しく検出できるとは限らない。このため、ドット数を検出することができる程度は、原稿用紙102に描画された原稿画像101の態様に大きく影響される。したがって、ドット密度を特徴量とした場合には、計数したドット数の多少に対してある程度の許容値(閾値)を設定したとしても、その特徴量の判定に判定漏れが生じ易いと言える。
次いで、隣接するドット106の間の距離dであるドット間距離を特徴量とする場合について図8ないし図10を参照して説明する。図8はドット間距離をdとするドットパターン103を例示する模式図、図9はドット間距離を横軸に取りその出現頻度を縦軸に取って隣接するドット106の間の距離分布を表現するグラフである。図10はドットパターンを例示する模式図である。
図8に示すように、隣接する二つのドット106の間の距離dが一定であるドットパターン103(図10(a)参照)において、このドットパターン103を構成するドット106のうち、隣接する二つのドット106の間の距離dであるドット間距離は特徴量となる。この場合、ドットパターン103からドット106を検出し、隣接するドット106の間の距離dを複数判定した場合には、図9(a)のグラフに示すように、正しいドット106の間の距離dをピーク値とする尖った山形の分布を描く。そこで、距離dに対してある程度の許容値(閾値)を設定することで、ドット106の間の距離dを特徴量としてその検出が可能となる。この場合、図9(a)のグラフから明らかなように、距離dに対して設定する閾値が厳しい値、つまり許容範囲が小さい値であれば、判定漏れが生じ易く、反対に、距離dに対して設定する閾値が緩い値、つまり許容範囲が大きい値であれば、判定漏れが生じにくくなる。
しかしながら、隣接する二つのドット106の間の距離dが一定であるドットパターン103における二つのドット106の間の距離dを特徴量とする場合、図10(a)に例示するパターンと図10(b)に例示するパターンとの区別が付かなくなる。ここに、図10(a)は、注目ドット106から見て、距離dだけ離れた他のドット106が四つあるドットパターンを例示し、図10(b)は、注目ドット106から見て、距離dだけ離れた他のドット106が三つあるドットパターンを例示する。この場合、一例として、図10(a)が検出対象となっているドットパターン103であるとして、原稿用紙102に描画された原稿画像101に図10(b)に例示するようなドット106のパターンが含まれている場合、あるいはその逆の場合、ドット密度を特徴量とした場合には検出対象であるドットパターン103の検出を行なうことができるのに対して、ドット間距離を特徴量とした場合には検出対象であるドットパターン103の検出を行なうことができなくなってしまう。つまり、隣接する二つのドット106の間の距離dが一定であるドットパターン103を検出対象とする場合には、過検出が生じ易くなる。
そこで、図10(c)には、ドット間距離を特徴量とし、検出対象であるドットパターン103の検出を正しく行ない得るようなドットパターン103を例示する。図10(c)に例示するドットパターン103は、ドットの間の距離dが複数種類設定され、しかも、各種類のドット間距離dの頻度が異なるように設定されている。このため、図9(b)に示すように、隣接ドット間距離のピーク値分布が特徴量を持つ。そこで、このような隣接ドット間距離のピーク値分布という特徴量を検出することで、過検出なく検出対象となるドットパターン103を検出することができる。
以上説明したように、図2ないし図5、図6、図7に示すドットパターン103は、いずれも、ドットパターン103を構成する単一のドット106同士の関係が特徴量を持っている。これに対して、図11及び図12には、ドットパターン103それ自体、あるいはドットパターン103の集合が特徴量を持っている例を示す。つまり、図11に例示するように、ドットαとドットβとの間の距離α−βと、ドットβとドットγとの間の距離β−γと、ドットαとドットγとの間の距離α−γとは、それぞれ異なるように設定されており、これらのドットα、β、γで一組のドットパターン103が構成されている。このようなドットパターン103は、一例として、パターンマッチングによって容易に判定可能である。そして、図11に例示するようなドットパターン103それ自体、あるいはそのようなドットパターン103の集合は、特徴量を持つ。ドットパターン103の集合に特徴量を持たせる手法としては、一例として、図11に例示するようなドットパターン103の単位面積当りの密度を採用し得る。
なお、ドットパターン103は、画像データに含まれる特定の情報、つまり画像データに含まれているある特徴の一態様であるドットの配列を例示しているに過ぎない。画像データに含まれる特定の情報、つまり画像データに含まれているある特徴としては、ドット以外の線やその他の形状の表現でもよいし、形状以外の色やその他の画像特徴であってもよい。
(2)本実施の形態における特定情報を意味するパターン
本実施の形態における特定情報を意味するパターンは、図11及び図12に示した構成例と同様にドットパターン103として形成されているが、このドットパターン103は、複数の構成要素であるドット106の組合せによって特定の情報を意味する単位を構成する基本パターン103aが複数合成された合成パターン103bとして生成されている。つまり、本実施の形態では、図11及び図12に例示したドットパターン103を基本パターン103aとし、この基本パターン103aに特定の情報を意味付けている。その上で、そのような基本パターン103aを複数合成して合成パターン103bとしてドットパターン103を構成している。
図13ないし図18には、そのような本実施の形態のドットパターン103を複数種類例示する。
図13は、本実施の形態におけるドットパターン103(合成パターン103b)の生成手法の一例を例示する模式図である。図13中、「基本パターン」と言う文字で示しているのは、図11及び図12に例示したドットパターン103と同一の基本パターン103aである。図13中、「基本パターンを180度回転したパターン」と言う文字で示しているのは、基本パターン103aを180度回転した基本パターン103a´である。そして、合成パターン103bは、そのような基本パターン103aとこの基本パターン103aを180度回転した基本パターン103a´とを合成して生成されている。この場合、基本パターン103aにおけるドットαとその180度回転した基本パターン103a´におけるドットγとが重ね合わされ、基本パターン103aにおけるドットγとその180度回転した基本パターン103a´におけるドットαとが重ね合わされて合成パターン103bが構成されている。
以上説明したように、本実施の形態の合成パターン103bによれば、合成パターン103bからは基本パターン103a、103a´を視認により確認することができない。このため、特定の情報を意味するドットパターン103である合成パターン103bを一般のユーザが見た場合であっても、セキュリティ性を維持することができる。これにより、上記第四の課題が解決される。
また、合成パターン103bは、180度回転した二つの基本パターン103a、103a´の組合せによって構成されているので、認識精度を向上させるために、360度に渡り代表回転角度に対応する数多くの辞書パターンを持つ必要なく、つまり、180度の範囲内で代表回転角度に対応する辞書パターンを持つことで、画像読み取りした合成パターン103bと複数の辞書パターンとをパターンマッチング等によって比較し、その合成パターン103bが特定の情報を意味するパターンであるかどうかを判定すれば良い。このため、回転バリエーションに対するパターンマッチング数を1/2に減少させてリアルタイム処理を実現させることができる。これにより、認識精度の向上とリアルタイム処理との両立を図ることができる。これにより、上記第一の課題が解決される。
ここで、第一の課題を解決するための合成パターン103bとしては、180度回転した二つの基本パターン103a、103a´の組合せによって構成されたパターンに限らず、360度を整数分割して360度をその分割数で割った角度だけ回転させた複数の基本パターン103aの組合せによって構成されていても良い。その一例として、合成パターン103bは、120度ずつ回転させた三つの基本パターン103aの組合せによって構成されていても良い。
さらに、本実施の形態では、複数の基本パターン103aの構成要素であるドット106、つまり、基本パターン103aにおけるドットαとその180度回転した基本パターン103a´におけるドットγ、基本パターン103aにおけるドットγとその180度回転した基本パターン103a´におけるドットαとが互いに重なって合成パターン103bが生成されている。このため、特定の情報を意味するドットパターン103である合成パターン103bを原稿画像101の全面にできるだけ多く生成したいという要請を満足させながら、隣接するドットパターン103である基本パターン103aでの孤立ドットの誤認識を防止することができる。これにより、上記第二の課題が解決される。
図14は、ドットパターン103(合成パターン103b)の別の実施の一例を示す模式図である。図15は、図14に例示するドットパターン103(合成パターン103b)を有する原稿画像101の一例を示す模式図である。図14に示す例では、図13で例示した合成パターン103bを基本パターン103aとし、この基本パターン103aと、その基本パターン103aを180度回転させて反転させた基本パターン103a´、それに基本パターン103aを所定のα度回転させた基本パターン103a´´と基本パターン103aを180度回転させて反転させた基本パターン103a´を更に所定のα度回転させた基本パターン103a´´´とを組み合わせて合成パターン103bを生成している。
本実施の形態の合成パターン103bによれば、合成パターン103bからは基本パターン103a、103a´、103a´´、103a´´´を視認により確認することができない。このため、特定の情報を意味するドットパターン103である合成パターン103bを一般のユーザが見た場合であっても、セキュリティ性を維持することができる。これにより、上記第四の課題が解決される。
また、合成パターン103bは、180度回転した二つの基本パターン103a、103a´の組合せによって構成された合成パターン103bを更に基本パターン103aとしてこの基本パターン103aを各種回転させた基本パターン103a、103a´、103a´´、103a´´´の組合せによって構成されているので、認識精度を向上させるために、360度に渡り代表回転角度に対応する数多くの辞書パターンを持つ必要なく、つまり、180度の角度範囲内、あるいはある角度範囲で代表回転角度に対応する辞書パターンを持つことで、画像読み取りした合成パターン103bと複数の辞書パターンとをパターンマッチング等によって比較し、その合成パターン103bが特定の情報を意味するパターンであるかどうかを判定すれば良い。このため、回転バリエーションに対するパターンマッチング数を1/2に減少させてリアルタイム処理を実現させることができる。これにより、認識精度の向上とリアルタイム処理との両立を図ることができる。これにより、上記第一の課題が解決される。
しかも、本実施の形態では、所定のα度回転した一対の基本パターン103a及び103a´と基本パターン103a´´及び103a´´´とによって特定の情報を意味する単位を構成することが可能である。このため、原稿面に存在するかもしれない既存の模様等と特定の情報を意味するドットパターン103である合成パターン103bとの間での誤検知を防止することができる。つまり、パターンの冗長性が増し、種々の線数の網点やドットからなる既存の模様等の存在によって生ずる誤検知の可能性を低くすることができる。これにより、上記第五の課題を解決することができる。
図16は、ドットパターン103(合成パターン103b)の更に別の実施の一例を示す模式図である。図17は、図16に例示するドットパターン103(合成パターン103b)を有する原稿画像101の一例を示す模式図である。本実施の形態では、図14及び図15に例示した合成パターン103bに白抜き丸形状として示すダミードット107が付加されている。ダミードット107は、ダミーパターン103cとしてあるパターン形態を持つ。これにより、原稿画像101の全体の濃度の均一性が増して原稿画像101が読み易くなる。そして、合成パターン103bの存在によって原稿画像101における本来的な原稿情報の視認性が妨げられないようにすることができる。これにより、上記第三の課題の解決を図ることができる。
図18は、ドットパターン103(合成パターン103b)の更に別の実施の一例を示す模式図である。本実施の形態では、図14及び図15に例示した合成パターン103bに地紋効果によって消える白抜き文字(Tの字)がメッセージ領域105として重畳されている。したがって、合成パターン103bは、地紋効果における消えない方のパターンであるベース領域104として使用されている。このように、複写時にドット106が再現されずに消える部分で文字(Tの字)を浮かび上がらせる効果を持つメッセージ領域105を使用する場合、地紋効果における消えない方のベース領域104に合成パターン103bを使用した場合、浮かび上がる白抜き文字(Tの字)が見易くなる。それと同時に、そのような合成パターン103bを構成する基本パターン103aも眼で見て見つけられにくいようにすることができる。これにより、上記第三の課題の解決を図ることができる。
2.画像処理装置
次いで、本実施の形態における特定の情報を意味するパターンであるドットパターン103(合成パターン103b)を検知する画像処理装置について説明する。この画像処理装置は、ドットパターン103(合成パターン103b)が意味する特定の情報を、機密文書判定用又は出力禁止文書判定用の情報であると認識する。
(1)ハードウェア構成
図19は、画像処理装置のハードウェア資源を示すブロック図である。図20は、画像入力手段としてのスキャナの縦断側面図である。
図19に示すように、本実施の形態の画像処理装置は、画像読取装置としてのスキャナ201、デジタル回路構成の画像処理部202、及びプロッタ203をシステムコントローラ204で制御するデジタル複写機構成とされている。システムコントローラ204は、コンピュータ1001の一部を構成し、内蔵するCPU(Central Processing Unit)204a、ROM(Read Only Memory)204b、及びRAM(Random Access Memory)204cから構築されるコンピュータ機能を活用し、操作表示部205からの指示に応じてスキャナ201、画像処理部202、及びプロッタ203を制御し、必要な情報を操作表示部205に返して表示させる。
ここで、スキャナ201について図20を参照して詳しく説明する。図20に示すように、スキャナ201のスキャナ本体2上には、自動原稿送り装置であるADF(Automatic Document Feeder )3が支軸3aにより開閉回動自在に備えられており、原稿移動型読取動作モードとセンサ移動型読取動作モードとが選択自在とされている。スキャナ本体2には原稿用紙102(図20には図示せず)が載置される矩形状のコンタクトガラス4が備えられており、このコンタクトガラス4に対向するスキャナ本体2の内部には、光学ユニット5が備えられている。この光学ユニット5は一般的に密着型イメージセンサと呼ばれているものであって、光源(図示せず)と、多数の撮像素子(CCD:Charge Coupled Device)を原稿の読取幅に相当する長さ分をライン状に連設したラインセンサ(図示せず)とを有している。光学ユニット5は、これらの撮像素子の配列方向を主走査方向B(図20の紙面と直交方向)としている。この光学ユニット5にはステッピングモータである駆動モータ6がプーリやワイヤなどにより連結されており、光学ユニット5は副走査方向Aに移動自在とされている。この光学ユニット5は、通常、図20に示す副走査方向Aの上流側をホームポジションHPとして位置し、下流側に移動する過程で、光源がコンタクトガラス4上に載置される原稿用紙102の原稿画像101(図20には図示せず)を照射し、原稿用紙102からの反射光をラインセンサが受光することにより原稿画像101を読取走査する。
このような光学ユニット5による原稿画像101の読取走査は、センサ移動型読取動作モードであるブックモードの設定下で実行されるが、スキャナ201には、このようなブックモードの他に、原稿移動型読取動作モードであるADFモードも、動作モードとして、後述する操作表示部205(図19参照)において切替自在に設定されている。このADFモードの設定下では、光学ユニット5をホームポジションHPにセットした状態でADF3により原稿用紙102を順次搬送することにより、原稿画像101が読取走査される。
ADF3は、原稿トレイ7、ピックアップローラ8、一対のレジストローラ9、搬送ドラム10、一対の搬送ローラ11、一対の排紙ローラ12等を有しており、ホームポジションHPに位置する光学ユニット5上を順次通過するように原稿用紙102を副走査方向Aに順次搬送して排紙トレイ13に排紙させる。この排紙トレイ13は原稿カバー14の上面に設けられており、この原稿カバー14はコンタクトガラス4に対して開閉自在とされている。ADF3のピックアップローラ8とレジストローラ9と搬送ドラム10と搬送ローラ11と排紙ローラ12とには、ステッピングモータ(図示せず)がギヤ列などにより連結されている。
次いで、画像処理部202について説明する。画像処理部202は、再生用画像処理部211、情報抽出部212、出力制御部213を含んでいる。
再生用画像処理部211は、図19(b)に示すように、フィルタ処理部206、変倍処理部207、γ処理部208、及び階調処理部209を含んでいる。これらの各部206、207、208、209は、一般的なデジタル複写機が備える同等の回路構成と異なる点はないため、その説明は省略する。このような再生用画像処理部211は、デジタル回路やSIMD等のプロセッサ等によって構築可能である。
出力制御部213は、情報抽出部212での後述する判定結果に応じて、スキャナ201による読み取り画像の画像データをプロッタ203に出力するかどうかを決定する。
情報抽出部212は、図19(c)に示すように、ドットパターン検出部212a及び出力禁止文書判定部212bを具備する。これらのドットパターン検出部212a及び出力禁止文書判定部212bは、機密文書のような出力禁止文書を検出判定し、その複写を禁止するデジタル回路構成のハードウェアである。別の実施の形態として、SIMD等のようなプロセッサによって情報抽出部212を構成しても良い。
ドットパターン検出部212aは、原稿画像101の画像データに含まれる機密文書判定用又は出力禁止文書判定用のドットパターン103に含まれている基本パターン103aをパターンマッチング等の手法を用いて画像データから検出する処理と、検出した基本パターン103aを出力禁止ドットパターンとして図示しない記憶領域に記憶されている比較判定用の基準パターンと比較する処理と、検出した基本パターン103aと比較判定用の基準パターンとの間に同一性が認められるかどうかを判定する処理とを実行する。これにより、原稿画像の種類を問わず、検出したドットパターン103に含まれている基本パターン103aの特徴量と図示しない記憶領域に記憶されている比較判定用の基準パターンの特徴量との同一性を確認することで、原稿画像101の画像データの出力を禁止すべきかどうかを判定することが可能となる。
そして、出力禁止文書判定部212bは、スキャナ201で読み取った原稿画像101が出力禁止文書であると判定した場合、システムコントローラ204へ出力禁止文書が検出されたことを送信する。これに応じて、システムコントローラ204は、出力禁止文書検知後の事後処理、つまり、プロッタ203での複写動作(プリント出力動作)を禁止する。これにより、スキャナ201で読み取った原稿画像101が機密文書のような出力禁止文書である場合には、その複写(再現)が防止される。
なお、出力禁止文書の出力を禁止する態様として、本実施の形態では複写の禁止を例示したが、これは単なる一例に過ぎず、例えば、スキャナ201で読み取った原稿画像101の画像データについてスキャナ配信を禁止するような出力禁止態様を採用しても良い。この場合、配信の手法としては、出力禁止文書を本文又は添付文書として電子メールで送信したり、ファクシミリ送信したり、データ送信したりすることが可能であり、スキャナ配信を禁止することで、そのような各種の配信態様が禁止される。
別の実施の形態として、システムコントローラ204は、出力禁止文書検知後の事後処理として、元の原稿画像101の複写結果が複写物としての利用に耐え得ない状態、あるいは判読不能な状態でプロッタ203から出力されるように、元の原稿画像101の画像信号を変更するようにしても良い。その一例として、画像信号を一定の画素値に変更し、塗りつぶしてしまうような処理を行なう。この場合において、グレー(256階調で128)、白、黒などで塗りつぶすことが可能である。また、別の一例としては、何らかのパターンを繰り返し発生させるように画像信号を変更しても良い。
あるいは、出力禁止文書の出力自体は禁止しないまでも、その出力を抑制する態様として、複写禁止文書が画像読み取りされたり画像出力されたりしたことを、例えばシステムコントローラ204に接続されている通信処理部214を介して外部の遠隔操作部215に通知するようにしても良い。この場合の通知先である遠隔操作部215は、一例ではあるが、各種の管理者が使用する広義のコンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ、携帯電話等であることが好適である。
これに対して、スキャナ201で読み取った原稿画像101が機密文書のような出力禁止文書でない場合には、通常の複写動作(プリント出力動作)を実行する。つまり、スキャナ201で読み取った原稿画像101の画像データを画像処理部202で処理し、その結果をプロッタ203で出力する。
(2)処理プロセス
以上、ドットパターン検出部212a及び出力禁止文書判定部212bをデジタル回路やSIMD等のプロセッサとして構成した例を説明した。これに対して、実施に際しては、一例としてシステムコントローラ204のROM204bにファームウェアとしてインストールされ、別の一例としてシステムコントローラ204が活用可能なHDD216等にインストールしたコンピュータソフトウェアに基づいて、コンピュータ1001がドットパターン検出部212a及び出力禁止文書判定部212bの機能を実現するように構成しても良い。この場合、HDD216等にインストールされたコンピュータソフトウェアの全部又は一部は、一例として、システムコントローラ204が有するRAM204cにコピーされて実行することが好適である。
ここで、コンピュータソフトウェアに基づいてコンピュータ1001が実行するドットパターン検出部212a及び出力禁止文書判定部212bの処理内容を図21に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、図21に示す処理ルーチンは、ある時間で実行されており、スキャナ201によって原稿画像101が読み取られて画像データが入力されたかどうかの判定が繰り返されている(ステップS201)。
スキャナ201によって原稿画像101が読み取られて画像データが入力されたと判定された場合(ステップS201のY)、例えばRAM204cという包括概念で示されるメモリが有する画像メモリ中に入力された画像データがコピーされる(ステップS202)。
これに対して、スキャナ201によって原稿画像101が読み取られて画像データが入力されたと判定されない場合には(ステップS201のN)、スキャナ201によって原稿画像101が読み取られて画像データが入力されたかどうかの判定に待機する。
そして、そのような画像メモリにコピーされた画像データからドット106を検出する(ステップS203)。この場合の検出手法としては、コンピュータ処理によって画像パターンを検出する従来の各種の手法、例えばパターンマッチングを用い得る。
次いで、CPU204aの演算機能によって、特定のドットパターン103の検出、つくまり、ドットパターン103に含まれている基本パターン103aの有無の検出がなされる。この場合、システムコントローラ204の内外に存在する記憶領域、例えばHDD216、ROM204b、RAM204c等には、機密文書等の出力禁止文書判定用の基準となる比較判定用の基準パターンが格納されており、ステップS204では、スキャナ201によって読み取られた原稿画像101の画像データ中に比較判定用の基準パターンと同一の基本パターン103aが存在しているかどうかを検出する。この場合の検出手法としては、コンピュータ処理によって画像パターンを検出する従来の各種の手法、例えばパターンマッチングを用い得る。
次いで、CPU204aの演算機能によって、ステップS204で検出されたドットパターン103に含まれている基本パターン103aについて、ある面積内での密度が計算される(ステップS205)。この計算は、ある面積内におけるステップS204で検出された基本パターン103aの個数を求めることでなされる。
次いで、システムコントローラ204の内外に存在する記憶領域、例えばHDD216、ROM204b、RAM204c等には、機密文書等の出力禁止文書判定用の基準となる比較判定用の基準パターン密度が格納されている。そこで、ステップS206では、ステップS205の計算処理によって求められた基本パターン103aの密度が比較判定用の基準パターンの密度と一致しているかどうかが判定される。その結果、判定結果が肯定的である場合には(ステップS206のY)、例えばRAM204cの記憶領域に一致したドットパターン数を累積して(ステップS207)ステップS208のステップに進み、判定結果が否定的である場合にはステップS207の処理をすることなくステップS208のステップに進む。そして、ステップS208では、例えばRAM204cの記憶領域に累積記憶した基本パターン103aのパターン数がある閾値内であるかどうかを判定し(ステップS208)、その結果に応じて出力禁止文書判定処理を実行する(ステップS209)。
こうして、本実施の形態では、原稿画像の種類を問わず、検出した基本パターン103aの特徴量(ドットパターン103の形態)と記憶領域に記憶されている比較判定用のパターンの特徴量との同一性を確認することで、原稿画像101の画像データの出力を禁止すべきかどうかを判定することが可能となる。