JP2005151364A - 電力線通信システムおよび方法、ならびに電力線通信用送信機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電力線通信における通信状態の改善を行い、誤り率特性を向上させる。
【解決手段】 送信機Txを、例えば単相3線式の電力線部分において、伝送路31A,31Bの双方に接続し、受信機Rxを、伝送路31A,31Bのいずれか一方に接続する。送信機Txは、接続された各伝送路31A,31Bのそれぞれに信号s1(t),s2(t)を送出する。受信機Rxは、送信機Txから第1の伝送路31Aに向けて直接送出された第1の送信信号s1(t)と、間接的に伝送されてきた第2の送信信号s2(t)とを、第1の伝送路31A上で受信する。各信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分は、各伝送経路の伝送特性に応じて適応的に最適化されている。各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた送信信号s1(t),s2(t)を送出することで、誤り率特性を向上させる。
【選択図】 図8
【解決手段】 送信機Txを、例えば単相3線式の電力線部分において、伝送路31A,31Bの双方に接続し、受信機Rxを、伝送路31A,31Bのいずれか一方に接続する。送信機Txは、接続された各伝送路31A,31Bのそれぞれに信号s1(t),s2(t)を送出する。受信機Rxは、送信機Txから第1の伝送路31Aに向けて直接送出された第1の送信信号s1(t)と、間接的に伝送されてきた第2の送信信号s2(t)とを、第1の伝送路31A上で受信する。各信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分は、各伝送経路の伝送特性に応じて適応的に最適化されている。各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた送信信号s1(t),s2(t)を送出することで、誤り率特性を向上させる。
【選択図】 図8
Description
本発明は、信号の伝送媒体として電力線を用いる電力線通信システムおよび方法、ならびに電力線通信用送信機に関する。
従来より、通信ネットワークの構築手段として、有線を利用した通信システム、無線を利用した通信システムおよび電力線を利用した通信システムが知られている。このうち特に、電力線通信システムは、他の有線通信システムや無線通信システムに対して、例えば以下の優位性を持つと考えられる。
第1に、既設の電力線を通信媒体として使用するため、新規に通信路を敷設する必要がなく、他の有線通信システムに比べて導入コストを低減できる。第2に、無線通信システムは、新規に通信路を必要としない点では電力線通信と同様であるが、建造物の構造(コンクリート構造や鉄筋構造、土壁など)、および室内における人間や什器の存在などによっては、無線電波が遮断され、通信状態が不安定になる傾向がある。これに対し、現在、欧米で実証実験が行われている高速電力線通信システムは、コンクリート構造の建物でも比較的安定した通信が行うことができ、人体や什器等の影響も少ないと考えられる。既に米国では、電力線通信の標準化団体であるHomePlugによって、米Intellon社の技術を元に、搬送波周波数帯域として4.5MHz〜21MHzを使用し、伝送速度14Mbpsのシステムが標準化されている。
一方、電力線通信の通信速度は、現状14Mbpsで、今後25Mbpsや45Mbpsのものが製品化予定とはいえ、他のシステムに対して伝送速度が遅い。また、電力線の配線構造が管理されていないため、配線構造による伝送特性の劣化によって誤り率特性が悪化し、通信速度が低下するという問題が指摘されている。
電力線通信システムでは、変復調方式として、複数の搬送波で信号を伝送するマルチキャリア方式、特に、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)方式が一般に用いられている。マルチキャリア方式では、データが複数の搬送波に分散されるため、全データが欠落する確率が低く、伝送特性が劣化し易い電力線通信に適した方式となっている。
図22は、OFDM方式における搬送波(…,Cn-1,Cn,Cn+1,…)の周波数分布を示している。OFDM方式では、各搬送波(サブキャリア)に直交性を持たせることにより、各搬送波の周波数成分を相互に重なり合わせた状態にすることができ、これにより周波数利用効率を高めている。OFDM方式では、これら周波数の異なる複数の搬送波にデータを分散させて伝送する。
特許文献1には、マルチキャリア方式を用いる電力線通信において、例えばノイズの大きい周波数帯域を避け、信頼性の高くなるような搬送波のみを選択的に使用して、信号伝送の信頼性を高めるような技術が記載されている。
また、電力線通信において、伝送路の特性を補償し、誤り率特性を改善する方法として、ダイバーシチ技術を適用することが考えられる。無線通信の分野では、複数の送信アンテナまたは複数の受信アンテナを用いた空間ダイバーシチ技術が研究されている。なかでも、時間周波数空間符号化技術であるSTC(Space-Time Coding)や、SFC(Space-Frequency Coding)は、誤り率特性の改善に対して有効な手法として知られている。電力線通信にダイバーシチ技術を適用した研究としては、非特許文献1,2に記載されたものがある。
非特許文献2に記載の技術は、図23(A)に示したように、単相3線式の電力線における2系統の伝送路のうちの一方に送信機111を接続し、2系統の双方に受信機112A,112Bを接続したものである。単相3線式の電力線は、第1および第2の電力供給線101A,101Bと接地線(中性線)101Cとからなり、第1の電力供給線101Aおよび接地線101Cのペア(第1の系統)と、第2の電力供給線101Bおよび接地線101Cのペア(第2の系統)との2系統で、それぞれ一般に100Vの電圧を配電している。送信機111は、例えば第1の系統に接続されている。
この方式では、図23(B)に示したように、第1の系統の伝送路に重畳された信号を、第1および第2の系統のそれぞれにおいて受信する。第1の受信機112Aでは、送信機111からの送信信号121を、第1の系統の伝送路を介して直接受信する。一方、第2の受信機112Bでは、送信機111が接続されている第1の系統側から第2の系統に回り込んで伝送されてきた信号122を、間接的に受信する。その後、受信機112A,112Bで受信した各信号を位相補償して加算することで、受信SNR(Signal to Noise Ratio)を改善している。
一般に、単相3線式電力線の異系統間(100V系統間)には、柱上トランスの2次側巻線、単相3線式電力線の接地線101Cを含まない配線間(200V系統)に接続された機器電源の入力コンデンサ、および異系統間の容量結合などによって、相互結合が存在する。ダイバーシチ技術を適用せず、送信機および受信機を共に1の系統にのみ接続する方式の場合、相互結合により他の系統から間接的に伝送されてきた信号も受信されることになり、伝送特性に悪影響を及ぼす。一方、図23(B)に示した方式では、相互結合により第2の系統に回り込んで伝送されてきた信号122を第2の受信機112Bで受信し、積極的に活用している。
一方、非特許文献1には、単相3線式電力線における2つの100V系統の伝送路のそれぞれに、送信機および受信機を接続したシステムが示されている。このシステムでは、各系統に接続された送信機から各系統に信号を送出し、それを各系統に接続された受信機で受信し、合成する。このシステムでは、図23(B)に示したような相互結合による異系統間の信号の回り込みはないものと仮定している。すなわち、一方の100V系統の伝送路に送出された信号は、他方の100V系統の伝送路に伝送されることなく、一方の伝送路上でのみ受信されるものとしている。
また、データ通信の分野において、符号化データの誤り率特性を改善する方法として、インターリーブ方式が知られている。インターリーブとは、バースト誤りに弱くランダム誤りに強い誤り訂正方式と併用して、バースト誤りに対する誤り訂正能力を高める手法である。バースト誤りとは、一連のデータ列中において、連続した複数のデータ誤りが存在することをいう。通信システムでインターリーブを用いる場合、符号化データをランダムに並び替えて送信し、受信後に元の状態に並び替えることにより、バースト誤りをランダム誤りに変換することができる。インターリーブの方式としては、ブロックインターリーブや畳み込みインターリーブなどが知られている。電力線通信システムにインターリーブ方式を適用した従来技術は、例えば特許文献2に記載されている。また、特許文献3には、OFDM方式によるデータ伝送システムにインターリーブ方式を適用した例が記載されている。
特開2000−165304号公報
特開2002−204188号公報
特開2003−507930号公報
C.L.Giovaneli,J.Yazdani,P.Farrell and Honary"Application of Space-Time Diversity/Coding For Power Line Channels"6th International Symposium on Power-Line Communications and Its Applications 2002,pp.101-105,Athens,Greece,Mar.2002.
橋本直樹,秋山利男,小澤吉賢,河野隆二,今井秀樹,「低圧配電線データ伝送のための位相ダイバーシチ受信方式」,電気情報通信学会論文誌 B−I,Vol.J75−B−I,No.10,pp.658−666,Oct.1992
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、ノイズの大きい周波数帯域を避けるなどの手法を採用しているため、使用周波数帯域が狭まるなどの問題点がある。また、図23(A),(B)に示した上記非特許文献2に記載の方式は、電力線通信の欠点の1つである異系統間の信号の回り込み現象を積極的に活用して、受信SNRを改善するものであるが、STCのような符号化処理を行うものではなく、受信ダイバーシチのみを行う技術である。一方、非特許文献1に記載の方式では、異系統間の信号の回り込み現象がないものと仮定しているので、2つの100V系統の両方に信号を送信し、2つの100V系統の両方で信号を受信するシステムモデルにしか適用できず、汎用性に欠ける。
ところで、日本の低圧配電線は、柱上トランスより分電盤までは単相3線式、分電盤より屋内の電力線は、単相3線式から分岐して形成された単相2線式となっている。この屋内の単相2線式の部分にネットワークを構築する場合、図23(A),(B)に示した方式では、異なる系統間にそれぞれ受信機を配置し、それらを電気的に相互結合する必要があるが、各系統が位置的に同一場所にあるとは限らないため、そのネットワーク構築は実用上不向きである。
そこで、本願出願人は、電力線通信において、異系統間の信号の回り込み現象を積極的に利用することで、送受信ダイバーシチを実現する技術を提案している(特願2003−81250、特願2003−81522)。この送受信ダイバーシチの技術を用いることで、従来に比べて電力線通信における通信状態の改善を行うことができる。この送受信ダイバーシチの性能をさらに向上させるために、インターリーブ方式を適用することが考えられる。
従来の電力線通信システムでは、例えば特許文献2に記載されているように、送信側にインターリーブを行うインターリーバを1つ配置すると共に、受信側にそれに対応したデインターリーバを1つ配置してインターリーブ処理を行っている。しかしながら、このような従来の電力線通信システムにおけるインターリーブ方式は、必ずしも送受信ダイバーシチに適用する場合において最適なものとは限らず、さらに改善の余地がある。また、インターリーブ方式には例えば以下のような問題点があり、これを改善する技術の開発が望まれる。
以下、図21(A)〜(C)を参照してブロックインターリーブを例に、その問題点を説明する。ブロックインターリーブは、メモリ・マップ空間に書き込まれたデータを、書き込み時とは異なる順番で読み出すことにより、データの配列を並び替えるものである。例えば4行4列のメモリ・マップ空間に、
{a1,b1,a2,b2,a3,b3,a4,b4,a5,b5,a6,b6,a7,b7,a8,b8}
というデータ列を、左端から右端へ上の行から下の行へ(図21(B)参照)と順番に書き込み、図21(A)に示したようにデータを記憶する。これを例えば図21(C)に示したように、左上端を始点として上端から下端へ左列から右列へと順番に読み出すことにより、
{a1,a3,a5,a7,b1,b3,b5,b7,a2,a4,a6,a8,b2,b4,b6,b8}
というデータ列に変換される。
{a1,b1,a2,b2,a3,b3,a4,b4,a5,b5,a6,b6,a7,b7,a8,b8}
というデータ列を、左端から右端へ上の行から下の行へ(図21(B)参照)と順番に書き込み、図21(A)に示したようにデータを記憶する。これを例えば図21(C)に示したように、左上端を始点として上端から下端へ左列から右列へと順番に読み出すことにより、
{a1,a3,a5,a7,b1,b3,b5,b7,a2,a4,a6,a8,b2,b4,b6,b8}
というデータ列に変換される。
この変換後(インターリーブ後)のデータに対しバースト誤りとして、例えば{b1,b3,b5,b7},{b2,b4,b6,b8}に誤りが発生すると、元のデータ列に並べ直した場合、偶数番目のデータに誤りを有するランダム誤りに変換される。ところが、インターリーブ後のデータに対しランダム誤りとして、例えば偶数番目のデータに誤りが発生すると、元のデータ列に並べ直した場合、{a3,b3,a4,b4},{a7,b7,a8,b8}のデータに誤りを有するバースト誤りに変換されてしまう。すなわち、このブロックインターリーブ方式では、バースト誤りがランダム誤りに変換される一方、ランダム誤りがバースト誤りに変換されてしまうことがあり、誤り率特性の低下を招く。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電力線通信における通信状態の改善を行うことができると共に、誤り率特性を向上させることができる電力線通信システムおよび方法、ならびに電力線通信用送信機を提供することにある。
本発明による電力線通信システムは、電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信を行う電力線通信システムであって、少なくとも2つの伝送路に接続されると共に、それら接続された各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、各伝送路に、インターリーブされた信号を複数の搬送波に分散させて送出する送信機と、少なくとも1の伝送路に接続されると共に、送信機から1の伝送路に向けて直接送出された第1の信号と、送信機から他の伝送路に送出され、1の伝送路上に間接的に伝送されてきた第2の信号とを、少なくとも1の伝送路上で受信する少なくとも1つの受信機とを備えている。さらに、送信機は、互いに異なる方法でインターリーブを行う複数のインターリーバを有し、各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出するようになされている。受信機は、複数のインターリーバに対応した方法でデインターリーブを行うデインターリーバを有している。
本発明による電力線通信方法は、電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信を行う電力線通信システムに適用される電力線通信方法であって、少なくとも2つの伝送路に接続された送信機から、インターリーブされた信号を、各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、各伝送路に複数の搬送波に分散させて送出するステップと、受信機を少なくとも1の伝送路に接続すると共に、送信機から1の伝送路に向けて直接送出された第1の信号と、送信機から他の伝送路に送出され、1の伝送路上に間接的に伝送されてきた第2の信号とを、受信機において少なくとも1の伝送路上で受信するステップとを含んでいる。そして、送信機が、互いに異なる方法でインターリーブを行う複数のインターリーバを有し、信号を送出するステップにおいて、各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出し、信号を受信するステップにおいて、複数のインターリーバに対応した方法でデインターリーブを行うようにしたものである。
本発明による電力線通信用送信機は、電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信を行う電力線通信システムに適用される電力線通信用送信機であって、少なくとも2つの伝送路に接続されると共に、互いに異なる方法でインターリーブを行う複数のインターリーバを有し、接続された各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、1の伝送路において受信されるべきインターリーブされた信号を、各伝送路に複数の搬送波に分散させて送出するようになされ、かつ、各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出するようになされているものである。
本発明による電力線通信システムおよび方法、ならびに電力線通信用送信機では、電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信が行われる。送信機からは、少なくとも2つの伝送路のそれぞれに信号が送出される。受信機は、少なくとも1の伝送路に接続されると共に、送信機から1の伝送路に向けて直接送出された第1の信号と、送信機から他の伝送路に送出され、1の伝送路上に間接的に伝送されてきた第2の信号とを、少なくとも1の伝送路上で受信する。
ここで、1の伝送路上に「間接的に伝送されてきた」とは、例えば、電力線を構成する複数の配線間の寄生容量(線間容量)や柱上トランスの2次側巻線などによって生ずる異なる伝送路間の相互結合によって、異なる伝送路間に信号が伝搬されてくるような現象のことをいう。
本発明による電力線通信システムおよび方法、ならびに電力線通信用送信機では、各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、各伝送路に、インターリーブされた信号が複数の搬送波に分散されて送出される。かつ、各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号が送出される。受信機側では、送出された信号を、少なくとも1の伝送路上で受信し、複数のインターリーバに対応した方法でデインターリーブを行う。
ここで、互いに異なる方法でインターリーブを行う手法としては、互いに同一方式の異なる方法でインターリーブを行う方法と、互いに方式の異なる方法でインターリーブを行う方法とが考えられる。「互いに同一方式の異なる方法」というのは、例えば同じブロックインターリーブ方式であっても、メモリ・マップへの書き込み・読み出しの法則を互いに異ならせることにより、データの変換方法を互いに異ならせるような場合をいう。一方、「互いに方式の異なる方法」というのは、例えばブロックインターリーブ方式と畳み込みインターリーブ方式という互いに異なる方式によりインターリーブを行うことをいう。
各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせる手法としては、例えば2つの伝送路がある場合において、各伝送路に、複数の搬送波のうち偶数番目の搬送波と奇数番目の搬送波とを振り分ける方法が考えられる。
その他、第1の信号の伝送経路と第2の信号の伝送経路とにおける各搬送波ごとの伝送特性に基づいて、搬送波を振り分けるようにしても良い。すなわち、第1の信号の伝送経路と第2の信号の伝送経路とにおける各搬送波ごとの伝送特性に基づいて、伝送経路があらかじめ各搬送波ごとに選択され、各搬送波ごとに、選択された伝送経路に信号が伝送されるようになされていても良い。
ここで、「選択された伝送経路」とは、例えば、各搬送波ごとの相対的に伝送特性の良くなる伝送経路のことである。
伝送経路を選択する場合、送信機は例えば、各伝送路に、伝送特性測定用のパイロット信号をあらかじめ複数の搬送波に含めて送信するようになされ、受信機は例えば、各伝送路に送出されたパイロット信号を各搬送波ごとに比較し、その結果を送信機に通知するようになされている。この場合、送信機は例えば、受信機から通知された結果に基づいて、各伝送路に最適な搬送波を選択的に用いる。
この場合において、送信機は、各伝送路に、伝送特性測定用のパイロット信号をすべての搬送波に含めて送信するようになされていても良いし、各伝送路に、伝送特性測定用のパイロット信号を一部の搬送波について送信するようになされていても良い。
伝送特性測定用のパイロット信号を一部の搬送波について送信するようにした場合、受信機は、例えば、パイロット信号の送出された搬送波については、そのパイロット信号に基づいて伝送特性を測定し、他の搬送波の伝送特性については、測定された伝送特性に基づいて補間演算により推定して求めるようになされている。
送信機はまた、パイロット信号を、各伝送路について、時間的に別々に送出するようになされていても良いし、各伝送路間でパイロット信号に用いる搬送波を互いに異ならせ、同一時間帯に各伝送路についてのパイロット信号を送出するようになされていても良い。
ここで、本発明において、電力線は、例えば、複数の配線として第1および第2の電力供給線と1本の接地線とを有する単相3線式の電力線部分を含むものである。この場合、送信機は、例えば、第1の電力供給線と接地線とで形成された第1の伝送路と第2の電力供給線と接地線とで形成された第2の伝送路との双方に接続され、それら接続された各伝送路に信号を送出する構成にすることができる。受信機は、例えば、単相3線式の電力線部分において、第1または第2の伝送路の少なくともいずれか一方に接続された構成にすることができる。
さらに、電力線が、単相3線式の電力線部分から分岐した少なくとも1つの単相2線式の電力線部分を含んでいても良い。この場合、例えば、送信機を、単相3線式の電力線部分に接続し、受信機を、単相2線式の電力線部分によって形成された1の伝送路に接続するような構成にすることができる。
また、単相2線式の電力線部分が複数ある場合、例えば、送信機を、単相2線式の電力線部分によって形成された少なくとも2つの伝送路に接続し、受信機を、単相2線式の電力線部分によって形成された少なくとも1の伝送路に接続するような構成にすることもできる。
本発明の電力線通信システムもしくは方法、または電力線通信用送信機によれば、送信機が接続された各伝送路間で、用いる搬送波を互いに異ならせ、インターリーブされた信号を各伝送路に複数の搬送波に分散させて送出させ、かつ、各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出するようにしたので、電力線通信における通信状態の改善を行うことができると共に、誤り率特性を向上させることができる。
特に、第1の信号の伝送経路と第2の信号の伝送経路とにおける各搬送波ごとの伝送特性に基づいて、伝送経路をあらかじめ各搬送波ごとに選択し、各搬送波ごとに、選択された伝送経路に信号が伝送されるようにした場合には、各送信信号に用いる搬送波の配分(選択)を、伝送特性に応じて適応的に最適化することが可能となり、全周波数帯に亘ってより良好な通信性能を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
<電力線の構成>
図1は、本発明の一実施の形態に係る電力線通信システムに使用される電力線の構成例を示している。本実施の形態に係る電力線通信システムは、複数の配線により構成された電力線を信号の伝送媒体として用いている。図1は、現在日本で用いられている一般的な低圧配電線方式による電力線の構成を示している。この電力線は、屋外20に配置された柱上トランス21から家屋10内(屋内)の分電盤30までは単相3線式、分電盤30より屋内の電力線は、単相3線式から分岐して形成された単相2線式となっている。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電力線通信システムに使用される電力線の構成例を示している。本実施の形態に係る電力線通信システムは、複数の配線により構成された電力線を信号の伝送媒体として用いている。図1は、現在日本で用いられている一般的な低圧配電線方式による電力線の構成を示している。この電力線は、屋外20に配置された柱上トランス21から家屋10内(屋内)の分電盤30までは単相3線式、分電盤30より屋内の電力線は、単相3線式から分岐して形成された単相2線式となっている。
柱上トランス21は、供給されてきた電力を変圧するためのものであり、1次側巻線21Aおよび2次側巻線21Bを含んで構成されている。柱上トランス21は、例えば6600Vの高圧を変圧し、2次側巻線21B側に100Vの低電圧を2系統生成する。柱上トランス21の2次側巻線21Bには、単相3線式電力線11の一端が接続されている。
単相3線式電力線11は、第1および第2の電力供給線11A,11Bと1本の接地線11Cとの3本の配線を有している。この単相3線式電力線11では、第1の電力供給線11Aと第2の電力供給線11Bとで接地線11Cを共有し、第1の電力供給線11Aおよび接地線11Cのペアと、第2の電力供給線11Bおよび接地線11Cのペアとの2系統で、それぞれ100Vの電圧を配電している。また、第1および第2の電力供給線11A,11Bのペアで200Vの電圧を配電している。
屋内の単相2線式の電力線部分には、単相3線式電力線11の各配線11A〜11Cが分岐することにより、第1および第2の100V系統1A,1Bと、200V系統1Cとが形成されている。各系統1A,1B,1Cには、各種電気機器を接続するためのコンセント12A,12B,12Cが接続されている。
第1の100V系統1Aは、単相3線式電力線11の第1の電力供給線11Aから分岐した一方の電力供給線11A−1と、接地線11Cから分岐した一方の接地線11C−1とのペアにより形成されている。第2の100V系統1Bは、第2の電力供給線11Bから分岐した一方の電力供給線11B−1と、接地線11Cから分岐した他方の接地線11C−2とのペアにより形成されている。200V系統1Cは、第1の電力供給線11Aから分岐した他方の電力供給線11A−2と、第2の電力供給線11Bから分岐した他方の電力供給線11B−2とのペアにより形成されている。
この電力線通信システムでは、図1に示した電力線の各系統により形成された複数の伝送路31A〜31Cのうち、少なくとも2つの伝送路を利用して通信が行われる。ここで、第1の伝送路31Aとは、実質的に単相3線式電力線11における第1の電力供給線11Aおよび接地線11Cのペアで形成された伝送路のことをいい、そこから分岐してつながる単相2線式電力線の第1の100V系統1Aの伝送路部分をも含むものである。第2の伝送路31Bとは、実質的に第2の電力供給線11Bおよび接地線11Cのペアで形成された伝送路のことをいい、そこから分岐してつながる単相2線式電力線の第2の100V系統1Bの伝送路部分をも含むものである。第3の伝送路31Cとは、実質的に第1の電力供給線11Aおよび第2の電力供給線11Bのペアで形成された伝送路のことをいい、そこから分岐してつながる単相2線式電力線の200V系統1Cの伝送路部分をも含むものである。
<送信機、受信機の接続形態>
図2〜図7は、この電力線通信システムのシステム構成例を示している。この電力線通信システムは、少なくとも2つの伝送路に接続される送信機Txと、少なくとも1つの伝送路に接続される少なくとも1つの受信機Rxとを備えている。送信機Txと受信機Rxとの接続形態は複数考えられる。以下、各接続形態について説明する。
図2〜図7は、この電力線通信システムのシステム構成例を示している。この電力線通信システムは、少なくとも2つの伝送路に接続される送信機Txと、少なくとも1つの伝送路に接続される少なくとも1つの受信機Rxとを備えている。送信機Txと受信機Rxとの接続形態は複数考えられる。以下、各接続形態について説明する。
図2の接続形態は、屋外20の単相3線式の電力線部分において、送信機Txを、第1および第2の伝送路31A,31Bの双方に接続(すなわち、単相3線式電力線11の各配線11A〜11Cに送信機Txを接続)し、受信機Rxを、第1および第2の伝送路31A,31Bのいずれか一方に接続(すなわち、接地線Cと電力供給線11A,11Bのいずれか一方の線とに受信機Rxを接続)した例である。
図3の接続形態は、図2の接続形態に対し、受信機Rxの接続場所を、単相2線式の電力線部分にした例である。また、図5の接続形態は、送信機Txの接続場所を、分電盤30の内部にした例であり、実質的に図3の接続形態と同様である。なお、図示していないが受信機Rxについても、その接続場所を分電盤30の内部にすることも可能である。
なお、図3および図5では、受信機Rxが、第1の100V系統1A(第1の伝送路31A)にのみ接続されているが、他の系統1B,1C(他の伝送路31B,31C)にのみ接続されていても良い。また、受信機Rxの数は1つに限らず、例えば図4に示したように、各系統1A,1B,1Cのそれぞれに、それぞれ独立して動作する受信機Rx1,Rx2,Rx3が接続されていても良い。図2の接続形態についても同様であり、単相3線式の電力線部分において、第1および第2の伝送路31A,31Bのそれぞれに、独立して動作する受信機Rxが接続されていても良い。
図6の接続形態は、送信機Txおよび受信機Rxの接続場所を共に、単相2線式の電力線部分にした例である。この場合、送信機Txは、各系統1A,1B,1Cの少なくとも2つに接続されている。受信機Rxは、送信機Txが接続された系統のうちの1つに接続されている。この接続形態の場合も、受信機Rxの数は1つに限らず、複数あっても良い。
なお、以上の構成例では、1つの受信機Rxを1つの伝送路にのみ接続するものとしたが、1つの受信機Rxを複数の伝送路に接続するようにしても良い。例えば図7に示したように、受信機Rxを、第1および第2の伝送路31A,31Bの双方に接続(単相3線式電力線11の各配線11A〜11Cに接続)するようにしても良い。また図示しないが、受信機Rxを単相2線式の電力線部分において、各系統1A,1B,1Cの2以上に接続するような構成も可能である。
<送信機、受信機の構成>
以下の構成説明では、図2に示した接続形態を基本にして説明する。図8は、この電力線通信システムにおける送信機Txと受信機Rxとの間における信号の伝送状態を示している。
以下の構成説明では、図2に示した接続形態を基本にして説明する。図8は、この電力線通信システムにおける送信機Txと受信機Rxとの間における信号の伝送状態を示している。
送信機Txは、接続された第1および第2の伝送路31A,31Bのそれぞれに信号s1(t),s2(t)を送出するようになっている。ここで、送信信号s1(t),s2(t)は、例えばOFDM信号であり、送信データを複数の搬送波(サブキャリア)に分散させたものとなっている。各送信信号s1(t),s2(t)の具体的な生成方法については後述する。
受信機Rxは、送信機Txから第1の伝送路31Aに向けて直接送出された第1の送信信号s1(t)と、送信機Txから第2の伝送路31Bに向けて送出され、第1の伝送路31A上に間接的に伝送されてきた第2の送信信号s2(t)とを、第1の伝送路31A上で受信するようになっている。
ここで、「間接的に伝送されてきた」とは、異なる伝送路間を相互結合により伝送されてきた状態を意味する。一般に、電力線の異系統間には、柱上トランス21(図1)の2次側巻線21A、接地線11Cを含まない配線間(200V系統1C)に接続された機器電源の入力コンデンサ、および異系統間の容量結合などによって、相互結合が存在する。受信機Rxは、この相互結合により第2の伝送路31Bから第1の伝送路31Aに回り込んで伝送されてきた第2の送信信号s2(t)を間接的に受信するようになっている。
なお、第1および第2の送信信号s1(t),s2(t)が受信機Rxに到達する段階では、各信号s1(t),s2(t)が第1の伝送路31A上において混合された状態となっている。受信機Rxは、この混合された状態の信号r1(t)を受信するようになっている。
ところで、電力線通信においては、信号の伝送経路が異なれば、その伝送特性も異なるものとなる。例えば、単相3線電力線11の一方の100V系統から他方の100V系統に、相互結合により信号が伝送されてきた場合(以下、異系統伝送という。)と、1つの系統に直接信号が伝送されてきた場合(以下、同系統伝送という。)とでは、伝送特性が一般に異なる。周波数によって、同系統伝送による特性の方が良い部分と、逆に、異系統伝送による特性の方が良い部分とがある。この電力線の伝送特性は、配線状況、家電機器の接続状況、および動作状態等によって変化するため、実使用環境においても、同系統で伝送するよりも異系統間の相互結合で伝送する方が、伝送特性が改善される場合があることが予想できる。なお、電力線伝送特性の時間変動は、商用周波数の半波に同期して変動するため、数Mbps以上の高速電力線通信では低速であると考えられる。
このように伝送特性には、伝送経路による周波数依存性がある。そこで、本システムでは、各伝送経路における各搬送波ごとの伝送特性に基づいて、伝送経路をあらかじめ各搬送波ごとに選択し、各搬送波ごとに、選択された伝送経路に信号が伝送されるようにしている。選択された伝送経路とは、例えば、相対的に伝送特性の良くなる各搬送波ごとの伝送経路のことである。具体的には、後述するように、送信機Tx側において、各送信信号s1(t),s2(t)に伝送特性測定用のパイロット信号を含めて送信しておき、受信機Rx側では、そのパイロット信号を評価することにより、各伝送経路の各搬送波ごとの伝送特性h11(t),h21(t)を測定する。そして、求められた伝送特性h11(t),h21(t)(をフーリエ変換したデータH11(f),H21(f))を各搬送波ごとに比較することにより、相対的に伝送特性の良くなる伝送路を各搬送波ごとに求め、その結果を送信機Txに通知するようになっている。送信機Txは、受信機Rxから通知された結果に基づいて、相対的に伝送特性の良くなる伝送路で信号が伝送されるよう、各伝送路に最適な搬送波を選択的に用いるようになっている。
また、本システムにおいては、受信機Rxは、各送信信号s1(t),s2(t)の伝送経路についての伝送特性h11(t),h21(t)に関する情報をあらかじめ記憶しておき、その情報に基づいて、受信信号r1(t)に対して伝送特性h11(t),h21(t)のフーリエ変換後のデータH11(f),H21(f)に応じた信号補正(位相補償)を行う機能を有している。
なお、電力線における伝送特性は、通常、常に一定ではなく電力線に接続された電気機器などの影響により変化する。このため、受信機Rxは、各伝送路で用いる搬送波の選択・判定処理、および信号補正処理に用いる伝送特性H11,H21を所定の間隔で測定し、定期的に見直すようになっている。
このように、本実施の形態では、各伝送路に送出する送信信号s1(t),s2(t)の搬送波を互いに異ならせるようにしている。さらに本実施の形態では、送信信号s1(t),s2(t)として、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を各伝送路に送出するようにしている。インターリーブの具体例については、後述する。
図9は、受信機Rxが、第1の電力供給線11Aおよび第2の電力供給線11Bのペアで形成された第3の伝送路31C(200V系統1C)に接続されている場合における信号の伝送状態を示している。
この構成も、受信機Rxの接続形態が異なるのみで、基本的には図8に示したものと同様であるが、この場合には図8に示した構成と比べて、送信機Txからの送信信号s1(t),s2(t)が、図示したように、それぞれ2つの伝送経路で直接的または間接的に受信機Rxに伝送される。受信機Rxは、それらの伝送経路で伝送された送信信号s1(t),s2(t)を、第3の伝送路31C上で混合された状態で受信するようになっている。この場合、図8に示した構成に比べて、信号の伝送経路が増えているので、受信機Rxでは、伝送特性h11(t),h21(t)に加えて、伝送特性h12(t),h22(t)についても測定し、h11(t),h21(t)のフーリエ変換後のデータH11(f),H21(f)、および、h12(t),h22(t)のフーリエ変換後のデータH12(f),H22(f)を用いて、搬送波の選択・判定処理および信号補正処理に用いるようになっている。
図10は、送信機Txの回路構成例である。送信機Txは、送信データ(実データ)を誤り訂正符号化を行ってから変調/符号化する変調/FEC(Forward Error Correction)符号化部41と、変調/FEC符号化部41からの出力データXkに伝送特性測定用のパイロット信号(パイロットシンボル)を挿入するパイロット信号挿入部42とを有している。変調/FEC符号化部41からの出力データXkは、BPSK,QPSK等の変調後のデータである。各データdk,Xkの内容については、後述する。
送信機Txはさらに、マッパ43と、インターリーバ49A,49Bと、逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)回路44A,44Bと、P/S(パラレル/シリアル)コンバータ48A,48Bと、PLC(Power Line Communication)カプラ45A,45Bとを有している。
マッパ43は、パイロット信号挿入部42を介して入力されたデータXk’を、各伝送路31A,31Bに送出する信号s1(t),s2(t)に対応した2系統の信号にマッピングするものである。このマッピングの手法については、後述する。インターリーバ49A,49Bは、マッパ43からの出力データχ1 k,χ2 kに対して互いに異なる方法でインターリーブ処理を行うものである。IFFT回路44A,44Bは、インターリーブ処理後の出力データχ1 k,χ2 kに対してIFFT処理を行い、送信信号s1(t),s2(t)となるOFDMベースバンド信号を生成するものである。P/Sコンバータ48A,48Bは、IFFT回路44A,44Bからの出力に並直列変換を施すためのものである。PLCカプラ45A,45Bは、OFDMベースバンド信号からなる送信信号s1(t),s2(t)を、電力線に重畳し、各伝送路31A,31Bに送出するためのものである。PLCカプラ45A,45Bは、それぞれ第1の電力供給線11Aおよび接地線11Cと、第2の電力供給線11Bおよび接地線11Cとに接続されている。
送信機Txはさらに、通知信号復調部46と、マッパコントローラ47とを有している。通知信号復調部46は、受信機Rxからの通知信号を復調するものである。通知信号は、受信機Rxにおいて生成されるものであり、送信信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分(選択)を指示する配分情報(選択情報)を含んでいる。なお、図では通知信号復調部46がPLCカプラ45B側に接続されているが、PLCカプラ45Aに接続されていても良い。マッパコントローラ47は、通知された配分情報に基づいて、マッパ43におけるマッピングの内容を制御し、各送信信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分を最適化するようになっている。
図11は、受信機Rxの回路構成例である。受信機Rxは、PLCカプラ51と、S/P(シリアル/パラレル)コンバータ56と、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)回路52と、デインターリーバ57(57A,57B)と、補正部60と、パイロット信号除去部54と、復調/FEC復号化部55とを有している。
PLCカプラ51は、第1の電力供給線11Aおよび接地線11Cに接続されている。PLCカプラ51は、第1の伝送路31A上に伝送されてきたOFDMベースバンド信号からなる受信信号r1(t)を、電力線上から取り出すためのものである。S/Pコンバータ56は、PLCカプラ51からの出力に並直列変換を施すためのものである。FFT回路52は、受信信号r1(t)であるOFDMベースバンド信号に対してFFT処理を行い、周波数空間にマッピングし直すためのものである。デインターリーバ57(57A,57B)は、FFT回路52からの出力データRkに対し、送信機Tx側のインターリーバ49A,49Bに対応した方法でデインターリーブ処理を行うものである。デインターリーバ57Aが、インターリーバ49Aに対応した復号化処理を行い、デインターリーバ57Bが、インターリーバ49Bに対応した復号化処理を行うようになっている。補正部60は、デインターリーブ処理後の出力データRk’に伝送特性h11(t),h21(t)に応じた補正処理を行うためのものである。パイロット信号除去部54は、補正部60からの出力データXkに含まれるパイロット信号を除去するためのものである。復調/FEC復号化部55は、パイロット信号が除去されたデータXkを、送信機Tx側の変調/FEC符号化部41に対応した方法で、元の送信データ(実データ)dkに復調するためのものである。
補正部60は、乗算回路53と、伝送特性評価部61と、特性記憶部62と、共役複素数生成部63とを含んでいる。伝送特性評価部61は、デインターリーブ処理後のFFT回路52からの出力データRk’からパイロット信号を抽出し、伝送特性h11(t),h21(t)をフーリエ変換したデータH11(f),H21(f)を、伝送特性として求めるものである。伝送特性評価部61は、例えばあらかじめ送信前のパイロット信号に関するデータを記憶しておき、そのデータと電力線を介して伝送されてきたパイロット信号とを比較することにより、伝送特性H11(f),H21(f)を測定・評価するようになっている。特性記憶部62は、算出された伝送特性H11(f),H21(f)のデータを記憶するためのものである。共役複素数生成部63は、伝送特性H11(f),H21(f)の共役複素数を取ったデータを生成するものである。乗算回路53は、伝送特性H11(f),H21(f)の共役複素数を取ったデータとデインターリーブ処理後のFFT回路52からの出力データRk’とを乗算して出力するものである。
受信機Rxはさらに、通知信号生成部64と、通知信号変調部65とを有している。通知信号生成部64は、送信機Txに送信する通知信号を生成するものである。通知信号には、各送信信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分を指示する配分情報が含まれている。通知信号生成部64は、特性記憶部62に記憶された伝送特性H11(f),H21(f)に基づいて、相対的に伝送特性の良くなる伝送経路を各搬送波ごとに求め、各搬送波ごとに、相対的に伝送特性の良くなる伝送経路で送信データが伝送されるよう、最適な搬送波の配分を決定するようになっている。通知信号変調部65は、通知信号生成部64により生成された通知信号を変調し、PLCカプラ51を介して送信機Txに送信するようになっている。
<システムの動作>
次に、以上のように構成された電力線通信システムの動作を説明する。
次に、以上のように構成された電力線通信システムの動作を説明する。
この電力線通信システムでは、図1に示した電力線により形成された複数の伝送路31A〜31Cのうち、少なくとも2つの伝送路に送信機Txが接続される。また、受信機Rxが少なくとも1つの伝送路に接続される。送信機Txと受信機Rxとの接続形態には、上述したように種々のものがある(図2〜図7参照)。以下では、図2,図8に示した接続形態を基本にして動作説明を行う。
送信機Txでは、接続された第1および第2の伝送路31A,31Bのそれぞれに信号s1(t),s2(t)を送出する。以下、信号s1(t),s2(t)の生成動作を、図10の回路に対応させて説明する。送信機Txでは、例えばビットレートRの入力データをNビットずつまとめて送信する。ここで、k番目のシンボル時刻に対応する送信データを、
とする。dkは、ベクトルデータである。
この送信データは、変調/FEC符号化部41において、例えばMTCM(Multiple Trellis Coded Modulation)符号化により符号化率1/Qで符号化され、符号化データ
となる。Xkは、ベクトルデータである。
N次元ベクトルの符号化データXkは、マッパ43において各伝送路31A,31Bに送出する信号s1(t),s2(t)に対応した2系統の信号にマッピングされる。マッピングは、例えば次の式(A)に従って行われる。
マッパ43からの出力データχ1 k,χ2 kは、インターリーバ49A,49B、IFFT回路44A,44BおよびP/Sコンバータ48A,48Bを経て、インターリーブ処理、IFFT処理、並直列変換、および周波数変換され、送信信号s1(t),s2(t)となるOFDMベースバンド信号が生成される、これらの信号s1(t),s2(t)が、PLCカプラ45A,45Bにより電力線に重畳され、各伝送路31A,31Bに送出される。
ここで、送信信号s1(t),s2(t)は、OFDMベースバンド信号で構成されており、複数の搬送波(サブキャリア)を含んでいる。本システムでは、各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせる。すなわち、各送信信号s1(t),s2(t)で異なる周波数の搬送波を用いる。そして、これらの各搬送波にデータを分割して搬送する。
各送信信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分は、受信機Rxから通知された配分情報に従って行われる。以下、図14を参照して、送信機Txにおける搬送波の配分の最適化処理について説明する。
送信機Txでは、第1および第2の送信信号s1(t),s2(t)にパイロット信号を含めて送信する(ステップS1,S2)。パイロット信号は、各送信信号s1(t),s2(t)を構成するすべての搬送波に含めて送信するようにしても良いし、一部の搬送波にのみパイロット信号を挿入するようにしても良い。すべての搬送波についてパイロット信号を送信した場合には、受信機Rx側で、各伝送経路の伝送特性を、各搬送波ごとに直接測定して求めることができる。また、一部の搬送波についてパイロット信号を送信した場合には、直接測定できない伝送特性については、受信機Rx側で例えば、直接測定された伝送特性から補間演算を行って求めることができる。このほかにもパイロット信号の送信方法としては、複数の方法が考えられる。例えば以下の2つの送信方法がある。
(パイロット信号の送信方法1)
図12は、パイロット信号の第1の送信方法における搬送波の構成を模式的に示している。この方法では、各送信信号s1(t),s2(t)につきそれぞれ、OFDMベースバンド信号で用いられる一連の搬送波C1,C2,C3,…で、パイロット信号を送信する。この場合、各送信信号s1(t),s2(t)を同時に送信してしまうと、受信機Rx側では、受信信号r1(t)に含まれるパイロット信号がいずれの信号s1(t),s2(t)からのものか判断が困難となるので、各送信信号s1(t),s2(t)を、別々の時間帯に送信する。すなわちこの方法では、パイロット信号が、各伝送路について時間的に別々に送出される。
図12は、パイロット信号の第1の送信方法における搬送波の構成を模式的に示している。この方法では、各送信信号s1(t),s2(t)につきそれぞれ、OFDMベースバンド信号で用いられる一連の搬送波C1,C2,C3,…で、パイロット信号を送信する。この場合、各送信信号s1(t),s2(t)を同時に送信してしまうと、受信機Rx側では、受信信号r1(t)に含まれるパイロット信号がいずれの信号s1(t),s2(t)からのものか判断が困難となるので、各送信信号s1(t),s2(t)を、別々の時間帯に送信する。すなわちこの方法では、パイロット信号が、各伝送路について時間的に別々に送出される。
各送信信号s1(t),s2(t)に、一連の搬送波C1,C2,C3,…を割り振る方法は、マッパ43で用いる行列式Amとして、例えば以下の式(2−1),(2−2)を用いることにより実現される。このマッピング後の出力は、χ1 k=χ2 kとなる。
(パイロット信号の送信方法2)
図13は、パイロット信号の第2の送信方法における搬送波の構成を模式的に示している。上述の第1の送信方法では、各送信信号s1(t),s2(t)を別々の時間に送信する必要があるが、この第2の送信方法では、各送信信号s1(t),s2(t)間でパイロット信号を含める搬送波を互いに異ならせることにより、同一時間帯に各伝送路についてのパイロット信号を送出することができる。例えば、第1の送信信号s1(t)では、OFDMベースバンド信号で用いられる一連の搬送波C1,C2,C3,…のうち、奇数番目の搬送波C1,C3,…を用い、第2の送信信号s2(t)では、偶数番目の搬送波C2,C4,…を用いる。そして、これらの各搬送波にパイロット信号を含めて送信する。なお、搬送波の分け方は、これに限らず他の分け方であっても良い。
図13は、パイロット信号の第2の送信方法における搬送波の構成を模式的に示している。上述の第1の送信方法では、各送信信号s1(t),s2(t)を別々の時間に送信する必要があるが、この第2の送信方法では、各送信信号s1(t),s2(t)間でパイロット信号を含める搬送波を互いに異ならせることにより、同一時間帯に各伝送路についてのパイロット信号を送出することができる。例えば、第1の送信信号s1(t)では、OFDMベースバンド信号で用いられる一連の搬送波C1,C2,C3,…のうち、奇数番目の搬送波C1,C3,…を用い、第2の送信信号s2(t)では、偶数番目の搬送波C2,C4,…を用いる。そして、これらの各搬送波にパイロット信号を含めて送信する。なお、搬送波の分け方は、これに限らず他の分け方であっても良い。
各送信信号s1(t),s2(t)の搬送波を奇数、偶数に割り振る方法は、マッパ43で用いる行列式Amとして、例えば以下の式(3−1),(3−2)を用いることにより実現される。このマッピング後の出力データχ1 k,χ2 kは互いに異なるものとなる。
この送信方法において、同一時間に各送信信号s1(t),s2(t)を送信した場合、受信機Rxでは、各送信信号s1(t),s2(t)を、第1の伝送路31A上ですべての搬送波が合成された状態で受信する。これにより、OFDMベースバンド信号の一連の搬送波C1,C2,C3,…が受信されるが、各送信信号s1(t),s2(t)で用いられている搬送波が異なっているので、受信信号r1(t)に含まれるパイロット信号がいずれの信号s1(t),s2(t)からのものであるかの判断は容易である。
受信機Rxでは、以上のようにして送信されたパイロット信号に基づいて、配分情報を生成し、通知信号として送信機Txに送信する。送信機Txでは、受信機Rxから通知された配分情報を受信する(ステップS3)。より具体的には、通知信号を、PLCカプラ45AまたはPLCカプラ45Bを介して通知信号復調部46が受信し、復調処理を行って配分情報を取得する。取得した配分情報は、マッパコントローラ47に送信される。マッパコントローラ47では、その配分情報に基づいて、マッパ43を制御し、各送信信号s1(t),s2(t)に用いる搬送波の配分が最適化されるよう変更する(ステップS4)。マッパ43の制御は、マッパ43で用いる行列式Amを配分情報に応じて適応的に変化させることにより行われる。
このように変更された搬送波の配分で、実際の送信データを送信信号s1(t),s2(t)として送信する(ステップS5)。電力線における伝送特性は、通常、常に一定ではなく電力線に接続された電気機器などの影響により変化する。このため、受信機Rx側において、各伝送特性を所定の間隔で測定し直すことが好ましい。送信機Tx側では、各伝送特性測定用のパイロット信号を所定間隔で送信する。送信間隔は、例えば実際の送信データの送信パケット数により決定する。すなわち、送信信号s1(t),s2(t)として、実際の送信データのパケットが所定数送信されたか否か判定(ステップS6)し、送信パケットが所定数に達していなければ(ステップS6;N)、ステップS5により実際の送信データをそのままの配分で送信する。送信パケットが所定数に達した場合(ステップS6;Y)には、ステップS1に戻り、パイロット信号を再び送信し直す。
次に、受信機Rxの受信動作を、図11の回路に対応させて説明する。受信機Rxでは、OFDMベースバンド信号からなる第1および第2の送信信号s1(t),s2(t)を、第1の伝送路31A上において混合された状態で受信する。PLCカプラ51は、その混合された状態の信号を、受信信号r1(t)として、電力線上から取り出す。受信信号r1(t)は、S/Pコンバータ56を経て、FFT回路52に出力される。FFT回路52では、受信信号r1(t)であるOFDMベースバンド信号に対してFFT処理を行い、周波数空間にマッピングし直す。デインターリーバ57(57A,57B)では、送信機Tx側のインターリーバ49A,49Bに対応した方法でデインターリーブ処理を行う。補正部60では、デインターリーブ処理後のFFT回路52からの出力データRk’に伝送特性H11(f),H21(f)に応じた補正処理を行って出力する。パイロット信号除去部54では、補正部60からの出力データxk(推定値)に含まれるパイロット信号を除去する。復調/FEC復号化部55では、パイロット信号が除去されたデータxkを、元の送信データ(実データ)dk(推定値)に復調する。受信機Rxではまた、送信機Txへの搬送波の配分情報の通知処理を行う。
図15を参照して、搬送波の配分情報の通知処理および補正部60で行われる信号補正処理について説明する。補正部60では、まず、第1の送信信号s1(t)に含まれるパイロット信号を受信し(ステップS11)、第1の送信信号s1(t)の伝送経路についての伝送特性H11(f)を測定、記憶する(ステップS12)。なお、図9に示した構成の場合には、伝送特性H12(f)についても求めて記憶する。伝送特性H11(f),H12(f)の測定と推定は、伝送特性評価部61が行う。伝送特性評価部61は、例えばあらかじめ送信前のパイロット信号に関するデータを記憶しておき、そのデータと受信したパイロット信号とを比較することにより、特性の測定・評価を行う。伝送特性評価部61は、算出した伝送特性H11(f),H12(f)を特性記憶部62に送信し、記憶させる。同様にして、補正部60では、第2の送信信号s2(t)に含まれるパイロット信号を受信し(ステップS13)、第2の送信信号s2(t)の伝送経路についての伝送特性H21(f)を測定、記憶する(ステップS14)。なお、図9に示した構成の場合には、伝送特性H22(f)についても求めて特性記憶部62に記憶する。
伝送特性評価部61では、すべての搬送波についてのパイロット信号を取得できた場合には、各伝送経路の伝送特性を、各搬送波ごとに直接測定して求める。また、一部の搬送波についてのみパイロット信号を取得した場合には、直接測定できない伝送特性については、例えば直接測定された伝送特性から補間演算を行って求める。
通知信号生成部64では、伝送特性評価部61で測定され、特性記憶部62に記憶された伝送特性H11(f),H21(f)に基づいて、相対的に伝送特性の良くなる伝送路を各搬送波ごとに求め、各送信信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分を決定する(ステップS15)。これは例えば、各伝送路についての伝送特性H11(f),H21(f)の値の絶対値|H11(f)|,|H21(f)|を、搬送波単位で比較(図9に示した構成の場合には、|H12(f)|,|H22(f)|についても比較)することにより行われる。通知信号生成部64は、求めた配分情報を含む通知信号を通知信号変調部65に出力する。通知信号変調部65では、その通知信号を変調し、PLCカプラ51を介して送信機Txに送信する(ステップS16)。
一方、補正部60では、伝送特性評価部61で測定され、特性記憶部62に記憶された伝送特性H11(f),H21(f)に基づいて、送信信号s1(t),s2(t)の実データを補正する。これは、共役複素数生成部63において、各伝送特性の共役複素数を取ったデータを生成し、そのデータを乗算回路53において、デインターリーブ処理後のFFT回路52からの出力データRk’に乗算することにより行われる。
補正部60ではまた、送信信号s1(t),s2(t)として、所定数のパケットを受信したか否か判定する(ステップS17)。判定は、伝送特性評価部61において行われる。受信パケットが所定数に達していなければ(ステップS17;N)、特性記憶部62に記憶されている各伝送特性を再び用いて補正処理を行う。受信パケットが所定数に達した場合(ステップS17;Y)には、ステップS11に戻り、補正処理および配分情報の生成に用いるための伝送特性を再び測定し直す。
<インターリーブ処理の具体例>
次に、インターリーバ49A,49B(図10)、およびデインターリーバ57(57A,57B)(図11)で行われる処理の具体例を説明する。
次に、インターリーバ49A,49B(図10)、およびデインターリーバ57(57A,57B)(図11)で行われる処理の具体例を説明する。
既に[発明が解決しようとする課題]の項目において説明したように、例えば、
{a1,b1,a2,b2,a3,b3,a4,b4,a5,b5,a6,b6,a7,b7,a8,b8}
というデータ列を、図21(A)〜(C)に示したブロックインターリーブ方式でインターリーブする場合、例えば偶数番目のデータに誤りが発生すると、元のデータ列に並べ直した場合、{a3,b3,a4,b4},{a7,b7,a8,b8}のデータに誤りを有するバースト誤りに変換されてしまうという問題がある。
{a1,b1,a2,b2,a3,b3,a4,b4,a5,b5,a6,b6,a7,b7,a8,b8}
というデータ列を、図21(A)〜(C)に示したブロックインターリーブ方式でインターリーブする場合、例えば偶数番目のデータに誤りが発生すると、元のデータ列に並べ直した場合、{a3,b3,a4,b4},{a7,b7,a8,b8}のデータに誤りを有するバースト誤りに変換されてしまうという問題がある。
この場合、奇数番目のデータと偶数番目のデータとを異なるタイプのブロックインターリーバでインターリーブすることにより、バースト誤りのみならずランダム誤りについても、ランダム誤りに変換することができる。
図16(A)〜(D)を参照して、そのようなブロックインターリーブ手法の具体例を説明する。各図に示した格子ブロックは、ブロックインターリーバで用いられるメモリ・マップ空間を概念的に示している。例えば奇数番目のデータについては図16(A)に示した方法でインターリーブする。すなわち、図16(A)に示したメモリ・マップ空間に、奇数番目のデータa1,a2,…を、左端から右端へ上の行から下の行へと順番に書き込み記憶する。これを例えば図16(C)に示したように、左上端を始点として上端から下端へ左列から右列へと順番に読み出す。一方、偶数番目のデータについては、図16(B)に示した方法でインターリーブする。すなわち、図16(B)に示したメモリ・マップ空間に、偶数番目のデータb1,b2,…を、左端から右端へ上の行から下の行へと順番に書き込み記憶する。これを例えば図16(D)に示したように、右下端を始点として下端から上端へ右列から左列へと順番に読み出す。
このように、一連のデータを2系統に分けて異なる手法でパラレルにインターリーブすると、それらを合成したデータは、以下のようになり、ランダム誤りに変換されることが分かる。
{a1,b6,a4,b3,a7,b8,a2,b5,a5,b2,a8,b7,a3,b4,a6,b1}
{a1,b6,a4,b3,a7,b8,a2,b5,a5,b2,a8,b7,a3,b4,a6,b1}
本実施の形態では、各送信信号s1(t),s2(t)で異なる周波数の搬送波を用い、各搬送波にデータを分割して搬送するようにしているが、上記したインターリーブの性質を利用することで、送信データの誤り率特性を向上させることができる。すなわち、各送信信号s1(t),s2(t)を生成する際に、2つのインターリーバ49A,49Bで互いに異なる方法でインターリーブを行うことで、符号化データの誤り率特性を向上させることができる。
ここで、互いに異なる方法でインターリーブを行う手法としては、方式は互いに同一であるが、その具体的な方法が互いに異なるものを組み合わせる第1の方法と、方式自体が互いに異なるものを組み合わせる第2の方法とが考えられる。
第1の方法の具体例としては、図16(A)〜(D)に示した手法のように、同じブロックインターリーブ方式であっても、メモリ・マップへの書き込み・読み出しの法則を互いに異ならせることにより、データの変換方法を互いに異ならせるような場合である。一方、第2の方法の具体例としては、例えばブロックインターリーブ方式と他のインターリーブ方式(例えば畳み込みインターリーブやランダムインターリーブ)とを用いるような場合である。以下、各方式の具体例を説明する。
図17(A)〜(D)は、ブロックインターリーバとして正方レジスタを用いた場合における、書き込みまたは読み出しの例を示している。図17(A)は、左端から右端へ上の行から下の行へと順番に書き込み(または読み出し)を行う手法、図17(B)は、左上端を始点として上端から下端へ左列から右列へと順番に書き込み(または読み出し)を行う手法を示している。図17(C)は、右端から左端へ上の行から下の行へと順番に書き込み(または読み出し)を行う手法、図17(D)は、右下端を始点として下端から上端へ右列から左列へと順番に書き込み(または読み出し)を行う手法を示している。そのほかにも、種々の書き込みまたは読み出し手法が考えられる。書き込みと読み出しとで異なる手法を用いることで、ブロックインターリーブが実現されるが、その組み合わせは複数のものが考えられる。異なる手法を組み合わせたブロックインターリーバを、インターリーバ49A,49Bとして適用することで、上記した第1の方法を実現することが可能である。
図18は、ランダムインターリーバの構成例を示している。ランダムインターリーバは、データを格納するためのメモリ81と、このメモリ81への入力データdinの書込アドレスを生成する書込アドレス生成器82と、メモリ81の読出アドレスを生成する読出アドレス生成器83とを備えて構成される。書込アドレスと読出アドレスとを異ならせることで、入力データdinと出力データdoutとのデータ配列を変えることができる。書込アドレスと読出アドレスとを種々異ならせることにより、複数のタイプのランダムインターリーバを構成することができる。これら異なるランダムインターリーバを、インターリーバ49A,49Bとして適用することで、上記した第1の方法を実現することが可能である。
図19(A)は畳み込みインターリーバ、図19(B)は畳み込みデインターリーバの構成例を示している。畳み込みインターリーバは、シフトレジスタ91として長さの異なるものが配置された複数のブランチ90−1,90−2,…90−N(N=1,2,…)と、各ブランチ90−1,90−2,…90−Nへのデータ入力を切り替える入力切替スイッチ92Aと、各ブランチ90−1,90−2,…90−Nからのデータ出力を切り替える出力切替スイッチ92Bとを備えている。一方、畳み込みデインターリーバは、畳み込みインターリーバに対してシフトレジスタ91の長さを対称的に変えて配置した複数のブランチ90−1,90−2,…90−N(N=1,2,…)と、各ブランチ90−1,90−2,…90−Nへのデータ入力を切り替える入力切替スイッチ93Aと、各ブランチ90−1,90−2,…90−Nからのデータ出力を切り替える出力切替スイッチ93Bとを備えている。
この畳み込みインターリーバでは、入力切替スイッチ92Aと出力切替スイッチ92Bとを同期させて、各ブランチ90−1,90−2,…90−Nを順次切り替え、選択していくことで、入力データdinと出力データdoutとのデータ配列を変えることができる。ここで、ブランチ数を種々変えることにより、複数のタイプの畳み込みインターリーバを構成することができる。これら異なるタイプの畳み込みインターリーバを、インターリーバ49A,49Bとして適用することで、上記した第1の方法を実現することが可能である。
また、これら方式の異なるブロックインターリーバ、畳み込みインターリーバおよびランダムインターリーバを、インターリーバ49A,49Bとして適用することで、上記した第2の方法を実現することが可能である。例えば、インターリーバ49Aとしてブロックインターリーバを用い、インターリーバ49Bとして畳み込みインターリーバを用いることで、第2の方法を実現することが可能である。
図20は、本実施の形態に係る電力線通信システム(図16(A)〜(D)のブロックインターリーブ手法を用いた場合)における誤り率特性と、従来のシステム(図21(A)〜(C)のブロックインターリーブ手法を用いた場合)における誤り率特性とを比較して示したものである。縦軸は平均誤り率、横軸はビットエネルギーEb対雑音消費電力Noの比(dB)を表す。実線で示した曲線202,204が本実施の形態のシステムの特性を示し、点線で示した曲線201,203が従来のシステムの特性を示している。曲線201,202は、伝送路に周波数選択性フェージングがある場合、曲線203,204は、周波数選択性フェージングがない場合における特性を示す。いずれの場合も、本実施の形態のシステムの方が誤り率特性に優れていることが分かる。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力線通信システムによれば、電力線により形成された複数の伝送路31A〜31Cのうち、少なくとも2つの伝送路に送信機Txを接続すると共に、それらの伝送路のそれぞれに送信信号を送出し、それらの送信信号を、異系統間の信号の回り込み現象を積極的に活用して、少なくとも1の伝送路に接続された受信機Rxにおいて直接的および間接的に受信するようにしたので、送受信ダイバーシチが可能となり、電力線通信における通信状態の改善を行うことができる。また、本通信システムは、必ずしも異なる系統間にそれぞれ受信機を配置し、それらを電気的に相互結合するような構成(図23(A),(B))にする必要はないため、ネットワーク構築も容易となる。
また、本実施の形態に係る電力線通信システムによれば、伝送特性に伝送経路による周波数依存性があることを考慮して、伝送経路をあらかじめ各搬送波ごとに選択し、各搬送波ごとに、選択された伝送経路に信号が伝送されるよう、具体的には、相対的に伝送特性の良くなる伝送経路を各搬送波ごとに求め、各搬送波ごとに、相対的に伝送特性の良くなる伝送経路で送信データが伝送されるよう、各送信信号s1(t),s2(t)で用いる搬送波の配分(選択)を、伝送特性に応じて適応的に最適化するようにしたので、全周波数帯に亘って良好な通信性能を得ることができ、従来に比べ通信状態の改善を行うことができる。
本実施の形態に係る電力線通信システムによれば、時間周波数空間符号化技術を適用した2送信点1受信点(ここで、送信点は、無線通信における送信アンテナ、受信点は受信アンテナにあたる。)の送受信ダイバーシチが可能となる。
また、本実施の形態に係る電力線通信システムによれば、各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた送信信号s1(t),s2(t)を送出するようにしたので、誤り率特性を向上させることができる。
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されず、さらに種々の変形実施が可能である。例えば、信号の伝送媒体として用いる電力線の構成は図1に示した単相3線式、および単相2線式に限らず、複数の伝送路を形成可能なものであれば、他の構成であっても構わない。
また、上記実施の形態では、各送信信号s1(t),s2(t)に用いる搬送波の配分を伝送特性に応じて適応的に変化させるようにしたが、この搬送波の配分が、あらかじめ決められているものであっても良い。例えば、複数の搬送波のうち偶数番目の搬送波を第1の送信信号s1(t)で用い、奇数番目の搬送波を第2の送信信号s2(t)で用いるような固定的な配分にすることも可能である。
Rx…受信機、Tx…送信機、1A…第1の100V系統、1B…第2の100V系統、1C…200V系統、10…家屋、11…単相3線式電力線、11A,11B…電力供給線、11C…接地線(中性線)、20…屋外、21…柱上トランス、21A…1次側巻線、21B…2次側巻線、30…分電盤、31A…第1の伝送路、31B…第2の伝送路、31C…第3の伝送路、41…変調/FEC符号化部、42…パイロット信号挿入部、43…マッパ、44A,44B…IFFT回路、45A,45B,46…通知信号復調部、47…マッパコントローラ、50…補正部、51…PLCカプラ、48A,48B…P/Sコンバータ、49A,49B…インターリーバ、52…FFT回路、53…乗算回路、54…パイロット信号除去部、55…復調/FEC復号化部、56…S/Pコンバータ、57(57A,57B)…デインターリーバ、61…伝送特性評価部、62…特性記憶部、63…共役複素数生成部、64…通知信号生成部、65…通知信号変調部。
Claims (12)
- 電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信を行う電力線通信システムであって、
少なくとも2つの伝送路に接続されると共に、それら接続された各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、前記各伝送路に、インターリーブされた信号を複数の搬送波に分散させて送出する送信機と、
少なくとも1の伝送路に接続されると共に、前記送信機から前記1の伝送路に向けて直接送出された第1の信号と、前記送信機から他の伝送路に送出され、前記1の伝送路上に間接的に伝送されてきた第2の信号とを、前記少なくとも1の伝送路上で受信する少なくとも1つの受信機と
を備え、
前記送信機は、互いに異なる方法でインターリーブを行う複数のインターリーバを有し、前記各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出するようになされ、
前記受信機は、前記複数のインターリーバに対応した方法でデインターリーブを行うデインターリーバを有する
ことを特徴とする電力線通信システム。 - 前記複数のインターリーバは、互いに同一方式の異なる方法でインターリーブを行うものである
ことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信システム。 - 前記複数のインターリーバは、互いに方式の異なる方法でインターリーブを行うものである
ことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信システム。 - 前記第1の信号の伝送経路と前記第2の信号の伝送経路とにおける各搬送波ごとの伝送特性に基づいて、伝送経路があらかじめ各搬送波ごとに選択され、各搬送波ごとに、選択された前記伝送経路に信号が伝送されるようになされている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力線通信システム。 - 前記選択された前記伝送経路は、各搬送波ごとの相対的に伝送特性の良くなる伝送経路である
ことを特徴とする請求項4に記載の電力線通信システム。 - 前記送信機は、
前記各伝送路に、伝送特性測定用のパイロット信号をあらかじめ複数の搬送波に含めて送信し、
前記受信機は、
前記各伝送路に送出されたパイロット信号を各搬送波ごとに比較し、その結果を前記送信機に通知するようになされている
ことを特徴とする請求項4または5に記載の電力線通信システム。 - 前記送信機は、前記受信機から通知された結果に基づいて、前記各伝送路に最適な搬送波を選択的に用いるようになされている
ことを特徴とする請求項6に記載の電力線通信システム。 - 前記電力線は、前記複数の配線として第1および第2の電力供給線と1本の接地線とを有する単相3線式の電力線部分を含み、
前記送信機は、前記第1の電力供給線と前記接地線とで形成された第1の伝送路と、前記第2の電力供給線と前記接地線とで形成された第2の伝送路との双方に接続され、それら接続された各伝送路に信号を送出するものであり、
前記受信機は、前記単相3線式の電力線部分において、前記第1または第2の伝送路の少なくともいずれか一方に接続されている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電力線通信システム。 - 前記電力線は、前記複数の配線として第1および第2の電力供給線と1本の接地線とを有する単相3線式の電力線部分と、前記単相3線式の電力線部分から分岐した少なくとも1つの単相2線式の電力線部分とを含み、
前記送信機は、前記単相3線式の電力線部分において、前記第1の電力供給線と前記接地線とで形成された第1の伝送路と、前記第2の電力供給線と前記接地線とで形成された第2の伝送路との双方に接続され、それら接続された各伝送路に信号を送出するものであり、
前記受信機は、前記単相2線式の電力線部分によって形成された1の伝送路に接続されている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電力線通信システム。 - 前記電力線は、単相3線式の電力線部分から分岐した複数の単相2線式の電力線部分とを含み、
前記送信機は、前記複数の単相2線式の電力線部分によって形成された少なくとも2つの伝送路に接続され、それら接続された各伝送路に信号を送出するものであり、
前記受信機は、前記単相2線式の電力線部分によって形成された少なくとも1の伝送路に接続されている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電力線通信システム。 - 電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信を行う電力線通信システムに適用される電力線通信方法であって、
少なくとも2つの伝送路に接続された送信機から、インターリーブされた信号を、前記各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、前記各伝送路に複数の搬送波に分散させて送出するステップと、
受信機を少なくとも1の伝送路に接続すると共に、前記送信機から前記1の伝送路に向けて直接送出された第1の信号と、前記送信機から他の伝送路に送出され、前記1の伝送路上に間接的に伝送されてきた第2の信号とを、前記受信機において前記少なくとも1の伝送路上で受信するステップと
を含み、
前記送信機が、互いに異なる方法でインターリーブを行う複数のインターリーバを有し、前記信号を送出するステップにおいて、前記各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出し、
前記信号を受信するステップにおいて、前記複数のインターリーバに対応した方法でデインターリーブを行う
ことを特徴とする電力線通信方法。 - 電力線を構成する複数の配線により形成された複数の伝送路を利用して通信を行う電力線通信システムに適用される電力線通信用送信機であって、
少なくとも2つの伝送路に接続されると共に、互いに異なる方法でインターリーブを行う複数のインターリーバを有し、
前記接続された各伝送路間で用いる搬送波を互いに異ならせ、1の伝送路において受信されるべきインターリーブされた信号を、前記各伝送路に複数の搬送波に分散させて送出するようになされ、
かつ、前記各伝送路に、互いに異なる方法でインターリーブされた信号を送出するようになされている
ことを特徴とする電力線通信用送信機。
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JP2003388520A JP2005151364A (ja) | 2003-11-18 | 2003-11-18 | 電力線通信システムおよび方法、ならびに電力線通信用送信機 |
Applications Claiming Priority (1)
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