JP2005150927A - 誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサおよび通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 共振線路用孔のピッチを極端に狭くすることなく、通過帯域の低域側に高減衰量の減衰極を生じさせるようにした誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサおよびそれらを備えた通信装置を提供する。
【解決手段】 誘電体ブロック1に、順に隣接する共振線路用孔4a〜4dを配列し、隣接する3つの共振線路用孔4a,4b,4c,4dの近傍に、これらの共振線路用孔による共振線路の開放端付近との間でそれぞれ容量が生じる導体を形成したマルチパス用溝11を配置する。これにより共振線路用孔4a,4b,4c,4dによる4段の共振器をCCC結合させて、通過帯域の低域側に減衰極を生じさせる。
【選択図】 図1
【解決手段】 誘電体ブロック1に、順に隣接する共振線路用孔4a〜4dを配列し、隣接する3つの共振線路用孔4a,4b,4c,4dの近傍に、これらの共振線路用孔による共振線路の開放端付近との間でそれぞれ容量が生じる導体を形成したマルチパス用溝11を配置する。これにより共振線路用孔4a,4b,4c,4dによる4段の共振器をCCC結合させて、通過帯域の低域側に減衰極を生じさせる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、高周波回路に適用される誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサおよびそれらを備えた通信装置に関するものである。
誘電体ブロックに複数の共振線路を設けた誘電体フィルタとして特許文献1が開示されている。この特許文献1には、共振線路用孔をステップ形状とし、大径孔部と小径孔部の軸を相対的に大きく偏心させて、共振線路用孔が屈曲した構造をとる超異軸構造の誘電体フィルタが示されている。また、開放端側が大径孔部であるステップ形状の共振線路用孔(以下、「ステップ孔」という。)を用いることによって、隣接する共振器間を容量性結合(以下、「C結合」という。)させること、およびC結合により通過帯域の低域側に減衰極を生じさせること、さらに共振線路用孔のピッチを必要に応じて設定することで、減衰極を所望の周波数に合わせることが開示されている。
このような共振線路同士の結合により、共振器間を通過した信号とマルチパス部を介して通過した信号との位相差が180°となる周波数で減衰極が発生する。また、共振線路用孔のピッチを必要に応じて設定することによって減衰極を所望の周波数に合わせることができる。
特開平10−256807号公報
4つの共振器の隣接する共振器間をそれぞれC結合させれば、理論上低域側に3つの減衰極を有する特性が得られる。しかし、誘電体ブロック内に上記大径孔部と小径孔部の軸を同軸にしたステップ孔を4つ配置した場合、実際にはそのような特性は得られず、通過帯域に近接する周波数帯で大きな減衰量が得られない。
これは、1段目の共振器と3段目の共振器の間、2段目の共振器と4段目の共振器の間、1段目の共振器と4段目の共振器の間にそれぞれ構造上の容量(飛び結合容量)が発生するため、低域の各減衰極は近づき合い、最終的には重なって減衰極が消えるためであると考えられる。または、共振器本来のモード(TEMモード)と、誘電体ブロック内に発生するTEモードとの干渉で減衰極が消えるものと考えられる。以下、この減衰極が消える現象を「極消え現象」という。
また、特許文献1に示されているように、大径孔部と小径孔部とを異軸とし、隣り合う共振器間のC結合を大きくすると、別の共振器間の結合のC結合が弱くなるか誘導性結合になってしまい、4つの共振器間をそれぞれC結合(以下「CCC結合」という。)とすることが困難であり、低域側に所望の減衰量を得ることができない。
そこで、この発明の目的は、上述の問題を解消し、少なくとも4つの共振線路用孔を用いて低域側に減衰極を有する誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサおよびそれらを備えた通信装置を提供することにある。
この発明の誘電体フィルタは、それぞれの内面に共振線路を形成した複数の共振線路用孔を誘電体ブロックに設け、誘電体ブロックの外面に外導体を形成し、誘電体ブロックの一方の開口面または該開口面付近を開放端とする4つの共振線路用孔を順に隣接配置するとともに、それら4つの共振線路用孔のうち1つの共振線路用孔を間に挟む少なくとも2つの共振線路用孔を、開放端側を大径孔、短絡端側を小径孔とするステップ状の共振線路用孔とし、4つの共振線路用孔のうち外側の2つの共振線路用孔の共振線路にそれぞれ結合する2つの入出力部を誘電体ブロックに設け、内面に形成した導体膜と4つの共振線路用孔の共振線路の開放端付近との間にそれぞれ容量を生じさせるマルチパス用の溝を開放端側の誘電体ブロックの開口面に設け、4つの共振線路用孔の共振線路の開放端付近と前記マルチパス用の溝との間に生じる容量と、隣接する共振線路間に生じる容量とにより、前記4つの共振線路用孔の1段目−2段目間、2段目−3段目間、3段目−4段目間をそれぞれ容量性結合させたことを特徴としている。
また、この発明の誘電体フィルタは、前記2つの入出力部のうち少なくとも一方の入出力部に結合する、一方端が開放されたトラップ用共振線路用孔を前記誘電体ブロックに備えたことを特徴としている。
また、この発明の誘電体フィルタは、実装基板に対する実装面である前記誘電体ブロックの一つの外面に入出力端子を形成し、前記実装面とは反対側の面寄りに前記マルチパス用の溝を配置したことを特徴としている。
また、この発明の誘電体フィルタは、実装基板に対する実装面である前記誘電体ブロックの一つの外面に入出力端子を形成し、前記実装面寄りと、該実装面とは反対側の面寄りに前記マルチパス用の溝をそれぞれ配置したことを特徴としている。
また、この発明の誘電体フィルタは、前記4つの共振線路用孔のうち外側の2つの共振線路用孔より内側の2つの共振線路用孔について、当該2つの共振線路用孔の各共振線路の開放端付近と前記マルチパス用の溝内面の導体膜との間に生じる容量を大きくしたことを特徴としている。
また、この発明の誘電体デュプレクサは、送信フィルタと受信フィルタを備えるとともに、両フィルタのうち通過帯域の高い方のフィルタを上記構成の誘電体フィルタで構成したことを特徴としている。
また、この発明の通信装置は、上記誘電体フィルタまたは誘電体デュプレクサを高周波回路部に設けたことを特徴としている。
この発明によれば、4つの共振線路用孔の隣接する共振線路用孔の開放端側に短絡端に比べて大きな容量が生じるが、それとともに上記負の容量(飛び容量)が発生するので、そのままでは上記「極消え現象」が生じる。しかし、隣接する共振線路がマルチパス用の溝で互いに容量性結合するので、上記極消え現象により消える減衰極の復活がなされて、通過帯域の低域側に3つの減衰極が生じ、通過帯域の低域側に高い減衰量が確保できる。
また、一方の入出力部にトラップ用共振線路が結合する場合、このトラップ用共振線路によるトラップ共振器で通過帯域の低域側の所定の帯域を更に減衰させることができる。
また、この発明によれば、実装基板に対する実装面である誘電体ブロックの一つの外面に入出力端子を形成し、実装面とは反対側の面寄りに前記マルチパス用の溝を配置したことにより、実装基板上で誘電体フィルタに隣接する他の部品とマルチパス用溝の導体との間で、または実装基板に設けられた電極とマルチパス用溝の導体との間で浮遊容量が生じにくくなり、実装基板への実装後の特性変化が抑制できる。
また、この発明によれば、実装基板に対する実装面である前記誘電体ブロックの一つの外面に入出力端子を形成し、前記実装面寄りと、該実装面とは反対側の面寄りに前記マルチパス用の溝をそれぞれ配置したことにより、2つのマルチパス用の溝でより強い容量性結合を得ることができ、上記消える減衰極の復活および減衰極に発生位置(減衰極周波数)の制御が容易となる。
また、この発明によれば、4つの共振線路用孔のうち外側の2つの共振線路用孔より内側の2つの共振線路用孔について、当該2つの共振線路用孔の各共振線路の開放端付近とマルチパス用の溝内面の導体膜との間に生じる容量を大きくしたので、外部結合回路と結合する共振線路(Q劣化のある共振線路)の影響を受けにくくなり、Qの劣化量を抑えることができる。
また、この発明によれば、送信フィルタと受信フィルタを備えるとともに、両フィルタのうち通過帯域の高い方のフィルタを上記構成の誘電体フィルタとして誘電体デュプレクサを構成したことにより、通過帯域の低域側により大きな減衰極を設けて、もう一方のフィルタが通過する周波数帯域への影響または該周波数帯域からの影響を受けにくくできる。
また、この発明によれば、上記誘電体フィルタまたは誘電体デュプレクサを高周波回路部に設けたことにより、高周波回路特性に優れた小型の通信装置が得られる。
図1は誘電体デュプレクサの外観斜視図であり、(A)は実装基板への実装状態で、(B)は実装面を上側にして示した外観斜視図である。また、図2はこの誘電体デュプレクサの四面図と断面図であり、(C)は正面図、(B)は上面図、(A)は背面図、(D)は右側面図、(E)は(C)におけるA−A部分の断面図である。
略直方体形状の誘電体ブロック1には、それぞれの内面に共振線路を形成した、複数の共振線路用孔2a〜2c,3,4a〜4d,5を設けている。また、内面に励振線路を形成した励振線路用孔7,8,9を設けている。誘電体1の外面には図1の(B)における左手前の端面を除く他の五面の略全面に外導体10を形成している。励振線路用孔7,8,9の一方の端部は誘電体ブロック1の一方の端面で外導体10に導通させていて、他方の端部から実装面にかけて送信端子17、アンテナ端子18、受信端子19をそれぞれ形成している。各共振線路用孔2〜5は誘電体ブロックの対向する2面で開口させていて、一方の開口面で共振線路を開放させている。この共振線路の開放端側(図1(B)の左手前の面側)の内径を大きく、短絡端側(図1(B)の右後方の面側)の内径を小さくしたステップ孔としている。
共振線路用孔4a,4b,4c,4dのそれぞれに近接する位置には所定幅・所定長さ・所定深さのマルチパス用溝11を形成している。このマルチパス用溝11の内面には導体膜を形成していて、共振線路用孔4a,4b,4c,4dの内面に形成した共振線路の開放端付近との間でそれぞれ容量を生じさせている。
共振線路用孔2a,2b,2cの内面に形成した共振線路の開放端付近と外導体10との間の容量を増すために段部12a,12bを形成している。
誘電体ブロック1の一方の端面には部分的に外導体10を形成していて、励振線路用孔7,8,9の内面にそれぞれ形成した励振線路の端部をその外導体10に導通させている。共振線路用孔2aと3との間、2cと4aとの間、更に4dと5の間には、それらの間で結合を阻止するアース孔6をそれぞれ形成している。これらのアース孔6の内面には全面に導体膜を形成していて、その両端を外導体10に導通させている。
図1・図2に示したように、各種入出力端子17,18,19を形成した誘電体ブロック1の面を実装面として実装基板に表面実装した際、マルチパス用溝11は実装基板から遠ざかることになる。その結果、マルチパス用溝11内面の導体膜と実装基板に設けた電極や実装基板上の他の部品などとの間で生じる浮遊容量が小さくなり、そのことによる特性変化が抑えられる。
図3は上記4つの共振線路用孔4a,4b,4c,4dとマルチパス用の溝11の形成箇所に生じる容量について示している。ここで、共振線路用孔4a,4b,4c,4dの開放端側で隣接する共振線路用孔の間にそれぞれ容量Ck1,Ck2,Ck3がそれぞれ生じる。また共振線路用孔4a〜4dの共振線路の開放端付近とマルチパス用溝11との間にそれぞれ容量Cm1,Cm2,Cm3,Cm4がそれぞれ生じる。この容量Ck1,Ck2,Ck3により一応CCC結合の形となるが、Ck1,Ck2,Ck3だけでは上述した極消え現象が生じ、通過帯域の低域側に所望の十分な減衰量が得られない。しかし、この発明によればマルチパス用溝11の間に生じる容量Cm1〜Cm4を介して各共振線路間が容量性結合するので、CCC結合して通過帯域の低域側に高い減衰量を得ることができる。
図4は図1に示した誘電体デュプレクサの等価回路図である。ここでZ1,Z2などZに付加した添え字は図2の(C)に示した線路L1〜L9,La,Lb,Lcの通し番号に対応していて、例えばZ1などの1桁の添え字を付して示すインピーダンスは、共振線路および励振線路の自己容量によるインピーダンス、Z12,Z23などのように2桁の添え字を付して示すインピーダンスは、結合する共振線路同士または共振線路と励振線路との間に生じる結合インピーダンスである。
Z12は線路L1−L2間の結合インピーダンス、Zbcは線路Lb−Lc間の結合インピーダンスである。また、Z23は線路L2−L3間の結合インピーダンス、Z67は線路L6−L7間の結合インピーダンス、Z78は線路L7−L8間の結合インピーダンス、Zabは線路La−Lb間の結合インピーダンスである。
図4において、Z12,Zbcはπ/2の位相回路として作用するため、Z1とZ12とでトラップ共振器として作用する。同様に、ZcとZbcとでトラップ共振器として作用する。
Z34は共振線路L3−L4間の誘導性結合を表すインピーダンス、Z45は共振線路L4−L5間の容量性結合を表すインピーダンス、Z56は共振線路L5−L6間の容量性結合を表すインピーダンスである。また、Z89は共振線路L8−L9間の誘導性結合を表すインピーダンス、Z9aは共振線路L9−La間の誘導性結合を表すインピーダンスである。
この例では、誘電体ブロックは横幅18mm、奥行き6.4mm、高さ4.5mmであり、受信フィルタ側の共振線路用孔4a〜4dのピッチを略等しくしている。この例では、4a−4b間のピッチを1.92mm、4b−4c間のピッチを1.64mm、4c−4d間のピッチを1.93mmとしている。また、送信帯域減衰量が55dB以上となるように、マルチパス用溝11の深さを0.4mm、幅0.5mm、長さ3.5mmとし、共振線路用孔4a,4dとの間に比べて4b,4cとの間に、より近接するように配置している。
図5は、この誘電体デュプレクサのアンテナ端子−受信端子間の透過特性S21を示している。ここで縦軸はアンテナ端子18から受信端子19への透過特性S21の減衰量であり、1目盛が10dBであり、太線が0dBの位置を示している。また、横軸は開始周波数を1730MHz、終了周波数を2130MHzのリニアスケールとしている。通過帯域の低域側に生じている減衰極Pa,Pb,Pcはマルチパス用溝11を設けたことによって、共振線路用孔4a,4b,4cによる3段の共振器を互いに容量性結合させたことにより生じる減衰極である。
この第1の実施形態に係る誘電体デュプレクサの受信フィルタ部の構成では、マルチパス用溝11により通過帯域の低域側に3つの減衰極Pa,Pb,Pcが生じ、上記トラップ共振器により更にもう1つの減衰極が生じるが、この例ではトラップ共振器による減衰極をPaに一致または近接させているので、図5では通過帯域の低域側に3つの減衰極Pa,Pb,Pcだけが現れている。
ところで、前述した極消え現象の原因と考えられる飛び容量による極消え現象を回避するために、4つの共振線路を容量性結合、誘導性結合、容量性結合の順に結合(CLC結合)させることも有効ではある。しかし、その構造では、共振線路用孔のピッチが不等間隔になってしまう。そのため、誘電体ブロックを成型する際の成型寸法のばらつきにより、共振線路用孔のピッチの狭い部分は上記成型ばらつきの影響を大きく受けることになり、製造時の特性不良率増加の要因となる。また、共振線路用孔のピッチの狭い部分は共振線路に流れる電流の密度が高くなり、共振器の無負荷Q(Qo)が低くなって、上記減衰極を設けることによる特性改善の妨げとなる。
これに対し、この発明では図1〜図3に示したマルチパス用溝11を設ける。このマルチパス用溝11により共振線路間のC結合を大きくして減衰極の復活を図っている。
なお、減衰極周波数は共振線路用孔のピッチに関係なくマルチパス用溝11の寸法により制御できる。すなわち、マルチパス用溝11の長さ寸法を変えることによって、図3に示した容量Cm2,Cm3を略一定としたまま容量Cm1,Cm4を変化させて減衰極の周波数を制御することができる。
一般に、複数の共振線路のうち外側に位置する共振線路は外部回路との整合のため、回路として影響の大きな(インピーダンスの小さな)エレメントが接続される。図1・図2の例では、共振線路用孔4a,4dの共振線路は励振線路用孔8,9の励振線路と結合する。これは共振器のQ劣化につながる。このことは、マルチパス用溝によるマルチパス回路についても同様であり、Q劣化のある共振線路との結合容量を減らすことによってQの劣化量を抑えることができる。
また、減衰極位置(周波数)制御のためのマルチパス容量Cm1〜Cm4は本来微小容量でよい。ところが、マルチパス容量のみを小さくして制御すると、そのバラツキによる影響が大きくなる。そこで、4つの共振線路のうち内側の2つの共振線路とマルチパス用溝11との間の容量Cm2、Cm3を、外側の2つの共振線路とマルチパス用溝11との間の容量Cm1,Cm4より大きくする。このことによってマルチパスがより安定化する。すなわち、端の共振線路との容量Cm1,Cm4よりも中央の共振線路との容量Cm2,Cm3が大きいほど(容量比に換言すると、Cm1,Cm4に対するCm2,Cm3の容量比が大きいほど)、極消えが効果的に解消でき、大きな減衰量をばらつきの少ない状態で得られる。
また、共振線路用孔のピッチに関係なくマルチパス容量を制御すれば、通過帯域の低域側の減衰極周波数を制御できるので、通過帯域の低域側に近接する減衰域の減衰特性は共振線路用孔のピッチとは独立してマルチパス用溝の寸法により定めることができる。そのため、減衰特性の設計上の自由度が高い。
このようにして、共振器間ピッチを変更することなく減衰極の周波数を設定することができる。また、マルチパス用溝11の寸法は、誘電体ブロックの成型金型によって安定して設けることができるので、特性ばらつきが小さく、特性調整などのコストアップ要因が無く良品率が向上するため、全体に低コスト化が図れる。
なお、3つの共振器の隣接共振器間をそれぞれL結合させる構成(LL結合)にしても、共振器間に飛び容量が発生するが、LL結合の場合には、2本の減衰極を離れさせるように作用する。従って、極消え現象は生じない。図1・図2に示した例で、送信フィルタ部の3つの共振器はLL結合しているが、この3つの共振器のうち、中央の共振器の開放面を大きくすることによって、両端の共振器の飛び容量を小さくして、通過帯域の高域側に生じる減衰極を制御している。
図6は、この第1の実施形態に係る誘電体デュプレクサにおける受信フィルタと送信フィルタの透過特性を示す図である。Rxは受信フィルタの透過特性、Txは送信フィルタの透過特性である。このように、低域側を送信周波数帯域、高域側を受信周波数帯域とし、低域側の減衰極Pa,Pb,Pcで送信帯域の所定周波数帯域の信号を減衰させる。また、送信フィルタの減衰極Pdによって受信帯域の所定周波数帯域の信号を減衰させる。この送信フィルタの通過帯域の高域側の減衰極Pdは段部12a,12bによる誘導性結合に起因して生じたものである。
この実施形態では、デュプレクサの通過帯域周波数の高い方のフィルタ(受信フィルタ)に適用するが、例えば米国のPCS−CDMA方式用のデュプレクサであり、次の表に示すように、相手側(通過帯域周波数の低い方)の通過帯域に高減衰量が要求される。
〔表1〕
_______________________________
項目 周波数範囲 仕様
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帯域内挿入損失(IL) 1850〜1910[MHz] 4.0(dB) 以下
減衰量 (Att) 1930〜1990[MHz] 55.0(dB) 以上
_______________________________
図5に示した限界ラインLI,LAは上記帯域内挿入損失(IL)および減衰量の要求スペックに対応している。図5・図6から明らかなように、この発明によれば上記要求特性を満足できることがわかる。
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項目 周波数範囲 仕様
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帯域内挿入損失(IL) 1850〜1910[MHz] 4.0(dB) 以下
減衰量 (Att) 1930〜1990[MHz] 55.0(dB) 以上
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図5に示した限界ラインLI,LAは上記帯域内挿入損失(IL)および減衰量の要求スペックに対応している。図5・図6から明らかなように、この発明によれば上記要求特性を満足できることがわかる。
図1に示した誘電体デュプレクサの製造方法は次のとおりである。
(1)まず、各共振線路用孔、励振孔、アース孔、マルチパス用溝、段部を設けた誘電体ブロックを一体成型によって形成する。
(2)次に、誘電体ブロックの内外面の全面をAg等の導体膜でメタライズする。
(1)まず、各共振線路用孔、励振孔、アース孔、マルチパス用溝、段部を設けた誘電体ブロックを一体成型によって形成する。
(2)次に、誘電体ブロックの内外面の全面をAg等の導体膜でメタライズする。
(3)その後、誘電体ブロックの外面の不要な導体膜部分を削除する。各入出力端子部分は例えば超音波切削ツールを用いて外導体から分離形成する。また、誘電体ブロックの開放端側の面(開放端面)は、その面を平面研磨することによって形成する。
上記平面研磨に際に、各励振線路用孔7,8,9の短絡端とアース孔6の一端がそれぞれ外導体10に導通する部分が削除されてしまわないように、それらの部分を予めわずかに凹ませておく。このことによって、誘電体ブロックの一端面の単純な平面研磨によって、上記開放端面を容易に形成することできる。そのため製造コストを削減できる。
次に、第2の実施形態に係る誘電体デュプレクサの2つの構成例について図7を基に説明する。
図7の(A),(B)は何れも誘電体デュプレクサの開放端面側の正面図である。(A)に示す例では、マルチパス用溝11の中央部を共振線路用孔4b,4cに対してそれぞれより近接するように屈折した形状としている。このようにして、共振線路用孔4b,4cに設けた共振線路同士のC結合を、共振線路用孔4a,4bの共振線路同士のC結合および共振線路用孔4c,4dの共振線路同士のC結合より相対的に大きくしてもよい。これにより、上記の効果をさらに高めることができる。
図7の(A),(B)は何れも誘電体デュプレクサの開放端面側の正面図である。(A)に示す例では、マルチパス用溝11の中央部を共振線路用孔4b,4cに対してそれぞれより近接するように屈折した形状としている。このようにして、共振線路用孔4b,4cに設けた共振線路同士のC結合を、共振線路用孔4a,4bの共振線路同士のC結合および共振線路用孔4c,4dの共振線路同士のC結合より相対的に大きくしてもよい。これにより、上記の効果をさらに高めることができる。
また図7の(B)に示す例では、3つのマルチパス用溝11a,11b,11cを設けている。ここでマルチパス用溝11aは共振線路用孔4a,4bの共振線路間のC結合を高め、マルチパス用溝11bは共振線路用孔4b,4cの共振線路間のC結合を高め、マルチパス用溝11cは共振線路用孔4c,4dの共振線路間のC結合を高める。このようにマルチパス用溝を個別に設ければ、各マルチパス用溝の形状を単純化でき、且つ隣接する2つの共振線路間のC結合の強さをそれぞれ独立して容易に定めることができる。
なお、第1・第2の実施形態では、各共振線路用孔4a〜4dのすべての共振線路用孔の断面形状を開放端側と短絡端側とでその内径をステップ状に変化させたステップ孔としたが、これらの共振線路用孔のうち、1つの共振線路用孔を間に挟む少なくとも2つの共振線路用孔をステップ孔にしてもよい。その構造でも隣接する各共振線路の開放端側同士に生じる容量を大きくして、隣接する各共振線路間をそれぞれC結合させることができる。
また、第1・第2の実施形態では単一の誘電体ブロックに送信フィルタと受信フィルタを備えた誘電体デュプレクサを示したが、通過帯域の低域側に減衰極を有する帯域通過フィルタ単体についても同様に適用できる。
次に、第3の実施形態に係る誘電体デュプレクサの構成を図8を参照して説明する。
第1・第2の実施形態では、誘電体ブロックの対向する2面間を貫通する、内面に励振線路を形成した励振線路用孔によって入出力を行うようにしたが、この図8に示す例では、誘電体ブロック1の側面に入出力部としての送信端子17および受信端子19を形成している。共振線路用孔2dの内面に形成した共振線路の開放端付近と送信端子17とは容量性結合する。また共振線路形成用孔4eの内面に形成した共振線路の開放端付近と受信端子19とが容量性結合する。第1・第2の実施形態では3つの共振線路によって送信フィルタを構成し、4つの共振線路によって受信フィルタを構成したが、この図8に示す例では、共振線路用孔2d,2a,2b,2cによる4段の共振器によって送信フィルタを構成していて、共振線路用孔4a〜4eの5段の共振器によって受信フィルタを構成している。なお、この誘電体デュプレクサにはトラップ共振器を設けていない。その他の構成は図1に示したものと同様である。
第1・第2の実施形態では、誘電体ブロックの対向する2面間を貫通する、内面に励振線路を形成した励振線路用孔によって入出力を行うようにしたが、この図8に示す例では、誘電体ブロック1の側面に入出力部としての送信端子17および受信端子19を形成している。共振線路用孔2dの内面に形成した共振線路の開放端付近と送信端子17とは容量性結合する。また共振線路形成用孔4eの内面に形成した共振線路の開放端付近と受信端子19とが容量性結合する。第1・第2の実施形態では3つの共振線路によって送信フィルタを構成し、4つの共振線路によって受信フィルタを構成したが、この図8に示す例では、共振線路用孔2d,2a,2b,2cによる4段の共振器によって送信フィルタを構成していて、共振線路用孔4a〜4eの5段の共振器によって受信フィルタを構成している。なお、この誘電体デュプレクサにはトラップ共振器を設けていない。その他の構成は図1に示したものと同様である。
このようにして誘電体ブロックの側面に形成した入出力用の端子と共振線路とを容量性結合させて入出力を行うようにしてもよい。
次に、第4の実施形態に係る通信装置の構成例を図9を参照して説明する。
図9は通信装置の主要部の構成を示すブロック図である。この装置の送信系は電圧制御発振器(VCO)138、ミキサ134、バンドパスフィルタ133、増幅器132、アイソレータ131、デュプレクサ123の送信フィルタで構成している。ミキサ134はVCO138の発振信号と送信信号とをミキシングしてバンドパスフィルタ133で必要な送信帯域の信号を通過させ、増幅器132で増幅し、アイソレータ131を介し、更にデュプレクサ123の送信フィルタを介してアンテナ122から送信する。受信系はデュプレクサ123の受信フィルタ、増幅器135、バンドパスフィルタ136、ミキサ137、バンドパスフィルタ139から構成している。アンテナ122からの受信信号はデュプレクサ123の受信フィルタを通過し、増幅器135で増幅され、バンドパスフィルタ136で必要な受信信号帯域のみ選択される。ミキサ137はこの信号とバンドパスフィルタ139から出力されるローカル信号とをミキシングして受信回路への受信信号を出力する。
図9は通信装置の主要部の構成を示すブロック図である。この装置の送信系は電圧制御発振器(VCO)138、ミキサ134、バンドパスフィルタ133、増幅器132、アイソレータ131、デュプレクサ123の送信フィルタで構成している。ミキサ134はVCO138の発振信号と送信信号とをミキシングしてバンドパスフィルタ133で必要な送信帯域の信号を通過させ、増幅器132で増幅し、アイソレータ131を介し、更にデュプレクサ123の送信フィルタを介してアンテナ122から送信する。受信系はデュプレクサ123の受信フィルタ、増幅器135、バンドパスフィルタ136、ミキサ137、バンドパスフィルタ139から構成している。アンテナ122からの受信信号はデュプレクサ123の受信フィルタを通過し、増幅器135で増幅され、バンドパスフィルタ136で必要な受信信号帯域のみ選択される。ミキサ137はこの信号とバンドパスフィルタ139から出力されるローカル信号とをミキシングして受信回路への受信信号を出力する。
前述の各実施形態で示した構成の誘電体デュプレクサはデュプレクサ123に適用できる。また、前述した単体のフィルタをフィルタ133,136,139のいずれかに適用できる。
1−誘電体ブロック
2,3,4,5−共振線路用孔
6−アース孔
7,8,9−励振線路用孔
10−外導体
11−マルチパス用溝
12,13−段部
17−送信端子
18−アンテナ端子
19−受信端子
2,3,4,5−共振線路用孔
6−アース孔
7,8,9−励振線路用孔
10−外導体
11−マルチパス用溝
12,13−段部
17−送信端子
18−アンテナ端子
19−受信端子
Claims (7)
- それぞれの内面に共振線路を形成した複数の共振線路用孔を誘電体ブロックに設け、該誘電体ブロックの外面に外導体を形成した誘電体フィルタにおいて、
前記誘電体ブロックの一方の開口面または該開口面付近を開放端とする少なくとも4つの共振線路用孔を順に隣接配置するとともに、それら4つの共振線路用孔のうち1つの共振線路用孔を間に挟む少なくとも2つの共振線路用孔を、該開放端側を大径孔、短絡端側を小径孔とするステップ状の共振線路用孔とし、
前記4つの共振線路用孔のうち外側の2つの共振線路用孔の共振線路にそれぞれ結合する2つの入出力部を前記誘電体ブロックに設け、
内面に形成した導体膜と前記4つの共振線路用孔の共振線路の開放端付近との間にそれぞれ容量を生じさせるマルチパス用の溝を前記開放端側の前記誘電体ブロックの開口面に設け、
前記4つの共振線路用孔の共振線路の開放端付近と前記マルチパス用の溝との間に生じる容量と、隣接する共振線路間に生じる容量とにより、前記4つの共振線路用孔の1段目−2段目間、2段目−3段目間、3段目−4段目間をそれぞれ容量性結合させたことを特徴とする誘電体フィルタ。 - 前記2つの入出力部のうち少なくとも一方の入出力部に結合する、一方端が開放されたトラップ用共振線路用孔を前記誘電体ブロックに備えた請求項1に記載の誘電体フィルタ。
- 実装基板に対する実装面である前記誘電体ブロックの一つの外面に入出力端子を形成し、前記実装面とは反対側の面寄りに前記マルチパス用の溝を配置した請求項1または2に記載の誘電体フィルタ。
- 実装基板に対する実装面である前記誘電体ブロックの一つの外面に入出力端子を形成し、前記実装面寄りと、該実装面とは反対側の面寄りに前記マルチパス用の溝をそれぞれ配置した請求項1または2に記載の誘電体フィルタ。
- 前記4つの共振線路用孔のうち外側の2つの共振線路用孔より内側の2つの共振線路用孔について、当該2つの共振線路用孔の各共振線路の開放端付近と前記マルチパス用の溝内面の導体膜との間に生じる容量を大きくした請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体フィルタ。
- 送信フィルタと受信フィルタを備えるとともに、両フィルタのうち通過帯域の高い方のフィルタを請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体フィルタで構成したことを特徴とする誘電体デュプレクサ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体フィルタまたは請求項6に記載の誘電体デュプレクサを通信信号処理回路部に備えた通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003382529A JP2005150927A (ja) | 2003-11-12 | 2003-11-12 | 誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサおよび通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005150927A true JP2005150927A (ja) | 2005-06-09 |
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ID=34691578
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JP2003382529A Pending JP2005150927A (ja) | 2003-11-12 | 2003-11-12 | 誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサおよび通信装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005150927A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011155350A (ja) * | 2010-01-26 | 2011-08-11 | Kyocera Corp | 複合フィルタならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器 |
CN110112518A (zh) * | 2019-06-14 | 2019-08-09 | 广东国华新材料科技股份有限公司 | 双模介质波导滤波器 |
CN111816962A (zh) * | 2020-08-11 | 2020-10-23 | 中国电子科技集团公司第二十六研究所 | 一种介质滤波器电磁混合耦合结构及通信设备 |
-
2003
- 2003-11-12 JP JP2003382529A patent/JP2005150927A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011155350A (ja) * | 2010-01-26 | 2011-08-11 | Kyocera Corp | 複合フィルタならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器 |
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CN110112518B (zh) * | 2019-06-14 | 2020-11-27 | 广东国华新材料科技股份有限公司 | 双模介质波导滤波器 |
CN111816962A (zh) * | 2020-08-11 | 2020-10-23 | 中国电子科技集团公司第二十六研究所 | 一种介质滤波器电磁混合耦合结构及通信设备 |
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