JP2005150082A - 白色有機エレクトロルミネセンス素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高輝度で色純度の高い白色の発色光を発する白色有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を得る。
【解決手段】 白色有機EL素子20は、基板10上に陽極11および陰極18により挟まれた有機層21を有する。有機層21には、陽極側から青色発光層13、2層のホールブロッキング層15a、15b、緑色発光層16が積層される。2層のホールブロッキング層15a、15bはDye層14を挟み込む。Dye層14は、その厚さが約0.1〜3nm程度であり、赤色色素および黄色色素から形成される。電源22から電圧を印加すると、青色発光層13から青色の光が、緑色発光層16からは緑色の光が、Dye層14からは赤色の光が発する。白色有機EL素子20は、これら3色の光によって、白色の発色光を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、白色光を発する白色有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
従来、有機エレクトロルミネセンス素子を用いて、フルカラー表示が可能な表示素子を作成する例として、いわゆる白色法が知られている。白色法は、白色有機エレクトロルミネセンス素子(以下白色有機EL素子という。)から白色光を発光させ、その白色光をカラーフィルタでフィルタリングして、RGBの発光色を実現させる方法である。
白色法で用いられる白色有機EL素子としては、例えば、特許文献1に記載されるように、第1の青色発光層、黄色色素から成るδ層、および第2の青色発光層を積層して発光層を形成する白色有機EL素子が知られている。この白色有機EL素子は、青色発光層とδ層の発色光が補色の関係にあることを利用し、白色の発色光を実現している。
特開2002−184574号公報
特許文献1に記載される白色有機EL素子においては、青色発光層およびδ層において、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが再結合して光を発する。しかし、この白色有機EL素子においては、再結合する領域が狭いため、高輝度の白色光を得ることは困難である。
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、高輝度でかつ純度の高い白色の発色光を発することができる白色有機EL素子を得ることを目的とする。
本発明に係る白色有機エレクトロルミネセンス素子は、基板上に、陽極および陰極により挟まれた有機層で構成され、白色の発色光を発する白色有機エレクトロルミネセンス素子であって、有機層には、少なくとも、青色発光層と、第1および第2のホールブロッキング層と、第1および第2のホールブロッキング層の間に挟まれ少なくとも赤色色素および黄色色素のいずれか一方を材料として形成されるDye層とが積層されることを特徴とする。
青色発光層の発光色とDye層の発光色とが補色の関係にあり、白色の発光色を発することが好ましい。
陽極側から青色発光層、第1のホールブロッキング層、Dye層、第2のホールブロッキング層の順で積層されることが好ましい。
Dye層の最低空準位のエネルギー準位は、第1および第2のホールブロッキング層の最低空準位のエネルギー準位より低く、さらにDye層の最高被占準位のエネルギー準位は、第1および第2のホールブロッキング層の最高被占準位のエネルギー準位より高いことが好ましい。
有機層にさらに緑色発光層が積層される場合、青色発光層の発光色と、Dye層の発光色と、緑色発光層の発光色とが混合されることにより、白色の発光色を発し、好ましくは陽極側から青色発光層、第1のホールブロッキング層、Dye層、第2のホールブロッキング層、緑色発光層の順で積層される。
Dye層は、赤色色素および黄色色素を材料として形成される場合、黄色色素の含有量は、赤色色素の含有量より多いことが好ましく、黄色色素と赤色色素の重量比は1.8〜2.2:1、さらに好ましくは約2:1であるほうが良い。
Dye層は、赤色色素および黄色色素が混合されて形成されることが好ましく、この場合Dye層は、赤色色素と黄色色素とが共蒸着されることにより形成される。
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子は、基板上に、陽極および陰極により挟まれた有機層で構成され、所定の色の光を発する有機エレクトロルミネセンス素子であって、有機層には、少なくとも、第1および第2のホールブロッキング層と、第1および第2のホールブロッキング層の間に挟まれ所定の色素を材料として形成されるDye層とが積層され、Dye層の最低空準位のエネルギー準位は、第1および第2のホールブロッキング層の最低空準位のエネルギー準位より低く、Dye層の最高被占準位のエネルギー準位は、第1および第2のホールブロッキング層の最高被占準位のエネルギー準位より高いことを特徴とする。
本発明に係る白色有機EL素子は、色純度が高くかつ高輝度の白色光を得ることができる。
以下本発明に係る実施形態を図1〜図2を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の白色有機EL素子の一実施形態の模式的な断面図を示す。白色有機EL素子20は、基板10と、基板10上に形成された陽極11と、陽極11上に積層された有機層21と、有機層21の上に形成された電子注入層17と、電子注入層17の上に形成された陰極18を有する。
基板10は、透光性を有するガラスを材料として形成される。陽極11は、ITO(インジウムとスズの酸化物)を材料として形成される半透明膜であって、その膜厚は100nm程度である。陽極11上に形成された有機層21は、後述するように白色光を発光させ、その白色光は、陽極11および基板10を透過して白色有機EL素子20外部に発せられる。
有機層21は陽極11側(すなわち図1においては下側)から順に、正孔輸送層(ホール輸送層)12、青色発光層13、第1のホールブロッキング層15a、Dye層14、第2のホールブロッキング層15b、および緑色発光層16が積層されて、形成される。
正孔輸送層12は、NPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)―N,N’−ジフェニル−ベンジジン(N,N'-di(naphthalene-1-yl)-N,N'-diphenyl-benzidine))を材料として形成され、その厚さは約70nmである。正孔輸送層12は、陽極11から注入された正孔(ホール)を青色発光層13等に有効に移動させる。
青色発光層13は、ホスト有機材料であるDPVBi(1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(1,4-bis(2,2-diphenylvinyl)biphenyl))に青色ドーパント色素であるPe(ペリレン(perylene))またはTBPe(テトラ(t−ブチル)ペリレン)がドープされて形成され、その厚さは約10nmである。
第1および第2のホールブロッキング層15a、15bは、陽極から注入された正孔が陰極側へ移動するのを阻害するための層である。ホールブロッキング層15a、15bは、TPBi(2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(2,2',2"-(1,3,5-benzenetriyl)tris(1-phenyl-1H-benzimidazole)))を材料として形成され、その厚さは約30nmである。ホールブロッキング層15a、15bに挟まれるDye層14は、黄色色素および赤色色素を材料として形成され、その厚さは約0.1〜3nm程度である。黄色色素としては、ルブレン(Rubrene)が用いられる。赤色色素としては、DCM2(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(2−(2,3,6,7−テトラ−ヒドロ−1H,5H−ベンゾ)[ij]キノリジン−8−イル)−4H−ピラン(4-dicyanomethylene-2-methyl-6-(2-(2,3,6,7-tetra-hydro-1H,5H-benzo)[ij]quinolizin-8-yl)-4H-pyran))が用いられる。ここで、黄色色素の含有量は、赤色色素の含有量より多く、黄色色素と赤色色素の重量比は約2:1である。緑色発光層16は、厚さ20nm程度の層であり、アルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)を材料として形成される。なお、青色発光層13、緑色発光層16、および第1および第2のホールブロッキング層15a、15bは、電子輸送性に優れ、電子輸送層の役割も果たす。なお、NPB、DPVBi、Pe、TBPe、ルブレン、DCM2、TPBi、およびAlq3の化学式は、以下式[1]〜[8]に示す。
有機層21を挟み込む陽極11と陰極18は、電源22に接続され、電源22から電圧が印加されると、陽極11から正孔が、陰極18から電子が有機層21に注入される。陰極18は例えばアルミニウムを材料として形成される。陰極18と有機層21の間には電子注入層17が形成される。電子注入層17は陰極18から電子を有機層21に容易に注入させやすくするための層であって、例えばLiFを材料として形成され、その厚さは約0.7nmである。
有機層21の各層は、陽極上に順次蒸着されることにより、形成される。特に、Dye層14は、黄色色素と赤色色素が共蒸着されることにより、形成される。これにより、Dye層14は、赤色色素および黄色色素が略均一に混合されて形成される。また、電子注入層17および陰極18についても、有機層21上に蒸着されることにより形成される。
図2は白色有機EL素子20の有機層21の各層のエネルギー準位を模式的に示した図である。図2を参照して白色有機EL素子20の発光原理について詳細に説明する。上述したように、有機層21には、陽極側から順に、NPB(正孔輸送層12)、DPVBi(青色発光層13)、TPBi(第1のホールブロッキング層15a)、RubreneとDCM2(Dye層14)、TPBi(第2のホールブロッキング層15b)、Alq3(緑色発光層16)を材料として形成された層が積層される。
図2に示すように、それぞれの層の最低空準位(LUMO)および最高被占準位(HOMO)のエネルギー準位は、それぞれの層を形成する物質に基づき、真空準位を0eVとすると、正孔輸送層12が−2.1,−5.2eV、青色発光層13が−2.8,−5.9eV、ホールブロッキング層15a、15bが−2.7,−6.2eV、Dye層14が−3.15および、−5.15および−2.9,−5.2eV、緑色発光層16が−3.1,−5.7eVである。
陰極から注入された電子は、緑色発光層16、2層のホールブロッキング層15a、15b、Dye層14を通って、青色発光層13に送られる。ここで、ホールブロッキング層15bのLUMOのエネルギー準位は、緑色発光層16のLUMOのエネルギー準位より高いので、電子は層15bと層16の界面に集約される。また、Dye層14は、LUMOのエネルギー準位がDye層14(RubreneとDCM2)のLUMOのエネルギー準位より高いホールブロッキング層15a、15bに挟み込まれているので、電子は、Dye層14にも集約される。さらに、正孔輸送層12のLUMOのエネルギー準位は、青色発光層13のLUMOのエネルギー準位より高く、正孔輸送層12のために電子は青色発光層13に集約する。
陽極から注入された正孔は、正孔輸送層12、青色発光層13、ホールブロッキング層15a、15b、Dye層14を通って、緑色発光層16まで送られる。ここで、HOMOのエネルギー準位は、ホールブロッキング層15aが青色発光層13より低く、青色発光層13が正孔輸送層12より低い。したがって、正孔は層12と層13の界面、および層13と層15aの界面に集約される。また、Dye層14のHOMOのエネルギー準位は、ホールブロッキング層15aのHOMOのエネルギー準位より高く、すなわち、Dye層14のバンドギャップ(LUMOとHOMOのエネルギー準位差)が、Dye層14を挟むホールブロッキング層15a、15bのバンドギャップより小さいので、正孔は容易にDye層14に注入され、Dye層14とホールブロッキング層15bの界面に集約される。
上述した電子および正孔の挙動により、本実施形態では、青色発光層13と正孔輸送層12の界面、Dye層14と第1および第2のホールブロッキング層15a、15bの界面付近、および第2のホールブロッキング層15bと緑色発光層16の界面において、正孔と電子の再結合が非常に多く発生する。これらの再結合によって、青色発光層13は青色の発色光を、Dye層14は赤色の発色光を、緑色発光層は緑色の発色光を発する。これらの3色の発色光は混合され、白色有機EL素子20は、白色の発色光を発する。
なお、ホールブロッキング層15a、15bの励起状態のエネルギー準位は、黄色色素の励起状態のエネルギー準位より高く、また黄色色素の励起状態のエネルギー準位は赤色色素のエネルギー準位より高い。したがって、Dye層14と層15a、15bの界面付近で発生した再結合によって生じた励起子のエネルギーは、黄色色素、続いて赤色色素に移動する。したがって、Dye層14は赤色の発色光を発する。
以上のように、本実施形態においては、複数箇所で電子と正孔の再結合が起こるので、再結合される領域が広がり、高輝度の白色発光を得ることができる。また、各発光層およびDye層の膜厚を調整することにより、各発光色の強度が任意に調整することができるので、容易に白色発光を得ることができる。
なお、赤色色素および黄色色素は、他の色素でもよく、例えば、赤色色素としては、ローダミン6G(rhodamine 6G)、DCJTB(4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(4-(dicyanomethylene)-2-t-butyl-6-(1,1,7,7-tetramethyljulolidyl-9-enyl)-4H-pyran))等を使用してもよい。
さらに、本実施形態においては、Dye層14は、赤色色素(DCM2)に黄色色素(Rubrene)が混合されて形成されているが、これはホールブロッキング層15a、15bで生じた励起子のエネルギーが、黄色色素を介することによって、赤色色素に移動しやすくするためである。したがって、Dye層14は、黄色色素が含有されず、色素として赤色色素(DCM2)のみが材料として形成されてもよい。しかし、この場合、赤色色素へのエネルギー移動が起こりにくくなるので、Dye層14からは赤色の発色光は発せられずに、ピンク色の発色光が発せられる。
また、Dye層14は赤色色素が含有されず、色素としては黄色色素(Rubrene)のみが材料として形成され、さらに有機層21に、緑色発光層16が積層されていない構成であってもよい。この場合、Dye層14によって発せられる光は、黄色の発色光であるので、青色発光層13から発する青色の光と、Dye層14から発する黄色の光が補色の関係となり、白色有機EL素子20は白色光を発する。
なお、本実施形態においては、青色発光層13のホスト材料として、DPVBiを用いたが、ホスト材料としては、β-ADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(9,10-di(2-naphthyl)anthracene))、TBADN(2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(2-t-buthyl-9,10-di(2-naphthyl)anthracene))等を用いてもよい。
また、本実施形態においては、青色発光層13は、ホスト材料であるDPVBiにPeまたはTBPeをドープして形成されるが、ドーパント色素がドープされていなくともよい。この場合、青色発光層13は、ドーパント色素がドープされていなくても、充分に発光する青色発光材料を材料として形成される。なお、rhodamine 6G、DCJTB、β-ADNおよびTBADNの化学式は、以下の式[9]〜[12]に示す通りである。
本発明の白色有機EL素子の一実施形態の模式的な断面図を示す。 本発明の一実施形態に係る白色有機EL素子が有する有機層の各層のエネルギー準位を模式的に示す。
符号の説明
10 基板
11 陽極
12 正孔輸送層
13 青色発光層
14 Dye層
15a、15b 第1、第2のホールブロッキング層
16 緑色発光層
18 陰極
20 白色有機エレクトロルミネセンス素子(白色有機EL素子)

Claims (12)

  1. 基板上に、陽極および陰極により挟まれた有機層で構成され、白色の発色光を発する白色有機エレクトロルミネセンス素子であって、
    前記有機層には、少なくとも、青色発光層と、第1および第2のホールブロッキング層と、前記第1および第2のホールブロッキング層の間に挟まれ少なくとも赤色色素および黄色色素のいずれかを材料として形成されるDye層とが積層されることを特徴とする白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  2. 前記青色発光層の発光色と前記Dye層の発光色とが補色の関係にあり、白色の発光色を発することを特徴とする請求項1に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  3. 前記陽極側から青色発光層、第1のホールブロッキング層、Dye層、第2のホールブロッキング層の順で積層されることを特徴とする請求項1に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  4. 前記Dye層の最低空準位のエネルギー準位は、前記第1および第2のホールブロッキング層の最低空準位のエネルギー準位より低く、さらに前記Dye層の最高被占準位のエネルギー準位は、前記第1および第2のホールブロッキング層の最高被占準位のエネルギー準位より高いことを特徴とする請求項1に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  5. 前記有機層にさらに緑色発光層が積層されることを特徴とする請求項1に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  6. 前記青色発光層の発光色と、前記Dye層の発光色と、前記緑色発光層の発光色とが混合されることにより、白色の発光色を発することを特徴とする請求項5に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  7. 前記陽極側から青色発光層、第1のホールブロッキング層、Dye層、第2のホールブロッキング層、緑色発光層の順で積層されることを特徴とする請求項5に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  8. 前記Dye層は、赤色色素および黄色色素を材料として形成され、前記黄色色素の含有量は、前記赤色色素の含有量より多いことを特徴とする請求項1に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  9. 前記黄色色素と赤色色素の重量比が1.8〜2.2:1であることを特徴とする請求項8に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. 前記Dye層は、前記赤色色素および前記黄色色素が混合されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. 前記Dye層は、前記赤色色素と前記黄色色素とが共蒸着されることにより形成されることを特徴とする請求項10に記載の白色有機エレクトロルミネセンス素子。
  12. 基板上に、陽極および陰極により挟まれた有機層で構成され、所定の色の光を発する有機エレクトロルミネセンス素子であって、
    前記有機層には、少なくとも、第1および第2のホールブロッキング層と、前記第1および第2のホールブロッキング層の間に挟まれ所定の色素を材料として形成されるDye層とが積層され、
    前記Dye層の最低空準位のエネルギー準位は、前記第1および第2のホールブロッキング層の最低空準位のエネルギー準位より低く、前記Dye層の最高被占準位のエネルギー準位は、前記第1および第2のホールブロッキング層の最高被占準位のエネルギー準位より高いことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。

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