JP2005147236A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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信也 都築
Hiroshi Tsutsui
洋 筒井
Shuichi Funakoshi
秀一 船越
Masatake Ichikawa
正猛 市川
Yutaka Teraoka
豊 寺岡
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Abstract

【課題】 摩擦係合要素の掴み換えによってパワーオンダウンシフト変速を行う際の、解放側のフィードバック油圧制御時の一次遅れをなくして、変速フィーリングの悪化を防止する。
【解決手段】 解放側のフィードバック油圧制御(回転変化率)の終了時に、係合側と解放側との摩擦係合要素をタイアップさせることで、エンジン吹きを確実に防止する。このタイアップ時の入力回転加速度の引き上げ量(極小点P2と極大点P3とにおける入力回転加速度の差)に基づいてフィードバック油圧制御の開始タイミングを学習制御する。開始タイミングを、引き上げ量が過多の場合は遅く、また過少の場合は早くして、最適なタイミングとする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、エンジン及び自動変速機を搭載した自動車における自動変速機の制御装置に係り、エンジンから車輪方向に動力が伝達されるパワーオン状態において、解放側の摩係合要素と係合側の摩擦係合要素との掴み換え、いわゆるクラッチツークラッチによりダウンシフトする際に解放側の摩擦係合要素の油圧を制御する制御装置に関する。
自動変速機において、2個の摩擦係合要素の掴み換え、いわゆるクラッチツークラッチによってパワーオンダウンシフト変速を行うことがある(例えば、特許文献1,2)。この際、変速進行度合(変速前後のギヤ比の差に対する現在のギヤ比、以下同じ)は、係合側の摩擦係合要素を一定あるいは漸増させる係合待機圧に保持した状態で、解放側の摩擦係合要素によって制御している。このときの制御は、入力軸回転加速度を、目標とする回転加速度に近づけるように解放側油圧を制御する、いわゆるフィードバック油圧制御である。このフィードバック油圧制御により、摩擦係合要素個々のばらつき、例えば、経時変化による劣化に起因するバラツキ等に対する油圧補正を実施している(例えば特許文献1)。
ところで、このフィードバック油圧制御においては、油圧応答性に一次遅れが発生する。すなわち、フィードバック油圧制御において目標入力回転加速度と現在の回転加速度を比較して油圧を算出し、その算出結果に基づいて油圧補正を実施していくため、油圧の変化に遅れが発生してしまう。
このような一次遅れが発生すると、摩擦係合要素の経時変化に伴う劣化に対して、フィードバック油圧制御の実施時間の余裕がないため、変速終了時のタイアップに伴う変速ショックを確実に防止することが困難となる。このため、従来は、フィードバック油圧制御の開始タイミングを早め、フィードバック油圧制御を行う時間を長く設定して、変速ショックを防止するようにしていた。
特開2001−124194号公報 特開2002−154093号公報
しかしながら、フィードバック油圧制御の開始時間を早めた場合には、パワーオンダウンシフト変速中に吹き上がる傾向にあるエンジンのその吹き上がりを抑制してしまうことになり、変速フィーリングが悪化するという問題があった。
そこで、本発明は、クラッチツークラッチによるパワーオンダウンシフト変速時における解放側のフィードバック油圧制御の状態を学習にて最適に調整可能とし、もって変速フィーリングの悪化を防止するようにした自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明(例えば、図1〜図3参照)は、エンジンからの回転が入力される入力軸(7)と、車軸(15)に接続された出力軸(4)と、前記入力軸(7)と前記出力軸(4)との間に設けられた複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)を接断して伝達経路を切換えることにより前記入力軸(7)の回転を変速して前記出力軸(4)に出力する自動変速機構と、係合側制御手段(21f)と、解放側制御手段(21e)と、を備え、
前記係合側制御手段(21f)と前記解放側制御手段(21e)による調圧手段(SL1,SL2)の制御により調圧される油圧に基づいて、係合側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速変速時のC−3)を係合するとともに、解放側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速変速時のC−2)を解放することでダウンシフト変速を行う自動変速機(1)の制御装置(21)において、
前記入力軸(7)の回転数を検出する入力回転数検出手段(24)と、
前記入力回転数検出手段(24)に基づいて前記入力軸(7)の変化を検出する入力回転変化検出手段(21b)と、
前記入力回転変化検出手段(21b)による変化に基づいて、変速終了時の前記係合側の摩擦係合要素(C−3)に対する前記解放側の摩擦係合要素(C−2)のタイアップの状態を判断する判断手段(21c)と、
前記判断手段(21c)に基づき前記ダウンシフト変速に際しての前記解放側の摩擦係合要素用油圧を補正する学習手段(21d)と、を備え、
前記解放側制御手段(21e)は、変速進行度合を制御するためのフィードバック油圧制御の状態を、前記学習手段(21d)に基づいて制御する、
ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記入力回転変化検出手段(21b)は、前記入力軸(7)の入力軸回転加速度を検出する、
ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記判断手段(21c)は、前記タイアップ時に引き上げられる前記入力軸回転加速度の引き上げ量に基づいて前記タイアップの状態を判断する、
ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記判断手段(21d)は、前記引き上げ量が第1の閾値(α)よりも大きい場合に、前記タイアップが過多であると判断する、
ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記学習手段(21d)は、前記判断手段(21c)が前記タイアップの過多を判断した場合に、前記フィードバック油圧制御の開始タイミングを遅らせる補正を行う、
ことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記判断手段(21c)は、前記引き上げ量が、前記第1の閾値(α)よりも小さい第2の閾値(β)よりもさらに小さい場合に、前記タイアップが過少であると判断する、
ことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記学習手段(21d)は、前記判断手段(21c)が前記タイアップの過少を判断した場合に、前記フィードバック油圧制御の開始タイミングを早める補正を行う、
ことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、エンジンからの回転が入力される入力軸(7)と、車軸(15)に接続された出力軸(4)と、前記入力軸(7)と前記出力軸(4)との間に設けられた複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)を接断して伝達経路を切換えることにより前記入力軸(7)の回転を変速して前記出力軸(4)に出力する自動変速機構と、係合側制御手段(21f)と、解放側制御手段(21e)と、を備え、
前記係合側制御手段(21f)と前記解放側制御手段(21e)による調圧手段(SL1,SL2)の制御により調圧される油圧に基づいて、係合側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速変速時のC−3)を係合するとともに、解放側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速変速時のC−2)を解放することでダウンシフト変速を行う自動変速機(1)の制御装置(21)において、
前記入力軸(7)の回転数を検出する入力回転数検出手段(24)と、
前記出力軸(4)の回転数を検出する出力回転数検出手段(25)と、
エンジン吹きの有無を判断する判断手段(21c)と、
前記判断手段(21c)に基づき前記ダウンシフト変速に際しての前記解放側の摩擦係合要素用油圧を補正する学習手段(21d)と、を備え、
前記判断手段(21c)は、変速後の目標ギヤ比と変速後の実際のギヤ比とから前記エンジン吹きを判断する、
ことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の自動変速機(1)の制御装置(4)において、前記判断手段(21c)は、前記出力回転数検出手段(25)が検出する前記出力軸(4)の回転数と変速後のギヤ比との積と、前記入力回転数検出手段(24)が検出する前記入力軸(7)の回転数との差が、閾値(α3)よりも大きい場合に、前記エンジン吹きがあったものと判断する、
ことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記学習手段(21d)は、前記判断手段(21c)が前記エンジン吹きがあったものと判断した場合に、変速進行度合を制御するためのフィードバック油圧制御の開始タイミングを早める、
ことを特徴とする。
請求項11に係る発明は、エンジンからの回転が入力される入力軸(7)と、車軸(15)に接続された出力軸(4)と、前記入力軸(7)と前記出力軸(4)との間に設けられた複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)を接断して伝達経路を切換えることにより前記入力軸(7)の回転を変速して前記出力軸(4)に出力する自動変速機構と、係合側制御手段(21f)と、解放側制御手段(21e)と、を備え、
前記係合側制御手段(21f)と前記解放側制御手段(21e)による調圧手段(SL1,SL2)の制御により調圧される油圧に基づいて、係合側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速変速時のC−3)を係合するとともに、解放側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速変速時のC−2)を解放することでダウンシフト変速を行う自動変速機(1)の制御装置(21)において、
前記解放側の摩擦係合要素(C−2)の動作に起因するエンジン吹き、タイアップのそれぞれの有無を判断する判断手段(21c)と、
前記判断手段(21c)に基づき前記ダウンシフト変速に際しての前記解放側の摩擦係合要素用油圧を補正する学習手段(21d)と、を備え、
前記解放側制御手段(21e)は、前記判断手段(21c)が前記エンジン吹きなしを判断するまで前記学習手段(21d)に基づいて前記調圧手段(SL1)を制御し、前記判断手段(21c)が前記エンジン吹きなしを判断した後、前記タイアップがなくなるまで前記調圧手段(SL1)を制御する、
ことを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の自動変速機(1)の制御装置(21)において、前記ダウンシフト変速が、パワーオン状態におけるダウンシフト変速である、
ことを特徴とする。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1の発明によると、学習手段は、変速進行度合を制御するためのフィードバック油圧制御の状態(例えば、開始タイミング、制御時間、制御中の油圧の値等)を補正するので、解放側制御手段は、学習手段による補正に基づいて、フィードバック油圧制御をフィードフォワード制御とすることができる。したがって、例えば、一次遅れを排除して変速フィーリングを良好なものとすることができる。
請求項2の発明は、入力軸回転加速度を検出することによって学習を行うことを規定するものである。
請求項3の発明は、入力軸回転加速度の何を検出するがを具体的に制定するものである。具体的には、入力軸回転加速度の引き上げ量を見ることで、学習を行っている。すなわち、この引き上げ量は、フィードバック油圧制御の状態と相関関係があるので、この引き上げ量を見ることで、フィードバック油圧制御の状態を学習することができる。
請求項4の発明によると、第1の閾値を適宜な値に設定することにより、タイアップが過多であることを確実に検出することができる。
請求項5の発明によると、タイアップ過多の場合は、学習手段により、フィードバック油圧制御の開始タイミングを遅らせる補正を行うことで、タイアップの過多を解消することができる。
請求項6の発明によると、第2の閾値を適宜な値に設定することにより、タイアップが過少であることを確実に検出することができる。
請求項7の発明によると、タイアップ過少の場合は、学習手段により、フィードバック油圧制御の開始タイミングを早める補正を行うことで、タイアップの過少を解消することができる。
請求項8の発明によると、エンジン吹きの有無を精度よく判断することができ、その判断結果に基づいて調圧手段を好適に制御することができる。
請求項9の発明によると、エンジン吹きがあったものと判断された場合に、フィードバック油圧制御の開始タイミングを早めることにより、確実にエンジン吹きを防止することができる。
請求項10の発明によると、いずれも不具合である、エンジン吹き、タイアップについて、この順に優先順位をつけてその発生を防止する。すなわちエンジン吹きがなくなった場合に限り、タイアップの判断及びその防止を行っている。
<実施の形態1>
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る制御装置が適用される自動変速機(変速機)1におけるギヤトレインを示すスケルトン図、また、図2はこの自動変速機1の作動状況を示す作動表である。
図1に示す自動変速機1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車輌に用いる自動変速機の例を示しており、FF車輌に搭載された状態において、同図中の右側,左側が、それぞれ実際のFF車輌の右側,左側に対応している。したがって、後述の入力軸7、カウンタ軸(出力軸)4、駆動車軸(車軸)15,15は、FF車輌の左右方向を向けた状態で相互に平行に配置されることになる。
自動変速機1は、図1に示すように、ロックアップクラッチ2aを有するトルクコンバータ2と、摩擦板等からなるクラッチC−1,C−2,C−3やブレーキB−1,B−2と、プラネタリギヤユニット3と、カウンタ軸4と、ディファレンシャル装置5とを備えており、これら各部を互いに接合して一体に構成するケース6に収納されている。このケース6の外側には、上述のクラッチやブレーキの締結(係合・係止)及び解放を自在に制御する油圧制御装置(不図示)が配設されている。
上述のプラネタリギヤユニット3は、入力軸7と出力部8とを有しており、この入力軸7は、トルクコンバータ2内の油流を介して、あるいはロックアップクラッチ2aを介して、エンジン出力軸10に連結されている。また出力部8は、カウンタ軸4に固定・支持された伝達ギヤ11,12と、ディファレンシャル装置5のディファレンシャルケース13の外周側に設けられたファイナルリングギヤ14と、ディファレンシャルケース13とを介して、左右の駆動車軸15,15に連動・連結されている。
プラネタリギヤユニット3は、第1のギヤユニット(プラネタリギヤ)3aと、第2のギヤユニット(プラネタリギヤ)3bとを備えている。このうち第1のギヤユニット3aは、サンギヤS1と、リングギヤR1と、これらに噛合するピニオンP1を支持するキャリヤCR1とを有するシングルピニオンプラネタリギヤによって構成されている。一方、第2のギヤユニット3bは、シングルピニオンプラネタリギヤとダブルピニオンプラネタリギヤとが組み合わされて構成されている。このうち前者のシングルピニオンプラネタリギヤは、大径のサンギヤS3と、リングギヤR2と、これらに噛合するロングピニオンP3を支持するキャリヤCR2とを有している。これに対し、後者のダブルピニオンプラネタリギヤは、上述のサンギヤS3より小径のサンギヤS2と、リングギヤR2と、ショートピニオンP2及びロングピニオンP3を支持する共通のキャリヤCR2とを有している。上述のショートピニオンP2とロングピニオンP3とは、相互に噛合するとともに、それぞれ個別にサンギヤS2、リングギヤR2に噛合している。上述のロングピニオンP3とリングギヤR2とは、シングルピニオンプラネタリギヤとダブルピニオンプラネタリギヤとの双方に対して共通に機能するようになっている。
上述のプラネタリギヤユニット3において、入力軸7は第1のギヤユニット3aのリングギヤR1に連結されており、かつこの第1のギヤユニット3aのサンギヤS1はケース6に固定されている。また、第1のギヤユニット3aのキャリヤCR1は、クラッチC−1を介して第2のギヤユニット3bのサンギヤS2に連結されるとともに、クラッチC−3を介して第2のギヤユニット3bのサンギヤS3に連結されている。このサンギヤS3は、バンドブレーキからなるブレーキB−1により係止・解放自在に構成されている。
また入力軸7は、クラッチC−2を介して、第2のギヤユニット3bのキャリヤCR2に対し連結可能に構成されている。このキャリヤCR2は、ケース6に設けられたブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1により自在に係止又は解放され得るように構成されている。そして、第2のギヤユニット3bのリングギヤR2が出力部8に連結されている。
次いで、図1のスケルトン図及び図2の作動表を参照しつつ、自動変速機1の作用について説明する。すなわち、ドライブレンジ(前進走行レンジ)における1速(1ST)では、クラッチC−1が係合し、かつワンウェイクラッチF−1が作動し、キャリヤCR2の逆回転がワンウェイクラッチF−1により阻止される。この状態では、入力軸7の回転は、第1のギヤユニット3aのリングギヤR1に伝達され、サンギヤS1が固定されているこの第1のギヤユニット3aによって減速された回転が、キャリヤCR1及びクラッチC−1を介して第2のギヤユニット3bの小径のサンギヤS2に入力される。そして、この第2のギヤユニット3bは、キャリヤCR2が停止状態にあるため、大径のサンギヤS3を空転させながら、リングギヤR2を正方向に大幅減速した状態で回転させ、この減速回転が出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速と、第2のギヤユニット3bの大幅な減速とにより、リングギヤR2からは、大幅な減速回転が出力部8に出力される。
2速(2ND)にあっては、1速時のクラッチC−1の係合に加えて、ブレーキB−1が係止するとともに、ワンウェイクラッチF−1が作動解除される。この状態では、空転状態であった大径のサンギヤS3がブレーキB−1によって係止される。キャリヤCR1の減速の回転は、クラッチC−1を介して小径のサンギヤS2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるので、リングギヤR2の減速された回転が出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速と、第2のギヤユニット3bの中程度の減速とにより、リングギヤR2からは、中程度の減速回転が出力部8に出力される。
3速(3RD)にあっては、1,2速時のクラッチC−1の係合に加えて、クラッチC−3が係合するとともにブレーキB−1が解放される。この状態では、入力軸7の回転が、それまでのリングギヤR1及びクラッチC−1を介した小径のサンギヤS2への入力に加え、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3にも入力され、したがって第2のギヤユニット3b全体が直結状態となり、この直結回転がリングギヤR2を介して出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速と、第2のギヤユニット3bの直結回転とにより、リングギヤR2からは、小幅な減速回転が出力部8に出力される。
4速(4TH)にあっては、1,2,3速時のクラッチC−1の係合に加えて、クラッチC−2が係合するとともにクラッチC−3が解放される。この状態では、キャリヤCR1の減速回転が、それまでのクラッチC−1を介した小径のサンギヤS2への入力となるのに加え、入力軸7がクラッチC−2を介してキャリヤCR2への直結入力となる。したがって、第2のギヤユニット3bでは、大径のサンギヤS3を空転させつつ、リングギヤR2から僅かに増速された回転が出力部8に出力される。これにより、第1のギヤユニット3aによる減速回転が、第2のギヤユニット3bにより僅かに増速されて4速回転が得られる。すなわち第1のギヤユニット3aの減速が、第2のギヤユニット3bの増速を上回り、全体としてリングギヤR2からは、小幅な減速回転が出力部8に出力される。
5速(5TH)にあっては、クラッチC−1が解放されるとともに、クラッチC−2が係合状態をそのまま維持され、クラッチC−3が係合する。この状態では、入力軸7の回転が、それまでのクラッチC−2を介したキャリヤCR2への直接入力となるのに加え、第1のギヤユニット3aによるキャリヤCR1からの減速回転が、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3にも入力される。これにより、第2のギヤユニット3bでは、小径のサンギヤS2を空転させつつ、リングギヤR2の僅かに増速された回転が出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速を、第2のギヤユニット3bの増速が僅かに上回り、全体としてリングングギヤR2からは、小幅な増速回転が出力部8に出力される。
6速(6TH)にあっては、クラッチC−3が解放されるとともに、クラッチC−2が係合状態をそのまま維持され、ブレーキB−1が係止される。この状態では、入力軸7の回転は、クラッチC−2を介してキャリヤCR2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるので、第2のギヤユニット3bでは、サンギヤS2を空転しつつ増速した回転がリングギヤR2から出力部8に出力される。すなわち第1のギヤユニット3aの減速を介することなく、第2のギヤユニット3bの増速回転が出力部8に出力される。
リバース(REV)レンジにあっては、クラッチC−3が係合されるとともに、ブレーキB−2が係止される。この状態では、キャリヤCR1の回転は、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3に入力され、キャリヤCR2がブレーキB−2により係止されているので、リングギヤR2が逆回転して、この逆回転が出力部8に出力される。
なお、エンジンブレーキ(コースト)必要時にあっては、通常の動作に加え、1速時にはブレーキB−2が係止され、キャリヤCR2の回転が確実に阻止されることになる。
図3は、自動変速機の電気制御系を示すブロック図である。電気制御系には、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる制御部(制御装置:ECU)21が設けられている。この制御部21には、E/G(エンジン)回転センサ22、ドライバのアクセルペダル踏み量を検出するスロットル開度センサ23、トランスミッション(T/M)の入力軸の回転数(=トルクコンバータのタービン回転数)を検出するT/M入力軸センサ(入力回転数検出手段)24、車速(=自動変速機出力軸回転数)を検出する車速センサ(出力回転数検出手段)25、シフトセンサ26からの各検出信号が入力される。この制御部21は、変速制御部21a、入力回転変化検出手段21b、判断手段21c、学習手段21dを備えており、さらに上述の変速制御部21aは、解放側制御手段21eと係合側制御手段21fとを有している。解放側制御手段21d及び係合側制御手段21fからは、油圧回路中に配設されたリニアソレノイドバルブSL1,SL2に対して制御信号が出力される。入力回転変化検出手段21bは、上述のT/M入力回転数センサ24の出力に基づいて入力軸7の変化、具体的には入力軸7の加速度を検出する。判断手段21cは、上述の入力回転変化検出手段21bによる変化に基づいて、係合側の摩擦係合要素(例えば4速→3速の変速時のクラッチC−3)に対する解放側の摩擦係合要素(例えば、4速→3速の変速時のクラッチC−2)のタイアップ(同時係合)の有無を判断する。学習制御手段21dは、上述の判断手段21cに基づきパワーオンダウンシフト変速時における解放側係合側摩擦係合要素用油圧を補正する。
図4は、油圧回路30の概略を示す図であり、上述の2個のリニアソレノイドバルブ(調圧手段)SL1,SL2を有するとともに、自動変速機1のプラネタリギヤユニット3の伝動経路を切換えて、前進6速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)を接断作動する複数の油圧サーボ31,32を有している。また、上述のリニアソレノイドバルブSL1,SL2の入力ポートにはライン圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブSL1,SL2の出力ポートからの調圧油圧がそれぞれリレーバルブ35,36を介して油圧サーボ31,32に供給される。各リレーバルブ35,36は、ソレノイドバルブ37,39により切換えられ、油圧サーボ31,32にリニアソレノイドバルブSL1,SL2からの調圧又はライン圧を供給するように切換えられリニアソレノイドバルブSL1,SL2による調圧が所定係合状態(又は解放状態)になった後、リレーバルブ35,36が切換えられて、直接、ライン圧が供給される。
なお、本油圧回路30は、基本概念を示すためのものであって、各油圧サーボ31,32、リニアソレノイドバルブSL1,SL2、及びリレーバルブ35,36は、象徴的に示すものであり、実際には、自動変速機1のクラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2に対応して油圧サーボは多数備えられており、これら油圧サーボへの油圧を切換える各バルブも多数備えている。
ついで、図5に沿って、パワーオンダウンシフト変速について4速→3速の変速を例に説明する。この変速の場合には、クラッチC−2が解放側の摩擦係合要素となり、またクラッチC−3が係合側の摩擦係合要素となる。なお、同図は、解放側油圧PA及び係合側油圧PBが適切な場合、すなわち油圧の大きさ、油圧をかけるタイミング及び時間等が適切である場合を図示している。
同図の横軸は時間軸である。また縦軸は各グラフによって異なる。各グラフは、上から順に、インプット(入力)回転数に基づいて入力回転変化検出手段によって算出(検出)されるインプット(入力)回転加速度(rpm/sec)、E/G回転センサ22(図3参照)によって検出されるE/G回転数(rpm)、T/M入力軸回転数センサ24によって検出されるインプット(入力)回転数(rpm)、inRpmUP(rpm)(=入力回転数−出力回転数×変速後ギヤ比)、解放側の油圧サーボ31の油圧(解放側油圧)PA、係合側の油圧サーボ32の油圧(係合側油圧)PBである。
同図に示すように、パワーオンダウンシフト変速の変速制御中(変速制御開始と変速制御終了との間)においては、E/G回転数、入力回転数、及びinRpmUPは、いずれも緩やかに単調増加として図示される。なおE/G回転数に対して入力回転数が下回っているのは、変速制御中にはトルクコンバータ2(図1参照)のロックアップクラッチ2aを滑らせてスリップ制御を行っているためである。
これらの単調増加に対して、入力回転加速度(入力軸回転加速度)は、図示のように変化する。すなわち、入力回転加速度は、変速制御中の前半においてはエンジンの吹き上がりに伴って増加する。そして、解放側油圧の後述のフィードバック油圧制御(回転率変化制御)が開始された直後に最大(最大点P1)となり、その後、フィードバック油圧制御によりエンジンの吹き上がりが抑制されるためになまされて、一旦、減少して最小(最小点P2)となる。そして、フィードバック油圧制御終了前に再び引き上げられて上昇して極大(極大点P3)となり、その後、減少していく。この引き上げは、解放側油圧PAを低下させるのに先立ち係合側の摩擦係合要素の係合を確実なものとするために係合側油圧PBを上昇させるのに伴って発生するものである。この引き上げ量dinSpPD(rpm/sec)、すなわち回転変化開始(フィードバック油圧制御開始に対応している)から完了制御開始までの入力回転加速度inSpの引き上げ量は、タイアップの状態(過多、過少等の程度)とよく対応している。
そこで、本実施の形態では、この引き上げ量dinSpPDに基づいて後述の学習制御を行うようにしている。
ここで主に図5に沿って、適宜、図1〜図4を参照しながら、解放側油圧PA及び係合側油圧PBの制御について説明する。
まず解放側の摩擦係合要素の油圧制御を説明する。
スロットル開度センサ23及び車速センサ25からの信号に基づき、制御部21はマップによりダウンシフトを判断すると、この変速判断から所定遅れ時間後、計時が開始されて変速制御が開始される。この開始時点(t=0)において、上述のロックアップクラッチ2のスリップ制御が開始される。この変速制御開始時点では、解放側油圧PAが係合圧となっていて、解放側の摩擦係合要素は、係合した状態にある。この解放側油圧PAは、待機係合圧になるようにリニアソレノイドバルブSL1に制御信号を出力し、この入力トルク等に基づく解放側油圧PAの制御が所定時間経過するまで続行する。この待機時間までが待機制御となる。
待機制御につづいて、初期変速制御が行われる。この初期変速制御は、待機制御時の待機係合圧Pwを急激にスイープダウンさせた後、徐々にスイープダウンさせていく。この初期変速制御中に解放側の摩擦係合要素の解放が開始されて、スリップが開始される。スリップが開始されると、入力回転数が上昇を開始することになる。
初期変速制御が終了すると、イナーシャ相制御に移行する。このイナーシャ相制御においては、解放側油圧PAは、上述の初期変速制御よりも緩やかな勾配でスイープダウンされる。このイナーシャ相制御に対応して、後述の係合側の摩擦係合要素は、係合が開始されることになる。
イナーシャ相制御につづいてフィードパック制御(回転変化率制御)が行われる。このフィードバック油圧制御は、入力回転数の変化が安定する所定変速進行度、例えば40%が経過すると開始される。このフィードバック油圧制御は、変速進行度がダウンシフト完了となるギヤ比の全回転変化回転数近傍、例えば90%まで続けられる。
そして、フィードバック油圧制御が終了すると、完了制御に移行する。この完了制御においては、解放側油圧PAが0になるまで、比較的急勾配でスイープダウンが行われる。これにより解放側の摩擦係合要素の油圧制御が終了する。
次に、上述の解放側の摩擦係合要素の油圧制御に対応して行われる、係合側の摩擦係合要素の油圧制御について説明する。
係合側油圧PBは、上述の解放側油圧PAの初期変速制御の開始に対応して、サーボ起動制御が開始される。サーボ起動制御開始時には、係合側油圧PBは0であり、したがって係合側の摩擦係合要素は解放状態にある。サーボ起動制御全体は、係合側の油圧サーボの油圧を上げてピストンストロークを、摩擦係合要素の係合直前までつめる制御であり、前半のストローク圧制御(以下適宜「サーボA制御」という。)と後半の係合準備制御(以下適宜「サーボB制御」という。)に分かれる。このうち前者のサーボA制御は、係合側油圧PBを急激に上昇させてその係合側油圧PBを所定時間だけ維持する制御である。このサーボA制御は、油圧サーボのピストンを摩擦係合要素の係合直前まで速やかに移動させる、いわゆるファーストフィルである。サーボA制御後、サーボB制御の移行し、係合側油圧PBを一旦低下させ、その後緩やかに上昇させていく。この係合側油圧PBの緩やかな上昇中に、係合側の摩擦係合要素の係合が開始される。このサーボB制御は、一定時間継続後、係合制御に移行する。
係合制御は、上述の解放側の摩擦係合要素のフィードバック油圧制御に対応して行われ、ダウンシフトの全変速進行度の、例えば90%になるまでつづけられる。
係合制御の終了後、終期制御に入る。終期制御は、上述の解放側油圧PAの完了制御に対応して行われ、急勾配で係合側油圧PBが上昇され、例えば変速進行度が90%になるまで続行される。
終期制御終了後、完了制御に移行し、係合側油圧PBが所定の係合圧まで上昇され、その係合圧が維持される。
以上で解放側油圧PA及び係合側油圧PBが適切である場合の説明を終了する。
図6は、本発明に係る制御装置における解放側油圧の学習制御全体を示すフローチャートである。なお、この学習制御は、順次、繰り返し行われるものである。
同図に示すように、まず、E/G吹きの有無を判断する(S1)。なお、エンジン吹きの有無の判断については後述する。E/G吹きが発生している場合(S1のNO)には、フィードバック油圧制御の開始タイミング(図5の回転変化率制御の開始時間)をStartFBだけ早める(S2)。E/G吹きがない場合(S1のYES)には、タイアップの有無を判断する(S3)。タイアップが発生している場合(S3のNO)には、フィードバック油圧制御の開始タイミングをStartFBだけ遅らせて(S4)学習制御を終了する。タイアップがない場合(S3のYES)には、そのまま学習制御を終了する。
以下、上述の(1)ステップS1におけるE/G吹きの有無の判断、(2)ステップS3におけるタイアップの有無の判断、についてそれぞれ個別に詳述する。
(1)E/G吹きの有無の判断
図7,図8に、それぞれE/G吹きの有無を判断するためのタイミングチャート、フローチャートを示す。E/G吹きは、係合側油圧が適切である場合、例えば、解放側油圧のフィードバック油圧制御の開始タイミングが遅すぎる場合に発生する。この場合には、適切である場合と比較して、inRpmUP(=入力回転数−出力回転数×変速後ギヤ比)に顕著な変化が現れる。そこで、本発明においては、inRpmUPの変化に基づいて、フィードバック油圧制御の開始タイミングが遅すぎであるか否かを判断している。なお、エンジン吹きがない場合には、変速制御開始から徐々に増加して、変速制御後には0(図5,図7のinRpmUPのグラフ中の水平線)に収束する。したがって、図7に示すように、変速制御後に0を越えた場合には、エンジン吹きが発生した可能性がある。
具体的には、油圧制御の開始タイミングが遅すぎが発生すると、図7に示すように、inRpmUPは、解放側油圧の完了制御に対応したタイミングで一旦異常に上昇しその後速やかに適切な値に戻ることになる。この上昇したときのinRpmUPと、所定の閾値とに基づいて、E/G吹きの有無を判断している。
図8に示すように、E/G吹きについての学習制御が開始されて、inRpmUPと第3の閾値α3との大きさが比較される(S11)。その比較結果が、inRpmUP≦α3であった場合(S11のNO)には、E/G吹きがなかったものとみなしてそのまま制御を終了する。一方、比較結果が、inRpmUP>α3であった場合(S11のYES)には、E/G吹きがあったものとみなす。そして、フィードバック油圧制御の開始タイミングStartFBをdStartFBだけ早めて(S12)、制御を終了する。なお、dStartFBの値については、例えば実験的に求めるようにようにすればよい。このように、吹き上がろうとするエンジンに対して、フィードバック油圧制御の開始タイミングを早めることで、早めに吹き上がりを抑制する、つまり早めに入力回転加速度を抑制するのである。
なお、パワーオンダウンシフト変速においては、エンジンは吹き上がる傾向にある。したがって、E/G吹きの有無の判断を、インプット回転数に基づいて行おうとした場合には、インプット回転数の増加が、エンジン自体の吹き上がりに起因するものか、係合側ストローク油圧不足過ぎに起因するものかを判断することが困難である。したがって本発明においては、上述のように、inRpmUPに基づいて判断するようにした。
以上説明したE/G吹きについての学習制御により、E/G吹きを防止することができる。
(2)タイアップの有無の判断
図9,図10に、タイアップの有無を判断するためのタイミングチャート、図11にタイアップの有無を判断するためのフローチャートを示す。なお、ここで「タイアップがある」とは、上述の引き上げ量が適宜な値となるタイアップがあるという意味である。タイアップが全くない場合には、エンジン吹きが発生するおそれがある。したがってタイアップとエンジン吹きとを比較して、後者のエンジン吹きを優先的に防止しようとする場合には、必要最小限のタイアップが発生することになる。したがって、「タイアップがない」とは、実際にはタイアップがあるが、引き上げ量が適宜な値となるようなタイアップではないという意味である。
図11に示すように、ストローク当たりについての学習制御が開始されると、inSp(入力回転加速度)を取得する(S21)。その取得結果から引き上げ量dinSpPD(=inSp−inSpPDmin)を算出する(S22)。なお、inSpPDminは、フィードバック油圧制御中のinSpの極小値(図9,図10における点P2の値)である。
算出された引き上げ量dinSpPDと第1の閾値αとを比較する(S23)。dinSpPD≧αの場合(S23のNO:図9に示す状態)は、フィードバック油圧制御の開始タイミングStartFBをdStartFBだけ遅らせて制御を終了する。
一方、dinSpPD<αの場合(S23のYES)は、フィードバック油圧制御の開始タイミングStartFBを変更することなく、そのままステップS25に進む。ステップS25では、上述の算出された引き上げ量dinSpPDと第2の閾値β(ただし、α>β)とを比較する。dinSpPD≧βの場合(S25のNO)は、フィードバック油圧制御の開始タイミングStartFBを変更することなく、そのまま制御を終了する。一方、dinSpPD<βの場合(S25のYES:図10に示す状態)は、フィードバック油圧制御の開始タイミングStartFBをdStartFBだけ早めて制御を終了する。
なお、本実施の形態における、フィードバック油圧制御の開始タイミングの一例としては、例えば、変速進行度合が40%が正常(目標)とした場合に、開始タイミングを遅らせる場合には変速進行度合が50%を、また開始タイミングを早める場合には変速進行度合が30%を、フィードバック油圧制御の開始タイミングとする。
上述の図11のフローチャートに示す制御をまとめると、引き上げ量dinSpPDが、
β≦dinSpPD≦α
の場合、すなわち、引き上げ量が適宜な範囲内にあるときは、フィードバック油圧制御の開始タイミングを変更することなく制御を終了する。
これに対し、
dinSpPD>α
の場合、すなわち引き上げ量が多き過ぎる場合には、フィードバック油圧制御の開始タイミングを遅らせ、
dinSpPD<β
の場合、すなわち引き上げ量が少なすぎる場合には、フィードバック油圧制御の開始タイミングを早めるものである。
このような学習制御を行うことにより、フィードバック油圧制御の開始タイミングを最適に設定して、変速フィーリングの悪化を防止することが可能となる。
なお、上述では、引き上げ量の多少に基づいて、フィードバック油圧制御の開始タイミングを調整するようにしているが、原理的には、これに代えて、フィードバック油圧制御の油圧の大きさを制御することも可能である。
以上説明したエンジン吹き、タイアップの判断及びこれらが発生した場合の補正についての学習制御は、2つの学習制御をそれぞれ個別の学習制御として行うことも、また図6に示すように全体を一連の学習制御として行うこともできる。
以上の説明においては、本発明に係る自動変速機の制御装置を、パワーオンダウンシフト変速時に適用した場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、パワーオフダウンシフト変速(コーストダウン変速)に対しても適用することができる。つまり、本発明は、ダウンシフト変速全般に対して適用することが可能であり、適用した場合には、上述の実施の形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
本発明に係る制御装置が適用される自動変速機におけるギヤトレインを示すスケルトン図である。 自動変速機の作動状況を示す図である。 電子制御部を示すブロック図である。 油圧回路の概略を示す図である。 パワーオンダウンシフト変速において、係合側油圧及び解放側油圧が適切である場合の、インプット回転加速度、E/G回転数、インプット回転数、inRpmUP、解放側油圧、係合側油圧のタイムチャートである。 パワーオンダウンシフト変速時の解放側油圧の全体の学習制御を示すフローチャートである。 パワーオンダウンシフト変速において、エンジン吹きが発生する場合の、インプット回転加速度、E/G回転数、インプット回転数、inRpmUP、解放側油圧、係合側油圧のタイムチャートである。 パワーオンダウンシフト変速におけるエンジン吹きに対する判断を示すフローチャートである。 パワーオンダウンシフト変速において、フィードバック油圧制御の開始タイミングが早すぎる場合の、インプット回転加速度、E/G回転数、インプット回転数、inRpmUP、解放側油圧、係合側油圧のタイムチャートである。 パワーオンダウンシフト変速において、フィードバック油圧制御の開始タイミングが遅すぎる場合の、インプット回転加速度、E/G回転数、インプット回転数、inRpmUP、解放側油圧、係合側油圧のタイムチャートである。 パワーオンダウンシフト変速におけるタイアップに対する判断を示すフローチャートである。
符号の説明
1 自動変速機
4 出力軸(カウンタ軸)
7 入力軸
15 車軸(駆動車軸)
21 制御装置(制御部)
21b 入力回転変化検出手段
21c 判断手段
21d 学習手段
21e 解放側制御手段
21f 係合側制御手段
24 入力回転数検出手段(T/M入力軸回転数センサ)
25 出力回転数検出手段(車速センサ)
31 解放側の油圧サーボ(ただし、4速→3速の変速時)
32 係合側の油圧サーボ(ただし、4速→3速の変速時)
SL1 解放側の調圧手段(リニアソレノイドバルブ、ただし、4速→3速の変速時)
SL2 係合側の調圧手段(リニアソレノイドバルブ、ただし、4速→3速の変速時)
C−2 解放側の摩擦係合要素(ただし、4速→3速の変速時)
C−3 係合側の摩擦係合要素(ただし、4速→3速の変速時)
inSp 入力回転加速度
dinSpPD
回転変化開始から完了制御までの入力回転加速度の引き上げ量
inRpmUP
入力回転数−出力回転数×変速後ギヤ比
OutRpm
出力軸回転数
α 第1の閾値
β 第2の閾値
α3 閾値(第3の閾値)

Claims (12)

  1. エンジンからの回転が入力される入力軸と、車軸に接続された出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられた複数の摩擦係合要素を接断して伝達経路を切換えることにより前記入力軸の回転を変速して前記出力軸に出力する自動変速機構と、係合側制御手段と、解放側制御手段と、を備え、
    前記係合側制御手段と前記解放側制御手段による調圧手段の制御により調圧される油圧に基づいて、係合側の摩擦係合要素を係合するとともに、解放側の摩擦係合要素を解放することでダウンシフト変速を行う自動変速機の制御装置において、
    前記入力軸の回転数を検出する入力回転数検出手段と、
    前記入力回転数検出手段に基づいて前記入力軸の変化を検出する入力回転変化検出手段と、
    前記入力回転変化検出手段による変化に基づいて、変速終了時の前記係合側の摩擦係合要素に対する前記解放側の摩擦係合要素のタイアップの状態を判断する判断手段と、
    前記判断手段に基づき前記ダウンシフト変速に際しての前記解放側の摩擦係合要素用油圧を補正する学習手段と、を備え、
    前記解放側制御手段は、変速進行度合を制御するためのフィードバック油圧制御の状態を、前記学習手段に基づいて制御する、
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記入力回転変化検出手段は、前記入力軸の入力軸回転加速度を検出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記判断手段は、前記タイアップ時に引き上げられる前記入力軸回転加速度の引き上げ量に基づいて前記タイアップの状態を判断する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記判断手段は、前記引き上げ量が第1の閾値よりも大きい場合に、前記タイアップが過多であると判断する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記学習手段は、前記判断手段が前記タイアップの過多を判断した場合に、前記フィードバック油圧制御の開始タイミングを遅らせる補正を行う、
    ことを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記判断手段は、前記引き上げ量が、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりもさらに小さい場合に、前記タイアップが過少であると判断する、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の自動変速機の制御装置。
  7. 前記学習手段は、前記判断手段が前記タイアップの過少を判断した場合に、前記フィードバック油圧制御の開始タイミングを早める補正を行う、
    ことを特徴とする請求項6に記載の自動変速機の制御装置。
  8. エンジンからの回転が入力される入力軸と、車軸に接続された出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられた複数の摩擦係合要素を接断して伝達経路を切換えることにより前記入力軸の回転を変速して前記出力軸に出力する自動変速機構と、係合側制御手段と、解放側制御手段と、を備え、
    前記係合側制御手段と前記解放側制御手段による調圧手段の制御により調圧される油圧に基づいて、係合側の摩擦係合要素を係合するとともに、解放側の摩擦係合要素を解放することでダウンシフト変速を行う自動変速機の制御装置において、
    前記入力軸の回転数を検出する入力回転数検出手段と、
    前記出力軸の回転数を検出する出力回転数検出手段と、
    エンジン吹きの有無を判断する判断手段と、
    前記判断手段に基づき前記ダウンシフト変速に際しての前記解放側の摩擦係合要素用油圧を補正する学習手段と、を備え、
    前記判断手段は、変速後の目標ギヤ比と変速後の実際のギヤ比とから前記エンジン吹きを判断する、
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  9. 前記判断手段は、前記出力回転数検出手段が検出する前記出力軸の回転数と変速後のギヤ比との積と、前記入力回転数検出手段が検出する前記入力軸の回転数との差が、閾値よりも大きい場合に、前記エンジン吹きがあったものと判断する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の自動変速機の制御装置。
  10. 前記学習手段は、前記判断手段が前記エンジン吹きがあったものと判断した場合に、変速進行度合を制御するためのフィードバック油圧制御の開始タイミングを早める、
    ことを特徴とする請求項9に記載の自動変速機の制御装置。
  11. エンジンからの回転が入力される入力軸と、車軸に接続された出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられた複数の摩擦係合要素を接断して伝達経路を切換えることにより前記入力軸の回転を変速して前記出力軸に出力する自動変速機構と、係合側制御手段と、解放側制御手段と、を備え、
    前記係合側制御手段と前記解放側制御手段による調圧手段の制御により調圧される油圧に基づいて、係合側の摩擦係合要素を係合するとともに、解放側の摩擦係合要素を解放することでダウンシフト変速を行う自動変速機の制御装置において、
    前記解放側の摩擦係合要素の動作に起因するエンジン吹き、タイアップのそれぞれの有無を判断する判断手段と、
    前記判断手段に基づき前記ダウンシフト変速に際しての前記解放側の摩擦係合要素用油圧を補正する学習手段と、を備え、
    前記解放側制御手段は、前記判断手段が前記エンジン吹きなしを判断するまで前記学習手段に基づいて前記調圧手段を制御し、前記判断手段が前記エンジン吹きなしを判断した後、前記タイアップがなくなるまで前記調圧手段を制御する、
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  12. 前記ダウンシフト変速が、パワーオン状態におけるダウンシフト変速である、
    ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
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