JP2005145768A - 高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法 - Google Patents

高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 スプラッシュの発生を抑制し、且つ多量吹き込みによる溶融スラグへの溶解を可能にして、均一な組成を有するスラグ製品を製造することができる高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法を提供する。
【解決手段】 容器10内に貯留された溶融した高炉スラグ11に、フライアッシュ12に固体酸素源13を配合した混合物14を、空気14a又は酸素含有気体と共に吹き込む。また、溶融した高炉スラグ11の表層部の少なくとも一部を凝固させて皮張り層26aを形成し、この皮張り層26aの下方に吹き込みノズル20を浸漬させ、この吹き込みノズル20を介して混合物14を吹き込む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発電所やボイラーなどに使用された化石燃料の残渣であるフライアッシュを溶融スラグに溶融させて有効成分を利用し、例えば、セメント原料、路盤材、その他骨材等に資源化を図るための高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法に関する。
従来、石炭等の化石燃料を使用する火力発電所やボイラーなどでは、燃料として使用した後の残渣であるフライアッシュ(石炭灰)が大量に発生している。このフライアッシュは、融点が1600℃程度と高く、SiO2 、Al23 を主成分とし、大きさが例えば10〜100μmの粉状のものであるため、その処理が容易でなく、セメント原料として使用するか、もしくは廃棄物として埋め立て処理されている。
しかし、近年、フライアッシュの発生量が増加する一方で、セメント生産量や埋め立て場所が減少していることから、フライアッシュの有効活用が推進されており、その処理方法として、以下のような方法が提案されている。
例えば、フライアッシュを、高炉の大樋中を流れる溶銑上の溶融した高炉スラグ(以下、溶融スラグともいう)に添加することが行われており、特許文献1には、フライアッシュを溶融スラグに吹き込み溶融させる方法、また、特許文献2には、フライアッシュにCaO成分を添加し、この混合物の塩基度を調整して、フライアッシュの融点を下げ溶解を容易にする方法が提案されている。
また、高融点のフライアッシュを溶融スラグに確実に溶融する方法として、特許文献3には、フライアッシュを転炉型の容器に収容された溶融スラグに添加してから、これに酸素あるいは酸素含有気体を吹き込んで、攪拌しながらフライアッシュを溶融させることにより、フライアッシュの改質を行い、路盤材などに有効資源化を図ることが提案されている。
そして、特許文献4には、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、砂、粘土、フライアッシュ、焼却灰からなるいずれか1種、あるいは2種以上を溶融スラグに添加し、これらの材料を新たな燃料を加えることなく、溶融スラグの顕熱を利用して溶解させ、セメント原料を製造する方法が提案されている。
特開2001−151540号公報 特開2003−226561号公報 特開平9−184004号公報 特開2001−48614号公報
しかしながら、前記従来のフライアッシュの処理方法には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
前記したように、フライアッシュは高融点であるため、特許文献1の方法では、フライアッシュの溶融スラグ中への溶解が不十分である。また、特許文献2に記載する方法においても、フライアッシュの融点を大幅に低下させることができず、溶融スラグが大樋を通過又は滞留中に、混合物の溶融スラグ中への混濁不良が生じたり、あるいは溶融スラグの熱不足によって十分な溶解が困難となる。このため、一部に未溶解となったフライアッシュの焼結体が生成する。
この未溶解の焼結体は、溶融スラグ中に混在するため、溶融スラグを水砕化処理、放冷処理した場合のいずれにおいても、処理後の製品中に未溶解のフライアッシュが残存することとなるので、例えば、色素、強度、塊歩留りの悪化等のように、スラグ製品の品質を低下させる問題がある。
また、特許文献3の方法では、フライアッシュの処理に転炉型の容器を必要とするものであるため設備が大掛かりになり、また、容器に内張りされた耐火物の溶損や、大量の酸素を吹酸した精錬を行うことから、ランニングコストが高くなるという問題がある。また、この方法を、高炉から排出される溶融スラグに適用するには、大きな容器、酸素の多量吹酸設備などを新たに設置することが必要であるなどの問題があり困難である。
特に、既存の高炉スラグ処理設備(大樋、流銑鍋、排滓鍋)を有効利用する場合においては、容器の容量の制約による使用制限や、時間経過に伴う溶融スラグの温度低下による溶解可能限度に起因する使用限界等から、少量添加による長時間溶解の処理が困難という問題がある。
更に、酸素濃度の高い酸素含有気体を用いる場合では、フライアッシュ中のカーボンが誤って着火、燃焼しないような設備にする必要があり、設備構造が複雑になり、しかも、操業時の維持管理を厳重に行う必要があるなどの問題がある。また、高濃度の酸素含有気体の吹き込みは、フライアッシュ中の残留カーボンの急激な燃焼に伴うスプラッシュ(溶融スラグのしぶき、飛散)が発生し易く、作業性の悪化や吹き込み量の制約を受けるため、フライアッシュの多量の吹き込みが困難になるなどの問題がある。
そして、特許文献4の方法は、溶融スラグが樋から落下する直後に、材料を、空気あるいは窒素、炭化水素ガスを使用して吹き付けて溶解させるものであるため、吹き付けるものとして高融点のフライアッシュを使用した場合、これを溶融スラグに十分に溶解させることができず、製造されるスラグ製品中に未溶解のフライアッシュが残存してその品質が低下する。また、溶融スラグをセメント原料として再利用するために処理する場合と異なり、製造したものを、例えば土木建築用資材等のように、直接製品として使用する場合には、未溶解のフライアッシュが製品中に混在して強度が低下したり発色性が悪くなるため、商品価値の低下を招く。
更に、フライアッシュを単に落下する溶融スラグに吹き付けても、溶融スラグとフライアッシュとの攪拌を十分に行うことができず、また接触時間が不足するため、溶融スラグにフライアッシュを溶解できない。このため、フライアッシュの多量処理ができないばかりか、吹き込み時に発塵やスプラッシュが発生して、作業環境の悪化を招く等の問題もある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、スプラッシュの発生を抑制し、且つ多量吹き込みによる溶融スラグへの溶解を可能にして、均一な組成を有するスラグ製品を製造することができる高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、容器内に貯留された溶融した高炉スラグに、フライアッシュに固体酸素源を配合した混合物を、空気又は酸素含有気体と共に吹き込む。
請求項1記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、酸素含有気体とは、例えば、純酸素、酸素を含有する気体(空気に純酸素を所定量混合して酸素濃度を調整した気体、又は純酸素と不活性ガスとを所定量混合して酸素濃度を調整した気体)等を意味する。
ここで、高炉スラグ(以下、溶融スラグともいう)に、フライアッシュに固体酸素源を配合した混合物を、例えば酸素(気体酸素)と共に吹き込んだときの現象について説明する。
気体酸素を用いて溶融スラグ中にフライアッシュを吹き込む(インジェクションした)場合、気体酸素は溶融スラグを攪拌しながら吹き込み方向に気柱を形成して進行し、始めフライアッシュが気体酸素中に内包されながら、周囲からの輻射熱を受け、フライアッシュ中の未燃カーボンに着火して、以下の燃焼反応を起こす。
2C+O2 →2CO ・・・(1)
2CO+O2 →2CO2 ・・・(2)
気体酸素に内包されたフライアッシュ中のアッシュ分は、周囲からの輻射熱と、(1)、(2)の反応により発生する燃焼熱を受けることにより、温度が上昇し自身の融点以上となって溶融しながら、周囲の溶融スラグに接触して溶融スラグ中に溶解する。
一方、気体中の未燃ガスと(1)、(2)の反応により発生したCO、CO2 ガスは、気泡や空筒状となって浮力により液面に向かって上昇するが、このときにも溶融スラグを攪拌する作用が働き、その結果、吹き込み部周辺には、常に十分熱を持った溶融スラグが存在することになる。このとき、溶融スラグ内へフライアッシュを積極的に混合することができ、フライアッシュの溶融スラグとの接触を促進して、速やかな溶解を行うことができる。
この方法で、大量のフライアッシュの吹き込み溶解を行おうとすると、形成される気泡及び空筒の大きさが大きくなり、気泡及び空筒の中央付近にあるフライアッシュに十分に溶融スラグからの輻射熱が届かず、温度が融点以上に上がらずに、未溶融のまま溶融スラグ中に捕捉される現象が起こる。未溶融のフライアッシュは、次第に周囲の溶融スラグ温度を低下させてゆき、それに伴って、気泡及び空筒内のフライアッシュに伝わる熱がますます少なくなるので、溶融スラグの粘度が上昇していき、やがて例えば吹き込みに使用するノズルを閉塞させるに至る。
ここで、気体酸素の一部を固体酸素源(例えば、焼結ダスト)に代えると、空筒及び気泡内では、上述と同様に(1)、(2)の反応が起こり、フライアッシュが溶融スラグに溶解するが、溶融スラグに捕捉されたフライアッシュは、中に含まれる未燃カーボンと固体酸素源中のFe23 とが、次式の通り反応すると考えられる。
3Fe23 +C→2Fe34 +CO ・・・(3)
Fe34 +C→3FeO+CO ・・・(4)
FeO+C→Fe+CO ・・・(5)
なお、例えば、酸化鉄を混合したフライアッシュを溶融スラグに単純に添加する場合には、融点低下、粘性低下の効果により、フライアッシュが少量であれば、焼結することなく溶融スラグへの溶解が進む。また、固体酸素源があることで窒素ガスが抜け出す反応が起こり、溶融スラグの温度が高い間は攪拌作用があると思われる。ただ、基本的には、溶融スラグの顕熱に頼る溶解方法であるため、溶融スラグの温度は低下し続ける(溶融スラグの液面上に放出されたCOガスは、大気中の酸素と反応して燃焼するが、液面付近はもともと酸素濃度が低いので、その効果は僅かであると考えられる)。
このため、溶解量は溶融スラグの持つ熱エネルギーの大きさによって制限され、特に輸送過程で温度の下がったしかも流れの無い状態の排滓鍋内の溶融スラグに、フライアッシュを大量溶解させるには不向きである。
しかし、酸化鉄を混合したフライアッシュを酸素富化したエアーで吹き込み溶解する場合、上述のように、未溶融のまま溶融スラグ中に捕捉される現象が起こるときに、周囲に固体酸素源があるので、それと反応して前記した(3)〜(5)の反応により、COガスが発生し(このときには、吸熱反応により溶融スラグの温度が一旦低下するが)、そのCOガスが気体酸素を含んだ気泡又は空筒と接触したタイミングで二次燃焼し(このときに、先程の吸熱反応以上の発熱反応を起こすため)温度低下を抑制できる。また、フライアッシュが溶解する際、酸化鉄による融点低下効果が働くため、溶融スラグはさほど粘性を下げることなく、そのためCOガスは浮力や窒素ガスが抜け出す反応による攪拌力により、溶融スラグ中を移動することができ、他の酸素を含んだ気泡又は空筒と接触して二次燃焼する。
前記した反応により発生したメタルFeは、溶融スラグと比較して比重が大きいため、容器底部に沈降し、反応途中のFe23 、Fe34 、FeOの一部が、溶融スラグにそのまま溶解する。なお、反応時に発生したガスは、浮上する途中で、吹き込んだガス(酸素含む)と一体となり、そこで前記した(2)の反応が起こる他、液面に到達してからも、大気中の酸素と反応する。
また、溶融スラグ中では、フライアッシュの主成分であるSiO2 、Al23 に加えて、Fe23 、Fe34 、FeOが存在することにより、その近傍の融点が低くなり、粘性も低く、フライアッシュが容易に溶融スラグ中に混入するので、フライアッシュが溶融スラグによく溶解する。
溶融スラグ中に溶けたFe23 、Fe34 、FeOは、もともと溶融スラグ中に含まれるものであり、溶融スラグからできる製品(例えば、骨材)の品質を阻害しない。また、容器底部に沈降したメタルFeは、例えば、製品製造時に凝固した溶融スラグを破砕、輸送する過程で、磁力選別することにより回収可能であるため、これも溶融スラグの品質を阻害するものにならない。
前記した吹き込みに使用する気体は、酸素濃度が高い方が、COが二次燃焼する確率が高くなるが、二次燃焼は溶融スラグの温度が低下しない程度(目標とする吹き込み量を吹き込む間の溶融スラグの温度低下を、許容し得る範囲以下に抑制できる程度)に起きれば良いので、吹き込み方に応じて調整すれば良い。
しかし、例えば経済性等を考慮すれば、混合物と共に溶融スラグに吹き込む気体としては、酸素含有濃度が30体積%(vol%)未満の気体を使用することが好ましく、更には、21体積%以上30体積%未満の気体を使用することが好ましい。
ここで、吹き込む気体中の酸素濃度を21vol%未満にすると、前記した(3)〜(5)の反応により発生したCOガスが二次燃焼する際に必要な酸素量が不足し、溶融スラグの温度が急激に低下するため不適である。また、特別にその酸素濃度に調整するための設備が必要となるといった面からもよくない。一方、吹き込む気体を酸素ガスのみにする等、過剰な酸素の吹き込みを行う場合には、固体酸素源中の酸化鉄の還元が進まず、溶融スラグの成分が大きく変化して品質を阻害したり、反応速度が速くなるため、スプラッシュが発生し易く、また吹き込みノズルに急速な酸化及び溶損が生じる場合があるため、適正の酸素量となるようにすることが必要である。また、酸素使用量が増加するほど、ランニングコストが多くかかるといったデメリットもある。
以上の理由から、吹き込みに用いる気体中の酸素濃度を30vol%未満にすると、前記したスラグ品質、スプラッシュ、吹き込みノズルの溶損、経済性などの問題から好ましい。
請求項2記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した前記高炉スラグの表層部の少なくとも一部を凝固させて皮張り層を形成し、この皮張り層の下方に吹き込みノズルを浸漬させ、この吹き込みノズルを介して前記混合物を吹き込む。
請求項2記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した高炉スラグから形成される皮張り層(カバースラグ、固化スラグともいう)は、溶融スラグの大気への熱放散を防止する役目を果たすと同時に、空筒及び気泡内に充満したまま浮上したフライアッシュが、大気へ飛散することを防止できる。即ち、以下の利点が得られる。
1)皮張り層の形成による溶融スラグの温度低下を抑制できる。
2)混合物の吹き込み時のスプラッシュや粉塵の発生を抑制できる。
3)皮張り層が存在するので、容器内の溶融スラグの攪拌を強化することができ、フライアッシュの溶解を更に良好にできる。
以上の理由から、皮張り層は、溶融スラグの全表面積の50%以上に形成されることが好ましく、更に好ましくは全面に形成されることが理想的である。
なお、吹き込みノズルは、その吐出口の浸漬深さが皮張り層の直下よりも深くなれば、フライアッシュの吹き込みができる。しかし、溶融スラグ中に吹き込まれたフライアッシュを、効率的に溶融スラグと接触させるためには、吹き込みノズルの吐出口の浸漬位置を、皮張り層の下面から、例えば、100mm又はそれより下方の位置とすることが好ましく、更には500mm又はそれより下方の位置にすることが好ましい。
請求項3記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1及び2記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記混合物中の前記固体酸素源の量は、前記フライアッシュの量の1〜40質量%である。
請求項3記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、固体酸素源の配合量が、フライアッシュの量の1質量%未満の場合、フライアッシュ中の未燃カーボンと固体酸素源との接触面積(確率)が小さくなるので、前記した(3)〜(5)、及びその後の(2)の反応が十分に進まない。また、成分的にも、Fe23 、Fe34 、FeOが少ないため、溶融スラグに溶解しにくい。
一方、40質量%を超える場合、逆に未反応のFe23 、Fe34 、FeOが多くなり、そのため溶融スラグの温度を低下させるので、溶融スラグへのフライアッシュの溶解が進みにくくなる。また、溶融スラグ中に多量のFe23 、Fe34 、FeOが残ると、それを路盤材や骨材として製品にした場合、例えば、赤色の付着物となり、更に雨などで水に浸ると赤色の水を発生させるなど、品質阻害要因にもなる。
この理由から、好ましくは5質量%以上35質量%未満、より好ましくは20質量%以上35質量%未満にするとよい。
請求項4記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜3記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した前記高炉スラグに吹き込む前記フライアッシュの量を、10〜200kg/分とする。
請求項4記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、フライアッシュの吹き込み対象を、例えば50トン滓鍋に貯留された溶融スラグとした場合、フライアッシュの吹き込み量が10kg/分未満のとき、フライアッシュの処理効率が悪く、大量吹き込みを行おうとした場合に長時間を要する。具体的には、溶融スラグに対し10wt%(5トン)のフライアッシュを溶解するのに、8時間20分を要することになり、その間に滓鍋の鉄皮及び表面の皮張り層からの熱放散で、溶融スラグ温度が低下するため好ましくない。
一方、フライアッシュの吹き込み量が200kg/分を超えるとき、溶融スラグ内に生じる空筒が大きくなり過ぎるため、フライアッシュ及び固体酸素源が未溶解のまま、空筒内を伝って上昇して吹き出すと同時に、溶融スラグも一緒に飛散する。このため、フライアッシュの処理を確実に行うことができず、しかも作業環境も悪くなるため好ましくない。更に、溶融スラグの攪拌、混合に伴うフライアッシュの溶解能に限界があるため、吹き込み量が200kg/分を超えると、フライアッシュが浮上して燃焼したり、また未燃焼、未溶解が発生して、スラグ製品の品質を阻害する。
従って、フライアッシュの吹き込み量は10〜200kg/分とする。
請求項5記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜4記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した前記高炉スラグへの前記混合物の吹き込みは、固気比を20〜150の範囲にして行う。
請求項5記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、固気比とは、(固体)/(気体)の重量比を意味する。
ここで、固気比が20未満の場合、固体量に対する気体量が多くなり、フライアッシュの吹き込み効率が悪くなり、また搬送及び反応ガスにより溶融スラグを冷却する作用が大きくなるため好ましくない。一方、固気比が150を超える場合、固体量に対する気体量が少なくなり、溶融スラグの攪拌が十分に行われないため、吹き込み場所周辺の温度が下がり、前述の(3)〜(5)の反応が進みにくくなるため好ましくない。
このため、固気比は20〜150とする。
請求項6記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜5記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記固体酸素源は、酸化鉄、集塵ダスト、製鉄スラジ、焼結鉱粉、スケール、及び鉄鉱石粉の1又は2以上である。
請求項6記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、固体酸素源として、酸化鉄、集塵ダスト、製鉄スラジ、焼結鉱粉(焼結ダスト)、スケール、及び鉄鉱石粉の1又は2以上、特に酸化鉄を使用することにより、前記した(3)〜(5)の反応と同様の作用が起きる。
また、上記したように、固体酸素源として粉状のものを使用することで、反応性を良好にでき、フライアッシュ中の炭素分との反応を促進し、しかもフライアッシュを低融点化して溶解を促進することができる。この理由から、固体酸素源としては、粒径が10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下、更には1mm以下が好ましい。
請求項7記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜6記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記容器は、流銑鉢又は排滓鍋である。
請求項7記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、流銑鉢(流銑鍋)及び排滓鍋(滓鍋)は、共にスラグ処理設備に設置あるいは仮置きされ、多量の溶融スラグを貯留できるものである。なお、流銑鉢とは、溶融スラグ中の流銑(粒鉄)を回収するためのものであり、大樋から流下した溶融スラグを一旦貯留できるものである。
このように、容器として流銑鉢又は排滓鍋を使用することにより、溶融スラグの量を多量に確保できることに加え、例えば、溶融スラグの表面に皮張り層を形成することが容易となり、混合物の吹き込み深さの確保、適正な攪拌、混合を行うことができる。
請求項8記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜7記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記容器内の溶融した前記高炉スラグへ吹き込まれる前記フライアッシュの吹き込み量は、前記高炉スラグの量の1〜20質量%である。
請求項8記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融スラグは、例えば、樋を順次乗り継いで、最終的に容器(例えば、滓鍋)に貯留されるまでに攪拌され、また、容器に溜まりながら、連続的に後から注がれてくる溶融スラグに攪拌されるため、局部的な温度低下はなくなり、容器内の溶融スラグ全体が均一な温度及び成分状態となる。
この容器内の溶融スラグに、フライアッシュに固体酸素源を配合した混合物を吹き込み溶解する場合、フライアッシュの吹き込み量が、溶融スラグの量の1質量%未満では非効率的である。一方、溶融スラグの量の20質量%を超える場合には、容器内全体の溶融スラグ温度が低下し、前記した反応が進まなくなり、また粘性も上昇するため、例えば、やがては吹き込みノズルの閉塞が発生し、安定した吹き込みを実施できなくなる。また、溶融スラグ中に溶解したフライアッシュ及び固体酸素源の分だけ、容器中の貯留量が増えるため、容器からスラグがこぼれてしまう恐れがある。
以上のことから、容器内の溶融スラグへ吹き込まれるフライアッシュの吹き込み量を、高炉スラグの量の1〜20質量%に設定した。
請求項9記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜8記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記容器までの大樋を含む溶融した前記高炉スラグの搬送経路で、更に、フライアッシュに固体酸素源を配合した別の混合物を予め添加する。
請求項9記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、フライアッシュ及び固体酸素源は、それぞれ前記したフライアッシュ及び固体酸素源と実質的に同一成分のものを使用できる。更に、溶融スラグの顕熱を有効に利用して、フライアッシュの昇熱と溶解を促進し、フライアッシュの溶解量を多くすることができる。
ここで、搬送経路とは、容器が例えば排滓鍋の場合、溶融スラグの処理設備に設けられた大樋、流銑鉢、滓樋、溶滓傾注樋等を意味する。なお、溶滓傾注樋とは、上流側から流れてきた溶融スラグを、排滓鍋に移すための樋を意味する。
容器に溜まった溶融スラグにフライアッシュを溶解させる場合、従来のように、フライアッシュを溶融スラグの上から投入して添加する方法と、本発明のようにフライアッシュを溶融スラグに吹き込む方法と、この両方の方法を組み合わせて使用する方法とを選択して使用することが可能である。しかし、溶融スラグの搬送経路にあり、溶融スラグの溜まる深さが浅く容積も小さいところでは、吹き込みによる方法は不適であり、溶融スラグの上から投入する方法で添加するのが良い。
このように、容器までの大樋を含む溶融スラグの搬送経路で、溶融スラグに混合物を添加するので、溶融スラグの顕熱を利用した溶解が可能になる。
請求項10記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項9記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記搬送経路で添加される混合物中のフライアッシュの量は、溶融した前記高炉スラグの量の1〜5質量%である。
なお、請求項10記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、搬送経路で添加される混合物中のフライアッシュの量は、溶融した高炉スラグが単位時間当たりに搬送経路を流れて通過する量の1〜5質量%とすることが好ましい。
ここで、例えば、搬送経路の一部を構成する鋳床において、溶融スラグの上からフライアッシュを投入添加する方法で試験を行ったところ、最大で溶融スラグが単位時間当たりに搬送経路を流れて通過する量の5質量%まで溶解させることができることを確認できた。
なお、フライアッシュを、溶融スラグが単位時間当たりに搬送経路を流れて通過する量の5質量%より多く投入した場合には、フライアッシュの未溶解分が徐々に樋の側壁に付着、堆積し、やがて樋を閉塞させる現象が起こった。これは、溶融した高炉スラグの搬送経路でフライアッシュを添加する条件では、溶融スラグの攪拌が、樋あるいは流銑鉢から、次の樋への乗り移り部を除いてほとんど行われず、溶融スラグの表層付近でフライアッシュ及び固体酸素源が溶解することによって、溶融スラグの表層の温度が局部的に低下し、半溶融状態のフライアッシュ、及び温度低下により粘性の高くなった溶融スラグが、樋側壁に付着したためと考えられる。一方、フライアッシュの添加量が、高炉スラグが単位時間当たりに搬送経路を流れて通過する量の1質量%未満では非効率的である。
このため、搬送経路で溶融スラグに添加するフライアッシュの量を、溶融スラグの量の1〜5質量%に設定し、好ましくは、溶融スラグが単位時間当たりに搬送経路を流れて通過する量の1〜5質量%に設定する。
請求項11記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、請求項1〜10記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記混合物には、更に、生石灰及び石膏ボードのいずれか一方又は双方が含まれる。
請求項11記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、混合物に更に混合される生石灰等は、例えば、固体酸素源と予め溶解(プリメルト)させ凝固させたもの、あるいは焼結反応させたもの等を使用することができ、前記した反応性、低融点化の両方からより好ましい。
請求項1〜11記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、フライアッシュに固体酸素源を配合した混合物を、空気又は酸素含有気体と共に、容器内に貯留された溶融スラグに吹き込むので、スプラッシュの発生を抑制し、且つ多量吹き込みによる溶融スラグへの溶解を可能にして、均一な組成を有するスラグ製品を製造することができる。
特に、請求項2記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、溶融スラグの表層部の少なくとも一部を凝固させて皮張り層を形成するので、溶融スラグの温度低下を抑制でき、混合物の吹き込み時のスプラッシュや粉塵発生を抑制でき、しかも、容器内の溶融スラグの攪拌を強化してフライアッシュの溶解を更に良好にできる。
請求項3記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、混合物への固体酸素源の配合量を設定しているので、溶融スラグへのフライアッシュの溶解を効率的に進行させることができ、スラグ製品の品質を向上させることができる。
請求項4記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、溶融スラグに吹き込むフライアッシュの1分当たりの吹き込み量を設定するので、作業環境が良好な状態で、フライアッシュの処理を効率的且つ確実に行うことができ、スラグ製品の品質を向上させることができる。
請求項5記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、溶融スラグへの混合物の吹き込みを、固気比を設定して行うので、フライアッシュの吹き込み効率を良好にでき、搬送及び反応ガスによる溶融スラグの冷却作用を低減でき、しかも溶融スラグの攪拌を十分に行って、前記した(3)〜(5)の反応を促進できる。
請求項6記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、固体酸素源として、酸化鉄、集塵ダスト、製鉄スラジ、焼結鉱粉、スケール、及び鉄鉱石粉の1又は2以上を使用できるので、例えば、製鉄所等で発生した処理物等の再利用が可能になり、フライアッシュを経済的に処理できる。
請求項7記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、容器として流銑鉢又は排滓鍋を使用するので、例えば、フライアッシュの吹き込み深さの確保、適正な攪拌、混合等を行うことができ、フライアッシュの処理を確実に実施できる。
請求項8記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、容器内の溶融スラグに吹き込むフライアッシュの量を設定するので、溶融スラグの温度低下を抑制でき、前記した(3)〜(5)の反応を進行させ、安定した吹き込みを効率的に実施できる。
請求項9記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、容器までの搬送途中で溶融スラグの顕熱を利用してフライアッシュを溶解するので、更に多量のフライアッシュの処理が可能となり、処理効率を高めることができる。
請求項10記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、溶融スラグの搬送経路において、溶融スラグに添加するフライアッシュの添加量を設定するので、溶融スラグの顕熱を利用したフライアッシュの処理を効率的且つ確実に行うことができる。
請求項11記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、混合物に更に生石灰及び石膏ボードのいずれか一方又は双方を混合することにより、フライアッシュの融点をより低下させて、溶融スラグへの溶解を促進することができる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法の説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法は、排滓鍋(容器の一例)10内に貯留された溶融した高炉スラグ(以下、溶融スラグ、溶融高炉滓ともいう)11に、フライアッシュ12に固体酸素源13を配合した混合物14を、空気(圧縮空気)14aと共に吹き込む方法である。以下、詳しく説明する。
高炉15で製造された溶銑は、溶融スラグ11と共に高炉15の出銑口を介して大樋16へ出銑され、大樋16の下流側端部に設けられたスキンマーにより、溶融スラグ11と分離される。ここで、分離された溶融スラグ11は、流銑鉢17に一旦貯留され、溶融スラグ11中の流銑が除去される。
流銑鉢17に貯留された溶融スラグ11は、滓樋18、溶滓傾注樋19を介して排滓鍋10内に供給されて貯留され、排滓鍋10と共に搬送された後、フライアッシュ12の吹き込みが行われる。
溶融スラグ11が貯留される排滓鍋10には、吹き込みノズル20が排滓鍋10内の溶融スラグ11に浸漬可能に設けられている。この吹き込みノズル20には、フライアッシュ12に固体酸素源13を配合した混合物14を所定量で供給可能な混合物用貯留ホッパー(混合物用貯留タンク)21が、混合物用供給管22を介して接続されている。また、この吹き込みノズル20の上流側には、空気14aの供給管も接続されている。
なお、固体酸素源13としては、酸化鉄、集塵ダスト、製鉄スラジ、焼結鉱粉、スケール、及び鉄鉱石粉の1又は2以上を混合したものを使用でき、特には、酸化鉄単独、又は酸化鉄と他の固体酸素源とを混合したものを使用することが好ましい。
また、空気14aの代わりに、空気に純酸素を加えて酸素濃度を30体積%未満、好ましくは、21体積%以上30%未満に調整した酸素含有気体を使用することも可能である。
この混合物用貯留ホッパー21に貯留される混合物14は、予め、運搬車23によりそれぞれ搬送されてきたフライアッシュ12及び固体酸素源13を、フライアッシュ用受入れホッパー(フライアッシュ用受入れタンク)24と固体酸素源用受入れホッパー(ダスト用受入れタンク)25にそれぞれ貯留し、フライアッシュ12と固体酸素源13が所定の配合割合になるようにミキサー(混合機)26に供給して、略均一になるよう混合されたものである。なお、混合物14中の固体酸素源13の量は、フライアッシュ12の量の1〜40質量%の範囲で調整されている。また、この混合物14には、更に、生石灰、石膏ボードをそれぞれ単独で、又は生石灰及び石膏ボードを添加しておくこともでき、また、固体酸素源と予め溶解させ凝固させたもの、あるいは焼結反応させたもの等を使用することもできる。
次に、排滓鍋10中の溶融スラグ11に吹き込みノズル20を浸漬させる。この排滓鍋10は、容量が大きく(例えば、50トン程度)、しかも溶融スラグ11の表層部が外気と接触するため、溶融スラグ11の表層部の少なくとも一部、好ましくは略全体が凝固して皮張り層26a(例えば、厚みが100〜200mm)が形成される。
このため、吹き込みノズル20の吐出口を、皮張り層26aの下方に浸漬させ、その浸漬位置が、皮張り層26aの下面から100mm又はそれより下方の位置、好ましくは500mm又はそれより下方の位置になるように固定して、溶融スラグ11中に混合物14を空気14aと共に吹き込む。
ここで、溶融スラグ11に吹き込むフライアッシュ12の吹き込み量を、10〜200kg/分とし、混合物14と空気14aとの固気比(混合物重量/空気重量)を20〜150の範囲に調整して行う。また、溶融スラグ11へ吹き込まれるフライアッシュ12の吹き込み量は、溶融スラグ11の量の1〜20質量%である。
なお、排滓鍋10までの大樋16を含む溶融スラグ11の搬送経路、即ち、大樋16、流銑鉢17、滓樋18、溶滓傾注樋19のいずれか1又は2以上で、更に、フライアッシュに固体酸素源を配合した混合物を予め添加することもできる。
この搬送経路で添加するフライアッシュ、固体酸素源は、前記したフライアッシュ12、固体酸素源13と実質的に同一のものを使用できる。また、この混合物に、生石灰、石膏ボードをそれぞれ単独で、又は生石灰及び石膏ボードを添加することもできる。
なお、この搬送経路で添加される混合物中のフライアッシュの量は、溶融スラグ11の量の1〜5質量%であり、好ましくは溶融スラグ11が単位時間当たりに搬送経路を流れて通過する量の1〜5質量%である。
混合物14の吹き込み処理が終了した溶融スラグ27は、排滓鍋10に貯留された状態でスラグ処理場まで運ばれ、炉外水砕により急冷処理が施されて磨砕され、例えば、細骨材、砂代替材等のスラグ製品にする。また、溶融スラグ27は、放流場で徐冷処理した後に破砕され、例えば、粗骨材、細骨材、その他の骨材等のスラグ製品にもできる。
なお、スラグ製品中にメタルFeが混入している場合においても、スラグ製品の製造過程で磁力選別機による磁力選別を行うことで除去でき、良好な品質を備えたスラグ製品を製造できる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。ここで、実施例の各条件は、フライアッシュ(FA)の吹き込み量を溶融スラグの10質量%、排滓鍋内の溶融スラグの量を45トン、排滓鍋内の溶融スラグの温度を1450℃、吹き込みガス中の酸素濃度を21〜100体積%、フライアッシュの吹き込み速度(1分当たりの吹き込み量)を10〜200kg/分、フライアッシュと焼結ダスト(焼結鉱粉)との混合比を10〜40質量%、固気比を20〜150、吹き込みノズルの浸漬深さを吐出口が皮張り層の下面から下方へ向かって1000mmの位置になるように、それぞれ設定した。また、使用した高炉スラグ、焼結ダスト、フライアッシュの組成を表1に示す。
Figure 2005145768
なお、表1中のM−FeはメタルFe、T−Sは全S(トータルS)をそれぞれ意味し、表1中の各成分の和が100重量%に満たないのは、主要成分の分析を行っていること、及び不可避的不純物が含まれていることによる。
ここで、前記した各条件の範囲内で設定した実施例1〜18、あわせて前記した各条件の範囲外となった比較例1〜6を、表2及び表3にそれぞれ示す。
Figure 2005145768
Figure 2005145768
また、実施例1〜18、及び比較例1〜6の各条件でフライアッシュの吹き込みを行った状況(吹き込み状況)、製造されたスラグ製品の品質(製品品質)、及び評価について、表2の結果を表4に示し、表3の結果を表5に示す。
Figure 2005145768
Figure 2005145768
比較例1〜3のように、フライアッシュに焼結ダストを混ぜない場合(0質量%)、通常の固気比(50)で溶融スラグにフライアッシュの吹き込みを行ったところ、粉体の飛散が発生し、しかもフライアッシュの未溶解分があった。
また、比較例4〜6のように、固気比を通常よりも小さく(20)し、反応に使用される吹き込みガス量を増やした場合も、粉体の飛散又はスプラッシュが発生し、しかもフライアッシュの未溶解分があった。
このように、比較例1〜6においては、フライアッシュ吹き込み作業時における作業環境が悪く、しかも製造したスラグ製品の品質も悪いことが確認された。
一方、実施例1〜12のように、ガス吹き込み速度を、0.2kg/分、2.00kg/分、4.00kg/分の3種類に固定し、吹き込みガス中の酸素濃度を21体積%に固定して、焼結ダストの混合比を10質量%、20質量%、30質量%、及び40質量%にそれぞれ設定した場合、製品として使用可能な許容範囲以上の品質のものを製造できた。
また、実施例13、14のように、固気比を本発明の上限値及び下限値に設定した場合においても、製品として使用可能な許容範囲以上の品質のものを製造できた。
そして、実施例15、16のように、酸素濃度を好ましい条件である29体積%にした場合においては、吹き込み作業が良好であり、且つ製品品質も良好という結果が得られた。また、実施例17、18のように、吹き込みに純酸素(酸素濃度100体積%)を使用した場合についても、実施例15、16と同様の結果得られた。
なお、前記した条件で、フライアッシュの吹き込み量を溶融スラグの1〜20質量%の範囲で行った場合についても、得られたスラグ製品は、製品として問題の無い品質を有するという結果が得られた。
このように、本発明の条件範囲でフライアッシュを処理することにより、スプラッシュの発生を抑制し、且つ多量吹き込みによる溶融スラグへの溶解を可能にして、均一な組成を有するスラグ製品を製造することができることを確認できた。
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、フライアッシュと固体酸素源とを含む混合物の吹き込みを行う容器として、排滓鍋を使用した場合について説明したが、多量の溶融スラグを貯留できる容器であれば、例えば流銑鉢を使用することもできる。この場合、搬送経路における更なる混合物の添加は、予め大樋で行われる。
そして、前記実施の形態においては、混合物の吹き込みを行う吹き込みノズルで、混合物を空気と共に溶融スラグに吹き込んだ場合について説明した。しかし、空気の吹き込みを他のノズルを使用して、空気を溶融スラグ中又は溶融スラグの液面付近に供給し、吹き込みノズルから吹き出す混合物と共に、溶融スラグに吹き込むことも可能である。
本発明の一実施の形態に係る高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法の説明図である。
符号の説明
10:排滓鍋(容器)、11:高炉スラグ、12:フライアッシュ、13:固体酸素源、14:混合物、14a:空気、15:高炉、16:大樋、17:流銑鉢、18:滓樋、19:溶滓傾注樋、20:吹き込みノズル、21:混合物用貯留ホッパー、22:混合物用供給管、23:運搬車、24:フライアッシュ用受入れホッパー、25:固体酸素源用受入れホッパー、26:ミキサー、26a:皮張り層、27:溶融スラグ

Claims (11)

  1. 容器内に貯留された溶融した高炉スラグに、フライアッシュに固体酸素源を配合した混合物を、空気又は酸素含有気体と共に吹き込むことを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  2. 請求項1記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した前記高炉スラグの表層部の少なくとも一部を凝固させて皮張り層を形成し、この皮張り層の下方に吹き込みノズルを浸漬させ、この吹き込みノズルを介して前記混合物を吹き込むことを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記混合物中の前記固体酸素源の量は、前記フライアッシュの量の1〜40質量%であることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した前記高炉スラグに吹き込む前記フライアッシュの量を、10〜200kg/分とすることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、溶融した前記高炉スラグへの前記混合物の吹き込みは、固気比を20〜150の範囲にして行うことを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記固体酸素源は、酸化鉄、集塵ダスト、製鉄スラジ、焼結鉱粉、スケール、及び鉄鉱石粉の1又は2以上であることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記容器は、流銑鉢又は排滓鍋であることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記容器内の溶融した前記高炉スラグへ吹き込まれる前記フライアッシュの吹き込み量は、前記高炉スラグの量の1〜20質量%であることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記容器までの大樋を含む溶融した前記高炉スラグの搬送経路で、更に、フライアッシュに固体酸素源を配合した別の混合物を予め添加することを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  10. 請求項9記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記搬送経路で添加される混合物中のフライアッシュの量は、溶融した前記高炉スラグの量の1〜5質量%であることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法において、前記混合物には、更に、生石灰及び石膏ボードのいずれか一方又は双方が含まれることを特徴とする高炉スラグを用いたフライアッシュの処理方法。
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