次に、本発明を具体化した実施形態について説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタは、本体フレーム1に内包されて被記録媒体である用紙Pにインクを吐出させて記録する記録機構部2と、記録機構部2における記録ヘッドユニット3のメンテナンス処理を行うメンテナンスユニット4と、前記本体フレーム1内に固定して配置される記録ヘッドユニット3に供給するインクを貯留するインクタンク5a〜5d等から構成されている。
フルカラー記録のための複数のインクタンク5(個別の色、即ち、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー用のインクタンクに対しては符号5a〜5dを付する、図1参照)は、インクの消耗に応じて交換することができる。
記録機構部2において、本体フレーム1内に平行状に設けられた左右長手の後ガイド軸6と、前ガイド軸7とにキャリッジ9が摺動自在に載置され、該キャリッジ9に記録ヘッドユニット3が一体的に取付けられている。
本体フレーム1の右後側に配置されたキャリッジ駆動モータ10と、無端帯であるタイミングベルト11とにより前記キャリッジ9は前記前後ガイド軸6、7に沿って左右方向に往復移動可能に構成されている。他方、図示しないが、公知の用紙搬送機構により、用紙Pは前記記録ヘッドユニット3の下面側で前記キャリッジ9の移動方向と直交する方向に水平状(図1の矢印A方向)に搬送される。
搬送される用紙Pの幅より外側には、その一端側(実施形態では図1の左端部)に、インク受け部12が設けられており、他端側には、メンテナンスユニット4が配置されている。これにより、記録動作中に定期的に記録ヘッドユニット3は前記インク受け部12が設けられたフラッシング位置にてノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部12にてインクを受ける。他端側のヘッド待機位置では、前記メンテナンスユニット4が配置されてノズル面のクリーニングを行い、また、色毎にインクを選択的に吸引するための回復処理及び後述するダンパー装置13内の気泡(空気)を除去する除去処理を行う。
図1に示すように、前記記録ヘッドユニット3の下面のノズル面より下方位置に、個別の色毎のインクタンク5をそれぞれ前方から挿入して装着できるように構成されている。図1において、左側から順に、ブラックインク(BK)用のインクタンク5a,シアンインク(C)用のインクタンク5b、マゼンタインク(M)用のインクタンク5c、イエローインク(Y)用のインクタンク5dは、水平且つ並列状に配置される。
前記各インクタンク装着部の後側には、各色のインクタンク5の挿入方向(後側壁面)に対向するようにインク供給用中空針(図示せず)を水平状に突設している。各色のインクに対応する中空針の基端部は、対応する可撓性を有するインク供給チューブ14a〜14dを介して記録ヘッドユニット3に接続されている。この場合、ブラック用とシアン用のインク供給チューブ14a,14bの中途部同士、マゼンタ用及びイエロー用のインク供給チューブ14c,14dの中途部同士を上下に重ねて結束している。
次に、キャリッジ9に搭載された記録ヘッドユニット3の第1実施形態を、図2〜図8を参照しながら説明する。本実施形態ではフルカラー記録のために記録ヘッドユニット3は、図2及び図3に示すように、箱状に形成されたヘッドホルダ20と、そのヘッドホルダ20の底板20aの下面側に固定されたインクジェット式の記録ヘッド21と、前記底板20aの上側に固定されたダンパー装置13及び排気弁手段26と備える。
記録ヘッド21の下面には、図2(記録ヘッド21を下面からみた図)において左側からブラックインク(BK)用のノズル22aの列と、シアンインク(C)用のノズル22bの列と、イエローインク(Y)用のノズル22cの列と、マゼンタインク(M)用のノズル22dの列とが、キャリッジ9の移動方向(主走査方向)と直交する方向に長く形成されている。そして、用紙Pの上面に対向するように各ノズル22が下向きにて露出している。
前記記録ヘッド21は、特開2002−67312号公報、特開2001−219560号公報などで公知のものと同様に、上面の一側に各インク色(例えば4色)毎のインク供給口を有し、その供給口から延びる各インク供給チャンネルを介してそれぞれ多数の圧力室にインクが分配され、各圧力室に対応する圧電素子などのアクチュエータ23の駆動によりノズル22からインクを吐出させるものである。アクチュエータ23の上面には、そのアクチュエータ23に電圧を印加するフレキシブルフラットケーブル24が固定されている。各インク供給口には各インクタンク5からダンパー装置13を介してインクが供給される。
次に、図3〜図11に基づいて、ダンパー装置13及び排気弁手段26の構成について詳述する。ダンパー装置13は、インク色毎に独立した複数のダンパー室27を、主仕切り壁35を挟んで、かつ主仕切り壁と交差する副仕切り壁35a、30によって区画して備えている。実施形態では、主仕切り壁35の下にブラックインク(BK)用のダンパー室27aの一部が配置され、主仕切り壁35の上にシアンインク(C)用のダンパー室27b、イエローインク(Y)用のダンパー室27c及びマゼンタインク(M)用のダンパー室27dが副仕切り壁35a、30によって区画されて配置され、全体として上下に2層状に構成されている。
具体的には、ダンパー装置13における本体ケース25は、矩形筒状の側壁を外周として有し、上下面を開放された箱状の下ケース32と、その下ケース32の上面を覆って配置固定された上ケース31とから構成される。上ケース31及び下ケース32は共に合成樹脂材料にて射出成形されたものであり、超音波溶着等にて液密的に結合されている。
下ケース32は、複数のダンパー室27を構成するダンパー箱部と、後述するように、排気弁(弁体)57等が収納された排気弁箱としての収納部34とが一体的に形成されている。この下ケース32には、その下面にその下面の面積の大部分を開放した開口部が設けられ、その開口部及び上方の開放面からそれぞれ平行に間隔を置いた位置に主仕切り壁35が形成されている。そして、その開口部はダンパー用の可撓性膜(合成樹脂製で空気及び液体非透過性のフィルム)36で封止されている。具体的には、開口部の外周を画定する外周壁37の下端面に、可撓性膜36の外周縁を接着もしくは超音波溶着等により接合する。その可撓性膜36と主仕切り壁35との間にブラックインク(BK)用のダンパー室の第1室27a−1が形成されている。可撓性膜36とヘッドホルダ20の底板20aとの間には、可撓性膜36の変形のための間隙が確保されて、ダンパー装置13がヘッドホルダ20に固着されている。
前記主仕切り壁35の上面には、その主仕切り壁35と交差して一体的に立ち上がった副仕切り壁35aが形成され、下ケース32内の主仕切り壁35よりも上方の部分が、後述する上ケース31と共同して複数のダンパー室として形成されている。実施形態では、2個の副仕切り壁35aが相互に間隔を置いて配置され、下ケース32の側壁と共同してシアンインク(C)、イエローインク(Y)及びマゼンタインク(M)用の3個のダンパー室27b〜27d(詳細にはそのダンパー室の第2室39b〜39d)が形成されている。各副仕切り壁35aは、図6に示すように下ケース32内を全長にわたって延びて形成され、主仕切り壁35の上面から外れた位置においてダンパー室27b〜27d(詳細には第2室39b〜39d)を各インク色毎のインク流出口41b〜41dに連通させている。
さらに追加の副仕切り壁35bが、インク流出口41b〜41d近傍の主仕切り壁35の上面から外れた位置へ延びて形成され、その副仕切り壁35bと下ケース32の側壁との間に、ブラックインク(BK)用のダンパー室の第2室39aが形成されている。その第2室39aの下端は、インク流出口41aに連通している(図3、図6参照)。
ブラックインク(BK)用のダンパー室の第1室27a−1は、第2室39aに、副仕切り壁35bに沿って形成した円筒部内を上下方向に貫通する絞り部としての通路42を介して連通している(図5、図6、図8(c)参照)。通路42は、第1室27a−1よりも断面積を小さく形成され、その第1室27a−1内よりも流路抵抗が大きく設定されている。
上ケース31は、上面に複数の凹部を備えた偏平形状に形成されている。この上ケース31には、ダンパー箱部(複数のダンパー室27a〜27d)の上面側を覆うダンパー蓋部と、収納部34の上面側を覆うようにダンパー蓋部から延出された部分とが一体的に形成されている(図8(a)〜図8(c)参照)。
本実施形態では、上ケース31の上面側には、ブラックインク(BK)用のダンパー室の第1室27a−1とほぼ対応する上方位置に、2個の副仕切り壁30で仕切られたシアンインク(C)、イエローインク(Y)及びマゼンタインク(M)用の3個のダンパー室27b〜27dの第1室27b−1〜27d−1が、上方に開放して形成されている(図4参照)。副仕切り壁30は、下ケース32の副仕切り壁35aの延長面上に位置し、第1室27b−1〜27d−1の底壁29には、絞り部としての多数個の通路孔44が上下に貫通形成され、各第1室27b−1〜27d−1は、その下の室(下ケース32に副仕切り壁35aによって区画された室)すなわち第2室39b〜39dとそれぞれ個別に連通している。
通路孔44は、各第1室27b−1〜27d−1よりも断面積を小さく形成され、その各第1室27b−1〜27d−1よりも流路抵抗が大きく設定されている。
第1室27b−1〜27d−1の上開放面と、後述する各インク色毎の排気通路51の上開放面は、1枚のダンパー用の可撓性膜(合成樹脂製で空気及び液体非透過性のフィルム)43で共通に封止されている。具体的には、各第1室の外周を画定する外周壁及び副仕切り壁30の上端面に、可撓性膜43を接着もしくは超音波溶着等により接合している。この第1室27b−1〜27d−1は上ケース31のダンパー蓋部となる。
前記各インク流出口41a〜41dは、図5に示すように下ケース32の下面に並んで位置し、可撓性膜36よりも下方に延長した位置で、下向きに開口している。一方、記録ヘッド21は、上面に各インク色毎のインク供給チャンネル(マニホールド)の端部と連通した複数のインク供給口(図示しない)を、各インク流出口41a〜41dと対向した位置に備えている。各インク流出口41a〜41dは、ヘッドホルダ20の底板20aに設けた開口を貫通し、記録ヘッド21の各インク供給口と、ゴムパッキン等のシール材を介して連通している。
インク流出口41a〜41dと反対側の下ケース32の側面からフランジ状に突出した部分32aには、図3及び図4に示すように各インク色毎のインク流入口47(実施形態では4個、ブラックインク(BK)用、シアンインク(C)用、イエローインク(Y)用及びマゼンタインク(M)用の各インク流入口をそれぞれ47a、47b、47c、47dで示す)が上向きに開口されている。
これらのインク流入口に、各インク色毎のインク流路を有するジョイント部材45が、各インク流路の下端を対応させパッキン等のシール46を介して接続されている。ジョイント部材45の各インク流路上端には、各インク色のインク供給チューブ14a〜14dの先端が接続されている。
そして、前記ブラックインク(BK)用のインク流入口47aは、前記下ケース32の下面に下向き開放状に水平に形成された凹通路48を介して対応するダンパー室27aの第1室に接続されている。他のインク流入口47b〜47dは前記下ケース32の下面に下向き開放状に水平に形成された凹通路48及び下ケース32の一側壁内に沿って上下方向(主仕切り壁35のなす面とほぼ直交する方向)に延びるように形成された連通路49と、上ケース31に上下に貫通する連通路50とを介して対応するダンパー室27b〜27dの第1室に接続されている(図4、図5、図7(a)、図7(b)及び図8(b)参照)。その場合、前記連通路50の開口面が可撓性膜43の下面に近接した高さ位置にあるので、ダンパー室27b〜27d内に流入されたインクが連通路50の開口面と対峙して接近する可撓性膜43に直接的に衝突できるから、インク供給チューブ14b〜14d内のインクの圧力変動を効率的に吸収緩和(ダンピング)させることができるのである。
各インク流入口47a〜47dおよび凹通路48の開放下面は、前記可撓性膜36を延長した部分で封止されている。
ブラックインク(BK)用のダンパー室の第1室27a−1の天井面すなわち主仕切り壁35の下面に、凹通路48側の側壁に両端を接続した平面視U字形のリブ35cが、可撓性膜36まで達しない高さに形成されている。このため、U字形のリブ35cに囲まれる部分には、インクが侵入しない空間が確保され、この中の空気と可撓性膜36との共同で後述するインクの圧力変動を吸収するようにしている。
また、上ケース31の上面には、前記インク流出口41a〜41d近傍の各第2室39a〜39dとそれぞれ対応する位置に、各ダンパー室の第3室55a〜55dが互いに独立して凹み形成されている(図4、図7(b)参照)。各第3室55a〜55dは、上ケース31に貫通形成された空気孔54により、対応する第2室39a〜39dとそれぞれ連通している。つまり、各インク色毎のダンパー室27a〜27dは、それぞれ第1室から第3室までの3個の室から構成されている。
さらに、上ケース31には、それぞれ前記第1室と第3室との間において各第2室39a〜39dの上部に連通する排気孔53が貫通形成されている。各排気孔53の上端は、上ケース31の上面に互いに独立して凹み形成された複数の排気通路51にそれぞれ接続され、その排気通路は、本体ケースの長手方向(インク流入口47a〜47dとインク流出口41a〜41dを結ぶ方向)と直交する方向に延びその他端が後述する複数の排気弁手段26に連通する接続口52a、52b、52c、52dと接続されている(図4参照)。
各排気孔53は、上ケース31から各第2室39a〜39d内に垂下する筒状壁内に形成され、上ケース31から所定距離置いた位置で各第2室39a〜39d内に開口している。つまり、後述するように排気孔53から第2室39a〜39d内の気泡を排出した状態でも、第2室39a〜39dの上部に筒状壁の垂下高さだけの空気を確保するようにしている。
前記各ダンパー室の第3室55a〜55d及び排気通路51は、その開放上面を前記可撓性膜43を延長した部分で覆われ、その各室及び通路が画定されている。
ダンパー装置13は、主仕切り壁35及び可撓性膜36,43が、キャリッジ9の移動方向すなわち記録ヘッド21のノズルの開口面と平行に延在するように、キャリッジ9上に固定されている。
次に、排気弁手段26について説明すると、複数のダンパー室が形成されたダンパー箱部を有する下ケース32の一側(図4及び図8(a)の右端)には、排気弁手段26の外装ケースをなす排気弁箱すなわち収納部34が一体に形成されている。収納部34と下ケース32とは、図8に示すように上部において連結されており、両者間に間隔をあけ、その間隔内にヘッドホルダ20の側壁を挿入している。この収納部34には、インク色毎に4つの上下方向に長つ且つ上下に開口する通路孔56が形成されている。前記各通路孔56は上半の大径部56aと下半の小径通路56bとからなる。大径の弁体57の下端には小径のバルブロッド58が一体的に形成されている。バルブロッド58に被嵌され、且つ弁体57の下端面側にシール用のオーリング等のパッキン59が配置されている。前記大径部56aにパッキン59及び弁体57が昇降可能に挿入され、バルブロッド58は小径通路56bに挿入されている。このバルブロッド58の下端は小径通路56bの下端開口部近傍まで延びている。大径部56a内に設けたコイルバネ等のばね手段60にて弁体57を常時下向きに押圧している。この状態で、パッキン59が通路孔56の大径部56aの底面に押圧されて、弁閉止となる(図8(a)参照)。連通孔56の下端開口面は、記録ヘッド21の下面とほぼ同一平面内に位置している。
前記上ケース31の側縁は、前記収納部34の上端を覆う位置まで延長され、前記各排気通路51の他端、すなわち接続口52a〜52dが各通路孔56の上端とそれぞれ個別に連通されている。
メンテナンスユニット4は、記録ヘッド21のノズル22の開口面を開閉可能に覆うキャップ部材71と、排気弁手段26の下端面すなわち各小径部56bの開口面を個別に開閉可能に覆う複数の小キャップ部材72とを備える。両キャップ部材71,72は、公知のメンテナンスユニットと同様の上下移動機構73により、キャリッジ9が待機位置(図1において右端位置)に移動したときに、ノズル22の開口面及び排気弁手段26の下端面に密着するように上昇し、他の位置ではそれらの面から離隔するように下降する。また、キャップ部材71は、公知のメンテナンスユニットと同様に吸引ポンプ74に接続され、吸引ポンプ74の駆動によりノズル22から増粘したインクや異物が吸引除去される。
各小キャップ部材72は、そのキャップ部材よりも突出した突起部72aをそれぞれ有し、排気弁手段26の下端面に密着したとき、突起部72aにより、前記バブルロッド58をばね手段60の付勢力に抗して押し上げ、パッキン59を大径部56aの内底部から離し、弁開放状態にする。また、各小キャップ部材72は共通の流路を介して前記吸引ポンプ74に接続され、吸引ポンプ74の駆動により各ダンパー室の第2室39a〜39d内に蓄積した気泡が一括して吸引排出される。これは、インクタンク5からインク供給管14を通して供給されるインクを第2室39a〜39d内に一旦貯留することで、インク中から気泡を分離浮上させ、第2室39a〜39dの上部に蓄積した気泡を、上記のように、吸引ポンプ74により排出させるのである。
キャップ部材71と小キャップ部材72は、切替弁75により択一的に吸引ポンプ74に接続される。キャップ部材71と小キャップ部材72は、上下移動機構73により、同時にノズル22の開口面及び排気弁手段26の下端面に密着するが、好適には、まず小キャップ部材72をとおして第2室39a〜39dの上部に蓄積した気泡を排出し、その後、キャップ部材71をとおしてノズル22からインクを排出する。仮にキャップ部材71のみで第2室39a〜39dの気泡を排出しようとすると、多量のインクを排出しなければならないが、上記のようにすることで、少ないインク排出量で、気泡の排出及び記録ヘッドの回復処理を行うことができる。
また、ノズル22からのインク吸引のみ、または第2室39a〜39dの気泡の排出のみを、それぞれ単独に行うこともできる。
なお、上記のように吸引ポンプ74の吸引動作に代えて、インクタンク5側から、インクに正圧を加えて、ノズル22から増粘したインクや異物を吸引除去したり、第2室39a〜39d気泡を排出することもできる。あるいは、吸引動作とインクへの正圧印加を併用することもできる。
図9〜図16は本発明の第2実施形態を示す。この実施形態では、インクの色はブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色であり、前記実施形態と同様の各色毎のノズル22の列を有する2つの記録ヘッド21を主走査方向に並列状に配置し、ヘッドホルダ20に固定したものである。
そして、第2実施形態のダンパー装置63は、前記2つの記録ヘッド21に対して対応する色のインクを供給することになる。即ち、インク流入口47は各色毎に1個であるが、インク流出口41は2個ずつ形成されている。以下、第1実施形態と同じ部品、構成については同じ符号を付して説明する。
第2実施形態のダンパー装置63における本体ケース25は、上ケース31と、下ケース32とからなり、下ケース32の上端に上ケース31を超音波溶着等にて液密的に固定されている。
下ケース32には、前記実施形態とほぼ同様に、主仕切り壁35の下にブラックインク(BK)用のダンパー室の第1室27a−1が形成され、その第1室27a−1が下ケース32の下面の面積の大部分において下方に開放され、その開放面を覆って可撓性膜36が接合されている。また、下ケース32の下面には、第1室27a−1の開放面に隣接して複数のインク流出口41a〜41dが配置されている。この実施形態においてインク流出口は、中央の2個をブラックインク(BK)用のインク流出口41a、その両側の2個をイエローインク(Y)用のインク流出口41c、そして一方の端の2個をシアンインク(C)用のインク流出口41b、他方の端の2個をマゼンタインク(M)用のインク流出口41dとしている。
ブラックインク(BK)用のダンパー室の第2室39aは、平面視において中央の2個のインク流出口41aを囲むように形成された仕切り壁35bによって画定され、主仕切り壁35に貫通形成された通路42によって第1室27a−1と連通している。また、上ケース31の上面に、仕切り壁35bの延長面上に位置する壁30bによって囲まれて形成された第3室55aは、上ケース31に貫通形成された空気孔54によって第2室39aと連通している。
シアンインク(C)、イエローインク(C)及びマゼンタインク(M)用の各ダンパー室27b〜27dは、前記実施形態とほぼ同様に、主仕切り壁35の上面に形成された副仕切り壁35a、及びそれの延長面上において上ケース31の上面に形成された副仕切り壁30によって画定されている。各ダンパー室27b〜27dは、上ケース31の底壁29の上側を第1室27b−1〜27d−1、下側を第2室39b〜39dとして形成されている。第2室39b〜39dは、下ケース32の長手方向全長にわたって延びインク流出口41b〜41dとそれぞれ連通している。この実施形態においては、イエローインク(C)用の第2室39cが平面視でY字状に形成され、その第2室39cを挟んでシアンインク(C)用の第2室39b、マゼンタインク(M)用の第2室39dが形成されている。
上ケース31上面の各第1室27b−1〜27d−1は対応する第2室の上方に位置しているが、この実施形態においては、前記実施形態のシアンインク(C)、イエローインク(C)及びマゼンタインク(M)用の第3室がない。各第1室の底壁29において、後述する連通路50に近い側には複数の通路孔44が、インク流出口41b〜41dに近い側にも通路孔44がそれぞれ貫通形成され、各第1室と第2室とを連通している。
複数の排気通路51は、上ケース31上面に凹み形成され、一端を各第2室39a〜39dに排気孔53を通して連通し、他端を前記実施形態と同じ構造の排気弁手段26に対する接続口52a、52b、52c、52dと接続している(図11(a)参照)。シアンインク(C)、イエローインク(C)及びマゼンタインク(M)用の排気孔53は、前記実施形態と同様に、第2室39b〜39dの天井面よりも下方に開口し、その第2室の上部に空気を貯めるための空間を確保している。
各第1室27b−1〜27d−1、ブラックインク用の第3室55a及び排気通路51の上方開放面は、1枚の可撓性膜43によって覆われている。
下ケース32には、前記実施形態とほぼ同様にインク流入口47a〜47dが形成され、ブラックインク(BK)用のインク流入口47aは、凹通路48を介してブラックインク(BK)用のダンパー室27aに接続され、シアンインク(C)、イエローインク(C)及びマゼンタインク(M)用の各インク流入口47b〜47dは、連通路49,50を介して対応するダンパー室27b〜27dにぞれぞれ接続されている。各インク流入口47a〜47dおよび凹通路48の開放下面は、前記可撓性膜36を延長して封止されている。
上記の第1実施形態及び第2実施形態において、記録動作に応じてキャリッジ9が主走査方向(左右方向)に往復移動するにつれて、各インク供給チューブ14も左右方向に移動すると、そのリターン時の慣性力により前記各インク供給チューブ14内のインクの圧力も大きく変動する。その圧力変動は、インク流入口47を介して各ダンパー室27に伝播する。そのとき、各ダンパー室27を封止している可撓性膜36、43が撓むことにより、各ダンパー室27内のインク圧力の変動を緩和できる。
各ダンパー室の第1室27a−1〜27d−1に伝播した圧力変動は、絞り部としての通路孔44や通路42の抵抗作用により、まず第1室27a−1〜27d−1で可撓性膜36,43を大きく撓ませる。さらにシアンインク(C)、イエローインク(C)及びマゼンタインク(M)用の各第室27b−1〜27d−1への各連通路49,50は、可撓性膜43と対峙して近接した位置で開口しているから、圧力変動は、可撓性膜43に直接的に衝突し、早期に吸収緩和される。
また、通常、第2室39a〜39dの上部、第3室55a〜55dには、空気層が確保されるから、この空気によるダンパー作用、さらに第3室55a〜55dを封止する可撓性膜43の変形によって、ダンパー室27a〜27d内で生じた圧力変動及び上記のように伝播した圧力変動も吸収緩和され、記録ヘッド21のノズル22での圧力が均一に維持され、記録品質が高められる。
各ダンパー室の第1室27a−1〜27d−1に流入したインクは、絞り部としての通路孔44や通路42の抵抗作用によりさらに減速されて、それぞれ対応する第2室39a〜39dに流入する。その第2室39a〜39d内で、インク中に含まれる気泡を浮上させ、気泡が少なくなったインクは、インク流出口41a〜41dから記録ヘッド21に供給される。
前記両実施形態では、記録ヘッドユニット3のノズル面がほぼ水平で、記録ヘッド21のノズル22から下向きにインクを吐出する形態であり、そのため、記録ヘッド21の上方にダンパー装置13を、その主仕切り壁35及び可撓性膜36、43が略水平となるように配置し、下側の可撓性膜36と記録ヘッド21(具体的にはフレキシブルフラットケーブル24)の背面との間には、当該可撓性膜36が変位できる隙間空間が形成されているが、ノズル面を縦向きとした場合、主仕切り壁35及び可撓性膜36、43が縦向きに延びる方向にダンパー装置13を配置しても良い。
上記に説明したように、両実施形態では複数の色もしくは複数のインク供給チャンネルに対応する複数のダンパー室27の少なくとも1つのダンパー室を他の複数のダンパー室に対して主仕切り壁35を介して互いに逆向きに開口面を有するように、背中合わせ状に配置し、前記各開口面をそれぞれ可撓性膜36、43にて封止したことにより、複数のダンパー室をまとめることができると共に、ダンパー室27を背中合わせ状に配置することで、各ダンパー室27の開口面(開放部)の面積を比較的大きく形成することができる。従って、ダンパー装置13の全体をコンパクトにしながら、各ダンパー室27の開口面を封止する可撓性膜36、43がインクの圧力変動により撓み得る面積領域も大きく設定できて、ダンパー作用を十分に行うことができる。特に、複数のダンパー室27を1つの本体ケース25にまとめることで、ダンパー装置13をコンパクトに形成できる。
前記実施形態のように、4つのダンパー室27のうち3つのダンパー室27を、主仕切り壁35と直交(交差)する副仕切り壁35a、30にて区画して並設させることで、同じ向きに開口面を有する複数のダンパー室27を1枚の可撓性膜43にて封止できるから、封止作業が至極容易になると共に製造コストも低減できるという効果を奏する。
そして、複数のダンパー室27を有する本体ケース25に排気弁への排気通路51を形成し、さらに、本体ケース25に排気弁手段26も一体的に組み込めば、メンテナンス時に記録ヘッドユニット3内の気泡等を除去するための構成もキャリッジ9に搭載でき、記録ヘッドユニット3をコンパクトにできるという効果を奏する。特に、排気通路51を本体ケース25における副仕切り壁30にて区画して並設させ、且つダンパー室27b−1〜27d−1の開口面と同じ向きに開放するように凹み形成したものであれば、1枚の可撓性膜43を本体ケース25の表面に貼着することでダンパー室27と排気通路51とを同時に区画させて形成でき、製造コストを低減できる。
バッファタンクとしての機能を有する第2室39a〜39dに空気ダンパー室55a〜55dを連通させているから、記録ヘッドユニット3をコンパクトに形成でき、且つキャリッジ9の往復移動に伴い、第2室39a〜39dに貯留されているインクの揺動による圧力変動も抑止(緩和)できる。
また、ダンパー装置13は、本体ケース25における対向する2面を開放し、その2面と間隔を置いた主仕切り壁35によってそれぞれ独立した複数のダンパー室27を形成し、その開放した2面を可撓性膜36、43にて封止するものである。そして、本体ケース25には、インク供給管(チューブ)14から各ダンパー室27にインクを供給するためのインク流入口47と、各ダンパー室27から記録ヘッド21の各インク供給チャンネルにインクを供給するためのインク流出口41とをそれぞれ並べて備え、複数のインク流入口47及びインク流出口41のうち所定のものは、主仕切り壁35のなす面とほぼ直交する方向に延びる連通路49、50によって対応するダンパー室27と接続しているものである。
従って、複数のダンパー室27が主仕切り壁35及び副仕切り壁35a、30にて区切られているにも拘らず、インク流出口41及びインク流入口47を本体ケースの一方の面に並べて形成できるので、インク供給管(チューブ)14への接続及び記録ヘッド21のインク供給口(図示せず)への接続が容易にできる。
そして、記録ヘッド21は、前記各インク供給チャンネルと接続した複数のインク供給口を、その記録ヘッド21の背面側の一側に並べて有し、本体ケース25の下ケース32には、複数のインク流出口41が下向きにてインク供給口と対向する位置に並べて有し、複数のインク流出口41とインク流入口47とは、対向した状態で連通しているものである。従って、記録ヘッド21の背面に本体ケース25を重ねると、記録ヘッド21における複数のインク供給チャンネルに対応するインク供給口と複数のインク流出口41とが重なり、且つ記録ヘッド21の背面と交差する上側から臨ませるインク供給チューブ14をインク流入口47に接続する作業が容易にできる。
次に、図17〜図30を参照しながら第3実施形態について説明する。第3実施形態における記録機構部2′は、Y方向(用紙搬送方向Xと直交する方向、主走査方向)に延びる横長の板状のガイドレール6′、7′に摺動可能に跨って往復移動するキャリッジを構成する記録ヘッドユニット3′と、記録ヘッドユニット3′を往復移動させるためにガイドレール7′の上面にそれと平行状に配置されたタイミングベルト11′と、そのタイミングベルト11′を駆動するCR(キャリッジ)モータ10′等を備えている。
記録ヘッドユニット3′は、図18及び図19に示すように、上面開放の略箱状の本体部100aとこの本体部100aから用紙(被記録媒体)搬送方向下流側(図17の矢印A方向)に突出する連結支持片100bとを備えるヘッドホルダ100と、そのヘッドホルダ100の底板100cの下面側に固定されたインクジェット式の記録ヘッド21と、前記底板100cの上側に固定されたダンパー装置101及び排気弁手段102とを備えている。
ダンパー装置101には、用紙搬送下流側(図17の矢印A方向)に略水平に延び且つ前記連結支持片100bに重ねられて支持される連結片103が設けられており、インク供給管(インクチューブ)14′の先端部が接続できるようになっている。このインクジェットプリンタには、フルカラー記録のためのインク供給源として、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(Bk)の個別のインクタンク(図示せず)が、本体フレーム内に静置されており、これらの各インクタンクに、インク供給チューブ14′の基端部が接続されている。そして、インクタンクからインクチューブ14′及びダンパー装置101を介して記録ヘッド21にインクを供給するインク流路が形成されている。この実施形態では、インク色がブラックインク(BK)シアンインク(C)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)の4色であるため、インク供給チューブ14′は4本であるが、インク色の種類及びインク供給チューブの数等は、これに限定するものではない。
また、ダンパー装置101と排気弁手段102の上面、及びダンパー装置101の連結片103の上面は、それぞれ蓋カバー体106a,106bで覆われるようになっている(図17参照)。
前記記録ヘッド21の下面にはノズル22が多数設けられており、図24(記録ヘッド21を下面からみた図)において左側からブラックインク(BK)用のノズル列22aと、シアンインク(C)用のノズル列22bと、イエローインク(Y)用のノズル列22cと、マゼンタインク(M)用のノズル列22dとが、キャリッジ5の移動方向(Y方向、主走査方向)と直交する方向に長く形成されている。そして、用紙の上面に対向するように各ノズル22が下向きにて露出している。
前記記録ヘッド21は、特開2002−67312号公報、特開2001−219560号公報などで公知のものと同様に、上面の一側に各インク色毎のインク供給口107を有し、そのインク供給口107から延びる各インク供給チャンネル(マニホールド)を介してそれぞれ多数の圧力室にインクが分配され、各圧力室に対応する圧電素子などのアクチュエータ23の駆動によりノズル22からインクを吐出させるものである。
図19に示すように、アクチュエータ23の上面には、そのアクチュエータ23に電圧を印加するフレキシブルフラットケーブル24が固定されている。記録ヘッド21はヘッドホルダ100の底板100cの下面側に取り付けられるが、記録ヘッド21と底板100cとの間には、取り付け時の記録ヘッド21の撓みを防ぐために、補強フレーム108を介在させている。そして、ダンパー装置101のインク流出口109は、底板100cの開口に挿入され、インク供給口107とダンパー装置101のインク流出口109とは、補強フレーム108に設けた開口108aを介し、ゴムパッキン等のシール材110を挟んで連通している。また、記録ヘッド21のノズル面(下面)側には、ノズル面の段差解消用にコの字型のフロントフレーム112も取り付けられる。
次に図19〜図30を用いて 第3実施形態のダンパー装置101の構成について説明する。
ダンパー装置101は、インク色毎に独立した複数のダンパー室113を、主仕切り壁115、及び主仕切り壁115と交差する副仕切り壁116,117によって区画して備えている。実施形態では、主仕切り壁115の下にブラックインク(BK)用のダンパー室113の一部である第1室119aが配置され、主仕切り壁115の上にブラックインク用のダンパー室113の他の一部である第2室120、シアンインク用のダンパー室113b、イエローインク用のダンパー室113c、及びマゼンタインク用のダンパー室113dが配置され、全体として上下に2層状に構成されている。
具体的には、ダンパー装置101における本体ケース121は、平面視略長方形で偏平状の上ケース122と、矩形筒状の側壁を外周として有し上下面を開放した略箱状の下ケース123とを備えている。下ケース123の上面を、上ケース122で覆うようにして、上下のケースは、その合わせ面にて液密的に固定(結合)される。なお、上ケース122の上面部分の長手方向の一端は外方へ延長され、インク供給管14′との接続のための連結片103となっている。上ケース122及び下ケース123は、共に合成樹脂材料にて射出成形されたものであって剛性を有しており、両ケース122,27との接合部(後に詳述する)は超音波溶着等にて液密的に結合されている(図19、図20、図21及び図22参照)。その場合、両ケース122、123の接合面は平面状に形成されており、後述するダンパー室113b〜113dを区画する各副仕切り壁116の上端面及びブラックインク用のダンパー室113aの一部である第2室120を区画する副仕切り壁117の上端面と、これに対応する上ケース122の下面の部分とが超音波溶着等にて密接して接合(結合)される箇所となる。
下ケース123には、その下面にその面積の大部分を開放した開口部が設けられ、その開口部及び下ケース123の上面からそれぞれ平行に間隔を置いた位置に前記主仕切り壁115が形成されている。そして、その下面の開口部は、ダンパー用の可撓性膜(合成樹脂製で空気及び液体非透過性のフィルム)124で封止されている。具体的には、下面の開口部の外周を画定する外周壁125の下端面に、可撓性膜124の外周縁を接着もしくは超音波溶着等により接合する(図25、図28及び図29参照)。
そして、その可撓性膜124と主仕切り壁115との間に、ブラックインク用のダンパー室113aの一部である第1室(ダンパー作用室)119aが偏平に形成され、主仕切り壁115と対峙する面、すなわち可撓性膜124で封止されている面がダンパー作用面となっている。また、ダンパー装置101は、図25に示すように、可撓性膜124とヘッドホルダ100の底板100cとの間に、可撓性膜124の変形のための間隙が確保されて固着され、ヘッドホルダ100は、ブラックインク用のダンパー作用室119aのダンパー作用面(可撓性膜124)が略水平となるように設置される。なお、記録ヘッド21のインク供給口107に接続される各インク流出口109a〜109dは、4つのインク供給口107に対向するように、下ケース123の下面に並んで位置し、可撓性膜124よりも下方に延長した位置で、下向きに開口している(図21及び図25参照)。そして、記録ヘッド21は、前記主仕切り壁115と略平行にノズル22の列を延在させて配置されている。
このブラックインク用のダンパー作用室119aでは、このダンパー作用室119aへのインク流入口126aとこのダンパー作用室119aからの通路127とが、主仕切り壁115に穿設されているが、これらは、平面視略矩形形状を有するダンパー作用室119aにおいて、平面視で略対角となる位置に配置されている。なお、通路127はインク流入口126aよりも開口面積が大きく形成されている(図21、図22及び図27参照)。
また、ダンパー作用室119aの室内にはリブ129が突設され、インクをインク流入口126aから通路127へ案内するインク経路が区画されている。実施形態では、リブ129は、主仕切り壁115の下面に一体的に突設されてダンパー作用室119aの対角方向に延びる2本の平行な直線形状で、この2本のリブ129の間(内側)にインク流入口126aと通路127とが配置されている。このリブ129の垂下長さは、可撓性膜124に達しない程度に形成されているので、リブ129の先端と可撓性膜124との間には間隙が設けられている。そのため、ダンパー作用室119aの天井部となる主仕切り壁115近傍では、天井部から垂下したリブ129に区画されているが、ダンパー作用室119aの底部となる可撓性膜124の近傍では、底部全体にインクが行き渡るようになっている(図28及び図29参照)。
主仕切り壁115の上面には、前記副仕切り壁116、117が、主仕切り壁115と交差して一体的に立ち上がって形成され、下ケース123内の主仕切り壁115よりも上方の部分が、上ケース122と共に、複数のダンパー室を形成している。
実施形態では、図20に示すように、2個の副仕切り壁116が相互に間隔をおいて、下ケース123内の全長にわたって延びて配置され、下ケース123の側壁とともにシアンインク、イエローインク及びマゼンタインク用の3個のダンパー室113b〜113dを形成している。各副仕切り壁116は、主仕切り壁115の端位置においてダンパー室113b〜113dを各インク色毎のインク流出口109b〜109dに連通させている(図25参照)。
一方、副仕切り壁117は、図20に示すように、インク流出口109aの近傍の下ケース123のコーナー部を下ケース123の側壁とともに平面視略三角形状に区画するように設けられている。そして、副仕切り壁117と下ケース123の側壁との間に、ブラックインク用のダンパー室113aの一部である第2室120が形成されている。すなわち、ブラックインク用のダンパー室113aは、主仕切り壁115を境に上下に配置された第1室(ダンパー作用室)119aと第2室120とにより構成されている。第2室120の平面視の面積は、ダンパー作用室119aの平面視の面積より小さいが、第2室120の一部はダンパー作用室119aと平面視で重なって配置されている。そして、図28に示すように、主仕切り壁115に穿設された通路127が、第2室120へのインク流入口となっている。また、第2室120は、主仕切り壁115の端位置に設けられたインク流出口109aに接続されている。このように、第2室120では、該室流入口(通路127)と該室流出口(インク流出口109a)とがいずれも第2室120の一面である底面側に設けられている。
この第2室120は、その内部に一旦インクを溜めるとともに、上ケース122によって構成された天井面130a側が気泡トラップ領域となって、インクから分離浮上した気泡を徐々に蓄積するように設けられている。そして、第2室120の天井面130aには、上ケース122を貫通する排気口131aが設けられている(図28参照)。さらに第2室120の底面(底壁)となる主仕切り壁115には、前記通路127(第2室流入口)とインク流出口(第2室流出口)109aの間に、第2室120における通路127(第2室流入口)側とインク流出口(第2室流出口)109a側とを間仕切るリブ132が突設されている(図28参照)。このリブ132は、第2室120の天井面130aに達しない突出長さで、且つ第2室120における通路127側とインク流出口109a側とを底面側にて完全に区画する幅寸法(図28における奥行方向の寸法)に形成されているため、通路127から第2室120に流入したインクは、必ずリブ132に沿って一旦上方に迂回するように流れた後に、インク流出口109に到達するようになっている。
上ケース122には、その上下面に複数の凹部が形成されるとともに、連結片103寄りの位置では下ケース123側へ矩形環状に連続した3個のリブ133が一体的に突出し、このリブ133によって3つの独立した領域が囲み形成されている(図21参照)。
各リブ133で囲まれた3つの領域は、平面視略矩形状で上下に開放して形成され、上ケース122と下ケース123とを接合する際に、前記領域はそれぞれ下ケース123に形成された3つのダンパー室113b〜113dの内側に収容される。リブ133の垂下長さは、主仕切り壁115に達しない長さに形成されており、リブ133の先端と各ダンパー室113b〜113dの底部すなわち主仕切り壁115との間に間隙が形成されるように構成されている。そして、このリブ133で囲まれた領域は、シアンインク、イエローインク、及びマゼンタインク用の各ダンパー室113b〜113dにおいて、インクジェットプリンタの使用開始前からあらかじめ一定量の空気を貯留しておく第1室(ダンパー作用室)119b〜119dとなる。
この各ダンパー作用室119b〜119dに貯留されている空気は、リブ133の垂下によって周囲から分離されているため、後述する排気口131b〜131dから排気されることなく、そのまま一定量(リブ133の垂下長さで規定される量)が確実に貯留され続ける。また、これら3つの領域の上方開放面を共通に封止するために、1枚のダンパー用の可撓性膜(合成樹脂製で空気及び液体非透過性のフィルム)136が、これらの外周を画定する外周壁の上端面に、接着もしくは超音波溶着等により接合されている。
また、シアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用のダンパー室113b〜113dにおいては、ダンパー作用室119b〜119dの下流側(インク流出口109b〜109dに近い側)の領域がそれぞれ、インクから分離浮上した気泡を徐々に蓄積するように設けられた第2室(気泡トラップ室)135b〜135dとなっている。各ダンパー室113b〜113dにおいては、主仕切り壁115には、ダンパー作用室119b〜119dの下流側にインク流出口109b〜109dとの間にリブ132が突設されている(図29参照)。このリブ132は、気泡トラップ室135b〜135dの天井面130aに達しない突出長さで、且つ気泡トラップ室135b〜135dにおけるインク流出口109a〜109d側とを底面側にて完全に区画する幅寸法に形成されているため、ダンパー室113b〜113dに流入したインクは、必ずリブ132に沿って一旦上方に迂回するように流れた後に、インク流出口109b〜109dに到達するようになっている。
各気泡トラップ室135b〜135dの天井面130b〜130dは上ケース122により構成されており、天井面130b〜130dに上ケース122を貫通する排気口131b〜131dが形成されている(図22及び図29参照)。
上ケース122は、前述したようにその矢印A方向の端部が連結片103となっているが、この連結片103の一方の側縁側にはX軸方向に並んで、供給チューブ接続口137(実施形態では4個、ブラックインク用、シアンインク用、イエローインク用及びマゼンタインク用の各供給チューブ接続口をそれぞれ137a、137b、137c、137dで示す)が穿設されている(図18、図23、図26及び図28参照)。
これら各供給チューブ接続口137には、各インク色毎の流路を有するジョイント部材138を介して、インク供給チューブ14′がそれぞれ接続される。そして、上ケース122及び下ケース123に設けられた通路等を介して、各供給チューブ接続口137が各ダンパー室113に連通している(図20、図21、図22参照)。
この実施形態では、ブラックインク用のインク流路として、図21、図22、図23、図26、図27及び図28に示すように、まず上ケース122の連結片103に、供給チューブ接続口137aを一方端に有し且つ連結片103の下面に下向きに開放して溝状に形成された第1凹通路139aと、この第1凹通路139aの他方端にて連結片103の上下面に貫通形成された第1連通孔140aと、この第1連通孔140aを一方端に有し且つ連結片103の上面に上向きに開放してL字状に形成された第2凹通路141aと、この第2凹通路141aの他方端にて上ケース122の上下面に貫通形成された第2連通孔142aとが設けられている。一方、下ケース123には、図20に示すように、マゼンタインク用のダンパー室113dに隣接し且つインク流出口109dから遠い側のコーナ部に、第3連通孔143が貫通形成されている。この第3連通孔143の下側の開口は、前記主仕切り壁115に設けられており、この開口が、前述したブラックインク用のダンパー作用室119aへのインク流入口126aとなる。そして、上ケース122と下ケース123との接合の際に、第3通路孔143の上端面と第2通路孔142aの下端面とが密着して接合され、これにより、ブラックインク用の供給チューブ接続口137aは、ダンパー作用室119a(ダンパー室113a)に接続される。
また、シアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用のインク流路として、図21、図22、図23、図26、図27及び図29に示すように、連結片103には、供給チューブ接続口137b〜137dをそれぞれ一方端に有して連結片103の下面に下向きに開放してL字状に形成された第1凹通路139b〜139dと、第1凹通路139b〜139dの他方端にて連結片103の上下面に貫通形成された第1連通孔140b〜140dと、この第1連通孔140b〜140dをそれぞれ一方端に有して連結片103の上面に上向きに開放して形成された第2凹通路141b〜141dと、この第2凹通路141b〜141dのそれぞれの他方端に上ケース122の上下面に貫通形成された第2連通孔142b〜142dとが備えられている。これらは、供給チューブ接続口137b〜137dから各ダンパー室へのインク流路として機能する。
第2連通孔142b〜142dは、前記リブ133に一体的に設けられ、且つリブ133の突出長さよりもわずかに長く下方に突出している。そして、第2連通孔142b〜142dの下側の開口はそれぞれ、ダンパー室113b〜113dへのインク流入口126b〜126dになっている(図21及び図22参照)。これにより、シアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用の各供給チューブ接続口137b〜137dは、それぞれのダンパー室113b〜113dに接続される。
また、上ケース122には、前述したように、第2室120及び第2室(気泡トラップ室)135b〜135dに連通する排気口131a〜131dが貫通形成されており、各排気口131a〜131dの上端は、上ケース122の上面に互いに独立して凹み形成された複数の排気通路145a〜145dにそれぞれ接続されている。そして、その排気通路145a〜145dは、上ケース122の長手方向と直交する方向に屈曲しながら延びて、その他端が排気弁手段102と接続されている。
なお、連結片103の下面に形成された第1凹通路139a〜139dは、その外周を画定する外周壁の下端に接着もしくは超音波溶着等により接合された1枚のフィルム材134により共通に覆われ、それぞれ流路として形成されている。このフィルム材134はPET等の合成樹脂製であり、可撓性膜であっても良い。また、第2凹通路141a〜141d及び排気通路145a〜145dは、ダンパー用の可撓性膜136を延長した部分で、同様の手法で共通に覆われ、それぞれ流路として形成されている。
なお、下ケース123に連結片103を一体的に形成して、この下面または上面に第1凹通路139a〜139dを形成してから、フィルム材134または可撓性膜にて第1凹通路139a〜139dの開放面を封止しても良い。
次に、排気弁手段102について説明すると、図20(a)及び図21(b)に示すように、下ケース123の一側に一体的に設けられた収納部146には、インク色毎の4つの通路孔147が上下方向に長く且つ上下に開口して形成されている。上ケース122の側縁は、前記収納部146の上端を覆う位置まで延長され、前記排気通路145a〜145dの他端の各開口部148が各通路孔147の上端とそれぞれ個別に連通されている。収納部すなわち排気弁箱146は、第1実施形態と同様に、下ケース123と上部において連結されており、両者間に間隔162(図31)をあけて下方に延び、内部の通路孔147の下端開口面を記録ヘッド21の下面(ノズル面)とほぼ同一平面に開口させている。収納部146と下ケース123との間隔内にヘッドホルダ20の側壁を挿入している。また、前記各通路孔147の内部には、第1及び第2実施形態と同様に弁体57、パッキン59及びバネ60等(図30参照)が収納されており、この弁体57が通路孔147の下端開口部を開放及び閉塞するように駆動される。記録ヘッドユニット3′が、インクジェットプリンタにおける図示しないメンテナンスユニット(図17の右端部等)の位置に移動したときには、弁体が駆動されて前記通路孔147の下端開口部が開放され、第1及び第2実施形態と同様に、下端開口部が吸引ポンプにより吸引される。これにより、各ダンパー室113a〜113dのエアトラップ領域に蓄積された気泡を排気口131a〜131d及び排気通路145を通じて排気することが可能となる。
上記構成によると、まず、図示しないインクタンクのインクがインク供給チューブ14を通って、供給チューブ接続口137からダンパー装置101に供給される。ブラックインクは、図28に示すように、供給チューブ接続口137aから、連結片103の第1凹通路139a及び第2凹通路141aを通って、インク流入口126aから主仕切り壁115の下面側の第1室(ダンパー作用室)119aに流入する。インク流入口126aから伝播したインクの圧力変動は、これと対峙する可撓性膜124(ダンパー作用面)に直接当たり、インクの圧力変動を広い面積で確実に吸収(ダンピング)する。そして、ブラックインクは気泡とともに、ダンパー作用室119aの天井部から垂下したリブ129により、その流れが広い開口面積の通路127から排出される。
通路127から流出したブラックインクは、主仕切り壁115の上側に形成された第2室120に流入する。第2室120は、ダンパー作用室119aの上方に配置されているため、気泡は留まることなく浮上して第2室120に流入する。第2室120では、インクを溜めて記録ヘッド21側に供給するが、第2室120の底部側から流入したインクはリブ132を乗り越えて、同じく底部側に設けられたインク流出口109aに至る。その間にインクから分離浮上した気泡は、その天井面130a側の気泡トラップ領域に徐々に蓄積される。そして、インク流出口109aから、記録ヘッド21のブラックインク用のインク供給口107へブラックインクが供給される。
一方、シアンインク、イエローインク、マゼンタインクは、図29に示すように、各供給チューブ接続口137b〜137dからそれぞれ第1凹通路139b〜139d及び第2凹通路141b〜141dを通って、インク流入口126b〜126dからダンパー室113b〜113dに流入する。ダンパー室113b〜113dでは、その内部における上流側に、あらかじめ一定量の空気を貯留し且つその天井部が可撓性膜136で覆われているダンパー作用室119b〜119dが配置されているため、インクの圧力変動を可撓性膜136と空気とが協働して吸収(ダンピング)する。そして、このダンパー室113b〜113dに流入したインクから分離浮上した気泡が、第2室(気泡トラップ室)135b〜135dに徐々に蓄積される。
そして、記録ヘッドユニット3′がメンテナンス位置に移動し、第1実施形態と同様に気泡除去のメンテナンス動作として、排気弁手段102が吸引ポンプに接続されると、前記第2室120、135b〜135dに蓄積された気泡は、それぞれの排気口131a〜131dから、排気通路145a〜145d及び排気弁手段102を通って外部に排気される。
このように、上記構成では、第2室120においてその底面から上方に向かってリブ132が突設されて、第2室流入口(通路127)側と第2室流出口(インク流出口109a)側とが区画(画定)されている。リブ132は、壁状でありフィルタのような網目を有していないから、通路127から流入したインクは、必ずリブ132を乗り越える経路を通らなければ、同じく底面側に設けられたインク流出口109aに到達することができない。従って、インク中に含まれる気泡はその大小に拘わらず、流入の勢いでインク流出口109aへ直接流れ出すことが阻止されている。そして、気泡はインクとともにリブ132に沿って一旦上昇するので、第2室120の天井面130a側に設けられた気泡トラップ領域に分離浮上して蓄積されやすくなる。その結果、記録ヘッド21における気泡による吐出不良を確実に防止できる。
また、ブラックインク用の流路では、インクの圧力変動を吸収するための第1室(ダンパー作用室)119aが、インク中の気泡を蓄積する第2室120とは別個に構成されている。ブラックインクの場合、その他の色のインクよりも使用頻度が高くインクの供給量も多いので、インクに伝わる圧力波も大きいが、ダンパー作用室119aを独立させることによりインクに対して高い動圧吸収効果を発揮する構造にすることができる。
また、ダンパー作用室119aと第2室120とを別個に形成しても、これらは主仕切り壁115を共有し且つ平面視で重なるように上下に配置されているから、全体として小型に構成することができる。
さらに、リブ132は、第2室120の底壁側を構成する下ケース123に一体的に設けられているので、単に上ケース122と下ケース123とを上下に重ねて接合するだけで、内部にリブ132を有する第2室120(ダンパー装置101)を容易に形成することができる。
可撓性膜124を下ケース123の下面に貼着する面(封止面)及び可撓性膜136とフィルム材134とを上ケース122の上下面に貼着する面(封止面)は、上下両ケース122、123の合わせ面とほぼ平行な平面にあり、このため、これらの部材の貼着作業が実行し易い。
具体的には、上ケース122の上面では、各ダンパー作用室119b〜119d、各第2凹通路141a〜141d及び各排気通路145a〜145dの外周を画定する突条壁(外周壁)150の上端面(同一平面上に属する、図23のハッチング部参照)に、可撓性膜136を接着もしくは超音波溶着等により接合(封止)している。また、上ケース1122の下面では、各第1凹通路139a〜139dの外周を確定する突条壁151(図27参照)の上端面にフィルム材134を接着もしくは超音波溶着等により接合(封止)する。同じく下ケース1123の下面のうち、ブラックインク用のダンパー作用室119aの外周を画定する外周壁125(図27参照)の上端面に可撓性膜124を接着もしくは超音波溶着等により接合(封止)する。
このように、突条壁(外周壁)150の上端面、突条壁151の上端面及び外周壁125の上端面は、それぞれ上下両ケース122、123の合わせ面と平行な面であるから、 例えば、上下両ケース122、123を合わせ結合した後、各可撓性膜124とフィルム材134とを同時に接着また超音波溶着する作業を行い、両ケース122、123を逆向きにして後可撓性膜136の封止作業を実行するというように封止作業の工程を単純化できる。
次に、第3実施形態におけるヘッドホルダ100に対するダンパー装置101の装着構造について、図19、図24及び図30等を参照しながら説明する。
ヘッドホルダ100の本体部100aは前記ダンパー装置101を上方から挿入できるように、高さ寸法の大きい3方向の側壁100dと、それよりも高さ寸法がやや低い側壁100eとが一体的に形成されたものである。
そして、低い側壁100eの外側には、少なくとも2箇所の固定部(取付腕部)としてのフランジ部160がX方向に適宜隔てられてほぼ水平状に一体的に形成され、各フランジ部160には上下に貫通する取付け孔161が穿設されている。なお、記録ヘッド21は補強フレーム108の下面に接着され、その記録ヘッド21と補強フレーム108のユニットは底板100cの下面に接着剤にて固定されている。
一方、収納部146の外面にはY方向の両端部(弁体57が並ぶ列方向の両端部分)には、断面ほぼT字状の補強用の取付腕部163が一体的に形成されている(図19、図20、図21、図24及び図30を参照)。その各取付腕部163における水平板163aの下面には、熱かしめのためのピン164が一体的に形成されている。
上記の構成により、ダンパー装置101の下ケース123の下面と補強フレーム108の上面との間にシール材110を介在させる。このシール材110には、インク流出口109a〜109dと記録ヘッド21における対応する各インク供給口107とが対向して連通でき、且つ隣接するインク接続口及びインク供給口とが区画(画定)されるように対応する複数の孔が穿設されているものである(図19参照)。
そして、ダンパー装置101をヘッドホルダ100の本体100aの上から挿入する。このとき、排気弁手段102の収納部146が低い側壁100eの外側に位置するようにセットする。これにより、低い側壁100eが排気弁箱部である収納部146と下ケース123との間の間隙162に挿入されることになる。
次いで、シール材110の長手方向両端部に対応する位置で下ケース123に穿設された取付け孔165を介してビス(ネジ)166にて補強フレーム108のネジ孔167に締着固定する(図31参照)。その状態で、収納部146における取付腕部163の水平板163aとヘッドホルダ100におけるフランジ部160とが対面し、ピン164が取付け孔161に嵌まる。各フランジ部160の下面に突出しているピン164をその下端側から図示しない加熱工具で押圧すると、熱可塑性合成樹脂であるピン164は軟化し、図30のような熱カシメ部169となり、固化するとダンパー装置101、排気弁手段102はヘッドホルダ100と一体化して離脱不能に、且つ強固に固定されるのである。
このように、水平板163aとフランジ部160とが、インク接続口とインク供給口との当接面と平行であり、換言するとピン164が取付け孔161に嵌合する方向がインク流出口とインク供給口との対向する方向と一致しているから、ピン164と取付け孔161とによる固定により、シール材110による液密の作用の信頼性を向上させることができる。また、熱カシメすることにより、ネジ締着の場合に比べて固定作業も簡単且つ迅速にでき、しかも離脱不能であるから、内部部品のガタツキもなく、記録ヘッドユニット3′の信頼性も向上する。
前記の取付け状態では、ヘッドホルダ100に収容されたダンパー装置101、記録ヘッド21及びその上面に固定されたフレキシブルフラットケーブル24は、ヘッドホルダ100の四方の周囲が側壁100d、100eで囲まれたことになり、定期的に記録ヘッド21の下面(ノズル面)をワイパで払拭するときやメンテナンス作業、排気作業ときに、記録ヘッド21の下面や収納部146の下面側に付着したインクが側壁100d、100e等からヘッドホルダ100内に侵入せず、電気的短絡事故等を確実に防止できる。
。本発明は、種々の種類のインクジェットプリンタに適用できることはいうまでもない。