JP2005262723A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、インクジェットプリンタに係り、特に、インク供給源から記録ヘッドに至るインク流路の途中にダンパー装置を備えたインクジェットプリンタに関するものである。
従来から、インクジェットプリンタ本体内に固定されたインク供給源から可撓性を有するチューブを介して、移動するキャリッジに搭載された記録ヘッドにインクを供給するチューブ供給形式のインクジェットプリンタが特許文献1や特許文献2等にて知られている。
特許文献1の構成では、複数のノズルの列を上下に列状に並べた記録ヘッドの縦方向の一側面に開口面を有するように、前記各ノズルへのインク流路及び共通インク室(ダンパー作用室)を凹み形成し、この共通インク室に前記全てのインク流路を連通させる一方、前記共通インク室にはプリンタ本体内に固定されたインクタンクから可撓性を有するチューブを介してインクが供給される。そして、前記共通インク室における前記開口面を可撓性膜(吸振膜)にて封止する。
前記インク流路の所定位置であって、記録ヘッドの縦方向の一側面(開口面を有する面)に対峙させて圧電素子からなる振動体を固定し、振動体を駆動させることにより、インク流路内のインクに圧力を与えてノズルからインクを用紙に向かって吐出させるものである。
また、特許文献2の構成では、複数のノズルの列及びインク流路を上下に列状に並べた記録ヘッドの縦方向の表裏両側面にピエゾ素子を固定して、電圧印加にてピエゾ素子に生ずる撓みにてノズルからインクを吐出させる構成であり、固定位置のインクタンクから可撓性を有するチューブを介してインクを導入し、前記記録ヘッドのインク流路にインクを供給するダンパー部材(ダンパー作用室)をキャリッジに搭載させる。このダンパー部材は、縦方向の一側面が開口された第1部材と縦方向の両側面が開口された第2部材との接合面にフイルタが挟持され、前記第2部材の片面(前記フイルタの挟持面と平行状に対峙する外面)は、可撓性フィルムにて封止する。そして、前記第1部材の下部には固定位置のインクタンクに一端を接続した可撓性を有するチューブに連通する供給管接続口を設け、第2部材の下部には、記録ヘッドのインク流路に接続するインク流出口を設けることが開示されている。
これらいずれの先行技術でも、キャリッジの往復移動に伴って、特にリターン時にはインクタンクと記録ヘッドとを接続するチューブ内のインクに慣性力が作用し、記録ヘッド(ノズル)の方向へのインク圧力が不用意に変動するのを、前記ダンパーの可撓性膜(フィルム)の変形により吸収し、ノズルからのインク吐出圧力を均一に維持するようにしている。
しかしながら、前記特許文献1及び2の構成によれば、ダンパー作用室は縦型であり、その縦方向に片面を可撓性膜にて封止しているから、複数色のインクを吐出するために記録ヘッドを複数列配置するときは、各色のインクに対する前記ダンパー作用室を並列状に配置した場合、前記可撓性膜が変位するために隣接するダンパー作用室間に適宜の隙間を有するようにダンパー作用室のためのケースを配置しなければならず、キャリッジ上の装置が大型化になり、且つ部品点数も増加してコストが高くなるという問題があった。
この問題を解決するために、本出願人は、複数色のインクを吐出するために複数のダンパー作用室を有するダンパー装置において、1つの偏平なダンパー作用室を水平状に配置するとともに、残りのダンパー作用室を背の高い細幅に形成して前記偏平なダンパー作用室の上面に並列状に配置し、偏平なダンパー作用室の下面と、並列状に配置された細幅のダンパー作用室の上面をそれぞれ可撓性膜で封止する構造を考えた。これにより、複数色を吐出するインクジェットヘッドにおいて、複数のダンパー作用室を集積して全体としての小型化を図りながら、各インク色毎にインクの圧力変動を吸収することが可能となる。
特開昭63−17056号公報(第1図〜第5図等参照)
特公平7−121583号公報(図2、図3等参照)
しかしながら、このような構造では、水平状に配置された前記ダンパー作用室は、その上面に細幅のダンパー作用室を複数配置するために、偏平形状に形成される必要がある。そのため、この偏平なダンパー作用室の内部では、ダンパー作用室におけるインク流入口からインク流出口に至る最短経路のインクの流れから外れた領域等ではインクの滞留が生じたり、またはインクの流れが安定しないという問題があった。
また、特にチューブ供給形式のインクジェットプリンタでは、チューブ材を透過してインク中に気泡が入り込みやすい。そのため、インクとともに気泡がダンパー作用室に流入した場合に、速やかにインク流出口から気泡を排出できる構造でないと、気泡排出のメンテナンス動作をしても、ダンパー作用室に気泡が残り、記録時のインクの吐出性能に悪影響を及ぼすという問題もあった。
本発明は、上記課題を解消するものであり、ダンパー装置において、インクの圧力変動を吸収するダンパー作用室を効率的に集積し全体としての小型化を図りながら、さらにインクの流れの安定化及び気泡の排出の容易化を実現することのできるインクジェットプリンタを目的とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明のインクジェットプリンタは、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給されるインクを貯えるインク供給源と、このインク供給源から前記記録ヘッドに至るインク流路と、このインク流路の途中に形成されたダンパー装置とを有するインクジェットプリンタにおいて、前記ダンパー装置には、ダンパー作用面を一側に有してそのダンパー作用面に沿って偏平に形成され、且つ前記インク供給源側からのインク流入口と前記記録ヘッド側へのインク流出口とを有するダンパー作用室が備えられ、このダンパー作用室では、前記ダンパー作用面が略水平となるように設けられ、前記インク流入口とインク流出口とが前記ダンパー作用室における略対角位置に配置され、前記ダンパー作用室の室内には、前記略対角方向に延びるリブが突設されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インク流入口及びインク流出口は、いずれも前記ダンパー作用面と対峙する面に配置され、前記リブは、前記ダンパー作用面と対峙する面からダンパー作用面に向かって突設されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給されるインクを貯えるインク供給源と、このインク供給源から前記記録ヘッドに至るインク流路と、このインク流路の途中に形成されたダンパー装置とを有するインクジェットプリンタにおいて、前記ダンパー装置には、ダンパー作用面を一側に有してそのダンパー作用面に沿って偏平に形成され、且つ前記インク供給源側からのインク流入口と前記記録ヘッド側へのインク流出口とを有するダンパー作用室が備えられ、このダンパー作用室は、前記ダンパー作用面が略水平となるように設けられ、前記ダンパー作用面と対峙する面からダンパー作用面に向かって突設されかつ前記インク流入口とインク流出口とに向かう方向に延びるリブが突設されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ブは2本の平行に延びるリブであり、その2本のリブ間の両端に前記インク流入口とインク流出口とが配置されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ブは2本の平行に延びるリブであり、その2本のリブ間の両端に前記インク流入口とインク流出口とが配置されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ダンパー作用面は可撓性膜により形成され、この可撓性膜と前記リブの先端との間には間隙が形成されていることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インク流出口の開口面積は、前記インク流入口の開口面積よりも大きいことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ダンパー装置は、前記インク流出口の下流側に接続して、インクから分離した気泡を貯留するバッファ室を有し、そのバッファ室が前記記録ヘッドへ接続していることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ダンパー装置は、前記インク流出口の下流側に接続して、インクから分離した気泡を貯留するバッファ室を有し、そのバッファ室が前記記録ヘッドへ接続していることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ダンパー装置は、前記ダンパー作用室における、前記ダンパー作用面と対峙する面と周側面とを略剛性のある壁によって構成され、前記リブは前記ダンパー作用面と対峙する面を構成する壁から一体に突出して形成されていることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によると、ダンパー作用室が、ダンパー作用面を一側に有してそのダンパー作用面に沿って偏平に形成されているから、インクの動圧を広い面積で吸収することができる。ダンパー作用室が偏平であっても、インク流入口とインク流出口とが、略対角位置に設けられているため、ダンパー作用室の内部におけるインクの流れが安定化し、その結果、インク及びインクに含まれる気泡が、インク流出口から流出しやすくなる。また、リブによりインク流入口からインク流出口へのインクの流れがさらに安定化する。
請求項2に記載の発明によると、インク流入口がダンパー作用面と対峙する面に形成されているから、インク流入口から流入したインクを直接的にダンパー作用面で受けることができ、インクの動圧を吸収するダンパー効果を効果的に発揮することができる。また、インク流入口、インク流出口及びリブは、同一面(ダンパー作用面と対峙する面)に形成されているから、リブによるインク経路の区画をインク流入口からインク流出口まで連続的に形成することが可能となる。
請求項3に記載の発明によると、ダンパー作用室が、ダンパー作用面を一側に有してそのダンパー作用面に沿って偏平に形成されているから、インクの動圧を広い面積で吸収することができる。また、ダンパー作用室が偏平であっても、インク流入口とインク流出口とに向かう方向に延びるリブが突設されていることで、インク及びインクに含まれる気泡が、インク流出口から流出しやすくなる。
請求項4に記載の発明によると、2本のリブ間の両端に前記インク流入口とインク流出口とが配置されているから、リブ間を通ってインク及びインクに含まれる気泡が、インク流出口から流出しやすくなる。
請求項4に記載の発明によると、2本のリブ間の両端に前記インク流入口とインク流出口とが配置されているから、リブ間を通ってインク及びインクに含まれる気泡が、インク流出口から流出しやすくなる。
請求項5に記載の発明によると、可撓性膜とリブの先端との間に間隙が設けられているから、ダンパー作用室の内部における可撓性膜側は、インクが区画されずに可撓性膜全面に行き渡ることができる。その結果、インク流入口から流入したインクの動圧は、可撓性膜の広い面を全面利用して吸収でき、ダンパー効果を増大させることができる。
請求項6に記載の発明によると、インク流出口はインク流入口よりも大きく開口しているから、インクに含まれる気泡の排出性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明によると、インク流出口からインクとともに流出した気泡を気泡をバッファ室に貯留し、そのバッファ室から記録ヘッドへインクを供給することができる。
請求項7に記載の発明によると、インク流出口からインクとともに流出した気泡を気泡をバッファ室に貯留し、そのバッファ室から記録ヘッドへインクを供給することができる。
請求項8に記載の発明によると、リブはダンパー作用室における、前記ダンパー作用面と対峙する面と周側面とを略剛性のある壁によって構成し、リブを前者の面を構成する壁から一体に突出して形成しているから、簡単な構成で上記作用効果を有するダンパー装置を実現することができる。
次に、本発明を具体化した実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明のインクジェットプリンタは、被記録媒体である用紙にインクを吐出させて記録する記録部1を、本体フレーム( 図示せず)の内部に備えている。このインクジェットプリンタは、例えば、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )のプリンタ機能として適用されるものである。
前記記録部1は、Y方向(用紙搬送方向と直交する方向、主走査方向)に延びる横長の板状のガイドレール2、3に摺動可能に跨って往復移動するキャリッジを構成する記録ヘッドユニット4と、記録ヘッドユニット4を往復移動させるためにX軸方向(用紙搬送方向、副走査方向)の下流側(図1の矢印A方向)に配置されたガイドレール3の上面にそれと平行状に配置されたタイミングベルト8と、そのタイミングベルト8を駆動するCR(キャリッジ)モータ6等を備えている。
記録ヘッドユニット4は、図2及び図3に示すように、略箱状の本体部20aとこの本体部20aから用紙搬送方向下流側(図1の矢印A方向)に突出する連結支持片20bとを備えるヘッドホルダ20と、そのヘッドホルダ20の底板20cの下面側に固定されたインクジェット式の記録ヘッド21と、前記底板20cの上側に固定されたダンパー装置10及び排気弁手段11とを備えている。
ダンパー装置10には、用紙搬送下流側(図1の矢印A方向)に略水平に延び且つ前記連結支持片20bに重ねられて支持される連結片13が設けられており、インク供給管(インクチューブ)14の先端部が接続できるようになっている。このインクジェットプリンタには、フルカラー記録のためのインク供給源として、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(Bk)の個別のインクタンク(図示せず)が、本体フレーム内に静置されており、これらの各インクタンクに、インク供給管14の基端部が接続されている。そして、インクタンクからインク供給管14及びダンパー装置10を介して記録ヘッド21にインクを供給するインク流路が形成されている。この実施形態では、インク色がブラックインク(BK)シアンインク(C)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)の4色であるため、インク供給管14は4本であるが、インク色の種類及びインク供給管の数等は、これに限定するものではない。
また、ダンパー装置10と排気弁手段11の上面、及びダンパー装置10の連結片13の上面は、それぞれ蓋カバー体12、13aで覆われるようになっている(図1参照)。
前記記録ヘッド21の下面にはノズル22が多数設けられており、図8(記録ヘッド21を下面からみた図)において左側からブラックインク(BK)用のノズル列22aと、シアンインク(C)用のノズル列22bと、イエローインク(Y)用のノズル列22cと、マゼンタインク(M)用のノズル列22dとが、キャリッジ5の移動方向(Y方向、主走査方向)と直交する方向に長く形成されている。そして、用紙の上面に対向するように各ノズル22が下向きにて露出している。
前記記録ヘッド21は、特開2002−67312号公報、特開2001−219560号公報などで公知のものと同様に、上面の一側に各インク色毎のインク供給口81を有し、そのインク供給口81から延びる各インク供給チャンネル(マニホールド)を介してそれぞれ多数の圧力室にインクが分配され、各圧力室に対応する圧電素子などのアクチュエータ23の駆動によりノズル22からインクを吐出させるものである。図3に示すように、アクチュエータ23の上面には、そのアクチュエータ23に電圧を印加するフレキシブルフラットケーブル24が固定されている。記録ヘッド21はヘッドホルダ20の底板20cの下面側に取り付けられるが、記録ヘッド21と底板20cとの間には、取り付け時の記録ヘッド21の撓みを防ぐために、補強フレーム83を介在させている。そして、ダンパー装置10のヘッド接続口41(後述する)は底板20cの開口に挿入され、インク供給口81とダンパー装置10のヘッド接続口41とは、補強フレーム83に設けた開口を介し、ゴムパッキン等のシール材82を挟んで連通している。また、記録ヘッド21のノズル面(下面)側には、ノズル面の段差解消用にコの字型のフロントフレーム84も取り付けられる。
次に図3〜図13を用いて、ダンパー装置10の構成について説明する。
ダンパー装置10は、インク色毎に独立した複数のインク溜め室30を、主仕切り壁35、及び主仕切り壁35と交差する副仕切り壁36,37によって区画して備えている。実施形態では、主仕切り壁35の下にブラックインク(BK)用のインク溜め室30の一部であるダンパー作用室31aが配置され、主仕切り壁35の上にブラックインク用のインク溜め室30の他の一部であるバッファ室39、シアンインク用のインク溜め室30b、イエローインク用のインク溜め室30c、及びマゼンタインク用のインク溜め室30dが配置され、全体として上下に2層状に構成されている。
具体的には、ダンパー装置10における本体ケース25は、平面視略長方形で偏平状の上ケース26と、矩形筒状の側壁を外周として有し上下面を開放した略箱状の下ケース27とを備えている。上下のケースは、下ケース27の上面を、上ケース26で覆うように固定される。なお、上ケース26の上面部分の長手方向一端は外方へ延長され、インク供給管14との接続のための前記連結片13となっている。上ケース26及び下ケース27は、共に合成樹脂材料にて射出成形されたものであって剛性を有しており、両ケース26、27の接合部は、超音波溶着等にて液密的に結合されている(図3、図4、図5及び図6参照)。
下ケース27には、その下面にその下面の面積の大部分を開放した開口部が設けられ、その開口部及び下ケース27の上面からそれぞれ平行に間隔を置いた位置に前記主仕切り壁35が形成されている。そして、その下面の開口部は、ダンパー用の可撓性膜(合成樹脂製で空気及び液体非透過性のフィルム)32で封止されている。具体的には、下面の開口部の外周を画定する外周壁33の下端面に、可撓性膜32の外周縁を接着もしくは超音波溶着等により接合する(図9、図11、図12及び図13参照)。
そして、その可撓性膜32と主仕切り壁35との間に、ブラックインク用のインク溜め室30aの一部であるダンパー作用室31aが偏平に形成され、主仕切り壁35と対峙する面、すなわち可撓性膜32で封止されている面がダンパー作用面となっている。また、ダンパー装置10は、図9に示すように、可撓性膜32とヘッドホルダ20の底板20cとの間に、可撓性膜32の変形のための間隙が確保されて固着され、ヘッドホルダ20は、ブラックインク用のダンパー作用室31aのダンパー作用面(可撓性膜32)が略水平となるように設置される。なお、記録ヘッド21のインク供給口81に接続される各ヘッド接続口41a〜41dは、4つのインク供給口81に対向するように、下ケース27の下面に並んで位置し、可撓性膜36よりも下方に延長した位置で、下向きに開口している(図5及び図9参照)。
このブラックインク用のダンパー作用室31aでは、このダンパー作用室31aへのインク流入口53aとこのダンパー作用室31aからのインク流出口42とが、主仕切り壁35に穿設されているが、これらは、平面視略矩形形状を有するダンパー作用室31aにおいて、平面視で略対角となる位置に配置されている。なお、インク流出口42はインク流入口53aよりも開口面積が大きく形成されている(図5、図6及び図11参照)。
また、ダンパー作用室31aの室内にはリブ54が突設され、インクをインク流入口53aからインク流出口42へ案内するインク経路が区画されている。実施形態では、リブ54は、主仕切り壁35の下面に一体的に突設されてダンパー作用室31aの対角方向に延びる2本の平行な直線形状で、この2本のリブ54の間(内側)にインク流入口53aとインク流出口42とが配置されている。このリブ54の垂下長さは、可撓性膜32に達しない程度に形成されているので、リブ54の先端と可撓性膜32との間には間隙が設けられている。そのため、ダンパー作用室31aの天井部となる主仕切り壁35近傍では、天井部から垂下したリブ54に区画されているが、ダンパー作用室31aの底部となる可撓性膜32の近傍では、底部全体にインクが行き渡るようになっている(図12及び図13参照)。
主仕切り壁35の上面には、前記副仕切り壁36、37が、主仕切り壁35と交差して一体的に立ち上がって形成され、下ケース27内の主仕切り壁35よりも上方の部分が、上ケース26と共同して複数のインク溜め室として形成されている。
実施形態では、図4に示すように、2個の副仕切り壁36が相互に間隔をおいて、下ケース27内の全長にわたって延びて配置され、下ケース27の側壁と共同してシアンインク、イエローインク及びマゼンタインク用の3個のインク溜め室30b〜30dを形成している。各副仕切り壁36は、主仕切り壁35の上面から外れた位置においてインク溜め室30b〜30dを各インク色毎のヘッド接続口41b〜41dに連通させている(図9参照)。
一方、副仕切り壁37は、図4に示すように、ヘッド接続口41aの近傍の下ケース27のコーナー部を下ケース27の側壁と共同して平面視略三角形状に区画するように設けられている。そして、副仕切り壁37と下ケース27の側壁との間に、ブラックインク用のインク溜め室30aの一部であるバッファ室39が形成されている。すなわち、ブラックインク用のインク溜め室30aは、主仕切り壁35を境に上下に配置されたダンパー作用室31aとバッファ室39とにより構成されている。そして、図12に示すように、バッファ室39では、主仕切り壁35から外れた位置に設けられたヘッド接続口41aと、主仕切り壁35に穿設された前記インク流出口42とを連通させている。また、このインク流出口42により、主仕切り壁35の下面側に設けられたダンパー作用室31aと、主仕切り壁35の上面側に形成されたバッファ室39とが連通している。そのため、インク流出口42はバッファ室39への流入口となっている。このバッファ室39はその内部に一旦インクを溜めるとともに、インクから分離浮上した気泡を、上ケース26によって構成された天井面61a側に徐々に蓄積するように設けられている。バッファ室39の天井面61aには、上ケース26を貫通する排気口56aが設けられている(図12参照)。
上ケース26には、その上下面に複数の凹部が形成されるとともに、連結片13寄りの位置では下ケース27側へ矩形環状に連続した3個のリブ38が一体的に突出し、このリブ38によって3つの独立した領域が囲み形成されている(図5及び図5参照)。
各リブ38で囲まれた3つの領域は、平面視略矩形状で上下に開放して形成され、上ケース26と下ケース27とを接合する際に、前記領域はそれぞれ下ケース27に形成された3つのインク溜め室30b〜30dの内側に収容される(図9参照)。リブ38の垂下長さは、主仕切り壁35に達しない長さに形成されており、リブ38の先端と各インク溜め室30b〜30dの底部すなわち主仕切り壁35との間に間隙が形成されるように構成されている。そして、このリブ38で囲まれた領域は、シアンインク、イエローインク、及びマゼンタインク用の各インク溜め室30b〜30dにおいて、インクジェットプリンタの使用開始前からあらかじめ一定量の気泡を貯留しておくダンパー作用室31b〜31dとなる。この各ダンパー作用室31b〜31dに貯留されている気泡は、リブ38の垂下によって周囲から分離されているため、後述する排気口56b〜56dから排気されることなく、そのまま一定量(リブ38の垂下長さで規定される量)が確実に貯留され続ける。また、これら3つの領域の上方開放面を共通に封止するため、1枚のダンパー用の可撓性膜(合成樹脂製で空気及び液体非透過性のフィルム)43が、これらの外周を画定する外周壁の上端面に、接着もしくは超音波溶着等により接合されている。
また、シアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用のインク溜め室30b〜30dにおいては、前記ダンパー作用室31b〜31dの下流側(ヘッド接続口41b〜41dに近い側)の領域がそれぞれ、インクから分離浮上した気泡を徐々に蓄積するように設けられた気泡トラップ室60b〜60dとなっている。各気泡トラップ室60b〜60dの天井面61b〜61dは上ケース26により構成されており、天井面61b〜61dに上ケース26を貫通する排気口56b〜56dが形成されている(図6及び図13参照)。
上ケース26は、前述したようにその矢印A方向の端部が連結片13となっているが、この連結片13の一方の側縁側にはX軸方向に並んで、供給管接続口47(実施形態では4個、ブラックインク用、シアンインク用、イエローインク用及びマゼンタインク用の各供給管接続口をそれぞれ47a、47b、47c、47dで示す)が穿設されている(図2、図7、図10及び図12参照)。
これら各供給管接続口47には、各インク色毎の流路を有するジョイント部材45を介して、インク供給管14がそれぞれ接続される。そして、上ケース26及び下ケース27に設けられた通路等を介して、各供給管接続口47が各インク溜め室30に連通している(図4、図5、図6参照)。
この実施形態では、ブラックインク用のインク流路として、図12に示すように、まず連結片13に、供給管接続口47aを一方端に有し且つ連結片13の下面に下向きに開放して直線状に形成された第1凹通路48aと、この第1凹通路48aの他方端にて連結片13の上下面に貫通形成された第1連通孔49aと、この第1連通孔49aを一方端に有し且つ連結片13の上面に上向きに開放してL字状に形成された第2凹通路50aと、この第2凹通路50aの他方端にて上ケース26の上下面に貫通形成された第2連通孔51aとが設けられている。一方、下ケース27には、図4に示すように、マゼンタインク用のインク溜め室30dに隣接し且つヘッド接続口41dから遠い側のコーナ部に、第3連通孔52が貫通形成されている。この第3連通孔52の下側の開口は、前記主仕切り壁35に設けられており、この開口が、前述したブラックインク用のダンパー作用室31aへのインク流入口53aとなる。そして、上ケース26と下ケース27との接合の際に、第3通路孔52の上端面と第2通路孔51aの下端面とが密着して接合され、これにより、ブラックインク用の供給管接続口47aは、ダンパー作用室31a(インク溜め室30a)に接続される。
また、シアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用のインク流路として、図13に示すように、連結片13には、供給管接続口47b〜47dをそれぞれ一方端に有して連結片13の下面に下向きに開放してL字状に形成された第1凹通路48b〜48dと、第1凹通路48b〜48dの他方端にて連結片13の上下面に貫通形成された第1連通孔49b〜49dと、この第1連通孔49b〜49dをそれぞれ一方端に有して連結片13の上面に上向きに開放して形成された第2凹通路50b〜50dと、この第2凹通路50b〜50dのそれぞれの他方端に上ケース26の上下面に貫通形成された第2連通孔51b〜51dとが備えられている。第2連通孔51b〜51dは、前記リブ38に一体的に設けられ、且つリブ38の突出長さよりもわずかに長く下方に突出している。そして、第2連通孔51b〜51dの下側の開口はそれぞれ、インク溜め室30b〜30dへのインク流入口53b〜53dになっている(図5及び図6参照)。これにより、シアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用の各供給管接続口47b〜47dは、それぞれのインク溜め室30b〜30dに接続される。
また、上ケース26には、前述したように、バッファ室39及び気泡トラップ室60b〜60dに連通する排気口56a〜56dが貫通形成されており、各排気口56a〜56dの上端は、上ケース26の上面に互いに独立して凹み形成された複数の排気通路57a〜57dにそれぞれ接続されている。そして、その排気通路57a〜57dは、上ケース26の長手方向と直交する方向に屈曲しながら延びて、その他端が排気弁手段11と接続されている。
なお、連結片13の下面に形成された第1凹通路48a〜48dは、その外周を画定する外周壁の下端に接着もしくは超音波溶着等により接合された1枚のフィルム材44により共通に覆われ、それぞれ流路として形成される。また、第2凹通路50a〜50d及び排気通路57a〜57dは、ダンパー用の可撓性膜43を延長した部分で、同様の手法で共通に覆われ、それぞれ流路として形成される。
次に、排気弁手段11について説明すると、図4(b)及び図5(b)に示すように、下ケース27の一側に一体的に設けられた収納部70には、インク色毎の4つの通路孔71が上下方向に長く且つ上下に開口して形成されている。上ケース26の側縁は、前記収納部70の上端を覆う位置まで延長され、前記排気通路57a〜57dの他端の各開口部58が各通路孔71の上端とそれぞれ個別に連通されている。前記各通路孔71の内部には、図示しない弁体が収納されており、この弁体が通路孔71の下端開口部を開放及び閉塞するように駆動される。キャリッジ5が、インクジェットプリンタにおける図示しないメンテナンスユニットの位置に移動したときには、弁体が駆動されて前記通路孔71の下端開口部が開放され、下端開口部が吸引ポンプにより吸引される。これにより、各インク溜め室30a〜30dの気泡を排気口56a〜56d及び排気通路57を通じて排気することが可能となる。
上記構成によると、まず、図示しないインクタンクのインクがインク供給管14を通って、供給管接続口47からダンパー装置10に供給される。ブラックインクは、図12に示すように、供給管接続口47aから、連結片13の第1凹通路48a及び第2凹通路50aを通って、インク流入口53aから主仕切り壁35の下面側のダンパー作用室31aに流入する。インク流入口53aから流入したインクは、これと対峙する可撓性膜32(ダンパー作用面)に直接当たるが、このとき、ダンパー作用室31aの底部全体にインクが行き渡るため、インクの動圧を広い面積で確実に吸収(ダンピング)する。そして、ブラックインクは気泡とともに、ダンパー作用室31aの天井部から垂下したリブ54により、その流れがインク流出口42に誘導されて、広い開口面積のインク流出口42から速やかに排出される。
インク流出口42から流出したブラックインクは、主仕切り壁35の上側に形成されたバッファ室39に流入する。バッファ室39は、ダンパー作用室31aの上方に配置されているため、気泡は留まることなく浮上してバッファ室39に流入する。バッファ室39では、記録ヘッド21に供給するインクを一旦溜めるとともに、インクから分離浮上した気泡をその天井面61a側に徐々に蓄積する。そして、バッファ室39の底部に設けられたヘッド接続口41aから、記録ヘッド21のブラックインク用のインク供給口81へブラックインクが供給される。
一方、シアンインク、イエローインク、マゼンタインクは、図13に示すように、各供給管接続口47b〜47dからそれぞれ第1凹通路48b〜48d及び第2凹通路50b〜50dを通って、インク流入口53b〜53dからインク溜め室30b〜30dに流入する。インク溜め室30b〜30dでは、その内部における上流側に、あらかじめ一定量の気泡を貯留し且つその天井部が可撓性膜43で覆われているダンパー作用室31b〜31dが配置されているため、流入したインクの動圧を可撓性膜43と気泡とが協働して吸収(ダンピング)する。そして、このインク溜め室30b〜30dに溜まったインクから分離浮上した気泡が、気泡トラップ室60b〜60dに徐々に蓄積される。
そして、キャリッジ5がメンテナンス位置に移動し、気泡除去のメンテナンス動作として、排気弁手段11が吸引ポンプに接続されると、前記バッファ室39及び気泡トラップ室60b〜60dに蓄積された気泡は、それぞれの排気口56a〜56dから、排気通路57a〜57d及び排気弁手段11を通って外部に排気される。
このように、上記構成では、主仕切り壁35の下面側にブラックインク用のダンパー作用室31aを偏平に形成するとともに、上面側にシアンインク用、イエローインク用、及びマゼンタインク用の3つのダンパー作用室31b〜31dを並設し、主仕切り壁35と対峙する上下の面に可撓性膜32、43を配置したから、カラー記録のために複数のダンパー作用室を必要とする場合でも、全体として小型に集積することができる。
そして、偏平に形成せざるを得ないダンパー作用室31aでは、インク流入口53aとインク流出口42とを略対角位置に配置したから、インクの流れが安定化し、ダンパー作用室31a内でのインク及び気泡の滞留を大幅に軽減することができた。
また、このダンパー作用室31aでは、リブ54により、インク流入口53aからインク流出口42へインクを案内するようにインク経路を区画しているから、より速やかにインク及び気泡をインク流出口42から排出できる。特に、気体という特性上、気泡は天井部(鉛直上方)側に浮上するが、案内用のリブ54が天井部に形成されていることにより、気泡をインク流出口42側に確実に案内してダンパー作用室31aから排出し、気泡をバッファ室39に蓄積しやすい構造としている。そのため、メンテナンス等で気泡の排気動作を行う際に、気泡をバッファ室39から確実に除去することができるので、気泡が記録ヘッド21内に混入し吐出性能に悪影響を及ぼすことも回避できる。
1 記録部
4 記録ヘッドユニット
10 ダンパー装置
11 排気弁手段
14 インク供給管
20 ヘッドホルダ
21 記録ヘッド
22 ノズル
23 アクチュエータ
24 フレキシブルフラットケーブル
26 上ケース
27 下ケース
30 インク溜め室
31 ダンパー作用室
32 可撓性膜
35 主仕切り壁
36 副仕切り壁
37 副仕切り壁
38 リブ
39 バッファ室
41 ヘッド接続口
43 可撓性膜
47 供給管接続口
54 リブ
56 排気口
57 排気通路
60 気泡トラップ室
81 インク供給口
4 記録ヘッドユニット
10 ダンパー装置
11 排気弁手段
14 インク供給管
20 ヘッドホルダ
21 記録ヘッド
22 ノズル
23 アクチュエータ
24 フレキシブルフラットケーブル
26 上ケース
27 下ケース
30 インク溜め室
31 ダンパー作用室
32 可撓性膜
35 主仕切り壁
36 副仕切り壁
37 副仕切り壁
38 リブ
39 バッファ室
41 ヘッド接続口
43 可撓性膜
47 供給管接続口
54 リブ
56 排気口
57 排気通路
60 気泡トラップ室
81 インク供給口
Claims (8)
- 被記録媒体に対してインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給されるインクを貯えるインク供給源と、このインク供給源から前記記録ヘッドに至るインク流路と、このインク流路の途中に形成されたダンパー装置とを有するインクジェットプリンタにおいて、
前記ダンパー装置には、ダンパー作用面を一側に有してそのダンパー作用面に沿って偏平に形成され、且つ前記インク供給源側からインクの供給を受けるインク流入口と前記記録ヘッド側へインクを供給するインク流出口とを有するダンパー作用室が備えられ、
このダンパー作用室では、前記ダンパー作用面が略水平となるように設けられ、前記インク流入口とインク流出口とが前記ダンパー作用室における略対角位置に配置され、前記ダンパー作用室の室内には、前記略対角方向に延びるリブが突設されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記インク流入口及びインク流出口は、いずれも前記ダンパー作用面と対峙する面に配置され、前記リブは、前記ダンパー作用面と対峙する面からダンパー作用面に向かって突設されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 被記録媒体に対してインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給されるインクを貯えるインク供給源と、このインク供給源から前記記録ヘッドに至るインク流路と、このインク流路の途中に形成されたダンパー装置とを有するインクジェットプリンタにおいて、
前記ダンパー装置には、ダンパー作用面を一側に有してそのダンパー作用面に沿って偏平に形成され、且つ前記インク供給源側からインクの供給を受けるインク流入口と前記記録ヘッド側へインクを供給するインク流出口とを有するダンパー作用室が備えられ、
このダンパー作用室は、前記ダンパー作用面が略水平となるように設けられ、前記ダンパー作用面と対峙する面からダンパー作用面に向かって突設されかつ前記インク流入口とインク流出口とに向かう方向に延びるリブが突設されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記リブは2本の平行に延びるリブであり、その2本のリブ間の両端に前記インク流入口とインク流出口とが配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
- 前記ダンパー作用面は可撓性膜により形成され、この可撓性膜と前記リブの先端との間には間隙が形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インク流出口の開口面積は、前記インク流入口の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
- 前記ダンパー装置は、前記インク流出口の下流側に接続して、インクから分離した気泡を貯留するバッファ室を有し、そのバッファ室が前記記録ヘッドへ接続していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
- 前記ダンパー装置は、前記ダンパー作用室における、前記ダンパー作用面と対峙する面と周側面とを略剛性のある壁によって構成され、前記リブは前記ダンパー作用面と対峙する面を構成する壁から一体に突出して形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
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