JP2005144929A - 導電性熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

導電性熱可塑性樹脂フィルム Download PDF

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倫成 宮川
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Abstract

【課題】 優れた導電性と水蒸気バリアー性を有した熱可塑性樹脂フィルムを提供する。特に、積層型の電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、コンデンサーセル間の位置的なずれが防止できる熱可塑性樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂に、導電剤を混合してなる導電性熱可塑性樹脂フィルムであって、前記導電性熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも導電性水蒸気バリアー層と導電性粘着層を有し、体積抵抗値が10Ωcm以下であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性及び水蒸気バリアー性に優れ、粘着性を付与した導電性熱可塑性樹脂フィルムに関する。
エレクトロニクス分野において、高分子材料に求められる主要特性は製品や用途によって様々であるが、成形性、耐熱性、耐久性、高導電性、耐蝕性、リサイクル性、電磁波遮蔽性であり、これらの要求を箇々に満足させる樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等に代表される熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリカーボネート等に代表されるエンジニアリングプラスチック等が用いられている。
しかしながら、上記に挙げた各機能を総合的に具備した材料を実現するのは技術的に困難であり、価格面で不利となることが多いという問題があった。そのような技術課題のひとつに導電性があり、更に耐熱性と耐蝕性を兼ね備えた高分子材料の開発が求められている。
上記導電性を有する高分子材料の用途として、電解液を用いる電気二重層コンデンサーがある。この電気二重層コンデンサーでは、より高い出力電圧を得る目的で、複数のコンデンサーセルを、直列や並列にて接続し使用する場合があり、これらコンデンサーセルの複合体全体が有する内部抵抗が大きくなってしまい、低い出力電流しか得られない嫌いがある。このようなことから、個々のコンデンサーセルが有する内部抵抗を出来るだけ小さくすることが望まれている。
そして、個々のコンデンサーセルが有する内部抵抗は、電解液、分極性電極、セル外面に位置する集電体やこれらの界面などによって生じることが知られており、従来、例えば、集電体が有する体積抵抗値を小さくすることで、コンデンサーセルが有する内部抵抗を小さくすることが行われ、この集電体の材料として導電性を有する高分子材料が使用されている。
また、水系電解液を用いる電気二重層コンデンサーにおいては、電解液として一般的に25〜50%程度の硫酸水溶液が使われている。しかし、高温の環境下で使用した場合、電解液である硫酸水溶液中の水分が、集電体を透過し、電解液濃度が変化し、電気二重層コンデンサーの寿命が短くなるという問題があった。
更には、コンデンサーセルを複数個積層する場合、各セル間において集電体同士の接触面で位置的なずれが発生しやすく、結果的に電気二重層コンデンサーの内部抵抗を増加させるという問題があった。
そこで、例えば集電体が有する体積抵抗値を小さくするという課題に対しては、ゴム成分100重量部と導電性カーボン5〜100重量部を有機溶剤中に分散し、剥離可能なフィルム上にバーコーターで流延後、乾燥させ導電性フィルムを作製した場合は、体積抵抗値が0.1〜5.0Ωcmと低くなることが報告されている。(例えば特許文献1参照)
しかしながら、このような導電性フィルムは、
(1)水蒸気が透過しやすい。
(2)フィルムにピンホールが発生しやすい。
(3)コンデンサーセルを複数個積層する場合、それぞれのセル間における集電体同士の接触面で位置的なずれが発生しやすい。
という問題があった。
また、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体樹脂と導電剤と、粘着剤もしくはプロセスオイルとを、有機溶剤に分散混合した溶液を離型性を有する基材に塗布乾燥した後、基材から剥離して作製したフィルムは、分極性電極や電極板との接触抵抗を低減させると報告されている。(例えば特許文献2又は3参照)しかしながら、このような導電性フィルムは、集電体同士の接触面で位置的なずれを起こしにくいものの、
(1)水蒸気が透過しやすい。
(2)フィルムにピンホールが発生しやすい。
という問題があった。
WO97/25738 特開平10−4034号 特開平10−4033号
本発明の目的は、優れた導電性と水蒸気バリアー性を有した熱可塑性樹脂フィルムを提供することにあり、さらに積層型の電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、コンデンサーセル間の位置的なずれが防止できる熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
本発明は上述の問題点を解消できる熱可塑性樹脂フィルムを見出したものであり、その要旨とするところは、熱可塑性樹脂に導電剤を混合してなる導電性水蒸気バリアー層と、粘着性を付与した熱可塑性樹脂に導電剤を混合してなる導電性粘着層とを有し、JIS K−7194に準じて四深針法で測定した体積抵抗値が10Ωcm以下であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂フィルムにある。
また、導電性水蒸気バリアー層のJIS K−7129 B法による水蒸気透過率が、層厚み100μmの時、40℃、90%RH下で、10g/(m・24時間)以下であること、導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置した後の剥離強度が、1〜100N/30mmの範囲であること、更には電気二重層コンデンサー用集電体に用いることが含まれている。
本発明は、熱可塑性樹脂に導電剤を混合してなる導電性水蒸気バリアー層と、粘着性を付与した熱可塑性樹脂に導電剤を混合してなる導電性粘着層とを有し、JIS K−7194に準じて四深針法で測定した体積抵抗値が10Ωcm以下であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂フィルムであるから、優れた導電性を有するばかりでなく、水蒸気バリアー性及び粘着性も有しており、特に電気二重層コンデンサー用集電体への利用性が大きい。
また、導電性水蒸気バリアー層のJIS K−7129 B法による水蒸気透過率が、層厚み100μmの時、40℃、90%RH下で、10g/(m・24時間)以下とすることにより、導電性粘着層と積層した導電性熱可塑性樹脂フィルムの水蒸気バリアー性を有効に向上させる。
さらに、導電性水蒸気バリアー層のJIS K−7194に準じて四深針法で測定した体積抵抗値が、10Ωcm以下とすることにより、導電性粘着層と積層した導電性熱可塑性樹脂フィルムの表裏間の体積抵抗値を有効に低減することができる。
さらに、導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置した後の剥離強度が、1〜100N/30mmの範囲とすることにより、導電性熱可塑性樹脂フィルム同士を重ね合わせたときの滑りが抑制され、取扱性に優れる。
また、電気二重層コンデンサー用集電体に用いた場合には、コンデンサーセルの内部抵抗を引き下げるのに寄与すると共に、コンデンサーセル間の位置的なずれが防止できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂フィルム中の導電性水蒸気バリアー層に使用する熱可塑性樹脂としては特に制限はない。例えば、エチレンを含む単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン(PO)系樹脂又はポリオレフィン系エラストマー、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、SIS等のポリスチレン系樹脂又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等の水素添加されたスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、共重合アクリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(THV)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、等のフッ素系樹脂又はエラストマー、(メタ)アクリレート系樹脂などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の中では、水蒸気バリアー性、耐酸性に優れるポリオレフィン(PO)系樹脂、SEBS、SEPS、SEEPS等の水素添加されたスチレン系エラストマー、又はポリオレフィン系エラストマー、フッ素系樹脂又はフッ素系エラストマーの使用が好ましく、中でもポリプロピレン系エラストマー及びフッ素系エラストマーが特に水蒸気バリアー性、耐酸性に優れ、好ましい。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性水蒸気バリアー層に含まれる導電剤は、天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉、酸性溶液に前述した黒鉛を浸漬させた後、加熱して膨張させた膨張黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックやファーネス法等で作られたカーボンブラック、PAN系、ピッチ系等のカーボン繊維、アーク放電法、レーザ蒸着法、気相成長法等で作られたカーボンナノファイバー、タングステンカーバイト、シリコンカーバイト、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化バナジウムなどの金属炭化物、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化インジウムなどの金属酸化物、窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ガリウム、窒化ニオブ、窒化バナジウム、窒化ホウ素などの金属窒化物、鉄繊維、銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、チタン粉、ニッケル粉、錫紛、タンタル紛、ニオブ粉などの金属粉末が挙げられる。
上記導電剤の中でも特に耐酸性の優れる、黒鉛粉、カーボンブラック及びカーボンナノファイバーの使用が好ましい。
上記カーボンナノファイバーの繊維径は0.0035〜0.5μm、好ましくは0.08〜0.2μmの範囲が良く、繊維長は0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲が導電性に優れ好ましい。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性水蒸気バリアー層の熱可塑性樹脂と導電剤との体積比率は、特に制限はないが、40/60〜90/10の範囲が良い。熱可塑性樹脂と導電剤との体積比率が40/60未満では、導電剤の割合が多いため、樹脂の流動性が悪く薄膜化が困難であり、また導電性性樹脂フィルムが脆くなりやすい。また、熱可塑性樹脂と導電剤との体積比率が90/10を越えると導電剤の割合が少ないため、導電性に劣るという問題が発生しやすい。
導電性水蒸気バリアー層のJIS K−7129 B法による水蒸気透過率は、層厚み100μmの時、40℃、90%RH下で、10g/(m・day)以下、好ましくは8g/(m・day)以下にするのが良い。導電性熱可塑性樹脂フィルムを水系電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、水蒸気透過率が10g/(m・day)を越えると、電解液として使用されている硫酸水溶液中の水分が集電体を透過しやすくなり、電解液濃度が変化し、電気二重層コンデンサーの寿命が短くなるという問題が発生しやすい。
また、導電性水蒸気バリアー層の製法としては、熱可塑性樹脂と導電剤を有機溶剤に分散混合した溶液を、離型性を有する基材に塗布乾燥した後、基材から剥離して作製する製法は好ましくなく、押出成形法やロール成形法など熱可塑性樹脂を加熱溶融させて成形する方法が好ましい。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性粘着層は粘着性を付与されていればよいが、その基体に使用する熱可塑性樹脂は、耐酸性を有し、有機溶剤に可溶な樹脂が好ましく、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、SIS等のポリスチレン系樹脂又はSEBS、SEPS、SEEPS等の水素添加されたスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の中では、有機溶剤への溶解性、耐酸性に優れ、粘着性が発現しやすい、SEBS、SEPS、SEEPS等の水素添加されたスチレン系エラストマーの使用が好ましい。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性粘着層に含まれる導電剤は、天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉、酸性溶液に前述した黒鉛を浸漬させた後、加熱して膨張させた膨張黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックやファーネス法等で作られたカーボンブラック、PAN系、ピッチ系等のカーボン繊維、アーク放電法、レーザ蒸着法、気相成長法等で作られたカーボンナノファイバーが挙げられる。
上記導電剤の中でも特に耐酸性が優れ、少量の添加で導電性が発現するカーボンブラック及びカーボンナノファイバーの使用が好ましい。
上記カーボンナノファイバーの繊維径は0.0035〜0.5μm、好ましくは0.08〜0.2μmの範囲が良く、繊維長は0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲が導電性に優れ好ましい。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性粘着層には、粘着性を発現させるために、粘着付与剤を添加するのが好ましい。添加する粘着付与剤としては例えば、ロジン系、水添ロジン系、水添ロジンエステル系、テルペン系、水添テルペン系、テルペン−フェノール系、石油樹脂系、水添石油樹脂系、スチレン系、イソプレン系、などがあり、1種又は複数種の粘着付与剤の使用が可能である。
導電性粘着層は、導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置した後の剥離強度が0.1〜100N/30mmの範囲、好ましくは1〜30N/30mmの範囲が良い。剥離強度が0.1N/30mm未満では、電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、それぞれのコンデンサーセル間で位置的なずれが生じやすく、電気二重層コンデンサーの内部抵抗を増加させるという問題が発生しやすい。また、剥離強度が100N/30mmを越えると粘着性が強すぎて取り扱いにくいという問題が生じやすい。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性粘着層中の熱可塑性樹脂と粘着付与剤及び導電剤比率は、導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置した後の剥離強度が0.1〜100N/30mmの範囲になるように適意配合すれば良いが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、粘着付与剤が50〜300重量部の範囲、好ましくは100〜200重量部が良い。熱可塑性樹脂100重量部に対して、粘着付与剤が50重量部未満では、粘着性は発現しにくく、粘着付与剤が300重量部を越えると粘着付与剤量が多過ぎて、逆に粘着性が発現しにくくなり、また導電性粘着層も成形しにくくなる。
また、熱可塑性樹脂フィルム中の導電性粘着層中の熱可塑性樹脂と粘着付与剤の合計100重量部に対して、導電剤は、1〜40重量部、好ましくは3〜20重量部が良い。熱可塑性樹脂と粘着付与剤の合計100重量部に対して、導電剤が1重量部未満では、熱可塑性樹脂フィルムの抵抗値が大きく、電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、電気二重層コンデンサーの内部抵抗が増加しやすい。また、熱可塑性樹脂と粘着付与剤の合計100重量部に対して、導電剤が40重量部を越えると、粘着性が発現しにくくなる。
熱可塑性樹脂フィルム中の導電性粘着層の製法は、熱可塑性樹脂と粘着付与剤と導電剤を溶媒中に溶解、分散させてなる液状組成物を、支持体の平滑面に塗工し、乾燥させて、支持体上に導電性粘着層を形成した後、予め形成しておいた導電性水蒸気バリアー層の少なくとも片面に、導電性水蒸気バリアー層と導電性粘着層が向き合うように配置し、熱圧着法等により、導電性水蒸気バリアー層と導電性粘着層を一体化した後、支持体を剥離する方法が好ましい。
上記支持体としては、公知の各種フィルムを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン等のフィルムが挙げられ、必要に応じて、これらのフィルム表面をシリコーン等で離型処理しても良い。なかでも、シリコーンで離型処理されたポリプロピレンフィルム及びポリエステルフィルムが、剥離容易性などの点から好ましい。
また、上記支持体の厚みは、5〜500μm、好ましくは10〜300μmの範囲であり、5μm未満では基材フィルムとして充分な強度が得られず皺が入りやすくなり、500μmを越えると腰が強くなりすぎて、取り扱いにくく作業性が悪いという問題がある。
熱可塑性樹脂フィルムの体積抵抗値は、JIS K 7194 に準じて求めた体積抵抗値が10Ωcm以下、好ましくは5Ωcm以下、更に好ましくは3Ωcm以下が良い。熱可塑性樹脂フィルムの体積抵抗値が10Ωcmを越えると、電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、電気二重層コンデンサーの内部抵抗が増加しやすい。
本発明の導電性熱可塑性樹脂フィルムの用途は、導電性に優れているため、蓄電デバイスや発電機等の部材として使用した場合、その内部抵抗を小さくすることができる。また、水蒸気バリアー性にも優れるため、水系電解液を用いる電気二重層コンデンサーの集電体として使用でき、特に積層型の電気二重層コンデンサー用集電体として使用した場合、コンデンサーセル間の位置的なずれが防止でき、その内部抵抗を格段に小さくすることができる。
以下、実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(導電性水蒸気バリアー層の作製)
熱可塑性樹脂と導電剤とを表1のバリアー層1〜7に記載の割合で2軸押出機(押出機温度230℃)にて混合した。
作成した混合物を、単軸押出機(押出機温度230℃)にて口金から押出して、バリアー層1〜7に記載の導電性水蒸気バリアー層を作成した。
得られた導電性水蒸気バリアー層の厚みはいずれも100μmであり、フィルムの体積抵抗値及び水蒸気透過率を表1のバリアー層1〜7に示した。
尚、表1記載の熱可塑性樹脂及び導電剤は以下のものを使用した。
1.ポリオレフィン系エラストマー
「出光興産(株)」製 M142E 比重0.88
2.スチレン系エラストマー
「(株)クラレ」製 セプトン2002 比重0.91
3.カーボンブラック
「ライオン(株)」製 ケッチェンブラックEC600JD 比重1.5
4. 人造黒鉛粉
「昭和電工(株)」製 UFG−30 比重2.2
5. カーボンナノファイバー
「昭和電工(株)」製 VGCF 比重2
(導電性粘着層の作製)
SEPS(「(株)クラレ」製 セプトン2063 比重0.88)とカーボンブラック(「ライオン(株)」製 ケッチェンブラックEC600JD 比重1.5)と粘着付与剤(「荒川化学工業(株)」製 アルコンP−100 比重0.9)をSEPS100重量部に対して、アルコンP−100を150重量部、カーボンブラックを17重量部の割合で、固形分濃度15重量%になるように、それぞれシクロヘキサンに分散し、分散液を作製した。
この分散液を基材フィルム(離型処理されたポリプロピレンフィルム:厚み50μm)上にバーコータ(「松尾産業製」#24番)で塗布し、80℃で乾燥し、基材フィルム−導電性粘着層1複合体を得た。
得られた基材フィルム−導電性粘着層1複合体から導電性粘着層1を剥離し、厚みと体積抵抗値を測定した結果、導電性粘着層1の厚みは5μmであり、フィルムの体積抵抗値は表1の粘着層1及び2に示した。
Figure 2005144929
(実施例1〜6)
(導電性熱可塑性樹脂フィルムの作製)
表1のバリアー層1〜6で示される導電性水蒸気バリアー層と、表1の粘着層1で示される導電性粘着層を、表2の実施例1〜6に記載の組み合わせで、基材フィルム/導電性粘着層/水蒸気バリアー層の順に配置し、熱プレスにて一体化し、基材フィルムを剥離し、表2の実施例1〜6に記載の導電性熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
熱プレス法の条件は、加熱温度80℃、圧力4.9×10Pa(50kgf/cm)であった。
得られた導電性熱可塑性樹脂フィルムの厚みはいずれも103〜105μmの範囲であり、導電性粘着層側から測定した体積抵抗値及び導電性粘着層表面と導電性水蒸気バリアー層の表面との間で測定した表裏体積抵抗値、導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置した後の剥離強度を表2の実施例1〜6に示した。
(比較例1)
表1にバリアー層7で示される導電性水蒸気バリアー層と、表1の粘着層1で示される導電性粘着層を実施例1と同様にして一体化し、表2の比較例1に記載の導電性熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
得られた導電性熱可塑性樹脂フィルムの厚みは105μmであり、導電性粘着層側から測定した体積抵抗値及び厚み方向への体積抵抗値、導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置した後の剥離強度を表2の比較例1に示した。
(比較例2)
表1のバリアー層1に示される厚さ100μの導電性水蒸気バリアー層を単層のまま、及び厚み方向への体積抵抗値、導電性水蒸気バリアー層2枚を互いに向き合うように配置した後の剥離強度を測定した結果を表2の比較例2に示した。
(比較例3)
表1の粘着層2で示される厚さ100μの導電性フィルムを単層のまま、その厚み方向への体積抵抗値及び導電性フィルム2枚を互いに向き合うように配置した後の剥離強度を測定した結果を表2の比較例3に示した。
(水蒸気透過率の測定法)
本発明における水蒸気透過率は、JIS K−7129 B法に準じ、40℃、90%RH下で、PERMATRAN W 3/31(米国 MOCON社製)を用いて測定した。単位はg/m2/24時間で表した。
(体積抵抗値の測定)
本発明における体積抵抗値は、JIS K 7194に準じて、以下のように行い、単位はΩcmで表した。
1. 測定装置
Loresta HP (三菱化学(株)製)
2. 測定条件
方法:四端子四探針法(ASPタイププローブ)
印可電流:100mA
3. 測定方法
図1に模式的に示した測定状態により測定した。
4. 体積抵抗算出方法
上記方法で測定された抵抗値R(Ω)及びサンプル2の厚みt(cm)から厚み方向への体積抵抗値は
体積抵抗値(Ωcm)=R×t×補正係数
で算出した。
(厚み方向への体積抵抗値の測定)
フィルムの厚み方向への体積抵抗値は以下の方法で評価した。
1. 測定装置
抵抗計:YMR−3型((株)山崎精機研究所社製)
負荷装置:YSR−8型((株)山崎精機研究所社製)
電極:真鍮製平板2枚(面積6.45cm、鏡面仕上げ、表面金メッキ)
2. 測定条件
方法:4端子法
印加電流:10mA(交流、287Hz)
開放端子電圧:20mVピーク以下
荷重:1.8MPa(18.6kgf/cm
3.測定方法
図2に模式的に示した測定状態により測定した。
4.厚み方向への体積抵抗値出方法
上記方法で測定された抵抗値R(Ω)と電極1の面積(6.45cm)及びサンプル2の厚みt(cm)から厚み方向への体積抵抗値は
厚み方向への体積抵抗値(Ωcm)=R×(6.45cm/t)
で算出した。
(剥離強度の測定)
本発明における剥離強度は、熱可塑性樹脂フィルム各々2枚を導電性粘着層が互いに(比較例2は導電性水蒸気バリアー層同士が)向き合うように配置し、温度25℃で圧力8.4×10Pa(8.6kgf/cm)の圧力で各々のシートを貼り合わせ、引っ張り試験機((株)インテスコ社製:恒温槽付き材料試験器201X)にて剥離強度を測定した。測定条件は、貼り合わせたサンプル30mm幅のものを使用し、温度25℃でT型剥離、剥離速度40mm/分にて実施した。単位はN/30mm。
Figure 2005144929
表2の実施例1〜6に示す通り、体積抵抗値が0.6〜2.6Ωcmと10Ωcm以下の本発明の導電性熱可塑性樹脂フィルムは、厚み方向の体積抵抗値が 9.6〜40Ωcmと低く、水蒸気バリアー性が1.1〜4.2g/m2/24時間と優れ、さらに剥離強度は2〜23N/30mmと優れた特性を示している。
これに対し表2の比較例1に示す導電性熱可塑性樹脂フィルムは、体積抵抗値が17Ωcmと大きいため、厚み方向の体積抵抗値が280Ωcmと大きくなり、実施例に比較して劣っている。
また、比較例2に示す導電性水蒸気バリアー層単層のものは、水蒸気バリアー性及び厚み方向への体積抵抗値に優れるものの、剥離強度が0.01N/30mm以下と小さく、コンデンサーセル同士がずれを生じやすい。
また、比較例3に示す導電性粘着層単層のものは、粘着性に優れるものの、水蒸気透過率が32g/m2/24時間と極めて大きいことが分かる。
また、表1のバリアー層1〜6に示す体積抵抗値が0.6〜2.6Ωcmの導電性水蒸気バリアー層を用いると、導電性熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向への体積抵抗値も9.6〜40Ωcmと低く、導電性に優れている。
これに対し、表1のバリアー層7に示される体積抵抗値が15Ωcmと大きい導電性水蒸気バリアー層を用いると、厚み方向の体積抵抗値が280Ωcm と大きく導電性に劣っている。
体積抵抗値を測定する状態を模式的に示した側断面図である。 厚み方向の体積抵抗値を測定する状態を模式的に示した側断面図である。
符号の説明
1 電極
2 サンプル

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂に導電剤を混合してなる導電性水蒸気バリアー層と、粘着性を付与した熱可塑性樹脂に導電剤を混合してなる導電性粘着層とを有し、JIS K−7194に準じて四深針法で測定した体積抵抗値が10Ωcm以下であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 導電性水蒸気バリアー層のJIS K−7129 B法による水蒸気透過率が、層厚み100μmの時、40℃、90%RH下で、10g/(m・24時間)以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 導電性水蒸気バリアー層のJIS K−7194に準じて四深針法で測定した体積抵抗値が、10Ωcm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 導電性熱可塑性樹脂フィルム2枚を導電性粘着層が互いに向き合うように配置し、加圧して貼り合わせた後の剥離強度が、1〜100N/30mmの範囲であることを特長とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 電気二重層コンデンサー用集電体に用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008207404A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 導電性フィルムおよび前記フィルムを有する複合フィルム
JP2008311054A (ja) * 2007-06-14 2008-12-25 Ulvac Japan Ltd 触媒材料及びその作製方法
JP2012020458A (ja) * 2010-07-14 2012-02-02 Mitsubishi Plastics Inc 積層樹脂成形体

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