JP2005144867A - 繊維強化無機成形シートおよびその製造方法 - Google Patents

繊維強化無機成形シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 リン酸金属塩とその硬化剤および電導性材料を含む無機マトリックスをガラス繊維不織布で補強した無機成形シートの質量ばらつきを小さくし、薄くて軽量でかつ機械的強度の大きい、電波吸収性を有する無機成形シートを得る。
【解決手段】 リン酸金属塩100質量部と硬化剤80〜200質量部とを含む無機マトリックスに、更に導電性材料を無機マトリックスの固形分中に2〜10質量%含有した無機マトリックスを、目付量30〜150g/m2のガラス繊維ペーパー3で補強した繊維強化無機成形シート1であって、該シートは前記ガラス繊維ペーパーに無機マトリックスを含浸して得られるプリプレグシート2を複数枚積層した構造を有し、かつ積層形成したシートの厚さが1〜10mmであることを特徴する。

Description

本発明は、難燃性、耐水性や耐熱性が良好で高強度を有するとともに電波吸収特性を有し、建築物や車両等の電波吸収用材料等として好適する無機質系成形シートおよびその製造方法に関する。
従来、難燃性や耐熱性が要求される建築用および産業用の電波吸収用材料として、導電性収材が添加された無機質マトリックス(以下、マトリックスともいう)を無機繊維で補強した複合製品が知られている。例えば、特開2002−292770号公報には、炭素粉や金属粉等の導電性材料を電波吸収材として添加した無機粒子および無機バインダーを主成分とするマトリックスを、無機繊維の織布または不織布からなる骨格基材に含浸塗布し、これを積層してシート状の複合体とし、更にこの複合体をオーブンで乾燥させてなる、電波吸収材料が記載されている。そして、無機繊維の一つとして面密度(目付量)が0.2g/cmのガラス繊維織布が例示されており、またマトリックス中に導電性収材を15〜40質量%の範囲で添加することが記載されている。さらに、マトリックスを構成する無機粒子として、ガラス粒子、シリカ粒子等が開示され、また無機バインダーとして、水酸化アルミニウム、燐酸アルミニウム等が開示されている。
このような複合製品からなるシートや板材等(以下、シートとする)は、構造材を構成する骨格基材とマトリックスが無機質材料によって形成されているので、難燃性(不燃性)、耐熱性に優れており、更に高い強度を有している。また、この複合製品を構成するマトリックス中に、前記したような電波吸収材を添加しているので、このような難燃性や強度を維持したまま所望の電波吸収性を持っているとされている。
特開2002−292770号公報
かかる特開2002−292770号公報の複合製品では、骨格基材を構成する無機繊維として、目付量0.2g/cm2の比較的大きい目付量のガラス繊維クロス(織布)が使用されている。このため、このような織布や不織布(以下、織布等とする)に無機マトリックスを含浸させる場合に、織布等が高目付量であるために含浸しにくくなるとともに乾燥時間が長くなり、成形されたシートの品質が低下するばかりでなく生産効率が悪くなる。さらに、高目付量の織布は比較的質量のばらつき(以下、質量ばらつきとする)が大きいうえに、前記したように無機マトリックスが含浸しにくくその含浸が不均一になる。そのため、織布等に無機マトリックスを含浸して得られるプリプレグシートの質量ばらつきが大きくなり、無機マトリックスと一緒に織布等に含浸された電波吸収材の含浸量分布にも大きいばらつきが生じる。
その結果、このようなプリプレグシートから成形したシートも、必然的に質量ばらつきおよび電波吸収材のばらつきが大きくなり、強度や電波吸収特性の品質面で劣るという問題があった。
また、特開2002−292770号公報の電波吸収材料では、所望の電波吸収特性を有するシートを得るために、無機マトリックス中に電波吸収材を15〜40質量%の範囲で添加しているが、このように無機マトリックスにおける電波吸収材の割合が大きくなると、シートの強度がその分だけ低下するほかに、硬化した無機マトリックスが脆くなってひび割れなどをおこして、電波吸収材の脱落を引き起こすなどの問題があった。
したがって、本発明の目的は、導電性材料を添加した無機質系材料をガラス繊維不織布で補強した軽量でしかも高強度であり、優れた電波吸収特性、耐熱性、難燃性、耐水性、寸法安定性を有する無機質成形シートを提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために、リン酸金属塩をガラス繊維不織布で補強した、電波吸収性の繊維強化無機成形シートの均質化について、種々検討した結果、目付量が従来のものより小さいガラス繊維不織布に、リン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含む無機マトリックスを含浸させてプリプレグシートを形成し、このプリプレグシートを複数枚積層して加熱し加圧成形することによって、質量ばらつきの小さい電波吸収性の繊維強化無機成形シートが得られることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は以下の繊維強化無機成形シートとその製造方法および繊維強化無機成形シート用プリプレグを提供する。
(1)無機マトリックスを含浸した複数枚のガラス繊維不織布を積層成形した無機成形シートであって、前記無機マトリックスがリン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含有しており、前記リン酸金属塩と前記硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対して硬化剤が80〜200質量部であり、前記導電性材料が前記無機マトリックスの固形分中に2〜10質量%含有しており、かつ前記ガラス繊維不織布の目付量が30〜200g/m2であることを特徴とする繊維強化無機成形シート。
(2)前記導電性材料がカーボンブラック、グラファイトなどの炭素の粉粒体、炭素繊維、金属繊維、金属を被覆した粉粒体あるいは繊維の中から選ばれる少なくとも1種からなる上記(1)の繊維強化無機成形シート。
(3)前記無機成形シートの厚さが1〜10mmである上記(1)または(2)の繊維強化無機成形シート。
(4)前記無機マトリックスとガラス繊維不織布の割合が、無機マトリックス100質量部に対し、ガラス繊維不織布5〜100質量部である上記(1)〜(3)のいずれかの繊維強化無機成形シート。
(5)前記ガラス繊維不織布の全量に対し5〜20質量%の有機質バインダーを含有している上記(1)〜(4)のいずれかの繊維強化無機成形シート。
(6)前記有機質バインダーがポリメタクリル酸メチルまたはエポキシ樹脂である上記(5)の繊維強化無機成形シート。
(7)前記繊維強化無機成形シートにおける25cm2当たりのJIS Z8101に規定する変動係数(CV値)が2%以下である上記(1)〜(6)のいずれかの繊維強化無機成形シート。
(8)リン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含有しており、前記リン酸金属塩と前記硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対して硬化剤が80〜200質量部であり、前記導電性材料が前記無機マトリックス中の固形分中に2〜10質量%含有している無機マトリックスを、目付量30〜200g/m2のガラス繊維不織布に含浸させてプリプレグシートを作成し、該プリプレグシートを複数枚積層して加熱し加圧成形することを特徴とする繊維強化無機成形シートの製造方法。
(9)リン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含有しており、前記リン酸金属塩と前記硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対して硬化剤が80〜200質量部であり、前記導電性材料が前記無機マトリックス中の固形分中に2〜10質量%含有している無機マトリックスを、目付量30〜200g/m2のガラス繊維不織布に含浸させたプリプレグシートであって、該プリプレグシートにおける25cm2当たりのJIS Z8101に規定する変動係数(CV値)が2%以下であることを特徴とする繊維強化無機成形シート用プリプレグシート。
本発明の繊維強化無機成形シートは、目付量のCV値が小さいガラス繊維不織布に、導電性材料を含有する無機マトリックスを含浸させたプリプレグシートを複数枚積層して加圧成形したものであるので、質量ばらつきが小さく高い均質性と電波吸収特性を有している。また、このような積層構造と高い均質性によって機械的強度が優れているとともに、耐水性、耐熱性、難燃性、耐熱衝撃性および寸法安定性を有している。
つまり、本発明は、目付量のCV値が小さいガラス繊維不織布を使用することにより、質量ばらつきの小さい無機成形シートを得ることができるので、該無機成形シート内の導電性材料のばらつきを小さくできる。これにより、導電性材料の添加量を減らしても所望の電波吸収特性を得ることが可能となり、これまでの無機成形品としての特性に加えて、高強度と寸法安定性を兼ね備えた電波吸収性の無機成形シートを得ることができる。
この無機成形シートは、破損を生じることなく釘打ちやビス留めすることができ、建築用および車両などの産業用の電波吸収用内外装材として、あるいは各種成形品等を面材または心材として補強する電波吸収用部材もしくは電波吸収性の産業用資材等として好適している。
本発明の繊維強化無機成形シート(以下、単に無機成形シートともいう)は、導電性材料を含有し、リン酸金属塩を硬化剤との反応により硬化した無機マトリックスが、複数枚または複数層のガラス繊維不織布で補強されている。ここでリン酸金属塩としては、第一リン酸金属塩、第二リン酸金属塩、第三リン酸金属塩が挙げられ、なかでも第一リン酸金属塩が硬化剤との反応性が良好であるため好ましい。
リン酸金属塩の金属としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ナトリウムなどが好ましく、特にアルミニウムが無機成形シートの機械的強度が向上するので好適である。リン酸金属塩の好ましい具体例としては、第一リン酸アルミニウムが挙げられ、第一リン酸アルミニウムは水に対する溶解性がよく、220℃前後の加熱で相転換し、耐水性の大きい無機成形シートが得られる。第一リン酸アルミニウムは、水溶液の形態のものだけでなく、固形状のものも使用できる。固形状のものを用いると、後に記載するように硬化前におけるプリプレグシートの水分の制御が容易である。
本発明で使用される前記リン酸金属塩は、40〜90質量%の水溶液の形態で用いることが好ましく、なかでも成形加工時の流動性と硬化後の無機マトリックスを緻密にするという観点から、50〜70質量%の水溶液の形態で用いることが好ましい。
リン酸金属塩の硬化剤としては、金属水酸化物、塩基性金属酸化物および塩基性金属酸化物を含む複合酸化物からなる群より選ばれる、少なくとも1種の使用が好ましい。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが好ましい。塩基性金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウムなどが好ましい。更に、塩基性金属酸化物を含む複合酸化物としては、珪酸カルシウム、珪灰石(ウォラストナイト)、アルミン酸カルシウム(アルミナセメント)、カオリナイト、コーデイエライト(2MgO・2Al23・5SiO2)、マグネサイト、タルクなどが好ましい。
リン酸金属塩の硬化剤は、上記したものの1種または2種以上を組合せて使用することができる。なかでも、リン酸金属塩と反応して強固な結合を形成するため、珪酸カルシウム、ウォラストナイト、水酸化アルミニウム、または酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
本発明における無機マトリックスを形成する場合、前記リン酸金属塩の一部としてメタリン酸金属塩を使用することができる。メタリン酸金属塩は、前記リン酸金属塩の2〜40質量%の相当分を使用するのが好ましい。メタリン酸金属塩は、成形時に優れた可塑化性を付与し、また硬化反応を促進させるため、硬化温度を比較的低く抑えることができる。メタリン酸金属塩としては、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸アンモニウムなどが好ましく、なかでもメタリン酸ナトリウムが好適である。
上記リン酸金属塩の硬化剤は、リン酸金属塩(固形分として)100質量部に対して、好ましくは80〜200質量部使用される。硬化剤の使用量が、リン酸金属塩100質量部に対して、80質量部未満では、加熱硬化後の最終製品にリン酸金属塩が残存し、充分な機械的強度が得られないばかりか、耐水性を損なう場合がある。逆に、硬化剤量が200質量部を超えると、硬化剤に対して、リン酸金属塩が相対的に少なくなり、最終製品の組織が粗になり、充分な機械的強度が得られない。より好ましくは、リン酸金属塩100質量部に対して、前記硬化剤を100〜180質量部使用する。
また、本発明で使用されるリン酸金属塩の硬化剤は、その粒子径が5μm以下のものが30〜90質量%含まれることが好ましい。粒子径が5μm以下のもの、30質量%未満であると、得られる無機マトリックス同志の接着力に欠け、充分な機械的強度が得られにくくなる。また、90質量%を超えると、加熱硬化の際に無機マトリックスが膨脹したり、クラックが発生する場合がある。
さらに、上記硬化剤の粒子径が5μm以下のもののうち、粒子径が1μm以下のものが、5〜20質量%含まれることがより好ましい。また、上記硬化剤の粒子径が5μm以下のもの以外の粒子径については特に限定はない。しかし、粒子径がかなり大きなもの、例えば、50μm以上のものを多く含むときは、粒子径5μm以下のものを多目に使用する必要があるが、使用する硬化剤全体の粒子径により適宜最適化を図る。
本発明における前記導電性材料としては、導電性を有する炭素または金属などを含有する粉粒状または繊維状の材料を用いる。例えば、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素の粉粒体、炭素繊維、金属繊維、金属を被覆した粉粒体あるいは繊維などから選択される少なくとも1種を使用することができる。通常これらの材料はそれぞれ単独で使用するが、2種以上を併用してもよい。炭素繊維としてはピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、気相法炭素繊維などが挙げられる。金属繊維としては、ステンレス鋼、銅、ニッケルなどが挙げられ、金属繊維は単独でまたは2種以上を混合して使用してもよく、さらに合金として用いることもできる。金属を被覆した粉粒体あるいは繊維としては、ニッケル、銅、銀、金、白金などの金属を単独または2種以上を混合して、粉粒体あるいは繊維に被覆したものが挙げられる。金属を被覆する粉粒体あるいは繊維の基材としては、金属を被覆することが可能な基材であればよく、たとえば、金属、ガラス、プラスチック、有機物などの粉粒体あるいは繊維が挙げられる。これら導電性材料の中でも、カーボンブラックが無機マトリックス中への分散性、電波吸収性、低価格などの点で好ましい。
本発明に用いられる導電性材料の大きさは特に限定されないが、その添加量を減少しながら所望の電波吸収性能を得るうえで、できだけ微細なものが好ましい。例えば、導電性材料がカーボンブラック、グラファイトなどの粉粒体の場合、その粒子径としては、100μm以下のものが好ましく、40μm以下のものがより好ましい。粒子径が100μmより大きいと、無機マトリックス中に分散させた導電性材料をガラス繊維不織布に均一に含浸塗布させ難くなる。粒子径が20μmより小さいと無機マトリックスの粘性が著しく高くなり、ガラス繊維不織布に均一に含浸塗布させることが難しくなる。導電性材料がガラス繊維不織布に均一に含浸されていないと、該ガラス繊維不織布を用いて成形した無機成形シートの電波吸収特性にばらつきが生じ電波吸収性能が低下するために、所望の性能が得られなくおそれがある。
本発明における無機マトリックスを形成する場合、導電性材料は無機マトリックスの全固形分中に2〜10質量%、好ましくは3〜8質量%含有される。導電性材料の含有量が、無機マトリックスの全固形分に対して2質量%未満では、特に無機成形シートにおいて所定の電波吸収性能が得られない場合がある。一方、導電性材料の含有量が10質量%を超えると、電波吸収性能は向上するが、無機マトリックスにおけるリン酸金属塩およびその硬化剤の割合が導電性材料の添加により相対的に減少するために、無機マトリックスが硬化し難くなり、無機成形シートの機械的強度が低下する場合がある。さらに無機成形シートの機械的強度が低下することにより、該シートから導電性材料が剥離などにより脱落する場合があり、その結果として電波吸収性能が低下するおそれがある。なお、導電性材料は、無機マトリックスに混合撹拌して使用することができる。
本発明におけるガラス繊維としては、一般のガラス繊維が広く使用できる。なかでも、コストが安く、汎用されているEガラス組成のガラス繊維を用いることが好ましい。ガラス繊維を構成するモノフィラメントの直径は7〜15μmであることが好ましく、9〜13μmであることがより好ましい。モノフィラメントの直径が7μm未満であると酸性分や熱に対して劣化し易くなる上に、ガラス繊維の表面積が増加し、集束剤の量を多くする必要があり不経済である。モノフィラメントの直径が15μmを超えると酸性分や熱による無機成形シートの機械的強度の低下割合は少なくなるもののガラス繊維が固くなり、分散の安定性が悪くなるとともに、成形性、表面性が悪くなるため好ましくない。
本発明において使用されるガラス繊維の形態は、ガラス繊維の不織布すなわちガラス繊維不織布として使用される。ここで、ガラス繊維不織布は、所望の長さのガラス繊維を湿式法または乾式法でペーパー状もしくはマット状にしたものであり、ガラス繊維が均一に分散していれば、その態様は特定されない。湿式法の代表的なものとしては、例えば、所望の長さに切断したガラス繊維を抄造法でペーパー化し、有機質バインダーでガラス繊維を接着する方法を挙げることができる。また、乾式法としては、ガラス繊維をカーディングマシン等により解繊して分散させたマット状のものを例示できる。
この不織布を得るのに、通常はロービングを10〜60mmに切断したチョップドストランドが優れた補強効果と均質な不織布が得られるので好ましい。このうち、湿式法の場合、チョップドストランドの長さは10〜25mmであると繊維が分散しやすく、より均質な不織布が得られるので好ましい。ロービングは、所定の本数のモノフィラメントを集束させたストランドを所定の本数で引き揃えた束であり、チョップドストランドはこのロービングをカットして得られる。この場合、ガラス繊維がモノフィラメントとして均一に分散しやすいように、集束剤はできるだけ少ないのが好ましい。また、不織布を得るのにはガラス繊維の径や長さの管理が容易で、かつ不織布化がしやすいなど点でロービングが好適するが、ロービング以外の例えばガラスウール状のものを用いることもできる。
特に、湿式法でペーパー状に加工された不織布は、ガラス繊維がモノフィラメントとして不規則に均一分散しかつガラス繊維の接点あるいは繊維同志が有機質バインダーで接着されているので、表面がほぼ平滑でかつ全体が均質な無機成形シートに好適な補強材になり得る。特に、この不織布はガラス繊維が均一に分散しているため、後述するように質量ばらつき(質量分布)を小さくでき、これにより強度分布がほぼ均一にできるので、薄肉の無機成形シート用補強材として適している。
また、本発明において前記不織布は、単位面積当たりのガラス繊維量を表す目付量が30〜200g/m2であることが必要であり、特に目付量が80〜150g/m2であればより好ましい。目付量が30g/m2未満であると、重量の均一性が低下し、また不織布の紙力が低下するため、無機マトリックスを含浸させる際の張力により不織布が切れやすくなり、充分な強度を有する成形品が得られ難くなるとともに、不織布が引張られることにより目付量ばらつきが生じやすくなる。この結果、充分な補強効果が得られなくなるなどの理由で好ましくない。また、目付量が200g/m2を超えると、不織布の厚さが増大し繊維密度が高くなるために、不織布に無機マトリックスが含浸し難くなり、また得られるプリプレグシートの厚さが大きくなる。
さらに、高目付量になると、一般に質量ばらつきが大きくなる傾向がある上に、このように無機マトリックスの含浸がし難いと、無機マトリックスが偏って含浸するために、該無機マトリックスに含有または分散させた導電性材料も偏って含浸される。この場合、導電性材料が無機マトリックス中に均一に含有または分散されていても、母体の無機マトリックスが偏って含浸されるために、一緒に含浸する導電性材料も必然的に偏ってしまう。したがって、無機マトリックスが均一に含浸されない限りにおいて、導電性材料の偏りは避けられないために、質量分布が均一でかつ導電性材料が均一に含浸しているプリプレグシートを得ることは困難となる。その結果、このようなプリプレグシートからは、質量ばらつきおよび電波吸収性のばらつきが小さく、実質的に均一な質量バランスと電波吸収特性を有する無機シートを製造することは困難となる。また、プリプレグシートが厚くなると、複数枚のプリプレグシートを積層したとき、無機成形シートを薄くすることができなくなる恐れがある。
本発明において、主に湿式法のガラス繊維不織布は前記したように有機質バインダーによって接着されている。この有機質バインダーとしては、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどを使用することができる。なかでも、ポリメタクリル酸メチルとエポキシ樹脂は、耐酸性を有し、かつ無機マトリックスとガラス繊維の濡れ性や接着性に優れているため好ましい。
ガラス繊維不織布における有機質バインダーの割合は、不織布全量に対して5〜20質量%であることが好ましく、特に6〜15質量%であるとより好ましい。不織布における有機質バインダーの割合が5質量%未満であると、ガラス繊維不織布の強度を維持することが困難となって充分な補強効果が得られず、また有機質バインダーの割合が20質量%を超えると、成形シートの耐熱性が低下し、熱による強度低下や変色が生じ好ましくない。
なお、本発明において不織布の厚さは特に限定されないが、主に使用するガラス繊維の目付量によって決まるので、ガラス繊維目付量が30〜200g/m2である本発明においては、通常0.3〜2.0mm程度である。不織布の厚さが薄くなりすぎると、補強材としての強度が得られなくなるとともに、無機成形シートを製造するのに多数の不織布が必要になり製造コストの増大を招く。また、不織布が厚くなると、一般に目付量の増大による問題が同様に生じ、薄肉の無機成形シートを製造することが困難になる。
なお、不織布用のガラス繊維は、ガラス繊維製造で広く実施されているように集束剤で処理される。この集束剤としては、一般に使用されているエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂などが使用できるが、乾式法の不織布の場合、エポキシ樹脂と、式
RSiX3(Rはアミノ含有有機官能基であり、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基である。)で表されるアミノシラン化合物を含むものが好ましい。上記アミノシラン化合物におけるXは、加水分解反応によりシラノール基を生成し、ガラス繊維のガラス表面において前記シラノール基との脱水縮合による共有結合を生成せしめるため、前記アミノシラン化合物とガラス繊維の接着性を高める役割を行う。一方、アミノシラン化合物のアミノ基がエポキシ樹脂のグリシジル基と反応することでエポキシ樹脂との接着性を高め、結果としてガラス繊維により強固な被膜が形成されると考えられる。これにより、ガラス繊維の熱劣化を防止し、かつ無機マトリックスとガラス繊維の濡れ性あるいは接着性を改良することができるものと思われる。
また、湿式法によって得られる不織布の場合、通常抄造法に用いるガラス繊維の集束剤は、樹脂への補強効果を向上するため、或いは取り扱いをよくするために、シランカップリング剤、フィルム形成剤、潤滑剤、分散剤などを含む処理液で処理をすることが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、カチオニックシラン等公知のものが使用できる。フィルム形成剤としては、例えばポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドのエマルジョンが使用できる。
前記潤滑剤としては、高級脂肪酸アミド、第4級アンモニウム塩などが使用でき、脂肪酸アミドとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリエチレンポリアミンと、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸との脱水縮合物が使用できる。また第4級アンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどアルキルトリメチルアンモニウム塩などが使用できる。分散剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤など、例えばポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルが使用できる。場合によっては、界面活性剤、潤滑剤のみを使用することもできる。
また、前記集束剤の付着量は、ガラス繊維に対して固形分で0.04〜0.5質量%程度が好ましく、より好ましくは0.04〜0.1質量%であることが、ガラス繊維不織布の質量ばらつきを低く抑えることができるとともに、得られる成形シートの質量ばらつきや強度ばらつきが小さくなり好ましい。前記値が0.04未満であると、水に分散をさせる前での工程で集束力が劣り、また水分散の初期の段階ですぐに解繊がおこり綿状になるので好ましくない。また前記値が0.5質量%を超えると、水に分散させる際に解繊がおこり難くなるので好ましくない。
このうち前記脂肪酸アミドを主成分として用いることが、水分散の前の段階での集束性を維持させるとともに、水に分散させる際や抄造の際にガラス繊維がフィラメントとして解繊し易くなり、結果としてガラス繊維不織布の質量ばらつきを低く押さえることができると共に、得られる成形シートの質量ばらつきや強度ばらつきが小さくなり好ましい。
ガラス繊維を集束剤にて処理する手段としては、好ましくは適宜の溶媒に溶解または分散させた集束剤を含む液をガラス繊維の表面に噴霧または塗布するか、上記集束剤を含む液にガラス繊維を浸漬することにより行われる。これにより、ガラス繊維の表面には集束剤の被膜が形成される。上記集束剤を含む液の溶媒としては、好ましくは水などが使用され、2〜20質量%の溶液または分散液とするのがより好ましい。
本発明の無機成形シートにおいて、ガラス繊維不織布は、無機マトリックス(固形分として)100質量部に対して、5〜100質量部を使用することが好ましく、更に15〜80質量部であることがより好ましい。ガラス繊維の使用量が無機マトリックス100質量部に対して5質量部未満であると、無機成形シートとして充分な強度が得られず、100質量部を超えると、ガラス繊維に対して充分な量の無機マトリックスを複合できなくなるために、無機成形シートの組織が粗となり、充分な機械的強度が得られない。なお、前記したガラス繊維不織布の質量部は、有機質バインダーを含んでいる。
本発明における無機成形シートは、導電性材料を含有する無機マトリックスを含浸させたガラス繊維不織布を、複数枚積層した構造を有する。そして、この無機成形シートの厚さが1〜10mmであるという特徴を有する。本発明の無機成形シートは、ガラス繊維不織布に無機マトリックスを含浸させてプリプレグシートを作成し、このプリプレグシートを複数枚積層して加熱し加圧成形して、無機マトリックスを硬化することにより得ることができる。したがって、本発明での無機成形シートの厚さは、加圧成形した後のシートの平均厚さを示している。無機成形シートの厚さが1mm未満であると、所定の強度と電波吸収特性が得られなくなるため好ましくない。また、厚さが10mmを超えると、薄肉で軽量の無機成形シートを得ることができなくなるばかりでなく、可撓性が悪くなるので用途が制約されたり使い勝手が悪くなる。
無線通信等により発生する不要電波障害を防止するために使用される各種電波吸収体の用途としては、シートの厚さが厚くなるほど電波吸収性はよくなるが、好ましい厚さが1〜10mmの本発明のシートでは、充分な電波吸収性が得られるため好適に使用することができる。本発明の無機成形シートは、約800MHz以上の周波数領域における電波吸収材料として好ましく使用することができる。例えば、室内用無線通信(無線LAN)に使用される2.4GHzの周波数領域、およびETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)や商用車管理システム等の路車間通信に用いられる無線通信であるDSRC(専用狭域通信)に使用される5.2GHzまたは5.8GHz等の5GHz帯の周波数領域における電波吸収材料として特に好適に用いることができる。
本発明において積層するプリプレグシートの枚数は、成形する無機成形シートの所望の厚さと、使用するプリプレグシートの目付量等によって適宜決められ特定されないが、通常その積層枚数は2〜40枚程度となる。
無機成形シートをこのように複数枚のプリプレグシートの積層構造にすることにより、無機成形シートの薄肉化が達成できるほかに、その積層枚数を変えることで無機成形シートの厚さと電波吸収力を増減でき、単層の繊維補強材で補強した無機質成形シートにない優れた特性が得られる。すなわち、積層構造にすることによって低目付量で質量ばらつきの小さい不織布の使用が可能になり、これによって無機マトリックスの含浸を容易にならしめて、不織布に無機マトリックスを一様に含浸できるので、質量ばらつきと電波吸収ばらつきの小さいプリプレグシートが作製できる。そして、このようなプリプレグシートを複数枚積層することによって、質量ばらつきと電波吸収ばらつきの小さい無機成形シートが得られる。その結果、無機成形シートの均質度が一層向上して物理的な特性と電波吸収特性が改善されるので、薄板にしても亀裂や貫通に対する強度を大きくでき、釘打ちやビス留めしても破損を生じなくできるとともに、寸法安定性の向上や安定した電波吸収性などの効果が得られる。
無機成形シートの前記質量ばらつきは、シートにおける25cm2当たりのJIS Z8101に規定する変動係数CV値(%)によって示すことができる。この方法は、無機成形シートの試料について例えば5cm角に幅方向に18点、流れ方向に10点の計180点を切り出し、これらの各切り出し点の質量を測定し、その測定結果の平均値X、標準偏差σを算出し、(σ/X)×100によってCV値を求めることができる。この方法によれば、ガラス繊維不織布やプリプレグシートの質量ばらつきも同様にして測定可能であり、本発明におけるCV値はすべてこの方法によるものである。
本発明において、無機成形シートのCV値は2.0%以下が好ましく、更に好ましい無機成形シートのCV値は1.8%以下である。そして、該無機成形シートに用いる不織布とプリプレグシートのCV値も、ほとんどの場合2.0%以下となる。無機成形シートはこのように質量ばらつきの小さい不織布もしくはプリプレグシートを積層した構造になっているため、面方向に極めて均質であり、幅方向と流れ方向でのばらつきの傾向もほとんど見られない。通常のガラスチョップマットのCV値は約6%であり、また単層のガラス繊維不織布で補強する場合には、必然的に補強材の目付量が大きくなり、その目付量の大きいガラス繊維不織布で補強した無機成形シートのCV値は通常4.0%を超えているので、CV値が2.0%以下の本発明の無機成形シートは極めて均質度の高い部材といえる。そして、低目付量でCV値が2.0%以下のガラス繊維不織布を使用することにより、すなわち薄くて均質なガラス繊維不織布を使用することにより、無機マトリックスと共に導電性材料を該ガラス繊維不織布に均一に含浸できるため、プリプレグシートもしくは無機成形シートにおける導電性材料のばらつきは極めて小さいものとなる。
また、本発明では、無機成形シートの軽量化、低コスト化、あるいは意匠性の付与のために、各種充填剤を含有することも可能である。そのような充填剤としては、例えば、シラスバルーン、ガラスバルーン、パーライトなどの軽量骨材や、酸性酸化物を主成分とする珪砂、ガラス粉、クレイの充填剤、酸化チタン、酸化亜鉛、フタロシアニン、弁柄、マビコなどの顔料が挙げられる。これらの材料は、無機成形品のそれぞれの用途に合わせ、適宜の量使用することができる。
次に、本発明における無機成形シートの製造方法の好ましい具体的態様を工程別に説明する。
第1工程:
リン酸金属塩と硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対し硬化剤が80〜200質量部であり、導電性材料が無機マトリックスの全固形分中に2〜10質量%含有するように、無機マトリックスを構成するリン酸金属塩の水溶液、硬化剤、導電性材料および必要に応じて使用されるメタリン酸金属塩、顔料などの各種充填剤を混合撹拌し、スラリー状混合物(無機マトリックス)を作製する。
第2工程:
上記で得られた無機マトリックスを目付量30〜200g/m2のガラス繊維不織布に含浸させて両者を複合化する。この場合、無機マトリックスに対する不織布の割合は、無機マトリックス100質量部に対し不織布が5〜100質量部となるようにする。含浸の方法としては、例えば不織布をスラリー状の無機マトリックスの浴中に浸漬し引き抜きする方法が好適している。
第3工程:
後に続く成形工程までの取り扱い性を良好にし、成形時の水分揮発を成形前に調整する目的で、プリプレグシートの水分が該成形前材料に対し5〜10質量%になるように乾燥して調整する。この乾燥は、100〜140℃で、2〜60分と短い時間で行うことが可能である。但し、既に成形前材料が上記範囲の水分量を有する場合はこの段階で水分を調整する必要がなく、したがって、この工程を必要としない。
第4工程:
得られたプリプレグシートを例えば平板プレス上に複数枚積層して加圧し、加熱して硬化させることによって、厚さが1〜10mmのシート状に成形する。成形の形状は通常平面シートであるが、波形や凹凸形状などの形状に賦形することもできる。成形の際の加熱は、約120〜200℃の温度で、2分〜2時間程度と短時間で行うことが可能である。また、成形圧力としては1〜3.0MPa程度が好ましい。なお、成形方法としては、加圧または加圧と同時に加熱ができる装置であれば、平板プレスのほか例えばベルトプレス、ロールプレスなどの方法も挙げられる。
本発明の無機成形シートは比較的薄肉であるので、第4工程においてリン酸金属塩と硬化剤とをほぼ完全に反応、硬化させることができるが、必要があれば成形後に更に加熱し硬化させてもよい。この際の加熱温度は200℃を超える温度で、好ましくは220〜260℃の加熱装置中で硬化が完了するまで行なう。
図1はこのようにして製造された無機成形シートの一例を示したものであり、本例では積層した4枚のプリプレグシート2を加圧し加熱して無機成形シート1を形成している。加圧する前のプリプレグシート2は、抄造法で作製したガラス繊維ペーパー3に、リン酸金属塩、硬化剤および導電性材料を含む無機マトリックスを含浸し、水分調整したもので、0.8mmの厚さを有している。無機成形シート1はこのプリプレグシート2を4枚積層して加圧成形し、120℃で約1時間加熱して厚さ1.6mmに成形したものである。
こうして得られる本発明の繊維強化無機成形シートは、質量ばらつきのCV値が約1.6%で極めて高い均質性を持ち、薄くて軽量でありながら優れた機械的強度を有している。更に高温度下での硬化過程においてもガラス繊維の劣化が生ぜず、耐水性、耐熱性、耐熱衝撃性および寸法安定性を有しており、さらに無機マトリックスに添加した導電性材料の働きで電波吸収性を有している。しかも、この電波吸収性は導電性材料のばらつきが極めて小さいため、無機成形シートの全面において均一である。
以下に、本発明について実施例を比較例と共に示すが、本発明はかかる実施例に限定して解釈されるべきでないことはもちろんである。
第一リン酸アルミニウム(日本化学工業社製50%水溶液)と、酸化アルミニウム(A−32:日本軽金属社製)88質量%、ウォラストナイト(「♯400」:キンセイマテックス社製)4質量%および水酸化アルミニウム(B-303:ALCOA社製)8質量%からなる硬化剤と、カーボンブラック(三菱化学社製30μm品)とを使用し、第一リン酸アルミニウム(固形分換算)に対する硬化剤およびカーボンブラックの混合割合を変えて、表に示すA、B、C、D、EおよびFの6種類のスラリー状の無機マトリックスを作製した。
Figure 2005144867
ガラス繊維不織布として、繊維径9μm、繊維長13mmのガラス繊維を有機質バインダーとしてポリメタクリル酸メチル(7質量%)とポリ酢酸ビニル(15質量%)を用いて、目付量が異なる数種類のガラス繊維ペーパーを湿式法で作製した。また、ガラス繊維不織布の一種類は前記有機質バインダーを用いないで、チョップドストランドをカーディング法(乾式法)で解繊してマット状に作製した。そして、作製された不織布の目付量のCV値と厚さ(平均)を測定した。
上記ガラス繊維ペーパーに前記無機マトリックスを、無機マトリックスに対するガラス繊維ペーパー(ガラス繊維不織布)の割合が17質量%になるように、含浸状態が悪いときには添加水で粘度を下げて含浸させて、120℃で水分乾燥して水分含有率7質量%以下のプリプレグシートを作製し、該プリプレグシートの厚さ(平均)、目付量および目付量のCV値を測定した。
次いで、上記作製したプリプレグシートを4分割し、この4分割プリプレグを平板プレスに所定枚数積層し、加熱温度180℃、圧力1.5MPaで約1時間プレス成形して、表2に示す13種類の無機成形シートを作製した。表2において、各無機成形シートのガラス繊維不織布は、集束剤としてステアリン酸アミドを用い、この集束剤を含むガラス繊維全量に対して0.05質量%付与したガラス繊維から湿式法で作製したものを使用している。なお、プリプレグシートの不織布/無機マトリックスは、無機マトリックス100質量部に対する不織布の割合(質量部)である。
これらの実施例および比較例において、プリプレグシートにおける無機マトリックスの含浸性、無機成形シートにおける成形性を観察するとともに、各無機成形シートについて外観、厚さ(平均)、目付量およびCV値を測定した。さらに、各無機成形シートについて電波吸収特性評価用サンプルを作製して、その電波吸収性能を周波数2.4GHzと周波数5.2GHzについて測定した。電波吸収性能の測定は、タイムドメイン法(入射角15度)で行った。その結果を、各無機成形シートに用いたプリプレグシートの前記測定結果と併せて表2に示す。
Figure 2005144867
表2から明らかのように実施例1〜8の無機成形シートは、電波吸収特性を有するとともに、以下に説明するように比較例1〜5に比べ無機成形シートとして均質性や耐水性などの点で総合的に優れている。
実施例1と比較例1および比較例2とを比較すると、無機マトリックス中の硬化剤の配合割合がそれぞれ70質量部および230質量部である無機マトリックスを用いた比較例1および比較例2は、硬化剤の割合が150質量部の無機マトリックスを用いた実施例1に比べ、他の条件が実質同じであるのに曲げ強度および耐水性が劣っている。
また、目付量300g/m2の不織布を単層で用いた比較例3は、不織布の厚さが増大し、プリプレグシートの作製時に無機マトリックスの含浸が満足に得られず、かつ無機成形シートの成形に長時間を要するとともに、成形されたシートはCV値および曲げ強度CV値が大きくなり均質性が劣っている。
また、不織布の目付量が20g/m2の比較例4は、プリプレグシートの無機マトリックス含浸工程で不織布の切れ問題が生じ、その結果CV値が2.6%になり、プリプレグシートを40枚積層しても、得られる無機成形シートの曲げ強度および曲げ強度CV値が相対的に低い。
また、カーボン含有量が12.3%の比較例5は、良好な電波吸収特性を有するものの、無機成形シートの曲げ強度が相対的に低い。
本発明の繊維強化無機成形シートは、低目付量のガラス繊維不織布に、導電性材料を含有する無機マトリックスを含浸させたプリプレグシートを複数枚積層して加圧成形したものであるので、これまでの無機成形品としての耐水性、耐熱性、難燃性などの優れた特性に加えて、高強度と寸法安定性を兼ね備えた電波吸収性の無機成形シートを得ることができる。
この無機成形シートは、破損を生じることなく釘打ちやビス留めすることができ、建築用および車両などの産業用の電波吸収用内外装材として、あるいは各種成形品等を面材または心材として補強する電波吸収用部材もしくは電波吸収性の産業用資材等として好適している。
本発明の一例である繊維強化無機成形シートの斜視図。
符号の説明
1:繊維強化無機成形シート
2:プリプレグシート
3:ガラス繊維ペーパー

Claims (9)

  1. 無機マトリックスを含浸した複数枚のガラス繊維不織布を積層成形した無機成形シートであって、前記無機マトリックスがリン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含有しており、前記リン酸金属塩と前記硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対して硬化剤が80〜200質量部であり、前記導電性材料が前記無機マトリックスの固形分中に2〜10質量%含有しており、かつ前記ガラス繊維不織布の目付量が30〜200g/m2であることを特徴とする繊維強化無機成形シート。
  2. 前記導電性材料がカーボンブラック、グラファイトなどの炭素の粉粒体、炭素繊維、金属繊維、金属を被覆した粉粒体あるいは繊維の中から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1に記載の繊維強化無機成形シート。
  3. 前記無機成形シートの厚さが1〜10mmである請求項1または2に記載の繊維強化無機成形シート。
  4. 前記無機マトリックスとガラス繊維不織布の割合が、無機マトリックス100質量部に対し、ガラス繊維不織布5〜100質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化無機成形シート。
  5. 前記ガラス繊維不織布の全量に対し5〜20質量%の有機質バインダーを含有している請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化無機成形シート。
  6. 前記有機質バインダーがポリメタクリル酸メチルまたはエポキシ樹脂である請求項5に記載の繊維強化無機成形シート。
  7. 前記繊維強化無機成形シートにおける25cm2当たりのJIS Z8101に規定する変動係数(CV値)が2%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化無機成形シート。
  8. リン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含有しており、前記リン酸金属塩と前記硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対して硬化剤が80〜200質量部であり、前記導電性材料が前記無機マトリックス中の固形分中に2〜10質量%含有している無機マトリックスを、目付量30〜200g/m2のガラス繊維不織布に含浸させてプリプレグシートを作成し、該プリプレグシートを複数枚積層して加熱し加圧成形することを特徴とする繊維強化無機成形シートの製造方法。
  9. リン酸金属塩と硬化剤と導電性材料とを含有しており、前記リン酸金属塩と前記硬化剤との固形分の配合比がリン酸金属塩100質量部に対して硬化剤が80〜200質量部であり、前記導電性材料が前記無機マトリックス中の固形分中に2〜10質量%含有している無機マトリックスを、目付量30〜200g/m2のガラス繊維不織布に含浸させたプリプレグシートであって、該プリプレグシートにおける25cm2当たりのJIS Z8101に規定する変動係数(CV値)が2%以下であることを特徴とする繊維強化無機成形シート用プリプレグシート。
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