JP2005144455A - レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接部位での隙間の発生やそのばらつきをなくして、溶接強度の安定化と溶接品質の向上を図ったレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム系のパネルP1,P2に所定のピッチで間歇的に溶接を施すにあたり、溶接部位に予めクリンチングを施して塑性変形させることによりレーザビーム照射側となる表面に凹状のクリンチ部Cを形成しつつパネルP1,P2同士を仮止めする。このクリンチ部CにレーザビームLbを照射して溶接を施す。一つのクリンチ部Cでの溶接と並行して、それに隣接する次のクリンチ部Cとなるべき位置にクリンチング加工を施す。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルミニウム系の被溶接材を溶接対象とするレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置に関し、特に被溶接材同士を溶接部位で仮止めしながらその溶接部位にレーザ溶接を施すようにした溶接方法と溶接装置に関するものである。
軽量化の上で有利とされるアルミニウム合金材料は鉄道車両や自動車等で広く用いられているが、そのアルミニウム合金材料の接合方法としては、MIGやMAG等のいわゆる溶融溶接工法以外にレーザ溶接が採用される傾向にある。そして、アルミニウム合金材料を重ね合わせてその重ね合わせ部にレーザ溶接を施す際には、強度のばらつきを抑える上で板材間の隙間をできるだけ小さくすることが重要であり、例えば特許文献1に記載のようにクランプ等により板厚方向に圧力を加えながら溶接を施すのが一般的である。
特開平11−267872号公報(図1)
しかしながら、アルミニウム合金材料である板材を機械的且つ局部的にクランプしただけでは溶接部位の全てを均等な力で加圧することが難しく、板材間の隙間になおもばらつきが発生し、その結果として部位ごとに溶接強度がばらつくこととなって好ましくない。
特に自動車の骨格部品等のように、例えばハット型断面形状の板材同士をフランジ部で突き合わせるか、もしくはハット型断面形状の板材と平板状の板材とを接合して閉断面構造の部品とする場合に、より一層の軽量化を目的として上記のフランジ部の長さを極力短くすることが行われるが、それに伴いクランプ部位とレーザビーム照射部位とが相互に接近もしくは干渉することによって、実際にクランプしている部位にはレーザビームを照射することができないばかりでなく、クランプ部位から離れた部分では板材間に隙間が発生してしまい、なおも改善の余地を残している。
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、とりわけ溶接部位での隙間の発生やそのばらつきをなくして、溶接強度の安定化と溶接品質の向上を図ったレーザ溶接方法とレーザ溶接装置を提供しようとするものである。
請求項1に記載の発明は、アルミニウム系材料からなる複数枚の被溶接材を重ね合わせた上でその重ね合わせ部を溶接部位としてレーザビームを照射して溶接を施す方法において、上記溶接部位に予めクリンチングを施して被溶接材を塑性変形させることにより被溶接材同士を仮止めし、このクリンチ部にレーザビームを照射して溶接を施すことを特徴とする。
より望ましくは、請求項2に記載のように、上記溶接部位に予めクリンチングを施して被溶接材を塑性変形させることによりレーザビーム照射側となる表面に凹状のクリンチ部を形成しつつ被溶接材同士を仮止めし、このクリンチ部にレーザビームを照射して溶加材を併用しながら溶接を施すとともに、クリンチ部を溶加材にて埋めるものとする。
ここで、溶加材を併用しているのは、被溶接材同士を溶接した際に蒸発などで母材肉が減少して、クリンチ部が窪んだままとなって強度低下を招くのを防止するためである。したがって、溶接後のクリンチ部が溶加材で満たされて一般面と面一となるのが理想ではあるが、クリンチ部が溶加材で完全に満たされずに少なくとも一部が溶加材で埋められてさえいれば、所期の目的は達成される。
ここに言うクリンチングとは、かしめ加工やかしめ継ぎもしくはプレスばめと同種の技術であって、要は被溶接材の一部を塑性変形させることにより被溶接材同士を仮止めしてその状態を自己保持できるものを言う。より具体的には、請求項3に記載のように、被溶接材の総板厚の20〜40%の深さだけ圧縮加工を施すことにより凹状のクリンチ部を形成するものとする。
また、アルミニウム系材料からなる被溶接材とは、例えばJISに定められている5000系、6000系のもの、もしくはアルミニウム合金鋳物材料とする。
この場合、請求項4に記載のように、溶接方向に沿って所定のピッチで間歇的にクリンチ部を形成してそれらの各クリンチ部に溶接を施すにあたり、一つのクリンチ部での溶接と並行して、それに隣接する次のクリンチ部位置にクリンチングを施すようにすることが生産性向上の上で望ましい。
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1に記載のレーザ溶接方法に用いるレーザ溶接装置として、溶接母機に隣接配置されたクリンチング装置およびレーザ溶接ヘッドと、レーザ溶接ヘッドを溶接方向に移動させる第1の駆動手段と、レーザヘッドをレーザビームの照射方向に移動させる第2の駆動手段とを備えていることを特徴とする。
上記の溶接母機としては、例えば多数の自由度を有する多関節型の産業用ロボットを用いるものとする。
したがって、請求項1に記載の発明では、例えば溶接方向に沿って所定のピッチで間歇的にクリンチ部を形成してそれらの各クリンチ部にレーザ溶接を施すにあたり、予め形成されたクリンチ部を追いかけるようにして各クリンチ部に順次レーザ溶接を施す。この場合、クリンチ部は、先に述べたように被溶接材の一部を塑性変形させることにより被溶接材同士を仮止めしてその状態を自己保持していることから隙間が発生する余地はない。そのため、溶接品質および接合強度もきわめて良好で且つ安定したものとなる。
そして、予め形成されたクリンチ部を追いかけるようにして各クリンチ部に順次レーザ溶接を施す際には、請求項5に記載のようにクリンチング装置とレーザ溶接ヘッドとを有するレーザ溶接装置を用いることにより、クリンチ部に対するレーザ溶接とそれに隣接することになる次のクリンチ部の加工とを並行して行うことが可能となる。
請求項1に記載の発明によれば、クリンチ部は被溶接材の一部を塑性変形させることにより被溶接材同士を仮止めしてその状態を自己保持しており、したがって、その部分にレーザ溶接を施すことで被溶接材間に隙間が発生する余地は全くなく、溶接品質が良好で安定したものとなることから、接合強度の向上とその安定化が図れる。
その上、クリンチングにより付加されたクリンチ部での残留歪みを溶接に伴う入熱により除去することが可能となり、接合品質がより安定したものとなる利点がある。
請求項5に記載の発明によれば、溶接母機にレーザ溶接ヘッドとクリンチング装置を並設したものであるから、レーザ溶接と並行してクリンチングを行うことが可能であり、請求項1に記載のレーザ溶接を行う際の生産性が飛躍的に向上する。
図1,2は本発明に係るレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置の好ましい実施の形態を示す図で、同図に示すようにハット型断面形状の押出材からなる被溶接材としてのパネルP1と同じく被溶接材としての平板状のパネルP2とを重ね合わせた上で、パネルP1,P2のフランジ部Fに相当する部分にレーザ溶接を施して接合することでいわゆる閉断面形状の構造部材を組み立てる場合の例を示している。
なお、双方のパネルP1,P2共に、例えばJISに定めるA6061 T6(板厚t=1.6mm)のアルミニウム合金製のものが使用されている。また、パネルP1側のフランジ部Fの長さWは40mmに設定されている。
図1に示すように、溶接対象となるハット型断面形状のパネルP1と平板状のパネルP2とは相互に重ね合わされた上で、パネルP2を下側にしてフランジ部F以外の部分が加工台1上に位置決め固定される。
一方、加工台1に隣接して配置されるレーザ溶接装置は溶接母機としての多関節型の産業用ロボット(以下、単にロボットという)2を主体として構成されていて、そのロボット2のアーム3先端にはクリンチング装置4とレーザ溶接ヘッド5とが互いに隣接するように配置されている。これにより、後述するようにクリンチング装置4によるクリンチング加工とレーザ溶接ヘッド5によるレーザ溶接とを並行して行うことが可能となっている。
クリンチング装置4は、本体部6に内蔵された油圧アクチュエータ等により昇降駆動されるポンチ7と、本体部6に連結された略C型のフレーム8と、そのフレーム8の先端にポンチ7と対向するように配置されたダイス9とを備えていることにより、いわゆるC型ガン形状のものとして形成されている。そして、本体部6に内蔵された油圧アクチュエータは例えば最大で100kN(10000kgf)程度の加圧力を出力することが可能であり、したがってフレーム8はその力を受け止めることができるだけの強度を有している。
クリンチング装置4は、図2に示すようにかしめ加工やかしめ継ぎもしくはプレスばめと同様に、ポンチ7とダイス9とでパネルP1,P2の一部を加圧挟持して塑性変形させ、その塑性流動をもってパネルP1,P2同士を仮止めしてその状態を自己保持しようとするもので、ポンチ7はその平面形状が例えば2mm×30mmの角型形状に形成されているのに対して、ダイス9は上記のポンチ7を受容するべくその平面形状が2.5mm×32mmで且つ深さが2mmの同じく角型形状のものとして形成されている。したがって、クリンチング装置4によりクリンチングを行ったときには、パネルP1におけるフランジ部Fの表面側にはポンチ7による圧縮力を受けてそのポンチ7の形状が転写されたことによる凹状のクリンチ部Cが形成される一方、もう一方のパネルP2の裏面側にはダイスの形状が転写されることによる凸部が形成されることになる。
レーザ溶接ヘッド5は例えば二本のスライドシャフト10を介してクリンチング装置4の側部に連結されている一方、クリンチング装置4内には第1の駆動手段として横行スライド機構11が内蔵されている。この横行スライド機構11の作動によりレーザ溶接ヘッド5が水平方向にスライド可能すなわちクリンチング装置4に対して接近期間動作可能となっている。また、スライドシャフト10とレーザ溶接ヘッドと5の間には第2の駆動手段としてバーチカルスライド機構12が介装されていて、これによりレーザ溶接ヘッド5は単独で上下動可能となっている。
さらに、レーザ溶接ヘッド5は、レーザ発振器13から出力された例えばYAGレーザのレーザビームLbを光学系である少なくとも二枚のレンズ14,15を通して集光した上でパネルP1のフランジ部F上での溶接部位に照射するようになっていて、同時にそのレーザビーム照射部位にはワイヤ供給ノズル16から溶加材であるフィラーワイヤ(例えば、A4043のφ1.2mmのもの)17が自動供給されるようになっている(供給速度は例えば5m/min)とともに、図示しないガスノズルからシールドガスとしてアルゴンガス(Ar)が例えば5リットル/min程度で供給されるようになっている。
なお、レーザ発振器13の最大出力は例えば4kW、レーザビームLbの照射部位での出力は例えば3.5kW、溶接速度は例えば5m/minに設定されている。
レーザ溶接ヘッド5の側部には光学式の変位計(測距センサ)18が配置されている。この光学式の変位計18は、それ自体が出力した可視光をミラーを兼ねたコーティングレンズ19で反射させた上でレーザビームLbの照射部位と同等部位を照射させ、その反射光を捉えることにより、レーザ溶接ヘッド5とパネルP1のフランジ部Fとの間の距離を計測することが可能となっている。なお、コーティングレンズ19は、YAGレーザは透過し可視光のみを反射するコーティングを片側に施すことでミラーとしての機能を併せ持たせてあり、その結果として少なくとも鉛直方向ではレーザビームLbの光軸と光学式の変位計18の可視光の光軸とを相互に一致させてある。
ここで、横行スライド機構11やバーチカルスライド機構12、クリンチング装置4およびレーザ溶接ヘッド5の各種制御は全てパーソナルコンピュータを主体とするコントローラ20で行われるようになっており、同時に光学式の変位計18の出力もコントローラ20に取り込まれるようになっている。
このように構成されたレーザ溶接装置によれば、パネルP1,P2のフランジ部Fの長手方向に沿って等ピッチで間歇的にクリンチングを施すことで予め凹状のクリンチ部Cを形成した上で、そのクリンチ部Cに順次レーザ溶接を施すものとする。より具体的には、上記のように予め形成された凹状のクリンチ部Cにレーザ溶接を施しながら、それと並行して溶接中のクリンチ部Cに隣接する次のクリンチ部Cの加工を行うものとする。
詳しくは、図3の(A)に示すように、パネルP1,P2のフランジ部Fのうち最初のクリンチ部Cとなるべき位置にロボット2の自律動作にてクリンチング装置4を位置決めしたならば、クリンチング装置4を作動させてクリンチング加工を行う。この最初のクリンチング加工に関するかぎりは、並行してレーザ溶接を行うことなくクリンチング加工を単独で行い、クリンチング加工終了とともにロボット2の自律動作により直ちに次のクリンチ部Cとなるべき位置にクリンチング装置4を移動させる。そして、同図(B)に示すように、二つ目以降のクリンチ部Cのクリンチング加工の際には、一つ前に加工したクリンチ部Cについてのレーザ溶接を並行して行うものとする。
最初のクリンチング加工であるか二番目以降のクリンチング加工であるかにかかわらず、そのクリンチング加工ついては、図2に示すようにクリンチング装置4のフレーム8に支持されているダイス9に対しこれと対向しているポンチ7を下降させて、これらポンチ7とダイス9とでパネルP1,P2を例えば10〜50kNの力で加圧挟持し、かしめ加工やかしめ継ぎもしくはプレスばめと同様に溶接対象となるパネルP1,P2の一部を塑性変形させることによりそのパネルP1,P2同士を仮止めして、そのクリンチング力を解除したとしてもその仮止め状態を自己保持させる。この場合、クリンチング加工による圧縮力をもってパネルP1側のフランジ部FにパネルP1,P2の総板圧の20〜40%に相当する深さのクリンチ部Cを積極的に形成するものとする。これにより、少なくともクリンチ部Cが形成された部分ではパネルP1,P2相互間の隙間が実質的に零となる。
最初のクリンチング加工に続き、二番目以降のクリンチング加工とレーザ溶接とを並行して行う際の処理手順を図4のフローチャートに示した。
図4のほか図2に示すように、最初のクリンチング加工(図4のステップS1)に続く二番目のクリンチング加工に際してクリンチング装置4が所定の位置に位置決めされると(ステップS2)、そのクリンチング装置4とレーザ溶接ヘッド5とのなす距離はクリンチ部C,C同士のなすスパンよりもわずかに大きくなるように予め設定されていることから、図2に示すようにクリンチング装置4がクリンチング加工を行うべき位置に位置決めされたときには、レーザ溶接ヘッド5の光軸はその一つ前のクリンチ部Cからわずかに反クリンチング装置4側に外れた位置、すなわち図5に示すようにクリンチ部Cの凹状空間ではなくフランジ部Fの一般面を指向していることになる。同時にレーザ溶接ヘッド5とフランジ部Fとの間には所定の離間距離が保たれている。
そこで、光学式の変位計18によるモニタリング機構を使ってレーザ溶接ヘッド5とフランジ部Fとの間の距離の計測を開始し(ステップS3)、同時に図2に示す横行スライド機構11を作動させて、レーザ溶接ヘッド5をクリンチング装置4側に向けて定速で走行移動させることによりレーザ溶接ヘッド5とフランジ部Fとの間の距離を連続的に計測して(ステップS4)、その距離が大きく変化する位置すなわちクリンチ部Cの一方の端縁C1を特定した時点でその位置を溶接開始位置とする(ステップS5)。
より詳しくは、レーザ溶接ヘッド5をクリンチング装置4側に向けて定速で走行移動させながら光学式の変位計18にてレーザ溶接ヘッド5とフランジ部Fとの間の距離を連続的に計測している過程で、その距離がクリンチ部Cの深さ寸法として例えばパネルP1,P2の総板厚の10%以上変化(増加)した場合に、その位置を溶接対象となるクリンチ部Cの一方の端縁とみなして溶接開始位置と決定する(ただし、パネルP1,P2の総板厚の10%に相当する数値は基準値として予め設定されている)。
そして、溶接開始位置が決定されたならばクリンチング装置4を作動させてクリンチング加工に移行し、二番目のクリンチ部Cを形成するとともに(ステップS6)、そのクリンチング状態を持続する。
その一方、溶接開始位置が決定されたならばバーチカルスライド機構12を作動させ、光学式の変位計18のモニタリング機能を使ってこれから溶接を施そうとする凹状のクリンチ部Cの底面とレーザ溶接ヘッド5との間の距離が予め定めた所定の距離となるようにレーザ溶接ヘッド5の高さ位置を調整する(ステップS7)。なお、このレーザ溶接ヘッド5の高さ位置の調整に際しては、実際にレーザビームlbを照射したときの同レーザビームLbの焦点位置が凹状のクリンチ部Cの底面上となるように調整される。
この後、図2に示すようにレーザ溶接ヘッド5の定速走行とレーザビームLbの照射により実際のレーザ溶接が開始され、クリンチ部Cにレーザ溶接が施される(ステップS8)。この場合、被溶接材であるパネルP1,P2同士はクリンチ部Cにて予め相互に仮止めが施されていることから、両者の間にはほとんど隙間がない状態であり、溶接品質はきわめて良好なものとなる。しかも、溶接位置に近接するする次のクリンチ部C相当部でもクリンチ状態にあることから、パネルP1,P2間の隙間をなくする上できわめて効果的なものとなる。
このレーザ溶接時の溶接長さは凹状のクリンチ部Cの長さと同等の長さ(例えば30mm)に予め設定されていて、同時に先に述べたように溶接部位へのフィラーワイヤ(溶加材17)の供給とシールドガスとしてのアルゴンガスの供給を併用することにより、クリンチ部Cに溶接が施されるのと同時に、そのクリンチ部の凹状空間が溶加材で満たされることになる。
ここで、溶加材を併用しているには、レーザ溶接を施した際に素材肉が蒸発等で減少し、凹状のクリンチ部Cが窪みとしてそのまま残って強度低下を招くことがないようにするためである。
こうして特定の一つのクリンチ部Cの全長にわたりレーザ溶接が施されたならば溶接終了となり、レーザ溶接ヘッド5の走行およびレーザビームLbの照射がが一時停止し(ステップS9)、さらにクリンチング装置4のポンチ7が上昇動作して、次に溶接を施すべきクリンチ部Cの加工が終了する(ステップS10)。
以上のようにしてレーザ溶接とクリンチング加工が終了したならば、以降はレーザ溶接ヘッド5が横行スライド機構11の作動によりクリンチング装置4から離間するようにして元の位置に復帰する一方、ロボット2の自律動作によりクリンチング装置4とレーザ溶接ヘッド5が所定ピッチだけシフト動作し、次のクリンチ部Cを加工すべき位置にクリンチング装置4が、先のレーザ溶接と並行して加工されたクリンチ部Cにレーザ溶接ヘッド5がそれぞれ位置決めされる。そして、以降は図4と同じ手順で次なるクリンチング加工とレーザ溶接とが並行して行われることになる。
図6は、クリンチング加工時の荷重とともに凹状のクリンチ部Cの深さ(パネルP1,P2の総板厚に対する割合(%)で表している)を変化させた場合に、そのクリンチ部Cの深さとクリンチング荷重除荷後にパネルP1,P2間にできる隙間との関係を示す。同図から明らかなように、クリンチ部Cの深さが20%以上ではそのクリンチ部Cにできる最大隙間はほぼ0mmであった。また、クリンチ部Cの深さを大きくしてもそのクリンチ部Cにできる隙間の大きさに変化がないため、クリンチング装置4の大きさや取り回し性から上記凹状のクリンチ部Cの深さは先に述べたようにパネルP1,P2の総板厚の20〜40%とすることが望ましい。
図7は、上記クリンチ部Cでの隙間の大きさと溶接接合部でのせん断引っ張り強度との関係を示す。せん断引っ張り試験は、下記のようなテストピース(クリンチ部無しのものを含む)を用いて上記実施の形態と同じ溶接条件でレーザ溶接を施した後に、溶接部の断面を観察してその溶接後の二枚のテストピース間の隙間を測定した。
・テストピース材質 A6061 T6
・板厚t 1.6mm
・テストピースサイズ 幅40mm×長さ150mm
・2枚のテストピースのラップ量 30mm
同図から明らかなように、隙間が大きくなるほどせん断引っ張り強度のばらつきが大きくなるとともに、そのせん断引っ張り強度の平均値も低下する傾向にある。したがって、本実施の形態のようにクリンチ部Cでの溶接後のパネル間隙間がほとんど0になる場合には、接合強度の向上の上でも著しく有利となることがわかる。
本発明の好ましい実施の形態としてレーザ溶接装置全体の概略構成を示す斜視図。 図1の要部拡大説明図。 図2の作動説明図。 図2におけるクリンチング加工とレーザ溶接の手順を示すフローチャート。 図2の要部作動説明図。 クリンチ部の深さとパネル間隙間との関係を示すグラフ。 パネル間隙間とせん断引っ張り強度との関係を示すグラフ。
符号の説明
2…産業用ロボット(溶接母機)
4…クリンチング装置
5…レーザ溶接ヘッド
11…横行スライド機構(第1の駆動手段)
12…バーチカルスライド機構(第2の駆動手段)
17…フィラーワイヤ(溶加材)
18…光学式の変位計(光学式センサ)
C…クリンチ部
Lb…レーザビーム
P1,P2…パネル(被溶接材)

Claims (7)

  1. アルミニウム系材料からなる複数枚の被溶接材を重ね合わせた上でその重ね合わせ部を溶接部位としてレーザビームを照射して溶接を施す方法において、
    上記溶接部位に予めクリンチングを施して被溶接材を塑性変形させることにより被溶接材同士を仮止めし、
    このクリンチ部にレーザビームを照射して溶接を施すことを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 上記溶接部位に予めクリンチングを施して被溶接材を塑性変形させることによりレーザビーム照射側となる表面に凹状のクリンチ部を形成しつつ被溶接材同士を仮止めし、
    このクリンチ部にレーザビームを照射して溶加材を併用しながら溶接を施すとともに、クリンチ部を溶加材にて埋めることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 被溶接材の総板厚の20〜40%の深さだけ圧縮加工を施すことにより凹状のクリンチ部を形成することを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 溶接方向に沿って所定のピッチで間歇的にクリンチ部を形成してそれらの各クリンチ部に溶接を施すにあたり、一つのクリンチ部での溶接と並行して、それに隣接する次のクリンチ部位置にクリンチングを施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ溶接方法。
  5. 請求項1に記載のレーザ溶接方法に用いるレーザ溶接装置であって、
    溶接母機に隣接配置されたクリンチング装置およびレーザ溶接ヘッドと、
    レーザ溶接ヘッドを溶接方向に移動させる第1の駆動手段と、
    レーザ溶接ヘッドをレーザビームの照射方向に移動させる第2の駆動手段と、
    を備えていることを特徴とするレーザ溶接装置。
  6. 上記クリンチング装置は、溶接部位に予めクリンチングを施して被溶接材を塑性変形させることにより凹状のクリンチ部を形成しつつ被溶接材同士を仮止めする機能を有している一方、
    上記レーザ溶接ヘッドには、凹状のクリンチ部のうち溶接開始位置となる一方の端縁を検出する光学式センサが設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレーザ溶接装置。
  7. 上記レーザ溶接ヘッド内に収容されて被溶接材に対しレーザビームを照射するための光学系は、光学式センサからの光ビームを被溶接材に対して照射するための光学系を兼ねていて、
    光学式センサの光ビームの光軸とレーザビームの光軸とが一致するように設定されていることを特徴とする請求項6に記載のレーザ溶接装置。
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