JP2005143228A - 回転電機の整流構造及び回転電機の電機子構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 整流子とブラシとの摺動音の低減、及び整流子とブラシとの摺動に伴う火花発生を防止することができる回転電機の整流構造及び回転電機の電気子構造を得る。
【解決手段】 コンミテータ32とブラシ部36とは、互いに接触しつつコンミテータ32が軸心廻りに回転することで整流を行なう。コンミテータ32は、周方向に等間隔で配置された複数のセグメント34間にそれぞれ絶縁部40が設けられて構成されており、各絶縁部40は、各セグメント34におけるブラシ部材44との接触面を滑らかに連続して、コンミテータ32における周方向に段差のない滑らかな外周面を構成している。ブラシ部36のブラシ部材44は、円形断面を有する球形に形成されており、コンミテータ32の外周面に周方向に略点接触すると共に、整流時にはコンミテータ32の軸線廻りの回転に伴って自らの軸心廻りに自転する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、モータ等の回転電機の整流構造、及び該整流構造を適用した回転電機の電機子構造に関する。
ブラシ付きの直流モータでは、回転軸に連結された電機子に整流子が設けられており、整流子は複数のセグメントに分割されている。この整流子は、電機子と共に回転することでスプリングを介してヨークに支持されたブラシと摺接するようになっており、該ブラシと摺接するセグメントが切り替わることで整流が行なわれる。
このようなブラシ付き直流モータのうち比較的小型のモータは、例えば、ワイパ装置、パワーウインド装置、エンジンスタータ等、自動車等の車両における様々な構成部品に適用されている。そして、近年の自動車に対する低騒音化の要求により、小型モータに対してもブラシ音(ブラシ摺動音)の低減要求が高まってきている。
このブラシ音の主な原因は、整流子のブラシ摺動面におけるセグメント間に絶縁部として設定されたアンダーカット部をブラシが通過するときに、該ブラシがアンダーカット部の段差によって加振されることにある。このブラシ加振を抑制するために、整流子の加工精度を向上してセグメント間の段差を低減することが行なわれている。このため、整流子すなわちセグメントの切削加工を高精度で行なう必要があり、高コストの原因となっている。
また、セグメント間の段差を低減するために、工具の送りピッチを小さくするなどしてセグメントの加工精度を向上すると、セグメントの表面粗さが小さくなり(セグメントにおけるブラシ摺接面が鏡面となり)、ブラシがセグメントとの間でスティックスリップ現象を生じ、ブラシ音が逆に大きくなってしまうという問題が生じる。そして、このような単に整流子の加工精度を向上する構成では、セグメント間の段差を完全になくすことができないため、ブラシ音の低減効果に限界があった。さらに、ブラシ材料に低摺動材料を添加して摺動抵抗を低減することも考えられているが、これについても上記と同様の問題がある。
そこで、整流子における銅製のセグメント間に絶縁材である樹脂材を封入し、該樹脂材の表面をセグメント表面と滑らかに連続するように加工した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、銅よりも高度の低い樹脂材は、ブラシとの摺接によってセグメントよりも先に摩耗するため、結局セグメント間には樹脂材の摩耗によって段差が生じてしまう。すなわち、単にセグメント間に樹脂材を封入した構成では、初期状態ではブラシ音を低減できるが、樹脂材の経時劣化によって長期的に見ると騒音が増大することとなる。
一方、自動車等の車両では、環境対応として、内燃機関であるエンジンと電気モータとを組み合わせたハイブリッド車の需要増加が見込まれ、また基本的に電気モータの動力のみで走行する燃料電池車等の開発が進められている。このようなハイブリッド車や燃料電池車等では、高効率化のために高電圧で電気モータを駆動することが考えられており、これに伴い動力源以外の各種部品を構成する小型モータに対しても駆動電圧の高電圧化が要求されてきており、高電圧に耐えるブラシ付き直流モータの開発が急務となっている。
ところで、ブラシ付き直流モータでは、図10に示される如く、セグメント100間のアンダーカット部102の幅がブラシ104の幅よりも小さいため、整流時には、ブラシ104が隣り合う2つのセグメント100に同時に接触するタイミングで、該隣り合うセグメント100間に短絡電流(図10に示す矢印参照)が流れ、また直流モータのインダクタンス分によって整流子回転方向における後側のセグメント100に電流が集中する。これらの電流は、火花発生及び火花発生に伴うモータノイズ発生の原因となる。そして、上記のように駆動電圧を高電圧化すると、上記短絡電流及びインダクタンス分の電流が大きくなり、火花が一層発生しやすくなる。
そこで、セグメント間のアンダーカット部よりも幅狭の導体層と絶縁層とを交互に配置し、かつ各導体層がピグテール(配線)を介して導通されたブラシを有する整流構造が考えられている(例えば、特許文献2参照)。この構成では、1つの導体層が2つのセグメントに同時に接触することがないため、短絡電流は、それぞれピグテールを介して接続され別のセグメントに接触している異なる導体層間を流れる。このため、短絡電流の流れる経路の電気抵抗が増大し、該短絡電流が減少し、火花が発生し難くなる。しかしながら、この構成によっても短絡電流の発生を防止することはできず、上記駆動電圧の高電圧化の対策としては十分ではない。
特開2002−325396号公報 特開2003−134739号公報
以上説明したように、従来の整流構造では、ブラシ音の低減及び火花防止について、抜本的な解決には至っていない。
本発明は、上記事実を考慮して、整流子とブラシとの摺動音を低減することができる回転電機の整流構造及び回転電機の電気子構造を得ることが第1の目的であり、整流子とブラシとの摺動に伴う火花発生を防止することができる回転電機の整流構造及び回転電機の電気子構造を得ることが第2の目的である。
上記第1及び第2の目的を達成するために請求項1記載の発明に係る回転電機の整流構造は、ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ前記整流子の軸心廻りに相対回転して整流を行なう回転電機の整流構造であって、前記整流子は、周方向に複数設けられたセグメントと、隣り合う前記セグメント間に設けられ各セグメントにおける前記ブラシ部材との接触面を滑らかに連続する絶縁部とを有し、前記ブラシ部材は、前記整流子の周方向に該整流子と略点接触する円形断面を有する形状とされ、前記整流子との相対回転によって自転可能に支持されている、ことを特徴としている。
請求項1記載の回転電機の整流構造では、ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ相対回転することで整流が行なわれる。このとき、整流子は、隣り合うセグメント間に設けられた絶縁部が各セグメントにおけるブラシ部材との接触面を滑らかに連続していることにより、ブラシ部材の接触面では隣り合うセグメント間に段差がないため、整流に伴ってブラシ部材を加振することがない。
そして、自転可能に支持されたブラシ部材が整流に伴って自転するため、該ブラシ部材と整流子(セグメント及び絶縁部)とは、殆ど滑ることなく転がり接触状態で整流を行なうこととなる。このため、長期間に亘る整流によってセグメントまたは絶縁部が選択的に摩耗してしまうことがない。したがって、長期の使用によってセグメント間に段差が生じることが防止され、ブラシ部材が整流に伴って加振されない状態が維持されるので、整流に伴う整流子とブラシとの摺動音を低減することを長期間に亘り維持することができる。
また、円形断面を有するブラシ部材は、整流子との相対回転方向である該整流子の周方向に略点接触しつつ整流を行なうため、2つのセグメントに同時に接触することがない。このため、隣り合う2つのセグメント間に短絡電流が生じることはなく、火花の発生が防止される。
このように、請求項1記載の回転電機の整流構造では、整流子とブラシとの摺動音を低減することができる。また、本回転電機の整流構造では、整流子とブラシとの摺動に伴う火花発生を防止することができる。なお、ブラシ部材は滑りなく自転することが好ましいが、多少の滑りを伴いつつ自転するものであっても良い。
請求項2記載の発明に係る回転電機の整流構造は、請求項1記載の回転電機の整流構造において、前記ブラシ部材を球状に形成した、ことを特徴としている。
請求項2記載の回転電機の整流構造では、ブラシ部材を球状に形成しているため、ブラシ部材は、その配置に依らず整流子に対し確実に周方向に略点接触する。すなわち、例えば、整流子におけるブラシ部材の接触面が外周面、軸線方向に直交する端面、または該端面と外周面との間に設定されたテーパ面であっても、ブラシ部材を整流子に対し確実に周方向に略点接触させることができる。
請求項3記載の発明に係る回転電機の整流構造は、請求項2記載の回転電機の整流構造において、前記整流子における前記ブラシ部材との接触面を、前記ブラシ部材が前記整流子の周方向との直交方向に沿って略線接触する円弧状断面を有する凹溝とした、ことを特徴としている。
請求項3記載の回転電機の整流構造では、ブラシ部材は、その一部を整流子の凹溝内に入り込ませた状態で、周方向に直交する方向において整流子と略線接触する。すなわち、例えば凹溝が整流子の外周面に設けられた構成では、ブラシ部材は整流子に対し軸線方向に沿って略線接触し、また例えば凹溝が整流子の上記端面に設けられた構成では、ブラシ部材は整流子に対し径方向に沿って略線接触し、さらに例えば凹溝が整流子の上記テーパ面に設けられた構成では、ブラシ部材は整流子に対し母線方向に沿って略線接触する。これにより、ブラシ部材と整流子との接触長さ(面積)が確保され、ブラシ部材から整流子への導電性が安定化する。
請求項4記載の発明に係る回転電機の整流構造は、請求項1記載の回転電機の整流構造において、前記ブラシ部材を円柱状または円筒状に形成した、ことを特徴としている。
請求項4記載の回転電機の整流構造では、ブラシ部材が円柱状または円筒状に形成されて(整流子との接触面である外周面が円筒面とされて)おり、整流子の周方向に略点接触するように配置されている。すなわち、円柱状または円筒状に形成されたブラシ部材は、その軸線方向が整流子の軸線方向に対し平行となるか、または交差するように配置されている。このため、ブラシ部材は整流子に対し周方向との直交方向に略線接触する。これにより、ブラシ部材と整流子との接触長さ(面積)が確保され、ブラシ部材から整流子への導電性が安定化する。
請求項5記載の発明に係る回転電機の整流構造は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の回転電機の整流構造において、前記絶縁部を樹脂材にて構成した、ことを特徴としている。
請求項5記載の回転電機の整流構造では、整流子の隣り合うセグメント間に設けられた絶縁部が樹脂材にて構成されている。このため、セグメント間の段差を解消する絶縁部を設けた整流子を容易に得ることができる。
請求項6記載の発明に係る回転電機の整流構造は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の回転電機の整流構造において、前記セグメントを導電性セラミックにて構成すると共に、前記絶縁部を絶縁性セラミックにて構成した、ことを特徴としている。
請求項6記載の回転電機の整流構造では、導電性を要するセグメントと絶縁性を要する絶縁部とが共にセラミックにて構成されているため、セグメントと絶縁部との硬度差がないか極めて小さい。このため、長期間の使用によるセグメントまたは絶縁部の選択的な摩耗が確実に防止され、整流に伴う整流子とブラシとの摺動音を低減することを長期間に亘り維持することができる。
請求項7記載の発明に係る回転電機の整流構造は、請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の回転電機の整流構造において、前記ブラシ部材は、弾発部材の弾発力によって前記整流子に押し付けられている、ことを特徴としている。
請求項7記載の回転電機の整流構造では、ブラシ部材が弾発部材の弾発力(付勢力)によって整流子に押し付けられている。このため、仮に整流子の表面に何らかの付着物が付着した場合でも、ブラシ部材が加振されて騒音が発生することが防止または抑制される。
また、上記第1の目的を達成するために、請求項8記載の発明に係る回転電機の整流構造は、ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ前記整流子の軸心廻りに相対回転して整流を行なう回転電機の整流構造であって、前記整流子は、それぞれ導電性セラミックより成り、周方向に沿って互いに離間して配置された複数のセグメントと、それぞれ絶縁性セラミックより成り、隣り合う前記セグメント間に設けられて各セグメントにおける前記ブラシ部材との接触面を滑らかに連続する絶縁部と、を有して構成されていることを特徴としている。
請求項8記載の回転電機の整流構造では、ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ相対回転することで整流が行なわれる。このとき、整流子は、隣り合うセグメント間に設けられた絶縁部が各セグメントにおけるブラシ部材との接触面を滑らかに連続していることにより、隣り合うセグメント間には段差がないため、整流に伴ってブラシ部材を加振することがない。そして、整流子は、導電性を要するセグメントと絶縁性を要する絶縁部とが共にセラミックにて構成されているため、セグメントと絶縁部との硬度差がないか極めて小さい。このため、長期間の使用によるセグメントまたは絶縁部の選択的な摩耗が確実に防止され、整流に伴う整流子とブラシとの摺動音を低減することを長期間に亘り維持することができる。
このように、請求項8記載の回転電機の整流構造では、整流子とブラシとの摺動音を低減することができる。
さらに、上記第1の目的、または第1及び第2の目的を達成するために、請求項9記載の回転電機の電機子構造は、回転軸に連結されたコアと、前記コアに巻き回された巻線部と、前記回転軸に連結されると共に前記巻線部に電気的に接続された整流子と、前記整流子と接触しつつ相対回転するブラシ部材とを備え、前記整流子と前記ブラシ部材とに請求項1乃至請求項8の何れ1項記載の回転電機の整流構造を適用した、ことを特徴としている。
請求項9記載の回転電機の電機子構造では、ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ相対回転することで整流が行なわれ、電機子の巻線部に電機子電流が流れる。ここで、整流子とブラシ部材とに請求項1乃至請求項8の何れ1項記載の回転電機の整流構造が適用されているため、整流子における隣り合うセグメント間には絶縁部が設けられることで段差がなく、ブラシ部材が整流に伴って加振されることがない。そして、ブラシ部材が整流子に対し転がり接触するか、または整流子のセグメントと絶縁部との硬度差が小さいため、長期間の使用によってセグメント間に段差が生じることが防止され、ブラシ部材が整流に伴って加振されない状態が維持されるので、整流に伴う整流子とブラシとの摺動音を低減することを長期間に亘り維持することができる。
また、請求項1乃至請求項7の何れ1項記載の回転電機の整流構造が適用された構成では、円形断面を有し整流子の周方向に略点接触しつつ整流を行なうブラシ部材は、2つのセグメントに同時に接触することがないため、隣り合う2つのセグメント間に短絡電流が生じることはなく、火花の発生が防止される。
このように、請求項9記載の回転電機の電機子構造では、整流子とブラシとの摺動音を低減することができる。また、請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の回転電機の整流構造が適用された構成では、整流子とブラシとの摺動に伴う火花発生を防止することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施の形態に係る回転電機の整流構造及び回転電機の電機子構造が適用された回転電機としてのモータ10について、図1乃至図4に基づいて説明する。先ず、モータ10の概略全体構成について説明し、次いで、本発明の要部であるモータ10の整流構造について説明することとする。
図1には、モータ10の概略全体構成が断面図にて示されている。この図に示される如く、モータ10はヨーク12を備えており、ヨーク12は回転軸または出力軸であるアーマチャシャフト14を回転自在に軸支している。具体的には、ヨーク12の軸線方向一端部における軸心部に設けられたメタル保持部16が軸受メタル18を介してアーマチャシャフト14の一端部を軸支すると共に、ヨーク12の軸線方向他端部における軸心部を貫通して設けられたメタル保持部20が軸受メタル22を介してアーマチャシャフト14の中間部を軸支している。すなわち、アーマチャシャフト14は、他端部がヨーク12の外側に突出している。
このヨーク12内には、電機子としてのアーマチャ24が収容されている。アーマチャ24は、アーマチャシャフト14に同軸的に固着された積層コア26に巻線部(コイル)28が巻き回されて構成されている。また、ヨーク12の内周面には、それぞれアーマチャ24の外周面に対向する一対のマグネット30が固着されている。
また、アーマチャ24には、整流子としてのコンミテータ32が設けられている。詳細は後述するが、コンミテータ32は、それぞれ絶縁された複数のセグメント34が周方向に等間隔で配置されて全体として略円筒状または環状に形成されており、アーマチャシャフト14に同軸的に固着されている。各セグメント34はアーマチャ24の対応する巻線部28に電気的に接続されている(図示省略)。
さらに、ヨーク12内には、一対のブラシ部36が該ヨーク12に対する回転不能に配設されている。各ブラシ部36は、それぞれ給電配線に接続されると共にアーマチャシャフト14の軸心に対し対称に配置されており、本第1の実施の形態では、コンミテータ32の外周面に常時接触するようになっている。これにより、コンミテータ32が軸心廻りに回転(ヨーク12すなわちブラシ部36に対し相対回転)することで、該コンミテータ32とブラシ部36とによって整流が行なわれ、アーマチャ24に電機子電流が流れる構成とされている。
以上により、本第1の実施の形態に係るモータ10は、マグネット式の直流モータとされている。
次にコンミテータ32及びブラシ部36の詳細構成を説明する。
図2(A)及び図3に示される如く、コンミテータ32は、それぞれ同形状である円弧状に形成された複数(本第1の実施の形態では8つ)のセグメント34を備えている。各セグメント34は、コンミテータ32の周方向に等間隔で配置された状態で、該コンミテータ32の軸心部を構成する絶縁リング部38に固定的に保持されている。これにより、各セグメント34は、互いに電気的に絶縁された状態でコンミテータ32の外周部を構成している。そして、コンミテータ32は、絶縁リング部38の軸心部を貫通する貫通孔38Aにアーマチャシャフト14が嵌合状態で固着されることで、該アーマチャシャフト14に同軸的かつ一体回転可能に取り付けられている。
また、コンミテータ32における周方向に隣り合うセグメント34間の隙間は、それぞれ絶縁部40によって埋められている。各絶縁部40は、各セグメント34と共にコンミテータ32の外周面を形成している。図2(B)に示される如く、このコンミテータ32(各セグメント34及び各絶縁部40)の外周面における軸線(厚み)方向の中央部には、該軸線方向との直交面に沿って全周に亘り連続して環状に形成された凹溝42が設けられている。凹溝42の溝底は、コンミテータ32の径方向に沿う断面視で、ブラシ部36を構成する球状のブラシ部材44(後述)の曲率に対応した円弧状に形成されている。
この凹溝42は、コンミテータ32に対するブラシ部材44の相対移動(回転)の軌跡に沿って設けられており、その溝底がブラシ部材44との接触面とされている。凹溝42の溝底は、周方向に段差(を形成する隙間や突出部)のない平滑な曲面とされている。すなわち、各絶縁部40は、凹溝42において各セグメント34間から露出する外周側端面が、軸線(溝幅)方向の各部で、それぞれセグメント34の外面と同心同径の円弧とされており、コンミテータ32におけるブラシ部36との接触面である凹溝42の溝底面(外周面)において、隣り合うセグメント34の外面を滑らかに連続している。
以上説明したコンミテータ32は、各セグメント34が導電性セラミックにて構成されると共に、絶縁リング部38及び各絶縁部40が絶縁性セラミックにて構成されている。これにより、コンミテータ32におけるブラシ部材44の接触面である凹溝42の溝底では、周方向の各部において硬度が略均一とされている。このコンミテータ32は、例えば、各セグメント34、絶縁リング部38、及び各絶縁部40を一体焼結することによって構成することができる。また例えば、コンミテータ32は、互いに別部材である各セグメント34と絶縁部40とを貼り合わせた状態で絶縁リング部38に保持し、外周面すなわち凹溝42の溝底を、切削等によって周方向に段差のない滑らかな円形に仕上げることで構成することができる。
一方、一対のブラシ部36は、それぞれコンミテータ32と接触するブラシ部材44を備えている。各ブラシ部材44は、それぞれ導電性材料にて球形に形成されており、それぞれの径がコンミテータ32に対する接触面である凹溝42の溝底の円弧径に対応している。したがって、ブラシ部材44は、コンミテータ32に対し、該コンミテータ32の軸線方向に沿って(接線方向から見て)略線接触し、該コンミテータの周方向に(軸線方向から見て)略点接触する構成とされている。
また、ブラシ部36は、各ブラシ部材44をそれぞれヨーク12に対し支持するブラシケース46を備えている。各ブラシケース46は、略有底筒状に形成されており、その軸線方向をコンミテータ32の径方向と一致させると共にコンミテータ32の軸心に対し互いに対称に配置された状態で、ヨーク12に固定的に保持されている。各ブラシケース46におけるコンミテータ32の軸心側端部には、ブラシ部材44の外径よりも小径の開口46Aが形成されている。これにより、ブラシケース46内では、ブラシ部材44が脱落不能かつ軸心廻りの回転すなわち自転可能に収容支持されるようになっている。
さらに、各ブラシ部36は、それぞれのブラシケース46内でブラシ部材44に摺動可能に接触する導電性の給電部材48を備えている。各給電部材48は、それぞれ外部電源が接続される図示しない端子に電気的に接続されており、ブラシ部材44を介してコンミテータ32に給電を行なうようになっている。なお、各給電部材48におけるブラシ部材44との接触面を、凹状の円弧面や球面としてブラシ部材44との接触面積(導電面積)を大きく設定しても良い。
これらの各給電部材48は、ブラシケース46における底面(開口46Aと反対側の端部内面)との間に設けられた弾発体としての圧縮コイルスプリング50によって、対応するブラシ部材44に常に押し付けられている。すなわち、各ブラシ部材44が、それぞれ圧縮コイルスプリング50の付勢力によって、コンミテータ32の凹溝42の溝底に押し付けられている。
以上により、モータ10では、ブラシ部36を介してコンミテータ32に給電されると、該コンミテータ32がアーマチャ24及びアーマチャシャフト14と共に軸線廻りに回転し、この回転によってブラシ部36とコンミテータ32とが整流を行なうことでアーマチャ24及びアーマチャシャフト14の回転が維持されるようになっている。そして、ブラシ部36におけるコンミテータ32との接触部であるブラシ部材44は、整流すなわちコンミテータ32との相対回転に伴って(コンミテータ32の軸心廻りの回転力によって)自転し、コンミテータ32に対し殆ど滑ることなく転がり接触状態で整流を行なう構成とされている。
次に、本第1の実施の形態の作用を説明する。
上記構成のモータ10では、コンミテータ32が、その凹溝42の溝底と接触するブラシ部材44と相対回転することで整流が行なわれる。これにより、アーマチャ24の巻線部28に流れる電機子電流の方向が適宜切り替えられ、該巻線部28及びマグネット30の磁力によるアーマチャ24すなわちアーマチャシャフト14の回転が維持される。
ここで、コンミテータ32は、隣り合うセグメント34間に設けられた絶縁部40が各セグメント34におけるブラシ部材44との接触面を滑らかに連続しているため、ブラシ部材44との接触面は周方向に段差のない滑らかな円形とされており、整流に伴ってブラシ部材44を加振することがない。
そして、ブラシケース46に支持されたブラシ部材44が整流に伴って自転するため、該ブラシ部材44とコンミテータ32(各セグメント34及び各絶縁部40)とは、殆ど滑りを生じることなく転がり接触状態で整流を行なう。転がり摩擦は滑り摩擦と比較して著しく小さいため、長期間に亘る整流によってセグメント34または絶縁部40が選択的に摩耗してしまうことがない。特に、コンミテータ32は、セグメント34が導電性セラミックにて構成されると共に絶縁部40が絶縁性セラミックにて構成され、ブラシ部材44との摺接面を構成するセグメント34と絶縁部40との硬度差がないか極めて小さいため、長期間の使用によるセグメント34または絶縁部40の選択的な摩耗が確実に防止される。
したがって、長期の使用によってセグメント34間に段差が生じることが防止され、ブラシ部材44が整流に伴って加振されることがない状態が長期間に亘り維持されるので、整流に伴うコンミテータ32とブラシ部材44との摺動音を低減することを長期間に亘り維持することができる。
また、図4に示される如く、円形断面を有するブラシ部材44は、コンミテータ32との相対回転方向である該コンミテータ32の周方向に(本第1の実施の形態では、軸線方向から見て)略点接触しつつ整流を行なうため、隣り合う2つのセグメント34に同時に接触することがない。このため、モータ10では、隣り合う2つのセグメント34間に短絡電流が生じることはなく、火花の発生が防止される。
このように、本第1の実施の形態に係るモータ10の整流構造またはモータ10の電機子構造では、コンミテータ32とブラシ部材44との摺動音を低減することができると共に、コンミテータ32とブラシ部材44との摺動すなわち整流に伴う火花発生を防止することができる。そして、コンミテータ32では、これらの効果を得るために、ブラシ部材44との接触面である凹溝42の底面が単純な平滑面とされていれば足り、鏡面仕上げ等の高精度仕上げを必要としないため、例えば、安価かつ簡単なラッピング研磨(研削)にて凹溝42の底面を仕上げたり、高精度成形(一体焼結の場合)には仕上げの機械加工を不要としたり(無切削化したり)することが可能となる。
またここで、モータ10の整流構造またはモータ10の電機子構造では、ブラシ部材44が球形であるため、このブラシ部材44は、その配置に依らず(軸線方向を考慮することなく)コンミテータ32に対し確実に周方向に略点接触させることができる。
そして、コンミテータ32における球形のブラシ部材44との接触面である凹溝42の溝底が、コンミテータ32の径方向に沿う断面視でブラシ部材44に対応した円弧状に形成されているため、ブラシ部材44はコンミテータ32の周方向に直交する軸線方向に沿う方向おいて該コンミテータ32に対し略線接触しつつ整流を行なう。これにより、ブラシ部材44は、隣り合う2つのセグメント34に同時に接触することを防止する機能を維持しつつ、コンミテータ32との接触長さ(面積)を大きく設定することができ、ブラシ部材44からコンミテータ32への導電性が安定化する。
さらにここで、モータ10の整流構造またはモータ10の電機子構造では、ブラシ部材44が圧縮コイルスプリング50の弾発力(付勢力)によってコンミテータ32に押し付けられるため、仮にコンミテータ32の表面に何らかの付着物が付着した場合でも、ブラシ部材44が加振されてコンミテータ32から離間し難く、騒音が発生することが防止または抑制される。
(第2実施形態)
本発明の第2に実施の形態に係る回転電機の整流構造及び回転電機の電機子構造が適用された回転電機としてのモータ60について、図5乃至図7に基づいて説明する。なお、上記第1の実施の形態と基本的に同一の部品・部分については上記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図5及び図6(A)に示される如く、本第2の実施の形態に係るモータ60は、コンミテータ62における軸線と直交する端面にブラシ部36のブラシ部材44が接触する点で、ブラシ部材44が外周面に接触するコンミテータ32を備えたモータ10とは異なる。以下、具体的に説明する。
図6(B)及び図7に示される如く、コンミテータ62は、それぞれ絶縁された複数のセグメント64が周方向に等間隔で配置されて全体として扁平環状に形成されている。具体的には、コンミテータ62は、それぞれ同形状である円弧状(扇状)に形成された8つのセグメント64を備えている。各セグメント64は、コンミテータ62の周方向に等間隔で配置された状態で、該コンミテータ62の軸心部を構成する絶縁リング部66に固定的に保持されている。絶縁リング部66は、その軸線方向一端部から径方向外側に延設されたフランジ部66Aを有しており、このフランジ部66Aは各セグメント64をブラシ部材44との接触面と反対側の面から保持している。
これにより、各セグメント34は、互いに電気的に絶縁された状態でコンミテータ62におけるブラシ部材36側端面の外周側部分を構成している。そして、コンミテータ62は、絶縁リング部66の軸心部を貫通する貫通孔66Bにアーマチャシャフト14が嵌合状態で固着されることで、該アーマチャシャフト14に同軸的かつ一体回転可能に取り付けられている。
また、コンミテータ32における周方向に隣り合うセグメント34間の隙間は、それぞれ絶縁部68によって埋められている。このコンミテータ62(各セグメント64及び各絶縁部68)におけるブラシ部36側の端面の径方向中間部には、環状の凹溝70が設けられている。凹溝70の溝底は、コンミテータ32の径方向に沿う断面視でブラシ部材44の曲率に対応した円弧状に形成されている。したがって、ブラシ部材44は、コンミテータ62に対し、該コンミテータ62の径方向に沿って(接線方向から見て)略線接触し、該コンミテータの周方向に(径方向から見て)略点接触する構成とされている。
この凹溝70は、コンミテータ62に対するブラシ部材44の相対移動(回転)の軌跡に沿って設けられており、溝底がブラシ部材44との接触面とされている。凹溝70の溝底は、周方向に段差(を形成する隙間)のない平滑な曲面とされている。すなわち、各絶縁部68は、凹溝70において各セグメント64間から露出する端面が、径方向の各部で、それぞれセグメント34の端面と面一(深さ一定)とされており、コンミテータ62におけるブラシ部材44との接触面である端面において、隣り合うセグメント64の端面を滑らかに連続している。
以上説明したコンミテータ62は、各セグメント64が導電性セラミックにて構成されると共に、絶縁リング部66及び各絶縁部68が絶縁性セラミックにて構成されている。これにより、コンミテータ62におけるブラシ部材44の接触面である凹溝70の溝底では、周方向の各部において硬度が略均一とされている。このコンミテータ62は、例えば、各セグメント64、絶縁リング部66、及び各絶縁部68を一体焼結することによって構成することができる。また例えば、コンミテータ62は、互いに別部材である各セグメント64と絶縁部68とを貼り合わせた状態で絶縁リング部66に保持し、端面すなわち凹溝70の溝底を、切削等によって周方向に段差のない滑らかな面に仕上げることで構成することができる。
一方、各ブラシ部36は、それぞれのブラシケース46が、その軸線方向をコンミテータ32の軸線方向と平行とされると共にコンミテータ32の軸線に対し互いに対称に配置された状態で、ヨーク12に固定的に保持されている。そして、それぞれ球形に形成された各ブラシ部材44が、給電部材48を介して伝達される圧縮コイルスプリング50の弾発力(コンミテータ62の軸線方向に平行な力)によって、コンミテータ62の凹溝70の溝底に押し付けられている。
モータ60における他の構成は、上記第1の実施の形態に係るモータ10の対応する構成と同様である。
本第2の実施の形態に係るモータ60の整流構造またはモータ60の電気子構造によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、コンミテータ62は、隣り合うセグメント64間に設けられた絶縁部68が各セグメント64におけるブラシ部材44との接触面を滑らかに連続し、ブラシ部材44との接触面は周方向に段差がないため、整流に伴ってブラシ部材44を加振することがない。そして、ブラシ部材44がコンミテータ62(各セグメント64及び各絶縁部68)に対し殆ど滑りを生じることなく転がり接触状態で整流を行なうため、長期間に亘る整流によってセグメント64または絶縁部68が選択的に摩耗してしまうことがない。特に、セグメント64が導電性セラミックにて構成されると共に絶縁部68が絶縁性セラミックにて構成されたコンミテータ62は、ブラシ部材44との摺接面を構成するセグメント64と絶縁部68との硬度差がないか極めて小さいため、長期間の使用によるセグメント64または絶縁部68の選択的な摩耗が確実に防止される。したがって、長期の使用によってセグメント64間に段差が生じることが防止され、ブラシ部材44が整流に伴って加振されることがない状態が長期間に亘り維持されるので、整流に伴うコンミテータ32とブラシ部材44との摺動音を低減することを長期間に亘り維持することができる。
また、円形断面を有するブラシ部材44は、コンミテータ62との相対回転方向である該コンミテータ62の周方向に(本第1の実施の形態では、径方向から見て)略点接触しつつ整流を行なうため、隣り合う2つのセグメント64に同時に接触することがない。このため、モータ60では、隣り合う2つのセグメント64間に短絡電流が生じることはなく、火花の発生が防止される。
このように、本第2の実施の形態に係るモータ60の整流構造またはモータ60の電機子構造では、コンミテータ62とブラシ部材44との摺動音を低減することができると共に、コンミテータ62とブラシ部材44との摺動すなわち整流に伴う火花発生を防止することができる。そして、コンミテータ62では、これらの効果を得るために、ブラシ部材44との接触面である凹溝70の底面が単純な平滑面とされていれば足り、鏡面仕上げ等の項精度仕上げを必要としないため、例えば、安価かつ簡単なラッピング研磨(研削)にて凹溝70の底面を仕上げたり、また高精度成形(一体焼結の場合)には仕上げの機械加工を不要したり(無切削化したり)することが可能となる。
またここで、モータ60の整流構造またはモータ60の電機子構造では、ブラシ部材44が球形であるため、このブラシ部材44は、その配置に依らず(軸線方向を考慮することなく)コンミテータ62に対し確実に周方向に略点接触させることができる。そして、コンミテータ62における球形のブラシ部材44との接触面である凹溝42の溝底が、コンミテータ62の径方向に沿う断面視でブラシ部材44に対応した円弧状に形成されているため、ブラシ部材44はコンミテータ62の周方向に直交する径方向に沿う方向おいて該コンミテータ62に対し略線接触しつつ整流を行なう。これにより、ブラシ部材44は、隣り合う2つのセグメント64に同時に接触することを防止する機能を維持しつつ、コンミテータ62との接触長さ(面積)を大きく設定することができ、ブラシ部材44からコンミテータ62への導電性が安定化する。
さらにここで、モータ60の整流構造またはモータ60の電機子構造では、ブラシ部材44が圧縮コイルスプリング50の弾発力(付勢力)によってコンミテータ62に押し付けられるため、仮にコンミテータ62の表面に何らかの付着物が付着した場合でも、ブラシ部材44が加振されてコンミテータ62から離間し難く、騒音が発生することが防止または抑制される。
なお、上記の各実施の形態では、ブラシ部材44が球形に形成された構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ブラシ部材44に代えて、図8に示される如き円柱状のブラシ部材72を備えた構成とすることもできる。
図8(A)には、それぞれ円柱状に形成された各ブラシ部材72の外周面がコンミテータ74の外周面に接触する、第1変形例に係る構成が示されている。コンミテータ74は、凹溝42が設けられていない点を除いてコンミテータ32と同様の構成とされている。この構成では、ブラシ部材72とコンミテータ74とは、コンミテータ74の軸線と平行な、すなわち周方向に直交する一直線上で互いに略線接触しており、コンミテータ74の周方向には(軸線方向視では)略点接触している。そして、コンミテータ74の軸線廻りの回転によって、各ブラシ部材72は自らの軸線廻りに自転しつつコンミテータ74と転がり接触状態で整流を行なう。なお、この構成では、ブラシ部材72とコンミテータ74とを略線接触させると共にブラシ部材72を2つのセグメント34に同時に接触させないために、各ブラシ部材72を、それぞれの軸線がコンミテータ74の軸線に対し略平行になるように支持する。この第1変形例に係る構成によっても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、ブラシ部材72が円柱状に形成されていることにより、凹溝42を設けることなく、ブラシ部材72とコンミテータ74とを略線接触させて導電性を安定させることができる。
図8(B)には、各ブラシ部材72がコンミテータ76の端面に接触する、第2変形例に係る構成が示されている。コンミテータ76は、凹溝70が設けられていない点を除いてコンミテータ62と同様の構成とされている。この構成では、ブラシ部材72とコンミテータ76とは、コンミテータ76の径方向に沿って、すなわち周方向に直交する一直線上で互いに略線接触しており、コンミテータ76の周方向には(径方向視では)略点接触している。そして、コンミテータ76の軸線廻りの回転によって、各ブラシ部材72は自らの軸線廻りに自転しつつコンミテータ76と転がり接触状態で整流を行なう。なお、この構成では、ブラシ部材72とコンミテータ76とを略線接触させると共にブラシ部材72を2つのセグメント64に同時に接触させないために、各ブラシ部材72を、それぞれの軸線がコンミテータ76の軸線に対し略直交するように支持する。この第2変形例に係る構成によっても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、ブラシ部材72が円柱状に形成されていることにより、凹溝70を設けることなく、ブラシ部材72とコンミテータ76とを略線接触させて導電性を安定させることができる。
また、上記の各実施の形態では、ブラシ部材44、72がコンミテータ32、62、74、76の外周面または端面に接触する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示される如き構成とすることもできる。
図9(A)には、各ブラシ部材44との接触面である凹溝78が円錐面(テーパ面)に設けられた第3変形例に係るコンミテータ80が示されている。すなわち、コンミテータ80を構成する各セグメント82及び絶縁部84が円錐面を構成し、該円錐面にブラシ部材44の相対回転軌跡に沿って凹溝78が形成されている。凹溝78の溝底は、コンミテータ80の径方向に沿った断面視で、ブラシ部材44の曲率に対応した円弧状に形成されている。すなわち、ブラシ部材44は、コンミテータ80に対し母線方向に沿って略線接触しており、周方向には(母線方向視では)コンミテータ80に対し略点接触している。この構成では、コンミテータ80の軸線廻りの回転によって、各ブラシ部材44は自らの軸心廻りに自転しつつコンミテータ80と転がり接触状態で整流を行なう。この第3変形例に係る構成によっても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図9(B)には、各ブラシ部材72との接触面が円錐面である第4変形例に係るコンミテータ86が示されている。コンミテータ86は、凹溝78が設けられていない点を除いてコンミテータ80と同様の構成とされている。この構成では、ブラシ部材72とコンミテータ86とは、コンミテータ86の母線に沿って、すなわち周方向に直交する一直線上で互いに略線接触しており、周方向には(母線方向視では)コンミテータ86に対し略点接触している。そして、コンミテータ86の軸線廻りの回転によって、各ブラシ部材72は自らの軸線廻りに自転しつつコンミテータ86と転がり接触状態で整流を行なう。この第4変形例に係る構成によっても、上記各実施の形態または図8に示す第1または第2変形例と同様の効果を得ることができる。
図9(C)には、それぞれコンミテータ86の円錐面と母線方向に沿って略線接触する、第5変形例に係るブラシ部材88が示されている。各ブラシ部材88は、円錐状に形成されており、それぞれの軸線がコンミテータ86の軸線と平行になるように保持されている。これにより、ブラシ部材88とコンミテータ86とは、コンミテータ86の母線に沿って、すなわち周方向に直交する一直線上で互いに略線接触しており、周方向には(母線方向視では)コンミテータ86に対し略点接触している。そして、コンミテータ86の軸線廻りの回転によって、各ブラシ部材88は自らの軸線周りに自転しつつコンミテータ86と転がり接触状態で整流を行なう。この第5変形例に係る構成によっても、上記各実施の形態または図8に示す第1または第2変形例と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明におけるブラシ部材は、コンミテータに対し周方向に略点接触する円形断面を有し、かつコンミテータ(整流子)との相対回転によって自転するものであれば足り、その形状やコンミテータにおける接触部位によって限定されることはない。したがって、図示は省略するが、例えばブラシ部材を、円柱部と半球部や円錐部とを組み合わせた構成とすることも可能である。
一方、本発明における整流子は、ブラシ部材との接触面が各セグメント34、64、82と各絶縁部40、68、84とで周方向に段差のない滑らかな面として構成されていれば足り、上記各形状には限定されない。したがって、例えば、接触面が内テーパ状、または断面視で曲線となるテーパ状(ブラシ部材が紡錘型となる形状等)に形成されても良い。特に、本発明は、セグメント34、64が導電性セラミックにて構成されると共に絶縁部40、68が絶縁性セラミックにて構成されたコンミテータ32、62(または同様の材質で構成されたコンミテータ74、76、80、86)が、従来のブラシ104と摺接しつつ整流を行なうものであっても良い。この場合、火花の発生については考慮されないが、ブラシ部材44、72(88)とコンミテータ32との摺動音を防止することができる。
さらに、本発明は、コンミテータ32等との相対回転によって上記の通り自転するブラシ部材44、72、88を備えた構成においては、コンミテータ32、62等のセグメント34、64が導電性セラミックにて構成されると共に、絶縁部40、68が絶縁性セラミックにて構成されることに限定されることはない。したがって、例えば、各セグメント34、64、82を銅にて構成すると共に、隣り合うセグメント34間等に銅よりも硬度の低い(摩耗しやすい)樹脂材を封入して各絶縁部40、68、84を構成しても良い。この構成によっても、ブラシ部材44等が整流に伴って自転することにより、絶縁部40等の磨耗が抑制され、長期間に亘り上記摺接音を防止することができる。また、隣り合うセグメント34間等の段差を解消する絶縁部40等を備えたコンミテータ32等を、例えばインサート成形等によって容易に得ることができる。
さらに、上記の各実施の形態では、弾発部材として圧縮コイルスプリング50を備えた構成を示したが、本発明は弾発部材の具体的に構成によって限定されることはなく、例えば、弾発部材として板ばねやゴム部材等を用いることができる。
さらにまた、上記の各実施の形態では、マグネット式の直流モータであるモータ10、60に本発明に係る回転電気の整流構造または電機子構造を適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、ブラシと整流子とで整流を行なう如何なる回転電機にも本発明が適用可能であることは言うまでもない。
本発明の第1の実施の形態に係る回転電機整流構造が適用されたモータの概略全体構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る回転電機整流構造を示す図であって、(A)はコンミテータとブラシ部とを示す正面図、(B)はコンミテータの側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る回転電機整流構造を構成するコンミテータとブラシ部材とを示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る回転電機整流構造を構成するコンミテータとブラシ部材との接触状態を示す一部拡大した正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る回転電機整流構造が適用されたモータの概略全体構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る回転電機整流構造を示す図であって、(A)はコンミテータとブラシ部とを示す側面図、(B)はコンミテータの正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る回転電機整流構造を構成するコンミテータとブラシ部材とを示す斜視図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る回転電機整流構造を構成するコンミテータとブラシ部材とを示す図であって、(A)は第1変形例の斜視図、(B)は第2変形例の斜視図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る回転電機整流構造を構成するコンミテータとブラシ部材とを示す図であって、(A)は第3変形例の側面図、(B)は第4変形例の側面図、(C)は第5変形例の側面図である。 従来の整流子とブラシ部材との接触状態を示す正面図である。
符号の説明
10…モータ(回転電機)、14…アーマチャシャフト(回転軸)、24…アーマチャ(電機子)、32…コンミテータ(整流子)、34…セグメント、40…絶縁部、42…凹溝、44…ブラシ部材、50…圧縮コイルスプリング(弾発部材)、60…モータ(回転電機)、62…コンミテータ(整流子)、64…セグメント、68…絶縁部、70…凹溝、72…ブラシ部材、74・76・80・86…コンミテータ(整流子)、82…セグメント、84…絶縁部、88…ブラシ部材

Claims (9)

  1. ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ前記整流子の軸心廻りに相対回転して整流を行なう回転電機の整流構造であって、
    前記整流子は、周方向に複数設けられたセグメントと、隣り合う前記セグメント間に設けられ各セグメントにおける前記ブラシ部材との接触面を滑らかに連続する絶縁部とを有し、
    前記ブラシ部材は、前記整流子の周方向に該整流子と略点接触する円形断面を有する形状とされ、前記整流子との相対回転によって自転可能に支持されている、
    ことを特徴とする回転電機の整流構造。
  2. 前記ブラシ部材を球状に形成した、ことを特徴とする請求項1記載の回転電機の整流構造。
  3. 前記整流子における前記ブラシ部材との接触面を、前記ブラシ部材が前記整流子の周方向との直交方向に沿って略線接触する円弧状断面を有する凹溝とした、ことを特徴とする請求項2記載の回転電機の整流構造。
  4. 前記ブラシ部材を円柱状または円筒状に形成した、ことを特徴とする請求項1記載の回転電機の整流構造。
  5. 前記絶縁部を樹脂材にて構成した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の回転電機の整流構造。
  6. 前記セグメントを導電性セラミックにて構成すると共に、前記絶縁部を絶縁性セラミックにて構成した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の回転電機の整流構造。
  7. 前記ブラシ部材は、弾発部材の弾発力によって前記整流子に押し付けられている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の回転電機の整流構造。
  8. ブラシ部材と整流子とが互いに接触しつつ前記整流子の軸心廻りに相対回転して整流を行なう回転電機の整流構造であって、
    前記整流子は、
    それぞれ導電性セラミックより成り、周方向に沿って互いに離間して配置された複数のセグメントと、
    それぞれ絶縁性セラミックより成り、隣り合う前記セグメント間に設けられて各セグメントにおける前記ブラシ部材との接触面を滑らかに連続する絶縁部と、
    を有して構成されていることを特徴とする回転電機の整流構造。
  9. 回転軸に連結されたコアと、前記コアに巻き回された巻線部と、前記回転軸に連結されると共に前記巻線部に電気的に接続された整流子と、前記整流子と接触しつつ相対回転するブラシ部材とを備え、
    前記整流子と前記ブラシ部材とに請求項1乃至請求項8の何れ1項記載の回転電機の整流構造を適用した、ことを特徴とする回転電機の電機子構造。
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