図1〜図14を用いて、本発明の投影光学系のベストフォーカス面の位置の計測方法の実施形態について説明する。
投影露光装置の概略構成を図1および図2を参照して説明する。本実施例は投影露光装置において投影光学系のベストフォーカス面の位置を計測する場合に本発明を適用したものである。尚、以下の実施例においてはレンズ投影を利用した投影露光装置に適用しているが、ミラー投影を利用したものや、これらを組み合わせて利用したものに適用することも可能である。
図1は本実施例における投影露光装置の概念図を示している。この図1において、1は露光光用の光源である。光源1としては、高圧水銀灯又はエキシマレーザ光源等が使用できる。高圧水銀灯を用いる場合には、光源1から射出された露光光は楕円鏡1aで集光された後に、インプットレンズ2を経てフライアイレンズ3の入射面3aに入射する。フライアイレンズ3の射出面3b側の後側(レチクル側)焦点面には多数の2次光源が形成され、これら2次光源から射出された露光光は、開口絞り4、第1リレーレンズ5、投影式レチクルブラインド6、第2リレーレンズ7、メインコンデンサーレンズ8を経てレチクル9を概略均一な照度で照明する。投影式レチクルブラインドとレチクル9のパターン面形成面とは共役であり、投影式レチクルブラインドによりレチクル9上の照明領域が設定される。
開口絞り4は、切り替えにより図3に示す開口絞り4aまたは4bに切り替えられ、あるいは任意の位置に任意の大きさで開口部を形成できるように構成されている。
露光光のもとで、レチクル9のパターン形成面に形成されたパターンの像が、投影光学系10を介してウエハステージ12上に載置されたウエハ11の露光面上に転写される。フライアイレンズ3の後側焦点面は投影光学系10の瞳面とほぼ共役である。ウエハステージ12は、詳細は省略するが、投影光学系10の光軸に垂直な面内の任意の位置にウエハ11を位置決めするXYステージおよび投影光学系10の光軸に平行な方向でウエハ11の露光面の位置、即ちフォーカス位置を設定するZステージ等より構成されている。
また、本実施例ではウエハ11の露光面のフォーカス位置を検出するためのオートフォーカス系13が設けられている。オートフォーカス系13は、ウエハ11の露光直に例えばスリット状の検出パターンの像を、投影光学系10の光軸に対して斜めに投影する送光系13aと、その露光直からの反射光を受光してその検出パターンの像を再結像する受光系13bとから構成されている。ウエハ11の露光直のフォーカス位置(高さ位置)が変化すると、その再結像される検出パターンの像の位置が変化することから、この像位置を検出することでフォーカス位置の変化を検出することができる。受光系には、その再結像された検出パターンの位置に応じて変化するフォーカス信号を生成する光電検出器13cが組み込まれ、そのフォーカス信号が所定のレベルに維持されるように制御系13dによってウエハステージ12中のZステージを駆動することにより、ウエハ11の露光直のフォーカス位置を所定の位置(フォーカス状態)に維持することができる。
また、フォーカス信号は所定の範囲内でフォーカス位置の変化に対してほぼ直線的に変化するので、逆にフォーカス信号のレベル変動からフォーカス位置の変動を知ることができる。更にウエハステージ12中のZステージにも投影光学系10の光軸方向の位置を検出するための高さセンサ(不図示)が組み込まれている。
14はウエハ11の位置情報を検出する為のオフ・アクシスのウエハアライメント系を示し、構成はよく知られているため詳細は省略してある。ウエハアライメント系14はウエハ11の各ショット領域の近傍に形成されたアライメントマークを検出する。
この場合、ウエハアライメント系14の検出中心とレチクル9の中心の共役像との間の間隔、即ち所謂ベースライン量を求めておくことにより、ウエハアライメント系14で計測したアライメントマークの位置に基づいてウエハ11の各ショット領域のアライメントを正確に行なうことができる。更に、ウエハアライメント系14は種々のマークの検出をも行なうことができる。
図2は図1中のレチクル9の部分的な拡大図を示している。この図2において示されているのは、レチクル9の下側(投影光学系10側)のパターン形成面に間隔DRで形成された、大きさの異なる矩形マーク9aおよびマーク9bである。
続いて本実施例の計測方法について説明する。
開口絞り4aおよび4bの開口の位置はウエハ面に入射する光の角度(NA)に相当するため、開口部の位置を光路の中心から離せば、その分入射角度は大きくなり、デフォーカス(Z)に対する横ずれ量も大きくなり、分解能が高くなる。また、開口部の大きさを大きくすると、収差の影響を低減でき平均的な像面位置を決定できる。横ずれのシフト量を見るためには、2つのパターンの距離を見る必要がある。そのため、開口絞り4aを使ってダミーウエハ上にマーク9aおよび9bを露光し、次にウエハ上に焼き付けられたマーク9aの潜像とマーク9bの投影像が、又はマーク9aの投影像とマーク9bの潜像が、ベストフォーカス状態であれば完全に中心を等しくして重なり合うようにウエハステージをマークの配列方向にDRX投影倍率だけ移動させ、開口絞り4bに切り替えて露光する。
そして、ダミーウエハを現像後、露光により形成されたマーク9aと9bの相対位置ずれ量をたとえば投影露光装置の位置合わせマーク検出系、あるいは装置外の光学顕微鏡等の測定機を使って測定する。この際、ベストフォーカス面において露光された場合は両マークのマーク中心のシフトが0であるので、フォーカスのずれ量はシフト量そのもの(の比例値)として表わされる。この場合、開口絞り4aでのフォーカスによるシフト変化はほとんどないため、絞り4bでのフォーカス変化を見ることができる。
ウエハ平坦度が十分小さく平坦な場合、予めフォーカスに対するシフト量即ちフォーカスに対する位置ずれ変化(以下敏感度と呼ぶ)を求めておけば、ショット内各像高のシフトの差はフォーカスの差に変換され、像面が求まる。さらに、敏感度が像高によらず常に一定でかつシフト量がフォーカスに対しリニアーに変化するフォーカスレンジ内であれば、求めた像面はオートフォーカス系の検出誤差やZ駆動の誤差に影響されないため、主な誤差要因はウエハ平坦度のみとなる。そのため、ダミーウエハ上で複数ショット各々に対して上記重ね焼きを行い、各ショットで現像後の測定を行なえば、ショット数を増やした分だけ平坦度の誤差が平均化され精度が上がる。
本実施例は特に、照明光の主光線の入射方向を異ならせて投影したマークの像がもともと重なって形成されるようにしてあるので、両者の中心位置間隔はマークの大きさにかかわらずもともと小さく、よって両者のずれにより測定を実行する本方法は測定値に対して発生する誤差も原理的に小さい。即ち測定値に0.1%の誤差が不可避である装置を利用して測定する場合、もともとの想定される測定値が小さいが故に誤差も小さくなるものである。また、マークを必要以上に小さくする必要もないので、マークの形状誤差も不要に増大させる心配もない。
以下に第二実施例の説明を行なう。本実施例においては、開口絞り以外においては第一実施例と同様なので、その他の説明、図面は省略する。また、以降の実施例の説明においても、前出と同様の内容は説明等を省略する。
コマ収差の影響の大きい投影露光装置において先の実施例の開口絞りの組合せで露光した場合、コマ収差の影響を受けてフォーカスシフト量にオフセットが生じてしまう場合がある。これをキャンセルしかつ2倍のフォーカス分解能を得るために、第2実施例では図3に示した開口絞り4cおよび4dの組合せで先の実施例同様な露光を行なう。開口絞り4cと4dは照明光学系の光軸に関して互いに軸対称の間係になっており、これによりレンズ収差の奇関数で表わされる成分は全てキャンセルされる。かつ偶関数成分は全て2倍の敏感度になるため、ベストフォーカス位置計測の分解能を2倍に上げることができる。
ところで、球面収差によりベストフォーカスに変化が生じることが知られている。この場合像高内での球面収差の違いが像面を変化させることになる。通常ベストフォーカスを決める手段は様々で、その手段や条件により値は異なってくる。更に球面収差の影響の受け方もその手段や条件により異なる為、そういった手段や条件の影響を受け難い方法で像面(ベストフォーカス)を決定する方法が望まれる。ここではベストフォーカスの定義をガウス像面(近軸像面)と定義し、球面収差の影響を取り除いたベストフォーカスの計測方法について、前の実施例と異なる部分に絞って述べる。
先の第二実施例において、最低次の球面収差が発生した場合の主光線の傾斜角の違いによるベストフォーカスのシフト(ガウス像面からの)を図4に示す。マーク9a及び9bが露光波長に対し十分大きい場合、開口絞り4cで照明されたマーク9a,9bの回折光はほとんど広がらず主光線の傾斜角で投影光学系10の瞳面のある微少領域に到達し、その瞳面のある微少領域に対応する投影レンズ10の波面収差(ここでは球面収差成分のみの波面収差)の影響を受け、その波面の傾斜だけマーク9a、9bの結像位置(ウエハ)11において横ずれを生じさせる。
更に先の実施例同様マーク9aの潜像とマーク9bの投影像が重なるようステージを移動させ、開口絞り4dにて第2の露光を行う。前述同様マーク9a,9bの回折光は主光線の傾斜角で投影光学系10の瞳面のある微少領域に到達し、その瞳面のある微少領域に対応する投影レンズ10の波面収差(ここでは球面収差成分のみの波面収差)の影響を受け、その波面の傾斜だけマーク9a、9bの結像位置11において横ずれを生じさせる。
この際瞳面上の回折光の位置は第1の露光の際の位置に対して、軸対象のため球面収差成分のみの波面の傾斜は投影レンズ10の光軸に対し対称で等しいため、マーク9a、9bの結像位置11において横ずれも反対方向にしかも等しい量発生する。従って現像後重なったマーク9a,9bの相対位置ずれを計測した場合、本来ベストフォーカス状態であっても両マーク中心間には位置ずれが生じている、即ちベストフォーカスのシフトとなる。
この球面収差によるベストフォーカスシフトの影響を受け難くするには、あらかじめ球面収差による波面の傾斜を計測処理しておく必要がある。波面の傾斜は瞳面上の位置により変化する。瞳面上の位置は通常、投影露光系のNAを1として表わされ、この値は照明光の主光線の傾斜角をσ換算した値と一致する。従って開口絞り4c及び4dの開口部の位置を波面の傾斜がフラツトな瞳面上の位置になるよう設定することで、球面収差によるベストフォーカスシフトの影響を受けなくすることができる。計算式は以下のように与えられる。
∂W(R)/∂R=0
W(R)=a(6R4−6R2+1)+b(20R6−30R4+12R2−1)+c(70R8−140R6+90R4−20R2+1)+d(252R10−639R8+560R6−210R4+30R2−1)+e(924R12−2772R10+3150R8−1680R6+420R4−42R2+1)
ここで W(R)・・・球面収差成分の波面収差関数
R・・・投影露光系瞳位置
a,b,c,d,e・・・Zernik係数
このことから例えば全像高で平均的に波面の傾斜がフラットな瞳面上の位置に開口絞り4c及び4dを設定すれば、球面収差による像面への影響を小さくすることができる。
更に各像高毎の波面収差が分かっていれば、以下の式から球面収差によるベストフォーカスのずれを像高毎に補正した像面を算出することができる。
Fc=k・∂W(Ro)/∂R
ここでFc・・・ベストフォーカス補正量
k・・・・フオーカス敏感度係数
Ro・・・照明光の主光線の傾斜角をσ換算した値
なお、木実施例では像面(ベストフォーカス位置分布)を求めることになるので、先の実施例とはレチクルを以下のように異ならせている。
即ちレチクル9の下側のパターン形成面に矩形マーク9aおよびマーク9bを間隔DRで交互に複数組配列すると共に、このような列をこの配列方向とは垂直方向にも複数配列し、レチクル面上に矩形マーク9aおよびマーク9bを2次元配列している。重ね焼きに際しては1回目の露光後に間隔DRでの配列方向にステージをDRX投影倍率分だけ移動して2回目の露光を行なう。その際の開口絞り4cと4dの切り換えについては前述と同様である。
このようなレチクルを用いれば、前述実施例のベストフォーカス位置計測方法を各重ね合わせマーク位置について行なうことで、像面データを各像高位置(マクロに見た場合の2マーク形成位置であり、厳密にはダミーウエハ上で重ねられたレチクル上2マークの中心位置)のベストフォーカス位置の分布として得ることができる。
次に開口絞りを変えないで、開口が大きい通常の1つの開口絞りを使用して計測する第四実施例について説明する。
本実施例においては、図5に示したようなマスク(レチクル)を使用し像面を計測する。マスク図5は通常のクロム面に第一又は第三実施例同様の配置で(A)に示すようなマーク15a及びマーク15bが形成されている。ここでは第三実施例同様像面計測用マスクとして説明する。更にこれらマーク15a,15bの反対の面(通常のガラス面)にもクロムもしくは露光光を遮光できる材料で、開口部もしくはホール15c,15dを形成してある。(B)はこのマスクの断面模式図である。
開口15cはマーク15aをまた開口15dはマーク15bにそれぞれ入射する照明光の光線の傾斜角を制限している。その制限された傾斜角の光線の主光線の傾斜角が異なる、あるいは主光線の傾斜角が等しくかつ入射方向が入射面に対して対象な照明光を照射するよう、以下の条件で形成されている。
s=(NAul・σa・t/m)/n
q=(NAul・t・σb/m)/n
ここにsはマーク15aと開口15cの距離あるいはマーク15bと開口15dの距離、NAulは投影レンズの開口数、σaは開口15cあるいは15dの制限した照明光の傾斜角の主光線のσ値、tはマスクのガラス厚、qは開口15cあるいは15dの直径、σbは制限する照明光の傾斜角の幅をσ換算した値、mは投影光学系の縮小倍率、nはマスク材質で決まる屈折率とする。
更にこの時開口15cとマーク15bあるいは開口15dとマーク15aの位置関係から決まる入射可能な傾斜角の照明光はあらかじめ照明系の開口絞り5によりカットする、もしくはあらかじめマーク15a,15bと開口15c,15dの位置関係を次の式を満足するよう形成しておく必要がある。
p≧NAul・t・(σo−σa)/m
ここにpはマーク15aと15bの距離、σoは照明系の開口絞り4のσ値とする。
図5の様なマスクを使用し、先の実施例同様1度の露光でダミーウエハ上にマーク15a,15bを露光した後、マーク15aの潜像とマーク15bの投影像(あるいはその逆)が重なり合うようにステージを移動させ、同一の開口絞り5で再度マーク15a,15bを露光する。そして、現像後に露光形成されたマーク15aと15bの相対位置ずれ量を測定植を使って測定する。この様なマーク15a、15bのマークのペアーおよびこれに対応した開口15c、15dをマスク上、像高毎に形成しておき、前述した2回の露光により重なり合った15aと15bのマークの相対位置ずれ量を像高毎に計測することで、像面計測が可能となる。またこの方法では、照明系のテレセンずれによる影響を考えなくて済む為、より高精度な手法である。
以上の第一〜第四実施例において、図1に示す投影露光装置によって上記計測とそれに基づく補正処理を行なう場合の(不図示の)制御系による制御フローを図6に示す。
制御系では感光基板(ダミーウエハ)と前述の形態のレチクルをそれぞれよく知られている搬送系でステージ上にロードし、前述のようにして1回目の露光、ウエハステージ移動によるマーク合わせ、2回目の露光を行う。これは一度でもよいが、本実施例では前述した平均化のため、感光基板上の各ショットにステップアンドリピートで1回目の露光を順次行なった後、ウエハステージ移動によるマーク合わせと2回目の露光を感光基板上の各ショット毎にこれを繰り返す。
露光された感光基板の現像および他の計測器によるマーク計測は装置外の別システム、あるいはオペレータのマニュアル処理で行われる。工場全体を管理する中央制御系でこれらも他のステップと一括して制御するようにしてもよい。一方これを投影露光装置自身のマーク検出系で行う場合は、現像後の基板のステージヘのロード(不図示)後に検出系でマーク計測を実行させる。
得られた計測結果を基に制御系内で、各像高点別に、照明条件Aで照明されたマークの中心位置(のずれ量)の全ショット平均値と照明条件Bで照明されたマークの中心位置(のずれ量)の全ショット平均値が算出され、これらの差分から各像高における平均マークずれ量が得られる。これをフォーカス量に換算して投影光学系の像面が算出される。
得られた像面を元に、たとえばショット照明範囲における平均フォーカス位置を得、これに基づいて現在のオートフォーカス系13のオフセット値の補正を行なう。更に投影光学系内の不図示の像面補正光学系にフイードバックをかけ、像面補正を行なう。
図7に測定系のオフセットまで考慮した制御フローの変形例を示す。図7では実際に露光が行なわれるショットの配置を説明する図をフローチャート右側に示してある。
制御系で感光基板(ダミーウエハ)と前述の形態のレチクルをそれぞれよく知られている搬送系でステージ上にロードするところまでは同様である。そして、前述とは異なり、まず感光基板上の上述測定用のショット以外に複数の別枠のショットを設け、これら別枠ショットも含めてフォーカス位置を変えることなく各ショットにステップアンドリピートで1回目の露光を順次行なう。次にステージを最初の別枠ショット露光位置まで移動し、そこから別枠ショットについては1回目の露光と同じ照明条件(第一、第二、第三実施例においては同じ開口絞り)で前述したマークの重ね合わせが成されるようにステージを移動させ、2回目の露光を行なう。これをステップアンドリピートで順次別枠ショットに実施する。
尚、第四実施例においては図5に示すようなマーク15a、15bのマークおよびこれに対応した開口15c、15dの1セットをマーク間隔がDRである方向に1列に複数セット配列し、これに隣接して開口15c、15dに対するマーク15a、15bの配置を逆転させた1セットが平行に1列に複数セット配列されるような配置を設け、且つこれが前述マーク間隔DRである方向に垂直な方向に繰り返される構成のレチクルとしておく。そしてこの別枠ショットの露光においては、隣接する列の同じ照明条件の異なるマークの投影像が感光基板上の潜像に、ベストフォーカス状態で中心が合致する形で重ね合わされて露光が実行されるようにすればよい。
その後、1回目の露光で順にフォーカス位置を異ならせて露光が成された各ショットに対して、前述各実施例の説明で行なったように、マークの重ねあわせと1回目とは異なる照明条件での2回目の露光が、各ショットにステップアンドリピートで順次実行される。
露光された感光基板の現像および他の計測器によるマーク計測は装置外の別システム、あるいはオペレータのマニュアル処理で行われる。工場全体を管理する中央制御系でこれらも他のステップと一括して制御するようにしてもよい。一方これを投影露光装置自身のマーク検出系で行なう場合は、現像後の基板のステージヘのロード(不図示)後に検出系でマーク計測を実行させる。
得られた計測結果を基に制御系内で、各像高点別に、照明条件Aで照明されたマークの中心位置(のずれ量)の全ショット平均値と照明条件Bで照明されたマークの中心位置(のずれ量)の全ショット平均値が算出され、これらの差分から各像高における平均マークずれ量が得られる。一方、同じ照明条件にて重ね焼き露光が行なわれた別枠ショットにおいては、各像高点別に、重ね焼きされた両マーク間の中心位置の全ショット平均値が算出される。本来一致しているべきこれら別枠ショットでのマーク間のずれが本計測系におけるオフセット値となる。各像高毎にずれ量平均値からこのオフセット値を減算し、これをフォーカス量に換算して投影光学系の像面が算出される。
得られた像面を元に、たとえばショット照明範囲における平均フォーカス位置を得、これに基づいて現在のオートフォーカス系13のオフセット値の補正を行なう。更に投影光学系内の不図示の像面補正光学系にフィードバックをかけ、像面補正を行なう。
図8に示すフローチャートは図7に示す制御フローの変形例を示すもので、特に第二、第三実施例の計測方法を実施する際、オフセット値を得るための別枠ショットの露光方法を図7のものとは変えたものである。即ち別枠ショットにおいては1回目露光も2回目露光も開口絞り4c、4dのいずれもない大きな開口(開口絞り4)の照明状態でフォーカス位置を変えずに順次露光される。このようにして得られた別枠ショットでのマークずれよりオフセット値が得られるものである。他は同様のため、説明は省略する。
以下に第五実施例を説明する。本実施例においても、使用する装置構成やレチクル構成、開口絞りは図1〜3に示してあるものと同様であるので、説明等を省略する。
本実施例では開口絞り4aおよび4bを用いる。前述したように、開口絞り4aおよび4bの開口の位置はウエハ面に入射する光の角度(NA)に相当するため、開口部の位置をその中心から離せば、その分入射角度は大きくなり、デフォーカス(Z)に対する横ずれ量も大きくなり、分解能が高くなる。また、開口部の大きさを大きくすると、収差の影響を低減でき平均的な像面位置を決定できる。横ずれのシフト量を見るためには、2つのパターンの位置ずれを計測する。
計測の仕方を説明する。まず、ダミーウエハの1番目のショットに第1の照明条件の開口絞り4aを使ってマーク9aおよび9bを露光し、次にウエハステージ12をステップ移動させ、2番目のショットに前記露光とは同じフォーカス位置で露光する。このような露光を繰り返し(ステップアンドリピート)、数ショットに露光する。ここで、ダミーウエハの平坦度は充分高いものとする。
次に第2の照明条件露光に移る。ウエハステージ12を前記第1の照明条件の露光の第1ショットに戻りマーク9aの潜像とマーク9bの投影像(あるいはマーク9aの投影像とマーク9bの潜像)の中心がベストフォーカス時に重なり合うようにウエハステージ12を移動させ、開口絞り4bに切り替えて前記第1の照明条件と同様ウエハステージ12をステップ移動させながら同じ数だけショットを露光する。但しこの際各ショット露光時における高さ位置を所定量ずつ変化させる。その際の各ショットにおけるフォーカス位置(ウエハ高さ位置)は測定され、記憶されている。これにより、後述する後工程の近似処理を可能にしている。
そして、露光されたマーク9aと9bの相対位置ずれ量を測定植を使ってショット毎に測定する。ベストフォーカス面は位置ずれが0であるので、フォーカスのずれ量は位置ずれとして表わされる。即ち各ショットのマーク間相対位置ずれ量は対応するウエハ高さ位置でのデフォーカス量と1対1対応していることになる。よって位置ずれ量と露光した際のフォーカス位置の関係を直線近似し、その式から位置ずれが0となるフォーカス値を前記近似式から直接求める。この場合、開口絞り4aでのフォーカスによる位置ずれ変化はほとんどないため、絞り4bでのフォーカス変化を見ることができる。
ここで前記第1の照明条件での露光の際、フォーカス状態を変えずにステッブアンドリピート露光を行なったが、開口絞り4aでのフォーカスによるシフト変化がほとんど無いとすれば、フォーカスを変えても問題ない。
更に第三実施例で説明したように、前記9a及び9bのマークの組みを同一のレチクルに数箇所配置しておけば、前記手法に従い露光を行い、各像高毎に前記手法に従いベストフォーカスを求めることで、像面の計測が可能となる。フォーカスを変えながら露光する事により、フォーカスに対する位置ずれ変化、即ち敏感度が投影系10のレンズ収差により各像高位置で一定でない場合、このような敏感度の違いによる誤差なしにベストフォーカスを求めることができる。
この際フォーカス位置を変化させる事によるフォーカス位置決め(高さ制御)精度の影響が問題となるが、各フォーカス位置それぞれで位置決め精度が影響しており、複数ショットの露光を行なうことで必然的に計測結果は平均化効果を受けている。たとえフォーカスを固定して行なった場合も同様フォーカス位置決め精度の影響を考慮して精度を上げるには数ショット露光し平均化する必要があることを考えれば、本実施例の計測でも露光及び計測の時間は実質的には変わらない。単純に測定ポイント(ショット)数nとすると、1/√nの平均化効果が期待できる。
また像面に対しては露光されたショット内のフォーカス位置決め誤差はどの像高でも基本的に同じであるので、位置ずれ誤差は像高毎の敏感度の違いによって発生する。図9に像高による敏感度が10%ばらついた場合、このような投影光学系を計測したときに像面のバラツキ(計測エラー)がどの程度発生するかをSimulationしだ結果を示す。測定ショット数を増やすことでほとんど像面への影響は無視できる事がわかる。
更に上記直線近似を行なう際、図10にあるように実際のカーブは直線にならないため、どのフォーカス範囲で直線近似を行なうかによって像面の測定誤差になってしまう。これについても図11に示したように実際フォーカス範囲を変えて像面を測定したところ、本実施例のようにフォーカス位置を変化させて得たデータより直線近似を行なって計測を行なった場合は、一概に像面への影響は小さい事がわかる。逆にフォーカス位置を固定して像高で一定の敏感度から像面を算出した場合は、固定したフォーカスの位置により像面にばらつきが存在する。
第五実施例の場合も第二実施例同様開口絞り4c、4dを用いることで、コマ収差の影響を除去し分解能を2倍にすることができる。これを第六実施例として説明する。
図3に示した開口絞り4cおよび4dの組合せで先の第五実施例同様な露光を行なう。前述のように開口絞り4cおよび4dは互いに軸対称の関係になっており、これによりレンズ収差の奇関数で表わされる成分は全てキャンセルされる。かつ偶関数成分は全て2倍の敏感度になるため、フォーカスの分解能を2倍に上げることができる。
この場合も第五実施例と同様開口絞り4cでフォーカスを変えながら数ショット露光を行い、ウエハステージ12を前記第1の照明条件の露光の第1ショットに戻り、マーク9aの潜像とマーク9bの投影像(又はその逆)の中心がベストフォーカス状態で一致して重なり合うようにウエハステージ12を移動させ、開口絞り4dに切り替えて、前記第1の照明条件の時と同様に各ショットのフォーカス位置を各ショットで前回と同じになるように変化させながら同じ数だけのショットを露光する。
現像後に露光形成されたマーク9aと9bの相対位置ずれ量を測定機を使ってショット毎に測定する。位置ずれ量と露光した際のフォーカス位置の関係を直線近似し、その式から位置ずれが0となるフォーカス値を前記近似式から直接求める。前記9a及び9bのマークの組みを同一のレチクルに数箇所配置してあるので、前記手法に従い露光を行い、各像高毎に前記手法に従いベストフォーカスを求めることにより、ベストフォーカス位置の分布としての像面の計測が可能となる。さらに第三実施例で示したように開口絞り4c、4dの位置を照明光の波面の傾斜がフラットな瞳面上位置とすれば、より測定精度が向上するものである。
また、第五実施例において第三実施例で使用したように開口絞りを変更することなく通常の1つの開口絞りを使用し、図5のマスクを用いて計測を実行することも可能である。これを第七実施例として説明する。
図5の様なレチクルを使用し、マーク15a,15bに開口15c,15dから照明が十分に照射される照明条件で先の実施例同様フォーカスを変えながらマーク15a,15bを数ショット露光後、ウエハステージ12を先の第1ショットに戻し、マーク15aの潜像と15bの投影像(又はその逆)の中心がベストフォーカス状態で一致して重なり合うようにステージを移動させ、同一の開口絞り4で各ショット毎に先の露光と同じフォーカス位置で再度マーク15a,15bを同じショット数だけ露光する。
そして、現像後に露光形成されたマーク15aと15bの相対位置ずれ量をショット毎に測定植を使って測定する。この様な15a、15bのマークのペアーをレチクル上、像高毎に形成しておき、前述した2回の露光により重なり合った15aと15bのマークの相対位置ずれ量を像高毎に計測することで、像面計測が可能となる。またこの方法では、照明系のテレセンずれによる影響を考えなくて済む為、より高精度な計測が可能となる。
以上の第五〜第七実施例において、図1に示す投影露光装置によって上記計測とそれに基づく補正処理を行なう場合の(不図示の)制御系による制御フローを図12に示す。図12では実際に露光が行なわれるショットの配置を説明する図をフローチャート右側に示してある。
制御系では感光基板(ダミーウエハ)と前述の形態のレチクルをそれぞれよく知られている搬送系でステージ上にロードする。そして、前述の説明にはないが、まず感光基板上の複数の別枠のショットには1回目の露光をフォーカス位置を変えることなく実行し、そのあと前述のようにフォーカス位置を順次変えながら(第五実施例においては同じフォーカス位置で)各ショットにステップアンドリピートで1回目の露光を順次行なう。次にステージを最初の別枠ショット露光位置まで移動し、そこから別枠ショットについては1回目の露光と同じ照明条件(第五、第六実施例においては同じ開口絞り)で且つ1回目と同じフォーカス位置で前述したマークの重ね合わせが成されるようにステージを移動させ、2回目の露光を行なう。これをステップアンドリピートで順次別枠ショットに実施する。
尚、第七実施例においては図5に示すようなマーク15a、15bのマークおよびこれに対応した開口15c、15dの1セットをマーク間隔がDRである方向に1列に複数セット配列し、これに隣接して開口15c、15dに対するマーク15a、15bの配置を逆転させた1セットが平行に1列に複数セット配列されるような配置を設け、且つこれが前述マーク間隔DRである方向に垂直な方向に繰り返される構成のレチクルとしておく。そしてこの別枠ショットの露光においては、隣接する列の同じ照明条件の異なるマークの投影像が感光基板上の潜像に、ベストフォーカス状態で中心が合致する形で重ね合わされて露光が実行されるようにすればよい。
その後、1回目の露光で順にフォーカス位置を異ならせて露光が成された各ショットに対して、前述各実施例の説明で行なったように、マークの重ねあわせと1回目とは異なる照明条件での2回目の露光が、各ショットにおいて1回目のフォーカス位置と同じフォーカス位置にてステップアンドリピートで順次実行される。
露光された感光基板の現像および他の計測器によるマーク計測は装置外の別システム、あるいはオペレータのマニュアル処理で行われる。工場全体を管理する中央制御系でこれらも他のステップと一括して制御するようにしてもよい。一方これを投影露光装置自身のマーク検出系で行なう場合は、現像後の基板のステージヘのロード(不図示)後に検出系でマーク計測を実行させる。
得られた計測結果を基に制御系内で、各像高点別に、照明条件Aで照明されたマークの中心位置に対する照明条件Bで照明されたマークの中心位置のずれ量のフォーカス位置変化に伴う変化データが得られる。一方、同じ照明条件且つ同じフォーカス位置にて重ね焼き露光が行なわれた別枠ショットにおいては、各像高点別に、重ね焼きされた両マーク間の中心位置の全ショット平均値が算出される。本来一致しているべきこれら別枠ショットでのマーク間のずれが本計測系におけるオフセット値となる。各像高毎にずれ量計測値からこのオフセット値を減算し、これを基にデフォーカス量とマークずれ量との直線近似を行ない、各像高点で得られたベストフォーカス位置より投影光学系の像面が算出される。
得られた像面を元に、たとえばショット照明範囲における平均フォーカス位置を得、これに基づいて現在のオートフォーカス系13のオフセット値の補正を行なう。更に投影光学系内の不図示の像面補正光学系にフイードバックをかけ、像面補正を行なう。
図13に示すフローチャートは図12に示す制御フローの変形例を示すもので、特に第六実施例の計測方法を実施する際、オフセット値を得るための別枠ショットの露光方法を図12のものとは変えたものである。即ち別枠ショットにおいては1回目露光も2回目露光も開口絞り4c、4dのいずれもない大きな開口(開口絞り4)の照明状態でフォーカス位置を変えずに順次露光される。このようにして得られた別枠ショットでのマークずれよりオフセット値が得られるものである。他は同様のため、説明は省略する。
図14に本発明の第八実施例の計測方法に使用されるレチクルの部分断面図である。このレチクルは図5に示したレチクルに更にマーク16aとマーク16bを配置する。マーク16aとマーク16bの間隔はマーク15aとマーク15bの間隔に等しい。またマーク16a,16bの上部には何の遮光も無く、ガラスのみである。
このレチクルを使用して計測を行なう方法について説明する。
マーク15a,15bに開口15c,15dから照明が十分に照射される照明条件で先の実施例同様ダミーウエハ上にマーク15a,15bの像を焼き付ける。この際同時に透明ガラスを介して照明されたマーク16a,16bの像もダミーウエハ上に焼き付けられる。フォーカス位置を固定してステップアンドリピートにより各ショット位置にマーク15a,15b及びマーク16a、16bを数ショット露光する。
所定ショット数露光終了後、ウエハステージ12を先の第1ショットに戻す。同一の開口絞り4で今度は各ショット毎にフォーカス位置を所定量ずつ変え、各ショットでマーク15aの潜像とマーク16aの投影像、及びマーク15bの潜像とマーク16bの投影像が(又はマーク15a,15bの投影像とマーク16a、16bの潜像が)、ベストフォーカス状態で中心を合致させてそれぞれ重なり合うように位置決めしながら、ステップアンドリピートにより再度マーク15a,15b及びマーク16a、16bを同じショット数だけ露光する。そして、現像後に露光形成されたマーク15aと16aの相対位置ずれ量(ΔL1)及びマーク15bと16bの相対位置ずれ量(ΔL2)をショット毎に測定植を使って測定する。
フォーカス毎に前記計測工程で計測された2つの位置ずれ量の差ΔL(ΔL=ALT−△L2)と露光した際のフォーカス値の関係を直線近似し、ΔL=0となる最良結像面を求める。
これによりマークを重ねて2回露光し、その位置ずれを計測する際の2回の露光の際含まれる2回のフォーカス位置決め精度による誤差をなくすることが出来、より高精度な計測が可能となる。またこの様な15a、15b及び16a、16bのマークのペアーをレチクル上、像高毎に形成しておき、前述した2回の露光により重なり合った15aと16aのマークの相対位置ずれ量及びマーク15bと16bの相対位置ずれ量を像高毎に計測することで、より高精度な像面計測も可能となる。また、本実施例の計測方法を図1の投影露光装置において実施する上では、たとえば前述のように図12に示したような制御フローを利用すればよい。
尚、以上の実施例では重ね合わせのためにウエハを移動させる形態をとったが、逆にレチクル側を移動する形態としてもよい。また、各実施例において、最終的に重ねあわせに使用されないマーク投影が発生する場合、このマーク投影が行なわれるに際して、マスキングブレード等でこのマークが投影されないようにしてもよい。
次に、図1および図2を参照して本発明を非点収差(アス)計測に採用した実施形態9について説明する。本実施形態の投影露光装置において投影光学系の非点収差を計測する場合の構成は図1と同様である。
本実施形態においても図2に示すレチクル9の下側(投影光学系10側)のパターン形成面に間隔DRで形成した第1、第2のパターン9a,9bを用いている。
尚、本実施形態においてマーク9aとマーク9bは同一形状のパターンであっても良い。
開口絞り4は図3(B)に示すように2つの開口絞り4c,4dを含んでいる。
図3(B)に示した開口絞り4cの開口4c1及び4dの開口4d1の位置は投影系10の瞳座標(瞳面10a上の座標)における位置に相当する。投影系10の波面において、前記波面中心(光軸中心)からの距離と角度(方向)で指定した位置での非点収差を計測する上で適当な箇所に開口絞り4c及び4dを配置し、レチクル9上には前記開口絞り4からレチクル9に入射する照明光の主光線の入射方向に前記マーク9aもしくは9bのパターンを配置する。但しこの際開口絞り4aと4bは絞り中心に対し互いに対称な関係である。まず第1の照明(第1の照明光)として開口絞り4cを使ってマーク9aおよび9bの像を感光基板上に露光する。次にマーク9aと9bの先に焼き付けたものとこれから投影する像とが最終的に感光基板上で重なり合うようにウエハステージ12を移動させ、第2の照明として開口絞り4dに切り替えて同様に露光する。そして露光され重なり合ったマーク9aと9bパターンの相対位置ずれ量を測定機を使って測定する。この際の位置ずれ量は、フォーカスずれが発生した際に両マーク9a、9bが位置ずれを起こす方向に対して、基板面内で垂直な方向の位置ずれ成分である。前記マーク9a,9bのパターンの相対位置ずれ量は開口絞り4cおよび4dによって制限された光路(第1の照明と第2の照明)が瞳面10aを通過したエリアの波面収差の差分と考えられる。
図15は投影光学系10の瞳面10a上における波面と、開口絞り4c,4dの開口4c1,4d1を通過した光束の波面とを示した概念図である。
同図は瞳面10aの座標上における対称な波面の一部分同士の傾き差分を示している。
矢印は各波面の一部分の面内方向の傾きを示している。
この傾き差分は結像面上において結像位置の(フォーカス変動による像ずれ方向とは垂直な方向、具体的にはサジタル面内方向)ずれ成分として表れることになる。
この様に瞳中心対称な2箇所の開口を用いることで傾き差分の検出を大きく検出できる。ただし原理的には本発明は2箇所の開口位置が必ずしも瞳中心対称である必要はなく、主光線を違える配置であれば測定は可能である。
図16はマスクへの照明光の主光線の入射方向(即ち、開口4c1と4d1の開口絞り中心を対称軸とした配列方向)を種々と変えたときの重ね合わせマーク9a,9bの位置関係を示す説明図である。
開口4c1と4d1の配置を絞り中心対称に回転させて主光線の入射方向を変えることによって、瞳面上において両開口の配列方向に対向する(図15で瞳面上に垂直な対向面として示した)面内での波面の傾き差分がマーク9a,9bの位置ずれ量として検出されることになる。投影系の非点収差の状況により、開口配列の角度を変えることでマーク9a,9bの位置ずれ量が種々と変わり、これらを角度成分毎に求めることによって投影光学系の非点収差を求めている。
その際角度成分毎にマーク9a,9bの位置ずれ量を測定すべき方向(実施例では開口配列方向に垂直な方向)が変化するので、角度ごとに矩形マーク9a,9bの向きも、該測定すべき方向に対して垂直な辺が存在するように変化させるのが望ましい。図16はこの考えに基づいた、各角度測定に対応した矩形マークの向きを示している。
ここで、開口絞り4c,4dにより瞳面10aを通過したエリアが瞳中心(光軸中心)に対し対象な位置でかつ等しい大きさであれば、位置ずれに影響を与える収差はZernike多項式であらわされる偶関数成分のみとなる。更に前記位置ずれをベクトル分解して、瞳面10aにおける前記開口絞り4cおよび4dによって制限されたエリア中心同士を結んだ方向(M)とそれに直行する方向(S)に分ければ、方向Sの位置ずれ量はデフォーカスの影響を受けない非点収差成分のみが抽出された事になる。前記ベクトル分解された方向Sの位置ずれ量は、Zernike多項式で表現する場合、2nΘ成分のみとなる。ここでnは整数、Θは瞳面極座標の角度を表わす。例としてZernike多項式の高次を4Θまで考慮するとした場合、2Θと4Θ成分のみが前記位置ずれとして計測され、それ以外の成分は、対称な2つの波面の一部分の傾きの差をとることにより消去される。また前記2Θと4Θ成分の係数と前記位置ずれ量の関係は次のように表わせる。
△S(Θ,R)=A(R)*c o s2Θ−B(R)*sin2Θ+C(R)*c o s4Θ−D(R)*sin4Θ
Θ・・・瞳面極座標の角度
R・・・主光線の入射角度をσ換算した値(瞳座標上主光線の瞳中心からの距離)
△S・・・位置ずれ
A,B,C,D・・・係数
上記式において、ある主光線の入射角度R0の条件で数ポイント計測しベクトル分解することで方向Sの位置ずれを得ることで、以下の方程式が得られる。
上記(1)〜(4)の方程式を解くことで係数、A,B,C,Dが求まる。また異なる計算方法として、互いに直交する関係の方程式同士から係数を求める方法も考えられる。例えば(1),(4)式から係数A,Cを求め、(3),(6)式から係数B,Cを求め、(2),(5)式より係数Dを求める。得られた前記係数を新たな非点収差の量と定義することで、コサイン、サイン成分、更には2Θ、4Θ成分の収差をそれぞれ計測する事が可能となり、非点収差をより厳密に計測する事ができる。また前記各係数と従来方式で求めた非点収差との相関関係を調べることにより新たに求めた非点収差の係数を従来法の非点量に変換も可能である。
図17は照明光の照射方向を変えて投影露光を行うフローである。フローを順に説明すると
・ 感光基板11をアライナーステージ上にロード。
・ 重ね合わせマーク9a,9bが配置されたレチクル(マスク)をアライナーレチクルステージ上にロードする。
・ 照明光の主光線の入射方向(開口配置方向)がiで所定の射角をもった照明条件(第1の照明)Aで第1,2のパターンを露光する。一方は測定には使用しない。
・ 位置合わせマーク9a,9bの既に焼き付けたものと次回焼き付けるものとが像面上で重なるようステージを移動する。
・ 1回目と同じ主光線の入射角をもった照明条件Aで露光する。(ShotA)この部分は本来ずれなく焼き付けられているべき部分であり、後でこの部分のずれを系自身のオフセット(OFT)として、補正処理に用いる。
・ 照明条件Aとはπ入射角方向が異なる(開口配置が瞳中心に対して点対称位置にある)が主光線の入射角は等しい照明条件(第2の照明)Bで露光する。
尚、ショットA、Bの重ね焼きされなかったマークは測定には使用しない。
・ 感光基板を現像後、アライナーもしくは他の計測機でマーク9a,9bの位置を計測する。
・ 複数のチップの測定値による平均化処理・前述したオフセット計測用部分の計測結果を用いたOFS補正処理をし、ShotBの平均の各点のずれ量とShotAの平均の各点ずれ量を求める。
・ ずれ量をベクトル分解し、アス成分の相対ずれ量を相関係数からアス量に換算する。
・ 照明光の主光線の入射方向iをi=i+8/π回転させて露光エリアを移動させて、同様の工程を行なう。
・ 複数図の計測で得た値を用いて連立方程式を解くだけの数式完了したか否か判断する。
・ 所定の回数の計測が終了したならば連立方程式から成分毎にアスを算出する。
尚、ここでは不図示であるが、得られた成分ごとのアスに基づいて不図示のアクチュエータで投影光学系内の収差補正用光学系(不図示)を駆動して、アス補正を行なう構成としてもよい。
図18(A),(B)は、投影レンズ内を等間隔で多点測定を行った場合の計測方法におけるウエハ上の転写パターンと計測マークのシフト量からのアスを求める比較例の説明図である。
図18(A)に示すように、縦横方向の内側Boxと(パターン)71と同じく縦横方向の外側の格子(パターン)72との相対ずれを絞り内70の全面で計測する。計測された横ずれ(相対ずれ)量は、計測した投影レンズ瞳座標位置における波面の傾き(微分値)に相当する。図18(B)は計測点における波面の傾きをベクトル表示した図である。
この際、内側Box71もしくは外側格子72のどちらかは対象投影露光系の波面収差による横ずれが発生していて、もう一方は既にウエハ上に形成されているか収差が既知の別の投影光学系によって焼き付けられており、その配置が既知であり基準となる。即ち該もう一方には計測対象となる投影光学系の波面収差によるずれがない。上記横ずれ量(波面の傾き)から波面そのものを計算し、Zernike多項式等の近似処理により求めたい収差係数を算出する方法も可能である。
図19(A),(B)は本実施形態によるウエハー上の転写パターン(瞳面上の計測位置と計測マークの関係)と計測マークのシフト量からアスの求め方の説明図である。
図19(A)では2通りのパターン配置を示している。左図はマーク自身を既に図19(B)上図に示すアス(非点収差)成分とFocus成分に分解されたマーク回転が施されている。また右図のような統一されたマーク回転についてもベクトル計算により同様にアス(非点収差)成分とFocus成分に分解できる。
瞳中心に対して点対称な波面を通過した内側Box(パターン)81と外側Box(パターン)82との相対ずれを絞り内80の等しい中心からの距離Rで全点計測し、計測されたシフトベクトルをアス(非点収差)成分とFocus成分に分解し、各計測位置でのアス成分から連立方程式を解くことで、各成分毎のアスをシフトで算出可能となる。
図19(B)は絞り70の中心からの距離でのアス傾き成分とFocus傾き成分を示している。
更に算出されたアス量がシフトであるため、例えば従来のアス量に換算したい場合は図19(B)の下図に示すように従来法と本方式から求めたシフトの相関グラフなどより換算係数を算出して使用することも可能である。
本発明の計測方法は、上記比較例の方法に比べて、計測ポイントが少なく、短時間で簡単な処理でアスを算出することが可能である。(アスに特化した計測方法である。)
デフォーカスの影響を受けず、マーク(パターン)も大きくプロセス、露光量の影響も少ないため再現性が良い。
射入射像面計測との併用が可能である。特に像面とアスを同時にしかも短時間で多点計測が可能である。
等の特徴がある。
本発明の実施形態10では特殊マスクMを用いて測定を実施する。本実施形態では図5で示した特殊マスクMを使用する。 本実施形態10では、開口絞りを変えないで、1つの開口絞りを使用し、かつ図5に示したようなマスク(レチクル)Mを使用し非点収差を計測している。即ち第四実施例で示したのと同様、開口絞り4は制限することなく、ホール15c,15dで擬似的にそれと同様の効果を得られるようにしたものである。
この場合マークに対するホール15c,15dの配置を形成面内で回転方向に変えたものをマスク上の別の位置に設けることで、容易に前述した主光線の入射方向iを変えた状態が並行して作り出せる。よって、場所ごとに主光線の入射方向iを8/πずつ変えたマーク15a、15b、ホール15c、15dの組を一つのマスクに並列して設けることで、前述のようにi方向を変更して同様の工程を繰り返すこと無しに、一度のプロセスで瞳面上の対向方向の角度成分別位置ずれ量が求められる。これは状況により、角度成分別測定用に別々のマスクにこれらを分けて形成し、それぞれ別プロセスとして測定を実行してもよい。
図5の様なマスクMを使用し、先の実施形態9と同様に一度の露光でマーク15a,15bを露光した後マーク15aと15bが重なり合うようにステージ12を移動させ、同一の開口絞り4で再度マーク15a,15bを露光する。そして、露光されたマーク15aと15bの相対位置ずれ量を測定機を使って測定する。この方法は照明系のテレセントリックのずれによる影響を考えなくて済む為、より高精度な手法である。
図20は本実施形態における特殊マスクを用いて2重露光するときのフローである。
図20において、
・ 感光基板を(ウエハ)11をアライナーステージ上にロードする。
・ 重ね合わせマーク15a,15bが配置されたレチクル(マスク)をアライナーレチクルステージ上にロードする。
・ 照明光の主光線の入射角はσ0のまま、重ね合わせマーク15aをホール15cを介した部分照明光で(照明条件A)露光する。尚、重ね合わせマーク15bが同時に焼き付けられても、それは測定には使用しない。
・ 位置合わせマーク15aの焼き付けられた位置と,位置合わせマーク15bの焼付位置が重なるようステージを移動。
・ 照明光の主光線の入射角はσ0のまま、重ね合わせマーク15bをホール15dを介した部分照明光で(照明条件O)露光する。(ShotB)尚、重ね合わせマーク15aが同時に焼き付けられても、それは測定には使用しない。
・ 感光基板を現像後、アライナーもしくは他の計測器でマーク15a,15b位置ずれを計測。
・ 複数ショットの計測結果を用いた平均化処理の後、位置ずれ量をベクトル分解し、アス成分の相対ずれ量を相関係数からアス量に換算する。
・ 得られた値を用い、連立方程式から成分毎にアスを算出する。
本実施形態では前述OFT処理に関するプロセスは省略しているが、実施形態9と同様に行ってもよい。
本実施形態のこの他の構成は実施形態9と同様である。
図21は本発明の実施形態11に係る特殊マスクMの説明図である。
本実施形態は実施形態10の図5に示したマスクMを使用した方法と同様な考え方で、図21に示したマスクMを用いて相対位置ずれ量から投影系の非点収差の計測をしている。図21において図5で示した要素には図符号を付している。
図5と異なる点は1つの開口部15Cにより照射される露光光で開口部15Cから等間隔に配置されたマーク15a,15bを一度に露光するようにしたことである。このようにしても各マークの照明光の主光線を互いに異ならせることが可能であり、且つこの場合は全て一度に露光が出来るため、照明光の入射方向毎に重ね合わせ露光を繰り返す必要がないだけではなく、入射方向毎に開口部を別設する必要もなくすことができる。なお、この図21のマスクは前述したベストフォーカス位置計測にも同様に使用できる。
実際の使用例について図22に示す。レチクル9上にマーク9aを同心円上に配置した、マーク群8aと、少し距離をおきマーク群8aと等しい大きさの同心円上にマーク9bを同じく配置したマーク群8bがある。またマーク群8bの上部は照明光の入射角を制限するための開口部9Cが設けられている。図22のレチクル9を使用し、通常照明で露光する。但しこの際マーク群8aを照明した光はマーク群8bに回り込まないよう十分な距離と遮光が考慮されている。焼き付けられたマーク群8aと次に焼き付けるマーク群8bが像面上で重なり合うようステージを移動し再度同じく通常照明で露光する。これにより重なり合ったマーク群を全て計測し、照明方向毎に位置ずれの差分△S(Θ)を計算することができる。以下にその式を記す。
△S(Θi)=△l(Θi)−△l(Θi+π)
ここに △l(Θi)= Xia−Xib
Xia・‥・マーク群8aのパターン方向i(rad)のS方向位置ずれ
Xib・・‥ マーク群8bのパターン方向i(rad)のS方向位置ずれ
以上より1つのホール、1回の重ね焼きで前記方程式を解くことが可能で、成分毎に非点収差を計測する事ができる。
この他の構成は実施形態10と同様である。
以上のように本発明の各実施形態の計測方法によれば、2つの異なる照明光の入射角で2つの計測用マークを夫々2度露光し、かつステージ移動により重ね合わせることで相対位置ずれを計測し、高精度な非点収差計測が可能となる。
又、露光量に対する誤差もなく、計測時間も早く条件だし等もいらないため、より高いスループットの計測方法が達成できる。
又、フォーカスを含め他の収差に影響を受けないため、手法や条件により値の変わらない非点収差量が規定できる。このことは、より標準的な非点収差の評価につながり、照明条件やパターンの種類毎に行っている現状の検査時間を大幅に改善できる。
という効果を得られる。
尚、上述第9以降の各実施形態では検出精度向上のために2つのマークを重ね合わせて焼き付ける形態で示したが、これは焼き付けられた際の両者の間隔が既知で、形成精度及び計測精度が保証される状況であれば、離れた位置に焼き付けられた2マークを用いる形態としてもよい。
上述第9以降の各実施形態では2マークの重ねあわせのためにウエハを移動させる形態をとっているが、逆にレチクル/マスク側を移動させる形態としてもよい。又、各実施例において、最終的に重ねあわせに使用されないマークが投影されるに際して、マスキングブレード等でこのマークが投影されないようにしてもよい。
次に、上述したベストフォーカス計測方法および像面計測方法及び非点収差計測方法を投影露光装置に適用した実施形態12を説明する。本実施形態は投影露光装置において投影光学系のベストフォーカス面の位置を自動的に(検出手段を用いて)計測し、補正手段21で補正する場合を示している。
図23(A)において、図1に示した要素と同一要素には同符号を付している。同一要素の説明は省略する。
本実施形態では露光光のもとで、レチクル9のパターン形成面に形成されたパターンの像が、投影光学系10を介してウエハステージ12上に載置されたプレート11a上に結像される(図23(B)参照)。フライアイレンズ3の後側焦点面は投影光学系10の瞳面10aとほぼ共役である。 プレート11aにはスリット11bが形成されており、スリット11bを透過した光は受光器11cにより受光処理され検出される。
前記プレート11a、スリット11b、受光器11cはすべてウエハステージ12上に載置されており、検出器ユニット(検出系)11の一要素を構成している。ウエハステージ12は、投影光学系10の光軸に垂直な面内の任意の位置に検出系11を位置決めするXYステージ12aおよび投影光学系10の光軸に平行な方向で検出系11のフォーカス位置を設定するZステージ12b等より構成されている。
また、本実施形態では実施形態1と同様に検出系11のフォーカス位置を検出するためのオートフォーカス系13が設けられている。
次に投影光学系10のベストフォーカス位置の自動検出方法について説明する。
レチクル9の下側のパターン形成面にテストパターン(ピンホールもしくはライン系のスリット)15を配置する。前記テストパターン15に図3(B)の開口絞り4cにより形成される第一の照明光を照射し前記パターン像を投影光学系10を通しウエハーステージ12上に設けたプレート11a上に結像させ、前記ステージ12を移動して前記プレート11a上に設けたスリットパターン11bを透過する光を光強度検出器もしくは光量検出器等の受光器11cにより検出する。前記ステージ12を前記投影光学系10の光軸方向(Z方向)に移動し、同時に光軸方向と直交する面内(X,Y方向)で前記第1の照明光の入射方向と同じ方向にステージ12を移動させX,Y移動に同期して前記スリットパターン11bを透過する光を前記検出器11cにより検出する。図24はステージ12のX,Y位置とその位置での受光器11cで得られる透過検出光強度もしくは光量からなる検出信号の説明図である。図24の検出信号に対して前記プレート11a上に結像したテストパターン15のXY方向における中心位置を算出する。更にZ方向にステージ12を移動させ前記同様、Z位置毎にテストパターン15のXY方向における中心位置を算出する。
次に図3(B)の開口絞りを4dに切り換へ前記テストパターン15に第1の照明光とは主光線の傾斜角が等しく入射方向が入射面に対して対称な第2の照明光を照射するよう構成し、前記同様にZ位置毎に前記テストパターン15の結像中心位置を算出する。
このとき、算出されたZ位置(フォーカス)とテストパターン15の結像中心位置(横ずれのシフト量)の関係は図25に示されるようにほぼリニアーとなる。このため、前記異なる2つの照明光から算出されたZ位置と前記テストパターンの結像中心位置の関係をそれぞれにおいて直線近似処理を行い、得られた2つの直線が交差したZ位置を自動検出し、フィードバックさせることによりベストフォーカスの自動補正を行っている。
この時開口絞り4cおよび4dの開口の位置はウエハ面に入射する光の角度(NA)に相当するため、開口部の位置をその中心から離せば、その分入射角度は大きくなり、デフォーカス(Z方向)に対する横ずれ量も大きくなり、ベストフォーカス位置検出分解能が高くなる。
更に前記テストパターン15を同一のレチクルに数箇所配置しておけば、前記手法に従い露光を行い、各像高毎に前記手法に従いベストフォーカスを求めれば、像面の計測が可能である。更には、前述の如くフォーカス変動による像ずれ方向と直交する方向のずれ成分は非点収差に起因する波面の傾き差分を示しているので、開口絞り4cおよび4dの開口の方向を90度回転させ前記同様な計測を行うことによりこの波面の傾き差分が計測できる。即ちアス(非点収差)の計測が可能で、このとき投影光学系10内にある補正光学系を補正手段21で駆動させることにより像面や非点収差の自動補正が可能となる。その際に前述の如く開口方向(主光線入射方向に対応)を切り換え、同時にテストパターンの走査方向も(スリットの場合は更にスリットの方向も)それに応じて変える事で、各方向ごとのデータが得られ、これを前述の(1)〜(6)式に代入してより厳密に非点収差を測定することも可能である。
図23(C)は実施形態13の受光器の要部外略図である。本実施形態はその他の構成が実施形態12と同様のため、受光器部分のみ図示して説明する。本実施形態は実施形態12と同様にレチクル9上にテストパターン(ピンホールもしくはライン系のスリット)15を配置する。プレート11d上に開口部11eを設け、テストパターンに図3(B)の開口絞り4cにより形成される第一の照明光を照射し前記パターン像を投影光学系10を通しウエハーステージ12上に設けたプレート11d上に結像させ、開口部11eから結像光学系(レンズ系)11fにより再度テストパターン15の像を1次元もしくは2次元受光面11g上に結像させ、ステージ12を移動しながら得られた像をデータ処理系11hにより画像処理することによりテストパターン15の像の位置検出するよう構成し、前記ステージを前記投影光学系の光軸方向(Z方向)に移動し、前記プレート11a上に結像したテストパターンの中心位置を算出する。更にZ方向にステージ12を移動させ前記同様、Z位置毎にテストパターン15の中心位置を算出する。
次に、開口絞りを4dに切り換え前記テストパターンに第1の照明光とは主光線の傾斜角が等しく入射方向が入射面に対して対称な第2の照明光を照射するよう構成し、前記同様にZ位置毎に前記テストパターンの結像中心位置を算出する。
このとき、算出されたZ位置(フォーカス)とテストパターン15の結像中心位置(横ずれのシフト量)の関係は図25に示されるようにほぼリニアーとなる。このため、前記異なる2つの照明光から算出されたZ位置と前記テストパターンの結像中心位置の関係それぞれにおいて直線近似処理を行い、得られた2つの直線が交差したZ位置を自動検出し、フィードバックさせることによりベストフォーカスの自動補正を行っている。
更に前記テストパターン15を同一のレチクルに数箇所配置しておけば、実施形態12と同様、像面の検出ができ、同様に開口絞りの光軸周り90度回転でアス等の計測ができ、更にはこれらの自動補正ができる。
図26は本実施形態14の要部外略図である。本実施形態は実施形態12と同様レチクル9上にテストパターン(ピンホールもしくはライン系のスリット)15を配置する。前記パターン15に開口絞り4cにより形成される第一の照明光をレンズ5、ビームスプリッター16、レンズ7,8を介して、照射し前記パターン像を投影光学系10を通しウエハーステージ12上に設けた反射プレート11i上に結像させ、前記ステージ12を移動して前記反射プレート11iにより反射された光は再度投影光学系10を通り、レチクル9のテストパターン15付近に結像する。結像した光はテストパターン15を透過し元の光路を戻り、照明系内に設けられたビームスプリッター16を介して光強度検出器もしくは光量検出器等の受光器17により検出する。
この際デフォーカスによるテストパターン15の横ずれ量は投影系10の縮小倍率を1とすれば実施形態12および13の2倍程大きく、またベストフォーカス位置では横ずれが0であり、前記テストパターン15を透過する光強度もしくは光量は最大(遮光パターンの場合は最小)である。そのため検出器17の変化は図27に示すように前記反射プレート11iのZ位置に対してピークをもつ。前記ステージ12を前記投影光学系10の光軸方向(Z方向)に移動し、前記反射プレート11iをZ方向に移動させ、前記Z位置に同期して前記検出器17の光強度もしくは光量を検出し、図27に示すZ位置と光強度もしくは光量の関係から2次近似処理を行いピークを示すZ位置を求める。
これにより、実施形態12,13と同様にベストフォーカスの位置を検出している。
更に前記テストパターン15を同一のレチクルに数箇所配置しておけば、前記手法に従い実施形態12同様、像面の検出ができ、同様に開口絞りの光軸周り90度回転でアス等の自動計測、更には自動補正が可能となる。
次に上記説明した投影露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
図28は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(露光制御データ作成)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図29は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
本実施形態の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストに製造することができる。