JP2005142520A - パワーモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な放熱性能を確保しつつ、より小面積化が可能なパワーモジュールを提供する。
【解決手段】 複数の発熱素子と、これら発熱素子からの熱を放散するヒートシンクとを有するパワーモジュールである。このヒートシンク6は互いに同一平面上にない複数の面を有する。FET53などの発熱素子は前記複数の面に配置されて、電気的に接続されている。複数の発熱素子を同一平面上にない複数の面上に分散して配置することで、立体的に発熱素子を配置することができ、ヒートシンク6を含むパワーモジュール全体の面積を小さくすることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明はインバータなど、電力制御を行うパワーモジュールに関するものである。特に、小面積で放熱効果に優れたパワーモジュールに関する。
電気自動車やハイブリッドカーなどの走行用モータの電力制御には、インバータが利用されている。このようなインバータの概略回路図を図14に示す。
インバータは、直流電源からの直流を所定の交流に変換し、その交流をモータへと供給する。このインバータは、一対のスイッチング素子530と一対のダイオード54とを接続し、これらスイッチング素子530とダイオード54との組み合わせを3つ並列に接続して3相のブリッジ回路を構成している。通常、スイッチング素子530にはFET、GTO、IGBTなどが利用される。
一方、モータ100は、中心側にロータ110となる磁石を具え、その外周にステーター120を具える。ステーター120は、内周側に突出する3つのポール121を有し、各ポール121には導線130を巻き付けてコイルが形成されている。また、モータ100はロータ110の回転位置を検出するホール素子140を具え、ホール素子140による位置情報に基づいて制御回路150から上記スイッチング素子530のスイッチングを制御する。
このインバータが実装された基板の概略平面図を図15に示す。この図に示すように、複数のスイッチング素子530とダイオード54が基板上に実装されている。これらスイッチング素子530などはインバータの動作に伴って発熱するため、発熱した熱を放散するため、ヒートシンク600上に設置されている。
その実装例の断面図を図16に示す。この実装例では、下から順に、ヒートシンク600、Ni箔601、半田602、Al板603、絶縁基板604、Al板605、Ni箔606、半田607、スイッチング素子530の順に積層されている(例えば非特許文献1)。通常、ヒートシンク600には、熱伝導性の高いAlやAlNが利用される。必要に応じて、ヒートシンク600には表面積を増大させて放熱効率を高めるための多数のフィン(図示せず)が形成される。
株式会社東芝セミコンダクター社、"東芝インバーター用半導体"、[online]、[2003年10月13日検索]、インターネット<http://www.semicon.toshiba.co.jp/prd/pdf_presen/inverter_j.pdf>
しかし、上記の技術では、ヒートシンクを含むインバータシステム全体の構造を小面積化することができない。
上記の技術では、スイッチング素子やダイオードなどのすべての発熱素子を同一平面上に配置している。そのため、ヒートシンクが大面積にならざるを得ず、特に搭載スペースの制約が大きい電気自動車などの分野では、より小面積のインバータの開発が望まれていた。
本発明の主目的は、十分な放熱性能を確保しつつ、より小面積化が可能なパワーモジュールを提供することにある。
本発明は、電力制御を行うパワーモジュールにおいて、発熱源を全て同一平面上に配置するのではなく、異なる面、特に高さ方向に伸びる面も利用して立体的に配置することで上記の目的を達成する。
本発明パワーモジュールは、複数の発熱素子と、これら発熱素子からの熱を放散するヒートシンクとを有するパワーモジュールである。このヒートシンクは互いに同一平面上にない複数の面を有する。そして、前記発熱素子は前記複数の面に配置されて、電気的に接続されていることを特徴とする。
複数の発熱素子を同一平面上にない複数の面上に分散して配置することで、立体的に発熱素子を配置することができ、ヒートシンクを含むパワーモジュール全体の面積を小さくすることができる。
発熱素子は、電力制御に際して発熱を伴うあらゆる素子が含まれる。通常、インバータの場合、スイッチング素子とダイオードが発熱素子となる。スイッチング素子は、具体的にはFET、GTO、IGBTなどが利用される。
異なる面に配される発熱素子同士は電気的に接続される。この接続には、可撓導体を用いることが好ましい。可撓導体の代表例としては、フレキシブルプリント配線板(FPC)を利用することが挙げられる。可撓導体を利用して複数の発熱素子を接続すれば、この可撓導体を屈曲させることで複数の取付面を構成し、各取付面に発熱素子が分散配置された状態を容易に構成できる。
ヒートシンクは、熱伝導性の高い材料で構成することが望ましい。高熱伝導性の材料は導電性でも絶縁性でも構わない。導電材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金や銅、銅合金が挙げられる。絶縁材料としては、AlN、SiN、SiC、AlSiCなどが挙げられる。絶縁材料を用いた場合、ヒートシンクに直接発熱素子を接合することができるが、導電材料を用いた場合、発熱素子とヒートシンクとの間に絶縁薄膜を介在させることが好ましい。例えば、AlN、SiN、SiC、AlSiCなどの絶縁薄膜をCVDやPVDなどにより導電性ヒートシンク上に形成し、その絶縁薄膜上に発熱素子を搭載すればよい。ヒートシンクと発熱素子との接合には、高熱伝導性接着材を用いることが好適である。
ヒートシンクの形状は、効率的に放熱を行うために、表面積の大きい形状とすることが望ましい。例えば、凸部を有する形状とすれば、横面と縦面とを形成することができて好ましい。ここで、横面とはある方向に伸びる面をいい、縦面とは横面と異なる方向に伸びる面をいう。そして、発熱素子を横面と縦面とに配置したり、複数の縦面に発熱素子を配置すれば、全ての発熱素子を同一平面上に設置する場合に比べてモジュールの面積を小さくすることができる。代表的には、水平面を横面とし、垂直面を縦面とする。
より具体的なヒートシンクの形状としては、横部材と、横部材から突出し間隔をあけて配される複数の縦部材とを有する形状が好適である。つまり、縦部材がフィン状に突出された形状とする。その場合、横部材の表面と、隣接する縦部材の対向する両側面との間に発熱素子の収納部を形成する。一方、複数の発熱素子同士は、可撓導体を介して接続することが好ましい。このとき、可撓導体は、折り曲げて複数の取付面を形成しておけばよい。そして、各取付面を収納部における横部材の表面および縦部材の両側面のいずれかの面に配置することで、容易に発熱素子をヒートシンクの異なる面に配置することができる。
その他、上記の横部材と縦部材とからなるヒートシンクの縦部材表面に発熱素子を取り付けても良い。すなわち、複数の発熱素子同士を、可撓導体を介して接続しておく。また、この可撓導体を折り曲げて複数の取付面を形成しておく。そして、この縦部材の上面と、上面につながる両側面に各取付面を被せるように配置すればよい。
この構成によれば、より一層パワーモジュールの小面積化を実現できる。横部材の表面と、隣接する縦部材の対向する両側面との間に収納部を形成し、この収納部に発熱素子を配置する凹部収納型の構成では、例えば3相のパワーモジュールの発熱素子を配置するには3つの収納部が必要になる。そのため、ヒートシンクには4つの縦部材を横部材上に形成する必要がある。一方、縦部材の上面と両側面に発熱素子の取付面を配置する凸部被覆型の構成では、例えば3相のパワーモジュールの発熱素子を配置するには3つの縦部材があればよく、パワーモジュールのさらなる小面積化が実現できる。特に、凸部被覆型の構成では横部材の表面に発熱素子を配置する必要がないため、隣接する縦部材の間隔をより小さくし、ヒートシンクの面積、つまりはパワーモジュールの面積を小さくすることができる。さらに、凸部被覆型の構成では、横部材表面に発熱素子が配置されないため、冷媒流路は縦部材内にあれば十分で、横部材内に設ける必要がなく、ヒートシンクの冷媒流路構成を簡略化することができる。
また、本発明パワーモジュールのヒートシンクは、水冷などの液体冷媒を用いる水冷タイプと、空気などの気体冷媒を用いる空冷タイプの両方が利用できる。
液体冷媒を用いる場合、上述した横部材と複数の縦部材からなるヒートシンクを用い、横部材および縦部材の内部に液体冷媒の流路を形成することが好ましい。この流路は、互いに隣接する縦部材の流路と横部材の流路とで液体冷媒の流通方向が逆になるように蛇行状に形成すれば、横部材表面や縦部材の側面に配される全ての発熱素子をもれなく効率的に冷却することができる。このような蛇行状の流路は一対の分割片を接合することで形成することができる。管状の流路を蛇行状に形成することは切削などでは難しいが、半円筒状の溝が形成された分割片を組み合わせることで複雑な形状の流路も容易に形成することができる。
一方、空冷タイプの場合、前記縦部材の内部に、縦部材の一端から他端に抜ける気体冷媒の流路を形成することが好ましい。縦部材の一端から他端に抜ける流路を形成することで、ファンなどで強制空冷すれば、気体冷媒を縦部材の一端から他端に流通させることができ、効果的な冷却を行うことができる。
また、発熱素子とヒートシンクとはモールドで一体化することが好ましい。このモールドにより、発熱素子とヒートシンクとが一体化された一部品として構成することができる。モールドは、ICやLSIなどの分野でパッケージングに用いられている樹脂、例えばエポキシ樹脂などを利用することができる。
発熱素子とヒートシンクとをモールドで一体化した場合、パワーモジュールの表面に入力端子と、出力端子と、発熱素子制御用の信号端子とを形成することが好ましい。これらの端子を単一部品となったモジュールに設けることで、直流電源、モータ、制御回路などとモジュールとの接続を容易に行うことができる。例えば、インバータの場合、直流の入力端子と、変換出力される交流の出力端子と、スイッチング素子の制御用信号端子とをパワーモジュールの表面に形成すればよい。
以上説明したように、本発明パワーモジュールによれば、全ての発熱素子を同一平面上に配置するのではなく、同一面上ではない異なる面に分散配置し、発熱素子の配置を立体的とすることで、モジュールの面積を小さくすることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、水冷方式のヒートシンクを用いた本発明実施例を図1〜図6に基づいて説明する。ここでは、図14と同様のインバータを構成するパワーモジュールを例として説明する。図1は本発明パワーモジュールの概略外観図、図2は本発明パワーモジュールのモールドを除去した状態の内部構造図である。
<全体構造>
このモジュールは、図1に示すようにほぼブロック状の形状で、正面にスイッチング素子の制御信号用端子1を、上面の左側縁部に直流の入力端子2を、上面の後縁部に3相の交流出力端子3を有している。また、正面の左下部には冷媒となる水の給水口4Aが形成され、背面の右下部には水の排出口(図示せず)が形成されている。入力端子2から入力された直流は、モジュール内部のスイッチング素子の動作とダイオードの作用により所定の交流に変換されて出力端子3から出力される。スイッチング素子のスイッチングは、制御信号用端子1から入力される制御信号に基づいて制御される。これらスイッチング素子とダイオードは後述する配線構造体5(図2)を構成し、この配線構造体5を折り曲げてヒートシンク6に装着して、樹脂モールド7により配線構造体5とヒートシンク6とを一体に形成している。
<配線構造体>
配線構造体をヒートシンクに組み込んだ状態の斜視図を図2に、配線構造体の展開平面図を図3(A)に示す。配線構造体5は、スイッチング素子であるFET53にダイオード54を組み合わせて実装された可撓性のシート部材である。ここでは、フィルム導体51と絶縁フィルム52を貼り合わせてFPCのように配線構造体5を構成し、この構造体に可撓性を持たせている。図2では、説明の便宜上、絶縁フィルムは省略している。
この配線構造体5は、長い中央面50Cと、中央面よりも短い左面50L・右面50Rの合計3面が連続して構成されている。左面50Lは下から順に、フィルム導体51(ハッチング箇所)、絶縁フィルム52が積層され、その絶縁フィルム52上にFET53とダイオード54が実装されている。FET53とダイオード54の実装箇所は、部分的に絶縁フィルム52が除去されてフィルム導体51が露出され、この露出箇所を介してFET53(ダイオード)とフィルム導体51とを接続している。
図3(B)は一相分のインバータの回路図である。図3(A)では4個のFET53と4個のダイオード54が並列に接続されているが、これら4個のFET53と4個のダイオード54で図3(B)に示す1個のFETと1個のダイオードの組み合わせに相当する機能を有する。この点は、後述する中央面50C上のFET53およびダイオード54においても同様である。
また、絶縁フィルム52内には薄膜回路パターン55が形成され、制御信号用端子1からの指令を薄膜回路パターン55を介してFET53へ伝達する。さらに、FET53およびダイオード54の上面は、一組ごとに可撓性でテープ状の連結導体56で接続されている。この連結導体56の一端は中央面50Cのフィルム導体51に接続される。そして、左面50Lのフィルム導体51は、矩形面510Lの左側前方に突片511Lを有する形態で、この突片511Lが後述するマイナス側入力端子2となる。
中央面50Cにも左面50Lと同様に4個のFET53と4個のダイオード54が同様に実装されている。この中央面50Cは左面50Lや右面50Rよりも後方に長く突き出して延び、その突出箇所を折り曲げて、折り曲げ端部に前述した出力端子3を構成する。ここでは、中央面50C後半のFET53に近い箇所を谷折りし、その谷折り箇所から若干後方を山折りして中央面50Cの突出箇所をオフセット状に形成することで、出力端子をモジュール上面の後縁側に配置できるように構成した。図3において、破線は谷折れ線、一点鎖線は山折れ線である。特に、中央面50Cにおける山折れ線よりも後端側は後述するヒートシンク6の縦部材62(図2参照)の上面よりも若干上方に配置されて、後に樹脂モールドした際にもモールドから露出するようにされている。この中央面50Cの出力端子となる箇所には円孔57が形成され、この円孔57にねじをはめ込んで、モータ(図示せず)へと電力供給を行うリード線(図示せず)と出力端子3との接続を行う。
右面50RにはFETおよびダイオードは実装されていない。中央面50C上のFET53およびダイオード54を接続した連結導体56の一端は右面50Rのフィルム導体51に接続さている。また、右面50Rには中央面50Cの各FET53と制御信号用端子1とをつなぐ薄膜回路パターン55が形成されている。この右面50Rのフィルム導体51は、丁度左面50Lのフィルム導体51と点対称な形状で、矩形面510Rの右側後方に突片511Rを有する。この突片511Rはプラスの入力端子2を構成する。
<ヒートシンク>
一方、ヒートシンク6は、図2に示すように、平板上の横部材61と、横部材上面に間隔をあけて突出された薄いブロック状の縦部材62とから構成されるアルミ合金製部材である。ここでは合計4つの縦部材62を設けて、各縦部材62の間に配線構造体5の収納部63を合計3つ形成した。各収納部63に上述した配線構造体5を配置することでU・V・Wの3相インバータが構成される。
図4にヒートシンク6の平面図を示す。このヒートシンク6には、冷却水を流通させるための流路64が蛇行状に形成されている。まず、ヒートシンク正面の左側に冷却水の給水口4Aが形成され、この給水口4Aから横部材61内を通って最も左側の縦部材62内につながる流路が形成される。次に、その縦部材62に前方から後方に向かって延びる流路64Vを形成する。続いて、横部材61に、縦部材62の後方から連通路616を介して横部材61につながり、今度は横部材61内を後方から前方に向かう流路64Hを形成する。同様に、他の縦部材62に流路64Vを、そして、これらの流路64Vに連通する流路64Hを横部材61に形成して、これら流路64V,64Hと連通路616を連通させることにより、蛇行状の流路64が形成される。そして、ヒートシンク背面の右側に、最も右側の縦部材62内に形成される流路64Vにつながる排水口4Bが形成される。
図4のA-A切断面を図5に示す。図5に示すように、この流路64は断面が楕円形である。楕円断面の流路64とすることで、横部材61の幅方向や縦部材62の高さ方向に極力均等な冷却を施すことができる。このような楕円断面の蛇行状の流路64は、横部材61をほぼ中間で上下に2分割した分割片61U、61D同士を組み合わせることで構成される。つまり、上側の分割片61Uは、平板に縦部材62が突設された形状とする。この上側分割片61Uには、平板610の底面から縦部材62の内部におよぶ幅の狭い溝611が形成されている。また、縦部材62の間において、平板610底面側には半楕円状の幅の広い溝612が形成されている。一方、下側の分割片61Dは、前記上側分割片61Uの幅の狭い溝611にはまり込む凹型突起613を有する平板614とする。さらに、平板614の上面には、半楕円状の幅の広い溝615が形成されている。これら上下の分割片61U、61Dを組み合わせれば、凹型突起613が幅の狭い溝611内にはまり込むことで、縦部材内に縦長の断面が楕円の流路64Vが形成される。また、各分割片61U、61Dの幅の広い溝612,615同士が対向されることで、横部材内に横長の断面が楕円の流路64Hが形成される。
上記のヒートシンクでは、縦部材の流路64Vと横部材の流路64Hとの間は縦長の流路64Vが横長の流路64Hに向きを変えてつながれることになる。この連結箇所の構造を図6に基づいて説明する。図6は図4のB-B断面図である。図6に示すように、下側分割片61Dの凹型突起613の一部を切欠くと共に若干掘り下げ、幅が広い半楕円状の溝615の一部も掘り下げて、これら掘り下げた箇所同士を下側連結溝616aでつなぐ。さらに、下側連結溝616aと対向するように上側分割片61Uの底面に溝611と溝612とを連結させる上側連結溝616bを形成する。これら連結溝616a,616bにより連通路616を構成し、縦部材の流路64Vと横部材64Hの流路との連結を行った。連通路616の幅、つまり図6における紙面と垂直な方向の溝幅を変えることで、この連結箇所で冷却水の流量が大きく変化しないように調整できる。
また、給水口4Aと縦部材内の流路64Vとの連結構造も、各分割片61U、61Dの一部を切削加工することで容易に形成できる。まず、下側分割片61Dの正面側から背面側へ短い穴をあけて給水口4Aと、給水口4Aから背面側に続く導入路641とを形成する。また、下側分割片61Dの上面から下方向けにも短い穴をあけ、前記導入路641につながる垂直路642を形成する。そして、垂直路642の開口部と、凹型突起613の一部を切り欠いた箇所とをつなぐ下側水平溝643を形成する。一方、上側分割片61Uの底面にも、前記下側水平溝643に対向する上側水平溝644を形成しておく。このような上下分割片61U、61Dを組み合わせれば、給水口4Aと縦部材内の流路64Vとの連結構造を形成できる。排水口4Bと流路64Vとの連結構造も上記と同様にして形成する。
そして、上側分割片61Uの底面と下側分割片61Dの上面の周縁部には各々Oリング用の取付溝617が形成されている。この取付溝617にOリング8をはめ込んで上下の分割片61U、61Dを接合すれば、冷却水が流路64から外部に漏れることを効果的に防止できる。
<樹脂モールド>
以上の配線構造体5をヒートシンク6の収納部63に取り付けて、樹脂モールドして配線構造体5とヒートシンク6とを一体化する。このモールド7により、配線構造体5とヒートシンク6は一つの部品に構成される。
<組み立て手順>
まず、ヒートシンク5を組み合わせておく。つまり、上下の分割片61U、61Dの間にOリング8を配置し、両分割片61U、61Dを接合する。この接合は、例えばねじ止めにより行う。
次に、FET53やダイオード54の実装が完了した配線構造体5を用意し、この配線構造体5を折り曲げてヒートシンクの収納部63に収められる形態とする。ここでは、左面50Lと中央面50Cの境界、右面50Rと中央面50Cの境界、左面50Lのフィルム導体における矩形面510Lと突片511Lとの境界、右面50Rのフィルム導体における矩形面510Rと突片511Rとの境界をそれぞれ谷折りに折り曲げる。これにより、中央面50C、右面の矩形面510L、左面の矩形面510Rの3面はそれぞれヒートシンク6への取付面を構成し、各突片511L、511Rは互いに対角の位置に配置される。さらに、中央面50Cの後端側も幅方向沿いの2箇所の折線で谷折りと山折りとを行ってオフセット状に形成する。
折り曲げられた配線構造体5を合計3つ用意し、各配線構造体5をヒートシンクの収納部63に取り付ける。各収納部63において、縦部材62の右側面に配線構造体の左面50Lが、横部材61の上面に配線構造体の中央面50Cが、縦部材62の左側面に配線構造体の右面50Rが取り付けられる。ここではヒートシンク6が導電性のアルミ合金であるため、配線構造体5とヒートシンク6との間には絶縁薄膜(図示せず)を介在させ、エポキシ系高熱伝導性接着剤を用いて取り付けを行っている。この状態で、各信号用端子1は縦向きに配されてヒートシンク6の正面側に突き出される。
また、各収納部63において、左面50Lのフィルム導体51における突片511Lと、右面50Rのフィルム導体51における突片511Rとは、各縦部材62の上面とほぼ平行に配置されることになる(図2参照)。これら各突片511L,511R上に端子導体9を接合する。端子導体9は一端部のみが肉厚のテープ状の導体で、肉厚箇所の表面および裏面にある突片511L,511Rとの接合箇所以外は絶縁フィルムで覆われている。この端子導体9を全ての縦部材62上面と直交する向きに配する(図1参照)。そして、端子導体9の裏面側において、各左面50Lのフィルム導体51における合計3つの突片511L同士、各右面50Rのフィルム導体51における合計3つの突片511R同士を連結接続する。
以上の状態に組み合わせが完了すれば、樹脂モールドを行う。ここでは金型内に配線構造体5とヒートシンク6の組み合わせを配置してエポキシ樹脂を注入してモールドを行う。
樹脂モールド7により、配線構造体5とヒートシンク6とを一体の部品として構成できれば、後は入力端子2に直流電源を接続し、出力端子3にモータのリード線を接続して、さらに制御信号用端子1にスイッチングの制御回路を接続すればよい。もちろん、給水口4A、排水口4Bには各々冷却水の供給パイプおよび排水パイプを接続する。
このように、横部材61の上面だけでなく、縦部材62の側面にもFET53などの発熱素子を配置することで、発熱素子を立体的に配置することができ、パワーモジュールの小面積化を達成することができる。
なお、各縦部材の左側面には、配線構造体の右面50Rが取り付けられているが、この右面50RにはFETなどの発熱素子が実装されていない。つまり、最も右側の縦部材62には冷却の必要がある発熱素子が取り付けられていない。そこで、本例のように、両端部の縦部材の一方にのみ発熱素子が取り付けられている場合は、発熱素子の取り付けられている縦部材側を冷媒の供給側とし、発熱素子の取り付けられていない縦部材側を冷媒の排出側とする。これにより、冷却の必要な縦部材側に、より低温の冷媒を供給でき、効率的な冷却を行うことができる。
<変形例>
以上の構成では、端子導体9として、部分的に絶縁フィルムが除去されたものを用いたが、その代わりに、縦部材62の上面に絶縁フィルムを形成しておき、端子導体は絶縁フィルムのないものを用いても良い。この構成でも、端子導体9と縦部材62との絶縁は確保できる。
その他、上記の実施例では、配線構造体の左面50Lと中央面50CにFET53などを実装しているが、左面50Lと右面50RにFET53などを実装し、中央面50Cには発熱素子を実装しなくてもよい。この場合、中央面50Cの幅を狭めることができ、より一層パワーモジュールを小面積化することができる。
次に、空冷方式のヒートシンクを用いた本発明実施例を図7、図8に基づいて説明する。
本例でも、発熱素子を可撓性の配線構造体5に実装し、配線構造体5を折り曲げて縦部材同士の間に形成される収納部63に取り付ける点、ヒートシンク6と配線構造体5とが樹脂モールド7で一体化されている点は実施例1と同様である。
本例では、実施例1における下側分割片61Dを不要にしている。そして、縦部材62に正面側から背面側に抜ける断面が矩形の主溝62Aを形成し、この溝62Aを冷媒となる空気の流路としている。また、さらに本例では、この主溝62Aに直交する多数の副溝62Bも形成した。この副溝62Bは図7、図8に示すように、主溝62Aよりも若干深く形成されている。この副溝62Bにより、ヒートシンク6の表面積を増大して、効率的な冷却を可能にしている。
この構成においても、例えばファンを用いて強制的にヒートシンク6の底面部に空気を送り込めば、十分に高い放熱特性を得ることができ、小面積のパワーモジュールを構成することができる。
実施例1では、隣接する縦部材の間に配線構造体を収納する凹部収納型のパワーモジュールを説明したが、ここでは縦部材の上面と両側面に覆いかぶさるように配線構造体を設けた凸部被覆型のパワーモジュールについて、図9〜図13に基づいて説明する。各図において、実施例1と共通する部分には同一の符号を付している。
図9に示すように、このパワーモジュールの外観は、ほぼブロック状の形状で、正面にスイッチング素子の制御信号用端子1が、正面の左下部には冷媒となる水の給水口4Aが、背面の右下部には水の排出口(図示せず)が形成され、上面の後縁部に3相の交流出力端子3を有している点において実施例1と同様である。以下、実施例1との主な相違点を中心として説明する。
本例では、このモジュールの右側面および左側面に入力端子2を配置している。入力端子2から入力された直流は、モジュール内部のスイッチング素子の動作とダイオードの作用により所定の交流に変換されて出力端子3から出力される。スイッチング素子のスイッチングは、制御信号用端子1から入力される制御信号に基づいて制御される。これらスイッチング素子とダイオードは後述する配線構造体5(図10)を構成し、この配線構造体5を折り曲げてヒートシンク6に装着して、樹脂モールド7により配線構造体5とヒートシンク6とを一体に形成している。
この配線構造体の平面図を図10に示す。本例の配線構造体5も、実施例1の配線構造体と類似しており、スイッチング素子であるFET53にダイオード54を組み合わせて実装された可撓性のシート部材である。ここでは、フィルム導体51と絶縁フィルム52を貼り合わせてFPCのように配線構造体5を構成し、この構造体5に可撓性を持たせている。
実施例1の配線構造体5では、矩形面510Lの左側前方に突片511Lを有し、矩形面510Rの右側後方に突片511Rを有していたが、本例では、矩形面510Lの後縁における中央面寄りに突片511Lを形成し、矩形面510Rの後縁における中央面から離れた位置に突片511Rを形成している。この突片511Rがプラス側入力端子2に、突片511Lがマイナス側入力端子2につながる。その他の構成は、ほぼ実施例1の配線構造体5と同様である。
この配線構造体5は、図11に示すヒートシンク6に取り付けられる。このヒートシンク6は、横部材61の表面に複数の縦部材62が形成されている点で実施例1と同様である。但し、本例では、縦部材62の数が3つである。このヒートシンク6は、冷媒の給水口4Aと排水口4Bを有する。給水口4Aから導入された冷媒は、横部材61の前縁沿いの流路645を通り、3つに分岐されて、各縦部材62の一端における底部側から縦部材内の流路646に導かれる。縦部材62に沿って供給された冷媒は、縦部材62の他端における底部側から排出され、横部材61の後縁に沿った横部材の流路647から排水口4Bへと流通される。ここで、横部材沿いの流路645、647から各縦部材内の流路646へとつながる流路は、縦部材62の一端側において給水口4Aに近い側ほど断面積が小さく、縦部材62の一端側において排水口4Bに近い側ほど断面積が小さくなるように構成している。この構成により、全ての縦部材62内にほぼ均等に冷却水を流通させることができる。
このようなヒートシンクの縦部材62に、前記配線構造体5を被せるように取り付ける。その取付状態を図12および図13に示す。
本例では、図10における一点鎖線を山折れ線として配線構造体5を折り曲げ、その中央面50Cを縦部材62の上面に、右面50Rを縦部材62の右側面に、左面50Lを縦部材62の左側面に当接する。その際、突片511R、511Lはヒートシンクの縦部材背面に沿うように折り曲げる(図13参照)。そして、各突片511R、511Lは端子導体9に接続され、この端子導体9の一部をパワーモジュールの外面に露出させて入力端子2(図9参照)を構成する。
一方、縦部材の上面に配された中央面50Cの後方に延びる箇所は、やはりパワーモジュールの外面に露出されて、出力端子3(図9参照)を構成する。
本例のパワーモジュールにおいても、縦部材に発熱素子(FET53、ダイオード54)を配することで、パワーモジュールの面積を小型化できる。例えば、実施例3の構成において3相のパワーモジュールの発熱素子を配置するには3つの縦部材があればよく、実施例1のパワーモジュールよりもさらなる小面積化が実現できる。
また、実施例3の構成では横部材の表面に発熱素子を配置する必要がないため、隣接する縦部材の間隔をより小さくし、ヒートシンクの面積、つまりはパワーモジュールの面積を小さくすることができる。
さらに、本例の構成では、横部材表面に発熱素子が配置されないため、冷媒流路は縦部材内にあれば十分で、横部材内に設ける必要がなく、ヒートシンクの冷媒流路構成を簡略化することができる。
本発明パワーモジュールによれば、より小面積のパワーモジュールを構成することができる。そのため、電気自動車、ハイブリッドカーなど、パワーモジュールの設置スペースの制約が大きい分野において有効利用されることが期待できる。
本発明パワーモジュールの概略外観図である。 本発明パワーモジュールのモールドを除去した状態の内部構造図である。 本発明パワーモジュールに用いる配線構造体の展開平面図である。 本発明パワーモジュールに用いるヒートシンクの平面図である。 図4におけるA-Aでの切断面を示す本発明モジュールの切欠斜視図である。 図4におけるB-B断面図である。 空冷式本発明パワーモジュールの部分断面図である。 図7のパワーモジュールに用いるヒートシンクの底面図である。 実施例3のパワーモジュールの概略外観図である。 実施例3に用いる配線構造体の展開平面図である。 実施例3に用いるヒートシンクの平面図である。 実施例3のパワーモジュールの部分断面図である。 実施例3のパワーモジュールの背面図である。 モータを駆動するインバータの回路図である。 インバータを搭載した基板の概略平面図である。 図15の基板の部分断面図である。
符号の説明
1 制御信号用端子 2 入力端子 3 交流出力端子
4A 給水口 4B 排水口
5 配線構造体 50L 左面 50C 中央面 50R 右面
51 フィルム導体 52 絶縁フィルム 53 FET 54 ダイオード
55 薄膜回路パターン 56 連結導体 57 円孔
510L、510R 矩形面 511L、511R 突片
6 ヒートシンク 61 横部材 62 縦部材 63 収納部
64 流路 64V 縦部材の流路 64H 横部材の流路
61U、61D 分割片 610、614 平板 611 幅の狭い溝 612、615 幅の広い溝
613 凹型突起 616a 下側連結溝 616b 上側連結溝 616 連通路
617 取付溝
641 導入路 642 垂直路 643 下側水平溝 644 上側水平溝
645〜647 流路
7 樹脂モールド 8 Oリング 9 端子導体
62A 主溝 64B 副溝
100 モータ 110 ロータ 120 ステーター 121 ポール
130 導線 140 ホール素子 150 制御回路 530 スイッチング素子
600 ヒートシンク 601 Ni箔 602 半田 603 Al板 604 絶縁基板
605 Al板 606 Ni箔 607 半田

Claims (11)

  1. 複数の発熱素子と、これら発熱素子からの熱を放散するヒートシンクとを有するパワーモジュールであって、
    前記ヒートシンクは互いに同一平面上にない複数の面を有し、
    前記発熱素子は前記複数の面に配置されて、電気的に接続されていることを特徴とするパワーモジュール。
  2. 同一平面上にない複数の面は、横面と縦面であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
  3. 同一平面上にない複数の面は、間隔をあけて配される複数の縦面であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
  4. 前記発熱素子同士は可撓導体を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
  5. 前記ヒートシンクは、横部材と、横部材から突出し間隔をあけて配される複数の縦部材とを有し、
    この横部材の表面と、隣接する縦部材の対向する両側面との間に発熱素子の収納部を形成し、
    前記発熱素子は、可撓導体を折り曲げて複数の取付面を形成し、各取付面は前記収納部における横部材の表面および縦部材の両側面のいずれかの面に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のパワーモジュール。
  6. 前記横部材および縦部材の内部に液体冷媒の流路が形成され、
    この流路は、互いに隣接する縦部材の流路と横部材の流路とで液体冷媒の流通方向が逆になるように蛇行状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のパワーモジュール。
  7. 前記流路は、一対の分割片を接合することで形成されていることを特徴とする請求項6に記載のパワーモジュール。
  8. 前記縦部材の内部に、縦部材の一端から他端に抜ける気体冷媒の流路が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のパワーモジュール。
  9. 前記発熱素子とヒートシンクとはモールドで一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
  10. パワーモジュールの表面に、入力端子と、出力端子と、発熱素子制御用の信号端子とを有することを特徴とする請求項9に記載のパワーモジュール。
  11. 前記ヒートシンクは、横部材と、横部材から突出し間隔をあけて配される複数の縦部材とを有し、
    前記発熱素子は、可撓導体を折り曲げて複数の取付面を形成し、
    各取付面は、この縦部材の上面と、上面につながる両側面に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のパワーモジュール。
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