JP2005141971A - 評価用薄膜の形成方法および電子デバイスの評価方法 - Google Patents

評価用薄膜の形成方法および電子デバイスの評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 液相法による機能性薄膜の形成において、特にコンビナトリアル・プロセスを適用することにより、機能性薄膜の特性の膜厚に対する依存性評価を容易にかつ効率的に行えるようにした、評価用薄膜の形成方法と、この形成方法を用いた電子デバイスの評価方法を提供する。
【解決手段】 機能性薄膜の特性の、膜厚に対する依存性を評価するための評価用薄膜の形成方法である。基板1上に液状体を配して液状膜2を形成する工程と、基板1を真空装置3内に配し、真空装置3内を真空引きしつつ真空装置内にガスを流入させることで液状膜2の表面上に気流を生じさせ、これにより液状膜2を乾燥して気流方向に膜厚差のある評価用薄膜を形成する工程と、を備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、機能性薄膜の特性の、膜厚に対する依存性を評価するための評価用薄膜の形成方法と、この形成方法を用いた電子デバイスの評価方法に関する。
一般に電子デバイスでは、系統的な特性評価を行う場合、複数の基板を用意して異なる条件でデバイスを作製し、これらデバイスの特性を調べることでその製造条件等についての評価を行っている。例えば有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)のように、その機能層を形成する薄膜、すなわち発光層や正孔注入層となる機能性薄膜の膜厚が、発光特性等について大きく影響するような場合では、複数の基板にそれぞれ膜厚を変えて機能層(発光層や正孔注入層)を形成し、機能層の膜厚のみが異なる複数種の有機EL装置を形成する。そして、これら有機EL装置についてそれぞれに発光特性等の測定を行い、得られた結果から膜厚依存性についての評価を行うようにしている。
しかしながら、このような評価方法では、膜厚毎に独立した有機EL装置をそれぞれ独立した基板上に形成する必要があることから、評価試験を行うごとに多くの基板を必要とし、さらに評価後大量の基板を廃棄することになってしまうため、評価にあたっての、特にコスト面での効率が極めて悪いといった問題があった。
ところで、例えば化学合成の分野においては、コンビナトリアル・ケミストリーと呼ばれるプロセスとして、複数の化合物を同時合成で得る手法が確立されている。このようなコンビナトリアル・プロセスとは、一度の実験において複数の条件を満たすことができるものであり、近年では薄膜形成の分野においても一部に採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−329366号公報
また、近年では、電子デバイスにおける機能性薄膜の形成方法として、気相法に代えて液滴吐出法等の液相法を採用することが、CVD装置などの高価な装置を必要とせず、したがってイニシャルコストを抑えることができるなどの理由により、有利であるとされている。
しかしながら、気相法(CVD法)による膜形成に対しては、前述したように例えば前記特許文献1でコンビナトリアル・プロセスを適用することが知られているものの、液相法による膜形成に対しては、コンビナトリアル・プロセスを適用した例が現在のところ知られていない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、液相法による機能性薄膜の形成において、特にコンビナトリアル・プロセスを適用することにより、機能性薄膜の特性の膜厚に対する依存性評価を容易にかつ効率的に行えるようにした、評価用薄膜の形成方法と、この形成方法を用いた電子デバイスの評価方法を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の評価用薄膜の形成方法は、機能性薄膜の特性の、膜厚に対する依存性を評価するための評価用薄膜の形成方法であって、
基板上に液状体を配して液状膜を形成する工程と、
前記基板を真空装置内に配し、該真空装置内を真空引きしつつ該真空装置内にガスを流入させることで前記液状膜の表面上に気流を生じさせ、これにより該液状膜を乾燥して前記気流方向に膜厚差のある評価用薄膜を形成する工程と、を備えたことを特徴としている。
この評価用薄膜の形成方法によれば、液状膜の表面上に気流を生じさせつつ該液状膜を乾燥することにより、前記気流方向に膜厚差のある評価用薄膜を形成するようにしたので、一つの基板上に膜厚の異なる機能性薄膜(評価用薄膜)を同時にしかも容易に形成することができ、したがって液相法による膜形成に対してコンビナトリアル・プロセスを適用することが可能になる。
また、前記評価用薄膜の形成方法においては、前記真空装置での真空引きを行うための吸引口を前記基板上の液状膜の一方の側に配し、前記ガスの流入口を前記前記基板上の液状膜の他方の側で、かつ前記吸引口と対向する側に配することにより、前記液状膜の表面上に気流を生じさせるのが好ましい。
このようにすれば、液状膜の表面上に生じる気流が、流入口から吸引口に向けて乱れのない良好な気流となることから、得られる評価用薄膜を、前記流入口側から吸引口側に行くに連れてその膜厚が漸次厚くなるよう、その膜厚差をより良好に形成することができる。
また、前記評価用薄膜の形成方法においては、前記ガスが不活性ガスであってもよい。
このようにすれば、特に形成する機能性薄膜(評価用薄膜)が水分や酸素によって変質するものである場合に、これら水分や酸素の影響を排除して良好な機能性薄膜(評価用薄膜)を形成することが可能になる。
本発明の電子デバイスの評価方法は、前記評価用薄膜の形成方法によって得られた評価用薄膜が、電子デバイスにおける機能性薄膜であり、この評価用薄膜からなる機能性薄膜の特性を評価することにより、前記電子デバイスの特性の膜厚依存性を評価することを特徴としている。
この電子デバイスの評価方法によれば、前述したように液相法による膜形成に対してコンビナトリアル・プロセスが適用された評価方法となるので、評価試験を行うごとに多くの基板を必要とし、さらに評価後大量の基板を廃棄するといった不都合が解消されて効率的な評価が可能なる。
また、前記電子デバイスの評価方法においては、前記電子デバイスにおける機能性薄膜が、有機EL装置における機能層となる機能性薄膜であってもよい。
このようにすれば、特に機能層の膜厚依存性が高い有機EL装置について、その特性の膜厚依存性評価を効率的に行うことが可能になる。
以下、本発明をその実施形態に基づいて詳しく説明する。
まず、本実施形態では、図1に示すように基板1上に液状体を配し、液状膜2を形成する。ここで配する液状体としては、機能性材料、すなわち目的とする機能性薄膜となる固形材料と、これを溶解しあるいは分散させる溶媒(あるいは分散媒)とからなる溶液(あるいは分散液)とされる。
このような液状体の配置方法、すなわち塗布方法としては、特に限定されないものの、インクジェット法等の液滴吐出法が好適とされる。これは、例えばスピンコート法のように多量の材料を用いて大面積の薄膜を形成する方法に対し、少量の材料を所望箇所に選択的に配して所望パターンの薄膜を形成することができ、生産性や材料効率の点で有利だからである。なお、スピンコート法は、均質な膜厚の薄膜を形成するのには有利であるものの、塗布の終了と同時に乾燥もほぼ終了してしまうことから、本発明のごとく最終的に膜厚差のある薄膜を形成するためには不適である。
ここで、液滴吐出法の一種である前記インクジェット法は、例えば図2(a)、(b)に示す吐出ヘッド34を用い、これから液状体を液滴として吐出する方法である。
吐出ヘッド34は、図2(a)に示すように例えばステンレス製のノズルプレート12と振動板13とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)14を介して接合したものである。ノズルプレート12と振動板13との間には、仕切部材14によって複数のキャビティ15…とリザーバ16とが形成されており、これらキャビティ15…とリザーバ16とは流路17を介して連通している。
各キャビティ15とリザーバ16の内部とは液状体で満たされるようになっており、これらの間の流路17はリザーバ16からキャビティ15に液状体を供給する供給口として機能するようになっている。また、ノズルプレート12には、キャビティ15から液状体を噴射するための孔状のノズル18が縦横に整列した状態で複数形成されている。一方、振動板13には、リザーバ16内に開口する孔19が形成されており、この孔19には液状体タンク(図示せず)がチューブ(図示せず)を介して接続されるようになっている。
また、振動板13のキャビティ15に向く面と反対の側の面上には、図2(b)に示すように圧電素子(ピエゾ素子)20が接合されている。この圧電素子20は、一対の電極21、21間に挟持され、通電により外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。
このような構成のもとに圧電素子20が接合された振動板13は、圧電素子20と一体になって同時に外側へ撓曲し、これによりキャビティ15の容積を増大させる。すると、キャビティ15内とリザーバ16内とが連通しており、リザーバ16内に液状体が充填されている場合には、キャビティ15内に増大した容積分に相当する液状体が、リザーバ16から流路17を介して流入する。
そして、このような状態から圧電素子20への通電を解除すると、圧電素子20と振動板13はともに元の形状に戻る。よって、キャビティ15も元の容積に戻ることから、キャビティ15内部の液状体の圧力が上昇し、ノズル18から液状体の液滴22が吐出される。
なお、吐出ヘッドの吐出手段としては、前記の圧電素子(ピエゾ素子)20を用いた電気機械変換体以外でもよく、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式や、帯電制御型、加圧振動型といった連続方式、静電吸引方式、さらにはレーザーなどの電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用で液状体を吐出させる方式を採用することもできる。
また、液滴吐出法としては、前記のインクジェット法によることなく、単にピペットなどを用いて基板上に液滴を滴下する方法を採ることもできる。
このような吐出ヘッド34等によって基板1上に液状体を配し、液状膜2を形成したら、この基板1を図3(a)、(b)に示すように真空装置3内に収容する。真空装置3は、図3(b)に示すように平面視矩形状のもので、基板1を載置する矩形状の載置台4を内部に有したものである。この真空装置3の一方の側には吸引口5が設けられ、この吸引口5には配管6を介して真空ポンプ7が接続されている。また、真空装置3の他方の側には流入口8が設けられ、この流入口8には配管9を介してガス供給源10が接続されている。
吸引口5は、前記載置台4の一方の側で載置台4の載置面よりやや上方(基板1の厚さよりもやや大きい高さ)に配置されたもので、これにより載置台4上の基板1の、液状膜2の一方の側に配置されるよう構成されたものである。この吸引口5は、例えば図3(b)に示したように、載置台4の短辺方向、すなわちX方向に沿って細長く形成されたもので、これによって載置台4上に載置された基板1の、液状膜2に対しX方向で均一に吸引するようになっている。
流入口8は、前記載置台4の他方の側で載置台4の載置面よりやや上方(基板1の厚さよりもやや大きい高さ)に配置され、すなわち前記吸引口5と対向する側に配置されたもので、これにより載置台4上の基板1の、液状膜2の他方の側に配置されるよう構成されたものである。この流入口8も、前記X方向に沿って細長く形成されたもので、これにより液状膜2に対してX方向でガスを均一に流入するようになっている。
真空ポンプ7は、従来公知の一般的なもので、特に真空装置3内を、例えば30秒以内に1Pa以下の真空度にすることができるタイプのものが、好適に用いられる。
ガス供給源10は、ガスを充填してなるガスシリンダー等からなるもので、ガスとして例えば窒素等の不活性ガスを供給したり、あるいは空気を供給するものである。ここで、供給するガスの種類については、前記の液状膜2の性状に応じて適宜選択され用いられる。すなわち、液状膜2から形成される機能性薄膜(評価用薄膜)が水分や酸素によって変質するものである場合には、これら水分や酸素の影響を排除し得るよう、窒素等の不活性ガスが用いられ、酸素や水分により影響を受けないものに対しては、安価である等の理由によって空気が用いられる。
また、ガス供給源10から供給・流入させるガスの流量については、前記真空ポンプ7の吸引量より十分に少ない量とされる。したがって、流入口8から流入したガスは、前記基板1の液状膜2上を通過して吸引口5に吸引され、そのまま真空装置3の外に排出されるようになり、これにより真空装置3内は後述するように真空に近い減圧雰囲気に調整されるようになっている。また、このように流入口8から流入したガスが液状膜2上を通過して吸引口5に吸引されることにより、前記液状膜2の表面上には前記ガスによる気流が生じるようになっている。
このような構成の真空装置3内に前記基板1を入れ、載置台4上にこれを載置したら、真空装置3内の蓋(図示せず)を閉じ、真空ポンプ7をオンにするとともに、ガス供給源10の開閉弁(図示せず)を開いて所定量のガスを真空装置3内に供給・流入させる。すると、前述したように流入口8から流入したガスが液状膜2上を通過して吸引口5に吸引されることにより、前記液状膜2の表面上には前記ガスによる気流が生じる。また、ガス供給源10からのガスの流量が真空ポンプ7の吸引量より十分に少ないことから、真空装置3内は真空ポンプ7によって脱気されることによって真空に近い減圧雰囲気、すなわち、液状膜2中の溶媒あるいは分散媒や、ガス供給源10から供給・流入したガスが一時的に滞留している分のみが真空装置3内に存在する、減圧雰囲気となる。
このようにして真空ポンプ7による吸引とガス供給源10からのガスの供給・流入を続けると、液状膜2中の溶媒あるいは分散媒は液状膜2上に生じた気流にのって吸引口5に吸引され、真空装置3の外に排出される。したがって、液状膜2は乾燥し、機能性薄膜(評価用薄膜)となる。
このとき、液状膜2は図4(a)に示すように基板1上において矢印Aで示す気流の影響を受けることから、液状膜2中においても、矢印Bに示すように気流と同じ方向に液状体の流動が起こる。そして、この流動によって液状体の量が少なくなった側(流入口8側)から徐々に乾燥による固化が起こり、最終的に吸引口5側まで乾燥され、図4(b)に示すように機能性薄膜2aとなる。
このようにして形成された機能性薄膜2aは、前述したように気流による液状体の流動によって乾燥による固化が矢印Bで示す方向に進むなどの理由により、気流方向(矢印A方向)に沿って膜厚差を形成したものとなる。具体的には、常温にて1Pa以下の減圧雰囲気(略真空雰囲気)で前記の乾燥処理を20分間行ったところ、得られた機能性薄膜2aは、吸引口5側の端部5aと流入口8側の端部8aとの間で約20nmの膜厚差が形成されていた。したがって、このようにして得られた機能性薄膜2aを評価用薄膜として用い、その膜厚の異なる部位間での特性値の差を調べることにより、機能性薄膜2aの特性の膜厚依存性を調べることができる。
なお、機能性薄膜2aの特性値を調べる際、この機能性薄膜2aが独立している必要がある場合には、例えば公知のフォトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて機能性薄膜2aを、図4(c)に示すように平均膜厚が異なる複数の評価用薄膜2b…に分離し、これら評価用薄膜2b…の特性値ををそれぞれ調べるようにすればよい。
また、例えば図5の平面図に示すように、予め基板1上に複数の領域に分けてそれぞれに独立した液状膜2…を形成しておき、これらを乾燥する際、前述した真空装置3内にて矢印A方向に気流を生じさせることにより、この矢印A方向に徐々に膜厚が厚くなった評価用薄膜2b…を形成するようにしてもよい。
このような評価用薄膜の形成方法にあっては、液状膜2の表面上に気流を生じさせつつ該液状膜2を減圧乾燥(真空乾燥)することにより、前記気流方向に膜厚差のある機能性薄膜2a(評価用薄膜2b)を形成するようにしたので、一つの基板1上に膜厚の異なる機能性薄膜2a(評価用薄膜2b)を同時にしかも容易に形成することができる。したがって、液相法による膜形成に対してコンビナトリアル・プロセスを適用することができ、これにより評価試験を行うごとに多くの基板を必要とし、さらに評価後大量の基板を廃棄するといった不都合を解消して特にコスト面で効率的な評価を可能にすることができる。
次に、前記の評価用薄膜の形成方法を用いた本発明の電子デバイスの評価方法について説明する。なお、前記評価用薄膜の形成方法を適用する電子デバイスとしては、特に有機EL装置や太陽電池が好適に挙げられる。そこで、本実施形態では、電子デバイスを有機EL装置とした場合について説明する。
まず、有機EL装置の概略構成について図6を参照して説明する。
図6に示すようにこの有機EL装置301は、基板311、回路素子部321、画素電極331、バンク部341、発光素子351、陰極361(対向電極)、および封止基板371から構成された有機EL素子302に、フレキシブル基板(図示略)の配線および駆動IC(図示略)を接続したものである。回路素子部321は、TFT等からなるアクティブ素子が基板311上に形成され、複数の画素電極331が回路素子部321上に整列して構成されたものである。そして、各画素電極331間にはバンク部341が格子状に形成されており、バンク部341により生じた凹部開口344に、発光素子351が形成されている。なお、発光素子351は、赤色の発光をなす素子と緑色の発光をなす素子と青色の発光をなす素子とからなっており、これによって有機EL装置301は、フルカラー表示を実現するものとなっている。陰極361は、バンク部341および発光素子351の上部全面に形成され、陰極361の上には封止用基板371が積層されている。
有機EL素子を含む有機EL装置301の製造プロセスは、バンク部341を形成するバンク部形成工程と、発光素子351を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子351を形成する発光素子形成工程と、陰極361を形成する対向電極形成工程と、封止用基板371を陰極361上に積層して封止する封止工程とを備えている。
発光素子形成工程は、凹部開口344、すなわち画素電極331上に正孔注入層352および発光層353を形成することにより発光素子351を形成するもので、正孔注入層形成工程と発光層形成工程とを具備している。そして、正孔注入層形成工程は、正孔注入層352を形成するための液状体材料を各画素電極331上に吐出する第1吐出工程と、吐出された液状体材料を乾燥させて正孔注入層352を形成する第1乾燥工程とを有している。また、発光層形成工程は、発光層353を形成するための液状体材料を正孔注入層352の上に吐出する第2吐出工程と、吐出された液状体材料を乾燥させて発光層353を形成する第2乾燥工程とを有している。
なお、発光層353は、前述したように赤、緑、青の3色に対応する材料によって3種類のものが形成されるようになっており、したがって前記の第2吐出工程は、3種類の材料をそれぞれに吐出するために3つの工程からなっている。また、発光素子351については、正孔注入層352と発光層353とからのみ形成することなく、例えば発光層353の上に電子注入層(図示せず)を設けるようにしてもよい。
ここで、発光素子351を構成する機能層、すなわち正孔注入層352、発光層353、さらには電子注入層は、有機EL装置の発光特性、例えば輝度や寿命、電圧に対する効率等に大きく影響する。したがって、これら機能層となる機能性薄膜(正孔注入層352、発光層353、電子注入層)の膜厚については、要求される特性を満足させるための適正範囲を決定しておく必要がある。
そこで、このような機能性薄膜の膜厚決定を行うため、この機能性薄膜の特性の膜厚依存性を調べる必要があるが、これを調べるにあたって、前述した評価用薄膜の形成方法を用いることができる。
すなわち、例えば図5に示したようにガラス基板1上にITO(インジウム錫酸化物)からなる陽極パターンを、評価用薄膜2bに対応した状態に形成しておき、この陽極パターン上にそれぞれ独立した状態で正孔注入層(図示せず)を形成しておく。なお、本例では特に発光層の膜厚依存性を調べるものとし、正孔注入層については従来と同様に、液状膜上に気流を生じさせることなく、単なる真空乾燥、あるいは加熱乾燥(さらには加熱減圧乾燥)を行うものとする。
次いで、このようにしてそれぞれ独立して形成した正孔注入層上に、発光層形成材料としての液状体を例えば前述した液滴吐出法によって配し、液状膜を形成する。ここで、発光層形成材料としては、ポリフルオレンやポリフェニレンビニレンなどの高分子化合物、もしくはその誘導体が好適に用いられ、その溶媒としては、トリメチルベンゼンやシクロヘキシルベンゼンなどが用いられる。図5に示した例では、特に(1)〜(4)に示す列毎に、それぞれ相対向して一対の液状膜を形成した。なお、図5中の符号11は、陰極取り出し用の配線部であり、例えば前記の陽極パターン形成の際に同時に形成したものである。
このようにして基板1上にそれぞれ独立した発光層形成材料からなる液状膜を形成したら、この基板1を図3に示した真空装置3内の載置台4上に載置し、真空ポンプ7をオンすることによって真空装置3内を30秒以内で1Paにまで減圧するとともに、ガス供給源10から窒素ガスを微量ずつ連続して供給・流入させ、液状膜上に気流を生じさせる。なお、温度については、加熱することなく常温のままとした。そして、このような状態のまま真空装置3内を1Pa以下に保持しつつ、液状膜上に気流を生じさせて減圧乾燥(略真空乾燥)を20分間行った。
すると、得られた評価用薄膜2b(発光層)の膜厚は、図5中の(1)が75nm、(2)が80nm、(3)が85nm、(4)が90nmとなり、これら評価用薄膜2bの膜厚をそれぞれ所望の膜厚に制御することができた。
その後、得られた評価用薄膜2b上に共通の陰極(図示せず)を形成し、これにより各評価用薄膜2bごとに有機EL素子を完成させた。
そして、このようにして得られた有機EL素子の各発光特性を調べることにより、膜厚が75nm〜90nmの範囲での、発光特性の発光層膜厚に対する依存性を調べることができた。
なお、この例では機能性薄膜として発光層を選択し、前述した形成方法でこれの膜厚を変えるようにしたが、発光層に代えて正孔注入層の膜厚を変えるようにし、あるいは電子注入層の膜厚を変えるようにしてもよいのはもちろんである。
このような有機EL装置の評価方法にあっては、前述した評価用薄膜の形成方法を採用して機能性薄膜を形成するので、液相法による膜形成に対してコンビナトリアル・プロセスを適用した評価方法となり、したがって評価試験を行うごとに多くの基板を必要とし、さらに評価後大量の基板を廃棄するといった不都合を解消して特にコスト面で効率的な評価を行うことができる。
また、特に機能層の膜厚依存性が高い有機EL装置について本発明の評価方法を適用したので、その発光特性についての膜厚依存性評価を効率的に行うことができ、したがってより高品質な有機EL装置の開発に大きく寄与することができる。
なお、本発明の電子デバイスの評価方法では、電子デバイスが有機EL装置に限定されることなく太陽電池やその他のデバイスにも適用可能であり、その場合にも、機能性薄膜(評価用薄膜)の特性の膜厚依存性の評価を効率的に行うことができる。
本発明の評価用薄膜の形成方法を説明するための側面図である。 (a)は液滴吐出ヘッドの要部斜視図、(b)は要部側断面図である。 真空装置の概略構成図であり、(a)は側断面図、(b)は平面図である。 本発明の評価用薄膜の形成方法を説明するための模式図である。 本発明の評価用薄膜の形成方法を説明するための別の模式図である。 有機EL装置の概略構成図である。
符号の説明
1…基板、2…液状膜、2a…機能性薄膜、2b…評価用薄膜、3…真空装置、
5…吸引口、7…真空ポンプ、8…流入口、10…ガス供給源

Claims (5)

  1. 機能性薄膜の特性の、膜厚に対する依存性を評価するための評価用薄膜の形成方法であって、
    基板上に液状体を配して液状膜を形成する工程と、
    前記基板を真空装置内に配し、該真空装置内を真空引きしつつ該真空装置内にガスを流入させることで前記液状膜の表面上に気流を生じさせ、これにより該液状膜を乾燥して前記気流方向に膜厚差のある評価用薄膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする評価用薄膜の形成方法。
  2. 前記真空装置での真空引きを行うための吸引口を前記基板上の液状膜の一方の側に配し、前記ガスの流入口を前記前記基板上の液状膜の他方の側で、かつ前記吸引口と対向する側に配することにより、前記液状膜の表面上に気流を生じさせることを特徴とする請求項1記載の評価用薄膜の形成方法。
  3. 前記ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項1又は2記載の評価用薄膜の形成方法。
  4. 前記評価用薄膜の形成方法によって得られた評価用薄膜が、電子デバイスにおける機能性薄膜であり、この評価用薄膜からなる機能性薄膜の特性を評価することにより、前記電子デバイスの特性の膜厚依存性を評価することを特徴とする電子デバイスの評価方法。
  5. 前記電子デバイスにおける機能性薄膜が、有機EL装置における機能層となる機能性薄膜であることを特徴とする請求項4記載の電子デバイスの評価方法。
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JP2014199805A (ja) * 2013-03-14 2014-10-23 東京エレクトロン株式会社 乾燥装置及び乾燥処理方法
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