JP2005140762A - マイクロ分析用チップの製造方法 - Google Patents

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裕聖 柳生
Shigehiko Hayashi
茂彦 林
Osamu Tabata
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Abstract

【課題】基板に高アスペクト比のトンネル状溝部を形成してこの中に濃度を高めたサンプルを入れることができるマイクロ分析用チップの製造方法を提供する。
【解決手段】基板2の中に形成したトンネル状溝部11にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップ10の製造方法であって、基板2の一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材3を形成する工程(a)、レーザ光をマスク材3に照射して微細なパターン7を形成する工程(b)、ブラスト材をマスク材3に衝突させて基板上に前記パターン7に沿った溝部8を形成する工程(c)、マスク材3を除去する工程(d)、加工した基板2を洗浄する工程(e)、加工した基板2に予め穴加工したカバー材2aを積層してトンネル状溝部11とその両端部に出入口12,13を配置する工程(f)からなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、マイクロ分析用チップの製造方法に係り、詳しくは基板の中に形成したトンネル状溝部にDNA等のサンプルを入れて電気泳動を行うことで該サンプルの種々の分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法に関する。
近年、マイクロマシンの部品やマイクロセンサーなどの製造において、シリコン、ガラス、セラミックス等の基板に対する高精度の微細加工技術が求められている。前記材料は本質的に高硬度、高脆性、高融点であるため、従来のエッチング、レーザ、電子線、放電加工、あるいは電解加工等の熱的、化学的な加工技術では、加工効率、精度、品質において不利な点が多い。
一方パウダーブラスト法は、ノズルから微細砥粒を噴出させ、被加工材表面に高速かつ高密度に衝突させることによって機械的に加工する方法であり、前記材料に対してクラックやチッピング発生の少ない優れた加工性を有している。このため、パウダーブラスト法はマイクロ分析チップの設計・試作に必要なガラスチップのラピッドプロトタイピング技術を始めとする数十マイクロメートルオーダーでの微細加工に好適な方法として期待されている。
また、これらの用途ではチップ内に溝部を3次元的に構成することが望まれているため、ガラスチップ中での深さ方向の加工形状の制御が必要になる。深さ方向の加工形状は、一般に幅方向のサイズに対する深さ方向のサイズの比、すなわちアスペクト比によって評価される。
上記パウダーブラスト法では、一般に被加工材表面上にマスク材が積層されている。このマスク材に要求される条件としては、100μmピッチ以下のパターンが安定して形成できること、そしてパウダーブラスト時にブラスト材の噴出による損傷を受けずに被加工材を所望のパターンに準じて微細加工できるよう耐摩耗性を有すること等が挙げられている。
このようなマスク材を形成するための組成物としては、例えば、特許文献1には末端にエチレン性不飽和二重結合を有するウレタンオリゴマーを主成分としてセルロース誘導体を含むことを特徴とする樹脂組成物が開示され、特許文献2にはカルボキシ変性ウレタンアクリレート化合物からなる樹脂組成物が開示されている。
特開平06−161098号
特開平08−54734号
しかし、従来の樹脂組成物には、高感度ではあるものの耐摩耗性に欠けるためにパウダーブラスト中にマスク材が摩耗し、高アスペクト比のパウダーブラスト加工物が得られないものがあった。
本発明はこのような問題点を解決するものであり、基板に高アスペクト比のトンネル状溝部を形成してこの中に濃度を高めたサンプルを入れることができるマイクロ分析用チップの製造方法を提供する。
本願請求項1記載の発明は、基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
基板の一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、レーザ光をマスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、ブラスト材をマスク材に衝突させて基板上に前記パターンに沿って第1の加工部を形成する工程、上記基板の同一面もしくは他面に同様にしてマスク材を形成し、レーザ光を照射してマスク材に微細なパターンを形成し、そしてブラスト材をマスク材に衝突させて基板上に第2の加工部を形成する工程、前記マスク材を除去して得られた加工した基板にカバー材を積層してトンネル状溝部とその両端部に出入口を配置する工程、からなるマイクロ分析用チップの製造方法であり、高アスペクト比のトンネル状溝部を形成することができる。
本願請求項2記載の発明は、基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
基板の両面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、レーザ光を各マスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、ブラスト材をマスク材に衝突させて基板の一方の面に前記パターンに沿って第1の加工部を形成し、基板の他面にも同様に第2の加工部を形成する工程、前記マスク材を除去して得られた加工した基板にカバー材を積層してトンネル状溝部とその両端部に出入口を配置する工程、からなるマイクロ分析用チップの製造方法であり、請求項1と同様に高アスペクト比のトンネル状溝部を形成することができる。
本願請求項3〜5記載の発明は、第1の加工部が複数の貫通穴で、第2の加工部が溝部である場合や、カバー材が透光性のある基板である場合や、カバー材が樹脂フィルムである場合を含む。
本願請求項6記載の発明は、基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
一対の基板におけるそれぞれの一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、レーザ光を各基板上のマスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、ブラスト材をマスク材に衝突させて一方の基板上に前記パターンに沿った溝部を形成し、他方の基板に複数の貫通穴を形成する工程、前記マスク材を除去した後に上記一対の加工した基板を積層してトンネル状溝部を形成し、該溝部の両端部に貫通穴を配置する工程、からなるマイクロ分析用チップの製造方法にある。この方法では、一方の基板に溝部を他方の基板に貫通穴を別々に加工することで、量産に適した製造方法になる。
本願請求項7〜8記載の発明は、基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
基板の一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、レーザ光をマスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、ブラスト材をマスク材に衝突させて基板上に前記パターンに沿った溝部を形成する工程、前記マスク材を除去して得られた加工した基板に予め穴加工したカバー材を積層してトンネル状溝部とその両端部に出入口を配置する工程からなるマイクロ分析用チップの製造方法にあり、工数を低減して短時間で製造することができる。また、穴加工したカバー材として樹脂フィルムを使用する場合には、カバー材の積層工程が容易になり、更に短時間で製造することができる。
本願請求項9記載の発明は、トンネル状溝部が平面上で交差し、該溝部の両端部に外部へ貫通した出入口が設けられているマイクロ分析用チップの製造方法であり、トンネル状溝部に測定用サンプルを入れやすく、また分析しやすくしている。
本発明のマイクロ分析用チップの製造方法では、基板に高アスペクト比のトンネル状溝部を形成して溝体積を増加し、またサンプルの濃度を高めることも可能になり、それによって検出強度を高めたチップを効率よく作製することができる。
以下に添付図面を参照し、本発明を説明する。図1の(a)〜(i)工程は本発明に係るマイクロ分析用チップの製造方法の工程を示す。
図1において、(a)工程ではガラス、シリコン、セラミックス等からなる厚さ0.1〜1.5mmの基板2における一方の面に、金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物を塗布またはスピンコートして厚さ10〜50μmの薄膜のマスク材3を形成する。ポリウレタン樹脂組成物は耐摩耗性に優れ、後述するパウダーブラスト法におけるブラスト材の噴出に対しても良好な耐摩耗性を発揮し、被加工材への高アスペクト比な加工を可能にする。
金属微粒子は、粒径100nm以下の金、銀、白金、パラジウム等の金属微粒子を溶媒中に分散したものであって、金属の種類に対応したプラズモン共鳴振動による吸収を示す。金属の種類としては、低出力のグリーンレーザの波長に対応する吸収を示す金微粒子が最も好ましい。
金属微粒子は、特許第2561537号に開示されたガス中蒸発法、特開平11−319538号に開示された金の塩からの還元析出法等によって作製される。該金属微粒子は特開2003−121606号に開示されているように、アルキルアミン、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩等の分散剤を用いて分散安定性を増大させることもできる。
ポリウレタン樹脂組成物は、ポリオールとイソシアネートの重付加反応によって生成される。ポリオールの種類としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、フッ素系等がある。
アクリル系ポリオールは、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体と、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体、及び(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のエステル基を有する(メタ)アクリル系単量体を共重合させることによって得られる。
ポリエステル系ポリオールは、例えば、アジピン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルトフタル酸からなる群から選ばれた一種または二種以上のジカルボン酸と、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びテトラメチレングリコール、カプロラクトンジオ−ルからなる群から選ばれた一種または二種以上のジオールとから形成されたポリエステル単位を主鎖に含み、少なくとも主鎖両末端に水酸基を有するものが使用できる。
イソシアネートの種類としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’―ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’―ジメチル ―4,4’―ビフェニレンジイソシアネート、3,3’―ジメトキシ ―4,4’―ビフェニレンジイソシアネート、3,3’―ジクロロ―4,4’―ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが用いられ、特に限定されるものではない。
前記金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物は、金属微粒子分散液、ポリオール、及びイソシアネートをトルエン、p−キシレン等の溶剤と共に混合することによってペーストに作製されたものである。金属微粒子分散液の配合量は特に限定されるものではないが、高分子マトリックス中での均一な分散を考慮すれば、5〜20質量%が好ましい。このペーストは、スピンコータ、アプリケータ等を用いて基板2上に塗布され、塗布後、加熱乾燥され、マスク材3が形成される。
続いて、図1の(b)工程では、レーザ光をマスク材3に照射することで微細なパターン4を形成する。このマスク材3への微細パターンの作製には、例えばレーザ光源として出力が数10mmワット程度の、例えば波長532nmのグリーンレーザが好適に用いられる。レーザ光は一般に複数のミラー及びハーフミラーを介して、基板が載置された光学顕微鏡内に導かれる。モーター駆動により3次元方向に移動可能なXYZステージ上に載置された基板上のマスク材の表面は、直上の対物レンズ及びCCDカメラを通してTVモニターで、あるいは図示しない接眼レンズを通して肉眼で観察可能である。レーザ光を遮断した状態でマスク材の表面の状態を確認した後、マスク材にレーザ光を導入する。レーザ光は対物レンズによってマスク材上で最小1μm程度にまで絞り込まれる。マスク材の表面をTVモニターで観察しながら、XYZステージをXY方向に所望の微細パターンに従って駆動させる。
金属微粒子は、ポリウレタン樹脂組成物内において、金属の種類に特有のプラズモン共鳴振動による吸収、例えば金微粒子の場合は、530nm付近に極大を有する吸収を示すため、前記マスク材3の側から波長532nmのグリーンレーザ光を所望のパターンに従って集光照射すれば、金微粒子が吸収した光エネルギーが熱エネルギーに変換され、マスク材3に凹部の微細パターンが形成される。尚、この凹部の底面は、基板2表面で露出していることが好ましい。
そして、図1の(c)工程では、ブラスト材をマスク材3上に衝突させるパウダーブラスト法によって基板2上に設けた複数のスポットのパターン4に沿って第1の加工部である貫通穴5を形成する。
上記パウダーブラスト法は、圧縮空気等のキャリヤガスにより加速されるブラスト材と呼ばれる微細砥粒をノズルから噴出させ、基板表面に高速かつ高密度に衝突させることによって基板表面に微細加工を行うものである。ブラスト材には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素等の直径5〜20μmの微粉末が好適に用いられる。ブラスト材を噴出するノズルは、直径5〜10mm程度であり、0.5〜5kg/cm2のブラスト圧で設置されたマスク材の側から全面に噴出される。固定されたノズルに対して基板を載せた試料台を一方向に走査して、その走査回数を投射回数としてブラスト材の投射量が調節される。
パウダーブラスト装置には、マスク材を加熱するための装置が設けられる。この装置は、例えばヒータを内蔵した金属ブロックからなり、その上に載せたマスク材を任意の温度になるまで加熱することができる。マスク材の温度を一定に維持するために、マスク材の上に熱電対を設置し、加工中のマスク材の温度をヒータ電源にフィードバックさせて温度制御を行うことが望ましい。
ここで、マスク材の加熱は、マスク材の温度がマスク材を構成するポリウレタン樹脂組成物の動的粘弾性におけるTanδピーク温度以上の温度に維持される。これによって、マスク材の耐摩耗性が改善され、高アスペクト比の溝部が形成される。これはポリウレタン樹脂組成物の動的粘弾性におけるTanδピーク温度を境界にして、耐摩耗性に関連する何らかの物性変化がマスク材に発生していると思われる。マスク材の耐摩耗性は、温度上昇に比例して改善され、Tanδピーク温度以上の温度については、ポリウレタン樹脂組成物の動的粘弾性における温度分散が一定になる温度あるいは加熱によるポリウレタン樹脂組成物の分解によるマスク材の変形を考慮すれば、300℃程度が上限になる。
そして、図1の(d)固定では、パウダーブラスト処理後、マスク材3を蒸留水に浸漬して剥離除去する。
図1の(e)工程では、上記加工した基板2の他面にこれと同様の方法で厚さ10〜50μmのマスク材3を形成し、(f)工程に示すようにレーザ光をマスク材3に照射することによって微細なパターン7を形成し、そして(g)工程に示すようにブラスト材をマスク材上に衝突させるパウダーブラスト法によって基板2上に第2の加工部である溝部8を形成し、更に(h)工程ではマスク材3を除去する。
(d)および(h)工程に示すように、マスク材を除去して得られた加工基板2、2は、接合工程の前処理として該基板2表面を親水化するために、例えばNHOH/H(NHOH:H:HO=1:1:5)、HCl/H(HCl:H=1:1)、HSO/H(HSO:H=4:1)等に10〜48時間浸漬して水洗する。続いて、(i)工程に示すように前処理した加工した基板2にカバー材2aとして透光性のある基板を重ね、アルミナ板に挟み、2〜5kPaの荷重を印加しながら500〜1,000℃で6〜10時間放置後、除冷してマイクロ分析用チップを作製する。
尚、本実施例においては、(d)工程のマスク材の除去工程を省いて、(h)工程で一度にマスク材を除去することができる。また、カバー材2aとして樹脂フィルムを貼り合わせることもできる。
カバー材2aとしては、樹脂フィルムや透光性のあるガラス等の基板があり、樹脂フィルムとしてはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール等を素材とする透光性の良好なものである。樹脂フィルムには、粘着層が付着している場合や熱溶着しやすいフィルムが積層している場合がある。この粘着層としてはアクリル系、ウレタン系、シリコン系粘着剤が使用できるが、透明性や耐薬品性の高いシリコン系粘着剤が好ましい。シリコン系粘着剤としては、オルガノポリシロキサンであるシリコンゴム、官能基としてシラノール基を含有するシリコン樹脂、ヒドロシリル基含有シロキサン架橋剤を有する付加型粘着剤や過酸化ベンゾイル等の過酸化物型シリコンがある。
マイクロ分析用チップ10は、図5と図6に示すように基板2とカバー材2aの中にトンネル状溝部11が平面上で交差し、該溝部11の両端部に外部へ貫通した入口12、出口13が設けられている。
図2の(a)〜(g)は、本発明に係る他の工程を示し、(a)工程では基板2の両面に金属微粒子を含むポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材3、3を形成し、(b)工程において前述と同様にレーザ光を一方のマスク材3に照射して複数のスポットからなる微細なパターン4を形成し、(c)工程においてレーザ光を他方のマスク材3に照射して交差した線状の微細なパターン7を形成する。そして(d)工程において、前述と同様にブラスト材をマスク材3上に衝突させて基板2の一方の面に前記パターン7に沿って第2の加工部である線状の溝部8を、また(e)工程において基板2の他面にも同様に第1の加工部である貫通穴5を形成した後、(f)工程において前記マスク材3、3を蒸留水に浸漬してこれを全て剥離する。そして、上記加工した基板2とカバー材2aである透光性のある基板の表面を親水化した後、(g)に示すようにこれらを重ねて前述のとおり加圧加熱して積層し、マイクロ分析用チップを作製する。
図3の(a)〜(i)工程は、本発明に係る更に他の工程を示す。これによると、(a)工程と(e)工程に示すように一対の基板2、2の一方の面に金属微粒子を含むポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材3、3を形成し、(b)工程と(f)工程に示すようにレーザ光を各基板2のマスク材3、3に照射することによって微細なパターン4、7を形成し、(c)と(g)に示すようにブラスト材をマスク材3上に衝突させて各基板2上に前記パターンに沿った貫通穴5と溝部8をそれぞれ形成した後、(d)工程と(h)工程に示すように各マスク材3、3を蒸留水に浸漬してこれを剥離する。そして、最後に上記加工した基板2、2の表面を前記と同様に親水化した後、(i)工程に示すようにこれらを重ねて加熱下で加圧することによって積層し、マイクロ分析用チップを作製する。
図4の(a)〜(f)工程は、本発明に係る更に他の工程を示す。これによると、(a)工程に示すように基板2の一方の面に金属微粒子を含むポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材3を形成し、(b)工程に示すようにレーザ光を基板2のマスク材3に照射することによって微細なパターン7を形成し、(c)に示すようにブラスト材をマスク材3上に衝突させて基板2上に前記パターンに沿った溝部8をそれぞれ形成した後、(d)工程に示すようにマスク材3を蒸留水に浸漬してこれを剥離する。そして、(e)工程に示すように上記加工した基板2をアセトンような溶剤に浸漬して超音波で洗浄した後に、加熱乾燥する。そして、(f)工程では、洗浄した加工した基板2の表面に予め穴加工したカバー材2aである樹脂フィルムを重ね、ラミネータを用いて加圧積層して、トンネル状溝部8とその両端部に出入口12,13を配置したマイクロ分析用チップを作製する。
実施例1
トルエンに溶解しているアクリル系ポリウレタン(大日本インキ化学社製:バーノックD7−880/DN980)に、ポリオール/イソシアネートに対する濃度が17重量%となるように濃度約20重量%の金微粒子分散液(真空冶金社製パーフェクトゴールド)を混合し、ペーストを作製した。
得られたペーストをアプリケータによって2つのソーダライムガラス(スライドグラス)製の基板上にそれぞれ塗布し、塗布後、80℃で30分間加熱、乾燥して溝部用に厚さ1mm、貫通穴用に厚さ0.2mmのマスク材を作製した。
続いて、一方の基板上のマスク材に出力23mWのグリーンレーザ光を直線パターンに従って集光照射することによって開口幅100μmの直線が交差したパターンを、他方の基板上のマスク材に同様にして4つのスポットからなるパターンを描画した。
一方のマスク材をパウダーブラスト装置(新東ブレータ社製マイクロブラスト装置MB1型)にセットし、64℃の温度にマスク材の温度を維持しながら、ブラスト材として直径20μmの炭化珪素を用いて、投射回数20回のパウダーブラスト加工を行い、溝部を形成した。また、他方のマスク材を同様のパウダーブラスト装置、ブラスト材を用いて、投射回数10回のパウダーブラスト加工を行い4つの貫通穴を作製した。
各マスク材を30℃の蒸留水に10分間浸漬してマスク材を剥離した。
各加工した基板を接合工程の前処理としてNHOH/H(NHOH:H:HO=1:1:5)に10〜48時間浸漬して親水化した。続いて、前処理した2枚の加工した基板を重ね、アルミナ板に挟み、3.7kPaの荷重を印加しながら560℃で8時間放置後、室温まで除冷してマイクロ分析用チップを作製した。マイクロ分析用チップ内には、平面上で交差した幅100μm、深さ150μmの2本のトンネル状溝部が形成されているのが確認され、また各トンネル状溝部の両端部には外部へ貫通した最大径約1.0mmの出入口が形成されていた。
実施例2
実施例1で得られたペーストをアプリケータによって1つのソーダライムガラス(スライドグラス)製の基板上にそれぞれ塗布し、塗布後、80℃で30分間加熱、乾燥して溝部用に厚さ1mmのマスク材を作製した。続いて、一方の基板上のマスク材に出力23mWのグリーンレーザ光を直線パターンに従って集光照射することによって開口幅100μmの直線が交差したパターンを描画した。
マスク材をパウダーブラスト装置(新東ブレータ社製マイクロブラスト装置MB1型)にセットし、64℃の温度にマスク材の温度を維持しながら、ブラスト材として直径20μmの炭化珪素を用いて、投射回数20回のパウダーブラスト加工を行い、溝部を形成した。そして、マスク材を30℃の蒸留水に10分間浸漬してマスク材を剥離して、加工したガラス基板を作製した。
上記加工したガラス基板をアセトンに浸漬し、超音波で洗浄後、60℃で30分間乾燥させた。続いて、ラミネータを用いて、穴加工した厚さ100μmの樹脂フィルム(マイクロニクス社製CNT−100S)をガラス基板上に積層し、マイクロ分析用チップを作製した。マイクロ分析用チップ内には、平面上で交差した幅100μm、深さ150μmの2本のトンネル状溝部が形成されているのが確認され、また各トンネル状溝部の両端部には外部へ貫通した最大径約1.0mmの出入口が形成されていた。
上記マイクロ分析用チップを用いて電気泳動によるDNAの分離分析を行った結果、問題なく分析することができた。
本発明の製造方法で得られたマイクロ分析用チップは、基板の中に形成したトンネル状溝部にDNAのサンプルを入れて該サンプルの種々の分析を行う際に使用するチップとして広く使用することができる。
図における(a)〜(i)工程は、本発明のマイクロ分析用チップの製造工程を示す。 図における(a)〜(g)工程は、本発明に係る他の工程を示す。 図における(a)〜(i)工程は、本発明に係る更に他の工程を示す。 図における(a)〜(f)工程は、本発明に係る更に他の工程を示す。 本発明方法で得られたマイクロ分析用チップの平面図である。 図5のA−A断面図である。
符号の説明
2 基板
2a カバー材
3 マスク材
4 パターン
5 貫通穴
7 パターン
8 溝部
10 マイクロ分析用チップ
11 トンネル状溝部
12 入口
13 出口

Claims (9)

  1. 基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
    基板の一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、
    レーザ光をマスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、
    ブラスト材をマスク材に衝突させて基板上に前記パターンに沿って第1の加工部を形成する工程、
    上記基板の同一面もしくは他面に同様にしてマスク材を形成し、レーザ光を照射してマスク材に微細なパターンを形成し、そしてブラスト材をマスク材に衝突させて基板上に第2の加工部を形成する工程、
    前記マスク材を除去して得られた加工した基板にカバー材を積層してトンネル状溝部とその両端部に出入口を配置する工程、
    からなることを特徴とするマイクロ分析用チップの製造方法。
  2. 基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
    基板の両面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、
    レーザ光を各マスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、
    ブラスト材をマスク材に衝突させて基板の一方の面に前記パターンに沿って第1の加工部を形成し、基板の他面にも同様に第2の加工部を形成する工程、
    前記マスク材を除去して得られた加工した基板にカバー材を積層してトンネル状溝部とその両端部に出入口を配置する工程、
    からなることを特徴とするマイクロ分析用チップの製造方法。
  3. 第1の加工部が複数の貫通穴であり、第2の加工部が溝部である請求項1または2記載のマイクロ分析用チップの製造方法。
  4. カバー材が透光性のある基板である請求項1〜3の何れかに記載のマイクロ分析用チップの製造方法。
  5. カバー材が樹脂フィルムである請求項1〜3の何れかに記載のマイクロ分析用チップの製造方法。
  6. 基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
    一対の基板におけるそれぞれの一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、
    レーザ光を各基板上のマスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、
    ブラスト材をマスク材に衝突させて一方の基板上に前記パターンに沿った溝部を形成し、他方の基板に複数の貫通穴を形成する工程、
    前記マスク材を除去した後に上記一対の加工した基板を積層してトンネル状溝部を形成し、該溝部の両端部に貫通穴を配置する工程、
    からなることを特徴とするマイクロ分析用チップの製造方法。
  7. 基板の中に形成したトンネル状溝部にサンプルを入れて該サンプルの分析を行う際に使用するマイクロ分析用チップの製造方法であり、
    基板の一方の面に金属微粒子を分散したポリウレタン樹脂組成物からなるマスク材を形成する工程、
    レーザ光をマスク材に照射して微細なパターンを形成する工程、
    ブラスト材をマスク材に衝突させて基板上に前記パターンに沿った溝部を形成する工程、
    前記マスク材を除去して得られた加工した基板に予め穴加工したカバー材を積層してトンネル状溝部とその両端部に出入口を配置する工程、
    からなることを特徴とするマイクロ分析用チップの製造方法。
  8. 穴加工したカバー材が樹脂フィルムである請求項7記載のマイクロ分析用チップの製造方法。
  9. トンネル状溝部が平面上で交差し、該溝部の両端部に外部へ貫通した出入口が設けられている請求項1〜8の何れかに記載のマイクロ分析用チップの製造方法。
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