JP2005139476A - 薄膜作製方法及び薄膜作製装置 - Google Patents

薄膜作製方法及び薄膜作製装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005139476A
JP2005139476A JP2003374182A JP2003374182A JP2005139476A JP 2005139476 A JP2005139476 A JP 2005139476A JP 2003374182 A JP2003374182 A JP 2003374182A JP 2003374182 A JP2003374182 A JP 2003374182A JP 2005139476 A JP2005139476 A JP 2005139476A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
halogen gas
etched
substrate
chamber
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003374182A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3937411B2 (ja
Inventor
Hitoshi Sakamoto
仁志 坂本
Masaru Noda
優 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2003374182A priority Critical patent/JP3937411B2/ja
Publication of JP2005139476A publication Critical patent/JP2005139476A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3937411B2 publication Critical patent/JP3937411B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Plasma Technology (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】 被エッチング部材と基板との温度条件を所定通り維持しつつ被エッチング部材をエッチングしてその金属成分の金属膜を基板上に生成させる場合において、被エッチング部材の温度を基板の温度とは独立に制御し得る金属膜作製装置を提供する。
【解決手段】 高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得ると同時にハロゲンガスを解離する触媒作用を有する金属、例えばCuで形成した被エッチング部材8の温度をヒータ11で基板3の温度とは独立に制御する一方、この被エッチング部材8の触媒作用でチャンバ1内に供給されたハロゲンガスを解離してそのラジカルを得、このラジカルで被エッチング部材8のエッチングを行うことにより所定の前駆体15を得るようにした。
【選択図】 図1






















Description

本発明は薄膜作製方法及び薄膜作製装置に関し、特にハロゲンガスを解離したラジカルで高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属乃至これを含む複合金属で形成した被エッチング部材を所定の条件の下でエッチングすることによりこの金属の成膜を行う場合に適用して有用なものである。
現在、半導体等の製造においては、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition) 装置を用いた成膜が知られている。プラズマCVD装置とは、チャンバ内に導入した膜の材料となる有機金属錯体等のガスを、高周波アンテナから入射する高周波によりプラズマ状態にし、プラズマ中の活性な励起原子によって基板表面の化学的な反応を促進して金属薄膜等を成膜する装置である。
これに対し、本発明者等は、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属成分であって、成膜を望む金属成分からなる被エッチング部材をチャンバに設置し、前記被エッチング部材をハロゲンガスのプラズマによりエッチングすることで金属成分のハロゲン化物である前駆体を生成させるとともに、前駆体の金属成分のみを基板上に成膜するプラズマCVD装置(以下、新方式のプラズマCVD装置という。)および成膜方法を開発した(例えば、下記、特許文献1参照。)。
特開2003−147534号公報
上記新方式のプラズマCVD装置では、成膜される金属源となる被エッチング部材の温度に対して基板の温度が低くなるように制御して基板に当該金属膜を成膜している。例えば、被エッチング部材をCu、ハロゲンガスをCl2とした場合、被エッチング部材を高温(例えば300°C〜700°C)に、また基板を低温(例えば200°C程度)に制御することにより、前記基板にCu薄膜を形成することができる。これは、次のような反応によるものと考えられる。
(1)プラズマの解離反応;Cl2 →2Cl*
(2)エッチング反応;Cu+Cl* →CuCl(g)
(3)基板への吸着反応;CuCl(g)→CuCl(ad)
(4)成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 ↑ ・・・(1)
ここで、Cl* はClのラジカルであることを、(g)はガス状態であることを、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
上記新方式のCVD装置においては、被エッチング部材と基板との温度の関係を所定通りに維持することが肝要である。このため、基板の温度はヒータ等の加熱手段を用いて所定の温度に制御している。
これに対し、被エッチング部材は、その近傍の空間に発生するプラズマにより加熱している。したがって、被エッチング部材の温度は、目標値を定め、だいたいその温度になるようにプラズマの発生を制御してこれによる加熱制御を行っている。
これに対し、さらなる成膜速度の向上、成膜品質の向上を目指して成膜速度、膜質等の成膜条件をきめ細かく、高精度に制御することができる装置の出現が待望されてきている。
さらに、上式(1)で十分にCl* が存在すれば同式の右側への反応が進み、良好にCu膜を析出させることができる。しかし、Clガスプラズマの中には、Cl2 、Cl* 等が混在し、Cl*が優先的に発生する訳ではない。したがって、一意に上式(1)の反応が進む訳ではなく、逆に左側へ進む反応も同時に発生する。
また、CuCl(ad)からCl2 を十分引き抜けなくて次の反応が発生することがある。
CuCl(ad)→CuCl(s)
すなわちCuClの固体を形成してしまう可能性がある。このCuCl(s)は絶縁体である。したがって、Cu膜中におけるCuCl(s)の存在は、生成したCu膜の導電率を低下させる原因となり、膜質のさらなる改善を目指す場合には、かかる問題も同時に解消し得るものとすることが望ましい。
そこで、上記新方式のCVD装置による成膜を良好に実施するとともに、膜質をさらに向上させ、同時に成膜速度もさらに向上させるためには、第1に、チャンバ内に十分な量のCl* が存在するよう、このCl* を別途補給してやれば良い。これは、チャンバよりも容積が小さい別の空間で高密度のCl* を発生させてこれを供給するようにすれば良い。容積が小さい空間の方が、Cl* が発生するようプラズマ条件を調整することが容易であるからである。
一方、もう一つの成膜反応として次式(2)で表される反応も起こっていると考えられる。
2CuCl(ad)→2Cu+Cl2 ・・・・・・・・・(2)
上式(2)は、CuCl(ad)が熱的なエネルギーを貰ってCuを析出させ、Cl2 ガスを放出する反応であるが、熱平衡的にはあり得る可逆的な反応である。上式(2)において、Cl2 の量を減らせばその反応が右側に行くが、このためには、Cl2 ガスを解離してやれば良い。
そこで、上述の如き知見に基づく金属膜作製方法を良好に実現するとともに、膜質をさらに向上させ、同時に成膜速度もさらに向上させるためには、第2に、成膜反応に伴って発生するCl2 ガスの量が減少するようその解離率を増加させれば良い。
本発明は、上述の如き新方式のCVD装置の改良点及び当該新方式のCVD装置に関する新たな知見に鑑み、被エッチング部材と基板との温度条件を所定通り維持しつつ被エッチング部材をエッチングしてその金属成分の薄膜を基板上に生成させる場合において、被エッチング部材の温度を基板の温度とは独立に制御し得る薄膜作製方法及び薄膜作製装置を提供することを主目的とする。また、上記主目的を達成すると同時に、さらに成膜反応を促進し得る薄膜作製方法及び薄膜作製装置を他の目的とする。
上記目的を達成する本発明の構成は、次の点を特徴とする。
1) 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給し、
このハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより、前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて成膜を行うこと。
2) 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給するとともに、この供給に際し、前記ハロゲンガスを、これを解離する触媒作用を有する触媒金属と接触させてハロゲンガスのラジカルを形成する一方、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより、前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて成膜を行うこと。
3) 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給し、
このハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸
気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより前記前駆体を基板に吸着させる一方、
別途前記ハロゲンガスのラジカルを形成し、このラジカルを前記チャンバ内に補給することにより吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜いて少なくとも前記前駆体の元素成分を基板に析出させて所定の成膜を行うこと。
4) 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給するとともに、この供給に際し、前記ハロゲンガスを、これを解離する触媒作用を有する触媒金属と接触させてハロゲンガスのラジカルを形成する一方、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより前記前駆体を基板に吸着させる一方、
別途前記ハロゲンガスのラジカルを形成し、このラジカルを前記チャンバ内に補給することにより吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜いて少なくとも前記前駆体の元素成分を基板に析出させて所定の成膜を行うこと。
5) 上記3)又は4)に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスに高周波の電界を作用させてこのハロゲンガスをプラズマ化することにより得ること。
6) 上記3)又は4)に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにマイクロ波を供給してこのハロゲンガスをプラズマ化することにより得ること。
7) 上記3)又は4)に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱して熱的解離により得ること。
8) 上記3)又は4)に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこのハロゲンガスを解離させることにより得ること。
9) 上記3)又は4)に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを、触媒作用により解離させる触媒金属に接触させることにより得ること。
10) 上記1)乃至9)の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、前記チャンバ内に供給するハロゲンガスの供給量を減少させること。
11) 上記1)乃至9)の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、ハロゲンガスの他に、質量がNe以上の希ガスを前記チャンバ内に供給すること。
12) 上記1)乃至9)の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、前記チャンバ内に電磁波を供給してこのチャンバ内に供給されたハロゲンガスを解離させること。
13) 上記1)乃至12)の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量とを検出し、両者の比率に応じて、この比率が予め定めた値になるように前記被エッチング部材の温度を制御すること。
14) 上記13)に記載する薄膜作製方法において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出は、被エッチング部材の近傍の反応空間の試料を抽出して質量分析により行うこと。
15) 上記13)に記載する薄膜作製方法において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出は、被エッチング部材の近傍の反応空間にレーザ光を照射し、これに伴う発光を分光分析することにより行うこと。
16) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有すること。
17) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有すること。
18) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有すること。
19) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有すること。
20) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板面に対向する位置を外した位置に配設した被エッチング部材と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有すること。
21) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板面に対向する位置を外した位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有すること。
22) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置を避けた位置に配設した被エッチング部材と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記被チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有すること。
23) 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置を避けた位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有すること。
24) 上記18)、19)、22)又は23)にの何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路の周囲に巻回したコイルに高周波電流を供給し、これにより形成する電界の作用でハロゲンガスをプラズマ化するものであること。
25) 上記18)、19)、22)又は23)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路にマイクロ波供給手段を有し、このマイクロ波供給手段が発生するマイクロ波により前記ハロゲンガスをプラズマ化するものであること。
26) 上記18)、19)、22)又は23)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱してこのハロゲンガスを熱的に解離する加熱手段を有すること。
27) 上記18)、19)、22)又は23)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこの原料ガスを解離させる電磁波発生手段を有すること。
28) 上記18)、19)、22)又は23)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを、触媒作用により解離させる触媒金属を有するものであること。
29) 上記16)、17)、20)又は21)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ハロゲンガスの他に、質量がNe以上の希ガスを前記チャンバ内に供給する希ガス供給手段を有すること。
30) 上記16)、17)、20)又は21)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
さらに、前記チャンバ内に電磁波を供給して成膜反応に伴い発生するハロゲンガスを解離させる電磁波発生手段を有すること。
31) 上記16)乃至30)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量とに基づき両者の比率を検出する比率検出手段と、
この比率検出手段で検出する比率が予め定めた値になるように前記被エッチング部材の温度を制御する温度制御手段とを有すること。
32) 上記31)に記載する薄膜作成装置において、
前記比率検出手段は、前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出を被エッチング部材の近傍の反応空間の試料を抽出して質量分析により行う質量分析手段を有すること。
33) 上記31)に記載する薄膜作製装置において、
前記比率検出手段は、前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出を、被エッチング部材の近傍の反応空間にレーザ光を照射し、これに伴う発光を分析することにより行う分光分析手段を有すること。
34) 上記16)乃至33)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素の単体で形成したこと。
35) 上記16)乃至33)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素の複数種類を成分とする複合金属で形成したこと。
36) 上記16)乃至33)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属と、Se、S等の非金属とを成分とする複合金属で形成したこと。
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、
請求項1に記載する発明は、
基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給し、
このハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより、前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて成膜を行うことを特徴とするので、
被エッチング部材のエッチングに必要なハロゲンガスのラジカルは被エッチング部材の触媒作用で得ることができ、ハロゲンガスのプラズマで被エッチング部材を加熱する必要がない。
この結果、被エッチング部材の温度を基板の温度とは独立に制御することができ、成膜条件をきめ細かく、高精度に制御することができるので、所望の特性の金属薄膜を容易に得ることができる。
請求項2に記載する発明は、
基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給するとともに、この供給に際し、前記ハロゲンガスを、これを解離する触媒作用を有する触媒金属と接触させてハロゲンガスのラジカルを形成する一方、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより、前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて成膜を行うことを特徴とするので、
被エッチング部材のエッチングに必要なハロゲンガスのラジカルを触媒金属の触媒作用で得ることができ、このラジカルをチャンバ内に供給する結果、ハロゲンガスのプラズマで被エッチング部材を加熱する必要がない。
この結果、被エッチング部材の温度を基板の温度とは独立に制御することができ、成膜条件をきめ細かく、高精度に制御することができるので、所望の特性の金属薄膜を容易に得ることができる。
さらに、請求項1に記載する発明と異なり、触媒反応とエッチング反応とが独立しているので、触媒金属と被エッチング部材とが異なる材質のものでも良く、その分材料選択の幅が広がるばかりでなく、触媒条件及びエッチング条件を独立に制御することができるので、その分成膜条件の制御の適正化を容易に図り得る。
請求項3に記載する発明は、
基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給し、
このハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸
気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより前記前駆体を基板に吸着させる一方、
別途前記ハロゲンガスのラジカルを形成し、このラジカルを前記チャンバ内に補給することにより吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜いて少なくとも前記前駆体の元素成分を基板に析出させて所定の成膜を行うことを特徴とするので、
請求項1の発明に加え、さらに基板に吸着状態となっている前駆体からハロゲンを引き抜くことができる。
この結果、請求項1に記載する作用・効果に加え、成膜速度の向上及び膜質のさらなる向上を図ることができる。
請求項4に記載する発明は、
基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給するとともに、この供給に際し、前記ハロゲンガスを、これを解離する触媒作用を有する触媒金属と接触させてハロゲンガスのラジカルを形成する一方、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより前記前駆体を基板に吸着させる一方、
別途前記ハロゲンガスのラジカルを形成し、このラジカルを前記チャンバ内に補給することにより吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜いて少なくとも前記前駆体の元素成分を基板に析出させて所定の成膜を行うことを特徴とするので、
請求項2の発明に加え、さらに基板に吸着状態となっている前駆体からハロゲンを引き抜くことができる。
この結果、請求項2に記載する作用・効果に加え、成膜速度の向上及び膜質のさらなる向上を図ることができる。
請求項5に記載する発明は、
請求項3又は請求項4に記載する金属膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスに高周波の電界を作用させてこのハロゲンガスをプラズマ化することにより得ることを特徴とするので、
請求項3及び請求項4に記載する発明の効果を簡単な装置で得ることができる。
請求項6に記載する発明は、
請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにマイクロ波を供給してこのハロゲンガスをプラズマ化することにより得ることを特徴とするので、
請求項5に記載する発明よりも高周波数の電磁波を用いることができ、その分ハロゲンのラジカルを高密度且つ高効率に得ることができる。
請求項7に記載する発明は、
請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱して熱的解離により得ることを特徴とするので、
請求項3及び請求項4に記載する発明の効果を最も安価に得ることができる。
請求項8に記載する発明は、
請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこのハロゲンガスを解離させることにより得ることを特徴とするので、
電磁波の波長を選択、固定することにより、所望のラジカルを選択的に高効率で得ることができる。この結果、請求項3及び請求項4に記載する発明の効果を顕著なものとすることができる。
請求項9に記載する発明は、
請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを、触媒作用により解離させる触媒金属に接触させることにより得ることを特徴とするので、
触媒金属の触媒作用を利用して請求項3及び請求項4に記載する発明の効果を最も簡易に得ることができる。
請求項10に記載する発明は、
請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、前記チャンバ内に供給するハロゲンガスの供給量を減少させることを特徴とするので、
ハロゲンガスの解離率の増大により成膜を促進してその速度を向上させることができるが、かかる作用を最も容易に実現し得る。
請求項11に記載する発明は、
請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、ハロゲンガスの他に、質量がNe以上の希ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とするので、
希ガスが解離率を増大させる触媒として機能し、容易にハロゲンガスの解離率を増大させることができる。
請求項12に記載する発明は、
請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、前記チャンバ内に電磁波を供給してこのチャンバ内に供給されたハロゲンガスを解離させることを特徴とするので、
電磁波のエネルギーによりハロゲンガスの解離を高効率なものとすることができる。
請求項13に記載する発明は、
請求項1乃至請求項12の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量とを検出し、両者の比率に応じて、この比率が予め定めた値になるように前記被エッチング部材の温度を制御することを特徴とするので、
前記比率を一定制御することで所望の膜質の金属薄膜を自動的に得ることができる。
請求項14に記載する発明は、
請求項13に記載する薄膜作製方法において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出は、被エッチング部材の近傍の反応空間の試料を抽出して質量分析により行うことを特徴とするので、
請求項13に記載する発明の効果を、チャンバ内の試料の質量分析を行うことにより実現し得る。
請求項15に記載する発明は、
請求項13に記載する薄膜作製方法において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出は、被エッチング部材の近傍の反応空間にレーザ光を照射し、これに伴う発光を分光分析することにより行うことを特徴とするので、
請求項13に記載する発明の効果を、チャンバ内の試料の分光分析を行うことにより実現し得る。
請求項16に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とするので、
被エッチング部材のエッチングに必要なハロゲンガスのラジカルは被エッチング部材の触媒作用で得ることができ、ハロゲンガスのプラズマで被エッチング部材を加熱する必要がない。
この結果、被エッチング部材の温度を基板の温度とは独立に制御することができ、成膜条件をきめ細かく、高精度に制御することができるので、所望の特性の金属薄膜を容易に得ることができる。
請求項17に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とするので、
被エッチング部材のエッチングに必要なハロゲンガスのラジカルを触媒金属の触媒作用で得ることができ、このラジカルをチャンバ内に供給する結果、ハロゲンガスのプラズマで被エッチング部材を加熱する必要がない。
この結果、被エッチング部材の温度を基板の温度とは独立に制御することができ、成膜条件をきめ細かく、高精度に制御することができるので、所望の特性の金属薄膜を容易に得ることができる。
さらに、請求項16に記載する発明と異なり、触媒反応とエッチング反応とが独立しているので、触媒金属と被エッチング部材とが異なる材質のものでも良く、その分材料選択の幅が広がるばかりでなく、触媒条件及びエッチング条件を独立に制御することができるので、その分成膜条件の制御の適正化を容易に図り得る。
請求項18に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とするので、
請求項16の発明に加え、さらに基板に吸着状態となっている前駆体からハロゲンを引き抜くことができる。
この結果、請求項16に記載する作用・効果に加え、成膜速度の向上及び膜質のさらなる向上を図ることができる。
請求項19に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とするので、
請求項17の発明に加え、さらに基板に吸着状態となっている前駆体からハロゲンを引き抜くことができる。
この結果、請求項17に記載する作用・効果に加え、成膜速度の向上及び膜質のさらなる向上を図ることができる。
請求項20に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板面に対向する位置を外した位置に配設した被エッチング部材と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とするので、
請求項16に記載する発明と同様の効果を奏する。さらに、エッチングされた被エッチング部材から剥離して落下するパーティクルが基板上に付着するのを防止する一方、所定の前駆体は基板の上方の空間に供給することができる。
請求項21に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板面に対向する位置を外した位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とするので、
請求項17に記載する発明と同様の効果を奏する。さらに、エッチングされた被エッチング部材から剥離して落下するパーティクルが基板上に付着するのを防止する一方、所定の前駆体は基板の上方の空間に供給することができる。
請求項22に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置を避けた位置に配設した被エッチング部材と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記被チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とするので、
請求項20に記載する発明に加え、さらに基板に吸着状態となっている前駆体からハロゲンを引き抜くことができる。
この結果、請求項20に記載する作用・効果に加え、成膜速度の向上及び膜質のさらなる向上を図ることができる。特に、ここで前駆体は遮蔽板の孔を容易に通過するが、被エッチング部材と遮蔽板との間の空間で形成されたラジカルのうち、孔を通過して基板の上方の空間に至るのは僅かである点を考慮すれば、前記ラジカルの補給による成膜反応の促進に対する寄与度を顕著なものとすることができる。
請求項23に記載する発明は、
基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置を避けた位置に配設した被エッチング部材と、
前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とするので、
請求項21に記載する発明に加え、さらに基板に吸着状態となっている前駆体からハロゲンを引き抜くことができる。
この結果、請求項20に記載する作用・効果に加え、成膜速度の向上及び膜質のさらなる向上を図ることができる。特に、ここで前駆体は遮蔽板の孔を容易に通過するが、被エッチング部材と遮蔽板との間の空間で形成されたラジカルのうち、孔を通過して基板の上方の空間に至るのは僅かである点を考慮すれば、前記ラジカルの補給による成膜反応の促進に対する寄与度を顕著なものとすることができる。
請求項24に記載する発明は、
請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23にの何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路の周囲に巻回したコイルに高周波電流を供給し、これにより形成する電界の作用でハロゲンガスをプラズマ化するものであることを特徴とするので、
請求項18、請求項19、請求項22及び請求項23に記載する発明の効果を簡単な装置で得ることができる。
請求項25に記載する発明は、
請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路にマイクロ波供給手段を有し、このマイクロ波供給手段が発生するマイクロ波により前記ハロゲンガスをプラズマ化するものであることを特徴とするので、
請求項24に記載する発明よりも高周波数の電磁波を用いることができ、その分ハロゲンのラジカルを高密度且つ高効率に得ることができる。
請求項26に記載する発明は、
請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱してこのハロゲンガスを熱的に解離する加熱手段を有することを特徴とするので、
請求項18、請求項19、請求項22及び請求項23に記載する発明の効果を最も安価に得ることができる。
請求項27に記載する発明は、
請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこの原料ガスを解離させる電磁波発生手段を有することを特徴とするので、
電磁波の波長を選択、固定することにより、所望のラジカルを選択的に高効率で得ることができる。この結果、請求項18、請求項19、請求項22及び請求項23に記載する発明の効果を顕著なものとすることができる。
請求項28に記載する発明は、
請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを、触媒作用により解離させる触媒金属を有するものであることを特徴とするので、
触媒金属の触媒作用を利用して請求項18、請求項19、請求項22及び請求項23に記載する発明の効果を最も簡易に得ることができる。
請求項29に記載する発明は、
請求項16、請求項17、請求項20又は請求項21の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
ハロゲンガスの他に、質量がNe以上の希ガスを前記チャンバ内に供給する希ガス供給手段を有することを特徴とするので、
希ガスが解離率を増大させる触媒として機能し、ハロゲンガスの解離率の増大により成膜を促進してその速度を向上させることができるが、かかる効果を最も容易に実現し得る。
請求項30に記載する発明は、
請求項16、請求項17、請求項20又は請求項21の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
さらに、前記チャンバ内に電磁波を供給して成膜反応に伴い発生するハロゲンガスを解離させる電磁波発生手段を有することを特徴とするので、
電磁波のエネルギーによりハロゲンガスの解離を高効率なものとすることができ、その解離率の増大により成膜を促進してその速度を向上させることができる。
請求項31に記載する発明は、
請求項16乃至請求項30の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量とに基づき両者の比率を検出する比率検出手段と、
この比率検出手段で検出する比率が予め定めた値になるように前記被エッチング部材の温度を制御する温度制御手段とを有することを特徴とするので、
被エッチング部材の温度を制御して前記比率を一定制御することで所望の膜質の金属薄膜を自動的に得ることができる。
請求項32に記載する発明は、
請求項31に記載する薄膜作成装置において、
前記比率検出手段は、前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出を被エッチング部材の近傍の反応空間の試料を抽出して質量分析により行う質量分析手段を有することを特徴とするので、
請求項31に記載する発明の効果を、チャンバ内の試料の質量分析を行うことにより実現し得る。
請求項33に記載する発明は、
請求項31に記載する薄膜作製装置において、
前記比率検出手段は、前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出を、被エッチング部材の近傍の反応空間にレーザ光を照射し、これに伴う発光を分析することにより行う分光分析手段を有することを特徴とするので、
請求項31に記載する発明の効果を、チャンバ内の試料の分光分析を行うことにより実現し得る。
請求項34に記載する発明は、
請求項16乃至請求項33の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素の単体で形成したことを特徴とするので、
被エッチング部材に対応する所望の単一の金属薄膜を形成することができる。
請求項35に記載する発明は、
請求項16乃至請求項33の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素の複数種類を成分とする複合金属で形成したことを特徴とするので、
被エッチング部材に対応する複数種類の金属が複合した所望の複合金属膜を形成することができる。
請求項36に記載する発明は、
請求項16乃至請求項33の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属と、Se、S等の非金属とを成分とする複合金属で形成したことを特徴とするので、
被エッチング部材に対応する所望の金属と非金属との複合金属膜を形成することができる。
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る金属膜(薄膜)作製装置の概略側面図である。同図に示すように、円筒状に形成されたチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、この支持台2には基板3が載置されている。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至300℃に維持される温度)に制御される。
チャンバ1は、その上端の開口部が、天井板7と被エッチング部材8によって閉塞してある。この結果形成される密閉空間であるチャンバ1の内部は真空装置9により真空引きして所定の低圧に維持するようになっている。
被エッチング部材8は、天井板7の中心部に支持されてチャンバ1内に垂下する筒状の支持部材10の下端部に固着され、基板3の上方にこれと対向して配置された平行な平面を形成する板状部材である。この被エッチング部材8はハロゲンガスを解離する触媒作用を有するとともに、成膜したい薄膜の金属成分を含む高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属で形成してある。すなわち、例えばCu薄膜16を形成する場合には、Cuを含む前駆体15を生成し得るCu板で形成する(本形態はCu板である。)。
ヒータ11は電源12に供給する電力量を調整することにより、その発熱量を制御し得るもので、前記支持部材10の内部空間を加熱することにより被エッチング部材8をその内側から加熱するようになっている。このヒータ11で加熱される被エッチング部材(Cu板)8の温度は、次の点を考慮して設定する。
すなわち、原料ガスであるCl2ガス(Heで塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が被エッチング部材8に接触することにより、その触媒作用で良好に解離するとともに、解離したラジカルで被エッチング部材8のエッチングを行い(このように解離と同時に解離したラジカルでエンチングもすることを化学活性という。)、成膜に必要な十分な量の前駆体15が生成されるような温度(例えば800°C程度)に設定し、この温度を維持する。このとき、被エッチング部材8の温度は、基板3の温度とは独立に細かく、また高精度に制御し得る。
原料ガスである上記Cl2ガスはノズル13を介してチャンバ1内に供給される。このノズル13は被エッチング部材8に向けて開口するとともに、流量制御器14を介してCl2ガスを送給する。
チャンバ1の筒部における基板3の斜め上方の位置には、スリット状の開口部23が形成され、この開口部23には筒状の通路24の一端がそれぞれ固定してある。通路24の途中には絶縁体で形成した筒状の励起室25が設けられ、この励起室25の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ26が巻回してある。このプラズマアンテナ26には整合器27及び電源28が接続されて給電を行うようになっている。ここで、開口部23、これに伴う通路24及び励起室25等はチャンバ1の同一高さ位置で、このチャンバ1の周囲4箇所(図には2箇所のみを示す。)に配設してある。通路24の他端側には流量制御器29が接続され、この流量制御器29を介して通路24内にCl* を得るためのCl2 ガスが供給される。これら、プラズマアンテナ26、整合器27、電源28及び流量制御器29でハロゲンガスのラジカル供給手段を構成している。
かかるラジカル供給手段において、流量制御器29を介して励起室25内にCl2 ガスを供給しつつ、プラズマアンテナ26から電磁波を励起室25の内部に入射することで、プラズマを生成してCl* を形成する。このとき、励起室25内ではCl* を高密度で形成することができるようプラズマ条件を調整してある。このようにして形成したCl* は、成膜時に通路24を介してチャンバ1内に供給される。このCl* は、基板3上に吸着状態となっているCuCl(ad)からCl2 ガスを解離して当該成膜反応を促進させる。すなわち、上式(1)に示す成膜反応を促進させる。
同時に、チャンバ1の筒部の上部には、チャンバ1の内部にArガス等の希ガスを供給するノズル30が接続されている。ここで、Arガス等の希ガスは、流量制御器31で流量を制御されて上式(2)に示す成膜反応におけるCl2 ガスの解離率を向上させ、成膜反応を促進するためのものである。したがって、Cl2ガスに希釈ガスとして含まれているHeガスを除き、質量がNe以上の希ガスは、Cl2 ガスの解離率を向上させて成膜反応を促進するガスとして利用し得る。ただ、解離率を向上させる、いわば触媒としての機能を考慮すれば、Arガス乃至Krガスが好適であり、さらにコスト面を考慮すればArガスが最適である。
質量分析装置32は、チャンバ1内における被エッチング部材8と基板3との間の反応空間の試料を抽出して質量分析により前駆体15の量と、ラジカルの量とに基づき両者の比率を検出する。
なお、図示はしないが、本形態に係る金属膜作製装置は、温度制御手段を有しており、この温度制御手段で、前記質量分析装置32で検出した比率が、予め定めた値になるように、被エッチング部材8の温度を制御するようになっている。すなわち、この温度制御手段は、生成される膜質、膜厚等の成膜条件のデータと、これに対応する被エッチング部材8の温度データとを対応させたデータべースを有しており、このデータベースのデータに基づき温度制御手段6を介して基板3の温度を制御すると同時に、ヒータ11を介して被エッチング部材8の温度を独立に制御する。
かかる金属膜作製装置における成膜時の態様は次の通りである。
先ず、ノズル13を介してチャンバ1内にCl2ガスを供給する。このCl2ガスはCu板である被エッチング部材8に接触することで解離し、Cl*を形成する。この結果、Cl*により被エッチング部材8にエッチング反応が生じ、前駆体(CuxCly)15が生成される。このとき、被エッチング部材8はヒータ11により基板3よりも高い所定の高温(例えば、800℃近傍の所定値)に制御される。
チャンバ1の内部で生成された前駆体(CuxCly)15は、被エッチング部材8よりも低い温度に制御された基板3に搬送される。基板3に搬送されてこれに吸着された前駆体(CuxCly)15は、成膜反応を表す前記式(1)及び(2)の反応により基板3上にCuを析出させる。かくして、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
このとき、励起室25では、Cl* を高効率で形成してこれをチャンバ1内に補給することにより、前記式(1)におけるClを解離して成膜反応を促進させる。また、ノズル30からは、Arガスをチャンバ1内に供給して前記式(2)におけるCl2 ガスを解離して成膜反応を促進させる。
このように、本形態では、被エッチング部材8の化学活性によるCl2ガスの解離とともに、解離したラジカルによる被エッチング部材8のエッチングも同時に行うことで成膜のための前駆体15を形成することができる。この結果、被エッチング部材8の近傍でプラズマを発生させることなく、前記前駆体15を形成することができるので、被エッチング部材8の温度を容易に独立に制御することができ、成膜条件を加味した高精度の温度制御を容易に実現し得る。また、励起室25で別途形成して供給するCl*により成膜反応を促進することができる。
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態に係る金属膜作製装置の概略側面図である。同図に示すように、本形態に係る金属膜作製装置は、図1に示す金属膜作製装置に対し、原料ガスであるCl2ガスを先ず触媒金属の触媒作用により解離してラジカルを形成し、このラジカルをチャンバ1内に供給するようにした点が異なるが、多くの部分で同様の構成となっている。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図2に示すように、本形態に係る金属膜作製装置における天井板7には、これを貫通してチャンバ1内に臨む筒状部材33が固着してある。この筒状部材33の内部には触媒金属であるCuのフィラメント34が収納してある。このフィラメント34は電源35に供給する電力量を調整することにより、その発熱量を制御し得るように構成してあり、十分な触媒反応を発揮し得るよう所定の温度(例えば、800°C程度)に保持される。
原料ガスであるCl2ガスは筒状部材33の内部に供給される。筒状部材32の内部に供給されたCl2ガスは前記フィラメント34に接触することによりこのフィラメント34の触媒作用により解離される。この結果、チャンバ1内には解離されたラジカル(Cl*)が直接供給される。このチャンバ1内に供給されるラジカル(Cl*)は被エッチング部材8をエッチングして所定の前駆体15を形成する。
上述の点を除き、本形態に係る金属膜作製装置は、図1に示す金属膜作製装置と同様に構成してある。すなわち、被エッチング部材8は基板3とは別に独立して温度制御ができ、また基板3に吸着状態となっている前記式(1)におけるCuClからClを解離して成膜反応を促進させるための構成及びArガスをチャンバ1内に供給して前記式(2)におけるCl2 ガスを解離して成膜反応を促進させるための構成に関しては同様である。
このように、本形態では、触媒金属の触媒作用を利用して別途Cl2ガスを解離し、この結果得られるCl*を直接チャンバ1内に供給して被エッチング部材8をエッチングするようにしたので、Cl2ガスの解離と、これを解離して得るCl*によるエッチング反応とを独立して制御することができる。すなわち、解離反応とエンチング反応を独立に制御することができ、より高精度に成膜条件を制御することが可能となる。
<第3の実施の形態>
図3は本発明の第3の実施の形態に係る金属膜作製装置の概略側面図である。同図に示すように、本形態に係る金属膜作製装置では、Cuで形成した截頭円錐状の被エッチング部材48を有するもので、この被エッチング部材48がが、チャンバ41内で基板3に対向する位置を避けた位置に配設してあり、対向して配置される遮蔽板42との間で所定の反応空間43を形成している。ここで、遮蔽板42には多数の孔42aが形成してあり、反応空間43に形成された前駆体15は孔42aを通過してチャンバ41内における基板3の上方の空間に至るように構成してある。また、遮蔽板42は被エッチング部材48と相似形の截頭円錐状の部材で構成してある。したがって、被エッチング部材48と遮蔽板42の相対向する面は平行となっており、基板3に対して傾斜して構造となっている。
このことにより、エッチングされた被エッチング部材48から剥離して落下するパーティクルが基板3上に付着するのを防止するとともに、所定の前駆体15は基板3の上方の空間に供給することができる。前記パーティクルは遮蔽板42で遮蔽されて基板3の上方の空間に至る可能性は少ないのに対し、前駆体15は孔42aを簡単に通過することができるからである。
ヒータ44は電源45に供給する電力量を調整することにより、その発熱量を制御し得るもので、被エッチング部材48に埋設されて、この被エッチング部材48を加熱するようになっている。このヒータ44で加熱される被エッチング部材(Cu板)48が具備すべき温度条件は、前記第1の実施の形態におけるヒータ11と同様である。すなわち、Cl2ガスの解離反応と、被エッチング部材48のエッチング反応とが円滑に促進されるような温度に制御する。解離反応及びエッチング反応の主体となるハロゲンガスであるCl2ガスは、ノズル13を介して反応空間43に供給される。
本形態に係る金属膜作製装置におけるその他の構成は、図1と同様であるので、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
かかる本形態においては、所定の温度に温度制御された被エッチング部材48が臨む反応空間43内にノズル13からCl2ガスを供給することで、前記被エッチング部材48の化学活性によりこのCl2が解離され、この結果形成されたCl*が被エッチング部材48をエッチングする。この結果、生成した前駆体(CuxCly)15は遮蔽板42の孔42aを介してチャンバ41内における基板3の上方の空間に至る。かくして、第1の実施の形態と全く同様の態様で基板3の表面にはCu薄膜16が形成される。
ここで、前駆体(CuxCly)15は孔42aを容易に通過するが、反応空間43で形成されたCl*うち、孔42aを通過して基板3の上方の空間に至るのは僅かである。前記Cl*のうち遮蔽板42に衝突したもの同士が結合してCl2 ガスとなるからである。すなわち、Cl* +Cl* →Cl2 で表される反応が起こり、Cl* が消滅するからである。
一方、本形態においても、励起室25では、Cl* を高効率で形成してこれをチャンバ41内に補給することにより、前記式(1)におけるClを解離して成膜反応を促進させる。前述の如く、反応空間43で形成されたCl* のうち多くが消滅する本形態においては、Cl* の補給がより意義深いものとなり、成膜反応の促進に対する寄与度が特に顕著なものとなる。
なお、本形態においてもノズル30からは、Arガスをチャンバ41内に供給して前記式(2)におけるCl2 ガスを解離して成膜反応を促進させている。
また、質量分析装置32は、反応空間43の試料を抽出して質量分析により前駆体15の量と、ラジカルの量とに基づき両者の比率を検出するとともに、図示しない温度制御手段を有しており、この温度制御手段で、前記質量分析装置32で検出した比率が、予め定めた値になるように、被エッチング部材48の温度を制御するよう点に関しては第1の実施の形態と同様である。このとき、本形態でも被エッチング部材48の温度は基板3の温度とは独立に制御される。
このように、本形態では、被エッチング部材48の化学活性によるCl2ガスの解離とともに、解離したラジカルによる被エッチング部材48のエッチングも同時に行うことで成膜のための前駆体15を形成することができる。この結果、被エッチング部材48の近傍でプラズマを発生させることなく、前記前駆体15を形成することができるので、被エッチング部材48の温度を容易に独立に制御することができ、成膜条件を加味した高精度の温度制御を容易に実現し得る。また、励起室25で別途形成して供給するCl*により成膜反応を促進することができる。さらに、被エッチング部材48は基板3の上面の上方ではなく、その周囲の空間に配設してあるので、エッチングによるパーティクルが落下して成膜中の膜面に付着するという不都合も可及的に除去し得る。
<第4の実施の形態>
図4は本発明の第4の実施の形態に係る金属膜作製装置の概略側面図である。同図に示すように、本形態に係る金属膜作製装置は、図3に示す金属膜作製装置に対し、原料ガスであるハロゲンガスを先ず触媒金属の触媒作用により解離してラジカルを形成し、このラジカルをチャンバ41内に供給するようにした点が異なるが、多くの部分で同様の構成となっている。そこで、図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図4に示すように、本形態に係る金属膜作製装置における反応空間43には、筒状部材53の先端部が臨んでいる。この筒状部材53の内部には触媒金属であるCuのフィラメント54が収納してある。このフィラメント54は電源55に供給する電力量を調整することにより、その発熱量を制御し得るように構成してあり、十分な触媒反応を発揮し得るよう所定の温度(例えば、800°C程度)に保持される。
原料ガスであるCl2ガスは筒状部材32の内部に供給される。筒状部材の内部に供給されたCl2ガスは前記フィラメント54に接触することによりこのフィラメント54の触媒作用により解離される。この結果、チャンバ1内には解離されたラジカル(Cl*)が直接供給される。このチャンバ1内に供給されるラジカル(Cl*)は被エッチング部材48をエッチングして所定の前駆体15を形成する。
上述の点を除き、本形態に係る金属膜作製装置は、図3に示す金属膜作製装置と同様に構成してある。すなわち、被エッチング部材48は基板3とは別に独立して温度制御ができ、また基板3に吸着状態となっている前記式(1)におけるCuClからClを解離して成膜反応を促進させるための構成及びArガスをチャンバ1内に供給して前記式(2)におけるCl2 ガスを解離して成膜反応を促進させるための構成に関しては同様である。
このように、本形態では、触媒金属の触媒作用を利用して別途Cl2ガスを解離し、この結果得られるCl*を直接チャンバ41内に供給して被エッチング部材48をエッチングするようにしたので、Cl2ガスの解離と、これを解離して得るCl*によるエッチング反応とを独立して制御することができる。すなわち、解離反応とエンチング反応を独立に制御することができ、より高精度に成膜条件を制御することが可能となる。
上記第1乃至第4の実施の形態において、被エッチング部材8、48はCu板を用いたが、これに限定するものではない。高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属であれば他の材料でも良い。例えば、Ta、Ti、W、Zn、In、Cd等がある。ただ、被エッチング部材8、48が同時にCl2ガス(ハロゲンガス)を解離する必要がある第1及び第3の実施の形態における被エッチング部材4、48は、同時に触媒作用も有するものでなければならない。この場合、Cuの他にWがある。
一方、触媒用のフィラメント34、54は高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属である必要はなく、ハロゲンガスの解離反応を引き起こす触媒作用を有するものであれば良い。この場合、Cuの他に、Co、Ni等がある。
さらに、被エッチング部材8、48は、例えばInとCuとの合金のように高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る複数種類の金属を複合したもの、又は例えばCuInSe2 、CdS、ZnSe等の合金のように前記金属にS、Se等の非金属元素を含むものであっても良い。生成したい薄膜の種類に応じ、前述の如き複合金属を適宜選択して用いることができる。少なくとも、高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含んでいれば良い。この場合、上記実施の形態に係る金属膜作製装置は、金属薄膜に限らず、一般的な薄膜作製装置として使用し得る。また、原料ガスとしてはCl2ガスに限らず、ハロゲンガスであれば一般に用いることができる。
ここで、被エッチング部材8、48を、例えばInとCuとからなる複合金属、又は例えばCuInSe2 、CdS、ZnSe等の複合金属とし、複合金属の薄膜を作製する場合について説明しておく。
前述したCu薄膜の作製と同様に複合金属の薄膜の作製(例えば、InCu薄膜)においても、次の様な反応が起こっていると考えられる。
(1)プラズマの解離反応;Cl2 →2Cl*
(2)エッチング反応 ;Cu+Cl* →CuCl(g)
In+Cl* →InCl(g)
(3)基板への吸着反応 ;CuCl(g)→CuCl(ad)
InCl(g)→InCl(ad)
(4)成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 ↑ ・・・(3)
InCl(ad)+Cl* →In+Cl2 ↑ ・・・(4)
ここで、Cl* はClのラジカル、(g)はガス状態、(ad)は吸着状態をそれぞれ表している。
また、もう一つの成膜反応として、Cu薄膜の作製の際に予想された式(2)に対応して、以下の反応も同様に起こっていることが予想される。
2CuCl(ad)→2Cu+Cl2 ・・・・・(5)
2InCl(ad)→2In+Cl2 ・・・・・(6)
同様に、非金属元素を含有するCuInSe2 、CdS、ZnSe等の複合金属の場合も、複合金属中の非金属元素はCl* によりハロゲン化されると考えられる。すなわち、Cl* によるエッチングの結果、Se、S等の非金属元素はハロゲン化物を形成し前駆体となり、基板3へ搬送されて薄膜の構成元素となる。
このように、第1乃至第4の実施の形態に係る金属膜作製装置における被エッチング部材8、48の材質を適宜選択することで、ハロゲンガスの解離、そのラジカルによる被エンチング部材8、48のエッチング作用、このエンチング作用による前駆体15の生成、この前駆体15の基板3に対する吸着等を経て所望の薄膜を形成することができる。
上記各実施の形態におけるラジカル補給手段は、筒状の励起室25の周囲に巻回したコイル状のプラズマアンテナ26で、この励起室25内にCl* を形成し、このCl* をチャンバ1等の内部に補給するように構成したが、これに限るものではない。ハロゲンガス(例えば、Cl2 ガス)のラジカル(例えば、Cl* )を別途形成してこれをチャンバ1等の内部に補給することができるようになっていれば良い。例えば、次の様な構成のラジカル補給手段が考えられる。
1) チャンバ内に連通して原料ガスであるハロゲンガスを流通させる筒状の通路にマイクロ波を供給手段を有し、このマイクロ波供給手段が発生するマイクロ波により前記原料ガスをプラズマ化するもの。これは、例えばマグネトロンを利用することにより容易に構成することができる。この場合、周波数は2.45(GHz)程度のものを使用することができる。ちなみに、上記各実施の形態でプラズマアンテナ26に供給する周波数は13.56(MHz)を典型とするが、低周波から高周波の何れでも構わない。しかしながら、さらに一桁高い周波数であるマイクロ波を用いた場合がより高密度の原料ガスラジカルを形成することができる。
2) チャンバ内に連通する筒状の通路を流通する原料ガスであるハロゲンガスを加熱してこのハロゲンガスを熱的に解離する加熱手段を有するもの。かかる加熱手段としては、フィラメントで形成したヒータが考えられるが、かかるヒータで熱解離に必要な1500度以上の温度は容易に得られる。したがって、最も安価に原料ガスラジカル補給手段を構成することができる。
3) チャンバ内に連通する筒状の通路を流通する原料ガスであるハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこのハロゲンガスを解離させる電磁波発生手段を有するもの。これは、レーザ光又は電子線の波長を特定のものに固定することにより、所望のラジカル(例えばCl* )を高効率で発生させることかできる。すなわち、所望のラジカルを選択的に高効率で発生させることができる。
4) チャンバ内に連通する筒状の通路を流通する原料ガスであるハロゲンガスを、触媒作用を有する触媒金属に接触させてその触媒作用によりラジカルを得るもの。これは、図2及び図4に示すラジカル生成手段を、別途ラジカル補給手段として形成するものである。すなわち、触媒金属で形成したフィラメントを前記筒状の通路に配設するとともに所定の高温に加熱し、ハロゲンガスをチャンバ内に供給するに際し、前記フィラメントにハロゲンガスを接触させるように構成する。
また、上記各実施の形態において上式(2)及び(5)、(6)の成膜反応を促進させるべくCl2 ガスの解離率を向上させる手段として、希ガス供給手段を設けたが、この代わりにチャンバ1等の内部に電磁波を供給してCl2 ガスを解離するようにしても良い。すなわち、基板3の上方で原料ガス(例えばCl2 )が解離するような波長の電磁波、例えば200nm〜350nmのレーザ光を供給するように構成すれば良い。かかる構成は、エキシマレーザ、YAGレーザ等の紫外域のレーザ光を照射するレーザ発振装置を利用することにより容易に構成することができる。
さらに、上式(2)及び(5)、(6)の成膜反応を促進させるべく、解離率を増加するには次の様なプラズマ条件の制御が有効である。
すなわち、 原料ガスであるハロゲンガス(例えばCl2 ガス)の供給量を減じる。この場合は、その前駆体の量も減るので成膜レートを多少犠牲にする必要がある。ただ、原理的には可能である。例えば、上記各実施の形態の場合で考えると、成膜レートとの兼ね合いから、標準供給量の10%減程度が適当である。すなわち、Cl2 ガスの標準供給量が50(sccm)の場合、45(ccm)程度に減じるのが適当である。
上記各実施の形態に係る金属膜作製装置は、上式(1)及び(3)、(4)による成膜反応を促進する要件及び上式(2)及び(5)、(6)による成膜反応を促進する要件の両方を同時に充足する装置として説明したが、勿論何れか一方の成膜反応を促進するような装置として構成しても良い。また、上式(2)及び(5)、(6)による成膜反応を促進すべく解離率を向上させるため、別途Arガスを供給するようにしたが、これは原料ガス(例えばCl2 ガス)の希釈ガスとしてHeガスを使用している場合には、このHeガスに代えて用いることもできる。この場合には、原料ガスの希釈ガスとしての機能と、前記解離率を向上をさせるための成膜促進用ガスとしての機能とを兼備することとなる。
上記各実施の形態では、質量分析装置32を用いて前駆体の量とラジカルの量とを検出して両者の比率を検出するようにしたが、同様のことは分光分析装置を用いても実現することができる。この場合には、チャンバ1等の内部の反応空間にレーザ光を照射して特定波長の光の光強度を検出する。
また、吸光分析(レーザ光の必要はない。)も利用することができる。例えば測定用に放電で励起ラジカルを生成し、その発光を光源にした原子共鳴吸収がある。
また、当該比率は、原理的には、前駆体とラジカルとの量比に限る必要はない。前駆体と、ハロゲンガスとの比率であっても良い。ただし、この場合には供給したハロゲンガスの量を別途把握しておく必要がある。
さらに、第1及び第3の実施の形態において、被エッチング部材8等の加熱手段はヒータ11等で形成したが、これに限るものではない。一般的な加熱手段でれば、特に制限することなく用いることができる。
また、上記各実施の形態では何れも原料ガスのラジカルを補給する場合について説明したが、成膜条件等によっては必ずしも前記ラジカルを補給する必要はない。ただ、このように別途形成したラジカルを補給することにより、成膜速度の向上及び膜質の向上を図ることができる。
本発明は半導体薄膜を製造する産業分野で利用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る金属膜作製装置を示す概略側面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る金属膜作製装置を示す概略側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る金属膜作製装置を示す概略側面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る金属膜作製装置を示す概略側面図である。
符号の説明
1、41 チャンバ
3 基板
6 温度制御手段
8、48 被エッチング部材
11、44 ヒータ
13 ノズル
15 前駆体
16 Cu薄膜
24 通路
25 励起室
26 プラズマアンテナ
32 質量分析装置
33、53 筒状部材
34、54 フィラメント
42 遮蔽板
42a 孔

Claims (36)

  1. 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給し、
    このハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
    前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより、前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて成膜を行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  2. 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給するとともに、この供給に際し、前記ハロゲンガスを、これを解離する触媒作用を有する触媒金属と接触させてハロゲンガスのラジカルを形成する一方、
    少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
    前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより、前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて成膜を行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  3. 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給し、
    このハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸
    気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
    前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより前記前駆体を基板に吸着させる一方、
    別途前記ハロゲンガスのラジカルを形成し、このラジカルを前記チャンバ内に補給することにより吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜いて少なくとも前記前駆体の元素成分を基板に析出させて所定の成膜を行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  4. 基板が収容されるチャンバの内部にハロゲンガスを供給するとともに、この供給に際し、前記ハロゲンガスを、これを解離する触媒作用を有する触媒金属と接触させてハロゲンガスのラジカルを形成する一方、
    少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成した被エッチング部材を、所定の第1の温度に制御して前記ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種でエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し、
    前記基板の温度を、前記被エッチング部材の温度よりも低い第2の温度に制御することにより前記前駆体を基板に吸着させる一方、
    別途前記ハロゲンガスのラジカルを形成し、このラジカルを前記チャンバ内に補給することにより吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜いて少なくとも前記前駆体の元素成分を基板に析出させて所定の成膜を行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
    前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスに高周波の電界を作用させてこのハロゲンガスをプラズマ化することにより得ることを特徴とする薄膜作製方法。
  6. 請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
    前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにマイクロ波を供給してこのハロゲンガスをプラズマ化することにより得ることを特徴とする薄膜作製方法。
  7. 請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
    前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱して熱的解離により得ることを特徴とする薄膜作製方法。
  8. 請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
    前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこのハロゲンガスを解離させることにより得ることを特徴とする薄膜作製方法。
  9. 請求項3又は請求項4に記載する薄膜作製方法において、
    前記ハロゲンガスのラジカルは、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを、触媒作用により解離させる触媒金属に接触させることにより得ることを特徴とする薄膜作製方法。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
    成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、前記チャンバ内に供給するハロゲンガスの供給量を減少させることを特徴とする薄膜作製方法。
  11. 請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
    成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、ハロゲンガスの他に、質量がNe以上の希ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とする薄膜作製方法。
  12. 請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
    成膜反応に伴い発生するハロゲンガスの解離率が増加するよう、前記チャンバ内に電磁波を供給してこのチャンバ内に供給されたハロゲンガスを解離させることを特徴とする薄膜作製方法。
  13. 請求項1乃至請求項12の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
    前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量とを検出し、両者の比率に応じて、この比率が予め定めた値になるように前記被エッチング部材の温度を制御することを特徴とする薄膜作製方法。
  14. 請求項13に記載する薄膜作製方法において、
    前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出は、被エッチング部材の近傍の反応空間の試料を抽出して質量分析により行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  15. 請求項13に記載する薄膜作製方法において、
    前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出は、被エッチング部材の近傍の反応空間にレーザ光を照射し、これに伴う発光を分光分析することにより行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  16. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
    前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  17. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
    前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
    前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  18. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
    前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
    前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  19. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置に配設した被エッチング部材と、
    前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
    前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記基板と前記被エッチング部材との間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後少なくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と
    前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  20. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板面に対向する位置を外した位置に配設した被エッチング部材と、
    前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
    前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  21. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板面に対向する位置を外した位置に配設した被エッチング部材と、
    前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
    前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
    前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  22. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    前記ハロゲンガスを解離する化学活性を有するとともに少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置を避けた位置に配設した被エッチング部材と、
    前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
    前記被エッチング部材の化学活性でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記被チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間にハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
    前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  23. 基板を収容する内部に原料ガスであるハロゲンガスが供給される筒状のチャンバと、
    少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成して前記チャンバ内で前記基板に対向する位置を避けた位置に配設した被エッチング部材と、
    前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有する触媒金属と、
    前記チャンバ内で前記基板と前記被エッチング部材との間に配設するとともに前記基板の方向に向いた孔を有する遮蔽板と、
    前記触媒金属に接触させることによりその触媒作用でハロゲンガスを解離するとともに、ハロゲンガス、このハロゲンガスを解離したラジカル又は前記ハロゲンガスを励起したイオン種で前記被エッチング部材をエッチングすることにより少なくとも前記元素とハロゲンとの前駆体を形成し得るよう前記チャンバ内の前記被エッチング部材と前記遮蔽板との間の空間に前記ハロゲンガスを供給するハロゲンガス供給手段と、
    前記被エッチング部材の温度を所定の温度に制御する第1の温度制御手段と、
    基板の温度を前記被エッチング部材の温度よりも低い所定の温度に制御して前記前駆体を基板に吸着させ、その後すくなくともその元素成分を析出させて所定の成膜を行う第2の温度制御手段と、
    前記基板に吸着状態となっている前記前駆体からハロゲンを引き抜くよう、別途前記ハロゲンガスのラジカルを前記チャンバ内に補給するラジカル補給手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  24. 請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路の周囲に巻回したコイルに高周波電流を供給し、これにより形成する電界の作用でハロゲンガスをプラズマ化するものであることを特徴とする薄膜作製装置。
  25. 請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路にマイクロ波供給手段を有し、このマイクロ波供給手段が発生するマイクロ波により前記ハロゲンガスをプラズマ化するものであることを特徴とする薄膜作製装置。
  26. 請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱してこのハロゲンガスを熱的に解離する加熱手段を有することを特徴とする薄膜作製装置。
  27. 請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこの原料ガスを解離させる電磁波発生手段を有することを特徴とする薄膜作製装置。
  28. 請求項18、請求項19、請求項22又は請求項23の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    ラジカル補給手段は、前記チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを、触媒作用により解離させる触媒金属を有するものであることを特徴とする薄膜作製装置。
  29. 請求項16、請求項17、請求項20又は請求項21の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    ハロゲンガスの他に、質量がNe以上の希ガスを前記チャンバ内に供給する希ガス供給手段を有することを特徴とする薄膜作製装置。
  30. 請求項16、請求項17、請求項20又は請求項21の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    さらに、前記チャンバ内に電磁波を供給して成膜反応に伴い発生するハロゲンガスを解離させる電磁波発生手段を有することを特徴とする薄膜作製装置。
  31. 請求項16乃至請求項30の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量とに基づき両者の比率を検出する比率検出手段と、
    この比率検出手段で検出する比率が予め定めた値になるように前記被エッチング部材の温度を制御する温度制御手段とを有することを特徴とする薄膜作製装置。
  32. 請求項31に記載する薄膜作成装置において、
    前記比率検出手段は、前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出を被エッチング部材の近傍の反応空間の試料を抽出して質量分析により行う質量分析手段を有することを特徴とする薄膜作製装置。
  33. 請求項31に記載する薄膜作製装置において、
    前記比率検出手段は、前記前駆体の量と前記ラジカル又は前記ハロゲンガスの量との検出を、被エッチング部材の近傍の反応空間にレーザ光を照射し、これに伴う発光を分析することにより行う分光分析手段を有することを特徴とする薄膜作製装置。
  34. 請求項16乃至請求項33の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素の単体で形成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  35. 請求項16乃至請求項33の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素の複数種類を成分とする複合金属で形成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  36. 請求項16乃至請求項33の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    被エッチング部材は、Cu、Co、Ni、Wを含む前記ハロゲンガスを解離する触媒作用を有し且つ高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属、又はTaを含む前記触媒作用は有しないが高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る金属と、Se、S等の非金属とを成分とする複合金属で形成したことを特徴とする薄膜作製装置。
JP2003374182A 2003-11-04 2003-11-04 薄膜作製方法及び薄膜作製装置 Expired - Fee Related JP3937411B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003374182A JP3937411B2 (ja) 2003-11-04 2003-11-04 薄膜作製方法及び薄膜作製装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003374182A JP3937411B2 (ja) 2003-11-04 2003-11-04 薄膜作製方法及び薄膜作製装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005139476A true JP2005139476A (ja) 2005-06-02
JP3937411B2 JP3937411B2 (ja) 2007-06-27

Family

ID=34685975

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003374182A Expired - Fee Related JP3937411B2 (ja) 2003-11-04 2003-11-04 薄膜作製方法及び薄膜作製装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3937411B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008028036A (ja) * 2006-07-19 2008-02-07 Phyzchemix Corp 半導体製造装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008028036A (ja) * 2006-07-19 2008-02-07 Phyzchemix Corp 半導体製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3937411B2 (ja) 2007-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20070184190A1 (en) Method for producing carbon nanowalls, carbon nanowall, and apparatus for producing carbon nanowalls
US20100062181A1 (en) Metal film production apparatus and metal film production method
US20170356084A1 (en) Processing method of silicon nitride film and forming method of silicon nitride film
US20100040802A1 (en) Method and apparatus for production of metal film or the like
TWI518781B (zh) Selecting an oxidation treatment method, selecting an oxidation treatment apparatus, and a computer-readable memory medium
US20020005159A1 (en) Method of producing thin semiconductor film and apparatus therefor
KR19980086497A (ko) 스퍼터링장치
WO2014024733A1 (ja) 多層膜をエッチングする方法、及びプラズマ処理装置
JP6632426B2 (ja) プラズマ処理装置及びプリコート処理方法
JP3937411B2 (ja) 薄膜作製方法及び薄膜作製装置
JP2005240091A (ja) 薄膜作製方法及び薄膜作製装置
JP2017084966A (ja) 遷移金属を含む膜をエッチングする方法及び基板処理装置
JP3872780B2 (ja) 薄膜作製装置
WO2014157738A1 (ja) カーボンナノチューブ成長方法
JP4127435B2 (ja) 原子状ラジカル測定方法及び装置
JP4117308B2 (ja) 金属膜作製方法及び金属膜作製装置
JP3716235B2 (ja) 金属膜作製方法及び金属膜作製装置
JP4589591B2 (ja) 金属膜作製方法及び金属膜作製装置
JP4368337B2 (ja) 金属膜作製方法及び金属膜作製装置
JP2005320634A5 (ja)
JP2005159049A (ja) プラズマ成膜方法
JP2009256806A (ja) 金属膜作製方法及び金属膜作製装置
JP3801595B2 (ja) 薄膜作製方法及び薄膜作製装置
JP4401340B2 (ja) 薄膜作製装置及び薄膜作製方法
US20240120183A1 (en) Substrate processing method and substrate processing apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060627

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060828

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061228

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070115

TRDD Decision of grant or rejection written
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070206

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070126

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110406

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120406

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130406

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130406

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140406

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees