JP2005139463A - ポリカルボフィルマグネシウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 実質的に水酸化マグネシウムを含まない高純度のポリカルボフィルマグネシウムを製造する方法を提供する。
【解決手段】 ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物とを反応させる工程を含むポリカルボフィルマグネシウムの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物とを反応させる工程を含むポリカルボフィルマグネシウムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムの製造方法に関する。
便秘は便が長時間腸内にとどまり、水分が吸収されて排便が困難になる状態を伴う疾患であり、排便機構が種々の原因で障害されて引き起こされるが、その障害には機能的なものと器質的なものがある。便秘の治療には、生活環境やストレス環境の整備に加えて食物繊維の摂取などの食事療法が重要であるが、現代社会においてこれらを継続的に実践していくことは容易ではない。一般薬として市販されている下剤は300種類を越え、その生産量は年々増加する傾向にあるが、これは便秘の改善のために薬物を使用する患者が増加していることを如実に物語っている。
しかしながら、便秘の患者の多くは、連用による習慣性や使用量の増加のほか、服用後の便通までの時間、便の状態、副作用などを気遣いながら服用しているのが現実であり、このような観点から現在利用可能な薬剤は必ずしも満足すべきものではない。また、疾病、事故、障害、高齢、その他の原因により自己の管理あるいは排便行為の制御が困難な患者では、既存の緩下剤では便が水様あるいは過剰に柔らかくなるために衣類および周囲を汚すなど、衛生面および生活の質の面において問題となる場合もある。特に高齢化に伴って介護を要する便秘の患者が増加しつつあり、緩下剤使用時の排便管理は本人のみならず、介護者にとっても重大な問題となっている。
さらに、社会が多様化することによる病因の広汎化に従って消化管疾患も多様化し、従来の便秘と共に、機能性腸疾患、特に症状の強い過敏性腸症候群(以下、本明細書において「IBS」と略す場合がある)による便秘の患者が増加してきている。過敏性腸症候群は、器質的疾患が存在しないにもかかわらず下部消化管の機能異常によって便通の異常を来たす疾患であり、通常、遠位結腸部での痙攣性収縮等を起因とした内容物輸送遅延による便秘型、蠕動運動亢進等を起因とした内容物輸送促進による下痢型、及び下痢と便秘を交互に繰り返す交代型に亜分類される。過敏性腸症候群による便通異常は男性よりも女性に多いといわれ、一般的に便秘型は女性に多いとされている。便秘型のIBSの治療には、例えば、酸化マグネシウム、シサプリド、カルメロースナトリウム、ピコスルファートナトリウム等又はそれらを組み合わせた薬剤が用いられているが、これらの薬剤はいずれも便通調節の点で満足できるものではない。
一方、ポリカルボフィルはポリアクリル酸を3,4-ジヒドロキシ-1,5-ヘキサジエンにより架橋した樹脂であり、高度の水分保持作用を有することが知られている。ポリカルボフィルの多価金属塩については、米国特許第3,297,664号に物性および保水性が改善されること、及び下痢の治療に対する有効性が示唆されている。もっとも、この刊行物にはポリカルボフィルが便秘に有効であるとの記載はない。
ポリカルボフィルの代表的な多価金属塩であるポリカルボフィルカルシウムについては、特許第2625456号、同2609022号、特開平8-198761号公報、特表平8-502073号公報などに該カルシウム塩を有効成分として含む製剤が開示されており、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤がIBSにおける便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状に有効な医療用医薬品として承認されて市販されている。もっとも、この製剤は、その極めて高い保水性から下痢に対しては高い有効性を示すものの、便秘に対しては腸内の水分を保持・利用するのみで、積極的に便を柔らかくする作用に乏しく、必ずしも満足すべき効果を発揮するものではない。
ポリカルボフィルの代表的な多価金属塩であるポリカルボフィルカルシウムについては、特許第2625456号、同2609022号、特開平8-198761号公報、特表平8-502073号公報などに該カルシウム塩を有効成分として含む製剤が開示されており、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤がIBSにおける便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状に有効な医療用医薬品として承認されて市販されている。もっとも、この製剤は、その極めて高い保水性から下痢に対しては高い有効性を示すものの、便秘に対しては腸内の水分を保持・利用するのみで、積極的に便を柔らかくする作用に乏しく、必ずしも満足すべき効果を発揮するものではない。
また、ポリカルボフィルカルシウムを含む製剤では、腸管内で化合物から遊離するカルシウムイオンが体内に吸収され、カルシウム吸収促進による高カルシウム血症(特に活性型ビタミンDとの併用の場合)やカルシウムによる心筋収縮力の増強(特に強心配糖体との併用の場合)を引き起こす可能性があるほか、制酸剤および胃酸分泌を抑制する抗潰瘍剤との併用時のカルシウム脱離抑制による活性の低下、組織への石灰等の沈着、蓚酸カルシウム等の不溶性又は難溶性のカルシウム塩から成る結石の生成、及びカルシウムイオンによるキレート形成に基づく他剤の吸収阻害などの問題を引き起こす可能性がある。特に、健康指向の高まりにより、活性型ビタミンDや多量のカルシウムイオンを含む食品および一般薬が多く市販されており、このような食品や一般薬とポリカルボフィルカルシウムを含む製剤とを併用した場合には、高カルシウム血症や不溶性又は難溶性のカルシウム塩に起因する腎障害等の疾患を誘発する危険性があった。
ポリカルボフィルマグネシウムの製造方法に関しては、米国特許第3,297,664号明細書の実施例30において、ポリカルボフィルに化学量論的な酸化マグネシウムを加えて一晩攪拌し、ろ取、水洗して取得する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、試薬である酸化マグネシウムに由来する水酸化マグネシウムが目的物であるポリカルボフィルマグネシウムに混入してしまうという問題があった。医薬の製造にあたっては、有効成分以外の不純物の混入は可能な限り排除することが求めらているところから、本発明者らは上記の方法において酸化マグネシウムの反応量、添加方法、及び温度条件や、反応後のろ過や水洗等の処理方法などの諸条件を検討することにより、水酸化マグネシウムの混入量を減少させるべく鋭意研究を行ったが、満足すべき結果を得ることはできなかった。また、この方法では高温及び長時間の反応が必要であり、さらに攪拌や濾過などの操作性が悪いという問題もあった。
本発明の第一の課題は、便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のための医薬を提供することにある。より具体的には、安全性と有効性に優れ、水様便や過剰な軟便あるいは高カルシウム血症などの副作用を引き起こさずに高い有効性を発揮することができる便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のための医薬を提供することが本発明の課題である。
また、本発明の第二の課題は、実質的に水酸化マグネシウムを含まない高純度のポリカルボフィルマグネシウムを製造する方法を提供することにある。また、本発明の別の課題は、効率的に高純度のポリカルボフィルマグネシウムを製造する方法を提供することにある。
また、本発明の第二の課題は、実質的に水酸化マグネシウムを含まない高純度のポリカルボフィルマグネシウムを製造する方法を提供することにある。また、本発明の別の課題は、効率的に高純度のポリカルボフィルマグネシウムを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の第一の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリカルボフィルのマグネシウム塩であるポリカルボフィルマグシウムが水様便や過剰な軟便などの副作用を引き起こさずに便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療に高い有効性を示すことを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明は、ポリカルボフィルマグネシウムを有効成分として含む便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のための医薬を提供するものである。本発明の好ましい態様によれば、緩下剤として用いる上記の医薬;機能性腸疾患における便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療に用いる上記の医薬;過敏性腸症候群における便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療に用いる上記の医薬;便通異常又は便秘に伴う消化管異常の予防、緩解、改善、又は治療のための上記の医薬;及び腸検査の前処理剤である上記の医薬が提供される。
別の観点からは、上記の医薬の製造のためのポリカルボフィルマグネシウムの使用が本発明により提供される。また、便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療方法であって、ポリカルボフィルマグネシウムの予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が本発明により提供される。
また、本発明者らは上記の第二の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、種々のマグネシウム化合物のうち炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物を用いると実質的に水酸化マグネシウムを含有しない極めて高純度のポリカルボフィルマグネシウムを簡便に製造できることを見い出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明は、ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物とを反応させる工程を含むポリカルボフィルマグネシウムの製造方法を提供するものである。この方法は、実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを製造するための方法として用いることができ、この発明の好ましい態様によれば、炭酸マグネシウム化合物が炭酸マグネシウム又は炭酸水酸化マグネシウムである上記の方法が提供される。
また、別の観点から、実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムが提供され、好ましくは上記の方法により得ることができる実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムが提供される。このポリカルボフィルマグネシウムは、上記の医薬の有効成分として好適に使用できる。
さらに別の観点からは、実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを含む医薬が本発明により提供される。この発明の好ましい態様によれば、実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを有効成分として含む便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のための医薬;緩下剤として用いる上記の医薬;機能性腸疾患における便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療に用いる上記の医薬;及び過敏性腸症候群における便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療に用いる上記の医薬;便通異常又は便秘に伴う消化管異常の予防、緩解、改善、又は治療のための上記の医薬;及び腸検査の前処理剤である上記の医薬が提供される。
実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを含む食品も本発明により提供される。
実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを含む食品も本発明により提供される。
本発明の方法により、実質的に水酸化マグネシウムを含まない高純度なポリカルボフィルマグネシウムを簡便に製造することができる。
本発明の医薬は、便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のために用いられる医薬であって、ポリカルボフィルマグネシウムを有効成分として含むことを特徴としている。本発明の医薬の有効成分として用いられるポリカルボフィルマグネシウムは公知の物質であり、任意の製造方法により製造されたものを用いることができる。例えば米国特許第3,202,577号明細書に記載された方法により容易に製造することができる。より具体的には、アクリル酸と3,4−ジヒドロキシ−1,5−ヘキサジエンなどのヘキサジエン化合物を反応開始剤によって共重合体としてポリカルボフィルを製造し、水洗の後これをマグネシウム塩として単離することができる。また、市販のポリカルボフィルと酸化マグネシウム等のマグネシウム含有物質よりマグネシウム塩を生成して単離してもよい。
あるいは、アクリル酸に替えてメタアクリル酸、アクリル酸塩、マレイン酸無水物、又はフマール酸エステル等を用い、ヘキサジエン化合物に替えてジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、テトラアリル−1,3−プロパンジオール等を用い、さらに反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシドなどを用いて同様に処理することにより共重合体を製造することができ、これを酸化マグネシウム等のマグネシウム含有物質で処理することによって良好な高吸水性を有するマグネシウムポリカルボフィルを製造することができる。本明細書の実施例にはポリカルボフィルマグネシウムの製造方法の一例が具体的に示されているので、当業者は上記の一般的な製造方法の説明及び実施例の具体的な説明を参照しつつ、必要に応じてこれらの方法に適宜の修飾ないし改変を加えることによりポリカルボフィルマグネシウムを容易に入手することができる。
本発明の医薬の有効成分としては、ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物とを反応させることにより得ることができる実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを用いることが好ましい。
本明細書において「炭酸マグネシウム化合物」とは、塩の構成成分としてMgCO3を含むものを意味しており、塩の構成成分としてMgCO3以外の金属イオン、水酸イオン、又は水分子などが任意の個数含まれていてもよい。炭酸マグネシウム化合物としては、例えば、無水炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム・一水和物、炭酸マグネシウム・三水和物、炭酸マグネシウム・五水和物(これらの炭酸マグネシウムについては含水塩基性炭酸マグネシウム、含水正炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、軽質炭酸マグネシウムなどの分類がなされる場合がある)、炭酸マグネシウムカルシウム、炭酸水酸化マグネシウム(およそ4MgCO3・Mg(OH)2・5H2Oとして表される塩基性塩であり、マグネシアアルバ、炭マグなどとも呼ばれることがある。第十四改正日本薬局方第一部に「炭酸マグネシウム」として収載されている物質はこの炭酸水酸化マグネシウムである。)などを例示することができる。これらのうち、無水炭酸マグネシウム又は炭酸水酸化マグネシウムを好ましく用いることができ、特に好ましいのは炭酸水酸化マグネシウムである。
本明細書において「炭酸マグネシウム化合物」とは、塩の構成成分としてMgCO3を含むものを意味しており、塩の構成成分としてMgCO3以外の金属イオン、水酸イオン、又は水分子などが任意の個数含まれていてもよい。炭酸マグネシウム化合物としては、例えば、無水炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム・一水和物、炭酸マグネシウム・三水和物、炭酸マグネシウム・五水和物(これらの炭酸マグネシウムについては含水塩基性炭酸マグネシウム、含水正炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、軽質炭酸マグネシウムなどの分類がなされる場合がある)、炭酸マグネシウムカルシウム、炭酸水酸化マグネシウム(およそ4MgCO3・Mg(OH)2・5H2Oとして表される塩基性塩であり、マグネシアアルバ、炭マグなどとも呼ばれることがある。第十四改正日本薬局方第一部に「炭酸マグネシウム」として収載されている物質はこの炭酸水酸化マグネシウムである。)などを例示することができる。これらのうち、無水炭酸マグネシウム又は炭酸水酸化マグネシウムを好ましく用いることができ、特に好ましいのは炭酸水酸化マグネシウムである。
本明細書において「リン酸マグネシウム化合物」とは塩の構成成分としてMg3(PO4)2を含むものを意味しており、塩の構成成分としてMg3(PO4)2以外の金属イオン、水酸イオン、又は水分子などが任意の個数含まれていてもよい。リン酸マグネシウム化合物としては、例えば、無水リン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム・四水和物、リン酸マグネシウム・八水和物、リン酸マグネシウム・二十二水和物などを挙げることができる。
反応に用いるポリカルボフィルは、例えば、米国特許第3,202,577号、特開平4-227911号公報に記載されており、アクリル酸と1,5-ヘキサジエン化合物を反応開始剤の存在下で重合剤によって共重合させることにより製造できる。上記反応において、アクリル酸に替えてメタアクリル酸、アクリル酸塩、マレイン酸無水物、フマール酸エステル等を用いることができ、1,5-ヘキサジエン化合物として3,4-ジヒドロキシ-1,5-ヘキサジエンを用いることができる。また、1,5-ヘキサジエン化合物に替えてジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、テトラアリル-1,3-プロパンジオール等を用いることもできる。反応開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等の汎用の重合反応開始剤のなかから適宜選択することができる。
反応に用いるポリカルボフィルは、例えば、米国特許第3,202,577号、特開平4-227911号公報に記載されており、アクリル酸と1,5-ヘキサジエン化合物を反応開始剤の存在下で重合剤によって共重合させることにより製造できる。上記反応において、アクリル酸に替えてメタアクリル酸、アクリル酸塩、マレイン酸無水物、フマール酸エステル等を用いることができ、1,5-ヘキサジエン化合物として3,4-ジヒドロキシ-1,5-ヘキサジエンを用いることができる。また、1,5-ヘキサジエン化合物に替えてジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、テトラアリル-1,3-プロパンジオール等を用いることもできる。反応開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等の汎用の重合反応開始剤のなかから適宜選択することができる。
ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物との反応は、一般的には水などの分散媒の存在下において、ポリカルボフィルに炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物を添加するか、ポリカルボフィルと炭酸水酸化マグネシウム等に水を加えることにより行うことができる。この場合、例えば、ポリカルボフィルを水に分散させておき、この分散液中に炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物を徐々に、又は一時に添加することができる。あるいは、水などの分散媒の存在下において、炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物に対してポリカルボフィルを添加する方法を採用してもよい。この場合、ポリカルボフィルを水に分散させた状態で反応液中に添加することもできる。分散媒としては、通常の常水のほか、イオン交換水、注射用蒸留水、又は高度に脱イオンしたいわゆる純水を用いてもよい。滅菌された水を用いることも好ましい。
ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物との反応における反応温度は特に限定されないが、ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物を混合する場合には、混合後の反応温度として、例えば室温ないし100℃程度の範囲で反応を行うことができ、反応後の濾過などの操作性の観点からは30〜85℃程度が好ましく、約50℃程度が特に好ましい。
ポリカルボフィルに対する炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物の反応量は特に限定されないが、通常はポリカルボフィルのアクリル酸由来のカルボキシル基2モルに対して上記マグネシウム化合物1モルを反応させればよい。反応後の上記マグネシウム化合物の残留や除去に問題が生じない場合には、ポリカルボフィルのアクリル酸由来のカルボキシル基2モルに対して、上記マグネシウム化合物を1ないし1.2モル程度の範囲で用いることができる。反応時間は特に限定されないが、通常は数分から1日程度、好ましくは1〜12時間程度である。このようにして、通常は白色ないし微黄白色を呈する粉体としてポリカルボフィルマグネシウムを得ることができる。
ポリカルボフィルに対する炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物の反応量は特に限定されないが、通常はポリカルボフィルのアクリル酸由来のカルボキシル基2モルに対して上記マグネシウム化合物1モルを反応させればよい。反応後の上記マグネシウム化合物の残留や除去に問題が生じない場合には、ポリカルボフィルのアクリル酸由来のカルボキシル基2モルに対して、上記マグネシウム化合物を1ないし1.2モル程度の範囲で用いることができる。反応時間は特に限定されないが、通常は数分から1日程度、好ましくは1〜12時間程度である。このようにして、通常は白色ないし微黄白色を呈する粉体としてポリカルボフィルマグネシウムを得ることができる。
本発明の方法により得られるポリカルボフィルマグネシウムは、実質的に水酸化マグネシウムを含まないことを特徴としている。本明細書において「実質的に水酸化マグネシウムを含まない」とは、例えば、粉末X線回折チャートにおいて水酸化マグネシウム結晶に固有の回折ピークが実質的に認められないことを意味しており、より具体的には、図1に示すように、粉末X線回折チャートにおいて水酸化マグネシウムの回折ピークが認められないことを意味している。比較のため、図2には水酸化マグネシウムに固有の回折ピークが認められる低純度ポリカルボフィルマグネシウムの粉末X線回折チャートを示した。このポリカルボフィルマグネシウムは米国特許第3,297,664号明細書に記載された方法により製造されたものである。
また、本発明の方法により得られるポリカルボフィルマグネシウムは、日本薬局方の酸化マグネシウム定量法で測定した場合に約13%のマグネシウムを含み、下記の方法で測定した場合に50ないし80g/gの吸水能を有している。吸水能はポリカルボフィルマグネシウムを0.1 mol/L塩酸試液で脱マグネシウム処理して遊離形態のポリカルボフィルとした後,1.5 g/dL炭酸水素ナトリウム試液での膨潤性を吸水した水の重量として求めた。
本発明の医薬としてはポリカルボフィルマグネシウムをそのまま用いてもよいが、当業界で汎用されている製剤用添加物の1種又は2種以上を用いて経口投与用の医薬組成物を製造して投与してもよい。経口投与用の医薬組成物の種類は特に限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などの固形製剤、又は懸濁剤、シロップ剤などの水性製剤を例示することができる。これらのうち、錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの固形製剤が好ましい。錠剤には糖衣又はゼラチン衣などのコーティングのほか、腸溶性コーティングなどの溶解性や崩壊性を調節するための適宜のコーティングが施されていてもよい。製剤用添加物の種類は特に限定されないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤などを適宜組合わせて用いることができる。医薬組成物の崩壊性を高めるために、例えば特許第2609022号公報又は特開平8-198761号公報などに記載されたポリカルボフィルカルシウム製剤について提案されている技術を適宜応用することも可能である。
本発明の医薬としてはポリカルボフィルマグネシウムをそのまま用いてもよいが、当業界で汎用されている製剤用添加物の1種又は2種以上を用いて経口投与用の医薬組成物を製造して投与してもよい。経口投与用の医薬組成物の種類は特に限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などの固形製剤、又は懸濁剤、シロップ剤などの水性製剤を例示することができる。これらのうち、錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの固形製剤が好ましい。錠剤には糖衣又はゼラチン衣などのコーティングのほか、腸溶性コーティングなどの溶解性や崩壊性を調節するための適宜のコーティングが施されていてもよい。製剤用添加物の種類は特に限定されないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤などを適宜組合わせて用いることができる。医薬組成物の崩壊性を高めるために、例えば特許第2609022号公報又は特開平8-198761号公報などに記載されたポリカルボフィルカルシウム製剤について提案されている技術を適宜応用することも可能である。
より具体的には、崩壊剤として、例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸カルシウム、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、コムギデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、部分アルファー化デンプン等;防湿剤として、例えば、エチルセルロース、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、精製セラック、マクロゴール等;分散剤として例えば、カルボキシビニルポリマー、ショ糖脂肪酸エステル、各種ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、各種ポリソルベート等;安定剤として、例えば、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸アルミニウム等を用い、その他、崩壊補助剤、界面活性剤、充填剤、滑沢剤等を用い、さらに必要に応じて矯味剤や香料等を適宜配合して医薬組成物を調製し、造粒により顆粒剤を製造し、さらに造粒の後に打錠して錠剤を製造できる。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、ポリカルボフィルマグネシウムは便を適度に柔らかくし、排便量を増やす作用を有している。従って、本発明の医薬は便秘の予防及び/又は治療に用いることができる。また、本発明の医薬は、便秘に伴う症状、例えば消化器症状などの予防及び/又は治療に用いることができる。本発明の医薬の適用対象となる便秘の種類は特に限定されず、結腸の運動減退、結腸けいれん、若しくは直腸内の排便反射の減退などの機能的障害に基づくもの、又は腸の通過障害、結腸の形態異常、又は直腸や肛門の狭窄などの器質的障害に基づくもののいずれに対しても適用可能である。また、急性便秘又は慢性便秘のいずれに対しても適用可能である。あるいは、別の分類に従って、一過性単純性便秘、常習(習慣性)便秘(弛緩性便秘、直腸性便秘、またはけいれん性便秘など)、又は症候性便秘(大腸の器質的疾患、甲状腺機能低下症、消化性潰瘍、膵臓疾患、胆道疾患などの全身性疾患)のいずれに対しても適用できる。さらに薬物による便秘(例えば麻薬性鎮痛剤の投与によるもの)などにも適用できる。これらのうち、機能性腸疾患による便秘は本発明の医薬の好適な適用対象であり、これらのうちで特に好ましい適用対象は、便秘型過敏性腸症候群、又は交代型過敏性腸症候群における便秘である。本発明の医薬は、注腸X線検査や内視鏡検査等の大腸の検査を行う前の腸管内清浄のための前処置用医薬としても利用できる。
また、いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、ポリカルボフィルをマグネシウム塩として用いることにより、マグネシウムの作用によって腸管内への積極的な水分の分泌が誘導され、その結果として便が効果的に柔らかくなる一方で、ポリカルボフィルによる高い保水作用により水様便又は極度の軟便に至ることが回避される。また、いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本明細書の実施例に示されるように、ポリカルボフィルのカルシウム塩であるポリカルボフィルカルシウムを緩下剤として通常用いられている酸化マグネシウムと組み合わせて用いた場合には低用量でも下痢が引き起こされるのに対して、本発明の医薬では下痢の副作用は生じない。このように副作用としての下痢を引き起こさずに便秘に対して高い有効率を達成できる本発明の医薬の優れた作用は、マグネシウムをポリカルボフィルの対イオンとして用いることによって初めて達成されるものであり、ポリカルボフィルカルシウムと酸化マグネシウム等のマグネシウムを含有する塩類下剤とを併用する場合とは質的に異なるものであることが証明されている。
さらに、マグネシウムの腸管吸収性はカルシウムより低く、かつビタミンDの影響も受け難いことから、本発明の医薬では高アルカリ土類金属血症を惹起する危険性を低減させることができる。また、燐酸カルシウムや蓚酸カルシウム等は極めて水溶性に乏しく、しばしば結石の主要成分となることから、ポリカルボフィルカルシウムではこれらのような難溶性又は不溶性カルシウム塩による腎障害あるいは結石が生じる危険性がある。一方、マグネシウムは蓚酸カルシウムの溶解度を増加させ、蓚酸カルシウム及びリン酸カルシウムの沈着を抑制し、水酸化マグネシウムは結石の再発率を低下させるとの報告があり(例えばJournal of Urology Vol.124:770-774(1980))、日本においては、「尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防」の適応を有している酸化マグネシウム製剤もある。したがって、ポリカルボフィルのマグネシウム塩である本発明の医薬においては、腎障害および結石を生じる危険性を低減させることも可能である。本発明の医薬は便秘の治療効果においてポリカルボフィルカルシウムに比べて2倍以上の有効性を有していることから、用量を減じることによりキレート形成に基づく他の医薬の吸収阻害なども改善される。
本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されず、症状の程度、患者の年齢、体重、性別などの条件、あるいは併用している医薬の種類などに応じて適宜選択可能である。例えば、通常の場合、成人1日あたり約100〜10,000mg、好ましくは約200〜6,000mg、さらに好ましくは 約500〜3,000mgを1回又は複数回に分けて経口投与することができる。なお、本発明の医薬は便秘の治療のために用いられる他の緩下剤と組み合わせて投与してもよい、あるいは別の薬効を有する他の医薬と併用することも可能である。
本発明により提供される食品は、必要に応じて他の無機成分やアミノ酸等とともにポリカルボフィルマグネシウムを含んでおり、健康食品として利用することもできる。本発明の食品の種類は特に限定されず、例えば、健康飲料、菓子類、加工食品などに適宜の量のポリカルボフィルマグネシウムを配合することが可能である。ポリカルボフィルマグネシウムは消化管からの吸収がなく低毒性であるところから、上記ポリカルボフィルマグネシウムを含む本発明の食品は、便秘が直接又は間接に関連する身体の変調を調整し、身体を健全に保つための健康食品として有用である。
本発明により提供される食品は、必要に応じて他の無機成分やアミノ酸等とともにポリカルボフィルマグネシウムを含んでおり、健康食品として利用することもできる。本発明の食品の種類は特に限定されず、例えば、健康飲料、菓子類、加工食品などに適宜の量のポリカルボフィルマグネシウムを配合することが可能である。ポリカルボフィルマグネシウムは消化管からの吸収がなく低毒性であるところから、上記ポリカルボフィルマグネシウムを含む本発明の食品は、便秘が直接又は間接に関連する身体の変調を調整し、身体を健全に保つための健康食品として有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。以下、実施例中においてポリカルボフィルマグネシウムをMgPC、ポリカルボフィルカルシウムをCaPCと略す場合がある。
例1:ポリカルボフィルマグネシウムの製造
ポリカルボフィル100g(Noveon Inc 製、Noveon polycarbophilAA-1)及び酸化マグネシウム28gに蒸留水6リットルを加えて80℃で一晩攪拌した後、生成したマグネシウム塩を濾取し、蒸留水で洗浄した。得られた樹脂を80℃で48時間乾燥後粉砕し、80℃で24時間減圧乾燥を行い、白色から微黄白色の粉末100gを得た。
例1:ポリカルボフィルマグネシウムの製造
ポリカルボフィル100g(Noveon Inc 製、Noveon polycarbophilAA-1)及び酸化マグネシウム28gに蒸留水6リットルを加えて80℃で一晩攪拌した後、生成したマグネシウム塩を濾取し、蒸留水で洗浄した。得られた樹脂を80℃で48時間乾燥後粉砕し、80℃で24時間減圧乾燥を行い、白色から微黄白色の粉末100gを得た。
例2:錠剤の製造
ポリカルボフィルマグネシウムに乳糖、トウモロコシデンプン及び酢酸フマル酸セルロース(または結晶セルロース)を処方例の成分比により混合した後、適量の水を加えて造粒し、60℃で5時間乾燥した。この造粒物を16メッシュの篩で整粒した後に、更に処方例の成分比のステアリン酸カルシウムを加えて混合し打錠用の粉末とした。これを1錠中にポリカルボフィルマグネシウム250mgを含有するように分配し打錠して、錠剤を得た。
ポリカルボフィルマグネシウムに乳糖、トウモロコシデンプン及び酢酸フマル酸セルロース(または結晶セルロース)を処方例の成分比により混合した後、適量の水を加えて造粒し、60℃で5時間乾燥した。この造粒物を16メッシュの篩で整粒した後に、更に処方例の成分比のステアリン酸カルシウムを加えて混合し打錠用の粉末とした。これを1錠中にポリカルボフィルマグネシウム250mgを含有するように分配し打錠して、錠剤を得た。
処方例1
ポリカルボフィルマグネシウム 250mg
乳糖 適量
酢酸フマル酸セルロース 60mg
(または結晶セルロース)
トウモロコシデンプン 20mg
ステアリン酸カルシウム 4mg
全量 400mg
ポリカルボフィルマグネシウム 250mg
乳糖 適量
酢酸フマル酸セルロース 60mg
(または結晶セルロース)
トウモロコシデンプン 20mg
ステアリン酸カルシウム 4mg
全量 400mg
試験例1:ポリカルボフィルマグネシウムとポリカルボフィルカルシウムの排便に対する効果の比較:
CaPCとMgPCの雄性正常イヌにおける排便に対する効果をゼラチンカプセル投与の対照群とともに2日間比較検討した。被験物質は全てそのままゼラチンカプセルに充填し、1日2回、2日間、給餌約30分後に表1に示す用量を経口投与し、直ちに水100mLを経口負荷した。水負荷後、イヌ用代謝ケージにて約24時間の排便を回復日も含めた3日間それぞれ採取し、便湿重量を測定した。採取後、乾燥器にて80℃で12〜24時間乾燥後、便乾燥重量を測定し、便水分含量率を求めた。なお、試験期間中は経時的に排便の有無並びに便の状態を観察し、数回にわたりクロスオーバーにて試験を実施した。
CaPCとMgPCの雄性正常イヌにおける排便に対する効果をゼラチンカプセル投与の対照群とともに2日間比較検討した。被験物質は全てそのままゼラチンカプセルに充填し、1日2回、2日間、給餌約30分後に表1に示す用量を経口投与し、直ちに水100mLを経口負荷した。水負荷後、イヌ用代謝ケージにて約24時間の排便を回復日も含めた3日間それぞれ採取し、便湿重量を測定した。採取後、乾燥器にて80℃で12〜24時間乾燥後、便乾燥重量を測定し、便水分含量率を求めた。なお、試験期間中は経時的に排便の有無並びに便の状態を観察し、数回にわたりクロスオーバーにて試験を実施した。
表2に投与1日目の便重量および便中水分含有率等を示す。投与1日目(0-24hr)においては、2,000mg/kgのMgPCは便中水分含有率を変化させることなく対照群に対して便湿重量、便乾燥重量及び便中水分量を有意に増加させた。また、MgPCの1,000mg/kg投与群とCaPCの2,000mg/kg投与群の便重量はほぼ同等で、MgPCの効果はCaPCの2倍以上強力であった。
表3に投与期間中(2日間)の便重量および便中水分含有率等を示す。薬物投与期間中(0-48hr)のMgPC投与群の便湿重量、便乾燥重量及び便中水分量も対照群と比較して用量依存的に有意に増加し、便中水分含有率は対照群とほぼ同じで、正常な便の状態を維持していた。一方、CaPC 2,000mg/kg/日投与群では便湿重量、便乾燥重量が有意に増加したもの、便中水分含有率は対照群と比較して減少傾向にあり、MgPCの2,000 mg/kg/日投与群と比べると有意な減少となり、便が乾き硬くなる傾向にあった。
この試験によって、MgPCはCaPCに比べて便秘に対する薬効が2倍以上であり、有意な薬効発現までの時間が短いことが明らかである。また、MgPCではCaPCに認められる便中水分含有率の低下を伴わず、同時に便中水分含有率の増加も無く、より正常状態に近い性状で排便を促進することが示された。
試験例2:ポリカルボフィルマグシウム単独及びポリカルボフィルカルシウムと酸化マグネシウム(MgO)との併用の排便に対する効果
MgPC単独及びCaPCとMgOとの併用の場合における雄性正常イヌの排便に対する効果を比較検討した。被験物質は1日2回、給餌約30分後に表4に示す用量を経口投与し、直ちに水100mLを経口負荷した。併用における用量はMgPCに含まれるマグネシウム(Mg)及びポリカルボフィル(PC)量を基に換算し、MgPCの設定用量とほぼ同量となるようにCaPC及びMgOの用量を設定した。水負荷後、イヌ用代謝ケージにて投与約1時間後から24時間後までの蓄積便を採取し、便湿重量を測定した。測定後、乾燥機にて80℃で約24時間乾燥し、便乾燥重量を測定して便中水分量及び便水分含有率を求めた。なお,試験期間中は経時的に排便の有無並びに便の状態を観察し、数回にわたりクロスオーバーにて試験を実施した。
MgPC単独及びCaPCとMgOとの併用の場合における雄性正常イヌの排便に対する効果を比較検討した。被験物質は1日2回、給餌約30分後に表4に示す用量を経口投与し、直ちに水100mLを経口負荷した。併用における用量はMgPCに含まれるマグネシウム(Mg)及びポリカルボフィル(PC)量を基に換算し、MgPCの設定用量とほぼ同量となるようにCaPC及びMgOの用量を設定した。水負荷後、イヌ用代謝ケージにて投与約1時間後から24時間後までの蓄積便を採取し、便湿重量を測定した。測定後、乾燥機にて80℃で約24時間乾燥し、便乾燥重量を測定して便中水分量及び便水分含有率を求めた。なお,試験期間中は経時的に排便の有無並びに便の状態を観察し、数回にわたりクロスオーバーにて試験を実施した。
表5には便性状を示す。なお,粥状便及び水様性便を下痢と判定した。対照群及びMgPCの500、1,000、及び2,000 mg/kg/日は正常便であったが,CaPC+MgO併用では低用量〜高用量までの全用量で下痢が観察された。
表6には便重量及び便中水分含有率等を示す。MgPCの500、1,000、及び2,000 mg/kg/日では便の湿重量、乾燥重量、水分量、及び水分含有率が用量依存的に増加し、湿重量、乾燥重量、及び水分量では1,000 mg/kg/日以上で対照群との間に有意差が認められた。CaPC+MgO併用では便の湿重量、乾燥重量、水分量、及び水分含有率が用量依存的に増加し、湿重量、水分量、及び水分含有率については低用量ないし高用量の全用量で対照群と比較して有意差が認められ、乾燥重量については中用量以上で有意差が認められた。MgPC単独とCaPC+MgO併用とを比較した場合には、低用量間で湿重量、水分量、及び水分含有率に有意差が認められ、高用量間では水分量及び水分含有率に有意差が認められた。なお、いずれの用量間でも乾燥重量はほぼ同等であり有意差は認められなかった。
上記の試験の結果から、MgPC単独とCaPC+MgO併用では便の乾燥重量の増加に差がないものの、CaPC+MgO併用では便中水分量の増加が著しいために下痢となるのに対し、MgPC単独では便の乾燥重量に見合った便中水分量となり、正常な便通が促進されることが示された。すなわち、Mgを含有する塩類下剤とCaPCの併用では下痢になるのに対して、MgPCは下痢を伴わず、Mgを含有する塩類下剤とCaPCの併用とは質的に異なる優れた便通促進効果を有することが明らかである。
例3
以下の実施例中、特に言及しない場合には水として正起薬品工業株式会社製の「超純水」(商品名)を用いた。実施例中のFYP粉末X線解折測定は、以下の条件で行った。
装置:RINT2500V(株式会社 理学電機社製)
X線管球:Cu-Kα
X線出力:50KV-300A
スキャン速度:4.0°/min.
スキャン間隔:0.02°
測角範囲2〜70°
スリット:DS-0.5°, RS-0.15mm, SS-0.5°
以下の実施例中、特に言及しない場合には水として正起薬品工業株式会社製の「超純水」(商品名)を用いた。実施例中のFYP粉末X線解折測定は、以下の条件で行った。
装置:RINT2500V(株式会社 理学電機社製)
X線管球:Cu-Kα
X線出力:50KV-300A
スキャン速度:4.0°/min.
スキャン間隔:0.02°
測角範囲2〜70°
スリット:DS-0.5°, RS-0.15mm, SS-0.5°
ポリカルボフィル 10 g、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gに水 600 mlを加えて80〜85℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃ で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約 14 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった(図1)。
例4
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下で1時間攪拌した後、80〜85℃で1時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下で1時間攪拌した後、80〜85℃で1時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例5
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下1時間攪拌後、80〜85℃で3時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で 12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下1時間攪拌後、80〜85℃で3時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で 12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例6
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下で1時間攪拌した後、80〜85℃で5時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下で1時間攪拌した後、80〜85℃で5時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例7
ポリカルボフィル 10 g、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gに水 600 mlを加えて室温下で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例1と同様に処理して白色粉末の目的物約14 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 10 g、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gに水 600 mlを加えて室温下で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例1と同様に処理して白色粉末の目的物約14 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例8
ポリカルボフィル 10 gに水 600 mlを加えて80〜85℃で加熱した後に、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gを加えて12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例1と同様に処理して微黄白色粉末の目的物約14 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 10 gに水 600 mlを加えて80〜85℃で加熱した後に、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gを加えて12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例1と同様に処理して微黄白色粉末の目的物約14 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例9
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下で1時間攪拌した後、50℃で3時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム 13.4 gに水 600 mlを加えて室温下で1時間攪拌した後、50℃で3時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 500 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例10
ポリカルボフィル 200 g、炭酸水酸化マグネシウム 134 gに水 6.0 Lを加えて80〜85℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 2.0 Lを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で24時間乾燥した後に粉砕し、減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物270 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 200 g、炭酸水酸化マグネシウム 134 gに水 6.0 Lを加えて80〜85℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 2.0 Lを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で24時間乾燥した後に粉砕し、減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物270 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例11
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム(SIGMA;M-7179, Lot 67H1525) 11.6 gに水 600 mlを加えて80〜85℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 400 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で24時間乾燥後に粉砕し、さらに減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 20 g、炭酸水酸化マグネシウム(SIGMA;M-7179, Lot 67H1525) 11.6 gに水 600 mlを加えて80〜85℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 400 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で24時間乾燥後に粉砕し、さらに減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物25 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例12
ポリカルボフィル 200 g、炭酸水酸化マグネシウム 134 gに精製水6.0 Lを加えて78〜80℃で1時間50分攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に精製水2.0 Lを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で40時間乾燥した後に粉砕し、減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物250 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 200 g、炭酸水酸化マグネシウム 134 gに精製水6.0 Lを加えて78〜80℃で1時間50分攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に精製水2.0 Lを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で40時間乾燥した後に粉砕し、減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物250 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例13
ポリカルボフィル 5.0 g、燐酸マグネシウム4.68 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 200 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物7.7 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 5.0 g、燐酸マグネシウム4.68 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 200 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、さらに減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物7.7 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例14
水 300 mlに炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gを加え、室温攪拌下にポリカルボフィル 10 gを加えて50℃で6時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 200 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例1と同様に処理して微黄白色粉末の目的物約11 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
水 300 mlに炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gを加え、室温攪拌下にポリカルボフィル 10 gを加えて50℃で6時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 200 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例1と同様に処理して微黄白色粉末の目的物約11 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例15
ポリカルボフィル 10 g、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gに常水(通常の水道水) 300 mlを加えて室温下1時間攪拌後、50℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に常水200 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約12 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 10 g、炭酸水酸化マグネシウム 6.7 gに常水(通常の水道水) 300 mlを加えて室温下1時間攪拌後、50℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に常水200 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で12時間乾燥した後に粉砕し、120℃で4時間減圧乾燥して微黄白色粉末の目的物約12 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
例16
ポリカルボフィル 10 g、炭酸マグネシウム (ACROS ORGANICS; 41340-5000、Lot A016427201) 5.85 gに精製水 600 mlを加えて70〜75℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に精製水400 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で24時間乾燥した後に粉砕し、さらに減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物約9.4 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
ポリカルボフィル 10 g、炭酸マグネシウム (ACROS ORGANICS; 41340-5000、Lot A016427201) 5.85 gに精製水 600 mlを加えて70〜75℃で12時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に精製水400 mlを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を 70℃で24時間乾燥した後に粉砕し、さらに減圧下に120℃で4時間乾燥して微黄白色粉末の目的物約9.4 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークは検出されなかった。
比較例1
ポリカルボフィル 100 g、酸化マグネシウム28 gに水 6 Lを加えて85℃で24時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 2 Lを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例7と同様に乾燥の後粉砕して微黄白色粉末の目的物110 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークが検出された(図2)。
ポリカルボフィル 100 g、酸化マグネシウム28 gに水 6 Lを加えて85℃で24時間攪拌し、攪拌終了後に上澄み液を除いた。沈殿物に水 2 Lを加えて攪拌して洗浄し、吸引ろ過により沈殿を得た。この沈殿物を例7と同様に乾燥の後粉砕して微黄白色粉末の目的物110 gを得た。得られたポリカルボフィルマグネシウムをX線粉末解析したところ、水酸化マグネシウムのピークが検出された(図2)。
比較例2
ポリカルボフィル 10 g、水酸化マグネシウム 4.0 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、水酸化マグネシウムが溶液に溶解せず、目的物を得ることができなかった。
比較例3
ポリカルボフィル 10 g、塩化マグネシウム 6.7 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例4
ポリカルボフィル 1 g、硫酸マグネシウム 0.836 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例5
ポリカルボフィル 10 g、硝酸マグネシウム17.8 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、反応溶液が酸性を示し(pH 3.0から4.0)、塩が形成されず目的物を得ることができなかった。
比較例6
ポリカルボフィル 10 g、ホスフィン酸マグネシウム 18 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
ポリカルボフィル 10 g、水酸化マグネシウム 4.0 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、水酸化マグネシウムが溶液に溶解せず、目的物を得ることができなかった。
比較例3
ポリカルボフィル 10 g、塩化マグネシウム 6.7 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例4
ポリカルボフィル 1 g、硫酸マグネシウム 0.836 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例5
ポリカルボフィル 10 g、硝酸マグネシウム17.8 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、反応溶液が酸性を示し(pH 3.0から4.0)、塩が形成されず目的物を得ることができなかった。
比較例6
ポリカルボフィル 10 g、ホスフィン酸マグネシウム 18 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例7
ポリカルボフィル 5.0 g、燐酸水素マグネシウム 6.07 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例8
ポリカルボフィル 10 g、酢酸マグネシウム 14.9 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例9
ポリカルボフィル 5.0 g、ギ酸マグネシウム 5.2 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例10
ポリカルボフィル 5.0 g、乳酸マグネシウム 8.93 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例11
ポリカルボフィル 5.0 g、シュウ酸マグネシウム 5.16 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例12
ポリカルボフィル 5.0 g、クエン酸マグネシウム 7.11 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
ポリカルボフィル 5.0 g、燐酸水素マグネシウム 6.07 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例8
ポリカルボフィル 10 g、酢酸マグネシウム 14.9 gに水 600 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例9
ポリカルボフィル 5.0 g、ギ酸マグネシウム 5.2 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例10
ポリカルボフィル 5.0 g、乳酸マグネシウム 8.93 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例11
ポリカルボフィル 5.0 g、シュウ酸マグネシウム 5.16 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
比較例12
ポリカルボフィル 5.0 g、クエン酸マグネシウム 7.11 gに水 300 mlを加えて85℃で24時間攪拌したが、目的物を得ることができなかった。
本発明の医薬は便秘及び/又は便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のために用いることができ、水様便や過剰な軟便あるいは高カルシウム血症などの副作用を引き起こさずに正常な便の排泄を促進することにより高い有効性を発揮することができる。また、本発明の方法により、実質的に水酸化マグネシウムを含まない高純度なポリカルボフィルマグネシウムを簡便に製造することができる。
Claims (8)
- ポリカルボフィルと炭酸マグネシウム化合物又はリン酸マグネシウム化合物とを反応させる工程を含むポリカルボフィルマグネシウムの製造方法。
- 炭酸マグネシウム化合物が炭酸マグネシウム又は炭酸水酸化マグネシウムである請求項1に記載の方法。
- 実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウムを製造するための請求項1又は2に記載の方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法により得ることができる実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウム。
- 実質的に水酸化マグネシウムを含まないポリカルボフィルマグネシウム。
- 請求項4又は5に記載のポリカルボフィルマグネシウムを含む医薬。
- ポリカルボフィルマグネシウムを含む食品。
- ポリカルボフィルマグネシウムが請求項4又は5に記載のポリカルボフィルマグネシウムである請求の範囲第7項に記載の食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005011119A JP2005139463A (ja) | 2002-06-26 | 2005-01-19 | ポリカルボフィルマグネシウムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
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JP2002185790 | 2002-06-26 | ||
JP2003010905 | 2003-01-20 | ||
JP2005011119A JP2005139463A (ja) | 2002-06-26 | 2005-01-19 | ポリカルボフィルマグネシウムの製造方法 |
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JP2004517296A Division JP3662016B2 (ja) | 2002-06-26 | 2003-06-26 | 便秘及び便秘に伴う症状の予防及び/又は治療のための医薬 |
Publications (1)
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JP2005011119A Withdrawn JP2005139463A (ja) | 2002-06-26 | 2005-01-19 | ポリカルボフィルマグネシウムの製造方法 |
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- 2005-01-19 JP JP2005011119A patent/JP2005139463A/ja not_active Withdrawn
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