JP2005139314A - 塗布剤及びこれを用いた多孔質膜の形成方法 - Google Patents

塗布剤及びこれを用いた多孔質膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
貯蔵安定性が良好であり、厚膜の光触媒の多孔質膜を形成することのできる塗布剤を提供する。
【解決手段】
(A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)光触媒活性を有する酸化チタン及び(C)発泡剤を含有する塗布剤であって、該ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、テトラアルコキシシランを5〜95重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応させることにより得られるものであることを特徴とする塗布剤、及び基材に該塗布剤を塗布し、加熱乾燥させることにより該塗布膜中の発泡剤(C)を発泡せしめる多孔質膜の形成方法。発泡剤(C)としては、有機溶媒を内包する樹脂粒子が好適である。
【選択図】なし。

Description

本発明は、光触媒活性を有する多孔質膜を形成する塗布剤及び該多孔質膜の形成方法に関する。
従来、塗膜の表面積を多くすることにより気体や液状物質を塗膜に吸着させる方法がある。塗膜の表面積を多くする方法としては、例えば、(1)スプレーダストを利用して塗膜表面に凹凸を形成させる方法、(2)塗膜の硬化収縮を利用して塗膜に微細なワレを発生させる方法、及び(3)水不溶性塗膜に水溶性樹脂微粒子を分散させ塗膜を水に浸漬させることにより塗膜中に孔を形成させる方法等が挙げられる。
上記した(1)の方法は塗膜表面がざらざらとなるために耐汚染性、塗膜物性等が劣り、(2)の方法は塗膜の物性や耐久性等が劣り、また(3)の方法は顔料等を使用した場合には顔料と水溶性樹脂微粒子との比重差が大きいために水溶性樹脂微粒子が塗膜に均一分散されないこと、スプレー塗装の際に水溶性樹脂微粒子が変形や破壊されるために塗膜中に安定な粒子が分散されないこと、排水処理が面倒であること及びコストが高くなること等の問題点があった。
かかる問題点を解決する方法として、特許文献1には、塗料から形成された塗膜を水に浸漬させることにより塗膜中の水溶性無機塩粒子を溶出させ、塗膜に多孔質で均一な孔を形成させる方法が記載されている。しかしながらこの方法では、水溶性無機塩粒子の種類によっては、塗料の貯蔵安定性が劣ることがあったり、形成塗膜が湿度の影響を受け易いことがあった。
一方、近年、空気中の汚染物質を分解することのできる化合物として光触媒活性を有する酸化チタンが注目されている。該酸化チタンの触媒作用を十分に機能させるべく、光触媒活性を有する酸化チタンを含有する塗膜の多孔質化が試みられている。光触媒活性を有する酸化チタンを含有する塗膜の多孔質化方法として例えば特許文献2には、トリアルコキシシラン等のシラン化合物、光触媒活性を有する酸化チタン微粒子及び発泡剤を含有する塗料組成物を用いて塗料の乾燥硬化温度を利用して発泡剤を発泡させることにより塗膜を多孔質構造とする方法について記載がされている。しかしながらこの方法では、塗料状態での貯蔵安定性が不十分な場合があった。
特開2001−179173号公報
特開平11−315223号公報
本発明の目的は、貯蔵安定性が良好であり、光触媒活性を有する厚膜の多孔質膜を仕上がり性が良好となるように形成することのできる塗布剤を提供することである。
本発明者らは上記課題に対して鋭意検討した結果、光触媒活性を有する酸化チタンを含む塗布剤として、特定のポリオルガノシロキサン樹脂に多孔質化剤として特定の発泡剤を配合せしめることにより、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
1. (A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)光触媒活性を有する酸化チタン及び(C)発泡剤を含有する塗布剤であって、該ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、テトラアルコキシシランを5〜95重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応させることにより得られるものであることを特徴とする塗布剤、
2.ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、テトラアルコキシシランを5〜95重量%、トリアルコキシシランを5〜95重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応させることにより得られるものである1項に記載の塗布剤、
3. 発泡剤(C)が、有機溶媒を内包する樹脂粒子である1項または2項に記載の塗布剤、
4. 基材に、1項ないし3項のいずれか1項に記載の塗布剤を塗布し、加熱乾燥させることにより該塗布膜中の発泡剤(C)を発泡せしめることを特徴とする多孔質膜の形成方法、
5. 請求項4に記載の方法によって多孔質膜が形成された物品、
に関する。
本発明の塗布剤は、現場環境等に左右されず容易に製造でき、貯蔵安定性に優れる。該塗布剤から多孔質膜を厚膜で形成でき、該多孔質膜は外観が良好でありながら表面積が大きく、多孔質膜中に含まれる光触媒活性チタンの作用により、効率的に空気中の汚染物質を分解させる等の性能が発揮でき、且つ該塗布剤を金属面に適用した場合、金属腐食等の問題が生じない等の利点を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の塗布剤において被膜形成成分として使用されるポリオルガノシロキサン樹脂(A)は、テトラアルコキシシランを5〜95重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応することにより得られる樹脂である。テトラアルコキシシランの量が5重量%未満では、最終的に得られる塗布剤の貯蔵安定性が不十分であり、95重量%を超えると形成塗膜の仕上がり性が不十分になることがある。
上記テトラアルコキシシランとしては、例えば珪素原子に結合する置換基が、同一または異なって炭素数が1〜6のアルコキシ基であるオルガノシラン化合物を挙げることができ、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン及びこれらの低縮合物などが挙げられる。ここで低縮合物とは重合度が10以下のオリゴマーを意味する。
本発明の塗布剤においては、上記ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、テトラアルコキシシランを5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、トリアルコキシシランを5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応させることにより得られる樹脂であることが望ましい。
上記トリアルコキシシランとしては、例えば珪素原子に結合する置換基のアルコキシ基としては同一又は異なって炭素数が1〜6のアルコキシ基であるオルガノシラン化合物を挙げることができ、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン及びこれらの低縮合物などを挙げることができる。
また、上記アルコキシシラン混合物には、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラ及びこれらの低縮合物やトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン及びこれらの低縮合物を含んでいてもよい。
上記アルコキシシラン混合物を縮合せしめるに際しては、該混合物を有機溶剤及び酸の存在下に、20〜100℃程度で30分〜10時間程度撹拌下に反応せしめ、次いで水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族アミン類、アンモニアなどを添加して系のpHを7以上にして縮合反応を進行せしめる。反応終了後、蒸留、共沸などにより残存する水を除去することによって製造することができる。
上記ポリオルガノシロキサン樹脂(A)の重量平均分子量は、形成塗膜の塗膜物性、硬化性、厚塗り性の点から、1000〜6000好ましくは2000〜4000の範囲内であることが望ましい。尚、本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。
上記のようにして得られる組成物は三次元縮合物であることができ、塗料の被膜形成成分として充分な機能を有している。この際テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリブチルアミン等の塩基触媒や有機金属触媒を添加することによりさらに硬化性を向上させることができる。有機金属触媒としては、ジアセチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチル錫ジオクトエート、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクチレートなどの有機錫化合物;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリ−n− ブトキシド、アルミニウムトリス(アセチルアセトン)、アルミニウムトリス(アセトアセテートエチル)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセトアセテートエチル)、アルミニウムアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物;チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)、テトラノルマルブチルチタネート等の有機チタン化合物;ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)等の有機ジルコニウム化合物;ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の有機コバルト化合物;等を挙げることができる。中でも有機アルミニウム化合物が好適である。
本発明に使用される光触媒活性を有する酸化チタン(B)は、太陽光や人工照明光などの光を吸収することによって励起して正孔(ホール)やOHラジカルを発生し、これらが強い酸化作用を示し、空気中の汚染物質を分解させることのできる化合物である。該化合物によれば、空気中の窒素酸化物を酸化して硝酸に変化させることができ、また、空気中の硫黄酸化物を酸化して硫酸に変化させることができるものである。該酸化チタン(B)としては、例えば紫外線励起型のアナターゼ型酸化チタン、該アナターゼ型酸化チタン又はルチル型酸化チタンを特定の金属化合物等で変性した可視光励起型の酸化チタンを例示することができる。
本発明で使用される発泡剤(C)は、揮発性発泡剤、分解性発泡剤、加熱により膨張する粒子等が挙げられる。揮発性発泡剤は、塗料中では液状であり、塗膜形成時に塗膜内部から揮発することにより発泡するものであり、分解性発泡剤は、塗料中では液状、もしくは固体状で安定であり、塗膜形成時に加熱する等によりそれ自身が分解して炭酸ガス又は窒素ガス等のガスを発生することにより発泡するものであり、加熱により膨張する粒子としては、塗料中では粒子状態であり、塗膜形成時に加熱する等により粒子自身が膨張することにより発泡するものである。該揮発性発泡剤としては、常温(40℃以下)でも揮発する低沸点の有機化合物を挙げることができ、例えばエチレン、塩化メチレン、ジクロロフルオロエタン、ジクロロモノフルオロメタン等が挙げられる。分解性発泡剤としては、例えば炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダ、アゾ化合物等が挙げられる。加熱により膨張する粒子としては、有機溶媒を内包する樹脂粒子を挙げることができる。本発明においては、最終的に得られる本発明の塗布剤の貯蔵安定性が良好であることから、上記発泡剤の中でも、有機溶媒を内包する樹脂粒子が好適である。
該樹脂粒子としてはレーザー回折粒度測定装置による平均粒子径が、1〜30nm、好ましくは5〜25nmの範囲であることが好適であり、内包される有機溶媒としては沸点が200℃以下、好ましくは−20℃〜100℃の範囲内の炭化水素系有機溶剤が使用に適している。かかる炭化水素系の有機溶剤として具体的には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル等を挙げることができ、これらは単独であっても併用してもよい。
本発明の塗布剤においては、ポリオルガノシロキサン樹脂(A)の固形分に対して光触媒活性を有する酸化チタン(B)が、1〜300重量%、好ましくは5〜250重量%、発泡剤(C)が0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の範囲がよい。光触媒活性を有する酸化チタン(B)が1重量%未満では、有害物質分解作用が十分発揮できなくなることがあり、一方、300重量%を超えると塗膜強度が低下するので好ましくない。発泡剤(C)が0.5重量%未満になると連続した孔が形成し難く、一方、50重量%を超えると塗膜の強度が低下するので好ましくない。
本発明の塗布剤は、例えば、ポリオルガノシロキサン樹脂(A)、光触媒活性を有する酸化チタン(B)、発泡剤(C)を混合することにより製造できる。製造に使用される混合機としては、ディスパー、ペブルボールミル、ペイントシェーカー、サンドミル、3本ローラー等の従来から塗料製造で使用される顔料分散機を特に制限なしに使用することができる。
本発明の塗布剤は、上記した以外に必要に応じて、光触媒活性を有する酸化チタン(B)以外の顔料、有機溶剤、シリカバルーン、有機架橋樹脂粒子等の充填剤、染料、流動性調整剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、熱安定剤、開始剤、その他の樹脂、可塑剤等を配合することができる。
上記光触媒活性を有する酸化チタン(B)以外の顔料としては、従来から使用されている着色顔料、体質顔料、防食顔料、金属顔料等の顔料を使用することができる。着色顔料としては、例えば、光触媒活性を有しない二酸化チタン、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などの白色顔料;ベンガラなどの赤色顔料;フタロシアニンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられる。
体質顔料としては、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白、マイカ粉などが挙げられる。防錆顔料としては、例えば、鉛酸カルシウム、リン酸亜鉛などが挙げられる。金属粉顔料および金属光沢顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、鉛粉、亜鉛末、リン化鉄などが挙げられる。
本発明の塗布剤に含まれる有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン(o−,m−,p−)、石油ナフサなどの炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤:メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、n−ブタノール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、ベンジルアルコール、ヘキシレングリコール等のアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;等が挙げられ、これらは単独で、又は併用して使用できる。
上記の通り得られる本発明の塗布剤の粘度は、特に限定されるものではないが、500〜4000mPa・s好ましくは1000〜2000mPa・sの範囲となるようにすることが多孔質膜の均一形成性、厚塗り適性の面から好適である。本明細書において、粘度とは試料を25℃に調整し、ブルックフィールド型粘度計で測定したものを表す。
本発明の多孔質化膜の形成方法は、基材に、上記の通り得られる塗布剤を塗布し、加熱乾燥させることにより該塗膜中の発泡剤を発泡せしめて多孔質膜を形成する方法である。
基材としては、アルミニウム等の金属、コンクリート、ガラスなどの無機質やプラスチック、木材、繊維、及びこれらのものが組み合わさったものが使用できる。また、形状は板状等のものはもちろんのこと加工された基材にも塗装することができる。
塗布剤の塗装は、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、バーコーター塗装、浸漬塗装等の従来から公知の塗装手段で行うことが可能であり、塗装膜厚(乾燥)は、通常5〜1000μm、好ましくは10〜500μmの範囲が適当である。
硬化条件は、発泡剤(C)として分解性発泡剤、あるいは加熱により膨張する発泡剤を使用する場合には、該発泡剤(C)の分解温度もしくは内包される有機溶媒の沸点より高温で加熱硬化することが望ましく、例えば、50〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度で1分〜24時間、好ましくは10分〜5時間の範囲である。また、揮発性発泡剤を使用する場合は、室温で1時間〜7日、好ましくは2時間〜1日の範囲で乾燥してもよい。
本発明について、実施例を掲げて詳細に説明する。本発明は提供した実施例に限定されるものではない。
ポリオルガノシロキサン樹脂の製造
製造例1
反応容器にテトラエトキシシラン62g、メチルトリエトキシシラン125gおよび酢酸エチル187gを加え、内容物を攪拌しながら加熱して80℃になった後、0.2N塩酸30gを添加し80℃で10時間反応させた。次いで、この反応生成物にトリエチルアミン30gを添加して80℃で2時間縮合反応を行い、その後エチルアセテート100gを添加して120℃まで昇温して、脱溶剤を行い、重量平均分子量3000、固形分50%のポリオルガノシロキサン樹脂(A)を得た。
製造例2
反応容器にテトラエトキシシラン187gおよびエチルアセテート187gを加え、内容物を攪拌しながら加熱して80℃になった後、0.2N塩酸30gを添加し80℃で10時間反応させた。次いで、この反応生成物にトリエチルアミン30gを添加して80℃で2時間縮合反応を行い、その後エチルアセテート100gを添加して120℃まで昇温して、脱溶剤を行い、重量平均分子量3000、固形分50%ポリオルガノシロキサン樹脂(B)を得た。
製造例3
反応容器にメチルトリエトキシシラン187gおよびエチルアセテート187gを加え、内容物を攪拌しながら加熱して80℃になった後、0.2N塩酸30gを添加し80℃で10時間反応させた。次いで、この反応生成物にトリエチルアミン30gを添加して80℃で2時間縮合反応を行い、その後エチルアセテート100gを添加して120℃まで昇温して脱溶剤を行い、重量平均分子量3000、固形分50%のポリオルガノシロキサン樹脂(C)を得た。
実施例1
ポリオルガノシロキサン樹脂(A)(注1)200部、「ST−01」(注2)100部、エチルアセテート60部をディスパー攪拌にて混合し前練りを行い、その後、小型分散機(ペイントシェカー)により分散を行った後、「マツモトマイクロスフィアーF−50D」(注3)10部をディスパー攪拌しながら添加し、ベース塗料を製造し、該作製したベース塗料に対して、反応触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネートをベース塗料の樹脂固形分に対して該触媒の量が1%となるように混合し塗布剤(NB−1)を得た。
(注2)「ST−01」:商品名、石原産業社製、光触媒活性を有するアナターゼ型酸化チタン
(注3)「マツモトマイクロスフィアーF−50D」:商品名、松本油脂製薬社製、低沸点炭化水素を包含した熱膨張性マイクロカプセル、粒子径10〜20μm
実施例2〜7及び比較例1〜3
実施例1において、配合組成を下記表1に記載の通りとする以外は実施例1と同様にして塗布剤(NB−1)〜(NB−7)及び(SB−1)〜(SB−3)を得た。
Figure 2005139314
塗装
上記実施例及び比較例で得られた塗布剤をエチルアセテートで希釈して、無処理アルミニウム板に乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、160℃で40分間乾燥を行い評価試験用の塗装パネルを得た。
評価試
上記で得られた塗布剤及び塗装パネルを用いて下記基準にて評価試験を行った。結果を表2に示す。
(*1)塗膜外観:塗装後に硬化乾燥を行った塗装パネルの塗膜を目視により、塗膜異常(ブツ、ハジキ、ヘコミ、ワレ、ハガレ、フクレ、変色)の有無を評価した。◎:異常なし、○:わずか異常あり、○△:やや異常あり、△:かなり異常あり、×:著しい異常あり
(*2)塗面硬度:硬化後の塗膜表面の硬度を鉛筆硬度(ヤブレ)で測定した。
(*3)発泡状態:加熱硬化後の塗膜断面を顕微鏡にて観察を行い、発泡剤の発泡状態及び多孔質化の状態を比較評価した。◎:良好、×:発泡してない
(*4)密着性:リン酸亜鉛化成処理鋼板に該塗料をスプレー塗装し160℃で40分乾燥した後、1mm間隔で100マスのゴバン目セロテープ付着性試験を行い密着性を評価した。◎:異常なし、:わずか剥離あり、△:やや剥離あり、△:かなり剥離あり、×:著しい剥離あり
(*5)塗料状態:作製した該塗料の状態(ブツ、沈降、ニス浮きの有無)を調べた。
◎:異常なし、○:わずか異常あり、○△:やや異常あり、△:かなり異常あり、×:著しい異常あり
(*6)塗料状態での貯蔵試験:作製した該塗料を5℃および20℃の条件で2ケ月間の貯蔵試験を行なった。貯蔵後において、塗料状態(ゲル化、ブツ、沈降、ニス浮きの有無)、塗料粘度変化を調べた。また、貯蔵後の塗料をエチルアセテートで希釈し、無処理アルミニウム板にスプレー塗装し、160℃で40分乾燥を行い乾燥後の塗膜状態(ブツ、ハジキ、ヘコミ、ワレ、ハガレ、フクレ、変色)を評価した。
◎:異常なし、○:わずか異常あり、○△:やや異常あり、△:かなり異常×:著しい異常あり
Figure 2005139314
屋内外の基材に塗布することにより、有害物や汚染物質の分解・除去を効率よく行うことができる。

Claims (5)

  1. (A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)光触媒活性を有する酸化チタン及び(C)発泡剤を含有する塗布剤であって、該ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、テトラアルコキシシランを5〜95重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応させることにより得られるものであることを特徴とする塗布剤。
  2. ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、テトラアルコキシシランを5〜95重量%、トリアルコキシシランを5〜95重量%含むアルコキシシラン混合物を縮合反応させることにより得られるものである請求項1に記載の塗布剤。
  3. 発泡剤(C)が、有機溶媒を内包する樹脂粒子である請求項1または2に記載の塗布剤。
  4. 基材に、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗布剤を塗布し、加熱乾燥させることにより該塗布膜中の発泡剤(C)を発泡せしめることを特徴とする多孔質膜の形成方法。
  5. 請求項4に記載の方法によって多孔質膜が形成された物品。
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