JP2005139235A - 粒子分散系樹脂シート、画像表示装置用基板および画像表示装置 - Google Patents

粒子分散系樹脂シート、画像表示装置用基板および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱と強度に優れ、光透過率が高く、かつ、寸法変化が抑制された樹脂シートを提供する。
【解決手段】ポリサルファイト型骨格を有するエポキシ系樹脂と、平均粒径1nm〜100μmの無機酸化物とを含み、前記無機酸化物が分散されている粒子分散系樹脂シートとする。前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂としては、下記式(1)の樹脂があげられる。このような樹脂シートは、例えば、液晶セル基板等の画像表示装置用基板や太陽電池用基板に使用でき、さらに、液晶表示装置やEL表示装置等の画像表示装置を提供できる。
Figure 2005139235

【選択図】なし

Description

本発明は、粒子分散系樹脂シート、これを用いた液晶セル基板やエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ用基板等の各種画像表示装置用基板または太陽電池用基板、ならびにこれらを用いた各種画像表示装置または太陽電池に関する。
液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置における液晶セル基板やELディスプレイ用基板として、強度や耐熱性の点からガラス基板が一般に使用されてきた。しかし、近年、上述のような各種表示装置の大型化に伴い、前記各種基板の薄型化、軽量化が求められている。そこで、重くて嵩高いガラス基板に代わって、薄型化、軽量化等を目的として、エポキシ系樹脂等の樹脂シートを基板として使用することが提案され、実際に開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようなエポキシ系樹脂等の樹脂シートは、熱膨張や水分の出入りによって伸縮が生じるおそれがあり、これによってシート上への電極やカラーフィルターの形成時に位置ずれが生じるという問題があった。
特に、前記カラーフィルターを形成する際には、R(赤)、G(緑)、B(青)およびBM(ブラックマトリックス)を所定の位置に精度よく形成する必要があるが、従来の樹脂シートではその精度を向上することが困難であった。具体的には、R、G、BおよびBMのうち1つのパターニングを、室温で約2時間かけて行った後、さらに150℃で20分間焼成を行い、再び室温に戻してから、次の色についても同様に形成していく。このような工程中、特に焼成後室温でパターニングを行っている間に、前記基板の寸法が変化し、パターニングの位置ずれが生じるのである。
このような熱膨張による影響を回避するために、前記樹脂シートに無機酸化物を分散させることによって、線膨張を抑制する方法も開発されている。しかしながら、このような方法によって得られた樹脂シートは、線膨張が抑制されるものの、例えば、運搬時や各種表示装置の組み立て時等において破断するなどのおそれがあり、実用に際して強度の面で問題があった。
特許第3197716号公報
そこで、本発明の目的は、例えば、強靭であり、かつ寸法安定性が良好な樹脂シートの提供である。
前記目的を達成するために、本発明の樹脂シートは、エポキシ系樹脂および無機酸化物を含む粒子分散系樹脂シートであって、
前記エポキシ系樹脂が、ポリサルファイト型骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ポリサルファイト型エポキシ樹脂」という)を含み、
前記無機酸化物の平均粒径が、1nm〜100μmの範囲であることを特徴とする。なお、前記無機酸化物の平均粒径の測定方法は、特に制限されないが、例えば、JIS B 9925に基づき、散乱式粒度分布測定装置(例えば、商品名LA-910(堀場製作所製)等)によって測定できる。
このように、本発明の樹脂シートは、ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含むことによって、優れた強靭性を示し、後述するような各種表示装置等に適用した場合であっても、破断し難く、軽量化、薄型化だけでなく優れた強度を示す表示装置等を得ることができる。さらに前記粒径範囲の無機酸化物を含有するため、そのフィラー効果と相俟って、樹脂シートの線膨張を抑制することができ、結果として寸法安定性も向上する。このため、前述ような電極形成やカラーフィルター等の形成も容易となり、液晶セル基板をはじめとする各種画像表示装置基板や太陽電池用基板として最適である。また、これらの各種基板を用いることによって、例えば、液晶表示装置やEL表示装置のような本発明の画像表示装置が提供できる。
前述のように、本発明の樹脂シートは、エポキシ系樹脂および無機酸化物を含む粒子分散系樹脂シートであって、
前記エポキシ系樹脂が、ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含み、
前記無機酸化物の平均粒径が、1nm〜100μmの範囲であることを特徴とする。
本発明において、前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂としては、例えば、以下の化学式(1)に表わされる構造等があげられる。
Figure 2005139235
前記式において、R1およびR2は、ビスフェノール骨格を有する有機酸であって、それぞれそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは重合度を示し、例えば、1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数である。なお、ポリサルファイト型エポキシ樹脂は、R1、R2およびnが異なるポリサルファイト型エポキシ樹脂の混合物であってもよい。このような前記式(1)に示すポリサルファイト型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名フレップ50(東レチオコール社製)等が使用できる。
前記ポリサルファイト型骨格を有するエポキシ樹脂の中でも、例えば、エポキシ当量200〜400(g/eq)のものが好ましく、より好ましくは、エポキシ当量220〜370(g/eq)であり、特に好ましくはエポキシ当量230〜320(g/eq)である。また、本発明の樹脂シート作製の際には、常温で液状のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。
また、前記エポキシ系樹脂は、前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂の他に、さらに他のエポキシ系樹脂を含んでもよい。
前記他のエポキシ系樹脂としては、特に制限されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型およびこれらの水添加物等のビスフェノール型、フェノールノボラック型およびクレゾールノボラック型等のノボラック型、トリグリシジルイソシアヌレート型およびヒダントイン型等の含窒素環型、脂環式型や脂肪族型、ナフタレン型等の芳香族型、グリシジルエーテル型、ビフェニル型等の低吸水率タイプ、ジシクロ型、エステル型、エーテルエステル型、または、これらの変成型等が使用できる。
これらの中でも、前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂と組み合わせることによって、例えば、耐熱性と強靭性とが優れたバランスで発揮されることから、前記脂環式エポキシ樹脂が好ましい。
前記脂環式エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2-ビス(ヒドロキシルメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等があげられ、中でも、例えば、塗工液の流動性や硬化後の耐熱性の点に優れることから、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。
本発明において、前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂の含有割合は、例えば、全エポキシ系樹脂に対して、3〜30重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは7〜25重量%であり、特に好ましくは10〜25重量%の範囲である。前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂の含有割合が3重量%以上であれば、例えば、より一層優れた強靭性を維持でき、運搬時や液晶表示装置の組み立て時に破断するおそれも十分に回避できる。また、前記含有割合が30重量%以下であれば、例えば、得られる樹脂シートの光透過率を十分に高く設定でき、光学用途として非常に有用なものとできる。
前記エポキシ系樹脂は、例えば、必要に応じて各種添加物を配合してもよく、前記添加物としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等の従来公知の添加物があげられる。これらの添加剤は、例えば、いずれか一種を添加してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記硬化剤としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の有機酸系化合物類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等のアミン系化合物類等が挙げられる。これらの硬化剤は、例えば、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
また、前述のような硬化剤の他に、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミド等のアミド系化合物類、ジヒドラジット等のヒドラジド系化合物類、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物類、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物類、フェノール系化合物類、ユリア系化合物類、ポリスルフィド系化合物類等もあげられる。
さらに、酸無水物系化合物類等も前記硬化剤として使用でき、このような酸無水物系化合物類は、例えば、変色防止性等の点から好ましい。具体的な例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物、メチルナジック酸無水物等があげられる。これらの酸無水物系化合物の中でも、特に、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物等は、無色系または淡黄色系であり、分子量が約140〜約200のものが好ましい。
前記エポキシ系樹脂と硬化剤との配合割合は、特に制限されないが、前記硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ系樹脂のエポキシ基1当量に対して、例えば、酸無水物当量を0.5〜1.5当量となるように配合することが好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量である。前記酸無水物の配合量が、0.5当量以上であれば、硬化後の色相がより一層優れ、1.5当量以下であれば、十分な耐湿性を保持することができる。なお、他の硬化剤を使用する場合や、一種類または二種類以上の硬化剤を併用する場合も、例えば、前述のような割合に準じて配合できる。
前記硬化促進剤としては、特に制限されないが、例えば、第三級アミン類、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類、有機金属塩類、リン化合物類、尿素系化合物類等があげられ、この中でも、特にリン化合物類が好ましい。これらの硬化促進剤は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記硬化促進剤の配合割合は、特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂の量や種類に応じて適宜決定できる。具体的には、エポキシ系樹脂100重量部に対して、硬化促進剤が、例えば、0.05〜7.0重量部であることが好ましく、より好ましく0.2〜3.0重量部の範囲である。前記硬化促進剤の配合量が、0.05重量部以上であれば、充分な硬化促進効果を得ることができ、7.0重量部以下であれば、硬化後の色相がより一層優れたものとなる。
前記老化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン系化合物等の従来公知のものが使用できる。
前記変性剤としては、特に制限されないが、例えば、グリコール類、シリコーン類、アルコール類等の従来公知のものが使用できる。
前記界面活性剤の添加は、特に制限されないが、例えば、エポキシ系樹脂を空気に接触させながら硬化させてエポキシ樹脂シートを形成する際に、シート表面を平滑にするために添加できる。前記界面活性剤としては、例えば、シリコーン系、アクリル系、フッ素系等の各種界面活性剤が使用でき、これらの中でも、シリコーン系が好ましい。
本発明において、前記無機酸化物が、ソーダガラス、無アルカリガラス、シリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアおよび酸化タングステンからなる群から選択された少なくとも一つの物質等があげられる。
前記無機酸化物は、前述のようにその平均粒径が、1nm〜100μmの範囲であり、好ましくは10nm〜50μm、より好ましくは20nm〜30μmの範囲である。
本発明の樹脂シートにおける無機酸化物の含有割合は、全エポキシ系樹脂に対して、例えば、3〜50重量%の範囲であり、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
本発明の樹脂シートは、前記エポキシ系樹脂を含有する単層のエポキシ樹脂層であってもよいし、また、後述するように、前記エポキシ樹脂層を含む積層体であってもよい。
図1の側面図に、単層のエポキシ樹脂層からなる樹脂シートの一例を示す。図示のように、この樹脂シート1は、エポキシ系樹脂102および無機酸化物101を含む単層のエポキシ樹脂層から構成され、前記エポキシ樹脂層において、前記無機酸化物101が分散されている。
前記無機酸化物は、例えば、均一に分散されてもよいし、不均一に分散されてもよいが、安定した寸法安定性を示すことから、均一に分散されていることが好ましい。
前記エポキシ樹脂層の厚みは、特に制限されず、用途に応じて適宜決定できるが、剛直性または柔軟性、薄型軽量性等の特性の点から、例えば、50μm以上であり、好ましくは50μm〜1mmの範囲、より好ましくは50〜900μmの範囲、特に好ましくは50〜800μmの範囲である。また、特に液晶セル基板等の光学的用途に供する場合は、例えば、50〜800μmの範囲が好ましく、より好ましくは200〜500μmの範囲である。
また、前記エポキシ樹脂層の表面は、平滑であることが好ましい。このように表面を平滑にすることによって、例えば、液晶セル基板として使用する際に、前記表面上への配向膜や透明電極等の形成がより一層容易となるからである。具体的には、前記表面の表面粗さ(Ra)が、例えば、1nm以下であることが好ましい。
このような樹脂シートの製造方法は、特に制限されないが、例えば、以下に示す方法によって製造できる。
ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含むエポキシ系樹脂と無機酸化物とを混合、または必要に応じて適当な溶媒に分散し、エポキシ樹脂塗工液を調製して、基板上にこれをシート状に展開し、前記展開層を乾燥や硬化すること等によって皮膜化すればよい。
前記塗工液の展開方法は、特に制限されず、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレーコート法等の方法があげられ、前記基材表面上に流動展開させ前記展開層を形成すればよい。
前記塗工液を展開する基材としては、特に制限されず、例えば、ステンレス等の適当な基材があげられる。また、後述するように、ハードコート層やガスバリア層等の他の層を設ける場合には、これらの層を基板として前記塗工液を展開してもよい。
前記展開層の乾燥方法は、特に制限されず、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等があげられる。
また、前記展開層または乾燥後のエポキシ系樹脂層に対して、必要に応じて、例えば、加熱処理、光照射処理等の硬化処理を施せばよい。前記ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含むエポキシ系樹脂の硬化条件は、特に制限されないが、例えば、100〜200℃で1〜2時間効果させることが好ましい。また、硬化温度は、段階的に昇温させてもよく、例えば、150℃で1時間硬化させた後、引き続き200℃で1時間硬化させてもよい。
また、前述のように本発明の樹脂シートは、前記エポキシ樹脂層を含む積層体でもよい。このような積層体の樹脂シートの一例を、図2の側面図に示す。図示のように、樹脂シート2は、エポキシ樹脂層1、ガスバリア層201およびハードコート層202を有し、ハードコート層202上に、ガスバリア層201を介してエポキシ樹脂層1が積層されている。エポキシ樹脂層1は、前記図1と同様であり、エポキシ系樹脂102および無機酸化物101を含み、前記層内において無機酸化物101が分散されている。
このようにハードコート層202を、樹脂シートの特に最外層として形成すれば、前記樹脂シートの耐擦傷性等をさらに向上することができる。また、液晶表示装置においては、例えば、水分や酸素が液晶セル基板を透過してセル内に侵入すると、液晶の変質や気泡の形成による外観不良、透明導電膜パターンの断線等が発生するおそれがあるが、前述のように、エポキシ系樹脂層とハードコート層との間にガスバリア層を設ければ、水分やガスの透過を一層防止される。
前記樹脂シートは、ハードコート層およびガスバリア層のいずれか一方を有するだけでもよいが、耐薬品性、耐擦傷性および耐湿性を同時に有し、高性能な樹脂シートとなることから、双方を有することが好ましい。ハードコート層とガスバリア層の両方を含む場合、その積層順序は、特に制限されないが、図2に示すように、エポキシ系樹脂層、ガスバリア層、ハードコート層の順序で積層されることが好ましい。特に、前記ハードコート層は、耐衝撃性や耐薬品性等に優れることから、最外層として積層されることが好ましい。また、エポキシ樹脂層1の他方の表面側にも、さらにハードコート層が積層されてもよい。
前記ハードコート層の形成材料としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等があげられる。また、例えば、ポリアリレート系樹脂、スルホン系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリロニトリル系樹脂等も使用できる。これらの中でも、ウレタン系樹脂が好ましく、より好ましくはウレタンアクリレートである。なお、これらの樹脂は、一種類でもよいし、二種類以上を混合したブレンド樹脂であってもよい。
前記ハードコート層は、前記形成材料の他に、例えば、照明光やキーボーダ-等の外部環境が画面上に映りこむ、いわゆるゴースト現象を防止する防眩機能付与を目的として、透明粒子を含んでいてもよい。前記透明粒子としては、例えば、ガラスやシリカ等の無機材料、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、メラニン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾグアナミン、メラニン・ベンゾグアナミン縮合物、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物等の有機材料等があげられる。その平均粒径は、例えば、0.5〜30μmの範囲であり、好ましくは0.5〜20μmであり、より好ましくは0.5〜10μmである。また、前記形成材料である各種樹脂に対する添加割合は、例えば、1〜50重量%の範囲であり、好ましくは2〜40重量%であり、より好ましくは5〜30重量%である。
前記ハードコート層の厚みは、特に制限されないが、通常、製造時の剥離や、剥離の際におけるヒビ割れの発生を防止する点から、例えば、1〜10μmの範囲であり、好ましくは1.5〜8μmの範囲であり、より好ましくは2〜5μmの範囲である。
前記ガスバリア層の種類としては、例えば、有機ガスバリア層と無機ガスバリア層があげられる。前記有機ガスバリア層の形成材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール及びその部分ケン化物、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系ポリマー、ポリアクリロニトリルやポリ塩化ビニリデン等の酸素透過が小さい材料等が使用でき、これらの中でも、高ガスバリア性の点からビニルアルコール系ポリマーが特に好ましい。
前記有機ガスバリア層の厚みは、例えば、透明性、着色防止、ガスバリア性等の機能性、薄型化、得られる樹脂シートのフレキシビリティー等の点から、15μm以下であることが好ましく、より好ましくは13μm以下であり、さらに好ましくは2〜10μm、特に好ましくは3〜5μmの範囲である。前記厚みが10μm以下であれば、樹脂シートにおいて、より一層低い黄色度指数(YI値)を維持でき、2μm以上であれば、十分なガスバリア機能が維持される。
一方、無機ガスバリア層の形成材料としては、例えば、珪素酸化物、マグネシウム酸化物、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物等の透明材料が使用でき、この中でも、例えば、ガスバリア性や基材層への密着性に優れること等から、珪素酸化物や珪素窒化物が好ましい。
前記珪素酸化物としては、例えば、珪素原子数に対する酸素原子数の割合が、1.5〜2.0であることが好ましい。このような割合であれば、例えば、前記無機ガスバリア層のガスバリア性、透明性、表面平坦性、屈曲性、膜応力、コスト等の点において、より一層優れるからである。なお、前記珪素酸化物においては、珪素原子数に対する酸素原子数の割合の最大値が2.0となる。
前記珪素窒化物としては、例えば、珪素原子数に対する窒素原子数の割合が1.0〜4/3であることが好ましい。
前記無機ガスバリア層の厚みは、特に制限されないが、例えば、5〜200nmの範囲であることが好ましい。前記厚みが5nm以上であれば、例えば、より一層優れたガスバリア性が得られ、前記厚みが200nm以下であれば、透明性、屈曲性、膜応力、コストの点にも優れる。
このような樹脂シートの形成方法は特に制限されないが、例えば、前述のような基材上に、ハードコート層を形成してから、その上にガスバリア層を形成し、さらにエポキシ系樹脂層を形成すればよい。
前記ハードコート層およびガスバリア層の形成方法は、特に制限されず、従来公知の方法が採用できる。例えば、前記形成材料を前記溶媒に混合して塗工液を調製し、前述のような塗工方法によって基材上に塗布し、乾燥させればよい。また、必要に応じて、加熱処理、光照射処理等の硬化処理を行ってもよい。
また、ガスバリア層を含む樹脂シートの場合は、例えば、基材上に、前記ハードコート層を形成し、その上にガスバリア層を形成してから、さらに前記エポキシ系樹脂層を形成すればよい。前記ガスバリア層の形成方法は、特に制限されず、例えば、従来公知の方法を適宜採用できる。
以上に述べたような本発明の樹脂シートは、25℃〜160℃における線膨張係数が5.00×10-5/℃以下であることが好ましく、より好ましくは4.00×10-5/℃以下、特に好ましくは3.00×10-5/℃以下である。前記線膨張係数が5.00×10-5/℃以下であれば、例えば、シート上にカラーフィルター等を積層する際、パターニングの位置ずれの発生を十分に防止でき、また電極の形成もより一層容易になる。
前記線膨張係数は、例えば、JIS規格K−7197に記載のTMA法によって測定し、下記式より算出できる。下記式において、△Is(T1)、△Is(T2)は、それぞれサンプル測定時の温度T1(℃)およびT2(℃)におけるTMA測定値(μm)を示し、L0は、室温におけるサンプルの長さ(mm)のことである。
Figure 2005139235
前記樹脂シートは、前記シートを150℃で20分間加熱した後の寸法(X1b)、および前記条件での加熱後、室温で2時間放置した後の寸法(X2)を下記式に代入することによって算出される寸法変化率が、±0.06%未満であることが好ましく、より好ましくは±0.03%未満であり、特に好ましくは±0.02%未満である。前記寸法変化率が前記範囲であれば、例えば、シート上にカラーフィルター等を積層する際、パターニングの位置ずれの発生を十分に防止でき、また電極の形成もより一層容易になる。
寸法変化率(%)=[(X2−X1)/X1]×100
また、そのガラス転移温度(Tg)が、例えば、そのガラス転移温度(Tg)が、例えば、170℃以上であり、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、特に好ましくは200℃以上である。また、前記エポキシ系樹脂層のガラス転移温度(Tg)も同様の範囲であることが好ましく、170℃以上であれば、例えば、無機ガスバリア層の積層時等に反りや変形をより一層防止できる。
また、その光透過率が、例えば、例えば、88%以上であり、好ましくは89%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%以上、特に100%もしくは100%に近いことが好ましい。前記光透過率が88%以上であれば、この樹脂シートを用いて液晶表示装置等の画像表示装置を組み立てた際に、表示が十分に明るくなり、より一層表示品位が向上する。
前記光透過率は、例えば、高速分光光度計を用いてλ=550nmの透過率を測定することによって求めることができる。
本発明の樹脂シートは、例えば、破断強度が40N以上であり、好ましくは50N以上、より好ましくは60N以上、特に好ましくは65N以上であり、上限は制限されない。
前記破断強度とは、前記樹脂シートの裏面に深さ約0.3μmの傷をつけ、前記樹脂シートの裏面側に表面無垢平板を、表面側に直径20mmの孔を有する平板を積層し、この積層体を水平となるように配置して、その四隅を固定した後、前記孔を有する平板の垂直方向から、前記孔内における樹脂シートの露出部分の中心に、直径10mmのステンレス製球により荷重を加えることにより、前記樹脂シートが破断する際の力をいう。
前記破断強度の測定方法について、具体的に、図3に基づいて説明する。同図(A)は、破断強度の測定装置の一例を示す斜視図であって、同図(B)は、前記(A)のI−I方向の断面図であり、切断面以外の部位は省略している。まず、樹脂シート11を約30mm×30mmの大きさに切断し、その裏面に深さ約0.3μmの傷をつけておく。具体的には、孔14内を示す図4の平面図のように、少なくとも、孔14内における樹脂シート11の露出部分のうち中心の15mm×15mmの範囲(図4において11a:点線内部)の裏面に傷を付ければよい。このような深さ約0.3μmの傷は、例えば、粒度#2000のペーパーで前記裏面を擦ることによって形成できる。なお、この破断強度を測定するにあたっては、予め前記樹脂シートの裏面につけた傷の深さを、例えば、表面粗さ計等を用いて従来公知の方法で確認しておく。
そして、この傷をつけた裏面が接触するように、前記樹脂シート1を表面無垢平板12上に積層し、さらに、その上に孔14を有する平板13を積層する。そして、この積層体の水平に設置して、その四隅を止め具15で固定する。なお、前記孔14の孔径は直径20mmであり、前記孔14は前記平板13の略中央に設けられている。つぎに、前記積層体の垂直方向から(図3において矢印A)、前記孔14の内部に露出した樹脂シート11の中央部に、棒17の先端に備え付けられた直径10mmのステンレス製ボール16を100mm/minの速度で押し当て荷重をかける。そして、前記樹脂シート11が破断した際の力を破断強度とすればよい。なお、この測定方法は、前記破断強度の測定のためにのみ用いられるものであって、本発明の樹脂シートや、その使用、用途等を何ら限定するものではない。
前記表面無垢平板や孔を有する平板の大きさは、特に制限されず、例えば、50mm×50mm〜200mm×200mmの範囲であり、その厚みも、特に制限されないが、例えば、5mm〜30mm程度であることが好ましい。
本発明の樹脂シートは、各種の用途に用いることができ、例えば、液晶セル基板、ELディスプレイ用基板等の画像表示装置用基板や、太陽電池用基板としても好ましく用いることができる。このように各種基板として使用する場合、例えば、従来から使用されているガラス基板等の透明基板と同様にして使用すればよい。
また、本発明の液晶セル基板は液晶表示装置に、本発明のELディスプレイ用基板はEL表示装置に、本発明の太陽電池用基板は太陽電池基板に使用できる。これらの各種基板は、例えば、従来の各種表示装置や太陽電池において使用されているガラス基板等の代替品として使用することができる。そして、このような本発明の各種基板を使用すれば、例えば、十分な強度を維持し、かつ薄型化や軽量化を実現できるのである。
液晶表示装置は、一般に、電極を備えた液晶セル基板に液晶が保持された液晶セル、偏光板、反射板およびバックライトを備え、駆動回路等を組み込んで構成されている。本発明の液晶表示装置においては、前記本発明の樹脂シートを液晶セル基板として使用すればよく、この点を除いて特に限定はされず、さらに従来公知の各種構成部品を備えても良い。従って、本発明の液晶表示装置においては、前記本発明の液晶セル基板に、さらに、例えば、視認側の偏光板の上に設ける光拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層、保護板、あるいは液晶セルと視認側の偏光と板の間に設ける補償用位相差板等の光学部品等を組み合わせてもよい。
エレクトロルミネセンス表示装置は、一般に、透明基板(ELディスプレイ用基板)上に、透明電極と、発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を含む有機発光層と、金属電極とが順に積層されることによって構成されている。本発明のEL表示装置においては、前記本発明の樹脂シートをELディスプレイ用基板として使用すればよく、この点を除いて特に限定はされず、さらに従来公知の各種構成部品を備えても良い。
前記有機発光層は、種々の発光体を含む有機薄膜の積層体である。このような積層体としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体等を含む正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光層との積層体や、前述のような発光層とペリレン誘導体等を含む電子注入層との積層体、前述のような正孔注入層と発光層と電子注入層の積層体等があげられ、様々な組み合わせが知られている。
有機エレクトロルミネセンス表示装置は、通常、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質等の発光体を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射するという原理によって発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度とは、印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機エレクトロルミネセンス装置においては、有機発光層における発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要であり、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成される透明電極を陽極として使用する。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Li等の金属電極が使用される。
このような構成の有機エレクトロルミネセンス装置において、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極めて薄い膜で形成されることが好ましい。このような薄さであれば、例えば、前記有機発光層も透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過することができる。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射して、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極において反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認した際に、有機エレクトロルミネセンス表示装置の表示面が鏡面のように見えるのである。
本発明のEL装置が、例えば、電圧印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備え、かつ、有機発光層の裏面側に金属電極を備えた有機EL装置の場合、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、前記透明電極と偏光板との間に位相板を設けることが好ましい。
前記位相板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光さる作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相板として1/4波長板を使用し、かつ、偏光板と位相板との偏光方向のなす角を、π/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみを透過できる。この直線偏光は位相板によって一般に楕円偏光となるが、特に位相板が1/4波長板であり、しかも偏光板と位相板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、例えば、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相板によって再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているため、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができるのである。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、「部」とは「重量部」を示す。
(実施例1〜7、比較例1)
ポリサルファイト型エポキシ樹脂として前記式(1)で示されるポリサルファイトノホ゛ラック型エポキシ樹脂(商品名フレップ50(エポキシ等量320、粘度25Pa・s(25℃));東レチオコール社製)を、他のエポキシ樹脂(脂環式)として下記式(2)で示される 3,4-エホ゜キシシクロヘキシルメチル-3,4-エホ゜キシシクロヘキサンカルホ゛キシレートを、硬化剤として下記式(3)で示されるメチルヘキサヒドロフタル酸無水物を、硬化触媒として下記式(4)で示されるテトラ-n-フ゛チルホスホニウムo,o-シ゛エチルホスホロシ゛チオエート をそれぞれ使用し、これらを下記表1に示す組成となるように攪拌混合してエポキシ樹脂液を調製した。下記表1において、Aはポリサルファイト型エポキシ樹脂、Bは3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、Cはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、Dはテトラ-n-ブチルホスホニウム o,o-ジエチルホスホロジチオエートである。
このエポキシ樹脂液840部に、さらに、平均粒径30μmのガラスビーズ(比重2.5)340部添加して、攪拌混合して、無機酸化物含有エポキシ樹脂液を調製した。一方、下記式(5)で示されるウレタンアクリレートをトルエンに懸濁し、17重量%のウレタンアクリレート溶液を調製し、また、ポリビニルアルコール(PVA)(重合度:1800)を水に懸濁し、5.5重量%のPVA水溶液を調製した。
Figure 2005139235
Figure 2005139235
Figure 2005139235
Figure 2005139235
(表1)
A(重量部) B(重量部) C(重量部) D(重量部)
実施例1 26.6 26.6 48.5 1.0
実施例2 14.9 34.7 53.0 1.0
実施例3 40.0 17.2 44.9 1.0
実施例4 9.6 38.4 54.7 1.0
実施例5 3.3 43.3 56.2 1.0
実施例6 56.2 6.3 39.1 1.0
実施例7 63.3 44. 0 36.9 1.0
比較例1 0 45.1 53.9 1.0
そして、図5に例示した装置を用いて、流延法に従い、エポキシ系樹脂層とガスバリア層とハードコート層との積層体である、図2に示す樹脂シートを作製した。図5に示す製造装置は、駆動ドラム(22)、従動ドラム(23)、前記両ドラムを介して矢印方向に一定速度で走行するステンレス製エンドレスベルト(21)、ハードコート層塗布用ダイ(24)、ガスバリア層塗布用ダイ(25)、エポキシ樹脂塗布用ダイ(26)、UV硬化装置(28)、乾燥機(29)、(30)を備える。
まず、前記ウレタンアクリレート溶液を、ダイ(24)よりエンドレスベルト(21)表面に走行速度0.3m/分で流延塗布し、風乾してトルエンを揮発させた後、これをUV硬化装置(28)により硬化させ、膜厚2.0μmのハードコート層(33)を形成した。続いて、PVA水溶液をダイ(25)よりハードコート層(33)上に走行速度0.3m/分で流延塗布し、乾燥機(29)を用いて100℃で10分間乾燥させ、膜厚3.7μmのガスバリア層(34)を形成した。さらに、前記アルミナ含有エポキシ樹脂液を、ダイ(26)よりガスバリア層(34)上に走行速度0.3m/分で流延塗布し、前記乾燥機(30)を用いて200℃で60分間硬化させ、膜厚300μmのエポキシ系樹脂層(39)を形成した。このようにして、ハードコート層(33)上、ガスバリア層(34)を介して、無機酸化物が均一に分散されたエポキシ系樹脂層(39)が積層された積層体(40)が得られた。
つぎに、積層体(40)を前記エンドレスベルトから剥離し、窒素置換により酸素濃度0.5%とした雰囲気下、ガラス板上で180℃×0.5時間放置し、アフターキュアを行った。このようにして得られた積層体を樹脂シートとした。
(実施例8)
ガラスビーズの代わりに、平均粒径12nm、比重2.5のシリカ粒子(商品名AEROSILR974:日本アエロジル社製)を使用し、その添加量を93.3部とした以外は、前記実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
(比較例2)
ガラスビーズを添加しない以外は、前記実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
以上のようにして得られた実施例1〜8、比較例1および2の樹脂シートについて、以下の評価試験を行った。
1.ガラス転移温度(℃)
前記各樹脂シートについて、粘弾性スペクトロメーター(商品名Ares;レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて粘弾性スペクトルを測定し、tanδのピーク値をガラス転移温度(Tg)とした。
2.光透過率(%)
前記各樹脂シートについて、高速分光光度計(商品名DOT−3C;村上色彩技術研究所製)を用いてλ=550nmの透過率を測定した。
3.線膨張係数(/℃)
前記各樹脂シートについて、商品名TMA/SS150C(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
4.寸法変化率
前記各樹脂製シートを、150℃で20分間加熱した直後の寸法(X1)、および前記条件での加熱後、室温で2時間放置した後の寸法(X2)を、それぞれオリンパスデジタル式小型測定顕微鏡(商品名STM5:オリンパス社製)を用いて測定し、下記式より寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=[(X2−X1)/X1]×100
5.破断強度(N)
前記樹脂シートについて、オートグラフ(島津製作所製)を用いて、前述のような図3に例示した測定方法により、樹脂シートの破断時の力を測定した。なお、表面無垢平板12、直径20mmの孔を有する平板13の厚みはいずれも30mmとし、その材質はいずれもステンレスとした。また、前記樹脂シート40の裏面(ハードコート層33の裏面)に粒度♯2000のペーパーで傷をつけた。そして、その傷の深さを、ランダムに5点、粗さ計(商品名 P-11:テンコール社製)によって測定したところ、いずれの点も0.3μmであり、また、いずれの樹脂シートも同様の結果であった。
6.総合評価
前記1〜5の評価結果から、各樹脂シートを液晶セル基板として使用する場合の実用性を下記評価基準に基づき評価した。
A : ガラス転移点、光透過率、破断強度、寸法変化率、線膨張係数のバランスが大変良く、実用面で好ましく用いることができる。
B : ガラス転移点、光透過率、破断強度、寸法変化率、線膨張係数のうち少なくとも1つが、実用面で耐えうるが性能がやや劣る。
C : ガラス転移点、光透過率、破断強度、寸法変化率、線膨張係数のうち少なくとも1つが、実用面で耐えることができない。
これらの結果を下記表2に示す。
Figure 2005139235
前記表2に示すように、ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含まない比較例1の樹脂シートは、線膨張係数は優れるものの、破断強度が2Nと低い値であり、強靭性が不十分な結果であった。一方、ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含むが、無機酸化物を含有しない比較例2の樹脂シートは、破断強度に優れるものの、線膨張係数が非常に高く、寸法変化率も高い結果となった。これに対して、各実施例の樹脂シートは、ガラス転移温度(Tg)および光透過性に優れるだけでなく、さらに優れた破断強度を有し、かつ小さい線膨張率および寸法変化率を示した。このため、例えば、液晶セル基板等に適用すれば、耐熱性、光透過性、耐熱性、強靭性に優れ、かつ、前述のような電極形成等の際にも寸法変化による位置ずれ等も防止でき、軽量化・薄型化の液晶表示装置の提供が可能になる。これらの実施例の中でも、特に実施例2は、ガラス転移温度、光透過率、破断強度、寸法変化率、線膨張係数のバランスに優れた樹脂シートとなった。
以上のように、本発明の樹脂シートによれば、ポリサルファイト型エポキシ樹脂を含むため、薄型化、軽量化が可能であり、かつ高い光透過率および優れた強度を示す。そして、さらに無機酸化物を分散することによって、寸法変化が抑制される。このため、本発明の樹脂シートは、例えば、電極等を形成する際にも寸法変化による位置ずれも抑制でき、耐熱性と強度のバランスにも優れることから、液晶表示装置の液晶セル基板等、各種基板に有用である。
本発明の樹脂シートの一実施形態を示す側面図である。 本発明の樹脂シートのその他の実施形態を示す側面図である。 本発明において使用する強度測定装置の模式図であって、(A)はその斜視図であり、(B)は部分的な断面図である。 前記強度測定装置に供する際の、本発明の樹脂シートの部分的な平面図である。 本発明の一実施例における、樹脂シートの製造工程を示す側面図である。
符号の説明
1、2、11:樹脂シート
101:無機酸化物
102:エポキシ系樹脂
201:ガスバリア層
202:ハードコート層
12:表面無垢平板
13:平板
14:孔
15:止め具
16:ステンレス球
17:支持棒
21:エンドレスベルト
22:駆動ドラム
23:従動ドラム
24、25、26、27:ダイ
28:UV硬化装置
29〜32:乾燥機
39:無機酸化物が分散されたエポキシ系樹脂層

Claims (18)

  1. エポキシ系樹脂および無機酸化物を含む粒子分散系樹脂シートであって、
    前記エポキシ系樹脂が、ポリサルファイト型骨格を有するエポキシ樹脂を含み、
    前記無機酸化物の平均粒径が、1nm〜100μmの範囲であることを特徴とする粒子分散系樹脂シート。
  2. ポリサルファイト型骨格を有するエポキシ樹脂が下記式(1)に示す構造である請求項1記載の粒子分散系樹脂シート。
    Figure 2005139235
    前記式において、R1およびR2は、ビスフェノール骨格を有する有機酸であって、それぞれそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、nは重合度を示す。
  3. 前記エポキシ系樹脂が、さらに脂環式エポキシ樹脂を含む請求項1または2記載の粒子分散系樹脂シート。
  4. 前記ポリサルファイト型骨格を有するエポキシ樹脂の含有割合が、全エポキシ系樹脂に対して3〜30重量%の範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  5. 無機酸化物が、均一に分散されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  6. 無機酸化物の含有割合が、全エポキシ系樹脂に対して、3〜50重量%の範囲である請求項1〜5のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  7. 無機酸化物の平均粒径が、10nm〜50μmの範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  8. 無機酸化物が、ソーダガラス、無アルカリガラス、シリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアおよび酸化タングステンからなる群から選択された少なくとも一つの物質である請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  9. さらに、ハードコート層を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  10. ハードコート層が、ウレタン樹脂を含む請求項9記載の粒子分散系樹脂シート。
  11. さらに、ガスバリア層を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  12. 25〜160℃における線膨張係数が、5.00×10-5/℃以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  13. ガラス転移温度(Tg)が、170℃以上である請求項1〜12のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  14. 光透過率が、88%以上である請求項1〜13のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  15. 破断強度が、40N以上である請求項1〜14のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シート。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シートを含む画像表示装置用基板。
  17. 請求項15記載の画像表示装置用基板を含む画像表示装置。
  18. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の粒子分散系樹脂シートを含む太陽電池用基板。
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