JP2005139137A - 有機酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有機酸アンモニウムから効率よく有機酸を製造する。
【解決手段】 有機酸アンモニウムに対して、モノカルボン酸を用いた多段の反応晶析を行い、有機酸を得る。多段の最終段以外において、炭素数1〜3のアルコールを共存させて反応晶析を行う。
【選択図】 なし
【解決手段】 有機酸アンモニウムに対して、モノカルボン酸を用いた多段の反応晶析を行い、有機酸を得る。多段の最終段以外において、炭素数1〜3のアルコールを共存させて反応晶析を行う。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ジカルボン酸、トリカルボン酸などの高融点を有する有機酸の製造方法に関する。更に詳しくは、有機酸アンモニウムから効率よく有機酸を製造する方法に関する。
琥珀酸などのジカルボン酸は、生分解性ポリエステル、ポリアミドなどのポリマーの原料、または、食品、医薬品、及び化粧品などの原料として広く用いられている。また、クエン酸などのトリカルボン酸は食品添加物などとして広く用いられている。これらのうち、特に琥珀酸は、近年、乳酸と共に生分解性ポリマーの原料として期待されている。
有機酸の製造は、従来、工業的に行われており、例えば、琥珀酸は石油由来の原料であるマレイン酸の水添反応により製造されてきた。一方、近年では、植物由来の原料から琥珀酸をはじめ、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸を製造する技術として、発酵操作を利用した技術が検討されている。
有機酸の発酵生産においては、有機酸の生成とともに培養液のpHが低下するが、発酵に用いられる微生物が、一般に低いpH条件下では十分な活性を示さないことから、中和が必要である。そして、この中和剤としてアンモニアや尿素を用いた場合などにおいては、有機酸がアンモニウム塩として得られる。このような場合においては、有機酸アンモニウムを有機酸にする必要があった。
有機酸アンモニウムから有機酸を得る方法としては、硫酸を用いる塩の交換反応で反応晶析を行う方法(例えば、特許文献1又は2参照)が提案されている。即ち、有機酸アンモニウムに硫酸を添加して反応晶析を行うことにより、有機酸を析出させて分離する方法である。この方法では、晶析で有機酸を分離した後の晶析母液中に溶解度分の有機酸アンモニウムが残留し、かつ、この晶析母液中には硫酸アンモニウムも含まれる。プロセス全体の回収率を上げるためには、この晶析母液中に残留する有機酸アンモニウムを回収する必要があるが、この晶析母液に更に晶析操作を行っても有機酸アンモニウムを液中に残したまま、硫酸アンモニウムを固体として分離することは極めて困難である。また、気液分離操作、例えば、蒸留などで分離しようとしても、有機酸アンモニウムや硫酸アンモニウムは融点が非常に高く、これらを気化させる高温度条件で、有機酸アンモニウムは脱水反応を起こし、有機酸を回収することはできなくなる。更に、この方法では、硫酸アンモニウムから硫酸を回収して再利用するために、300℃以上で硫酸アンモニウムの熱分解を行うための特別な設備を必要としていた。
特表2001−514900号公報
米国特許第5,958,744号明細書
本発明は、ジカルボン酸やトリカルボン酸などの有機酸のアンモニウム塩から有機酸を効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、有機酸アンモニウム溶液に対し、モノカルボン酸を用いた反応晶析を多段で行い、その1又は2段以上にお
いて、特に、多段の最終段以外において、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールの共存下で反応晶析を行うことにより、反応液の粘度が低下して晶析効率が改
善し、リサイクル量を減らす事ができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
いて、特に、多段の最終段以外において、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールの共存下で反応晶析を行うことにより、反応液の粘度が低下して晶析効率が改
善し、リサイクル量を減らす事ができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)有機酸アンモニウムを含む溶液にモノカルボン酸を添加して有機酸を生成析出させる反応晶析工程を含む有機酸の製造方法であって、前記工程を多段で行い、その1又は
2段以上において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加することを特徴とする、有機酸の製造方法。
(2) 多段の最終段以外において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加することを特徴とする、(1)の製造方法。
(3) アルコールを、前記溶液及びモノカルボン酸の合計重量に対して、5重量%以上かつ40重量%以下の量で共存させることを特徴とする、(1)又は(2)の製造方法。
(4) 有機酸がジカルボン酸又はトリカルボン酸である、(1)〜(3)のいずれかの製造方法。
(5) 有機酸が、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、スベリン酸、クエン酸、イタコン酸、テレフタル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機酸である、(1)〜(4)のいずれかの製造方法。
(6) アルコールが炭素数1〜3のアルコールである、(1)〜(5)のいずれかの製造方法。
(7) アルコールが1価アルコールである、(1)〜(6)のいずれかの製造方法。
(8) モノカルボン酸が酢酸又はプロピオン酸である、(1)〜(7)のいずれかの製造方法。
(1)有機酸アンモニウムを含む溶液にモノカルボン酸を添加して有機酸を生成析出させる反応晶析工程を含む有機酸の製造方法であって、前記工程を多段で行い、その1又は
2段以上において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加することを特徴とする、有機酸の製造方法。
(2) 多段の最終段以外において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加することを特徴とする、(1)の製造方法。
(3) アルコールを、前記溶液及びモノカルボン酸の合計重量に対して、5重量%以上かつ40重量%以下の量で共存させることを特徴とする、(1)又は(2)の製造方法。
(4) 有機酸がジカルボン酸又はトリカルボン酸である、(1)〜(3)のいずれかの製造方法。
(5) 有機酸が、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、スベリン酸、クエン酸、イタコン酸、テレフタル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機酸である、(1)〜(4)のいずれかの製造方法。
(6) アルコールが炭素数1〜3のアルコールである、(1)〜(5)のいずれかの製造方法。
(7) アルコールが1価アルコールである、(1)〜(6)のいずれかの製造方法。
(8) モノカルボン酸が酢酸又はプロピオン酸である、(1)〜(7)のいずれかの製造方法。
本発明の製造方法は、有機酸アンモニウムを含む溶液にモノカルボン酸を添加して有機酸を生成析出させる反応晶析工程を含む有機酸の製造方法であって、前記工程を多段で行い、その1又は2段以上において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加すること
を特徴とする、有機酸の製造方法である。
を特徴とする、有機酸の製造方法である。
有機酸アンモニウムを形成する有機酸としては、2価以上のカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸、トリカルボン酸がより好ましい。具体的には、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、スベリン酸、クエン酸、イタコン酸、テレフタル酸などを挙げることができる。また、有機酸アンモニウムは、有機酸モノアンモニム、有機酸ジアンモニウム、有機酸トリアンモニウムのいずれであってもよい。
本発明に用いる溶液は、有機酸アンモニウムを含むものであれば特に制限されないが、微生物によって発酵生産された有機酸アンモニウム溶液が好ましい。微生物を用いた有機酸アンモニウム溶液の発酵生産は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、炭素源を含む液体培地中で微生物を培養する。用いる炭素源としては、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、グリセロール、シュークロース、サッカロース、デンプン、セルロース等の炭水化物;グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が挙げられる。また、上記発酵性糖質を含有する澱粉糖化液、糖蜜なども使用される。
微生物変換に用いる微生物としては、炭素源を含む培地で培養したときに、培地中に有機酸を生成蓄積する能力を有する微生物であれば特に限定されないが、例えば、例えば、アナエロビオスピリラム(Anaerobiospirillum)属細菌(米国特許第5143833号明細書)
、アクチノバチルス(Actinobacillus)属細菌(米国特許第5504004号明細書)、エシェ
リヒア(Escherichia)属細菌(米国特許第5770435号明細書)等の通性嫌気性細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ア
ースロバクター(Arthrobacter)属等のコリネ型細菌(特開平11−113588号公報)などの好気性細菌が挙げられる。また、有機酸生産能が増強するように改変された微生物であってもよい。このような微生物としては、例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子の発現が増強された微生物(特開平11−196888号公報)、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊された微生物(特開平11−206385号公報)等が挙げられる。
、アクチノバチルス(Actinobacillus)属細菌(米国特許第5504004号明細書)、エシェ
リヒア(Escherichia)属細菌(米国特許第5770435号明細書)等の通性嫌気性細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ア
ースロバクター(Arthrobacter)属等のコリネ型細菌(特開平11−113588号公報)などの好気性細菌が挙げられる。また、有機酸生産能が増強するように改変された微生物であってもよい。このような微生物としては、例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子の発現が増強された微生物(特開平11−196888号公報)、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊された微生物(特開平11−206385号公報)等が挙げられる。
微生物変換における反応温度、圧力等の反応条件は、選択される菌体、カビなどの活性に依存することになるが、対応する有機酸を得るための好適な条件を各々の場合に応じて選択すれば良い。
微生物変換においては、pHが低くなると微生物の代謝活性が低くなったり、或いは微生物が活動を停止するようになり、製造歩留まりが悪化したり、微生物が死滅するため、中和剤を使用する。通常はpHセンサーによって反応系内のpHを計測し、一般的には、pH4〜10、好ましくは6〜9程度の範囲となるように中和剤の添加の都度pHを調節する。中和剤としてアンモニア、炭酸アンモニウム、尿素を用いた場合は、有機酸アンモニウムが培地中に蓄積するので、これを本発明に用いることができる。一方、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの金属化合物を中和剤として用いた場合には有機酸の金属塩が得られるが、これを、アンモニア、炭酸アンモニウムなどを用いて有機酸アンモニウム塩に変換し、本発明に用いることができる。
次に、反応晶析に用いるモノカルボン酸について述べる。モノカルボン酸は有機酸アンモニウムを有機酸に変換しうるモノカルボン酸であれば特に限定されないが、酢酸又はプロピオン酸が好ましい。モノカルボン酸の添加量は、有機酸が析出する量、即ち、モノカルボン酸と有機酸アンモニウム塩との酸塩基反応により、有機酸が生成するに十分な量であって、生成した有機酸が溶解せずに析出するに十分な量であればよい。モノカルボン酸の添加量は、モノカルボン酸の種類とpKa、有機酸の種類とpKa、発酵反応液の濃縮の程度等によっても異なり特に制限されないが、後述するような「最終段以外の反応晶析」においては有機酸アンモニウム塩の1〜10モル倍、「最終段の反応晶析」においては有機酸アンモニウム塩の1〜100モル倍程度、好ましくは1.5〜30モル倍程度、より好ましくは3〜20モル倍である。
本発明の製造方法では、有機酸アンモニウム溶液にモノカルボン酸を添加して、有機酸を生成させるとともに、生成した有機酸を析出させる。この工程を、反応晶析工程と呼ぶ。酢酸などのモノカルボン酸は、有機酸アンモニウムからアンモニウムイオンを奪うことにより、効率よく有機酸を生成析出させることができる。
本発明の製造方法では、反応晶析工程を多段で行う。「反応晶析工程を多段で行う」とは、有機酸アンモニウム反応液にモノカルボン酸を添加して1段目の反応晶析を行った後
に、1段目の反応晶析によって析出した有機酸モノアンモニウム塩などの有機酸アンモニ
ウム塩中間体を分離し、分離した中間体に、新たにモノカルボン酸を加えて2段目の反応晶析を行い、必要であれば、さらに中間体の分離とモノカルボン酸による反応晶析を繰り返すことを言う。このような多段の反応晶析は、不純物が多い場合や、pKa差が大きい時、或は、母液中の有機酸を再晶析によって回収する場合などに特に有効である。
に、1段目の反応晶析によって析出した有機酸モノアンモニウム塩などの有機酸アンモニ
ウム塩中間体を分離し、分離した中間体に、新たにモノカルボン酸を加えて2段目の反応晶析を行い、必要であれば、さらに中間体の分離とモノカルボン酸による反応晶析を繰り返すことを言う。このような多段の反応晶析は、不純物が多い場合や、pKa差が大きい時、或は、母液中の有機酸を再晶析によって回収する場合などに特に有効である。
「多段」とは2段以上を意味し、好ましくは2〜4段を意味するが、合計何段で反応晶析を行うかは有機酸の種類や反応スケールなどによって任意に設定することができる。何段で反応晶析を行えば最終段でフリーの有機酸が得られるかについて、予備的実験を行うなどして予め合計段数を設定しておくことが好ましい。なお、本発明の多段の反応晶析に
おいては、最終段の反応晶析を「フリーの有機酸を得る反応晶析」とし、最終段以外の反応晶析を「アンモニアが多い領域での反応晶析」とする。
おいては、最終段の反応晶析を「フリーの有機酸を得る反応晶析」とし、最終段以外の反応晶析を「アンモニアが多い領域での反応晶析」とする。
最終段の反応晶析を行い、ヌッチェによる加圧ろ過や減圧濾過、遠心分離などの方法によって得られる有機酸は、結晶表面や結晶と結晶の間に母液を保持し、或は、結晶内に取り込まれてしまう微量の母液を持っており、これらがアンモニアを含んでいるため、たとえフリーの有機酸を得たとしてもアンモニアを含む。これは粘度やろ過の度合いによって異なる。また、乾燥によって、残留した母液中のアンモニアが再度有機酸と塩を形成する事もある。
従って「フリーの有機酸を得る反応晶析」とは、通常のろ過操作、ヌッチェによる加圧ろ過や減圧濾過、遠心分離などいずれかの方法により得られる有機酸におけるアンモニアの量が、イオンクロマトグラフィー(電気伝導度検出器を用いた検出)で測定した場合に5重量%以下になるものと定義する。さらにこのようにして得られたフリーの有機酸は一般にリンス(洗浄)を行う事により、アンモニアの含有量は減らす事ができる。リンス液の種類、量、温度などの条件によっても異なるが通常1重量%以下になる。
これに対し、「アンモニアが多い領域での反応晶析」とは、得られる結晶は通常モノアンモニウム塩を主成分としており、母液含有率によって幾分アンモニアの重量比率は低く出るが、5重量%より小さくなることはない。例えば琥珀酸の場合、モノアンモニウム塩は12.5重量%[=17/(118+17)]含んでいる。この計算から分かるように、分子量が300を越える物質でない限り、モノアンモニウム塩であっても5重量%以下になることは無い。ジアンモニウム塩やトリアンモニウム塩の場合、その比率は更に大きくなる。
本発明の製造方法では、上記のような多段の1又は2段以上においてアルコールの共存下でカルボン酸を添加して反応晶析を行う。好ましくは、多段の最終段以外において、アルコールの共存下で反応晶析を行う。「多段の最終段以外において、アルコールの共存下で反応を行う」とは、2段の反応晶析の場合、1段目の反応においてはアルコールを加えるが、2段目の反応においてはアルコールを加えずに行うことをいう。また、3段の反応晶析の場合、1段目及び2段目の反応においてはアルコールを加えるが、3段目の反応においてはアルコールを加えずに行うことをいう。アルコールを共存させることにより、有機酸アンモニウムと酢酸の混合物の粘度が低下するため、反応晶析の効率が上昇する。また、微生物を用いて有機酸アンモニウム溶液を発酵生産した場合のように、有機酸アンモニウム溶液に糖類が混合している場合は、糖類を分離する効果もある。
加えるアルコールとしては、1価のアルコ−ルが好ましい。また、炭素数1〜3のアル
コールが好ましい。特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが好ましい。アルコールは、有機酸アンモニウム反応液及びモノカルボン酸の合計重量に対し、5重量%以上、かつ40重量%以下の量で共存させることが好ましい。
コールが好ましい。特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが好ましい。アルコールは、有機酸アンモニウム反応液及びモノカルボン酸の合計重量に対し、5重量%以上、かつ40重量%以下の量で共存させることが好ましい。
反応晶析の系は水を含んでいてもよい。特にアンモニアが多量に存在する条件においては、副生するモノカルボン酸のアンモニウム塩を溶解させるために、寧ろ水を含んでいることが好ましい場合も多く、モノカルボン酸の使用量が少ない時にも水を加えてもよい。
反応晶析の温度・圧力については、特に限定されないが、用いるアルコールの種類や量、反応晶析に用いるモノカルボン酸の種類や量によって沸点や融点で制約を生じる場合がある。例えば、酢酸をモノカルボン酸として用いる場合、混合によって凝固点降下があるため、酢酸の融点である16℃以下では冷却方法が難しくなる。したがってモノカルボン酸が溶液状態である温度が好ましい。また、メタノールを多く用いる場合は、真空圧にする
とメタノールが蒸発してしまい、液中に存在するメタノールが減少し、期待する回収率や粘度低下を得られない可能性があるので、真空圧にしないほうが好ましい。
とメタノールが蒸発してしまい、液中に存在するメタノールが減少し、期待する回収率や粘度低下を得られない可能性があるので、真空圧にしないほうが好ましい。
具体的な晶析装置は、晶析に用いる装置は、例えば、攪拌槽、ドラフトチューブ、クリスタルオスロ型晶析槽、ダブルプロペラなどの一般的に用いられる晶析槽を用いることが出来、固液平衡現象により結晶を得る事ができる装置であれば、その形状や手法は問わない。
析出した有機酸は常法によって分離される。例えば、通常のろ過操作、ヌッチェによる加圧ろ過や減圧濾過、遠心分離などが用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<比較例1:アルコール非添加>
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.02g、酢酸(和光純薬社製)50.02g、イオン交換水50.01gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.01gを加えた。
2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると12
0CPであった。その後ろ過すると、結晶は33.7g、母液は119.1g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィー(紫外検出器)にて有機物を、イオンクロマトグラフィー(電気伝導度検出器)にてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸20.0重量%、酢酸38.9重量%、アンモニア8.3重量%、結晶は琥珀酸が61.4重量%、酢酸11.0重量%、アンモニアが12.1重量%であった。
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.02g、酢酸(和光純薬社製)50.02g、イオン交換水50.01gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.01gを加えた。
2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると12
0CPであった。その後ろ過すると、結晶は33.7g、母液は119.1g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィー(紫外検出器)にて有機物を、イオンクロマトグラフィー(電気伝導度検出器)にてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸20.0重量%、酢酸38.9重量%、アンモニア8.3重量%、結晶は琥珀酸が61.4重量%、酢酸11.0重量%、アンモニアが12.1重量%であった。
60.02g×118/152=46.6g(仕込み琥珀酸)
33.7g×61.4/100=20.7g(回収琥珀酸)
回収率 20.7/46.6=44.4%
33.7g×61.4/100=20.7g(回収琥珀酸)
回収率 20.7/46.6=44.4%
<実験例1:メタノール添加>
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.02g、酢酸(和光純薬社製)50.03g、イオン交換水50.15gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.00gを加えた。更にメタノール(和光純薬社製)を20.01g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると82CPであった。その後ろ過すると、結晶は
35.6g、母液は137.1g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィー(紫外検出器を用いた検出)にて有機物を、イオンクロマトグラフィー(電気伝導度検出器を用いた検出法)にてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸18.0重量%、酢酸34.9重量%、アンモニア7.5重量%、結晶は琥珀酸が69.1重量%、酢酸11.6重量%、アンモニアが11.9重量%であった。
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.02g、酢酸(和光純薬社製)50.03g、イオン交換水50.15gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.00gを加えた。更にメタノール(和光純薬社製)を20.01g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると82CPであった。その後ろ過すると、結晶は
35.6g、母液は137.1g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィー(紫外検出器を用いた検出)にて有機物を、イオンクロマトグラフィー(電気伝導度検出器を用いた検出法)にてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸18.0重量%、酢酸34.9重量%、アンモニア7.5重量%、結晶は琥珀酸が69.1重量%、酢酸11.6重量%、アンモニアが11.9重量%であった。
60.02g×118/152=46.6g(仕込み琥珀酸)
35.6g×69.1/100=24.5g(回収琥珀酸)
回収率 24.5/46.6=52.7%
35.6g×69.1/100=24.5g(回収琥珀酸)
回収率 24.5/46.6=52.7%
<実験例2:エタノール添加>
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.00g、酢酸(和光純薬社製)50.00g、イオン交換水50.00gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.01gを加えた。更にエタ
ノール(和光純薬社製)を20.28g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると102CPであった。その後ろ過すると、結晶
は43.2g、母液は126.4g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸17.4重量%、酢酸34.8重量%、アンモニア7.3重量%、結晶は琥珀酸が62.1重量%、酢酸15.1重量%、アンモニアが11.4重量%であった。
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.00g、酢酸(和光純薬社製)50.00g、イオン交換水50.00gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.01gを加えた。更にエタ
ノール(和光純薬社製)を20.28g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると102CPであった。その後ろ過すると、結晶
は43.2g、母液は126.4g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸17.4重量%、酢酸34.8重量%、アンモニア7.3重量%、結晶は琥珀酸が62.1重量%、酢酸15.1重量%、アンモニアが11.4重量%であった。
60.00g×118/152=46.6g(仕込み琥珀酸)
43.2g×62.1/100=26.8g(回収琥珀酸)
回収率 26.8/46.6=57.6%
43.2g×62.1/100=26.8g(回収琥珀酸)
回収率 26.8/46.6=57.6%
<実験例3:2−プロパノール添加>
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.01g、酢酸(和光純薬社製)50.04g、イオン交換水50.00gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.00gを加えた。更に2−プロパノール(和光純薬社製)を20.02g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると90CPであった。その後ろ過すると、
結晶は42.6g、母液は125.6g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸16.7重量%、酢酸35.5重量%、アンモニア7.4重量%、結晶は琥珀酸が62.6重量%、酢酸15.1重量%、アンモニアが11.5重量%であった。
琥珀酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.01g、酢酸(和光純薬社製)50.04g、イオン交換水50.00gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶として琥珀酸ジアンモニウム1.00gを加えた。更に2−プロパノール(和光純薬社製)を20.02g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると90CPであった。その後ろ過すると、
結晶は42.6g、母液は125.6g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は琥珀酸16.7重量%、酢酸35.5重量%、アンモニア7.4重量%、結晶は琥珀酸が62.6重量%、酢酸15.1重量%、アンモニアが11.5重量%であった。
60.01g×118/152=46.6g(仕込み琥珀酸)
42.6g×62.6/100=26.7g(回収琥珀酸)
回収率 26.8/46.6=57.2%
42.6g×62.6/100=26.7g(回収琥珀酸)
回収率 26.8/46.6=57.2%
実験例1〜3は、琥珀酸アンモニウムについての1段目の反応晶析を示した実験例であるが、アルコールを加える事により、反応晶析液の粘度が低下し、比較例1に対し、琥珀酸の回収率が改善することが分かった。特にメタノールには粘度を下げる効果が顕著であり、エタノールは回収率を上げる効果が顕著であった。これらの1段目の反応晶析で得られた結晶を、再度水に溶解し、酢酸を用いて2段目以降の反応晶析を行うことによって最終的にフリーの琥珀酸を得ることができる。なお、最終段においては、アルコールを加えずに反応晶析を行う。
<比較例2:酒石酸アンモニウム:アルコール非添加>
酒石酸ジアンモニウム(和光純薬社製)58.66g、酢酸48.89g、イオン交換水48.91gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶とし酒石酸ジアンモニウム1.00gを加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると62CPであった。その後ろ過する
と、結晶は66.95g、母液は82.7g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は酒石酸0.7重量%、酢酸50.5重量%、アンモニア5.7重量%、結晶は酒石酸が67.9重量%、酢酸12.1重量%、アンモニアが9.9重量%であった。
酒石酸ジアンモニウム(和光純薬社製)58.66g、酢酸48.89g、イオン交換水48.91gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶とし酒石酸ジアンモニウム1.00gを加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定すると62CPであった。その後ろ過する
と、結晶は66.95g、母液は82.7g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は酒石酸0.7重量%、酢酸50.5重量%、アンモニア5.7重量%、結晶は酒石酸が67.9重量%、酢酸12.1重量%、アンモニアが9.9重量%であった。
58.7g×150/184=47.8g(仕込み酒石酸)
66.95g×67.9/100=45.4g(回収酒石酸)
回収率 45.4/47.8=42.8%
66.95g×67.9/100=45.4g(回収酒石酸)
回収率 45.4/47.8=42.8%
<実験例4:酒石酸アンモニウム、メタノール添加>
酒石酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.07g、酢酸49.99g、イオン交換
水50.05gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶とし酒石酸ジアンモニウム1.00gを加えた。更にメタノールを20.17g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定す
ると28CPであった。その後ろ過すると、結晶は73.80g、母液は99.17g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は酒石酸0.4重量%、酢酸43.2重量%、アンモニア4.8重量%、結晶は酒石酸が67.1重量%、酢酸11.6重量%、アンモニアが10.0重量%であった。
酒石酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.07g、酢酸49.99g、イオン交換
水50.05gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶とし酒石酸ジアンモニウム1.00gを加えた。更にメタノールを20.17g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定す
ると28CPであった。その後ろ過すると、結晶は73.80g、母液は99.17g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は酒石酸0.4重量%、酢酸43.2重量%、アンモニア4.8重量%、結晶は酒石酸が67.1重量%、酢酸11.6重量%、アンモニアが10.0重量%であった。
60.1g×150/184=48.7g(仕込み酒石酸)
73.8g×67.1/100=49.5g(回収酒石酸)
回収率 48.7/49.5=102%
73.8g×67.1/100=49.5g(回収酒石酸)
回収率 48.7/49.5=102%
<実験例5:酒石酸アンモニウム、エタノール添加>
酒石酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.01g、酢酸50.04g、イオン交換水50.14gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶とし酒石酸ジアンモニウム1.01gを加えた。更にエタノールを20.17g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定す
ると42CPであった。その後ろ過すると、結晶は63.96g、母液は106.6g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は酒石酸0.4重量%、酢酸43.5重量%、アンモニア5.0重量%、結晶は酒石酸が72.6重量%、酢酸8.6重量%、アンモニアが10.0重量%であった。
酒石酸ジアンモニウム(和光純薬社製)60.01g、酢酸50.04g、イオン交換水50.14gを200ccの試薬瓶に入れ、熱水中にて溶解後、30℃の温水中にて晶析した。種晶とし酒石酸ジアンモニウム1.01gを加えた。更にエタノールを20.17g加えた。2時間、30℃にて攪拌した後、粘度をB型粘度計(東京計器製)にて測定す
ると42CPであった。その後ろ過すると、結晶は63.96g、母液は106.6g回収できた。それぞれ液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを分析すると、母液は酒石酸0.4重量%、酢酸43.5重量%、アンモニア5.0重量%、結晶は酒石酸が72.6重量%、酢酸8.6重量%、アンモニアが10.0重量%であった。
60.0g×150/184=48.9g(仕込み酒石酸)
64.0g×72.6/100=46.4g(回収酒石酸)
回収率 46.4/48.9=94.9%
64.0g×72.6/100=46.4g(回収酒石酸)
回収率 46.4/48.9=94.9%
実験例4及び5は酒石酸ジアンモニウムについての1段目の反応晶析を示した実験例であるが、いずれの場合においても、アルコールを加える事により、反応晶析液の粘度が低下し、比較例2に対し、酒石酸の回収率が改善することが分かった。特に粘度に対する効果が顕著である。これらの1段目の反応晶析で得られた結晶を、再度水に溶解し、酢酸を用いて2段目以降の反応晶析を行うことによって最終的にフリーの酒石酸を得ることができる。なお、最終段においては、アルコールを加えずに反応晶析を行う。
<実験例6:エタノール添加、糖の分離>
D−グルコース(キシダ化学社製)10.13g、D−マルトース(キシダ化学社製)10.16g、琥珀酸アンモニウム(和光純薬社製)100.61g、イオン交換水100.21g、酢酸(和光純薬社製)69.86gを晶析装置に入れ、90℃で溶解し30分間保持した後、攪拌を続けたまま40℃まで冷却した。ここで、エタノール(和光純薬社製)を99.90g加え、20℃まで冷却した。20℃到達後13分で析出が始まり、そのまま2時間保持した。ろ過後、ろ過液は285.7gであった。そのまま固体を晶析装置に保持したまま、エタノールを99.93g加えて10分間攪拌しリンスを行った。ろ過後、固体は78.76g回収された。ろ液(リンス液)は92.4gであった。リンスによって得られた固形分を液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを、更にRI(示差屈折率検出器を用いた検出)で糖類を分析すると酢酸2.9重量%、琥珀酸64.4
重量%、アンモニアが11.0重量%、マルトースが0.2重量%であった。グルコースは検出
されなかった。同様に母液は酢酸23.4重量%、琥珀酸10.8重量%、アンモニアが5.1重量
%、グルコースが1.2重量%、マルトースが1.9重量%であった。この方法により糖は母液へ分離される事が分かった。
D−グルコース(キシダ化学社製)10.13g、D−マルトース(キシダ化学社製)10.16g、琥珀酸アンモニウム(和光純薬社製)100.61g、イオン交換水100.21g、酢酸(和光純薬社製)69.86gを晶析装置に入れ、90℃で溶解し30分間保持した後、攪拌を続けたまま40℃まで冷却した。ここで、エタノール(和光純薬社製)を99.90g加え、20℃まで冷却した。20℃到達後13分で析出が始まり、そのまま2時間保持した。ろ過後、ろ過液は285.7gであった。そのまま固体を晶析装置に保持したまま、エタノールを99.93g加えて10分間攪拌しリンスを行った。ろ過後、固体は78.76g回収された。ろ液(リンス液)は92.4gであった。リンスによって得られた固形分を液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを、更にRI(示差屈折率検出器を用いた検出)で糖類を分析すると酢酸2.9重量%、琥珀酸64.4
重量%、アンモニアが11.0重量%、マルトースが0.2重量%であった。グルコースは検出
されなかった。同様に母液は酢酸23.4重量%、琥珀酸10.8重量%、アンモニアが5.1重量
%、グルコースが1.2重量%、マルトースが1.9重量%であった。この方法により糖は母液へ分離される事が分かった。
<実験例7:メタノール添加、糖の分離>
D-グルコース(キシダ化学社製)10.18g、D-マルトース(キシダ化学社製)10.16g、琥珀酸アンモニウム(和光純薬社製)100.32g、イオン交換水100.15g、酢酸(和光純薬社製)69.50gを晶析装置に入れ、90℃で溶解し30分間保持した後、攪拌を続けたまま40℃まで冷却した。ここで、メタノール(和光純薬社製)を100.02g加え、20℃まで冷却した。20℃到達後24分で析出が始まり、そのまま2時間保持した。ろ過後、ろ過液は288.4gであった。そのまま固体を晶析装置に保持したまま、メタノールを100.14g加えて10分間攪拌しリンスを行った。ろ過後、固体は68.34g回収された。ろ液(リンス液)は102.1gであった。リンスによって得られた
固形分を液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを、更にRIで糖類を分析すると酢酸3.5重量%、琥珀酸61.1重量%、アンモニアが10.8重量%、グルコースが0.1重量%、マルトースが0.2重量%であった。同様に母液は酢酸22.9重量%、琥珀酸11.9重量%、アンモニアが5.2重量%、グルコースが1.4重量%、マル
トースが2.0重量%であった。この方法により糖が母液へ分離される事が分かった。
D-グルコース(キシダ化学社製)10.18g、D-マルトース(キシダ化学社製)10.16g、琥珀酸アンモニウム(和光純薬社製)100.32g、イオン交換水100.15g、酢酸(和光純薬社製)69.50gを晶析装置に入れ、90℃で溶解し30分間保持した後、攪拌を続けたまま40℃まで冷却した。ここで、メタノール(和光純薬社製)を100.02g加え、20℃まで冷却した。20℃到達後24分で析出が始まり、そのまま2時間保持した。ろ過後、ろ過液は288.4gであった。そのまま固体を晶析装置に保持したまま、メタノールを100.14g加えて10分間攪拌しリンスを行った。ろ過後、固体は68.34g回収された。ろ液(リンス液)は102.1gであった。リンスによって得られた
固形分を液体クロマトグラフィーにて有機物を、イオンクロマトグラフィーにてアンモニアを、更にRIで糖類を分析すると酢酸3.5重量%、琥珀酸61.1重量%、アンモニアが10.8重量%、グルコースが0.1重量%、マルトースが0.2重量%であった。同様に母液は酢酸22.9重量%、琥珀酸11.9重量%、アンモニアが5.2重量%、グルコースが1.4重量%、マル
トースが2.0重量%であった。この方法により糖が母液へ分離される事が分かった。
実験例6,7より、有機酸アンモニウム溶液にグルコース、マルトースなどの糖類が含まれる場合でも、糖類は母液側に回収され、固形物から分離されることがわかった。
本発明を適用する事により、有機酸アンモニウム溶液から有機酸を効率よく製造することができる。本発明では、晶析槽内の粘度を下げる事が出来るので安定運転に寄与できる。また、有機酸アンモニウム塩の回収率を向上させる事ができるので、リサイクル量を減らしプロセスのエネルギー消費量を減らす事ができる。更に、糖類を代表成分とする不純物の除去の効果も認められる。
Claims (8)
- 有機酸アンモニウムを含む溶液にモノカルボン酸を添加して有機酸を生成析出させる反応晶析工程を含む有機酸の製造方法であって、前記工程を多段で行い、その1又は2段以上
において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加することを特徴とする、有機酸の製造方法。 - 多段の最終段以外において、アルコールの共存下でモノカルボン酸を添加することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- アルコールを、前記溶液及びモノカルボン酸の合計重量に対して、5重量%以上かつ40重量%以下の量で共存させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 有機酸がジカルボン酸又はトリカルボン酸である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 有機酸が、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、スベリン酸、クエン酸、イタコン酸、テレフタル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- アルコールが炭素数1〜3のアルコールである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- アルコールが1価アルコールである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- モノカルボン酸が酢酸又はプロピオン酸である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製
造方法。
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WO2008143015A1 (ja) | 2007-05-18 | 2008-11-27 | Ajinomoto Co., Inc. | コハク酸およびコハク酸アンモニウム溶液の製造方法 |
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JP2015119725A (ja) * | 2010-03-26 | 2015-07-02 | ビオアンブ,ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ | コハク酸二アンモニウム、コハク酸一アンモニウム及び/又はコハク酸を含む発酵培地からコハク酸一アンモニウムの製造、及びコハク酸一アンモニウムからコハク酸への変換方法 |
-
2003
- 2003-11-07 JP JP2003378729A patent/JP2005139137A/ja active Pending
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