JP2005139052A - 液面プラズマ反応による気相−液相混合装置および気相−液相反応方法並びにアンモニアおよび水素の生成と、有機溶媒への窒素固定方法および装置 - Google Patents

液面プラズマ反応による気相−液相混合装置および気相−液相反応方法並びにアンモニアおよび水素の生成と、有機溶媒への窒素固定方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、液状を呈する有機溶媒を使用してプラズマによって有機溶媒の化学結合を解離すること、そして有機溶媒の供給およびプラズマ化を容易に行うことができるようにすることによって分子レベルでの気相−液相混合物を形成することのできる気相−液相混合装置および気相−液相混合方法を提供する。
【解決手段】
容器に少なくとも窒素を含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒の供給装置から構造式に水素原子を含む有機溶媒を供給し、プラス電極の先端面に供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の水素原子を化学結合から解離し、雰囲気ガス中に水素ガスを含有させ、かつ雰囲気ガスのガス分子から窒素原子を解離し、前記水素原子を解離した有機溶媒に解離した窒素原子を化学反応させることを行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電極間にプラズマを発生させて気相−液層の混合体を形成する気相−液層の混合装置と混合方法、これらの装置および方法を用いた気相−液層の反応方法、更にはこれらの反応を利用したアンモニアあるいは/および水素の生成方法、更には有機溶媒への窒素固定方法および装置に関する。
従来のプラズマ重合反応は、平行電極に電位差を印加し、その電極間のギャップにガスを供給し、ガス−ガス(気相−液相)による重合反応を起こさせるものである。
また、従来、窒素の固定方法にはアンモニア生成による方法が工業的な唯一の手段となっている。
特許文献1には、有機化合物を改質剤を用いて合成ガスを製造する方法において、該改質反応を低音プラズマ下で行う合成ガスの製造方法が記載されている。
特許文献2には、真空チャンバー内に基板ホルダーと、励起用電極と、有機反応性物質の供給手段を備え、基板ホルダーに保持された被成膜基板の蒸着部表面を囲む励起用電極としてのコイル状高周波電極とこのコイル状高周波電極を囲むシールド、もしくは被成膜基板の蒸着部表面を囲む曲面状電極が配設されている有機反応性物質の重合膜を生成させるプラズマ重合反応装置が記載されている。
特許文献3には、水素原子を含有して有機化合物からなる原料ガスから水素ガスを発生させる方法であって、1対の電極を対向配置して放電ギャップを形成し、かつ、それら電極の少なくとも一方を、前記放電ギャップに臨む端部が縮径形状とされた縮径電極とし、前記放電ギャップに前記原料ガスを、ガス流が該放電ギャップに集中するように供給しながら、それら電極間に電圧印加して前記放電ギャップに気体放電を生じさせ、該原料ガスを放電処理して水素ガスを含有した水素含有ガスに変換する水素発生方法が記載されている。
特許文献4には、プラズマ燃料変換器は、第1の電極を形成するための電気伝導性構造体を備え、そして第2の電極は、反応チャンバにおいて第1の電極に関してギャップを作成するように配置され、燃料−空気混合物は、そのギャップの中に導入され、そして電源は、第1の電極および第2に電極接続され、おおよそ100ボルト〜40キロボルトの範囲の電圧およびおおよそ10ミリアンペア〜1アンペアの範囲の電流を提供してグロー放電を生成して、燃料を再生することが記載されている。
特開2003−137503号公報 特許第2911127号公報 特開2003−212502号公報 特表2003−507321号公報
本発明は、液状を呈する有機溶媒を使用してプラズマによって有機溶媒の化学結合を解離すること、そして有機溶媒の供給およびプラズマ化を容易に行うことができるようにすることによって分子レベルでの気相―液相混合物を形成することのできる気相−液相混合装置および気相−液相混合方法を提供することを目的とする。
本発明は、内部に少なくとも窒素あるいはアルゴン(Ar)を含む雰囲気ガスを擁して密封された容器と、該容器内に、金属プローブからなるマイナス電極と、かつ誘電性の液相もしくはゼリー相を呈する有機溶媒に接触するプラス電極を配設し、マイナス電極と有機溶媒との間にギャップを形成し、前記マイナス電極から前記ギャップに電子線を放出し、かつ前記ギャップにプラズマを形成し、前記電子線を該有機溶媒と雰囲気ガスのガス分子に衝突させて有機溶媒と雰囲気ガスの分子の構造の破壊を行うプラズマ発生装置を設けた気相−液相混合装置を提供する。
本発明は、内部に少なくとも窒素あるいはアルゴンを含む雰囲気ガスを擁して密封された容器と、該容器内に、金属プローブからなるマイナス電極と、端面に液状を呈し、かつ誘電性とされた有機溶媒層が形成されたプラス電極を配設して、双方の電極の間に微小ギャップを形成し、前記有機溶媒層の源となる有機溶媒を供給するための有機溶媒供給装置を備え、前記マイナス電極から前記ギャップに電子線を放出し、かつ前記ギャップに電場を形成し、該電場によって前記有機溶媒層からの有機溶媒のマイナス電極に向っての流れを形成し、前記電子線を該有機溶媒と雰囲気ガスのガス分子に衝突させて有機溶媒と雰囲気ガスの分子の構造の破壊を行う電圧印加装置を設けた気相−液相混合装置を提供する。
更に、本発明は、容器に少なくとも窒素を含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から構造式に水素原子を含む有機溶媒を供給し、プラス電極の先端面に供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の水素原子を化学結合から解離し、雰囲気ガス中に水素ガスを含有させ、かつ雰囲気ガスのガス分子から窒素原子を解離し、前記水素原子を解離した有機溶媒に解離した窒素原子を化学反応させる気相−液相反応方法を提供する。
この気相−液相反応装置方法によって水素ガスおよびアンモニアを同時に生成することアンモニア生成方法を提供する。
更に、本発明は、容器に少なくとも窒素あるいはアルゴンを含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間に微小ギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の化学結合を解離し、かつ雰囲気ガスの化学結合を解離し、解離した液体分子と気体分子とをプラズマ重合させる気相−液相反応方法を提供する。
更に、本発明は、容器に雰囲気ガスを封入し、あるいは容器内部を真空として、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から構造式に水素原子を含む有機溶媒を供給し、プラズマ電極の先端面に供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の水素原子を化学結合から解離し、水素ガスを形成するようにした水素生成方法を提供する。
有機溶剤を供給された液面(+)と先鋭プローブ(−)を両電極として対向させ、その間にパルス電位差を与えると、電子線が放出されると同時に、液面からの液体が先鋭プローブ方向へ上昇流を形成する。その際、先鋭プローブ(−)からの電子線と液体分子および、その周りに熱運動する雰囲気中の窒素や酸素分子との衝突がおこり、液体分子と雰囲気中分子の構造が破壊される。この過程におき、先鋭プローブ近傍から、水素が発生すると共に、アルコール中へ窒素が化学的に結合し、アルコールのプラズマ重合反応が生じる。
このように本発明によれば、液状を呈する有機溶媒を使用してプラズマによって有機溶媒の化学結合を解離すること、そして有機溶媒の供給およびプラズマ化を容易に行うことができ、これによって分子レベルでの気相―液相混合物を形成することのできる気相−液相混合装置および気相−液相混合方法を提供することができる。
最良の形態によれば、不均一パルス電場による上昇流と電子線照射の誘導によるプラズマ重合を利用した、気相−液相混合装置および反応装置を構成する。さらに気相−液相混合方法および気相−液相反応装置を構成する。
すなわち、気相−液相反応は、内部に少なくとも窒素あるいはアルゴン(Ar)を含む雰囲気ガスを擁して密封された容器と、該容器内に、金属プローブからなるマイナス電極と、端面に液状を呈し、かつ誘電性の有機溶媒層に接触するプラス電極を配設して、マイナス電極と有機溶媒との間に微小ギャップを形成し、前記有機溶媒を供給するための有機溶媒供給装置を備え、前記マイナス電極から前記ギャップに電子線を放出し、かつ前記ギャップに電場を形成し、該電場によって前記有機溶媒からの有機溶媒のマイナス電極に向っての流れを形成し、前記電子線を該有機溶媒と雰囲気ガスのガス分子に衝突させて有機溶媒と雰囲気ガスの分子の構造の破壊を行う電圧印加装置を設けて構成される。
この混合装置および混合方法は、マイナス電極としての先鋭プローブと、それに対向して設置されたプラス電極からなり、上記プラス電極へアルコールなどの誘電流体を表面に供給あるいは塗布しながら上記両電極間へ電位差を与える分子レベルでの気相‐液相混合装置を行う。
パルス電位差を印加し、プラス電極へ供給した液体を電磁力によりマイナス電極へ引き寄せることを行う。
パルス電位差を印加し、プラス電極へ供給した液体へ、マイナス電極からの電子線を照射する。
パルス電位差を印加し、プラス電極に供給された液体のマイナス電極への上昇流と、マイナス電極から照射される電子線とを衝突させる事により上昇液体の化学結合を解離する。
パルス電位差を利用し、マイナス電極から照射される電子線と大気中の窒素と衝突させることにより大気中の窒素の化学結合を解離し、解離された液体分子とをプラズマ重合反応させることを行う。
密封系にシールドされ、任意の気体を封入することや、アルコール以外の任意の液体をプラス電極へ供給することを可能とする。
超音波装置を備え、装置へ可変の微振動を印加することを可能とする
保温材によってシールドされ、任意の温度に調整することが可能とする。
電磁力を形成するためにレーザやその他の波長の異なる電磁波を装置へ照射することを可能とする。
静電ポテンシャルや静磁ポテンシャルを装置へ印加する事を可能とし、前記ポテンシャルは時間依存することもできる。
混入材料としての気体、例えば、窒素および酸素中におき、正電極に供給されたアルコールなどの液体状有機物質、例えばアルコール液面へ放電あるいは電子線照射する事により、気相、液相双方の分子にプラズマを誘起し、気相中の窒素や酸素を液体構成分子(例えば、アルコール)と化学反応を起こし、窒素や酸素を液相中へ分子レベルで固定しながら、液体を構成している原子や分子(例えばアルコールの場合、水素)を発生させるポリマー重合反応装置を提供する。
内部に大気を擁して密封された容器と、該容器内に、金属プローブからなるマイナス電極と、端面に液状を呈し、かつ誘電性とされたアルコール層が形成されたプラス電極を配設して、双方の電極の間にギャップを形成し、前記アルコール層の源となるアルコールを供給するためのアルコール供給装置を備え、マイナス電極から前記ギャップに電子線を放出し、かつギャップに電場を形成し、該電場によって前記アルコール層からのアルコールのマイナス電極に向っての流れを形成し、前記電子線を該アルコールと大気中の窒素に衝突させてアルコールと大気の分子の構造の破壊を行う電圧印加装置を設けた気相−液相混合装置を提供する。この場合に、端面に供給されるアルコールは誘電性とされ、プラス電極の一部として機能をすることになる。
また、容器に大気を封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に供給したアルコールを電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させてアルコールの化学結合を解離し、かつ大気中の窒素の化学結合を解離し、解離した液体分子と気体分子とをプラズマ重合反応させる気相−液相反応方法を提供する。
上記の気相−液相反応装置方法によって水素ガスおよびアンモニアを同時に生成するアンモニア生成方法および水素生成方法を提供する。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例である気相−液相反応装置100を示す。この気相−液相反応装置は気相−液相混合装置の概念を含んでいる。従って、以下に述べる気相−液相反応方法も気相−液相混合方法の概念を含んでいる。
図1において、気相−液相反応装置100は、内部に少なくとも窒素あるいはアルゴン(Ar)を含む雰囲気ガスを擁して密封された反応容器1と、この容器の内部に、金属プローブからなるマイナス電極2と、マイナス電極2に対向配置される導体あるいは半導体からなるプラス電極3と、プラス電極3の端面に液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒層(有機溶媒膜を含む概念である。)4と、有機溶媒層4の源となる有機溶媒を供給するための有機溶媒供給装置5と、双方の電極2、3との間に電位差を印加する電位差印加装置6を備える。
反応容器1には空気、すなわち大気を雰囲気ガスとして封入することができ、窒素単体あるいはAr単体あるいは窒素と酸素の混合ガスを封入することができる。これらのガスは反応容器1にも受けた反応ガス導管22のガス取り入れ口11より封入される。
マイナス電極2は、XYZステージ7に戴置される。密封された反応容器1は温度、湿度、ガス湿度調整用としても使用される。
マイナス電極2は、その先端部が先鋭部12とされ、尖った針状とされる(以下、この先鋭部を先鋭プローブと呼ぶことがある。)。すなわち、先鋭部42は、先端に向かっての縮径形状とされている。図1にあっては、先鋭部を1つとしているが、これを複数設置することができる。複数の先鋭部42を有するマイナス電極を構成する。また、縦置きばかりでなく、横置きとしてもよい。
プラス電極3は、本例の場合、金属筒体によって構成されている。金属筒体12は有機溶媒導入孔13が形成してあり、この有機溶媒導入孔13の先端に有機溶媒層4が形成される。この有機溶媒層4は表面張力によって円径状をなす。金属筒体に代えてガラス材あるいはセラミック材で筒体を形成してもよい。この場合には、ガラスあるいはセラミックス筒体の該表面に金属材あるいは半導体材を貼り付けるなどして設ける。
金属筒体12は、有機溶媒供給装置5によって保持され、有機溶媒供給装置5から有機溶媒が金属筒体12の有機溶媒導入孔13に供給される。
プラス電極3は、有機溶媒供給装置5によって保持され、この保持を維持してXYZステージ14によってXYZ方向に移動させられ、これによってプラス電極2と対向され、かつプラス電極3との間に微小ギャップ、すなわち放電ギャップ15が形成される。
このように、金属筒体12はプラス電極3として機能すると共に有機溶媒誘導手段としても機能する。このように、プラス電極3に接触して導入される有機溶媒は液状を呈すると共に、誘電性が与えられる。導入以前に誘電性を与えてもよい。
図1に示すように、超音波発生装置21を設け、装置への可変の微振動を印加することができる。反応容器1は、保温材でシールドすることによって任意の温度に調整することができる。レーザやその他の波長の異なる電磁波発生装置(図示せず)を設け、電磁波をギャップ15間に照射することができる。また、静電ポテンシャルや静電ポテンシャルをギャップ間に印加することが可能であり、ポテンシャルは時間依存とすることができる。
電圧印加装置(電位差印加装置)6によってプラス電極3とマイナス電極との間に電位差をかけると、金属プローブと、有機溶媒、有機溶媒誘導手段との間に不均一電場44(図2)が形成される。電位差はパルス上にして印加するのが望ましい。従って、プラス電極3は不均一パルス電場付与手段ということができる。その不均一電場44の強度は金属プローブの先鋭端が最も強くなる。
不均一電場44の形成によってギャップ15間に生じる現象を図2に示す。図2は判り易くするために解説的な図としてある。その不均一電場44により、誘電性をもつ有機溶媒は、図2に示すように先鋭金属プローブ方向へ上昇流32を形成する。その時、マイナス電極を形成する先鋭金属プローブから電子線(電子流)31と、上昇流32としての金属プローブへ移動する有機溶媒や雰囲気中のガス(例えば、窒素やアルゴンや酸素)とを衝突解離させることができる。通常、物質原子同士の結合エネルギは10eV以下である為、電位差を与えることにより(電場や磁場の印加により)、そのエネルギ以上の運動エネルギに電子やイオン群を加速することは可能である。そして、それら加速された粒子(量子論的には波動)群と、有機流体や雰囲気ガスとの衝突により、物質分子の結合を解離し、その後に続くプラズマ化学反応を誘発した。特に、加速電子(加速イオン)と、誘起上昇流体と、雰囲気ガスとの衝突は、電子なだれ現象を起こすため、ねずみ算式な連鎖反応によって分子の解離が生じ、高い効率で反応を進めることができる。この衝突エネルギの大きさは、印加電位差の大きさや、金属プローブの材質や尖り具合、さらに、有機溶媒の種類、有機溶媒誘導手段の材質などにより制御できる。一例として、タングステン先鋭プローブ(先端径、数n〜数十μ)をマイナスとし、有機溶媒導入装置をプラスにとり、2400V−15KHzのパルス電位差により電子を加速した。同時にこの電位差により17.1の比誘電率をもつ1−ブタノールを電気的にマイナス電極側へ引き寄せることにより、上昇流(分子流やナノ流やマイクロ流)を誘発することができる。有機溶媒誘導手段としては、導電体や半導体や絶縁体や、その複合体が可能であるが、導電率(上記、マイナスタングステン電極から誘導的に照射された電子線)を変える為に、絶縁体や半導体を使用した場合には、導体部材を近傍に設置し、照射された電子の流通回路(電子の逃げ場所)を確保することを行う。
図1に示すように、超音波発生装置21を設け、装置への可変の微振動を印加することができる。反応容器1は、保温材でシールドすることによって任意の温度に調整することができる。レーザやその他の波長の異なる電磁波発生装置(図示せず)を設け、電磁波をギャップ15間に照射することができる。イオンビームを照射するようにしてもよい。また、静電ポテンシャルをギャップ間に印加することが可能であり、ポテンシャルは時間依存とすることができる。
以上のように、双方の電極2、3の間には放電現象が生じる。金属プローブの先鋭端からは有機溶媒層4に向けて電子線(−e)が照射される。そして、双方の電極2、3間に形成された不均一電場44による電位差あるいは電磁場を形成した場合の電磁力によって有機溶媒は、引き寄せられて金属プローブの先鋭端に向う上昇流32、すなわち流れとなる。そのとき、マイナス電極を形成する金属プローブからの電子線31と、上昇流としての金属プローブへと移動する有機溶媒と雰囲気中のガス、例えば、窒素や酸素とが衝突する現象が起る。
図3は、金属プローブの先鋭端に向って有機溶媒の上昇流が形成される状態を示す写真である。図4は、金属プローブの形状を変えて上昇流を発生させた状況を示す写真である。
図5は、図3の写真の内容を対応して図面化したものである。図4(a)は図3(a)に対応し、図4(b)は図3(b)に対応する。図4(a)に示すように、上昇流の発生段階では、液体45(有機溶媒層4に相当)から小さな浮き上がり32が見られ。これが次第に大きくなって図4(b)に示す上昇流32が形成され、この上昇流32は化学結合の解離後に、マイナス電極2の表面にふくらみ34となって滞留する。
また、図4の(a)、(b)に示すように上昇流は粒状となって(b)あるいは露状となって形成される。そして、生成された混合体あるいは反応物質は先鋭プローブ上に滞留している。従って、上昇流は液体流でなくても粒状の流れでもよく、ここでは流れと表現する。
図1において、生成された気相−液相反応の混合体、あるいはプラズマ重合反応の結果生成された化学物質はマイナス電極2の周囲に設けた生成ガス吸入管の開口通路を介して反応容器1から取り出すことができる。また、図4(a)、(b)に示すように上昇流は雰囲気ガス中に形成されることから、雰囲気ガス中には気相−液相の混合体、あるいはプラズマ重合反応の結果生成された化学物質が存在するためこれらの物質を取り出すための取り出し管を反応容器1に取り付けてもよい。反応容器1には雰囲気ガスのガス流入管36が取り付けてある。
このように、有機溶媒は、プラス電極3から直接的にプラス電極3に上昇流32となって供給されており、電子線31と上昇流との衝突が極めて効率的に行われ、衝突による解離がよく行われることになる。
このように、パルス電位差を印加し、プラス電極3に供給された液状の有機溶媒のマイナス電極2への上昇流32と、マイナス電極2から照射される電子線31を衝突させることによって上昇液体である有機溶媒は化学結合を解離し、また雰囲気ガス(大気)中の窒素と酸素もマイナス電極2から照射される電子線と衝突し、窒素と酸素の化学結合を解離することになる。このようにして解離した有機溶媒と解離したガス原子とは混合状態を形成し、次いで解離した液体分子とガス原子とはプラズマ重合反応される。
すなわち、気相‐液相混合装置を使用して、パルス電位差を利用し、マイナス電極により加速されるプラスイオン、またはプラスイオンにより加速されるマイナスイオンと、雰囲気ガスを衝突させる事により雰囲気ガスの化学結合を解離し、解離された液体分子とをプラズマ重合反応させることができる。
不均一電極対として、先鋭化されたマイナス電極と液体に覆われたプラス電極間へ電位差を与え、電子線と、液体の上昇流および雰囲気ガスとの衝突により不均一プラズマを誘導し、(気体分子、例えば、窒素や酸素と液体、例えば、アルコールの双方を解離)と、それに続く新たな化学反応を生じさせることにより、低温、常圧におき、低コストで液体(例えば、アルコール)への気体(例えば、窒素)の固定を行いながら液体構成分子(例えば、水素)の発生(生成)させることを行う。
図6に金属プローブから水素が発生している様子を示す。発生水素は、SHIMAZUGC−I4BPTFにより図4に示すように確認された。図6(a)は水素発生前を示し、図6(b)は水素発生中を示す写真である。
このように、窒素の固定方法にはアンモニア生成による方法が、従来工業的に唯一の手段であるが、本実施例のように大気中におき、アルコール正電極と先鋭マイナス電極との放電により、大気中の窒素を固定しながら水素を発生させることができることとなった。すなわち、アンモニアと水素を生成することができる。すなわち、窒素ガスを還元してアンモニア(NH)を生成する反応を起させることができる。
このように、本実施例にあっては、液体電極(プラス電極)を使用し、大気中での反応による窒素固定および水素生成を行うという特徴を有する。
アルコールを供給された液面(+)と金属プローブの先鋭部である先鋭プローブ(−)を両電極として対向させ、その間にパルス電位差を与えると、電子線が放出されると同時に、液面からの液体が先鋭プローブ方向へ上昇流を形成する。その際、先鋭プローブ(−)からの電子線と液体分子および、その周りに熱運動する雰囲気中の窒素や酸素分子との衝突がおこり、液体分子と雰囲気中分子の構造が破壊される。この過程におき、先鋭プローブ近傍から、水素が発生すると共に、中へ窒素が化学的に結合し、アルコールのプラズマ重合反応が生じる。
この衝突エネルギの大きさは、印加電位差の大きさや、金属プローブの材質や尖り具合、さらに、有機溶媒の種類、有機溶媒誘導手段の材質などにより制御できる。
図7に、有機溶媒として1-ブタノールを使用した場合のFTIR(フーリエ変換赤外分光法)信号の推移を示す。明らかに分子構造が破壊されていることを示す。特に、全体的に信号がブロードになっていることから、1-ブタノールがポリマー化していることが確認される。また、このポリマー化は、真空中でSEM像が得られたことからも確認できる。1717近傍のピークの形成からこのアルコールが酸化されたことを示す。また、1650近傍のピークの形成からC=C結合が形成された可能性を示す。特に、1400、1650、3300近傍のピークが同時に形成されていることから、窒素原子の存在が大きな原因であることが分かる。図8にEPMA(電子プローブX線マイクロアナライザー)を使用した物質構成測定結果を示す。このように、構成元素測定により窒素の含有が確認された。窒素は、もともと1−ブタノール分子には入っておらず、周りの雰囲気から混入したことは明白である。
先の実施例にあっては、反応容器1内に雰囲気ガスを封入したが、水素生成を目的とした場合には、反応容器1内を真空状態としてもよい。この場合には、先の装置を使用することによって容器内部を真空として、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から構造式に水素原子を含む有機溶媒を供給し、プラズマ電極の先端面に供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の水素原子を化学結合から解離し、水素ガスを形成するようにした水素生成方法が構成される。
図9は他の実施例の構成を示す図である。第1の実施例と同一の構成については同一の番号を付してあり、重複した説明は行わない。説明は、第1の実施例の説明が援用されることとする。
図9において、気相−液相反応装置100は、内部に少なくとも窒素を含む雰囲気ガスを擁して密封された反応容器1と、この反応容器の内部に、先鋭金属プローブである金属プローブからなるマイナス電極2と、マイナス電極2に対向して収容された有機溶媒51、電位差印加装置(電圧印加装置)6およびこの電位差印加装置6のプラス側が反応容器1に接続されることによって構成されることになるプラス電極43を備える。
反応容器1は、金属性容器であるが、絶縁体や半導体でも可能である。この場合にはプラス電極43は、有機溶媒の液面の高さ付近に配設される。
また、反応容器1には、有機溶媒51に連通するようにして有機溶媒を供給する液相供給装置52および気相供給装置46が、そして反応容器1の上部空間には気相供給装置47が設けてある。
マイナス電極2とプラス電極43、すなわち反応容器1との間を絶縁するために絶縁部48が設けてある。
気相−液相反応装置100の最上部に気相循環装置49が設けてある。この気相循環装置49は、中空パイプからなり、液面プラズマ反応により生成した反応物を吸引することや、窒素、空気、アルゴンを噴射供給することを行う。最下部に設けた気相供給装置46には、ナノやマイクロ、またはそれ以上の径の孔を設け、多くの細かい気泡を供給し、化学反応を促進すると共に、空気、窒素、アルゴンなどを供給し、液面プラズマ反応による窒素の固定あるいはアンモニアの発生、水素の発生を効率よく促す働きをなす。
マイナス電極2と有機溶媒51との間には微小ギャップ15が形成される。当然に、マイナス電極2とプラス電極43との間には有機溶媒51を介してギャップが形成されることになる。
電位差印加装置6のエネルギを大きくし、電子の加速エネルギを上げ、金属プローブからなるマイナス電極2の先端の先鋭度を上げた場合には、ゼリー状の物質も気相へ変化させることができる。
更に、電位差発生装置のパワーを下げたり、金属プローブの先鋭度を下げることにより、電子の運動エネルギーを下げることが出来、完全に気相への反応ではなく、不完全に反応させることにより、ゼリー状物質への窒素固定等を行うことができる。この場合は、部分的(あるいは不完全な)反応により、ゼリー生成を優先にし、気相への反応を抑えることを行う。
そして、電位差印加装置6により、マイナス電極2とプラス電極につながれた反応容器1(または、前記の絶縁体、または半導体で作られた反応容器の内側で、かつ、液面近傍に設けられたプラス電極)との間に、動的(パルス波や、サイン波等の時間依存的)、または静的な電位差を印加する。そうすると、マイナス電極から電子が液面に向けて照射される。そして、その電子は液面を伝わって、プラス電極(金属性反応容器、または、絶縁体、半導体の場合は、容器内側かつ液面近傍に設けられたプラス電極)へ移動する回路を形成する。マイナス電極2に対向する有機溶媒51の液面には電磁相互作用による液面上昇部分50が発生し、液面上昇部分50へのマイナス電極2による放電作用によってプラズマが発生する。すなわち、マイナス電極2はプラズマ発生電極として作用する。この際、電子が有機溶媒や気相供給装置から設けられた反応ガスを解離するエネルギを持たすことにより、これらの分子をねずみ算式な連鎖反応により破壊すると共に、それに続くプラズマ化学反応により、アンモニアや水素を発生する。また、有機溶媒中に、窒素を固定することができる。
液面プラズマ反応中、液体の量が変化するが、プラズマ発生マイナス電極と液面との距離は、プラズマ発生マイナス電極に設けた、駆動手段(図示せず)または、液相供給装置52からの液体の供給により一定となるように制御する。
図10は、液面プラズマによって、有機溶媒と窒素、酸素とのプラズマ重合反応によって生成されると予想される反応生成物の例を示す。この例に示すように、解離した有機溶媒に窒素が固定されることになる。すなわち、この方法によれば容器に少なくとも窒素を含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極に接して液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から有機溶媒を供給し、供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の化学結合を解離し、かつ雰囲気ガスのガス分子から窒素原子を解離し、前記解離した有機溶媒に解離した窒素原子を化学反応させる窒素固定を行う窒素固定反応方法および装置が構成される。
そして、この反応方法によれば、常温常圧でアルコールに窒素を固定し、アンモニアを生成することができる。
本発明の実施例の構成を示す図。 ギャップ15間に形成される現象を解説的に示す図。 上昇流が形成される状況を示す写真。 上昇流が形成される状況を示す他の写真。 図3に示す写真に対応して構成した図。 水素発生状況を示す図。 1−ブタノールへ電子線を照射する前後でのFTIR信号を示す図。 EPMAを使用した物質構成測定結果を示す。 本発明の他の実施例の構成を示す図。 予想される反応生成物の例を示す図。
符号の説明
1…反応容器、2…マイナス電極、3…プラス電極、4…有機溶媒層、5…有機溶媒供給装置、6…電圧印加装置(電位差印加装置)、7…XYZステージ、12…金属筒体、13…有機溶媒導出孔、14…XYZステージ、15…微小ギャップ(放電ギャップ)、100…気相−液相混合装置(気相−液相反応装置)。

Claims (10)

  1. 内部に少なくとも窒素あるいはアルゴン(Ar)を含む雰囲気ガスを擁して密封された容器と、該容器内に、金属プローブからなるマイナス電極と、かつ誘電性の液相もしくはゼリー相を呈する有機溶媒に接触するプラス電極を配設し、マイナス電極と有機溶媒との間にギャップを形成し、前記マイナス電極から前記ギャップに電子線を放出し、かつ前記ギャップにプラズマを形成し、前記電子線を該有機溶媒と雰囲気ガスのガス分子に衝突させて有機溶媒と雰囲気ガスの分子の構造の破壊を行うプラズマ発生装置を設けたことを特徴とする気相−液相混合装置。
  2. 内部に少なくとも窒素あるいはアルゴンを含む雰囲気ガスを擁して密封された容器と、該容器内に、金属プローブからなるマイナス電極と、かつ誘電性とされる有機溶媒と接続したプラス電極を配設して、双方の電極の間にギャップを形成し、前記有機溶媒を供給するための有機溶媒供給装置を備え、前記マイナス電極から前記ギャップに電子線を放出し、かつ前記ギャップに電場を形成し、該電場によって前記有機溶媒層からの有機溶媒のマイナス電極に向っての流れを形成し、前記電子線を該有機溶媒と雰囲気ガスのガス分子に衝突させて有機溶媒と雰囲気ガスの分子の構造の破壊を行う電圧印加装置を設けたことを特徴とする気相−液相混合装置。
  3. 請求項1または2において、前記マイナス電極は先端に向って縮小した、または複数配列の金属プローブであって、前記ギャップに不均一電場を形成するものであることを特徴とする気相−液相混合装置。
  4. 請求項1または2において、超音波発生装置を備え、前記ギャップに超音波を付与することを特徴とする気相−液相混合装置。
  5. 請求項1または2において、電磁場発生装置を備え、前記ギャップに電磁波を付与することを特徴とする気相−液相混合装置。
  6. 容器に少なくとも窒素あるいはアルゴンを含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極に接続した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の化学結合を解離し、かつ雰囲気ガスの化学結合を解離し、解離した液体分子と気体分子とをプラズマ重合させることを特徴とする気相−液相反応方法。
  7. 容器に少なくとも窒素を含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極に接して液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から構造式に水素原子を含む有機溶媒を供給し、供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の水素原子を化学結合から解離し、雰囲気ガス中に水素ガスを含有させ、かつ雰囲気ガスのガス分子から窒素原子を解離し、前記水素原子を解離した有機溶媒に解離した窒素原子を化学反応させることを特徴とする気相−液相反応方法。
  8. 請求項7の気相−液相反応装置方法によって水素ガスおよびアンモニアを同時に生成することを特徴とするアンモニア生成方法。
  9. 容器に雰囲気ガスを封入し、あるいは容器内部を真空として、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極の先端面に液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から構造式に水素原子を含む有機溶媒を供給し、プラズマ電極の先端面に供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の水素原子を化学結合から解離し、水素ガスを形成するようにしたことを特徴とする水素生成方法。
  10. 容器に少なくとも窒素を含む雰囲気ガスを封入し、該容器内に配設されたマイナス電極とプラス電極との間にギャップを形成して電位差を印加し、プラス電極に接して液状を呈し、誘電性とされた有機溶媒供給装置から有機溶媒を供給し、供給した有機溶媒を電位差あるいは電磁力によってマイナス電極へ引き寄せ、その間にマイナス電極から照射される電子線と衝突させて有機溶媒の化学結合を解離し、かつ雰囲気ガスのガス分子から窒素原子を解離し、前記解離した有機溶媒に解離した窒素原子を化学反応させることで窒素固定を行うことを特徴とする窒素固定反応方法。
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