JP2005133769A - 湿式クラッチにおけるクラッチディスク組立体 - Google Patents

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宏和 若林
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亮 馬場
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Abstract

【課題】 湿式クラッチのクラッチディスク組立体において、従来の摩擦連結部のクッショニングプレートの形状を一部変更することで、クラッチディスク組立体の摩擦連結部への効率のよいオイル供給を実現する。
【解決手段】 摩擦面にオイルを供給することが可能な湿式クラッチにおいて、摩擦連結部10は、ダンパー機構9の外周縁に放射状に配置された複数のクッショニング部11cを有するクッショニングプレート11と、複数のクッショニング部11cの軸方向両側に配置された一対の摩擦部材12とを備え、クッショニング部11cの各々は、摩擦連結部10の回転運動により外周側へのオイルの移動を抑えるために、隣接するクッショニング部11cの回転方向端同士が近接しかつ半径方向に延びる微小隙間44を形成するように相補的な形状を有している。
【選択図】 図22

Description

本発明は、クラッチディスクにオイルを供給する湿式クラッチに用いられるクラッチディスク組立体に関する。
エンジンの動力を従動側へ任意に伝達、解除可能な手段としてクラッチ装置がある。クラッチ装置は、エンジンのドライブシャフトに設けられたフライホイールに装着され、主に、クラッチディスク組立体とクラッチカバー組立体とから構成されている。クラッチディスク組立体は、フライホイールの摩擦面に近接して配置された摩擦連結部(クラッチディスク)と、トランスミッション入力シャフトに連結されたハブと、摩擦連結部とハブとを回転方向に弾性的に連結するダンパー機構とから構成されている。クラッチカバー組立体は、クラッチディスク組立体の摩擦連結部をフライホイールの摩擦面に付勢するための装置であり、フライホイールに固定されたクラッチカバーと、クラッチカバーと一体回転し摩擦連結部に近接して配置されたプレッシャープレートと、クラッチカバーに支持されてプレッシャープレートを摩擦連結部側に付勢する弾性部材とから構成されている。クラッチ装置は、さらに、レリーズ装置を備えている。レリーズ装置は、クラッチカバー組立体から摩擦連結部への付勢力を解除するための装置である。
クラッチ接続時には、弾性部材がプレッシャープレートを付勢して、摩擦連結部をフライホイールとプレッシャープレートによって挟みつける。この結果、フライホイールのトルクはクラッチディスク組立体からトランスミッション入力シャフトに伝達される。クラッチレリーズ時には、レリーズ装置が軸方向に移動して弾性部材を駆動し、弾性部材からプレッシャープレートへの荷重を解除する。この結果、プレッシャープレートは摩擦連結部から離れ、摩擦連結部はフライホイールの摩擦面から離れる。つまり、トランスミッション入力シャフトへの動力伝達が遮断される。
クラッチ装置において、摩擦連結部の両面(すなわち、フライホイール及びプレッシャープレートと摩擦係合する部分)、クラッチ切断時、及びクラッチ接続時の摩擦により損耗しうる。そこで、そのような問題を解決するために、従来より、クラッチディスクの摩擦面にオイルを供給する湿式クラッチが知られている。
従来の湿式クラッチでは、オイル供給機構としては、トランスミッション入力シャフト内にオイル通路を設けているか、またはクラッチレリーズ装置周辺にオイル噴霧ノズルを配置する等が知られている。しかし、クラッチディスク組立体周辺の形状がオイル供給に対応していないため、クラッチディスク組立体の摩擦連結部へのオイル供給が効率よく行われていなかった。特に、クラッチディスク組立体のクッショニングプレートにおいて、クラッチディスク組立体が回転することでオイルに遠心力が働き、隣接するクッショニングプレートのクッショニング部同士の間に形成される径方向の隙間より、オイルが外周側へ排出され、摩擦連結部へのオイル供給の効率が低下していた。
本発明の目的は、湿式クラッチのクラッチディスク組立体において、クラッチディスク組立体に設けられたクッショニングプレートの形状を工夫することで、摩擦連結部へのオイル供給の効率を向上させることにある。
請求項1に記載のクラッチディスク組立体は、摩擦面にオイルを供給することが可能な湿式クラッチにおいて、エンジンのクランクシャフトに設けられたフライホイールと、トランスミッション入力シャフトの回りに環状に配置されたプレッシャープレートとの間に配置されたクラッチディスク組立体であって、トランスミッション入力シャフトに連結するハブと、ハブの回りに配置されフライホイールとプレッシャープレートとの間に配置された環状の摩擦連結部と、ハブと摩擦連結部を回転方向に対して弾性的に連結するダンパー機構とを備えている。摩擦連結部は、ダンパー機構の外周縁に放射状に配置された複数のクッショニング部を有するクッショニングプレートと、複数のクッショニング部の軸方向両側に配置された一対の摩擦部材とを備え、クッショニング部の各々は、摩擦連結部の回転運動により外周側へのオイルの移動を抑えるために、隣接するクッショニング部の回転方向端同士が近接しかつ半径方向に延びる微小隙間を形成するように相補的な形状を有している。
クラッチディスク組立体がフライホイールやプレッシャープレートと共に回転運動することで、摩擦連結部周辺に供給されたオイルには遠心力が働くため、隣接するクッショニング部の回転方向端同士の隙間から摩擦連結部の外周側にオイルが排出されやすく、オイル供給の効率が低下する。この装置では、摩擦連結部において、隣接するクッショニング部の回転方向端同士が近接し微少隙間を形成しているため、摩擦連結部に供給されたオイルが遠心力により微少隙間を通って外周側へ流れる際に、通過抵抗が大きくなり外周側へのオイルの排出を抑えることができる。
請求項2に記載のクラッチディスク組立体は、請求項1において、微小隙間は外周側に流れるオイルが衝突する壁部を有している。
この装置では、微少隙間に壁部を有しているため、摩擦連結部に供給されたオイルが遠心力により微少隙間を通って流れる際に、オイルが壁部に衝突することで外周側へのオイルの流れを阻害することができる。
請求項3に記載のクラッチディスク組立体は、請求項1において、微少隙間がオイルを内周側へ移動させる部分を有している。
この装置では、微少隙間にオイルが内周側に移動する部分を有しているため、摩擦連結部に供給されたオイルが遠心力により微少隙間を通って流れる際に、オイルの流れる方向を外周側から内周側へ変えることができる。
請求項4に記載のクラッチディスク組立体は、請求項1において、クッショニング部の一つの回転方向端は、内周側端と、内周側端よりさらに円周方向に延びる外周側突出部とを有し、一つの回転方向端に隣接するクッショニング部の回転方向端は、外周側突出部に近接する外周側端と、外周側端よりさらに円周方向に延び内周側端に近接する内周側突出部とを有している。
この装置では、内周側突出部と外周側突出部とを有したクッショニング部が隣接するクッショニング部の回転方向端と噛み合うことで、径方向に直線的ではない微少隙間を形成することができ、通過抵抗をさらに大きくすることができる。
請求項5に記載のクラッチディスク組立体は、請求項4において、外周側突出部が内周側に延びる第1凸部と、第1凸部の円周方向片側に形成された第1凹部とを有し、内周側突出部が外周側に延びる第2凸部と、第2凸部の円周方向片側に形成された第2凹部とを有している。第1凸部と第2凹部は相補的に配置され、第2凸部と第1凹部は相補的に配置されている。
この装置では、クッショニング部は外周側突出部に第1凸部と第1凹部、内周側突出部に第2凸部と第2凹部とをそれぞれ有しており、隣接するクッショニング部の回転方向端同士が噛み合うことで、さらに微少隙間の形状が複雑になる。オイルが微少隙間を通って遠心力により内周側から外周側へ流れる際に、凸部及び凹部周辺での流れ方向を外周側から内周側へ変えることができる。
本発明にかかるクラッチディスク組立体であれば、湿式クラッチにおいてクッショニングプレートの形状を変更することで、隣接するクッショニングプレートのクッショニング部同士の隙間から摩擦連結部に供給されたオイルが遠心力により外周側に排出されるのを抑えることができ、その結果、摩擦連結部へのオイル供給の効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(1)クラッチ装置全体の構造
図1に本発明の一実施形態である湿式クラッチの縦断面図、図2に平面図を示す。O−Oが本発明にかかる湿式クラッチの回転中心線である。湿式クラッチは、フライホイール1、クラッチディスク組立体4、クラッチカバー組立体2、クラッチレリーズ装置3から構成されている。フライホイール1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)に固定されている。
クラッチディスク組立体4は、クラッチ機能とダンパー機能とを実現するための装置である。クラッチディスク組立体4の外周部には、摩擦連結部10が設けられている。摩擦連結部10はフライホイール1の摩擦面1aに近接して配置されている。また、クラッチディスク組立体4の中心部にハブ30が設けられている。ハブ30は、トランスミッション入力シャフト18にスプライン係合している。摩擦連結部10とハブ30はコイルスプリング等からなるダンパー機構9によって回転方向に連結されている。摩擦連結部10は、円周方向に一定間隔の軸方向連通部11aをおいて配置されたクッショニングプレート11と、クッショニングプレート11の外周部を挟み込むように取り付けられている環状の摩擦部材12で構成されている。摩擦部材12は、フライホイール1とプレッシャープレート6との間に挟まれる際の摩擦による損耗を考慮した材質としており、摩擦熱による加熱防止やオイルによる潤滑を考慮して、摩擦部材12の表面には複数の溝を設けている。
クラッチカバー組立体2は、クラッチディスク組立体4の摩擦連結部10をフライホイール1側に付勢するための装置である。クラッチカバー組立体2は、フライホイール1に固定された皿状のクラッチカバー5と、クラッチカバー5の内側に配置された環状のプレッシャープレート6と、環状の弾性部材7とを備えている。プレッシャープレート6は、フライホイール1との間に摩擦連結部10を挟むように配置されており、クラッチカバー5に対して一体回転するようにかつ軸方向に移動可能となるようにストラッププレート8によって固定されている。弾性部材7は、環状弾性部と複数のレバー部とから構成されている。弾性部材7の環状弾性部は、外周部がクラッチカバー5に支持されており、径方向中間部がプレッシャープレート6に支持されている。この状態で弾性部材7の環状弾性部は軸方向に変形しており、プレッシャープレート6をクラッチディスク組立体4に向けて押圧している。弾性部材7のレバー部の先端(内周端)はクラッチレリーズ装置3に連結されている。
クラッチレリーズ装置3は、フライホイール1にクラッチディスク組立体4を付勢する力を解除するために、トランスミッション入力シャフト18の回りにシャフト軸方向へ移動可能に配置されている。この実施形態では、クラッチレリーズ装置3は、軸方向トランスミッション側に移動して弾性部材7のレバー部先端を引き上げることでクラッチレリーズ動作を行う。なお、トランスミッション入力シャフト18の回りには筒状の静止シャフト19が配置され、クラッチレリーズ装置3は静止シャフト19に対して摺動可能に支持されている。
ここで、本発明の実施形態を説明する前に、摩擦面へオイルを供給する湿式クラッチの実施形態について、以下(2)〜(7)にて説明する。
(2)クラッチレリーズ装置の実施形態
摩擦連結部10へオイルを供給するクラッチレリーズ装置の一実施形態を示す。クラッチレリーズ装置3は、シャフト軸方向へ移動可能に駆動されるレリーズ部材24と、レリーズ部材24と共にシャフト軸方向へ一体となって移動するレリーズベアリング20とを備えている。レリーズ部材24は、筒状の部材であり、内周面24aが静止シャフト19の外周面19aに当接している。レリーズ部材24は、図示しないレリーズフォーク等によって軸方向に駆動され得る。
図3にクラッチレリーズ装置3の縦断面図、図4にレリーズ部材24のA−A断面図を示す。レリーズ部材24の内周面24aには、シャフト軸方向へ延びている複数の(2本の)細溝と、シャフト円周方向へ環状に形成された溝が備わっている。これらの溝によって、レリーズ部材24の内周面24aと静止シャフト19の外周面19aが摺動可能に当接することにより、レリーズ部材24と静止シャフト19の間には、シャフト軸方向へ延びている複数(2本の)の溝状の通路25と、シャフト円周方向へ環状の油室26が形成される。通路25は、レリーズ部材24の軸方向エンジン側に設けられており、軸方向エンジン側端が開口している。2本の通路25は、半径方向に対向する位置に配置されている。油室26は通路25の軸方向トランスミッション側に設けられ、通路25と油室26は互いに連結されている。レリーズ部材24には、レリーズ部材24の外部より油室26にオイルを供給できるよう供給口27を設けている。レリーズ部材24に設けられたこれら通路25、油室26及び供給口27が、オイル通路となっている。
油室26にオイルが供給されると油室26内の空間にオイルが充満し、油室26に連結されている通路25を通って、シャフト軸方向クラッチディスク組立体4側へオイルが排出される。排出されたオイルはクラッチディスク組立体4を伝って、クラッチディスク組立体4の摩擦連結部10の両面に潤滑給油される。油室26及び通路25は、レリーズ部材24と静止シャフト19の摺動面への潤滑給油機能をも実現している。
レリーズベアリング20は、インナーレース21、アウターレース22、及び複数の転動体23により構成されている。インナーレース21とアウターレース22は転動体23により回転可能に連結されており、インナーレース21が回転側、アウターレース22が固定側となっている。インナーレース21は、複数の部材を介して、弾性部材7の複数のレバー部の先端と連結されており、弾性部材7と共に回転可能である。アウターレース22は、レリーズ部材24と連結されている。
摩擦連結部へオイルを供給するクラッチレリーズ装置については、上記に加え図5、図6のような実施の形態もあり得る。前記実施形態では、レリーズ部材24の内周面24aにシャフト軸方向へ延びている複数の溝を備えることで、レリーズ部材24と静止シャフト19の間に通路25を形成しているが、図6の如くレリーズ部材24にシャフト軸方向へ延びている複数の貫通孔25’を備えても、通路25と同じ効果は得られる。
また、前記以外の具体的な実施の形態は図7に基づいて説明する。通路25からのオイル供給をより確実にするために、通路25のそれぞれにクラッチディスク組立体4側に中空のオイル案内管28を連結している。オイル案内管28の一端はレリーズ部材24と連結されているためクラッチ切断時、接続時にシャフト軸方向へレリーズ部材24と一体となって移動するが、インナーレース21とは連結されていないため回転はしない。オイル案内管28の他端は、摩擦連結部10の内周側近傍に位置している。より具体的には、オイル案内管28の他端は、クラッチディスク組立体4のダンパー機構9と、プレッシャープレート6との間に位置しており、半径半径方向外側でかつ軸方向エンジン側に延びており、摩擦連結部10の内周縁に向いている。オイル案内管28を配置することにより、フライホイール1、クラッチディスク組立体4、プレッシャープレート6の摩擦面へのオイル供給をより確実に行うことができる。また、オイル案内管28のクラッチディスク組立体4側にオイル噴霧部材29を配置することで、クラッチディスク組立体4へのオイル供給状況がさらに向上する。オイル噴霧部材29とは、摩擦連結部10やプレッシャープレート6周辺に任意の噴霧状態でオイルを供給するための部材である。
(3)クラッチ装置の動作
ここで、クラッチ装置の動作について説明する。クラッチ接続状態では、弾性部材7がプレッシャープレート6をフライホイール1側に付勢している。そのため、クラッチディスク組立体4の摩擦連結部10がフライホイール1とプレッシャープレート6との間に挟みつけられる。その結果、フライホイール1のトルクは、クラッチディスク組立体4に伝達され、さらにトランスミッション入力シャフト18に出力される。
クラッチ切断動作時(クラッチ連結→クラッチ連結解除)は、クラッチレリーズ装置3が図示しないレリーズフォーク等によってトランスミッションケース側に移動させられ、弾性部材7のレバー部先端を引き出す。これにより、弾性部材7の環状弾性部によるプレッシャープレート6に対する押圧が解除される。この結果、ストラッププレート8の弾性力によってプレッシャープレート6が摩擦連結部10から離れ、さらに摩擦連結部10がフライホイール1の摩擦面14から離れる。以上によって、エンジンからトランスミッション入力シャフト18への動力伝達は遮断される。
(4)オイル供給について
プレッシャープレート6周辺にオイルを供給するオイル供給装置について説明する。オイル供給装置は、オイルポンプ、オイルタンクから構成される(図示せず)。オイルポンプは、オイルタンクに連結されており、クラッチレリーズ装置3周辺よりクラッチディスク組立体4やプレッシャープレート6周辺に噴霧されたオイルを、再びオイルタンクへ戻る構造としておくことで、オイルを循環使用できる。
また、オイルの供給は常時行うわけではなく、供給のタイミングとしては、例えばクラッチ切断時のプレッシャープレート6の押圧が解除された時等がある。そのためには、クラッチレリーズ装置3にシャフト軸方向の運動を検知する検出装置を配置しておき、クラッチ切断時が検出可能なようにしておく。それにより、クラッチ切断時に検出装置からオイルポンプへ信号を送ることで、オイルポンプを運転するようにしておけば、クラッチ切断時のオイル供給が自動化できる。オイル噴霧時間は、オイルポンプの運転タイマを設けクラッチ切断後一定時間噴霧する等が考えられる。この結果、摩擦連結部10の両面(すなわち、フライホイール1及びプレッシャープレート6に摩擦係合する部分)が、クラッチ切断時、及びクラッチ接続時の摩擦に対し潤滑することができ、損耗に対する耐久性、動力伝達時の発進性等が向上する。
(5)プレッシャープレート周辺の構造
図8に湿式クラッチの一実施形態としてのプレッシャープレート周辺の縦断面図を示す。前述の如く、プレッシャープレート6は、クラッチカバー組立体2を構成する環状の部材で、フライホイール1との間にクラッチディスク組立体4の摩擦連結部10を挟み込むように配置されている。
プレッシャープレート6は、弾性部材7側にある突出部13と、摩擦連結部10側にある摩擦面14と、径方向内周側にあるオイル案内面15とを有する。突出部13は、プレッシャープレート6の弾性部材7側に円周方向に複数配置された突起であり、弾性部材7がプレッシャープレート6を押圧する際の弾性力を受ける部分である。クラッチ接続時には弾性部材7が弾性力により突出部13を押圧することにより、プレッシャープレート6がシャフト軸方向に移動し、フライホイール1との間に摩擦連結部10を挟み込む。摩擦面14は、シャフト軸に対して垂直で一様な環状の平面であり、クラッチ接続時には弾性部材7の弾性力により摩擦連結部10と摩擦係合する。オイル案内面15は、プレッシャープレート6の内周面に設けており、プレッシャープレート6周辺に供給されたオイルが摩擦連結部10へ流れやすいよう、軸方向フライホイール1側へいくにしたがって、径方向外側へ徐々に広がった形状としている。よって、プレッシャープレート6がフライホイール1とクラッチカバー5と共に一体で回転しているため、オイル供給装置によりプレッシャープレート6周辺に供給されたオイルには径方向外側へ遠心力が働き、その結果、オイルはオイル案内面15を径方向外側へ伝って流れ、摩擦連結部10へ供給される。特に、オイル案内面15を円周方向全周にわたり均一にしているため、オイル案内面15上のオイルの流れがよりスムーズになる。
また、オイル案内面15に沿って複数の溝で形成されているオイル案内通路16を設けている場合も考えられる。つまり、この実施形態では、オイル案内面15は、溝からなるオイル案内通路16と、溝以外の部分とから構成されている。図9にオイル案内通路を設けた場合のプレッシャープレート縦断面図、図10にオイル案内通路C−C断面図を示す。溝はオイル案内面15に沿って軸方向へ延びており、円周方向に複数配置している。オイル案内通路16の底面はオイル案内面15に対して半径方向外側に位置しており、さらにその軸方向エンジン側部がプレッシャープレート6側の摩擦部材12aの内周縁に近接しているため、オイル案内通路16を通ったオイルはプレッシャープレート6側の摩擦部材12aへ直接供給される。一方、オイル案内面15の溝以外の部分はオイル案内通路16より半径方向内側に位置しており、さらにその軸方向エンジン側部がプレッシャープレート6側の摩擦部材12aの内周縁から半径方向内側に離れているため、オイル案内面15において溝以外の部分を流れるオイルは、隣接するクッショニングプレート11の間にある軸方向連通部11aを通って、摩擦連結部10のフライホイール1側へ供給される。
これにより、プレッシャープレート6周辺に供給されたオイルが、プレッシャープレート6側だけではなくフライホイール1側の摩擦部材12bへも流れていき、プレッシャープレート6側から供給されたオイルが、一部フライホイール1側へも供給されるため、オイルの供給の効率が向上する。また、オイル案内通路16とオイル案内通路16以外のオイル案内面15の幅の割合は円周方向に一定としており、幅の割合を変えることでフライホイール1側へ流れるオイルの量の割合を変えることが可能である。例えば、オイル案内通路16の幅を狭く、オイル案内通路16以外の部分の幅を大きくすると、オイル案内通路16以外の部分を伝って流れるオイルの量が多くなり、フライホイール1側へ流れるオイルの量が増えることになる。
さらに、プレッシャープレート6の軸方向フライホイール1側に隣接して、円周方向に沿った溝で形成されている油溜まり17aが形成されている場合も考えられる。図11に油溜まりを設けた場合のプレッシャープレート縦断面図を示す。プレッシャープレート6周辺に供給されたオイルは、油溜まり17aを設けているため、プレッシャープレート6が摩擦連結部10に押圧されている場合、プレッシャープレート6側から摩擦連結部10へ流れてきたオイルが一時的に溝へ溜まり、摩擦部材12aへのオイル供給が持続する。また、フライホイール1側にも油溜まり17bを設けることにより、フライホイール1側の摩擦部材12bに対しても同様の効果を得ることが可能である。また、プレッシャープレート6側とフライホイール1側の油溜まり17a、17bの幅を変えることで、オイルが流れにくいフライホイール1側にオイルが溜まりやすくなり、摩擦連結部10両面(プレッシャープレート6側とフライホイール1側)に対する潤滑の持続性のバランスが調整できる。
(6)クラッチディスク組立体周辺の構造
図12に湿式クラッチの一実施形態としてのリテーニングプレート周辺の縦断面図を示す。クラッチディスク組立体4は、フライホイール1とクラッチカバー組立体2との間に挟み込まれるように配置されている。クラッチディスク組立体4の中心部には、トランスミッション入力シャフトと係合するハブ30が配置されている。ハブ30は、トランスミッション入力シャフトにスプライン係合しているボス部30aと、ボス部30aから外周側に延びるフランジ部30bとを有している。また、クラッチディスク組立体4の外周部には、摩擦連結部10が配置されている。摩擦連結部10は、円周方向に一定の軸方向連通部11aをおいて配置されたクッショニングプレート11と、クッショニングプレート11の外周部を挟み込むように取り付けられている一対の環状の摩擦部材12とで構成される。ハブ30と摩擦連結部10は、クラッチ接続時の衝撃を吸収するためのダンパー機構9により回転方向に連結されている。ダンパー機構9は、主に、クラッチ接続時の衝撃を吸収するためのコイルスプリング31と、前述のフランジ部30bと、クラッチプレート32と、リテーニングプレート33とから構成されている。コイルスプリング31は、円周方向に並んで複数配置されており、フランジ部30bに設けられた窓孔30cにはめ込まれている。クラッチプレート32とリテーニングプレート33は、フランジ部30bの軸方向両側に配置され、互いに固定されている。クラッチプレート32は、コイルスプリング31のフライホイール1側に配置されている円板状の部材で、外周部には摩擦連結部10のクッショニングプレート11が固定されている。リテーニングプレート33は、コイルスプリング31の軸方向フライホイール1側と反対側、つまりコイルスプリング31の弾性部材7側に配置されている円板状の部材である。クラッチプレート32とリテーニングプレート33には、フランジ部30b同様、コイルスプリング31の位置に合わせて窓部32a,33aが設けられている。プレート32,33の窓部32a,33aは、コイルスプリング31を収容し、具体的には軸方向の移動を制限し、さらに回転方向の支持も行っている。これにより、クラッチ接続時にクラッチディスク組立体4に伝わる回転方向の衝撃が、コイルスプリング31の圧縮によって減衰、吸収される。その結果、大きな衝撃を伴うことなく、クランクシャフトのトルクがトランスミッション入力シャフトへ伝達される。
リテーニングプレート33は、外周部にオイル案内部34を有している。オイル案内部34は、リテーニングプレート33において窓部33aのさらに外周側の平坦部33bからさらに径方向外側に延びる環状の部分である。オイル案内部34は、径方向外側にいくにしたがって軸方向フライホイール1側に位置するような形状を有しており、外周縁が摩擦連結部10の内周縁近傍に延びている。さらに具体的には、オイル案内部34の先端外周縁は、軸方向位置が、プレッシャープレート6の内周面、特にオイル案内面15にまで到達している。また、オイル案内部34は、フランジ部30bの外周部よりさらに外周側に延びている部分であり、その先端外周縁はフランジ部30bの軸方向位置と概ね同じ又は軸方向エンジン側に位置している。また、オイル案内部34は、クラッチディスク組立体4の回転によりオイルの流れを阻害しないよう、円周方向に一定の形状を有している。オイル案内部34がこれらの形状を有することにより、クラッチレリーズ装置3側からリテーニングプレート33周辺にオイルが供給されても、リテーニングプレート33外周部まで遠心力でオイルが流れ、オイル案内部34を伝ってプレッシャープレート6のオイル案内面15にオイルが供給されやすくなる。その結果、オイル案内部34がない場合に比べて、プレッシャープレート6のオイル案内面15以外の部分に飛散するオイルの量が減少し、確実にオイル案内面15へオイルが供給されるようになり、摩擦連結部10へのオイル供給の効率が向上する。なお、図12において、オイル案内部34は、断面図において軸方向トランスミッション側に凸となる面を有しているが、必ずしもそのような形状に限定されない。例えば、オイル案内部34は、断面において直線状又は軸方向トランスミッション側に凹であってもよい。
また、図13にオイル案内板を使用した場合の縦断面図を示す。オイル案内板35は、リテーニングプレート33の外周部に配置したオイル案内部34と同じような形状を有したプレートである。オイル案内板35は、径方向外側にいくにしたがって軸方向フライホイール1側に位置するような形状を有しており、外周縁が摩擦連結部10の内周縁近傍に延びている。また、オイル案内部34は、円周方向に一定の形状を有している。よって、オイル案内板35によって、オイル案内部34と同様の効果が得られる。
(7)摩擦連結部周辺の構造
図14にオイル受部を設けた場合の摩擦連結部周辺の縦断面図、図2に平面図を示す。前述の如く、摩擦連結部10は、クラッチディスク組立体4の中央に設けられたダンパー機構9の外周部に環状に配置されており、クッショニングプレート11と、摩擦部材12と、芯板36から構成される。クッショニングプレート11は、ダンパー機構9の外周縁に放射状に固定された板状の部材である。クッショニングプレート11は、内周側の固定部11bと、外周側のクッショニング部11cとから構成されている。クッショニング部11cは、軸方向に弾性変形可能な形状を有している。クッショニングプレート11同士の間には、摩擦部材12より内周側に軸方向連通部11aがある。摩擦部材12は、フライホイール1とプレッシャープレート6との間に狭持され摩擦係合する部分で、クッショニングプレート11のクッショニング部11cを挟み込んでいる一対の環状の部材である。
芯板36は、オイル供給により剛性が低くなった摩擦部材12を補強するための環状の部材で、摩擦部材12と貼り合わせて一体となっている。芯板36と一体となった摩擦部材12は、クッショニングプレート11のクッショニング部11cの軸方向片側にリベット38にて固定されている。摩擦部材12は、摩擦連結部10の軸方向プレッシャープレート6側に摩擦部材12a、軸方向フライホイール1側に摩擦部材12bがそれぞれ配置されることとなるため、摩擦連結部10は、芯板と摩擦部材とからなる組を二組有し(摩擦部材12aと芯板36aの組と、摩擦部材12bと芯板36bの組)、芯板36a、36bの間にクッショニングプレート11のクッショニング部11cが挟み込まれた状態となる。
プレッシャープレート6周辺に供給されたオイルをフライホイール1側へ案内するために、芯板36aの内周縁を軸方向プレッシャープレート6側へ延長した板状のオイル受部37が設けられている。芯板36bとプレッシャープレート6との間にはクッショニングプレート11が存在するため、オイル受部37は円周方向全周にわたり形成されるのではなく、クッショニングプレート11同士の間にある軸方向連通部11aを貫通した部分のみ、軸方向プレッシャープレート6側へ延長されている。具体的には、オイル受部37は、軸方向連通部11a内において外周側(最外周縁)に配置されている。よって、円周方向に複数のオイル受部37が断続的に形成されている。
オイル受部37の内周面は、クラッチディスク組立体4の回転運動により発生する遠心力を利用するために、軸方向フライホイール1側へいくにしたがって、径方向外側へ徐々に広がった形状としている。オイル受部37は、芯板36a及び摩擦部材12aの内周縁に近接している。また、オイル受部37の軸方向プレッシャープレート6側の端部をオイル受部先端37aとすると、オイル受部先端37aはプレッシャープレート6の油溜まり17aに近接しており、それぞれが接触しないようオイル受部先端37aと油溜まり17aとの間には、軸方向、及び径方向に隙間を設けている。さらに、オイル案内面15を伝って流れてきたオイルが、オイル受部37の内周面に流れやすいよう、オイル受部先端37aはオイル案内面15の摩擦連結部10側よりも径方向外側(図14では、オイル案内面15の摩擦連結部10側よりも下側)になるよう配置している。
これらの形状を有するオイル受部37を設けることで、オイル案内面15を伝って摩擦連結部10側へ流れてきたオイルが、オイル受部37の内周面に流れやすくなる。また、オイル受部37の内周面を流れるオイルには、クラッチディスク組立体4の回転運動により遠心力が働くため、オイルが摩擦連結部10側へ流れやすくなる。さらに、オイル受部37がクッショニングプレート11同士の間にある軸方向連通部11aを貫通しているため、オイル受部37の内周面を伝ってフライホイール1側の摩擦部材12へオイルが確実に移動する。
また、次のような実施形態も考えられる。図15にオイル受部の他の実施形態である摩擦連結部周辺の縦断面図、図16に平面図を示す。前述の実施形態とは異なり、プレッシャープレート6側の芯板36aの内周縁を軸方向プレッシャープレート6側へ延長しオイル受部37が設けられている。芯板36aとプレッシャープレート6との間には、クッショニングプレート11が存在しないため、クッショニングプレート11同士の間にある軸方向連通部11aを考慮する必要がない。したがって、オイル受部37は、円周方向全周にわたり均一な形状を有する筒状の部材とすることができる。
オイル受部37の内周面は、軸方向フライホイール1側へいくにしたがって、径方向外側へ徐々に広がった形状としている。オイル受部先端37aは、プレッシャープレート6の油溜まり17aとの間に隙間を設けている。これらの形状を有するオイル受部37を設けることにより、オイル案内面15を伝ってオイル受部37へ流れてきたオイルは、摩擦連結部10側へスムーズに移動し、フライホイール1側の摩擦部材12bへ確実に流れていく。
図14の実施形態では円周方向に複数のオイル受部37が断続的に設けられていたため、クラッチディスク組立体4の回転運動により、オイル受部37の円周方向にオイルが逃げてしまうことが考えられる。また、図15の実施形態ではプレッシャープレート6側の芯板36aを利用しているため、フライホイール1側の摩擦部材12bへオイルが流れていく間に、クッショニングプレート11と芯板36aとの隙間、及びクッショニングプレート11と芯板36bとの隙間にオイルが入り込む。よって、摩擦部材12bへ供給される前に、遠心力によりクラッチディスク組立体4の外周側へ排出され、フライホイール1側の摩擦部材12bへのオイル供給の効率低下につながる。これは、図14の実施形態においては、オイル受部37がクッショニングプレート11同士の間にある軸方向連通部11aを貫通していたため、特に問題とならなかった。そこで、以下のような実施形態もあり得る。
図17にオイル受部の他の実施形態である摩擦連結部周辺の縦断面図、図18に平面図を示す。フライホイール1側の芯板36bの内周縁には、芯板36aの内周縁を軸方向プレッシャープレート6側へ延長した板状のオイル補助部材39が設けられている。芯板36bとプレッシャープレート6との間にはクッショニングプレート11が存在するため、図14の実施形態と同様、オイル補助部材39は、クッショニングプレート11同士の間にある軸方向連通部11aを貫通し、軸方向プレッシャープレート6側へ突き出している。オイル補助部材39の内周面には、筒状のオイル受部37が固定されている。オイル補助部材39の内周面と、オイル受部37の外周面は、スポット溶接等により複数箇所固定されている。
オイル受部37の内周面は、前述の実施形態と同様、軸方向フライホイール1側へいくにしたがって、径方向外側へ徐々に広がった形状としている。オイル受部先端37aは、プレッシャープレート6の油溜まり17aとの間に隙間を設けている。また、オイル受部37の軸方向フライホイール1側の端部は、クッショニングプレート11に近接している。
これらの形状を有することにより、オイル案内面15を伝ってオイル受部37へ流れてきたオイルは、オイル受部37の内周面をフライホイール1側へスムーズに移動する。また、オイルがクッショニングプレート11同士の間にある軸方向連通部11aまで達すると、オイル補助部材39の内周面を伝って、フライホイール1側の摩擦部材12bへオイルがより確実に供給される。
それでは、前述の湿式クラッチにおける本発明の実施形態について説明する。
(8)クッショニングプレート周辺の構造
まず、クッショニング部11c周辺の径方向の隙間について説明する。図19にクラッチ切断時の摩擦連結部周辺の径方向断面図、図20にクラッチ接続時の摩擦連結部周辺の径方向断面図を示す。クッショニング部11cは、プレッシャープレート6の押し付け力を緩衝し、スムーズなクラッチ接続を実現するために、摩擦部材12a、12bとの間に設けられている。クッショニング部11cは、摩擦部材12aと固定されているクッショニング固定部11dと、摩擦部材12bと固定されているクッショニング固定部11eと、クッショニング固定部11dと11eとを弾性的に連結している中間弾性部11fと、クッショニング固定部11d及び11eの円周方向外側の側方弾性部11gとから構成される1枚の板状部材である。
クッショニング固定部11d及び11eは、それぞれ摩擦部材12a及び12bとリベット38にて固定されている。クッショニング固定部11dと11eとは、中間弾性部11fにより連結されている。クッショニング固定部11d、11e、中間弾性部11fは、平板ではなく、軸方向に変形可能なよう、摩擦部材12とは平行ではなく、軸方向に若干傾いた形状を有している。側方弾性部11gも同様に、軸方向に若干傾いており、クッショニング部11cは円周方向に波形状を有している。
クラッチ切断時には、摩擦部材12はフライホイール1とプレッシャープレート6との間に狭持されないため、クッショニング部11cは図19のように円周方向に波形状を保っており、摩擦部材12の間に径方向に複数のクッショニング隙間11hを有することとなる。一方、クラッチ接続時には、フライホイール1とプレッシャープレート6との間に狭持されるため、クッショニング部11cの中間弾性部11f及び側方弾性部11gは、摩擦部材12の間で押圧されて軸方向に変形し、クッショニング部11cは平板となって摩擦部材12と密着した状態となる。この時、クッショニング隙間11hは消失し、隣接するクッショニング部11c同士の間に後述の微少隙間44が形成される。
それでは、クッショニング部11cの形状の詳細について説明する。図21に本発明の一実施形態としての湿式クラッチの平面図、図22にクッショニングプレート周辺の平面図を示す。クッショニングプレート11は、ダンパー機構9の外周縁に固定された板状の部材で、内周側の固定部11bと、外周側のクッショニング部11cとから構成される。
クッショニング部11cは、一方の回転方向端に内周側端41aと外周側突出部40bとを有し、隣接するクッショニング部11cの隣接する回転方向端に内周側突出部41bと外周側端40aとを有する。よって、1枚のクッショニング部11cは、一方の回転方向端に内周側端41a及び外周側突出部40b、他方の回転方向端に内周側突出部41b及び外周側端40aをそれぞれ有することとなる。外周側突出部40bは、内周側端41aよりさらに円周方向に延びた矩形の突起であり、隣接するクッショニング部11cの外周側端40aと相補的な形状を有している。内周側突出部41bは、外周側端40aよりさらに円周方向に延びた矩形の突起であり、隣接するクッショニング部11cの内周側端41aと相補的な形状を有している。よって、クラッチ接続時には、隣接するクッショニング部11cの回転方向端同士は、概ね一定の間隔を保って近接した状態で微少隙間44を形成している。
微少隙間44は、隣接するクッショニング部11cと、一対の摩擦部材12または芯板36とに囲まれた空間であり、外周側突出部40bや内周側突出部41bを有しているため、従来よりも複雑な形状となっている。具体的には、微少隙間44は、内周側端41aと隣接する内周側突出部41bとの間に形成される径方向の微少構成隙間44aと、内周側突出部41bと隣接する外周側突出部40bとの間に形成される円周方向の微少構成隙間44bと、外周側突出部40bと隣接する外周側端40aとの間に形成される径方向の微少構成隙間44cとから構成される。微少構成隙間44aから44cまではそれぞれ順に連通しているため、微少隙間44はクッショニング部11cの内周側から外周側にかけて屈曲部を有した1本の細長い空間となる。
これらの形状を有することで、外周側へ流れようとするオイルが、微少構成隙間44bを通過する際に外周側突出部40bの内周面に衝突する。その結果、径方向に直線的な隙間よりも大きな通過抵抗をオイルに与えることができ、オイルが外周部へ排出されるのを抑える効果を生じる。特に、クラッチディスク組立体4が方向Xに回転する場合、つまり外周側突出部40bの延びる方向と同じ方向に回転する場合に、オイルには方向Yに慣性力が働くため、さらに効果的である。
さらに、次のような実施形態も考えられる。図23に本発明の他の実施形態であるクッショニングプレート周辺の平面図を示す。この実施形態は、前述の外周側突出部40b及び内周側突出部41bの形状を一部変更したものである。外周側突出部40bの内周面に第1凸部42a及び第1凹部42bを有し、内周側突出部41bの外周面に第2凸部43a及び第2凹部43bを有している。第1凸部42aは、外周側突出部40bから内周側に延びる円形の突起であり、第1凹部42bは、内周側端41aと第1凸部42aとの間に形成されている外周側へ円形に切り欠かれた部分である。第2凸部43aは、内周側突出部41bから外周側に延びる円形の突起である。第2凸部43aは、外周側端40aと第2凸部43aとの間に形成されており、内周側へ円形に切り欠かれた部分である。第1凸部42aと第2凹部43b、及び第2凸部43aと第1凹部42bとはそれぞれ相補的な形状を有しており、クラッチ接続時には概ね一定の間隔を保って微少隙間45を形成している。
微少隙間45は、第1凸部42aと第2凹部43b、及び第2凸部43aと第1凹部42bを有しているため、前述の実施形態よりもさらに複雑な形状となる。具体的には、微少隙間45は、内周側端41aと隣接する内周側突出部41bとの間に形成される径方向の微少構成隙間45aと、第1凹部42bと隣接する第2凸部43aとの間に形成される曲線の微少構成隙間45bと、第1凸部42aと隣接する第2凹部43bとの間に形成される曲線の微少構成隙間45cと、外周側突出部40bと隣接する外周側端40aとの間に形成される径方向の微少構成隙間45dとから構成される。上記の微少構成隙間45aから45dまではそれぞれ順に連通しているため、微少隙間45はクッショニング部11cの内周側から外周側にかけて屈曲部を有した1本の細長い空間となる。
これらの形状を有することで、オイルが微少隙間45を流れる際の通過抵抗が大きくなり、オイルが外周側へ排出されるのを抑えることができる。具体的には、摩擦連結部10の内周側から微少構成隙間45aへ流れてきたオイルは、微少構成隙間45bから45cにかけて第1凸部42aに沿って内周側へ流れようとするが、オイルには遠心力が働くため外周側へ押し戻される。これにより、オイルが外周側へ排出されるのを抑える効果を生じる。特に、クラッチディスク組立体4が方向Xに回転する場合、つまり外周側突出部40bの延びる方向と同じ方向に回転する場合に、オイルには方向Yに慣性力が働くため、さらに効果的である。この実施形態では、凸部と凹部はそれぞれ円形としているが矩形でも実施可能である。
なお、本発明は、複数のクッショニングプレートを有する摩擦連結部に限定されない。クッショニングプレートは1枚であってもよいし、クッショニングプレートがなく芯板の両側に摩擦部材が貼られた構造であってもよい。また、プレッシャープレートを押圧する弾性部材をダイヤフラムスプリングで記載したが、コイルスプリングでも同様に実施可能である。
本発明にかかるクラッチディスク組立体であれば、クラッチディスク組立体の形状を一部変更することにより、クラッチレリーズ装置側からクラッチディスク組立体やプレッシャープレート周辺にオイルが供給された際に、摩擦連結部へのオイル供給の効率を向上させる効果を有し、摩擦連結部へオイルを供給する湿式クラッチにおいて有用である
湿式クラッチの一実施形態としての湿式クラッチの縦断面図。 湿式クラッチの一実施形態としての湿式クラッチの平面図。 湿式クラッチの一実施形態としてのクラッチレリーズ装置の縦断面図。 湿式クラッチの一実施形態としてのレリーズ部材のA−A断面図。 湿式クラッチの他の実施形態としてのクラッチレリーズ装置の縦断面図。 湿式クラッチの他の実施形態としてのレリーズ部材のB−B断面図。 湿式クラッチの他の実施形態としての縦断面図。 湿式クラッチの一実施形態としてのプレッシャープレート周辺の縦断面図。 オイル案内通路を設けた場合のプレッシャープレート縦断面図。 オイル案内通路を設けた場合のプレッシャープレートC−C断面図。 油溜まりを設けた場合のプレッシャープレート縦断面図。 湿式クラッチの一実施形態としてのリテーニングプレート周辺の縦断面図。 オイル案内板を使用した場合のリテーニングプレート周辺の縦断面図。 オイル受部を設けた場合の摩擦連結部周辺の縦断面図。 オイル受部の他の実施形態である摩擦連結部周辺の縦断面図。 オイル受部の他の実施形態である摩擦連結部周辺の平面図。 オイル受部の他の実施形態である摩擦連結部周辺の縦断面図。 オイル受部の他の実施形態である摩擦連結部周辺の平面図。 クラッチ切断時の摩擦連結部周辺の径方向断面図。 クラッチ接続時の摩擦連結部周辺の径方向断面図。 本発明の一実施形態としての湿式クラッチの平面図。 本発明の一実施形態としてのクッショニングプレート周辺の平面図。 本発明の他の実施形態としてのクッショニングプレート周辺の平面図。
符号の説明
1 フライホイール
2 クラッチカバー組立体
3 クラッチレリーズ装置
4 クラッチディスク組立体
5 クラッチカバー
6 プレッシャープレート
10 摩擦連結部
11 クッショニングプレート
11a 軸方向連通部
11b 固定部
11c クッショニング部
11d、11e クッショニング固定部
11f 中間弾性部
11g 側方弾性部
11h クッショニング隙間
12a、11b 摩擦部材
40a 外周側端
40b 外周側突出部
41a 内周側端
41b 内周側突出部
42a 第1凸部
42b 第1凹部
43a 第2凸部
43b 第2凹部
44 微少隙間
44a、44b、44c 微少構成隙間
45 微少隙間
45a、45b、45c、45d 微少構成隙間
X 方向
Y 方向

Claims (5)

  1. 摩擦面にオイルを供給することが可能な湿式クラッチにおいて、エンジンのクランクシャフトに設けられたフライホイールと、トランスミッション入力シャフトの回りに環状に配置されたプレッシャープレートとの間に配置されたクラッチディスク組立体であって、
    前記トランスミッション入力シャフトに連結するハブと、
    前記ハブの回りに配置され、前記フライホイールと前記プレッシャープレートとの間に配置された環状の摩擦連結部と、
    前記ハブと前記摩擦連結部を回転方向に対して弾性的に連結するダンパー機構とを備え、
    前記摩擦連結部は、前記ダンパー機構の外周縁に放射状に配置された複数のクッショニング部を有するクッショニングプレートと、前記複数のクッショニング部の軸方向両側に配置された一対の摩擦部材とを備え、
    前記クッショニング部の各々は、前記摩擦連結部の回転運動により外周側へのオイルの移動を抑えるために、隣接するクッショニング部の回転方向端同士が近接しかつ半径方向に延びる微小隙間を形成するように相補的な形状を有している、クラッチディスク組立体。
  2. 前記微小隙間は、外周側に流れるオイルが衝突する壁部を有している、請求項1に記載のクラッチディスク組立体。
  3. 前記微小隙間は、オイルが内周側に移動する部分を有している、請求項1に記載のクラッチディスク組立体。
  4. 前記クッショニングプレートの一つの回転方向端は、内周側端と、前記内周側端よりさらに円周方向に延びる外周側突出部とを有し、
    当該クッショニングプレートに隣接するクッショニングプレートの隣接する回転方向端は、前記外周側突出部に近接する外周側端と、前記外周側端よりさらに円周方向に延び前記内周側端に近接する内周側突出部とを有する、請求項1に記載のクラッチディスク組立体。
  5. 前記外周側突出部は、内周側に延びる第1凸部と、前記第1凸部の円周方向片側に形成された第1凹部とを有し、
    前記内周側突出部は、外周側に延びる第2凸部と、前記第2凸部の円周方向片側に形成された第2凹部とを有し、
    前記第1凸部と前記第2凹部は相補的に配置され、前記第2凸部と前記第1凹部は相補的に配置されている、請求項4に記載のクラッチディスク組立体。
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