JP2005133417A - 建築物基礎の引き上げ装置、並びにこれを用いた建築物基礎の引き上げ工法、及び沈下した建築物基礎の修正工法 - Google Patents

建築物基礎の引き上げ装置、並びにこれを用いた建築物基礎の引き上げ工法、及び沈下した建築物基礎の修正工法 Download PDF

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Abstract

【課題】建築物基礎の引き上げ支持力を強固な下層地盤から得て安定を図ると共に、基礎周辺の掘削量を低減させつつ、修正作業の殆どを地上から可能にする。
【解決手段】建築物基礎の引き上げ装置1を、基礎Bの近傍に施工する鋼管杭2と、該鋼管杭に移動可能に保持されて基礎下面に当接させるブラケット3と、ブラケットを鋼管杭に沿って引き上げ移動させると共に鋼管杭の頭頂部に配置したジャッキ手段4と、から構成する。また、ブラケットを、鋼管杭に移動可能に環装させる基管31と、基管から片持ち状に延出させた梁部32から構成し、梁部にはその長さ方向へ移動可能、または着脱可能に構成した受け台34を配設してもよい。さらに、この片持ち荷重によって生じる基管への回転モーメントに対抗させるカウンターモーメントを付加するためのカウンター荷重機構5を、ブラケットの反対側に配置してもよい。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、家屋等の建築物や土木構造物が基礎部地盤の強度不足により不等沈下して傾斜した場合に、この建築物基礎の引き上げ装置、並びにこれを用いた建築物基礎の引き上げ工法、及び沈下した建築物基礎の修正工法に関する。
地震等の外的要因や整地作業や地盤調査の不良等の要因により、建築物等の基礎部分が沈下してしまうことがある。この基礎部分の沈下により、建築物全体に傾斜が発生してしまう事態があり、人体に悪影響があるばかりでなく建築物の倒壊等の危険な状態を招く恐れもある。
かかる事態の修正としては、従来は、図6(A)に示すような、建築物等の基礎Bと土台Dを切り離し、この切り離し部分の間隙にジャッキJを介在させ、該ジャッキJを昇降させることにより建築物の傾斜を水平にする。その後に、該間隙に介在したジャッキJの代わりに鉄板等のスペーサやモルタルを挿入又は充填して固定する修正工法が行われていた(例えば、特許文献1参照。)。
上記工法の他には、図6(B)に示すように、すでに完成している上部構造物の下部で新しい基礎を施工して構造物の荷重を受け替える、いわゆるアンダーピニング工法が行われていた。この工法に各種あるが、例えば、傾斜した基礎Bの底面の周辺を掘削して基礎Bの下側に基礎杭Pを圧入する。そして、基礎杭Pの上端面に受け台Fを設けてジャッキJを配設して基礎Bを持ち上げ、基礎Bの傾斜を修正した後にジャッキJの代わりにスペーサ等を挿入する。最後にその周辺をモルタルで固定して埋め戻す工法があった(特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1の修正工法では、地盤沈下により建築物に傾斜が発生した場合には、基礎Bと土台Dを切り離して土台側のみを水平に修正しているため、基礎Bの傾斜は解消されておらず、その後も地盤沈下が継続すれば、また建築物全体が傾斜していくことになる。
特許文献2の修正工法では、基礎下部に基礎杭Pを圧入するため基礎Bの底面を大きく掘削しなければならず、この掘削作業により基礎Bの安定性が阻害される場合もあった。
また、この工法による基礎杭Pは基礎Bの反力を利用して地盤に圧入しているため、圧入時に基礎Bの剛性が低い場合や地盤の状況によっては、基礎部分に損壊又は亀裂が発生する場合があり、その後の修理等が煩雑であるばかりでなく、作業自体が続行不能となる事態もあった。
さらに、ジャッキJとスペーサを交換する際にはある程度の基礎沈下は避けられず、これらの修正作業の殆どを基礎Bの下側で行うため、作業環境が劣悪であるばかりでなく危険でもあった。
特開平10−280427号公報(第2−3頁、第5―6図) 特開平08−027829号公報(第2−3頁、第9―13図)
そこで、本願発明の解決しようとする問題点は、建築物基礎の傾斜修正における基礎の引き上げ支持力を下層の強固の地盤から得て修正作業中や修正作業後の安定を図り、かつ基礎周辺の掘削量を低減させつつ、その修正作業の殆どを地上から確実に行えるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本願発明にかかる建築物基礎の引き上げ装置は以下のように構成している。
すなわち、建築物基礎(B)の直近又は近傍に施工する鋼管杭(2)と、該鋼管杭(2)に移動可能に保持されて建築物基礎(B)の下面に当接させるブラケット(3)と、該ブラケット(3)を前記鋼管杭(2)に沿って引き上げ移動させるジャッキ手段(4)と、から成ることを特徴としている。
上記ジャッキ手段(4)は、鋼管杭(2)の頭頂部で支持され、この頭頂部を支点としていることを特徴としている。
また、上記ブラケット(3)を、鋼管杭(2)に移動可能に環装させる基管(31)と、該基管(31)からその管軸と垂直方向へ片持ち状に延出させた梁部(32)から構成し、ブラケット(3)の梁部(32)に、長さ方向へ移動可能と着脱可能のいずれか、又は両方の構成を採った受け台(34)を配設したことを特徴としている。
さらに、ブラケット(3)において、梁部(32)の鋼管杭(2)への片持ち荷重によって生じる回転モーメントに対抗させるカウンターモーメントを基管(31)に発生させるカウンター荷重機構(5)を、梁部(32)の反対側に配置したことを特徴としている。
加えて、上記カウンター荷重機構(5)を、梁部(32)の反対側の突設させた支持台(51b)と、基管(31)より上位の鋼管杭(2)の側面との間に、突っ張り状に配置した拡張手段(52)とから構成したことを特徴としている。
上記の建築物基礎の引き上げ装置を用いた建築物基礎の引き上げ工法は、以下のように行っている。
すなわち、建築物基礎(B)の近傍を排土して基礎下面を露出させ、露出した建築物基礎(B)の直近又は近傍に鋼管杭(2)を埋設させ、建築物基礎(B)の下面にブラケット(3)又は受け台(34)を当接させ、該ブラケット(3)をジャッキ手段(4)により引き上げることにより沈下した建築物基礎を引き上げることを特徴としている。
また、上記の建築物基礎の引き上げ装置を用いて、沈下した建築物基礎の修正工法は以下のように行っている。
すなわち、建築物基礎(B)の所定複数個所の近傍を排土して基礎下面を露出させ、露出した建築物基礎(B)の直近又は近傍に鋼管杭(2)を埋設し、建築物基礎(B)の下面にブラケット(3)又は受け台(34)を当接し、前記所定複数箇所に配置した建築物基礎(B)の引き上げ装置の各ジャッキ手段(4)を連繋させながら、各ブラケット(3)を個別設定量に合わせてジャッキ手段(4)により引き上げることによって建築物を水平に修正した後、ブラケット(3)と鋼管杭(2)を固定すると共にジャッキ手段(4)とカウンター荷重機構(5)を取り外して排土部を埋め戻すことを特徴としている。
なお、特許請求の範囲の書類と上記の課題を解決するための手段の欄で記載した括弧付き符号は、発明の構成の理解を容易にするため参考として図面符号を付記したもので、この図面上の形態に限定するものでない。
本願発明の建築物基礎の引き上げ装置は上述する構成をしているため、以下の効果を有する。
すなわち、建築物基礎に対する引き上げ支持力を、鋼管杭を介して下層の強固な地盤から得ているため、引き上げ後に基礎が再度沈下することは殆ど無く安定している。
また、建築物基礎の下端側をブラケットの梁部又は梁部に配設した受け台で引き上げているため、建築物基礎による下向きの回転モーメントがブラケットの基管に作用する結果、ブラケットが鋼管杭の任意の位置で安定的に停止し、作業中にずり落ちるようなことが無い。さらに、受け台を設けることにより、引き上げ過程においても、梁部への荷重点を基礎の中心下に置くことができる効果を有する。すなわち、かかる受け台を省略した場合には、当初の設置では基礎の中心下に梁部への荷重点を位置させるが、上昇を開始した段階で片持ち梁部への上記荷重点が基礎の中心下よりフーチング部の縁部方向に漸次移動してしまうおそれがある。場合によっては基礎の捻れによりフーチング部への亀裂や破損を生じさせるおそれがあり、受け台を設けることはこれを回避する意義を有する。
さらにまた、カウンター荷重機構の配置により引き上げ作業の労力の低減が図られ、ジャッキ手段を鋼管杭の頭頂部において支持していることにより、引き上げ作業の殆どを掘削排土した基礎の下等に入らずとも地上で行え、作業者への安全面への配慮がされている。
加えて、建築物基礎の引き上げ工法は上記の引き上げ装置を用いているため、従来の工法より建築物基礎の近傍の掘削土量も少なく、労力を少なくスムーズに建築物基礎を任意の位置に引き上げることが可能であり、この引き上げ工法を建築物基礎の複数箇所に用いれば、沈下した建築物基礎の修正を安全・迅速に行うことが可能である。
以下に、本願発明にかかる建築物基礎の引き上げ装置(以下、「引き上げ装置」と略称する。)、並びにこれを用いた建築物基礎の引き上げ工法、及び沈下した建築物基礎の修正工法における実施の最良形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本実施例の引き上げ装置の全体外観を示す斜視図であり、図2は本実施例の引き上げ装置の組立斜視図であり、図3は本実施例の引き上げ装置の作用を示す側面図である。
本実施例の引き上げ装置1は、図1に示すように、主に、鋼管杭2、該鋼管杭2に支持されて移動するブラケット3、該ブラケット3を引き上げるためのジャッキ手段4、及びブラケット3の移動を円滑にするためのカウンター荷重機構5、とから成る。なお、このカウンター荷重機構5は、本発明においては必須構成要素ではなく、省略することも可能である。
[鋼管杭の構成]
図示符号2は鋼管杭であり、この鋼管杭2は建築物基礎B(以下、「基礎」と略称する。)の近傍を掘削・排土した後に、アースオーガ等により強固な地盤まで回転貫入または圧入して埋設している。この鋼管杭2は、建築物や基礎Bの大きさや傾斜沈下状態、及び鋼管杭2を埋設する地盤の状態により適宜その材質や大きさが選定されるものである。
[ブラケットの構成]
ブラケット3は、摺動し得る僅かな間隙をもって鋼管杭2に環装させた所定長さを持った管状の基管31に、H鋼から成る所定長さの梁部32を、略水平方向(鋼管杭の軸に垂直方向)に片持ち状に固定して成る。この固定は、該梁部32と基管31と結ぶ補強部材33の取り付けにより強固な剛結状態としている。該補強部材33は基管31の梁部32の連結部及び上部外周側を対向して挟持するように取り付けており、後述するカウンター荷重機構5を構成する支持台51bの環装時のストッパーとしても機能するように配置している。
また、上記梁部32には、長手方向の移動を可能にした受け台34を配置している。この受け台34の上部側には、上面全開放の矩形容器を形成し、この容器内に硬練りのモルタル6を充填してその上面を基礎Bの底面への当接面としている。
なお、基管31の長さLと梁部32の長Lとした場合の比L/Lを、本実施例では構造用炭素鋼から成る鋼管杭2の摩擦係数(通常は0.45〜0.5)より小さい値の0.4程度と設定している。
[ジャッキ手段の構成]
ジャッキ手段4は、一方側に偏り配設した嵌合部42を鋼管杭2の上端開口に内嵌させて固定する支持基台41と、該支持基台41の他方側に貫通させて懸垂状に保持したロッド43とから成る。該ロッド43には、支持基台41の上面側に延出させたネジ形成部にナット44を螺合し、下端部に下方開きのコ字状のフック45を取り付けて成る。該フック45は、その対向する下端部間にシャフト45aを架け渡して、ブラケット3の梁部32を抱え込む構造としている。
この構成により、ナット44を手動回転、又は動力回転させるとその回転方向によりロッド43が上昇または下降する。ブラケット3の引き上げは、フック45の係合により支持基台41を支点部として鋼管杭2に沿って移動し、引き下げはブラケット3及び基礎Bの自重により自然降下による。なお、ほかの昇降手段としては、支持基台41に油圧ジャッキを配設してロッド43やフック45に代えてワイヤ鋼線等によりブラケット3を懸垂支持する構成としても良い(図示省略)。
[カウンター荷重機構の構成]
上記した鋼管杭2を挟んでブラケット3の反対側には、これと一体的にカウンター荷重機構5を配設している。該カウンター荷重機構5は、支持フレーム51、該支持フレーム51にモーメントを発生させる伸縮手段52、及びこの伸縮時に支点となるローラ53、とから構成している。
支持フレーム51は、一方側に基管31へ環装する挿通口51aを有し、かつ基管31への装着時には略水平に延出した状態となる板状の支持台51bと、該支持台51bの他方側(反基管側、または延出側)の端部から基管31に向かって下方傾斜してその側面に当接する突張板51cと、及び該突張板51cと支持台51bとを結んで保形するための三角形状のリブ板51dと、2本の支柱51eとから構成している。
上記支持台51bの延出側の端部と、斜め上方の鋼管杭2の側面との間には、伸縮手段52(例えば、ターンパック、油圧シリンダ、ボールネジ、等の拡張手段)を傾斜状に配置している。該伸縮手段52の一端側は、支持台51bの延出側端部の上面でピン固定し、また他端側端部は鋼管杭2の側面に当接するローラ53を保持するローラ枠53aにピン固定している。このローラ枠53aは、支持台51bの上面でピン支持されて上記ローラ53を軸支している。
[本願引き上げ装置を用いた本願基礎の引き上げ工法の説明]
次に、本実施例の引き上げ装置を用いた基礎の引き上げ工法について説明する。
先ず、引き上げ等をする目的の基礎近傍の掘削・排土を行い、基礎B及びその下面側を露出させ、その掘削した空間に鋼管杭2をアースオーガ等により埋設する。
鋼管杭2の埋設後、鋼管杭2に基管31を上端から環装するようにしてブラケット3を取り付け、必要によりモルタル6を充填した受け台34を取り付ける。この環装状体においては、ブラケット3は片持ち梁の状態となるため、図3に示すように、自重により左回転(矢印a)の回転モーメントが基管31に作用し、鋼管杭2と基管31との間には接触摩擦が生じ、この摩擦状態の如何によりブラケット3は鋼管杭2に対して停止した状態を維持する。別言すれば、ブラケット3の形状により発生する左回転の回転モーメントを低減または相殺しない限り、鋼管杭2と基管31に作用する摩擦抵抗力によってブラケット3は鋼管杭2の任意の位置に停止し続ける、いわゆる「フリーストップ状態」となる。
次いで、鋼管杭2の上端から環装した基管31に外環させるようにしてカウンター荷重機構5を取り付ける。この取り付けは、支持台51bに開設した挿通口51aを、基管31に外環挿通した後、基管31の外側面で挟持するように配置されたブラケット3の補強部材33の上端部に当接させることによって、それ以上の下降を阻止している。言わば、補強部材33の上端部をストッパー(下降限手段)として機能させている。
次に、ジャッキ手段4の嵌合部42を鋼管杭2の上端開口に内嵌させて回動可能に取り付け、ブラケット3の梁部32の幹部付近にはロッド43の先端のフック45を取り付ける。
次いで、ブラケット3を水平回転させて受け台34が基礎底面のほぼ真下に来るよう設定した後、ロッド43に螺合したナット44を回転させてブラケット3を鋼管杭2に沿って引き上げ(矢印b)、基礎下面に受け台34の上面側をモルタル6と共に当接させる。この引き上げ時には、フック45の引き上げ力により基管31には右回転(矢印c)の回転モーメントが作用し、上述したブラケット3の自重による回転モーメント(左回転方向、矢印a)が低減されて、鋼管杭2と基管31との間の摩擦抵抗が緩和されている。なお、通常、基礎Bの底面は平滑でなく凹凸状態であるが、受け台34のモルタル6がこれら凹凸を吸収し、ブラケット3の基礎Bへの当接の安定性を向上させている。
そして、この受け台34の当接状態から、ジャッキ手段4をさらに作動させてブラケット3を介して必要とする量だけ基礎Bを引き上げる(矢印b)。
また、上記の引き上げ作業においてはカウンター荷重機構5を適宜操作して引き上げ時の労力低減と、引き上げ過ぎた場合のブラケット3の引き下げ調整に使用している。この操作は伸縮手段52の伸長量(突っ張り量)を適宜に設定することで行っている。詳述すると、伸縮手段52を伸長させると(矢印d)、ピン支持されたローラ枠53aを介してローラ53が鋼管杭2の上部側を押圧する。この押圧による反力が支持台51bの他方側端部に作用し、さらに挿通口51aの梁部32側を回転支点として基管31の下部側面に当接した突張板51cに作用し、基管31に右回転(矢印e)の回転モーメントが生じさせることになる。これにより、基管31に生じる右回転及び左回転の各回転モーメントを適宜に調節して、鋼管杭2と基管31との摩擦力の調節を行っている。このように、伸縮手段52の伸長量を調節して基管31に生じる右回転のモーメントと、ブラケット3の自重、及び基礎Bの荷重により基管31に生じる左回転のモーメントとのバランスを適宜調節設定することにより、鋼管杭2と基管31との接触摩擦抵抗を軽減させることができ、理論上においてはゼロとすることも可能である。かかるカウンター荷重機構5の調節設定により、ジャッキ手段4の操作によるブラケット3を介した基礎の引き上げは容易に行えることになり、かつ過剰引き上げの場合は下降修正をも可能としている。
なお、上記した基礎の引き上げ工法においては、ジャッキ手段4やカウンター荷重機構5の作業者による操作は地上面GLから行えるようになっている。
[本願引き上げ装置を用いた本願基礎の修正工法の説明]
以下には、本実施例の引き上げ装置を用いて沈下した基礎の修正工法について説明する。
先ず、図4に示すように、沈下している基礎Bの所望の複数箇所に、引き上げ装置1を設置する。この設置は、上述したように、各鋼管杭2、2・・にブラケット3、カウンター荷重機構5、ジャッキ手段4の順に装着し、モルタル6を充填した受け台34の上面側を基礎下面に当接させるようにして段取りを行う。
このようにして段取りを行った後、例えば、レーザレベル計(図示省略)を見ながら各鋼管杭2、2・・における引き上げ量を設定して基礎Bを引き上げ、建築物の傾斜を修正して水平にする。
この修正が終了したら、各鋼管杭2、2・・のブラケット3の基管31を鋼管杭2に溶接し、ジャッキ手段4、カウンター荷重機構5とを鋼管杭2から取り外す。
最後に、基礎Bとブラケット3の周辺を、図5に示すように、モルタル6で固め、排土を埋め戻して修正作業を終了する。なお、鋼管杭2の地上面GLに突出した部分は必要により適宜ガスバーナ等により切断する。
上述した本実施例の基礎の修正工法によれば、基礎が200mm沈下した1階床面積60m程度の住宅の傾斜修正を、生活したままの状況の中、約1時間で終えた実績がある。
実施例の引き上げ装置1においては、ジャッキ手段4は、ロッド43とナット44から構成し、作業者が人力により操作するようにしているが、例えば、ナット44に代えて回転角や回転量を制御可能な油圧モータ等に変更することも可能である。
この場合には、基礎Bの高さを検知するレーザレベル計やこれらを制御する制御装置等とを組み合わせ、この傾斜修正作業を自動化させることも可能であり、各鋼管杭における引き上げ設定量等の連繋をより円滑にして作業をさらに迅速にすることも可能である。
本実施例の引き上げ装置の全体外観を示す斜視図である。 本実施例の引き上げ装置の組立斜視図である。 本実施例の引き上げ装置の作用を示す側面図である。 本実施例における基礎の引き上げ工法の作業状態を示す斜視図である。 本実施例における基礎の修正工法後の状態を示す側面図である。 従来の建築物の傾斜の修正方法を示す側面図(A)、(B)である。
符号の説明
1 引き上げ装置
2 鋼管杭
3 ブラケット
31 基管
32 梁部
33 補強部材
34 受け台
4 ジャッキ手段
41 支持基台
42 嵌合部
43 ロッド
44 ナット
45 フック
45a シャフト
5 カウンター荷重機構
51 支持フレーム
51a 挿通口
51b 支持台
51c 突張板
51d リブ板
51e 支柱
52 伸縮手段
53 ローラ
53a ローラ枠
6 モルタル
B 基礎(建築物の)
D 土台(建築物の)
F 受け台(従来例の)
J ジャッキ(従来例の)
P 基礎杭(従来例の)
GL 地上面

Claims (8)

  1. 建築物基礎(B)の直近又は近傍に施工する鋼管杭(2)と、
    該鋼管杭(2)に移動可能に保持されて建築物基礎(B)の下面に当接させるブラケット(3)と、
    該ブラケット(3)を前記鋼管杭(2)に沿って引き上げ移動させるジャッキ手段(4)と、
    から成ることを特徴とした建築物基礎の引き上げ装置。
  2. ブラケット(3)を、
    鋼管杭(2)に移動可能に環装させる基管(31)と、
    該基管(31)からその管軸と垂直方向へ片持ち状に延出させた梁部(32)と、
    から構成したことを特徴とする請求項1記載の建築物基礎の引き上げ装置。
  3. ブラケット(3)の梁部(32)に、長さ方向へ移動可能と着脱可能のいずれか、又は両方の構成を採った受け台(34)を配設したことを特徴とする請求項2記載の建築物基礎の引き上げ装置。
  4. ブラケット(3)において、
    梁部(32)の鋼管杭(2)への片持ち荷重によって生じる回転モーメントに対抗させるカウンターモーメントを基管(31)に発生させるカウンター荷重機構(5)を、梁部(32)の反対側に配置したことを特徴とする請求項2、又は3の建築物基礎の引き上げ装置。
  5. カウンター荷重機構(5)を、
    梁部(32)の反対側の突設させた支持台(51b)と、基管(31)より上位の鋼管杭(2)の側面との間に、突っ張り状に配置した拡張手段(52)とから構成したことを特徴とする請求項4記載の建築物基礎の引き上げ装置。
  6. ジャッキ手段(4)を、鋼管杭(2)の頭頂部で支持し、ここを支点としたことを特徴とする請求項1記載の建築物基礎の引き上げ装置。
  7. 請求項1から6記載のいずれかの建築物基礎の引き上げ装置を用いるものであって、
    建築物基礎(B)の近傍を排土して基礎下面を露出させ、
    露出した建築物基礎(B)の直近又は近傍に鋼管杭(2)を埋設させ、
    建築物基礎(B)の下面にブラケット(3)又は受け台(34)を当接させ、
    該ブラケット(3)をジャッキ手段(4)により引き上げることにより沈下した建築物基礎を引き上げることを特徴とする建築物基礎の引き上げ工法。
  8. 請求項1から6記載のいずれかの建築物基礎の引き上げ装置を用いるものであって、
    建築物基礎(B)の所定複数個所の近傍を排土して基礎下面を露出させ、
    露出した建築物基礎(B)の直近又は近傍に鋼管杭(2)を埋設し、
    建築物基礎(B)の下面にブラケット(3)又は受け台(34)を当接し、
    前記所定複数箇所に配置した建築物基礎(B)の引き上げ装置の各ジャッキ手段(4)を連繋させながら、各ブラケット(3)を個別設定量に合わせてジャッキ手段(4)により引き上げることによって建築物を水平に修正した後、
    ブラケット(3)と鋼管杭(2)を固定すると共にジャッキ手段(4)とカウンター荷重機構(5)を取り外して排土部を埋め戻すことを特徴とした沈下した建築物基礎の修正工法。
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