JP2005132452A - ポリエチレンテレフタレート系樹脂製壜体 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート系樹脂製壜体 Download PDF

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知之 小澤
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Abstract

【課題】 より少ない材料で、減圧吸収パネルによる減圧吸収機能と壜体としての剛性を共に十分に確保することを技術的課題として、もって減圧時においても良好な外観が保持され、十分な剛性を有する丸型の高温充填用途向けのPET系樹脂製壜体をより低コストで提供することを目的とする。
【解決手段】 ネック下の内容積が260〜390ml、壜体の全高と胴部の最大径の比(全高(H)/最大径(D))が1.8〜2.6、そして壜体のネック下重量とネック下内容積との比が0.035〜0.075g/mlの範囲であり、胴部)に複数の減圧吸収パネルを形成した丸型の壜体において、壜体のネック下の全表面積に対する減圧吸収パネルの全パネル面積の割合が32〜38%の範囲内になるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は合成樹脂製壜体に関し、より詳しくは高温の内容液を充填した後の冷却に伴う減圧によって生じる壜体の変形を吸収するための減圧吸収パネルを胴部に形成した2軸延伸ブロー成形方法によるポリエチレンテレフタレート系樹脂製壜体関する。
従来より、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと記す。)樹脂製の二軸延伸ブロー成形壜体(以下PETボトルと記す。)は、優れた透明性、機械強度、耐熱性、ガスバリア性等を有し、各種飲料用の容器として広く利用されている。また従来、殺菌を必要とするたとえば果汁飲料、お茶等の内容液のPETボトルへの充填方法として、所謂高温充填と呼ばれる方法があり、90℃前後の温度で内容液を壜体に充填し、キャップをして密封後、冷却するものであり、壜体内がかなりの減圧状態となる。
このため、上記のような高温充填を伴う用途については、胴部に意図的に減圧により陥没状の変形が容易な領域である、所謂減圧吸収パネルを形成して、減圧時にこの減圧吸収パネルを陥没状に変形させることにより、良好な外観を保持すると共に、減圧吸収パネル以外の部分で壜体としての剛性を確保して、壜体の搬送ライン、積重保管、自販機内等におけるトラブルがないようにしている。
たとえば特許文献1には減圧吸収パネルを有する壜体についての記載がある。図5にこの特許文献1の実施例で示される壜体を示すが、この図5に示される壜体101は容量が500mlの丸形のPETボトルであり、口筒部102、肩部103、胴部104および底部105から形成され、壜体1の略中央高さ位置に環状溝部106が形成され、この環状溝部106の下方に6ケの減圧吸収パネル107が形成されている。この減圧吸収パネル107は、略平板状であり、壜体1内が減圧状態になった際には、容易に内側に陥没状に変形可能であるので、外観上において、壜体がいびつに変形した感じを与えることなく、すなわち目立たないように減圧状態を吸収(緩和)する機能(以下、減圧吸収機能と記す。)を発揮することができる。また壜体としての剛性は主として隣接する減圧吸収パネル107間に形成される柱部109が担う。
特開平10−58527号公報
上記図5に示されるような500ml程度の容量のPETボトルでは、胴部104の略下半分の部分に減圧吸収パネル107を形成する等、減圧吸収パネルの形成にあたって設計上かなりの自由があった。しかしながら、近年350mlあるいは280ml程度の小さな容量のPETボトルの用途展開が広がってきており、このような小容量の壜体では500ml程度の容器に比較して減圧吸収パネルを形成できる範囲が限定され、減圧吸収パネルによる減圧吸収機能と、壜体としての剛性を共に十分に確保することが困難であるという問題がある。
すなわち、350mlあるいは280ml程度の小さな容量のPETボトルでは減圧吸収機能を十分に確保するために減圧吸収パネルの形成面積を広くすると、壜体の剛性の確保できなくなるので、従来では壜体の肉厚を厚くしてこの剛性を確保しているのが実情であり、その結果使用する樹脂量が増えて製造コストが高くなってしまう。
そこで、本発明は上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、より少ない材料で、減圧吸収パネルによる減圧吸収機能と壜体としての剛性を共に十分に発揮せしめることを技術的課題として、もって減圧時においても良好な外観が保持され、十分な剛性を有する丸型の高温充填用途向けのPET系樹脂製壜体をより低コストで提供することを目的とする。
上記技術的課題を解決する請求項1記載の発明の手段は、
ネック下の内容積が260〜390ml、全高と胴部の最大径の比(全高/最大径)が1.8〜2.6、そして壜体のネック下重量とネック下内容積との比が0.035〜0.075g/mlの範囲であり、胴部に複数の減圧吸収パネルを形成した丸型の壜体において、
壜体のネック下の全表面積に対する減圧吸収パネルの全パネル面積の割合を32〜38%の範囲内になるように構成したポリエチレンテレフタレート系樹脂製壜体にある。
ここで、ネック下の内容積が260〜390ml、全高と胴部の最大径の比(全高/最大径)が1.8〜2.6、そして壜体のネック下重量とネック下内容積との比が0.035〜0.075g/mlの範囲なる記載は本願発明の対象となる壜体を特定するためのものである。本発明は主として通称350mlボトル、あるいは280mlボトルと称される小型の壜体に係るものであるが、製品によりその内容積はそれぞれ細かく異なるので、口筒部の下端であるサポートリングより下の部分であるネック下の容積で260〜390mlとしている。
また、壜体のネック下重量とネック下内容積との比が0.035〜0.075g/mlという数値範囲は樹脂の使用量に係るものであり、0.035g/ml未満では壜体としての剛性を確保することは困難であり、また材料コスト点などから0.075g/ml以下のものを対象とする。
本願発明は、本願発明者らが内容積が260〜390mlの範囲の壜体について、減圧吸収パネルの大きさと減圧吸収機能および壜体の剛性の関係を詳細に検討する中で、減圧吸収パネルの面積を壜体の表面積に対して、狭い範囲ではあるが、一定の割合の範囲内とすることにより、減圧吸収機能と壜体の剛性を共に達成でき得ることを見出したことによるものであり、請求項1記載の上記構成により、ネック下の内容積が260〜390ml、全高と胴部の最大径の比(全高/最大径)が1.8〜2.6の範囲で容積および形状が特定される壜体において、壜体のネック下の全表面積に対する減圧吸収パネルの全パネル面積の割合を32〜38%の範囲内とすることにより、壜体の胴部壁の肉厚を特に大きくすることなく壜体のネック下重量とネック下内容積との比が0.035〜0.075g/mlという樹脂の使用量の範囲で高温充填用容器としての減圧吸収機能と、壜体としての剛性を共に十分に確保することが可能となる。
減圧吸収パネルの面積の割合が32%未満では減圧吸収機能が十分に発揮されずに、高温充填後の冷却時の減圧による陥没状の変形が減圧吸収パネルの領域だけに留まらず、壜体としての剛性を担うべき柱部にまでに変形がおよび、外観不良の状態となってしまうおそれがある。
一方,減圧吸収パネルの面積の割合が38%を超えると減圧吸収パネルの面積が広がる分、柱部の幅が細くなり、壜体としての剛性を担うべき柱部自体の剛性が不足して、搬送ラインや自動販売機内で座屈変形が発生しトラブルの原因となってしまうので、胴部壁を肉厚にする必要があり材料使用量が大きくなってしまう。
なお、本発明に使用するポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、主としてPETが使用されるが、PET樹脂の本質が損なわれない限り、エチレンテレフタレート単位を主体として、他のポリエステル単位を含む共重合ポリエステルも使用できると共に、たとえば耐熱性を向上させるためにナイロン系樹脂、ポリエチレンテレナフタレート樹脂等の樹脂をブレンドして使用することもできる。共重合ポリエステル形成用の成分としては、たとえばイソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、アジピン酸等のジカルボン酸成分、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。
さらには、本発明のPET系樹脂製壜体は、PET樹脂製壜体としての本質が損なわれない限り、たとえば耐熱性、ガスバリア性の向上のためにPET樹脂/ナイロン樹脂/PET樹脂のようにナイロン樹脂等の中間層を有したものであっても良い。
本発明は上記した構成であり、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、壜体のネック下の全表面積に対する減圧吸収パネルの全面積の割合を32〜38%の範囲内とすることにより350mlあるいは280ml程度の小型の丸型ボトルにおいて、搬送ライン、自販機等に必要とされる壜体としての剛性を損なうことなく、また使用する材料の量を制限したなかで高温充填用途に必要とされる減圧減圧吸収機能が十分に発揮されるPET系樹脂製壜体を提供することができる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3は本発明のPET系樹脂製壜体の一実施例を示すものである。この壜体1はPET樹脂製の二軸延伸ブロー成形品であり、口筒部2、肩部3、胴部4、底部5を有し、通称容量が350mlの小型の丸型ボトルである。また、口筒部2は熱結晶化処理により白化した状態であり、さらに底部5は陥没状に形成されている。
また、上下に二本の周溝6を有し、この周溝6の間に6ケの略平板状の減圧吸収パネル7が形成されており、全高、最大径、表面積、重量の関係は下記の様である。
全高H/最大径D;2.2
ネック下重量/ネック下H1内容積=0.052g/ml
全パネル面積/ネック下ボトル表面積×100=35%
上記壜体1について90℃の内容液を充填後、冷却して減圧状態としてその変形状態をみたが、変形は減圧吸収パネル7の陥没状の変形に限定されるものであり、外観上目立つような不正な変形は観察されなった。
また、図4に示すような配置で20mmφのスチール製の丸棒Rを用いて、胴部4の柱部9に白抜き矢印で示される方向に荷重を懸けて剛性試験を実施した結果、2.5Kgf未満の荷重による柱部9の座屈変形はなかった。なお上記試験において丸棒Rは図1におけるA−Aラインに沿って(すなわち柱部9の中央高さ位置に)位置させる。
ここで、上記の座屈荷重の試験方法は、壜体1としての剛性の簡易的な測定法であり、内容物充填工程等での搬送ライン上あるいは自販機内での積み重ね状態において必要とされる壜体剛性と関連付けられ得る試験方法であり、2.5kgf未満で座屈が発生しなければ壜体剛性は十分にあると評価されるものである。
なお、上記一実施例においては、6ケの略平板状の減圧吸収パネルが形成された壜体についての例を示したが、この減圧吸収パネル形状、個数等は本実施例に限定されるものではない。
350mlあるいは280ml程度の小型の丸型ボトルにおいて、搬送ライン、自販機等に必要とされる壜体としての剛性を損なうことなく、また使用する材料の量を制限したなかで高温充填用途で必要とされる減圧減圧吸収機能が十分に発揮されるPET系樹脂製壜体を提供することができるので、高温充填を必要とする小型ボトル分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
本発明のPET系樹脂製壜体の一実施例を示す全体正面図である。 図1に示す壜体の平面図である。 図1のA−A線に沿って示す平断面の外輪郭線図である。 壜体の剛性の測定方法を示す説明図である。 壜体の従来例を示す全体正面図である。
符号の説明
1 ;壜体
2 ;口筒部
3 ;肩部
4 ;胴部
5 ;底部
6 ;環状溝部
7 ;減圧吸収パネル
9 ;柱部
10;サポートリング
101;壜体
102;口筒部
103;肩部
104;胴部
105;底部
106;環状溝部
107;減圧吸収パネル
109;柱部
H;全高
H1;ネック下
D;最大径
R;丸棒

Claims (1)

  1. ネック下(H1)の内容積が260〜390ml、壜体(1)の全高(H)と胴部(4)の最大径の比(全高(H)/最大径(D))が1.8〜2.6、そして壜体のネック下重量とネック下内容積との比が0.035〜0.075g/mlの範囲であり、胴部(4)に複数の減圧吸収パネル(7)を形成した丸型の壜体(1)において、
    壜体(1)のネック下(H1)の全表面積に対する減圧吸収パネル(7)の全パネル面積の割合が32〜38%の範囲内になるように構成したことを特徴とするポリエチレンテレフタレート系樹脂製壜体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7377399B2 (en) * 2003-02-10 2008-05-27 Amcor Limited Inverting vacuum panels for a plastic container

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