JP2005131394A - 弾性ロッド部品固定のための固定装置を備えたペディクル・スクリュー - Google Patents

Abstract

【課題】開放側でロッドからねじ部へ確実に力を伝達し、ロッドが反対方向にすり抜けることを防止し、台座部を、当該ロッドを堅固に保持するために安定してかつ迅速に閉鎖できるペディクル・スクリューを提供すること。
【解決手段】固定装置を有するペディクル・スクリューは、台座部とこれを閉鎖するための固定栓とを備える。台座部の台座凹部に挿入された弾性ロッド部品は脊柱を安定させる機能を果たし、一定形態を維持するように保持される。固定栓は締め具の機能を有し、それによって吸収した力をロッド部品からペディクル・スクリューに伝達する。固定栓に係合手段が設けられており、この係合手段を利用して、固定栓が台座凹部内で安定した定位置に自動的に固定される。
【選択図】図１

Description

本発明は整形外科のインプラントに関し、特に固定装置を有するペディクル・スクリューであって、略Ｕ字形状の台座凹部を有する台座部を備え、前記凹部には前記ペディクル・スクリューの前記台座部を迅速に閉鎖するための固定栓を挿入可能であり、前記台座部は、自身の中に配置可能な、脊柱を安定させる役割を果たす弾性ロッド部品を受け、それを保持手段を介して前記固定装置を用いて保持するためのものであることを特徴とするペディクル・スクリューに関する。これは脊髄手術の際の迅速で安定、かつ容易な固定および接続に役立つ。

最新技術において、固定装置を有するペディクル・スクリューは幅広く取り揃えられている。一般的にペディクル・スクリューはロッドを受けるためのＵ字形状の凹部を有する受け取り部を有し、当該凹部はロッド固定用ねじを受け入れるための内部ねじ切り構造を自身の開放されたアームの間に有する。

特許文献１には、固定手段を有するペディクル・スクリューが記載されている。

特許文献２には、ロッドの受け取りアームがヒンジに接続されたペディクル・スクリュー機構が記載されている。ロッドを受けると、受け取りアームには閉鎖蓋または閉鎖ヨークが取付けられ、これによってアームが共に押されてロッドが堅固に保持される。

米国特許第５、４９６、３２１号明細書 米国特許出願公開第００３０００４５１１号明細書

しかしながら、特許文献１に開示のペディクル・スクリューでは、固定手段を、ロッドに向けてスクリュー頭部に挿入しなければならず、ロッドの曲率半径が小さい場合、手術状態における多大な困難の原因となる。

また、特許文献２に開示のペディクル・スクリュー機構では、閉鎖蓋またはヨークを装着するためには、ペディクル・スクリューの頭部のアームを共に加圧し、同時に閉鎖部品をロッド方向に押すまたは回す、または閉鎖ヨークを吊り下げねばならず、オペレータ側にかなりの熟練を要するだけでなく、実施例によっては特別器具をも必要とする。

そこで、本発明は、固定装置を有するペディクル・スクリューであって、開放側でロッドからスクリューへ側へ確実に力を伝達し、ロッドが反対方向にすり抜けることを防止し、ペディクル・スクリューのロッドの台座部を、当該ロッドを堅固に保持するために安定してかつ迅速に閉鎖するようにできるペディクル・スクリューを提供することを目的とする。

上記目的を達成できるのは、溝嵌め込み構造でロッドと係合するクロス締め具（cross-brace）としての機能を果たし、かつ、その結果ロッドの長手方向に吸収された力を、ペディクル・スクリューの開放台座の溝が形成された側面に伝達する固定装置である。

この技術的課題を解決するため、当該固定装置は更に係合手段（例えば２つのフック）を備えていることが好ましい。このため固定栓は、ペディクル・スクリューの台座への挿入時に自身を定位置へ固定させる（留める）よう、弾性を利用して移動可能で有ることが好ましい。また、迅速かつ安定して再度取り出せるように、対応器具、望ましくは一般的な器具が係合できる個々の手段も持つことが好ましい。

従って本発明の主題は、固定装置を有するペディクル・スクリューであって、略Ｕ字形状の台座凹部を有する台座部を備え、前記台座凹部には前記ペディクル・スクリューの前記台座部を迅速に閉鎖するように固定栓を挿入可能であり、前記台座部は、自身の中に配置可能な、脊柱を安定させる役割を果たす弾性ロッド部品を受け、それを保持手段を介して前記固定装置を用いて保持するためのものであって、前記固定栓がクロス締め具の機能を果たし、その結果前記ロッド部品の長手方向に作用する力を前記ペディクル・スクリューへ伝達することが可能となるように、前記ロッド部品、前記台座部の略Ｕ字形状の台座凹部、及び前記固定栓の各々は互いに対応する突条部または溝部表面構造を有し、前記表面構造はそれぞれの接触箇所で一定形態を維持するように互いに係合することを特徴とする、ペディクル・スクリューである。

また、本発明に係る固定装置を有するペディクル・スクリューは、弾性ロッド部品を迅速かつ安定して閉鎖しペディクル・スクリューに接続させると同時に、ペディクル・スクリューの背面ロッド側から側面側へ力を伝達するのに役立つ。固定装置に設けられた固定栓は、例えば、生体適合合成材料、望ましくは注入成形で処理され得る医療基準品質のポリウレタンからなる。固定栓を対応する保持手段に挿入するため、固定栓に設けられたフックは、正しい位置につくと同時にペディクル・スクリュー頭部に位置する固定装置のアーム内の対応する窪みの定位置に自動的に固定される。更に、これらの固定装置を手術の進行中またはその後に取り出さねばならなくなった場合に容易に取り出せるような手段も設けられている。フックおよび窪みを反対にすることも同様に可能であり本発明の定義に含まれる。この場合窪みの形状は適宜適合設計される必要があるが、これは当業者にとって自明である。

さらに、台座凹部に設けられた少なくとも１つ、望ましくは２つの係合突起部は、固定栓の挿入前にロッド部品を台座部内に事前に固定する機能を果たし、ロッド部品は、位置修正のために手術中に容易に取り出し再挿入できるように、一定形態を維持できるように台座部内に部分的にもまた完全にも保持され得る。このためロッド部品および台座部の双方は、ロッド部品に対して横方向に互いに嵌合可能な突条部／溝部構造を有する。係合突起部（単数又は複数でもよい）と上記の形状固定構造とが協働することによって、ロッド部品に対する長手および横方向における事前固定が可能となる。このため、台座凹部の内部の溝部構造は望ましくはアームの端部まで延在する。上記の係合突起部は、係合状態では、ロッド部品に対して若干の圧力を及ぼす、または一定形態で維持できるように、ロッド内に貫入するように配置させることができ、若干の偏りが生じる可能性もある。閉鎖状態では、上記の特徴を備えた固定装置はロッド部品が及ぼすねじり力を吸収することもできる。

添付図面において例を挙げて本発明を説明する。様々な特徴をそれらの目的および機能を挙げて説明する。

図１に本発明に係る固定装置１の代表的実施例を示す。固定装置１はねじ部２と共にペディクル・スクリュー３を形成しており、固定装置１が頭部となる。２本のアームからなる台座部４は、その略Ｕ字形状の台座凹部６で弾性ロッド部品１４を受ける機能を果たす。また、台座凹部６の内周部であって内部のロッド部品１４の脱落を防止する位置に、少なくとも１つ（ここでは２つ）の係合突起部７が形成されており、台座部４は、この係合突起部７によって、ロッド部品１４を、必要であれば手術中に脊椎上に植え込んだペディクル・スクリュー３から簡単に再度取り出せるように、事前に固定（仮固定）する機能を果たす。ロッド部品１４および／または固定装置１の略Ｕ字形状の保持凹部８に弾性があるため容易に定位置へ固定できる。ロッド部品１４、台座凹部６、および保持凹部８は互いに嵌合する構造、例えば望ましくはロッド部品に対して横方向（ロッド部品の長手方向に略直行する方向）に沿って延びる突条部又は溝部８ａ，６ａを有する。図に示す実施例においては、事前の固定を最適化するため、および早めに縦の位置決めをするため、台座凹部６のアームの突条部又は溝部６ａはその端部まで延在する。上記の特徴によってロッド部品１４からペディクル・スクリュー３への力の伝達が最適化され、それによってクロス締め具（以下で更に詳細に説明）として機能する固定栓５が、一定形態を維持するようにロッド部品１４の保持凹部８と係合する。固定栓５は、例えば、ポリウレタン等の弾性合成材料等により構成される。

ロッド部品１４の位置が正しい場合、固定栓５は台座部４内に配置される。この配置に利用されるのは、一般的なねじ回し等の改造器具であり、この器具により凹部１３を介して固定栓５を装着できる。なお、この凹部１３は、上記係合部（フック、係合手段）９の略中央部に設けられている。そして、固定栓５を精密に嵌合するように正しい位置で台座凹部６に挿入し、定位置で自動固定できる。取り出しまたは各修正のため、更なる器具、例えば凹部１２への挿入用の係合突起部を有する万能やっとこが使用される。固定栓５は両側に係合部（フック、係合手段）９を有しており、これらは互いに逆向きに突出する形状とされるとと共に、内外へ弾性移動自在に設けられている。これらは固定栓５が係合凹部１０の領域で変形したときに、定位置に固定されるよう機能する。すなわち、係合部９を内側に移動させるように弾性変形させつつ、係合部９を係合凹部１０に係合させることで、固定栓５が自動的に定位置で固定されるようになる。固定栓５を台座部４から再度取り出す場合、上記の万能やっとこを使用して取り出す。この場合、係合部９と係合凹部１０とが、保持手段として機能する。

また、上記各係合部（フック）９に隣設して各凹部１２（突形状であってもよい）が設けられており、やっとこ（取外し用の器具）を凹部１２内に係合させ、この状態で、やっとこを若干加圧することによって弾性を持つ固定栓５が加圧変形され、各係合部９が間隔を狭めるように移動して係合凹部（受け取り手段）１０から係合解除し、固定栓５を台座凹部６から再度取り出すことができる。

図２は図１に示す本発明に係る固定装置の固定栓５の断面図である。参照番号は図１のそれらに対応する。図２では更に弾性変形領域１５が示されており、これにより係合部（フック）９の相互間隔が狭まるように、上記の特別器具を用いて固定栓５の上部を矢印方向に圧縮することが可能となる。その結果、係合部（フック）９を係合凹部１０に係合させることで定位置への自動固定、および、係合部（フック）９を係合凹部１０から係合解除して取り外すことにより台座凹部６からの固定栓５の取り出しが行われる。

固定栓５の表面のうちの２つの側面には、突条部又は溝部２２が設けられている。固定栓５が図１に示すような略Ｕ字形状の台座凹部６に挿入された状態では、これらの突条部又は溝部２２は、アームによって形成される台座凹部６の対応する表面構造と係合する。従って、ここでも一定形態形態を維持すべく接続がなされる。

従ってロッド部品１４において縦方向に作用する力の伝達は、ロッド部品１４が台座凹部６と接する領域で、一定形態を維持する部分で、直接ペディクル・スクリュー３に対してなされる。ロッド部品１４が固定栓５と接する領域においては、力の伝達は、一定形態を維持する部分で、クロス締め具として機能する固定栓５に対してなされ、そこから再度、一定形態を維持する力が、ペディクル・スクリュー３の略Ｕ字形状の台座凹部６のアームに発生する。これによって最適な力の伝達が確実に行われ、ロッド部品１４は完全に囲まれていることから、特に屈曲力の伝達が確実に行われる。

図３は固定栓５を上方から見た図であり、この図においても参照番号は上記のそれらに対応する。

図４に本発明に係る固定装置１０１の他の実施例を示す。固定装置１０１はねじ部１０２と共にペディクル・スクリュー１０３を形成する。台座部１０４は、その略Ｕ字形状の台座凹部１０６と共に弾性ロッド部品１１４を受ける機能を果たし、それによって係合突起部１０７はロッド部品１１４を、必要であれば手術中に脊椎上に植え込んだペディクル・スクリュー１０３から簡単に再度取り出せるように、事前に固定するという目的を果たす。ロッド部品１１４、台座凹部１０６、および保持凹部１０８、並びに固定栓１０５の２つの側部はここでも、力の伝達を最適化するために、互いに嵌合する構造、例えば望ましくは横方向における突条部又は溝部１０６ａ，１０８ａ、１２２を有する。

ロッド部材１１４の位置が正しい場合、固定栓１０５は台座部１０４に挿入される。固定栓１０５は両側に係合部（フック）１０９を有しており、これらは固定栓１０５が係合凹部１１０の領域で変形したときに台座部１０４の係合凹部１１０内に係合するよう機能する。バックル横材１１６は係合状態において、係合部（フック）１０９に対する圧力を増し、固定栓１０５をより確実に固定する。

図５は図４に示す本発明に係る固定装置１０１の固定栓１０５の断面図である。参照番号は図４のそれらに対応する。

図６は固定栓１０５を上方から見た図であり、この図においても参照番号は上記のそれらに対応する。

図７は本発明に係る固定装置の他の固定栓を示す断面図である。参照番号は以下を示す：２０５ 固定栓；２０８ 保持凹部；２０８ａ 突条部／溝部、および２０９ フック。参照番号２２０で示される部材は、ねじ回し挿入用のネジ穴（奥側は閉塞されている）を有する略Ｓ字状の形状に形成されている。この部分材２２０を回転させることによって、フック２０９も共に動き、これにより固定栓２０５が外される。

図８は図７の代替固定栓を上方から見た図であり、この図においても参照番号は上記のそれらに対応する。

なお、上記バックル横材１１６及び略Ｓ字状の部分２２０は、各係合部（フック）１０９、２０９に対して外方向への弾性力を補強するように付与する部分として機能している。

本発明に係る台座部および固定栓を備えた代表的ペディクル・スクリューを示す図である。 図１に示す本発明に係るペディクル・スクリューの固定栓の側面図である。 図２に示す固定栓を上方から見た図である。 本発明に係る台座部および固定栓を備えたペディクル・スクリューの他の実施例を示す図である。 図４に示すペディクル・スクリューの固定栓の側面図である。 図５に示す固定栓を上方から見た図である。 Ｓループを備えた他例の固定栓の側面図である。 図７に示す固定栓を上方から見た図である。

符号の説明

１ 固定装置
２ ねじ部
３ スクリュー
４ 台座部
５ 固定栓
６ 台座凹部
６ａ，８ａ，２２ 突条部又は溝部
７ 係合突起部
８ 保持凹部
９ 係合部
１０ 係合凹部
１２，１３ 凹部
１４ ロッド部品
１０１ 固定装置
１０２ ねじ部
１０３ スクリュー
１０４ 台座部
１０５ 固定栓
１０６ 台座凹部
１０６ａ，１０８ａ、１２２ 突条部又は溝部
１０７ 係合突起部
１０８ 保持凹部
１１０ 係合凹部
１１４ ロッド部材
１１６ バックル横材
２０５ 固定栓
２０８ 保持凹部
２０８ａ 突条部又は溝部
２０９ フック
２２０ 略Ｓ字状の部分

Claims (8)

1. 弾性ロッド部品を固定する固定装置を有するペディクル・スクリューであって、
   略Ｕ字形状の台座凹部を有する台座部を備え、前記台座凹部には前記ペディクル・スクリューの前記台座部を閉鎖するように固定栓を挿入可能であり、前記台座部は、自身の中に配置可能な、脊柱を安定させる機能を果たす弾性ロッド部品を受け、それを保持手段によって保持するためのものであり、
   前記固定栓が締め金の機能を果たし、その結果前記ロッド部品の長手方向に作用する力を前記ペディクル・スクリューへ伝達することが可能となるように、前記ロッド部品、前記台座部の略Ｕ字形状の台座凹部、及び前記固定栓の各々は互いに対応する突条部又は溝部表面構造を有し、前記表面構造はそれぞれの接触箇所で一定形態を維持するように互いに係合することを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
2. 請求項１記載のペディクル・スクリューであって、
   前記保持手段は、前記固定栓に設けられた係合手段と、前記略Ｕ字形状の台座凹部内の対応する受け取り手段とからなり、前記係合手段は前記固定栓が前記台座部内へ配置される際に、自動的に定位置に固定されることを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
3. 請求項２記載のペディクル・スクリューであって、
   前記係合手段は、少なくとも２つの逆向きのフックとして設計され、互いに弾性移動自在に設けられることによって、前記固定栓は前記台座部の２本のアーム上に設けられた係合凹部と係合し、前記挿入状態において安定した位置につくことが可能となることを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
4. 請求項３記載のペディクル・スクリューであって、
   前記固定栓には、前記各フックに隣接する窪みまたは突起部が設けられると共に、略中央にも窪みが設けられており、これらの各窪みまたは各突起部に対して器具が係合し、前記各フックに隣接する前記各窪みまたは前記各突起部を共に加圧することによって前記各フックの間隔を狭めることができ、それによって、取り外しの際には前記固定栓を取り外すことができ、また、略中央の前記窪みまたは突起部により正確な挿入を実現できることを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
5. 請求項１記載のペディクル・スクリューであって、
   前記突条部または溝部表面構造は前記ロッド部品に対して横方向に延びており、前記台座凹部の突条部または溝部は前記台座部が形成する前記アームの端部まで延在することを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
6. 請求項３又は請求項４記載のペディクル・スクリューであって、
   前記固定栓内で、互いに対応して弾性移動自在に配置された前記２つの逆向きのフックの間に配置された部分が、弾性力付与部分として設計されることを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
7. 請求項１記載のペディクル・スクリューであって、
   前記固定栓は、例えばポリウレタンなどの弾性合成材料で構成されることを特徴とする、ペディクル・スクリュー。
8. 請求項１記載のペディクル・スクリューであって、
   前記略Ｕ字形状の台座凹部には少なくとも１つの係合突起部が設けられており、前記係合突起部は、ロッド部品の挿入時にねじれ防止を用いた修正可能な事前固定を実現できるように、挿入されたロッド部品の係合が可能となるような位置に設けられることを特徴とする、ペディクル・スクリュー。

Images