JP2005131383A - 流体移送具 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶解液容器から薬剤容器への送液を、薬剤容器が溶解液で充満する前に停止させ、薬剤の撹拌操作を容易にするとともに、溶解液の移動をスムーズにし、溶解液容器へ薬剤溶解液を戻す際には、薬剤容器に残る薬剤溶解液を最小限にとどめる流体移送具を提供する。
【解決手段】流体通路となる部分が1本の長管2と少なくとも2本の短管3とからなる流体移送具であって、これらの管は同方向に配され、長管は短管より全長が長く、いずれの側の管先端部も長管が短管より突出しており、少なくとも一方の側の短管先端部6が概ね揃っていることを特徴とする。更にもう一方の側の短管先端部も概ね揃っていることが好ましい。
【選択図】図13

Description

本発明は、一方の容器から他方の容器に流体を移送する器具に関するものであり、主として、溶解液容器から薬剤容器に溶解液を導入して薬剤を溶解し、溶解後は薬剤を溶解した溶解液(薬剤溶解液)を再び溶解液容器に戻すために使用する流体移送具に関するものである。
病院などの医療機関においては、バイアルなどの容器に入った制ガン剤、抗生物質、血液製剤などの粉末薬剤あるいは凍結乾燥薬剤など、そのまま輸液剤に混合して保存すると変質し易いもの、あるいは液状の薬剤として保存しておくと薬効が低下するような薬剤は、これを使用直前に溶解して、例えば輸液剤として点滴治療に用いられている。
この溶解操作では両頭針を用い、両頭針の両端をそれぞれ溶解液容器とバイアル瓶などの薬剤容器の口部のゴム栓などに刺通し、溶解液を薬剤容器へ送り込み混合した後、そのまま薬剤溶解液を戻す方法が知られている。また、この方法で更に、衛生性、無菌性を高めた溶解液容器−両頭針一体型製品(キット製品)も上市されている。
ここで用いられる両頭針は、通常2本の流体通路が同方向に配された2穴式のニードル本体を具備し、該本体は保持具により貫通状に保持されている。2本の流体通路とすることにより、一方の管に液体が流れ、他方の管に気体が逆方向に流れるので、人為的にポンピング操作(容器を指で押す・戻す操作を繰り返す)することなく、薬剤溶解液を移送することができる。また、薬剤を溶解後、薬剤容器中の残液を最小限にとどめ、溶解液容器に戻すために、薬剤容器側の流体通路の先端は容器口部内側に近づくよう工夫されている。
従来の両頭針は、両通路とも同じ長さで両先端部が同じ位置のもの(実開平6−5633など)、薬剤容器側の両通路が同じ長さで先端部が同じ位置のもの(特開平8−173506など)、両通路が同じ長さで互い違いの構成になっているもの(実開昭60−73543など)、長管1本若しくは2本と短管1本から構成され、長管を気体流路、短管を液体流路としたもの(特開昭54−113991など)が挙げられる。
しかしながら、実開平6−5633、特開平8−173506、実開昭60−73543に代表される両頭針の場合、薬剤容器中に送液する際には、薬剤容器に溶解液が充満するまで送液が停止しないため、送液後の溶解操作としての撹拌操作を行うことができない。また、薬剤容器が溶解液で充満するため、その後の溶解液容器へ溶解液を戻す際に、気体と液体の置換が起こりにくくなり、容器を押圧したり、打撃を加えて液の移動を促す操作が必要となり、一連の溶解操作の時間的ロスを招く場合がある。
また、特開昭54−113991の両頭針の場合、必ずしも、長管を気体流路、短管を液体流路に限定することは困難で、特に撹拌操作を行うことで各流路が逆転してしまうことがあり、通液後の残液の量が多くなるという不具合を生じる。
特開平8−173506 特開昭54−113991 実開平6−5633 実開昭60−73543
本発明は、前述のような問題点を解決することを課題とする。即ち、薬剤容器への送液を、薬剤容器が溶解液で充満する前に停止させることで、薬剤の撹拌操作を容易に行うことができ、溶解液容器へ薬剤溶解液を戻す際には、容易に且つ確実に溶解液が移動し、薬剤容器に残る薬剤溶解液を最小限にとどめることができる流体移送具を提供することを課題とする。
本発明者は、前述の課題を解決するために、気体と液体の選択通過性に着目して鋭意検討を続けた結果、本発明を行うに至った。即ち、本発明は、流体通路となる部分が1本の長管と少なくとも2本の短管とからなる流体移送具であって、これらの管は同方向に配され、長管は短管より全長が長く、いずれの側の管先端部も長管が短管より突出しており、少なくとも一方の側の短管先端部が概ね揃っていることを特徴とする流体移送具である。
本発明によれば、次の効果が得られる。
(イ) 溶解液容器から薬剤容器への送液の際には、長管と短管の高低差を利用し、薬剤容器が溶解液で充満する前に停止させることができるため、撹拌操作を容易に行うことができる。
(ロ) 前述の様に、薬剤容器が溶解液で充満しないため、その後溶解液容器へ薬剤溶解液を戻す際に、気体と液体の置換が容易に起こり、スムーズな通液を行うことができる。
(ハ) 短管を2本以上にすることで、薬剤容器から溶解液容器へ薬剤溶解液を戻す際に、気体流路としてどの管が選択されても、残液を最小限にとどめることができる。
本発明は、流体通路となる部分が1本の長管と少なくとも2本の短管とからなる流体移送具であって、これらの管は同方向に配され、長管は短管より全長が長く、いずれの側の管先端部も長管が短管より突出しており、少なくとも一方の側の短管先端部が概ね揃っていることを特徴とする流体移送具である。以下図面を参照しながら、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明品の作動メカニズムを図13〜15をもとに説明する。薬剤容器と溶解液容器を本発明の流体移送具で連結させ(図13)、薬剤容器を下にして薬剤容器へ送液する際には、長管2が気体流路となり、短管3が液体流路となる(図14a)。薬剤容器へ送液された溶解液は、長管先端部5に接した時点で気体流路が閉鎖されるため、その時点で送液が停止する(図14b)。すなわち、薬剤容器内の長管先端部5より上の部分には溶解液が充満されない。そのため、容易に撹拌操作を行うことができる。ここで、容器を反転し、薬剤容器側の薬剤溶解液を溶解液容器に戻す際には、薬剤容器が溶解液で充満していないため、気体と液体の置換が容易に起こり、長管2もしくは短管3のいずれか1本が気体流路として選択されるため、スムーズな送液を行うことができる(図15a,b)。また、ここでは、2本の短管3の薬剤容器側先端部6が概ね揃い、容器はめ込み部の表面に位置するため、気体流路としてどの管が選択されても、1本以上の短管を通して全ての液が移動し、残液を最小限にとどめることができる(図15c)。
本発明の流体移送具は、図1〜9に示すように、いずれも流体通路となる1本の長管2と少なくとも2本の短管3を同方向に配している。管の本数は、管を配置するスペース等の問題から、通常は、長管1本と短管2本から構成されるのが好ましいが、短管はそれ以上あっても構わない。
尚、本発明において、管とは、中が空洞になったパイプ状ものをいい、その断面形状は特に限定されないが、円形、中でも楕円形が一般的である。また、長管2及び短管3は、先端が尖っていない管状の形態をとったり、一方の側の管先端部が尖頭状である中空針状の形態としたり、管の両側の先端が尖頭状に構成された両頭針状の形態をとる事ができ、後述の使用態様に合わせてその形状を選択することができる。即ち、薬剤容器及び溶解液容器の口部ゴム栓を刺通して使用する場合は、先端が尖頭状の針状の形態をとるのが好ましい。管の材質としては、特に限定されるものではないが、硬質合成樹脂または金属であってもよい。また、中空管内面に表面処理を行ったり、材料に各種の撥水剤や親水剤などの添加剤を配合した材料を用いてもよい。
長管2の太さは、横断面が円形である管を使用する場合には、通常、内径0.5mm〜10mmであり、好ましくは内径1.5mm以上である。尚、楕円の場合は、内径とは、長径と短径との平均値をいう。また、管は、横断面が円でないものも使用することもできる。通常、長管の横断面積は0.2mm〜80mmであり、好ましくは1.7mm以上である。これにより管内でエアーロック(管内にエアーと液とが交互に充填され、液の表面張力により送液が停止すること)の発生を最小限に抑えることができ、スムーズな通液が期待できる。
短管3の太さは、横断面が円形である管を使用する場合には、通常、内径0.5mm〜10mmであり、好ましくは内径3mm以下である。また、横断面が円でない管を使用することもできる。通常、短管の横断面積は0.2mm〜80mmであり、好ましくは7mm以下である。これにより、薬剤容器への送液時において、液面が管先端部5に到達した時点で送液停止状態を維持することができるので、撹拌操作が容易にできるとともに、その後のスムーズな通液が期待できる。
管が同方向に配されるとは、長管2と短管3が極端に異なる方向を向いておらず、基本的に同方向を向いて存在していればよく、好ましくは平行に配される。これらの管の配置は特に限定されるものではないが、例えば、3本の管の場合は、図4等のように、3角形を形成するように配置するのが一般的である。
長管2は短管3より全長が長く、いずれの側の管先端部も長管が短管より突出していなければならない。即ち、図1〜9に示すように、上下いずれの側においても、長管先端部5は短管先端部6より突出している。こうすることにより気体流路は、長管2が選択されやすくなるが、長管2の横断面積を短管3の横断面積より大きくすることにより、エアーロックの影響が少なくなり、更に長管2を気体流路として選択しやすくなるため好適である。
尚、本明細書においては、管先端部が斜めカット状に開口している場合には、管先端部とは、図1などに示すようにその基端部を指す。また、管の長さは、使用目的に合わせて、適宜設定することができる。
また、短管先端部は、少なくとも一方の側を概ね揃える必要がある。これは、薬剤容器に挿入する側の短管先端部が、いずれも容器はめ込み部(刺通する場合は口部ゴム栓)の表面に位置する必要があるためである。即ち、図5では、上側のみ2本の短管先端部6は概ね揃っている。また、図1〜4,6,8,9のように、更にもう一方の側の短管先端部6を概ね揃えることにより、薬剤容器への接続方向を規定する必要がなくなるため、使い勝手がよくなり好ましい。
長管2及び短管3は、これらを一体化物としたり(図1〜3)、接合して一体化したり(図8)、それぞれが独立したり(図4〜7)、又は、管保持部4に貫通状に保持される(図1,3〜9)ことにより、本発明物とすることができる。他にも、長管2及び短管3が樹脂製の場合には、長管2及び短管3と管保持部とを同一樹脂で一体に成形してもよい。
尚、管先端部の保護と作業者の安全確保並びに細菌汚染などを防止するために、流体移送具本体は、使用時以外は何らかのキャップをかぶせておくことが好ましい。
本発明の流体移送具の使用態様としては、基本的には、薬剤容器及び溶解液容器の口部ゴム栓を刺通して連結させる態様(図10)、栓をはずした容器に管保持部をはめ込む態様(図13)の2つの態様が考えられるが、これらを混用した態様とすることもできる(図11,12)。また、あらかじめ、薬剤容器又は溶解液容器に流体移送具の一方の側が冠着された状態で製品化し、使用時に、もう一方で刺通又ははめ込む事により連結させる態様とすることもできる。
薬剤容器の口部ゴム栓を刺通して連結させて使用する場合は、流体移送具の短管先端部が、口部ゴム栓の内側の表面に位置するように刺通する必要がある。
栓をはずした容器に管保持部をはめ込む使用態様をとる場合、管保持部をそのまま容器はめ込み部として機能させる。この場合は、少なくとも一方の側(薬剤容器側)の短管先端部が当該管保持部の表面に位置するようにする(図6,7,13)。尚、これらの図においては、短管先端部の存在を明示するために、短管先端部を管保持部の表面よりわずかに突出させて表現している。更に、薬剤容器及び溶解液容器の口部のサイズが同じ場合は、もう一方の側の短管先端部を管保持部の表面に位置させると、薬剤容器への接続方向を規定する必要がなくなって好都合である。
薬剤容器又は溶解液容器に流体移送具の一方が冠着され、もう一方で刺通又ははめ込む事により連結させる態様をとる場合は、使用時以外に容器内の内容物が漏出しないように、流体移送具と容器の間に隔壁を設け、使用時にその隔壁を取り除くなどの手立てが必要となる。
以下、本発明を実施例等により更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、これら実施例等によって限定されるものではない。尚、以下の実施例には、実施例とともにその使用形態も含めて記載した。
1本の長管(全長12.8cm, 長管内径4mm)と2本の短管(全長8.8cm,短管内径2mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製した。この流体移送具は、図16のごとく、100mlの水が入った200ml用三角フラスコ(容器A)及び50ml用サンプル瓶(容器B)のそれぞれの口部に管保持部であるシリコン栓をはめ込む形で連結した。
1本の長管(全長12.8cm, 長管内径6mm)と2本の短管(全長8.8cm,短管内径2mm)を使用した以外は、実施例1と同様に、流体移送具を作製し、容器A及びBを連結させた。
1本の長管(全長12.8cm, 長管内径2mm)と2本の短管(全長8.8cm,短管内径2mm)を使用した以外は、実施例1と同様に、流体移送具を作製し、容器A及びBを連結させた。
1本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.9mm)と2本の短管(全長3cm,短管内径1.3mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製した。この流体移送具は、図20のごとく、100mlの水が入った100ml用プラボトル(容器C)及び5ml用バイアル瓶(容器D)のそれぞれの口部に管保持部であるシリコン栓をはめ込む形で連結した。
1本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.9mm)と2本の短管(全長3cm,短管内径1.9mm)を使用した以外は、実施例4と同様に、流体移送具を作製し、容器C及びDを連結させた。
1本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.3mm)と2本の短管(全長3cm,短管内径1.9mm)を使用した以外は、実施例4と同様に、流体移送具を作製し、容器C及びDを連結させた。
[比較例1]
2本の短管(全長8.8cm, 短管内径2mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製し、図17のごとく、実施例1と同様に容器A及びBを連結させた。
[比較例2]
1本の長管(全長12.8cm, 長管内径4mm)と1本の短管(全長8.8cm, 短管内径4mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製し、図18のごとく、実施例1と同様に容器A及びBを連結させた。
[比較例3]
1本の長管(全長12.8cm, 長管内径2mm)と1本の短管(全長8.8cm,短管内径4mm)を使用した以外は、比較例2と同様に、流体移送具を作製し、容器A及びBを連結させた。
[比較例4]
1本の長管(全長12.8cm, 長管内径2mm)と1本の短管(全長8.8cm,短管内径2mm)を使用した以外は、比較例2と同様に、流体移送具を作製し、容器A及びBを連結させた。
[比較例5]
2本の長管(全長12.8cm, 長管内径2mm)と1本の短管(全長8.8cm,短管内径2mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製し、図19のごとく、実施例1と同様に容器A及びBを連結させた。
[比較例6]
1本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.9mm)と1本の短管(全長3cm,短管内径1.9mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製し、図21のごとく、実施例4と同様に容器C及びDを連結させた。
[比較例7]
1本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.9mm)と1本の短管(全長3cm,短管内径1.3mm)を使用した以外は、比較例6と同様に、流体移送具を作製し、容器C及びDを連結させた。
[比較例8]
1本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.3mm)と1本の短管(全長3cm,短管内径1.9mm)を使用した以外は、比較例6と同様に、流体移送具を作製し、容器C及びDを連結させた。
[比較例9]
2本の長管(全長6.3cm, 長管内径1.3mm)と1本の短管(全長3cm,短管内径1.9mm)をシリコン栓に貫通させた流体移送具を作製し、図22のごとく、実施例4と同様に容器C及びDを連結させた。
[試験例1]
方法: 実施例1〜3及び比較例1〜5で調製された流体移送具で連結した容器A及び容器Bを用いて送液状況を観察した。
(イ)単回操作 容器を反転させ容器B内に送液し、送液終了後、更に反転させ容器Aに送液した。操作終了後、容器間の連結を解除し、薬剤容器及び流体移送具の水滴を除去した後、再度同流体移送具、容器を用いて同様の単回操作を実施した(合計3回実施)。
(ロ)3回連続操作 容器を反転させ容器B内に送液し、送液終了後、更に反転させ容器Aに送液した。この操作を3回連続で繰り返した。操作終了後、容器間の連結を解除し、薬剤容器及び流体移送具の水滴を除去した後、再度同流体移送具、容器を用いて同様の3回連続操作を実施した(合計3回実施)。
結果: 容器Aから容器Bへの送液(A→B)時に、長管先端で送液が停止した回数、並びに容器Bから容器Aの送液(B→A)時に、ほぼ全量送液した回数の結果を表1に示す。
2本タイプの流体移送具(比較例1〜4)及び長管2本と短管1本のタイプの流体移送具(比較例5)では、再現性よく、A→Bの送液時に長管先端で送液が停止しかつB→Aの送液時にほぼ全量送液するものはなかったが、本発明の3本タイプの流体移送具(実施例1〜3)では、A→Bの送液時、B→Aの送液時とも概ね目的通りの送液制御が行われた。
Figure 2005131383
[試験例2]
方法: 実施例4〜6及び比較例6〜9で調製された流体移送具で連結した容器C及び容器Dを用いて送液状況を観察した。
(イ)単回操作 容器を反転させ容器D内に送液し、送液終了後、更に反転させ容器Cに送液した。操作終了後、容器間の連結を解除し、薬剤容器及び流体移送具の水滴を除去した後、再度同流体移送具、容器を用いて同様の単回操作を実施した(合計3回実施)。
(ロ)3回連続操作 容器を反転させ容器D内に送液し、送液終了後、更に反転させ容器Cに送液した。この操作を3回連続で繰り返した。尚、D→C送液時にバイアル内に残液が多く残った場合、容器Cをポンピングして残液をCに戻した後、以降の操作を繰り返した。操作終了後、容器間の連結を解除し、薬剤容器及び流体移送具の水滴を除去した後、再度同流体移送具、容器を用いて同様の3回連続操作を実施した(合計3回実施)。
結果: 容器Cから容器Dへの送液(C→D)時に、長管先端で送液が停止した回数、並びに容器Dから容器Cへの送液(D→C)時に、ほぼ全量送液した回数の結果を表2に示す。
2本タイプの流体移送具(比較例6〜8)及び長管2本と短管1本のタイプの流体移送具(比較例9)では、再現性よく、C→Dの送液時に長管先端で送液が停止しかつD→Cの送液時にほぼ全量送液するものはなかったが、本発明の3本タイプの流体移送具(実施例4〜6)では、C→Dの送液時、D→Cの送液時とも目的通りの送液制御が行われた。
Figure 2005131383
[試験例3]
方法: 実施例4〜6及び比較例6〜9で調製された流体移送具で連結した容器C及び容器Dを用いて送液状況を観察した。
(イ)単回操作 容器を反転させ容器D内に送液し、送液終了後、容器を2〜3秒間振とうさせ、更に反転させ容器Cに送液した。操作終了後、容器間の連結を解除し、薬剤容器及び流体移送具の水滴を除去した後、再度同流体移送具、容器を用いて同様の単回操作を実施した(合計3回実施)。
(ロ)3回連続操作 容器を反転させ容器D内に送液し、送液終了後、容器を2〜3秒間振とうさせ、更に反転させ容器Cに送液した。この操作を3回連続で繰り返した。尚、D→C送液時にバイアル内に残液が多く残った場合、容器Cをポンピングして残液をCに戻した後、以降の操作を繰り返した。操作終了後、容器間の連結を解除し、薬剤容器及び流体移送具の水滴を除去した後、再度同流体移送具、容器を用いて同様の3回連続操作を実施した(合計3回実施)。
結果: 容器Cから容器Dへの送液(C→D)時に、長管先端で送液が停止した回数、並びに容器Dから容器Cへの送液(D→C)時に、ほぼ全量送液した回数の結果を表3に示す。
2本タイプの流体移送具(比較例6〜8)及び長管2本と短管1本のタイプの流体移送具(比較例9)では、再現性よく、C→Dの送液時に長管先端で送液が停止しかつD→Cの送液時にほぼ全量送液するものはなかった。一方、本発明の3本タイプの流体移送具(実施例4〜6)では、C→Dの送液時、D→Cの送液時とも概ね目的通りの送液制御が行われた。実施例6の場合、撹拌操作を入れると、C→Dの送液時には、長管先端で送液が停止しないことがあった。これは、長管内径が1.3mmと小さいため、撹拌操作によりエアーロックが発生したことが原因と思われる。
Figure 2005131383
本発明の一例で、長管及び短管が一体化物で両頭針状であり、管保持部に貫通状に保持されている流体移送具の図で、(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図及び(d)上面図である。 本発明の一例で、図1に示すものの管保持部がない流体移送具の図で、(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図及び(d)上面図である。 本発明の一例で、図1に示すものと尖頭構造のみが異なる流体移送具の図で、(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図及び(d)上面図である。 本発明の一例で、長管及び短管が独立して管保持部に貫通状に保持されている流体移送具の図で、(a)正面図及び(b)上面図である。 本発明の一例で、長管及び短管が独立して管保持部に貫通状に保持され、一方の短管先端部のみ揃っている流体移送具の図で、(a)正面図及び(b)上面図である。 本発明の一例で、長管及び短管が独立して管保持部に貫通状に保持され、管保持部を一方の容器にはめ込んで使用する流体移送具の図で、(a)正面図及び(b)上面図である。 本発明の一例で、長管及び短管が独立して管保持部に貫通状に保持され、管保持部を両方の容器にはめ込んで使用する流体移送具の図で、(a)正面図及び(b)上面図である。 本発明の一例で、長管及び短管が両頭針状で接合して一体化され、管保持部に貫通状に保持されている流体移送具の図で、(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図及び(d)上面図である。 本発明の一例で、長管1本と短管3本が独立して管保持部に貫通状に保持されている流体移送具の図で、(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図及び(d)上面図である。 本発明の流体移送具の使用態様の1例で、薬剤容器及び溶解液容器の口部ゴム栓を刺通して両容器を連結させた状態を示す外観図。 本発明の流体移送具の使用態様の1例で、栓をはずした溶解液容器に管保持部をはめ込み、先端が尖頭状に構成された側により薬剤容器の口部ゴム栓を刺通して両容器を連結させた状態を示す外観図。 本発明の流体移送具の使用態様の1例で、栓をはずした薬剤容器に管保持部をはめ込み、先端が尖頭状に構成された側により溶解液容器の口部ゴム栓を刺通して両容器を連結させた状態を示す外観図。 本発明の流体移送具の使用態様の1例で、栓をはずした薬剤及び溶解液容器に管保持部をはめ込んで両容器を連結させた状態を示す外観図。 本発明品の作動メカニズムを例示したもので、図13の流体移送具により連結された容器を反転し、薬剤容器へ溶解液を送液している状態を示す。(a)長管が気体流路で、短管が液体流路となり送液している状態を示す図。(b)長管先端部で送液が停止した状態を示す図。 本発明品の作動メカニズムを例示したもので、薬剤容器へ溶解液を送液後、容器を反転し、薬剤溶解液を溶解液容器に戻している状態を示す。(a)短管が気体流路となった場合の送液状態を示す図。(b)長管が気体流路となった場合の送液状態を示す図。(c)残液なく溶解液容器への送液が完了した状態を示す図。 実施例1〜3の流体移送具を用いてサンプル瓶と三角フラスコを接続した状態を示す外観図。 比較例1の流体移送具を用いてサンプル瓶と三角フラスコを接続した状態を示す外観図。 比較例2〜4の流体移送具を用いてサンプル瓶と三角フラスコを接続した状態を示す外観図。 比較例5の流体移送具を用いてサンプル瓶と三角フラスコを接続した状態を示す外観図。 実施例4〜6の流体体移送具を用いてバイアル瓶とプラボトルを接続した状態を示す外観図。 比較例6〜8の流体移送具を用いてバイアル瓶とプラボトルを接続した状態を示す外観図。 比較例9の流体移送具を用いてバイアル瓶とプラボトルを接続した状態を示す外観図。
符号の説明
1:流体移送具本体 2:長管 3:短管 4:管保持部 5:長管先端部
6:短管先端部 7:薬剤容器 8:溶解液容器 9:ゴム栓 10:薬剤
11:溶解液 12:気体 13:薬剤溶解液 14:サンプル瓶
15:三角フラスコ 16:シリコン栓 17:水 18:バイアル瓶
19:プラボトル

Claims (14)

  1. 流体通路となる部分が1本の長管と少なくとも2本の短管とからなる流体移送具であって、これらの管は同方向に配され、長管は短管より全長が長く、いずれの側の管先端部も長管が短管より突出しており、少なくとも一方の側の短管先端部が概ね揃っていることを特徴とする流体移送具。
  2. 更にもう一方の側の短管先端部も概ね揃っていることを特徴とする、請求項1に記載の流体移送具。
  3. 短管が2本である、請求項1又は2に記載の流体移送具。
  4. 前記長管及び短管が、いずれも管保持部に貫通状に保持されていることを特徴とする、請求項1〜3に記載の流体移送具。
  5. 管保持部が容器はめ込み部として機能し、少なくとも一方の短管の先端部がいずれも前記管保持部の表面に位置することを特徴とする、請求項4に記載の流体移送具。
  6. 更にもう一方の短管の先端部が、いずれも前記管保持部の反対側の表面に位置することを特徴とする、請求項5に記載の流体移送具。
  7. 長管の横断面が円であり、その内径が1.5mm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の流体移送具。
  8. 長管の横断面積が1.7mm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の流体移送具。
  9. 短管の横断面が円であり、その内径がいずれも3mm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の流体移送具。
  10. 短管の横断面積が7mm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の流体移送具。
  11. 長管の横断面積が、短管の横断面積より大きくなることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の流体移送具。
  12. 管の一方の側の先端が尖頭状に構成された中空針である、請求項1〜11のいずれかに記載の流体移送具。
  13. 管の両側の先端が尖頭状に構成された両頭針である、請求項1〜12のいずれかに記載の流体移送具。
  14. 流体移送具の一方の側が容器に冠着されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の流体移送具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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