JP2005128485A - 可視光・赤外光撮影システム - Google Patents
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Abstract
【課題】撮影レンズに入射し、フォーカスレンズやズームレンズを通過した被写体光を色分離プリズム等で可視光領域の被写体光と赤外光領域の被写体光に分離し、それぞれの被写体光を可視光用撮像素子と赤外光用撮像素子で撮像すると共に、赤外光領域の被写体光の結像倍率を補正レンズで調整できるようにすることで可視像と赤外像の結像倍率を精度良く一致させ、結像倍率を一致させるための補正処理を不要して画像処理の負担を軽減すると共に効率や精度の向上を図る可視光・赤外光撮影システムを提供する。
【解決手段】撮影レンズ10にはフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、色分離プリズムPが配置され、可視光領域の被写体光は色分離プリズムPを透過して絞りIA及びリレーレンズRLAを通過した後、可視光用撮像素子DAに入射する。赤外光領域の被写体光は色分解プリズムPで反射して絞りIB及び補正レンズZCLを含むリレーレンズRLBを通過した後、赤外光用撮像素子DBに入射する。
【選択図】 図1
【解決手段】撮影レンズ10にはフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、色分離プリズムPが配置され、可視光領域の被写体光は色分離プリズムPを透過して絞りIA及びリレーレンズRLAを通過した後、可視光用撮像素子DAに入射する。赤外光領域の被写体光は色分解プリズムPで反射して絞りIB及び補正レンズZCLを含むリレーレンズRLBを通過した後、赤外光用撮像素子DBに入射する。
【選択図】 図1
Description
本発明は可視光・赤外光撮影システムに係り、特に可視光と赤外光により同時に同一被写体を撮影することを可能にした可視光・赤外光撮影システムに関する。
テレビカメラ(例えばCCTVカメラ)で監視等の用途で撮影を行う場合に、日中等の明るい環境の下では可視光での撮影が行われ、夜間等の可視光では被写体が観察できない暗い環境の下では赤外(近赤外)光での撮影が行われている。
従来、可視光での撮影と赤外光での撮影とを一台のカメラで行う場合があり、カメラ本体に装着される撮影レンズも可視光用と赤外光用とで交換することなく使用できるようにしたものが知られている。これによれば、例えば、可視光での撮影を基準にして設計された撮影レンズを赤外光での撮影に兼用するために、レンズに蛍石やEDガラスなどの低分散ガラスを用いることで光学的に赤外光の波長領域まで色収差を少なくする方法や、色収差を補正する光学部材(レンズ・プリズム)を撮影レンズの光学系に挿入する方法等が用いられている。
一方、夕刻のように少し暗い撮影条件の下では、被写体を明瞭に映すことができる赤外光での撮影と、被写体のカラー情報を得ることができる可視光による撮影とを同時に行いたい場合がある。このような場合に、一台のカメラでは、可視光と赤外光の撮影とを同時に行うことはできないため、可視光用と赤外光用の2台のカメラを用いて同時に撮影を行う必要があった。しかしながら、2台のカメラを用いると、フォーカスやズーム等のレンズ操作を2台同時に、且つ、撮影距離(ピントが合う被写体位置までの距離(被写体距離))や画角が一致するように操作しなければならない手間を要するという問題があった。また、2台のカメラを用いるとカメラ間に視差が生じ、可視光で撮影した映像の画角と赤外光で撮影した映像の画角とが一致しないという問題もあった。
そこで、本願出願人は、撮影レンズに入射した被写体光をハーフミラー等で分割し、一方を可視光用の被写体光として撮像し、他方を赤外光用の被写体光として撮像するようにしたシステムを提案している。これによれば、可視光で撮影した映像の画角と赤外光で撮影した映像の画角とを一致させることができる。また、例えば、赤外光用の被写体光のみが通過する光路上に可動の補正レンズを配置し、その補正レンズの位置を調整して赤外光での撮影距離を可変できるようにすることによって可視光での撮影距離と赤外光での撮影距離とを正確に一致させることができるようになっている。尚、特許文献1には撮影レンズに入射した被写体光をハーフミラーで2つの被写体光に分割し、一方の被写体光で可視光の撮影を行い、他方の被写体光で赤外光の撮影を行うようにしたものが提案されているが、本提案の装置によって可視光と赤外光の撮影を同時に行う場合には画角や撮影距離が正確に一致しないなどの問題がある。
特開2003−69865号公報
本願出願人が提案した上記システムでは、同時に撮影される可視光の画像と赤外光の画像をモニタ上で視認する場合にはそれらの画角は十分に一致している。しかしながら、可視光と赤外光の2つの画像を電気的処理によって解析し、人や物体の認識等を行う場合には、それらの画角が十分に一致しているとまでは至らなかった。即ち、可視光による像(可視像)と赤外光による像(赤外像)の大きさ(結像倍率)が正確に一致していないため、それらの結像倍率の不一致を補うための補正処理を解析時に施す必要があり、画像処理の負担が大きいという問題があった。また、このような補正を画像処理で行う場合には複雑な処理が必要となり効率や精度が悪いという問題もあった。従って、結像倍率の不一致を補うための補正処理を解析時に施さなくても十分な精度で行えるようなレベルまで光学的な処理によって結像倍率を一致させることが望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、可視像と赤外像の結像倍率を光学的に精度良く一致させることができる可視光・赤外光撮影システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、同一被写体に対する可視光及び赤外光での撮影を同時に行うことを可能にする可視光・赤外光撮影システムであって、可視光領域と赤外光領域のうちいずれか一方の波長領域を第1波長領域とし、他方の波長領域を第2波長領域とし、前記第1波長領域の被写体光により結像された被写体像を撮像する第1の撮像手段と、前記第2波長領域の被写体光により結像された被写体像を撮像する第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段により被写体を撮像するための第1の被写体光を前記第1の撮像手段の撮像面に結像する光学系であって、所望の被写体距離の被写体にピントを合わせるために光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを備えた光学系と、前記光学系に配置されると共に前記フォーカスレンズよりも後側に配置される光分割手段であって、前記光学系に入射した被写体光を前記第1の被写体光と、前記第2の撮像手段により被写体を撮像するための第2の被写体光に分割する光分割手段と、前記光分割手段によって分割された被写体光の結像倍率を調整するために光軸方向に移動可能な補正レンズと、前記第1の撮像手段の撮像面に結像される被写体光の結像倍率と、前記第2の撮像手段の撮像面に結像される被写体光の結像倍率とが一致するように前記フォーカスレンズの位置に基づいて前記補正レンズの位置を制御する補正レンズ制御手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、補正レンズによって可視像と赤外像の結像倍率を精度良く一致させることができるため、画像処理での補正を不要にすることができるようになる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光分割手段よりも前側にズーム倍率を可変するために光軸方向に移動可能なズームレンズを備え、前記補正レンズ制御手段は、前記フォーカスレンズの位置及び前記ズームレンズの位置に基づいて前記補正レンズの位置を制御することを特徴としている。即ち、フォーカスレンズ以外にズームレンズを備えている場合にはズームレンズの位置変化によっても可視像と赤外像の結像倍率の差が変化するためズームレンズの位置を考慮して補正レンズによりその差を補正する。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記フォーカスレンズの位置に基づいて前記第1の撮像手段の撮像面に対してピントが合う被写体の被写体距離と、前記第2の撮像手段の撮像面に対してピントが合う被写体の被写体距離とが一致するように補正する被写体距離補正手段を備えたことを特徴としている。本発明によれば、可視光と赤外光の被写体距離も正確に一致させることができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の発明において、前記光分割手段よりも前側に絞りを配置したことを特徴としている。
本発明に係る可視光・赤外光撮影システムによれば、補正レンズを制御することによって可視像と赤外像の結像倍率を精度良く一致させることができるため、結像倍率を一致させるための補正処理を不要にすることができ、画像処理の負担を軽減することができると共に、効率や精度の向上を図ることができる。
以下添付図面に従って本発明に係る可視光・赤外光撮影システムの好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用されるレンズシステムの全体構成を示した図である。監視用テレビカメラなどに使用される同図のレンズシステムは可視光と赤外光(近赤外光)により同一被写体を同時に撮影できるようにしたシステムである。同図に示すように本レンズシステムは、光学系(撮影レンズ)10と制御系12とから構成されるレンズ装置と、可視光の波長領域(可視光領域)の被写体光により被写体を撮像する撮像素子(CCD)DAを搭載した可視光用カメラ本体14と、赤外光の波長領域(赤外光領域)の被写体光により被写体を撮像する撮像素子(CCD)DBを搭載した赤外光用カメラ本体16とから構成される。各種光学部品をレンズ鏡胴内に配置した撮影レンズ10は、可視光用カメラ本体14及び赤外光用カメラ本体16に所定のマウントによって着脱できるようになっている。
撮影レンズ10には、入射した被写体光のうち可視光領域の被写体光を可視光用カメラ本体14の撮像素子DAに導く可視光用光路と、赤外光領域の被写体光を赤外光用カメラ本体16の撮像素子DBに導く赤外光用光路とが設けられている。
可視光用光路には、光軸Oに沿って対物側から順にフォーカスレンズ(群)FL、ズームレンズ(群)ZL、色分離プリズムP、絞り(絞り機構)IA、リレーレンズ(群)RLAが配置される。リレーレンズ(群)RLAの後段には可視光用カメラ本体14の撮像素子DAが配置される。
一方、赤外光用光路には、光軸Oに沿って対物側から順に可視光用光路と共通のフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、及び、色分離プリズムPが配置され、色分離プリズムPから後、光軸Oに対してほぼ直交する方向の光軸O´に沿って絞り(絞り機構)IB、リレーレンズ(群)RLBが配置される。リレーレンズRLBの後段には赤外光用カメラ本体16の撮像素子DBが配置される。
これらの可視光用光路及び赤外光用光路により、撮影レンズ10に入射した被写体光のうち、可視光領域の被写体光はフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、色分離プリズムP、絞りIA、及び、リレーレンズRLAを順に通過して可視光用の撮像素子DAの撮像面に入射する。一方、赤外光領域の被写体光はフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、色分離プリズムP、絞りIB、及び、リレーレンズRLBを順に通過して赤外光用の撮像素子DBの撮像面に入射する。
尚、以下、可視光用光路に配置されるレンズ等によって構成される光学系を可視光用光学系といい、赤外光用光路に配置されるレンズ等によって構成される光学系を赤外光用光学系という。
フォーカスレンズFLは、フォーカス用モータFMによって光軸O方向に前後動するようになっており、可視光用光学系及び赤外光用光学系のフォーカス調整の際に駆動される。フォーカスレンズFLの位置が変化した場合、可視光領域の被写体光に対する可視光用光学系の結像作用により、可視光用の撮像素子DAの撮像面に対してピントが合う被写体位置(撮像面と共役の物体面)までの距離が変化すると共に、赤外光領域の被写体光に対する赤外光用光学系の結像作用により、赤外光用の撮像素子DBの撮像面に対してピントが合う被写体位置までの距離が変化する。尚、以下の説明において、撮像素子DAの撮像面に対してピントが合う被写体位置までの距離を、可視光用光学系の被写体距離といい、撮像素子DBの撮像面に対してピントが合う被写体位置までの距離を、赤外光用光学系の被写体距離という。
ズームレンズZLは、ズーム用モータZMによって光軸O方向に前後動するようになっており、可視光用光学系及び赤外光用光学系のズーム調整(焦点距離の調整)の際に駆動される。尚、ズームレンズZLは、変倍系レンズ(群)と補正系レンズ(群)とからなり、これらのレンズが所定の位置関係で連動することによってズーム倍率(焦点距離)を変更した場合に可視光領域及び赤外光領域の被写体光の結像位置が変動しないように補正される。即ち、可視光用光学系及び赤外光用光学系の被写体距離が変動しないように補正される。ただし、赤外光用光学系の被写体距離についてはズーム倍率の変更による変動を完全に補正することはできないため、後述するように別の手段によって補正される。
色分離プリズムPは、入射した被写体光をミラー面PMで可視光領域の被写体光と近赤外光領域の被写体光とに分光し、可視光領域の被写体光を透過させると共に、赤外光領域の被写体光を反射させる。従って、可視光領域の被写体光は光軸O方向にそのまま進行し、赤外光領域の被写体光は光軸Oに対してほぼ直角をなす光軸O´方向に進行する。
図2に色分離プリズムPの波長特性の一例を示しておく。同図に示すように約700nmを境にそれより短波長側にある可視光領域の被写体光は約90パーセント前後の透過率で色分離プリズムPを透過し、約700nmより長波長側にある赤外光領域の被写体光は約90パーセントを超える反射率により色分離プリズムPで反射する。
尚、上記色分離プリズムPの代わりにダイクロイックミラーやハーフミラーを用いて撮影レンズ10に入射した被写体光を可視光用の被写体光と赤外光用の被写体光と分割するようにしてもよい。ただし、波長領域によって被写体光を分割する色分離プリズムやダイクロイックミラーと異なり、ほとんど等価な波長領域の光に分割するハーフミラーのような光分割手段を用いた場合には分割後における可視光用及び可視光用の被写体光から不要な波長領域の光をフィルタによって除去することが望ましい。
絞りIAは、絞り用モータIMAによって開閉動作するようになっており、可視光用光学系の絞り調整の際、即ち、撮像素子DAの撮像面に入射する可視光領域の被写体光の光量を調整する際に駆動される。
リレーレンズRLAは、絞りIAを通過した可視光領域の被写体光を最終的に結像するレンズ群であり、その一部に配置されたトラッキング調整(フランジバック調整)用のトラッキングレンズ(群)TLが光軸O方向に前後動するようになっている。トラッキングレンズTLは、例えば撮影開始前などに可視光用光学系のトラッキング調整を行う際に手動で操作され、ズームレンズZLをワイド端からテレ端まで動かしても可視光用光学系の結像位置(即ち、可視光用光学系の被写体距離)が変動しないようにする位置に設定される。尚、同図のシステムではトラッキングレンズTLは手動で操作されるようになっているが、モータによって駆動できるようにしてもよい。
可視光用カメラ本体14の撮像素子DAは、撮像面上に結像された可視光領域の被写体光を光電変換し、被写体の像を電気信号として出力する。可視光用カメラ本体14には所要の信号処理回路が搭載されており、撮像素子DAから出力された信号はその信号処理回路によって映像信号に変換され外部機器等に出力される。
絞りIBは、絞り用モータIMBによって開閉動作するようになっており、赤外光用光学系の絞り調整の際、即ち、撮像素子DBの撮像面に入射する赤外光領域の被写体光の光量を調整する際に駆動される。
リレーレンズRLBは、絞りIBを通過した赤外光領域の被写体光を最終的に結像するレンズ群であり、リレーレンズRLBには、フォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLが配置されている。フォーカス補正レンズFCLはフォーカス補正用モータFCMによって光軸O´方向に前後動するようになっており、フォーカスレンズFLやズームレンズZLの位置変化に追従して駆動されるようになっている。同様にズーム補正レンズZCLはズーム補正用モータZCMによって光軸O´方向に前後動するようになっており、フォーカスレンズFLやズームレンズZLの位置変化に追従して駆動されるようになっている。
即ち、フォーカス補正レンズFCLの位置が変化すると赤外光領域の被写体光の結像位置が変化して被写体距離が変化することから、フォーカス補正レンズFLCの位置を制御することによって、赤外光用光学系の被写体距離が可視光用光学系の被写体距離、即ち、フォーカスレンズFLの位置に対応して予定されている被写体距離に一致するように調整される。また、ズーム補正レンズZCLの位置が変化すると赤外光用光学系の焦点距離が変化して赤外光領域の被写体光の結像倍率が変化することから、ズーム補正レンズZCLの位置を制御することによって、赤外光用光学系の結像倍率が可視光用光学系の結像倍率に一致するように調整される。尚、詳細は後述する。
赤外光用カメラ本体16の撮像素子DBは、撮像面上に結像された赤外光領域の被写体光を光電変換し、被写体の像を電気信号として出力する。赤外光用カメラ本体16には所要の信号処理回路が搭載されており、撮像素子DBから出力された信号はその信号処理回路によって映像信号に変換され外部機器等に出力される。
制御系12の制御回路20は、上記フォーカスレンズFL、ズームレンズZL、絞りIA、絞りIB、フォーカス補正レンズFCL、及び、ズーム補正レンズZCLの位置をそれぞれポテンショメータFP、ZP、IPA、IPB、FCP、ZCPにより検出しながら上記フォーカス用モータFM、ズーム用モータZM、アイリス用モータIMA、IMB、フォーカス補正用モータFCM、及び、ズーム補正用モータZCMを駆動し、各レンズや絞りの位置(又は動作速度)を制御する。
例えば、図示しないコントローラにおける操作者のフォーカス操作やズーム操作に基づいて、コントローラから制御回路20にフォーカスレンズFLやズームレンズZLの移動目標位置(又は移動目標速度)を示す指令信号が与えられるようになっており、制御回路20は与えられた指令信号に基づいてフォーカス用モータFMやズーム用モータZMを駆動制御し、フォーカスレンズFLやズームレンズZLの位置又は速度を制御する。
また、例えば、可視光用カメラ本体14や赤外光用カメラ本体16においてそれぞれ撮像素子DA、DBによって撮像した映像が適切な明るさとなる絞り値が求められるようになっており、その絞り値への設定を指示する指令信号が各カメラ本体14、16から制御回路20に与えられるようになっている。制御回路20はそれらの指令信号に基づいてアイリス用モータIMA、IMBを駆動し、絞りIA、IBの位置を制御する。これによって、絞りIAは、撮像素子DAにより撮影される映像が適切な明るさとなる位置に設定され、絞りIBは撮像素子DBにより撮影される映像が適切な明るさとなる位置に設定される。
尚、フォーカスレンズFL、ズームレンズZL、絞りIA、IBの制御は上述以外の方法で行われる場合であってもよい。
一方、フォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLの制御は、予めメモリ22に記憶されている補正データを参照し、フォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLがその補正データによって読み取った位置となるようにフォーカス補正用モータFCM及びズーム補正用モータZCMを駆動して行われる。
ここで、可視光用光学系の被写体距離は、フォーカスレンズFLの位置に対応して予定されている被写体距離に一致し、且つ、トラッキングレンズTLAでトラッキング調整を事前に行っておくことによってズームレンズZLの位置を変化させてもその被写体距離は変動しない。一方、赤外光用光学系の被写体距離は、可視光用光学系と共通に使用される光学部品(フォーカスレンズFLやズームレンズZL等)が可視光領域の被写体光に適応するように設計されているため、フォーカスレンズFLの位置に対応して予定されている被写体距離(即ち、可視光用光学系の被写体距離)に一致せず、そのずれ量もフォーカスレンズFLの位置によって異なる。また、ズームレンズZLの位置を変化させると赤外光用光学系の被写体距離が変動し、その変動量もズームレンズZLの位置で異なる。
そこで、赤外光用光学系の被写体距離がフォーカスレンズFLの位置に対応して予定されている被写体距離(即ち、可視光用光学系の被写体距離)に一致するように、且つ、ズームレンズZLの位置を変化させても赤外光用光学系の被写体距離が変動しないようにフォーカス補正レンズFCLの位置が制御され赤外光用光学系の被写体距離が補正されるようになっている。そして、その赤外光用光学系の被写体距離を補正するためのフォーカス補正レンズFCLの位置はフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの各位置に対して理論演算等によって事前に算出されてメモリ22に補正データとして記憶されており、その補正データを参照することによって撮影時におけるフォーカス補正レンズFCLの位置が決定されるようになっている。
図3は、補正データの一例をデータテーブルとして表した図であり、図4は、その補正データを3次元グラフにより表した図である。これらの図から分かるように補正データは、フォーカスレンズFL及びズームレンズZLの各位置に対してリレーレンズRLB全体の所定の基準位置からの補正量を対応付けたもので、ポテンショメータFP、ZPから読み取られるフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの現在位置、又は、指令信号に基づいて設定しようとしているフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの目標位置を補正データにおけるフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの位置とし、それらの位置に対応するフォーカス補正レンズFCLの補正量を補正データから読み取ることで、赤外光用光学系の被写体距離を可視光用光学系の被写体距離に一致させるためのフォーカス補正レンズFCLの基準位置からの補正量を知ることができるようになっている。
また、可視光用光学系により結像される可視像の結像倍率や、赤外光用光学系に結像される赤外像の結像倍率は、ズームレンズZLの位置に対応して予定されている結像倍率に対して正確には一致せず、そのずれ量もズームレンズZLやフォーカスレンズFLの位置によって異なる。また、可視光用光学系の結像倍率と赤外光用光学系の結像倍率ともズームレンズZLやフォーカスレンズFLの位置によって異なる。
そこで、赤外光用光学系の結像倍率が可視光用光学系の結像倍率に正確に一致するように、ズーム補正レンズZCLの位置が制御され赤外光用光学系の結像倍率が補正されるようになっている。そして、その赤外光用光学系の結像倍率を補正するためのズーム補正レンズZCLの位置はズームレンズZL及びフォーカスレンズFLの各位置に対して理論演算等によって事前に算出されてメモリ22に補正データとして記憶されており、その補正データを参照することによって撮影時におけるズーム補正レンズZCLの位置が決定されるようになっている。
図5には、フォーカスレンズFLをある位置に固定した場合に、ズームレンズZLの各位置に対してズーム補正レンズZCLの所定の基準位置からの補正量を対応つけた補正データが例示されており、ズームレンズZLの各位置において予定されたズーム倍率と、そのズーム倍率での本来の結像倍率に対する可視光用光学系及び赤外光用光学系の実際の結像倍率のずれ量と、各ズーム倍率において赤外光用光学系の結像倍率を可視光用光学系の結像倍率に一致させるための補正量(基準位置からの移動量)が示されている。尚、同図において可視光用光学系の結像倍率のずれ量は波長546.1nmの可視光により算出されたものであり、赤外光用光学系の結像倍率のずれ量は波長880nmの赤外光により算出されたものである。
同図の補正データでは、フォーカスレンズFLを所定位置に固定した場合の補正量が示されているが、フォーカスレンズFLの位置が変わると補正量も変化するため、実際にはズームレンズZLの位置とフォーカスレンズFLの位置に対応してズーム補正レンズZCLの補正量が補正データから決定されるようになっている。そこで、ポテンショメータFP、ZPから読み取られるフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの現在位置、又は、指令信号に基づいて設定しようとしているフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの目標位置を、補正データにおけるフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの位置とし、それらの位置に対応するズーム補正レンズZCLの補正量を補正データから読み取ることで、赤外光用光学系の結像倍率を可視光用光学系の結像倍率に正確に一致させるためのズーム補正レンズZCLの基準位置からの補正量を知ることができるようになっている。
制御回路20は、フォーカスレンズFL又はズームレンズZLを指令信号に基づいて変位させる場合には、ポテンショメータFP、ZPから読み取られるフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの現在位置、又は、指令信号に基づいて設定しようとしているフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの目標位置に対するフォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLの補正量を上述のように補正データから読み取る。そして、補正データから読み取った補正量分だけ所定の基準位置からフォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLを変位させることによって赤外光用光学系の被写体距離及び結像倍率を可視光用光学系の被写体距離及び結像倍率に一致させる。これによって、可視光用光学系によりピントが合わせられる被写体位置及び結像倍率と赤外光用光学系によりピントが合わせられる被写体位置及び結像倍率とが正確に一致すると共に、同一撮影画角で同一被写体にピントを合わせた可視光による映像と赤外光による映像とを撮像素子DA、DBによって同時に撮影することができるようになる。
尚、図3、図4、図5で示したような形式の補正データの場合、フォーカス補正レンズFCLやズーム補正レンズZCLの補正量がフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの離散的な位置に対して対応付けられており、求めようとしているフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの位置に対するフォーカス補正レンズFCLやズーム補正レンズZCLの補正量が直接補正データから読み取れない場合がある。そのような場合には、例えば、補間演算によってデータを補間することによってフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの所望の位置に対するフォーカス補正レンズFCLやズーム補正レンズZCLの補正量を求めることができる。
また、上記説明では赤外光用光学系の被写体距離をフォーカス補正レンズFCLにより、赤外光用光学系の結像倍率をズーム補正レンズZCLによりそれぞれ独立に補正できるようになっていたが、1つの補正レンズの位置を変化させることによって赤外光用光学系の被写体距離と結像倍率が共に変化するような場合であっても2つ(又はそれ以上)の補正レンズの位置を調整することによって赤外光用光学系の被写体距離と結像倍率をそれぞれ所望の補正量分だけ補正できるような構成であれば、それらの補正レンズの位置を上記実施の形態と同様に制御することによって赤外光用光学系の被写体距離及び結像倍率を可視光用光学系の被写体距離及び結像倍率に一致させることができる。また、赤外光用光学系の被写体距離及び結像倍率を補正するための光学的な構成は上記実施の形態の場合に限らずどのような構成であってもよい。
また、補正データは、赤外光領域のなかでも特定波長(主要波長)の被写体光に対して最適な補正量となるデータを示しているが、例えば、赤外光での撮影を行う場合には赤外光照明器具により被写体を照明することがあり、この場合には、その照明光の主要波長(最大強度の波長)に合わせた補正データを用いることが好適である。例えば、照明光の主要波長が950nmであれば、950nmの被写体光に対して最適な補正量が得られる補正データを使用することが好適である。また、主要波長が異なる数種類の補正データをメモリ22に記憶させておき、実際に参照する補正データを照明光の主要波長等に応じて適宜ユーザが選択できるようにしてもよいし、又は、主要波長をセンサによって検出し、それに合わせて最適な補正データを選択するようにしてもよい。
また、補正レンズCLの補正量を求める方法は上述の方法に限らず、数式を用いた演算で補正量を求めるなどの他の方法を用いてもよい。
また、赤外光用光学系の被写体距離や結像倍率は、絞りIBの位置によっても変化する場合があるため、フォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLの補正量は、フォーカスレンズFL及びズームレンズZLの位置の他に絞りIBの位置を考慮して決定するようにしてもよい。
更に、フォーカス補正レンズFCLやズーム補正レンズZCLの前記基準位置は、可視光用光学系におけるトラッキングレンズTLの位置に応じて変更する必要が生じる場合があり、この場合には例えば、制御回路20においてトラッキングレンズTLの位置を検出できるようにし、トラッキングレンズTLの位置に対して適切な基準位置をメモリ22に事前に記憶したデータテーブルによって調整できるようにすることで対処できる。
また、上記実施の形態ではフォーカスレンズFL及びズームレンズZLの位置に応じて赤外光用光学系の被写体距離及び結像倍率をフォーカス補正レンズFCL及びズーム補正レンズZCLによって補正するようにしたが、赤外光用光学系の被写体距離や結像倍率を補正するのではなく、フォーカスレンズFL及びズームレンズZLの位置に応じて可視光用光学系の被写体距離や結像倍率を補正するようにしてもよい。即ち、上記実施の形態における可視光用光学系の構成及び制御を赤外光用光学系の構成及び制御として適用すると共に、上記実施の形態における赤外光用光学系の構成及び制御を可視光用光学系の構成及び制御として適用するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、色分離プリズムPにおいて可視光領域の被写体光を透過させ、赤外光領域の被写体光を反射させるようにしたが逆であってもよい。
また、上記実施の形態ではフォーカスレンズFLとズームレンズZLを備えた撮影レンズに本発明を適用した場合について説明したが、ズームレンズZLを備えていない固定焦点距離の撮影レンズ、即ち、単焦点レンズにおいても本発明を同様に適用できる。
また、上記実施の形態では、フォーカス補正レンズFCLの位置を動かすことによって赤外光用光学系の被写体距離を補正するようにしたが、フォーカス補正レンズFCLの位置を動かす代わりに撮像素子DBの撮像面の位置を動かすことによって赤外光用光学系の被写体距離を補正することもできる。また、撮像素子DBの撮像面の位置を動かす方法として撮像素子DBを直接動かす場合の他に、撮影レンズ10と赤外光用カメラ本体16とを装着するマウント部分を動かし、撮影レンズ10に対して赤外光用カメラ本体16全体を動かすようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、色分離プリズムPによって可視光領域の被写体光と赤外光領域の被写体光に分光した後にそれらの可視光領域の被写体光と赤外光領域の被写体光とが別々に通過する位置に絞りIAと絞りIBを配置するようにしたが、いずれか一方を色分離プリズムPにより分光される前の被写体光が通過する位置に配置するようにしてもよい。但し、赤外光での撮影を行う場合、赤外光照明器具で被写体に赤外光を照射することが多い。そのため、可視光領域の被写体光に比べて赤外光領域の被写体光の方が強度が大きい場合が多い。このような事情を考慮した場合には、色分離プリズムPより前に配置する絞りを絞りIBよりも絞りIAとした方が好適である。
また、光学系に2つの絞りIA、IBを配置するのではなく、図6に示す撮影レンズ(図1と同一又は類似作用の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する)のように色分離プリズムPよりも前側に、例えば、絞りIAのみを配置だけでもよい。この場合に、その絞りIAは、可視光領域の被写体光の光量に基づいて可視光用カメラ本体14から出力される指令信号に従って制御する場合に限らず、赤外光領域の被写体光の光量に基づいて赤外光用カメラ本体16から出力される指令信号に従って制御するようにしてもよいし、又は、可視光用カメラ本体14と赤外光用カメラ本体16の両方から出力される指令信号を考慮して制御するようにしてもよい。また、このように絞りを光学系に1つだけ配置した場合であっても、可視光領域の被写体光の光量(可視光用カメラ本体14で得られる映像信号のレベル)と赤外光領域の被写体光の光量(赤外光用カメラ本体16で得られる映像信号のレベル)とをそれぞれ、可視光用カメラ本体14と赤外光用カメラ本体16での電子シャッターやゲイン制御によって、又は、色分離プリズムPよりも後段側の可視光用光路と赤外光用光路の両方又はいずれか一方にNDフィルタ切替機構や液晶可変透過機構などの光量調整機構を配置することによって個別に制御することもできる。
また、本発明は、監視等の用途に使用されるCCTVカメラのほかに放送用、業務用等の任意の用途のビデオカメラ等の撮影システムに適用することができる。
10…光学系(撮影レンズ)、12…制御系、DA、DB…撮像素子、14…可視光用カメラ本体、16…赤外光用カメラ本体、FL…フォーカスレンズ、ZL…ズームレンズ、P…色分離プリズム、IA、IB…絞り、RLA、RLB…リレーレンズ、FM…フォーカス用モータ、ZM…ズーム用モータ、IMA,IMB…絞り用モータ、TL…トラッキングレンズ、FCL…フォーカス補正レンズ、ZCL…ズーム補正レンズ、FCM…フォーカス補正用モータ、ZCM…ズーム補正用モータ、20…制御回路、22…メモリ
Claims (4)
- 同一被写体に対する可視光及び赤外光での撮影を同時に行うことを可能にする可視光・赤外光撮影システムであって、
可視光領域と赤外光領域のうちいずれか一方の波長領域を第1波長領域とし、他方の波長領域を第2波長領域とし、前記第1波長領域の被写体光により結像された被写体像を撮像する第1の撮像手段と、
前記第2波長領域の被写体光により結像された被写体像を撮像する第2の撮像手段と、
前記第1の撮像手段により被写体を撮像するための第1の被写体光を前記第1の撮像手段の撮像面に結像する光学系であって、所望の被写体距離の被写体にピントを合わせるために光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを備えた光学系と、
前記光学系に配置されると共に前記フォーカスレンズよりも後側に配置される光分割手段であって、前記光学系に入射した被写体光を前記第1の被写体光と、前記第2の撮像手段により被写体を撮像するための第2の被写体光に分割する光分割手段と、
前記光分割手段によって分割された被写体光の結像倍率を調整するために光軸方向に移動可能な補正レンズと、
前記第1の撮像手段の撮像面に結像される被写体光の結像倍率と、前記第2の撮像手段の撮像面に結像される被写体光の結像倍率とが一致するように前記フォーカスレンズの位置に基づいて前記補正レンズの位置を制御する補正レンズ制御手段と、
を備えたことを特徴とする可視光・赤外光撮影システム。 - 前記光分割手段よりも前側にズーム倍率を可変するために光軸方向に移動可能なズームレンズを備え、前記補正レンズ制御手段は、前記フォーカスレンズの位置及び前記ズームレンズの位置に基づいて前記補正レンズの位置を制御することを特徴とする請求項1の可視光・赤外光撮影システム。
- 前記フォーカスレンズの位置に基づいて前記第1の撮像手段の撮像面に対してピントが合う被写体の被写体距離と、前記第2の撮像手段の撮像面に対してピントが合う被写体の被写体距離とが一致するように補正する被写体距離補正手段を備えたことを特徴とする請求項1の可視光・赤外光撮影システム。
- 前記光分割手段よりも前側に絞りを配置したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の可視光・赤外光撮影システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2004
- 2004-04-30 JP JP2004135132A patent/JP2005128485A/ja active Pending
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