JP2005127268A - ターボチャージャーのロータ構造 - Google Patents

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徳行 松井
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Abstract

【課題】 ターボチャージャーのロータ構造において、ロータのバランス修正が失敗なく容易に行える構成を提供する。
【解決手段】 ロータ本体1と、該ロータ本体1の軸方向端部に取り付けられる質量体11と、を有する(選択図(a))。前記質量体11には長孔14を形成する(選択図(b))。前記質量体11の前記ロータ本体1に対する取付位置を前記長孔14によって変更できるように構成した。質量体11をロータ本体1に取り付けるための固定具(ボルト)13は、質量体11と同じ熱膨張係数を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ターボチャージャーのロータ構造に関する。詳細には、ロータの回転バランスの調整が可能なターボチャージャーのロータ構造に関する。
この種のターボチャージャーのロータ構造としては、例えば特許文献1に開示されるものがある。この特許文献1では、通常10万rpm以上の回転数及び700℃以上の温度での使用に耐え得るロータとして、セラミックスで形成したロータが有効である旨を開示する。
特許文献1の第1図に示すように、タービンロータ6のボス部9には、その軸芯上に軸方向に沿って半径方向に拡径するテーパ状の固定穴10が設けられており、この固定穴10に、耐熱性金属から形成された質量体11が一体的に固定される。そして、質量体11が前記タービンロータ6に固定された後、その質量体本体11bにタービンロータ6のバランス修正に応じた研削加工が施される。なお、研削加工には通常グラインダが用いられる。この結果、タービンロータ6の回転バランスの修正が適正になされ円滑な回転が得られる。
特開昭63−41602号公報
しかし、上記特許文献1の構成は、質量体11の本体11bを研削加工することで回転バランスを修正する構成であるために、いったん研削し過ぎてバランス調整に失敗してしまうと修正がきかず、タービンロータ6が不良品となってしまい、歩留まりが悪化してしまっていた。このような削り過ぎを回避するには、少し削ってはバランスを確認し、確認の結果に基づいてまた少し削り、・・・というような作業を行わざるを得ず、バランスの確認回数が多く必要となってバランス修正作業のために時間とコストが掛かっていた。
しかも、製造されるタービンロータ6は必要な修正量が一個一個異なるために、質量体本体11bの研削量をそれに応じて変更しなければならず、上記のバランス調整の失敗が頻繁に起こり易かった。
加えて、上記特許文献1の構成は研削加工によって回転バランスを修正する構成であるために、加工に伴って金属の切り粉等の異物が発生し、これがエンジンや周囲環境に悪影響を及ぼす恐れがあった。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
◆本発明の第1の観点によれば、以下のように構成する、ターボチャージャーのロータ構造が提供される。
ロータ本体と、該ロータ本体の軸方向端部に取り付けられる質量体と、を有する。前記質量体には長孔を形成して、前記質量体の前記ロータ本体に対する取付位置を前記長孔によって変更できるように構成した。
これにより、質量体の取付位置の変更によってロータの回転バランスの変更が行える。従って、例えばバランス修正のために質量体の取付位置を一側に移動させ過ぎて却ってバランスが悪くなってしまった場合でも、簡単に元に戻すことが可能である。従って、ロータが不良品となることを防止でき、歩留まりの低下を回避できる。また、質量体に長孔を設けるだけの簡素な構成なので、製造コストを低減できる。
また、質量体を研削加工してバランス修正を行う構成に比較して、研削に伴う切り粉が発生しないので、エンジンや周囲環境に悪影響を与えることを防止できる。更には、ロータをターボチャージャーのハウジングから取り出さない状態でも質量体の取付位置を変更してバランス調整が可能であるため、バランス調整作業をきわめて容易なものとすることができる。
加えて、製造されるロータ本体については必要なバランス修正量が一個一個異なるが、これらの修正を、同一形状の質量体の取付位置を変更することで対応できる。従って、質量体の形状を統一できるため、質量体を大量生産してコストを安くすることができる。
◆本発明の第2の観点によれば、以下のように構成する、ターボチャージャーのロータ構造が提供される。
ロータ本体と、該ロータ本体の軸方向端部に取り付けられる質量体と、を有する。前記ロータ本体には複数の取付凸部又は取付凹部を設ける。前記質量体は、前記取付凸部又は前記取付凹部を介して、少なくとも二つ以上の異なる取付位置から選択して前記ロータ本体の軸方向端面に取付可能に構成した。
これにより、質量体の取付位置の変更によってロータの回転バランスの変更が行える。従って、例えばバランス修正のために質量体の取付位置を移動させて却ってバランスが悪くなってしまった場合でも、簡単に元に戻すことが可能である。従って、ロータが不良品となることを防止でき、歩留まりの低下を回避できる。
また、質量体を研削加工してバランス修正を行う構成に比較して、研削に伴う切り粉が発生しないので、エンジンや周囲環境に悪影響を与えることを防止できる。更には、ロータをターボチャージャーのハウジングから取り出さない状態でも質量体の取付位置を変更してバランス調整が可能であるため、バランス調整作業をきわめて容易なものとすることができる。
加えて、製造されるロータ本体については必要なバランス修正量が一個一個異なるが、これらの修正を、同一形状の質量体の取付位置を変更することで対応できる。従って、質量体の形状を統一できるため、質量体を大量生産してコストを安くすることができる。
◆前記のターボチャージャーのロータ構造においては、以下のように構成することが好ましい。
前記質量体を前記ロータ本体に取り付けるための固定具を備える。この固定具が、前記質量体と同等の熱膨張係数を有している。
これにより、高温環境下でも質量体と固定具との結合が緩まず、信頼性を向上させることができる。
◆前記のターボチャージャーのロータ構造においては、前記固定具がボルト又はナットであることが好ましい。
これにより、ボルト又はナットを緩めることにより質量体の位置を変更でき、質量体の位置を合わせたらボルト又はナットを締め付けることで質量体を動かないように固定できる。従って、質量体の位置の変更作業が容易である。また、ボルト又はナットは広く普及しているので、コストの安い取付構造が実現される。
◆前記のターボチャージャーのロータ構造においては、前記質量体に整流のためのブレードが形成されていることが好ましい。
これにより、質量体に整流効果を発揮させることができる。
〔第1実施形態〕
最初に、第1実施形態のロータ構造を説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態のロータ構造を示す図である。図1(b)は、質量体をロータの軸方向に見た様子を示す図である。
図1(a)に示すロータ本体1はターボチャージャーのロータであり、軸方向一端側にタービンホイール2が形成されている。このタービンホイール2は複数枚のタービンブレードを有し、図示しないターボチャージャーのタービンハウジングに導入された排気ガスのガス流によって、ロータ本体1を回転させ得るように構成している。タービンホイール2の素材としては軽量で耐熱性を有するものが望ましく、例えばニッケル系の耐熱合金や、セラミック系材料を使用することができる。
また、このロータ本体1の軸方向他端側にはコンプレッサホイール3が形成されている。このコンプレッサホイール3は複数枚のインペラを有しており、前記タービンホイール2と軸心を一致させた状態で一体的に結合されている。コンプレッサホイール3はロータ本体1の回転に伴ってコンプレッサハウジング(図略)の内部で回転し、吸入空気を圧縮しながらエンジン燃焼室へ送り込むことができるように構成している。コンプレッサホイール3は、例えばアルミ製とすることができる。
そして、このターボチャージャーのロータ構造にあっては、ロータ本体1のバランスを修正してターボチャージャーの共振を抑えるために、以下のように構成されている。
図1(a)に示されるように、ロータ本体1の軸方向一端側(タービンホイール2側)の端面15には、質量体11が取り付けられる。具体的には、ロータ本体1の軸方向一端側には、その軸線を当該ロータ本体1と一致させるネジ孔12が形成される。このネジ孔12は、前記ロータ本体1の一側の端面15に開口している。このネジ孔12には取付ボルト(固定具)13を螺合できるようになっている。
図1(b)には、ロータ本体1の軸方向に見た質量体11の様子が示される。この図1(b)に示すように、質量体11はやや細長く形成されるとともに、貫通状の長孔14が形成されている。この長孔14に前記取付ボルト13の軸部を挿通した上で前記ネジ孔12に当該取付ボルト13を螺合することで、質量体11がロータ本体1に取り付けられ固定される。
以上に説明したとおり、前記質量体11には長孔14が形成されているので、前記取付ボルト13を緩めることで、質量体11の前記ロータ本体1に対する取付位置を、図1(a)(b)に示す矢印の向きに所定の範囲で変更することができる。また、前記取付ボルト13を緩めることで、前記質量体11を回転させることも可能である。
即ち、質量体11の重心のロータ軸心に対する偏心量とその偏心の向きを変更することが容易である。この結果、ロータ本体1のバランス修正を容易に行うことができる。
特に本実施形態では、質量体11のロータ本体1の取付位置の変更によってバランスの調整が行えるため、例えばバランス修正のために質量体11の取付位置を一側に移動させ過ぎて却ってバランスが悪くなってしまった場合でも、取付ボルト13を緩めることで簡単に元に戻すことが可能である。従って、ロータ本体1が不良品となることを防止でき、歩留まりの低下を回避できる。
また、質量体11を研削加工してバランス修正を行う構成に比較して、研削に伴う切り粉が発生しないので、エンジンや周囲環境に悪影響を与えることを防止できる。更には、ロータ本体1をターボチャージャーのハウジングから取り出さない状態でも前記取付ボルト13を緩めることで質量体11の取付位置を変更してバランス調整が可能であるため、バランス調整作業をきわめて容易なものとすることができる。
なお、製造されるロータ本体1は必要な修正量が一個一個異なるが、これらの修正は、同一形状の質量体11の取付位置を変更することで対応できる。従って、偏心量の異なる質量体11を種々製造しておいて必要な偏心量の質量体11を選択して用いる必要がないので(換言すれば質量体11の形状を統一できるので)、質量体11を大量生産してコストを安くすることができる。
また、本実施形態では、前記質量体11を、前記取付ボルト13と同一の素材で構成している。従って、熱膨張率が質量体11と取付ボルト13とで同一となるので、高温環境下でも質量体11と取付ボルト13との固定が緩まず、信頼性が向上されている。なお、質量体11を、取付ボルト13と同一の素材で構成することに代えて、取付ボルト13と同等な熱膨張率を有する他の素材で構成しても良い。
なお、質量体11はロータ本体1に対し取付ボルト13によって取り付けることに限定されない。例えば、ロータ本体1の一端側の端面15からネジ軸を突出状に一体形成して、このネジ軸に前記質量体11の長孔14を挿通させた上で固定具としてのナットを前記ネジ軸に螺合させれば、質量体11を同様にロータ本体1に取り付けることができる。
なお、このように取付ボルト13又はナットを固定具として採用することにより、ボルト又はナットを緩めることで質量体11の位置を変更でき、質量体11の位置を合わせたらボルト又はナットを再び締め付けることで質量体11を動かないように固定できる。従って、バランス修正作業が容易である。また、ボルトやナットは広く普及しているので、コストの安い取付構造が実現される。
〔第2実施形態〕
図2は第2実施形態の質量体を示す図であって、前記の図1(a)に対応する図である。
この図2に示す質量体11は前記第1実施形態と同様に、長孔14を介して図略の取付ボルトによってロータ本体1の端面に取り付けられる。質量体11の外周面は円柱面に形成されており、更にその円柱面から複数枚のブレード16を突出させている。この構成によれば整流効果を奏させることができる。例えば、タービンハウジングに供給されてタービンホイール2のブレードを押してロータ本体1に回転力を付与した排気ガスを、前記ブレード16によって、スムーズに出口に向かって流出させることが可能になる。
〔第3実施形態〕
図3は第3実施形態の質量体を示す図であって、前記の図1(a)に対応する図である。
この図3に示すように、質量体11を鈎状に折曲された形状に形成し、その一端に前記長孔14を形成し、他端の鈎状に曲がった部分を前記ブレード16として形成しても良い。この場合でも、一枚のブレード16により、前記の第2実施形態と同様な整流効果を奏させることができる。
〔第4実施形態〕
図4は第4実施形態において質量体の取付構成を示す図であって、前記の図1(a)に対応する図である。
この図4に示すように、前記ロータ本体1の一端側の端面15から、3つの取付軸(取付凸部)21・22・23が突出されている。各取付軸21・22・23は、前記ロータ本体1の回転軸心より偏心した位置から、その回転軸心と平行な向きに突出している。3つの取付軸21・22・23は、正三角形の頂点をなすように配置されている。
一方、質量体11は細長い形状に構成するとともに、その両端に貫通孔17・17を形成している。2つの貫通孔17・17の間の距離は、前記取付軸21・22・23がなす正三角形の一辺の長さに等しくなっている。
以上の構成で、質量体11は、3つの取付軸21・22・23のうち任意に選択した2つの取付軸に取り付けることが可能である。即ち、前記の正三角形の三辺のうちいずれかの一辺の位置を選択して、その位置に質量体11を取り付けることが可能である。取付方法の一例としては、前記取付軸21・22・23をネジ軸に構成するとともに、その取付軸に図略のナットを螺合させる方法が考えられる。
本実施形態では以上に説明したとおり、三つの取付位置から選択して前記質量体11を前記端面15に取付可能であるので、質量体11の重心のロータ軸心に対する偏心量とその偏心の向きを三通りに変更することができる。この結果、ロータ本体1のバランス修正を容易に行うことができる。
また本実施形態では、質量体11のロータ本体1の取付位置の変更によってバランスの調整が行えるため、例えばバランス修正のために質量体11の取付位置をある位置に移動させてかえってバランスが悪くなってしまった場合でも、質量体11の取付位置を簡単に元に戻すことが可能である。従って、ロータ本体1が不良品となることを防止でき、歩留まりの低下を回避できる。
また、質量体11を研削加工してバランス修正を行う構成に比較して、研削に伴う切り粉が発生しないので、エンジンや周囲環境に悪影響を与えることを防止できる。更には、ロータ本体1をターボチャージャーのハウジングから取り出さない状態でも質量体11の取付位置を変更してバランス調整が可能であるため、バランス調整作業をきわめて容易なものとすることができる。
なお、製造されるロータ本体1は必要な修正量が一個一個異なるが、これらの修正は、同一形状の質量体11の取付位置を変更することで対応できる。従って、偏心量の異なる質量体11を種々製造しておいて必要な偏心量の質量体11を選択して用いる必要がないので(換言すれば質量体11の形状を統一できるので)、質量体11を大量生産してコストを安くすることができる。
なお、前記取付軸21・22・23がなす図形(本実施形態では正三角形)の重心は、前記ロータ本体1の軸心と一致していても良いし、一致していなくても良い。また、三角形は正三角形に限定されず、また、取付軸は3本であることに限定されない。例えば二等辺三角形、菱形、正五角形など、取付軸がなす形状は様々に考えられる。二等辺三角形の場合は質量体11の取付位置を二つから選択でき、正五角形の場合は質量体11の取付位置を五つから選択できる。
また、質量体11はロータ本体1に対しナットによって取り付けることに限定されない。例えば、ロータ本体1の端面15に3つのネジ孔(係合凹部)を開口させる一方、前記質量体11の貫通孔17・17にそれぞれ取付ボルトを挿通して前記ネジ孔に螺合させる方法が考えられる。
また、本実施形態の質量体11においても、その外周面に前記第2実施形態あるいは第3実施形態のようなブレード(図2または図3の符号16)を形成して、整流を行わせることが可能である。
〔変更態様〕
以上に本発明の4つの実施形態及びその変形例を示したが、本発明は他にも以下のように変更して実施することができる。
(1)質量体11は、上記実施形態のように前記ロータ本体1のタービンホイール2側の端面に設けられる代わりに、コンプレッサホイール3側の端面に設けられても良い。また、ロータ本体1の軸方向両端面に設けられても良い。
(2)質量体11を固定する固定具としては、取付ボルト13やナットの代わりに、例えばピン等を用いても良い。
(a)は、本発明の第1実施形態のロータ構造を示す図。(b)は、質量体をロータの軸方向に見た様子を示す図。 本発明の第2実施形態の質量体を示す図。 本発明の第3実施形態の質量体を示す図。 本発明の第4実施形態の質量体の取付構造を示す図。
符号の説明
1 ロータ本体
11 質量体
13 取付ボルト(固定具)
14 長孔
16 ブレード
21・22・23 取付軸(取付凸部)

Claims (5)

  1. ロータ本体と、該ロータ本体の軸方向端部に取り付けられる質量体と、を有する、ターボチャージャーのロータ構造において、
    前記質量体には長孔を形成して、前記質量体の前記ロータ本体に対する取付位置を前記長孔によって変更できるように構成したことを特徴とする、
    ターボチャージャーのロータ構造。
  2. ロータ本体と、該ロータ本体の軸方向端部に取り付けられる質量体と、を有する、ターボチャージャーのロータ構造において、
    前記ロータ本体には複数の取付凸部又は取付凹部を設け、
    前記質量体は、前記取付凸部又は前記取付凹部を介して、少なくとも二つ以上の異なる取付位置から選択して前記ロータ本体の軸方向端面に取付可能に構成したことを特徴とする、
    ターボチャージャーのロータ構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のターボチャージャーのロータ構造であって、
    前記質量体を前記ロータ本体に取り付けるための固定具を備え、
    この固定具が、前記質量体と同等の熱膨張係数を有していることを特徴とする、
    ターボチャージャーのロータ構造。
  4. 請求項3に記載のターボチャージャーのロータ構造であって、
    前記固定具がボルト又はナットであることを特徴とする、
    ターボチャージャーのロータ構造。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載のターボチャージャーのロータ構造であって、前記質量体に整流のためのブレードが形成されていることを特徴とする、ターボチャージャーのロータ構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010053774A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Ihi Corp 可変容量過給機

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