JP2005127263A - タービン動翼および回転機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、フィンを設けなくても十分なシール効果を有するタービン動翼および回転機械を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、翼先端に取り付けられたシュラウド31に、翼23のアキシャル方向変形を利用して固定側の対向面39との間でシールをするシール部35を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タービン動翼および回転機械に関するものである。
蒸気タービン、ガスタービン、軸流圧縮機等の回転機械において、タービン段落内部での圧力損失の一つとして翼頂部漏れ損失がある。
従来、翼頂部あるいは翼頂部と対向するケーシングに、ラジアル方向に延伸したフィンを取り付けて、この翼頂部漏れ損失を防止していた。
さらに、圧力損失の防止効率を高めるものとして特許文献1に記載のものが提案されている。これは、フィンの取付けに加えて、翼先端部に設けられたシュラウドの形状を工夫したものである。すなわち、シュラウドの蒸気流れ方向上流側先端部を突出させるとともにケーシング側にこのシュラウド先端部を受け入れる凹部を形成しているものである。突出したシュラウド先端部が、ケーシング側の凹部に入り込み、翼頂部に流入する蒸気量を減少させるようになっている。
特開平10−266804号公報(段落[0010]〜[0013],及び図1)
しかしながら、フィンにより翼頂部漏れ損失を防止するものは、フィン設置にコストがかかるし、運転時の振動等で接触するフィン先端が磨耗してシール効果が低下する等の問題点がある。
また、特許文献1に記載されたものは、シュラウドの先端部がケーシングの凹部に入り込むので、アキシャル方向およびラジアル方向の変形を考慮して設計する必要があるし、加工が難しい。また、動翼が、運転異常等で予期しない変形をして、シュラウドがケーシングに接触した場合には、シュラウドが損傷する恐れがある。このため、シュラウドとケーシング間の隙間は、安全度をみて空けておく必要があるので、シールとしての効果が十分に得られないという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、フィンを設けなくても十分なシール効果を有するタービン動翼および回転機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるタービン動翼は、翼先端に取り付けられたシュラウドに、翼のアキシャル方向変形を利用して固定側の対向面との間でシールをするシール部を設けたことを特徴とする。
タービン動翼は、運転時作動流体の動圧、加熱、および遠心力の作用によりアキシャル方向およびラジアル方向に変形する。この変形は、主として遠心力の作用で起きるので、重心の位置を調整することにより、アキシャル方向の変形方向および変形量が調整できる。
翼先端のシュラウドに設けたシール部が、運転時動翼のアキシャル方向変形に伴い移動して、固定側の対向面との間でシールを形成する。これにより、翼先端からの作動流体の漏れを防止できる。したがって、翼先端でのシールのためにフィン等を設ける必要がないので、構造が簡単で、加工が容易となる。
また、本発明にかかるタービン動翼では、前記シール部は、アブレイダブル材で構成された前記対向面に対向することを特徴とする。
このように、シール部と協働してシールを構成する対向面は、アブレイダブル材で構成されているので、シール部が対向面に接触した場合、対向面が磨耗する。これにより、運転異常時等において、動翼のアキシャル方向変形が予定より大きくなっても動翼は壊れることはない。
さらに、本発明にかかるタービン動翼では、前記アキシャル方向変形は、作動流体の流れ方向に対して下流側としたことを特徴とする。
このように、タービン動翼はアキシャル方向下流側に変形するので、下流側端面においてシール部が形成されることとなる。この下流側のシール部において、作動流体に遠心力が働き、作動流体を外周側すなわち上流側に向けて流す、いわゆるポンピング効果が発生する。このポンピング効果により、シール部に流入する作動流体に押し戻す力が加わるので、シール性能はより向上することになる。
また、本発明にかかる回転機械は、請求項1ないし3に記載のタービン動翼を備えたことを特徴とする。
このように、簡単な構造で、先端部のシールが行えるタービン動翼を取り付けたので、回転機械は、構造がより簡単で、安価に製造できる。
請求項1に記載の発明によれば、翼先端のシュラウドに設けたシール部が、運転時動翼のアキシャル方向変形に伴い移動して、固定側の対向面との間でシールを形成するので、翼先端でのシールのためにフィン等を設ける必要がなく、構造が簡単で、加工が容易となる。
請求項2に記載の発明によれば、シール部と協働してシールを構成する対向面は、アブレイダブル材で構成されているので、運転異常時等において、動翼のアキシャル方向変形が予定より大きくなっても動翼は壊れることはない。
請求項3に記載の発明によれば、下流側のシール部において、作動流体に遠心力が働き、作動流体を外周側に向けて流す、いわゆるポンピング効果が発生するので、シール性能はより向上することになる。
請求項4に記載の発明によれば、簡単な構造で、先端部のシールが行えるタービン動翼を取り付けたので、回転機械は、構造がより簡単で、安価に製造できる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
図3には、第一実施形態にかかる蒸気タービン(回転機械)1が示されている。蒸気タービン1は、蒸気タービン1に流入する蒸気(作動流体)の量と圧力を調整する調整弁3と、圧力を保持するケーシング5と、動力を発生する動力発生部7と、動力をコンプレッサー等の機械に伝達するロータ9とを主たる構成としている。
調整弁3は、ケーシング5の内部に複数個取り付けられており、それぞれ図示しないボイラから蒸気が流入する調整弁室11と、弁体13と、弁座15とを備えている。
弁座15は、略円筒形状をし、その軸心はロータ9の軸心と直交している。弁座15の内径は、ロータ9に向か方向に序々に拡大し、先端部は蒸気室17に連通している。弁座15の蒸気室17に対して反対側端部の内面は内側に凸な曲率を持つ曲面19を形成している。
弁体13の下部形状は、球体の一部分を形成しており、弁座15の曲面19に接離可能に設けられている。弁体13が、弁座15から離れると蒸気流路が開き、弁座15に接触すると蒸気流路が閉じられることになる。
調整弁3は、弁体13の開け閉めにより蒸気流量を制御する。さらに、複数の調整弁3の開閉タイミングを調整して蒸気タービンの出力を制御する。
蒸気室17は、調整弁3から流入する蒸気を動力発生部7に案内するものであり、略ドーナツ型形状をしている。蒸気室17の蒸気流路は内側に向かって行くにしたがって狭くなり、かつロータ9の軸心と平行する向きに偏向する。
動力発生部7は、ケーシング5に固定されたノズル21と、ロータ9に取り付けられた動翼23とを備えている。ノズル21と動翼23との1組を段落といい、本実施形態では6段落備えている。
ノズル21は、蒸気通路内で蒸気を膨張させて速度エネルギーを生み、流れの向きを変えて軸の回転方向の運動量を作る作用をする。動翼23は、ノズル21で速度エネルギーに変換された蒸気のエネルギーを吸収して、ロータ9の回転エネルギーに変換する作用をする。
ノズル21は、放射状に多数配置され、ケーシング5に強固に固定されたリング状の仕切板外輪25と、リング状の仕切板内輪27とで保持されている。仕切板内輪27のロータ9側端部とロータ9との間には、蒸気漏れを防止するシール構造が設けられている。蒸気圧力の高い段落では、シール構造としてラビリンス構造を採用している。
動翼23は、放射状に多数配置され、ロータ9に突出して円筒状に設けられたディスク29の外周部に強固に取り付けられている。
最終段の動翼23の先端には、シュラウド31が取り付けられている。動翼23のプロファイルはねじられている。回転により、隣合う動翼23のシュラウド31が接触することにより連成し、多数の動翼23が一体的に構成されるので、剛性が高くなり、振動に対する強度が増加する。また、シュラウド31は、動翼23の先端からの蒸気漏れを減少する役目を有している。第一段落から第四段落までの動翼23においては、仕切板外輪25側のシュラウド31に対向する位置に、フィンが取り付けられており、蒸気漏れを防止している。また、第五段落および第六段落の動翼23には、後述する本発明にかかるシール構造が採用されている。
ロータ9は、図示しない軸受により回転自在に支持されている。ロータ9は、動力発生部7で発生した動力をコンプレッサー等の機械に伝達する作用をする。ロータ9とケーシング5の間には、蒸気等の漏れを防止するシール構造が設けられている。
蒸気タービン1を作動させて仕事を終えた排気蒸気は、排気室33を通って図示しない復水器に送られる。
次に、図1および図2により、本発明にかかる動翼23について説明する。
本発明にかかる動翼23は、第五段落および第六段落(最終段)に採用されている。第五段落および第六段落(最終段)の動翼23は、蒸気の比体積が大きくなるので長さの長いものとなる。また、動翼23の長さが長いと、蒸気の相対流入角が、根元から先端にかけて大きく変化するので、動翼23はこの変化に対応するように大きなねじれを設けている。この動翼23は三次元長翼と言われている。なお、第六段落の動翼23は、根元から先端までの翼長が500mmである。
この動翼23の重心は、回転中心線に対して上流側に位置するように設計されている。
仕切板外輪25の動翼23に対向する位置に、動翼23側に開口した断面コ字状の凹部37が設けられている。凹部37の蒸気流れ方向下流側に対向面39が設けられている。凹部37の対向面39と、シュラウド31の上面に対向する外面41とには、アブレイダブル材43が設置されている。アブレイダブル材43としては、ポリマー(ポリ4フッ化エチレン系)、Al−Siグラファイト系などが使用される。
動翼23の先端に取り付けられたシュラウド31は、蒸気流れ方向下流側にステップ状の段差が設けられており、この段差部のラジアル方向に延在した面(端面)がシール部35を構成する。
以上説明した本実施形態にかかる蒸気タービンは、以下のように運転される。
ボイラから送られる蒸気は、複数設けられた調整弁3の各調整弁室11に流入する。複数ある調整弁3の弁体13を所要タイミングで開け閉めして、所要のタービン出力を得るのに必要な蒸気量を蒸気室17に流入させる。
蒸気室17にて、流入した蒸気は、動力発生部7へと導かれる。
動力発生部7では、ノズル21において、蒸気を膨張させて速度エネルギーを生み、流れの向きを変えて軸の回転方向の運動量を作る。ノズル21で速度エネルギーに変換された蒸気のエネルギーを動翼23が吸収して、動翼23は回転する。この動翼23の回転により、ロータ9が回転する。
ロータ9の回転が、コンプレッサーに伝達される。
蒸気タービン1を作動させて仕事を終えた排気蒸気は、排気室33を通って図示しない復水器に送られ、復水器で凝縮されて水に戻る。
第五段落および第六段落(最終段)の動翼23は大きくねじられているので、蒸気タービン1の運転中に遠心力が作用してねじり戻りが発生する。このねじり戻りにより、動翼23は、アキシャル方向およびラジアル方向に変形する。動翼23の重心は回転中心線より上流側に設定しているので、動翼23は遠心力を受けて蒸気流れ方向下流側に変形する。この変形により、図2に示すようにシュラウド31のシール部35と、仕切板外輪25の対向面39とは間隔δまで接近する。間隔δは、十分なシール効果を得られる大きさになるよう設定されているので、蒸気が漏れるのを防止する。
また、運転中に、間隔δの部分に存在する蒸気に遠心力が作用して、蒸気を外周側に向けて流すというポンピング効果が発生する。このポンピング効果により、間隔δの部分に流入する蒸気に押し戻す力が加わる。
間隔δは、小さいので、何らかの異常で変形が大きくなると、シール部35は対向面39に接触する。その場合には、シール部35が、対向面39の表面を構成しているアブレイダブル材を削ることになる。したがって、接触しても動翼23に大きな力が作用しないので、動翼23が破壊されることはない。
以下、本実施形態の作用・効果を説明する。
翼先端のシュラウド31に設けたシール部35が、運転時動動翼23のアキシャル方向変形に伴い移動して、仕切板外輪25に設けられた対向面39との間でシールを形成する。これにより、翼先端からの蒸気の漏れを防止できる。したがって、翼先端でのシールのためにフィン等を設ける必要がないので、構造が簡単で、加工が容易となる。
また、シール部35と協働してシールを構成する対向面39は、アブレイダブル材43で構成されているので、シール部35が対向面39に接触した場合、対向面39のアブレイダブル材43が磨耗する。これにより、運転異常時等において、動翼23のアキシャル方向変形が予定より大きくなっても動翼は壊れることはない。
さらに、下流側のシール部35において、蒸気に遠心力が働き、蒸気を外周側に向けて流す(図2の矢印参照)、いわゆるポンピング効果が発生する。このポンピング効果により、シール部35に流入する蒸気に押し戻す力が加わるので、シール性能はより向上することになる。
本実施形態の蒸気タービンは、簡単な構造で、先端部のシールが行える動翼23を取り付けたので、回転機械は、構造がより簡単で、安価に製造できる。
なお、本実施形態では、仕切板外輪25の外面41にもアブレイダブル材43を設置しているので、シュラウド31の上面が外面41に接触しても動翼23に大きな影響を及ぼさない。従って、シュラウド31の上面と外面41との間の間隔も狭くしてシール効果を増強することもできる。
本発明の第一実施形態のタービン動翼の概略構造を示す説明図である。 蒸気タービン運転中における図1のシュラウド端部を拡大して示す説明図である。 本発明の第一実施形態の蒸気タービンの構造を示す説明図である。
符号の説明
23 動翼
31 シュラウド
35 シール部
39 対向面
43 アブレイダブル材

Claims (4)

  1. 翼先端に取り付けられたシュラウドに、翼のアキシャル方向変形を利用して固定側の対向面との間でシールをするシール部を設けたことを特徴とするタービン動翼。
  2. 前記シール部は、アブレイダブル材で構成された前記対向面に対向することを特徴とする請求項1に記載されたタービン動翼。
  3. 前記アキシャル方向変形は、作動流体の流れ方向に対して下流側としたことを特徴とする請求項1または2に記載されたタービン動翼。
  4. 請求項1ないし3に記載のタービン動翼を備えたことを特徴とする回転機械。
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