JP2014141955A - 回転機械 - Google Patents

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Kazuyuki Matsumoto
和幸 松本
Masanari Iino
真成 飯野
Tetsuya Harada
哲也 原田
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Abstract

【課題】回転機械の低周波振動などの振動の原因となる、漏出した蒸気の旋回成分を低減する。
【解決手段】回転軸と、回転軸の径方向に延在して、周方向に間隔をあけて複数設けられた動翼50と、動翼50を外周側から囲むケーシング10と、動翼50の先端とケーシング10との隙間Gdの上流側に設けられたスワール案内部70とを備え、スワール案内部70が、断面形状が周方向にわたって一様なリング状部材71を有する回転機械を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、蒸気タービン、ガスタービンなどの回転機械に関する。
蒸気タービン、ガスタービンなどの回転機械においては、静止側と回転側との間にできる隙間から蒸気などの作動流体が漏洩するのを防止するために、ラビリンスシールなどの非接触型のシール機構が用いられている。
具体的には、ラビリンスシールは、回転機械の外郭をなすケーシングの内周に動翼に向かって伸びるシールフィン等のシール部材と、動翼の先端に設けられたステップ状のシュラウドとを有している(例えば特許文献1参照)。
特開2006−104952号公報
ところで、近年、回転機械においては、低周波振動などの自励振動が発生する事例がある。この自励振動の原因としては、静翼を通過して強い周方向速度成分(スワール成分、旋回成分)をもった流れ(旋回流)が、ラビリンスシールのシールフィンを通過する際に、シールフィン間のキャビティ内に周方向に不均一な圧力分布を形成する事がその一因と考えられている。
このような背景から、回転機械のシール機構には、スワール成分を低減・減衰させるための構造が望まれている。このような構造としては、特許文献1に記載の装置の様に、案内羽根をその面が周方向(旋回流を受ける方向)に向くように設置する構造が知られている。しかしながら、この場合においては、漏出した蒸気の旋回流が案内羽根で擾乱を発生させ、隣接する翼列を周期的に励振させる可能性がある。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、回転機械の蒸気の旋回成分を低減しつつ周期的な励振力の発生を低減することができる回転機械を提供することにある。
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明の回転機械は、回転軸と、前記回転軸の径方向に延在して、周方向に間隔をあけて複数設けられた動翼と、前記動翼を外周側から囲むケーシングと、前記動翼の先端と前記ケーシングとの隙間の上流側に設けられたスワール案内部とを備え、前記スワール案内部が、断面形状が周方向にわたって一様なリング状部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、周方向に延在するリング状部材によって、隙間の上流側を流通する旋回流とスワール案内部との濡れ面積が増加し、旋回流との間で摩擦が発生するため、旋回流の旋回成分を低減することができる。
上記回転機械において、前記スワール案内部は、前記回転軸の軸方向に直交する主面を有する板部材であることが好ましい。
上記構成によれば、スワール案内部が旋回流の流通方向に沿う形状となるため、隙間の上流側における擾乱の発生を抑制することができる。
上記回転機械において、前記スワール案内部は、前記断面形状が前記径方向に延びるジグザグ形状とされている構成としてもよい。
上記実施形態によれば、旋回流とスワール案内部との濡れ面積がさらに増加するため、旋回成分をより低減することができる。
上記回転機械において、前記スワール案内部の前記隙間とは反対側と前記ケーシングとを接続し、前記周方向に沿って複数設けられた支持部材を有し、前記支持部材は、旋回流を前記径方向に案内する案内面を有することが好ましい。
上記構成によれば、案内面によって旋回流の周方向に沿う成分が弱められるため、旋回成分を低減することができる。
本発明によれば、
本発明の第一実施形態に係る蒸気タービンの概略構成を示す断面図である。 第一実施形態に係る蒸気タービンの要部拡大断面図であり、図1のIの拡大断面図である。 第一実施形態に係る蒸気タービンを軸方向からみた概略構成を示す図であり、図1のA−A断面図である。 第二実施形態に係る蒸気タービンの要部拡大断面図であり、図1のIの拡大断面図である。 第二実施形態のリング状部材の別形態を示す断面図である。 第二実施形態のリング状部材の別形態を示す断面図である。 第三実施形態に係る蒸気タービンのリング状部材の詳細図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態の回転機械である蒸気タービンについて図面に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の蒸気タービン1は、ケーシング10と、ケーシング10に流入する蒸気Sの量と圧力を調整する調整弁20と、ケーシング10の内方に回転自在に設けられ、動力を図示しない発電機等の機械に伝達する回転軸30と、ケーシング10に保持された静翼40と、回転軸30に設けられた動翼50と、回転軸30を軸回りに回転可能に支持する軸受部60とを備えて大略構成されている。
ケーシング10は、内部空間が気密に封止されていると共に、蒸気Sの流路とされている。このケーシング10の内壁面には、回転軸30が挿通されるリング状の仕切板外輪(静止環状体)11が強固に固定されている。
調整弁20は、ケーシング10の内部に複数個取り付けられており、それぞれ図示しないボイラから蒸気Sが流入する調整弁室21と、弁体22と、弁座23とを備えており、弁体22が弁座23から離れると蒸気流路が開いて、蒸気室24を介して蒸気Sがケーシング10の内部空間に流入するようになっている。
回転軸30は、軸本体31と、この軸本体31の外周から回転軸30の径方向(以下、単に径方向と呼ぶ)に延出した複数のディスク32とを備えている。この回転軸30は、回転エネルギーを図示しない発電機等の機械に伝達するようになっている。
軸受部60は、ジャーナル軸受装置61及びスラスト軸受装置62を備えており、回転軸30を回転自在に支持している。
静翼40は、ケーシング10から内周側に向かって伸び、回転軸30を囲繞するように放射状に多数配置される環状静翼群を構成しており、それぞれ上述した仕切板外輪11に保持されている。これら静翼40の径方向における内方側は、回転軸30が挿通されたリング状の仕切板内輪14等で連結されている。
これら複数の静翼40からなる環状静翼群は、回転軸30の軸方向(以下、単に軸方向と呼ぶ)に間隔を空けて六つ形成されており、蒸気Sの圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して、下流側に隣接する動翼50に流入させる。
動翼50は、回転軸30が有するディスク32の外周部に強固に取り付けられ、各環状静翼群の下流側において、放射状に多数配置されて環状動翼群を構成している。
これら環状静翼群と環状動翼群とは、一組一段とされている。すなわち、蒸気タービン1は、六段に構成されている。このうち、最終段における動翼50の先端部は、回転軸30の周方向(以下、単に周方向と呼ぶ)に隣接する動翼の先端部同士と連結されておりシュラウド51と呼ばれている。
図2に示すように、シュラウド51は、軸方向における中央部分が突出してステップ状に形成されたステップ部52(52A〜52C)を備えている。
仕切板外輪11の軸方向下流側には、仕切板外輪11の内周部から拡径されケーシング10の内周面を底部13とする円筒状の環状溝12が形成されており、環状溝12には、シュラウド51が収容され、底部13は、シュラウド51のステップ部52A、52B、52Cと隙間Gdを介して径方向に対向している。
この底部13には、シュラウド51に向けて径方向に延出する三つのシールフィン17(17A〜17C)が設けられている。シールフィン17(17A〜17C)は、それぞれステップ部52(52A〜52C)に向けて、底部13から内周側に延出しており、周方向に延びている。これらシールフィン17(17A〜17C)は、ステップ部52(52A〜52C)と微小隙間m(mA〜mC)を径方向に形成している。
これら微小隙間m(mA〜mC)の各寸法は、ケーシング10や動翼50の熱伸び量や動翼50の遠心伸び量等を考慮して、シールフィン17(17A〜17C)と動翼50とが接触することがない範囲で設定されている。
ケーシング10内周の静翼40の下流側であって、動翼50の先端とケーシングとの隙間Gdの上流側には、リング状部材71を有するスワール案内部70が設置されている。リング状部材71は、隙間Gdの上流側の空間において周方向に延在する環状の板部材であり、周方向にわたって断面形状が一様とされている。換言すれば、リング状部材71は、回転軸30の軸方向に直交する主面を有する円盤状の部材である。
また、リング状部材71は、仕切板外輪11の軸方向一方側の面とシュラウド51の軸方向他方側の面の略中間位置に設けられ、リング状部材71の外周端は、ケーシング10から離間している。
また、リング状部材71は、周方向に沿って複数設けられた支持部材72によって支持されている。支持部材72は棒状をなし、リング状部材71の両面のうち、隙間Gdとは反対側の面とケーシング10とを接続するように設けられている。
なお、支持部材72の設置箇所は、図2に示したような箇所には限定されず、例えば、径方向外周側からリング状部材71の外周端を支持するような構成としてもよい。即ち、環状溝12の底部13に設けられた支持部材72によってリング状部材71を支持する構成としてもよい。
ここで、上記の構成からなる蒸気タービン1の動作について説明する。
まず、調整弁20(図1参照)を開状態とすると、図示しないボイラから蒸気Sがケーシング10の内部空間に流入する。
ケーシング10の内部空間に流入した蒸気Sは、各段における環状静翼群と環状動翼群とを順次通過する。
各段の環状静翼群において蒸気Sは、静翼40を通過しながらその周方向速度成分が増大する。この蒸気Sのうち大部分の蒸気SMは、動翼50間に流入し、蒸気SMのエネルギーが回転エネルギーに変換されて回転軸30に回転が付与される。
一方、蒸気Sのうち一部(例えば、約数%)の蒸気SLは、静翼40から流出した後、周方向成分が増大した状態で環状溝12に流入する。
本実施形態の蒸気タービン1によれば、スワール案内部70が周方向に延在するリング状部材71を有することによって、隙間Gdの上流側を流通する旋回流SLとの濡れ面積が増加し、蒸気SLとの間で摩擦が発生するため、旋回流である蒸気SLの旋回成分を低減することができる。
換言すれば、リング状部材71が隙間Gdの上流側において流路幅を狭める、即ち濡れ面積を増やすことにより、蒸気SLに働く壁面摩擦が増加して、蒸気SLの旋回成分を低減することができる。
また、リング状部材71が回転軸30の軸方向に直交する主面を有する断面形状が周方向にわたって一様な板部材であることによって、スワール案内部70が旋回流の流通方向に沿う形状となるため、隙間Gdの上流側における擾乱の発生を抑制することができる。
なお、上述した実施形態においては、スワール案内部70のリング状部材71を一枚のみ設ける構成を示したが、これに限ることはなく、空間的余裕に応じてリング状部材71を二枚又は複数、軸方向に離間して設置してもよい。これにより、さらに濡れ面積を増加させて、蒸気SLの旋回成分を低減することができる。
また、リング状部材71は平板のみならず、面上に複数の孔が規則的に形成された多孔板(例えばパンチングメタル)を用いて、ある程度の蒸気SLの軸方向の流れを許容する構成としてもよい。なお、複数の孔は規則的である必要はなく、不規則に形成されていてもよい。さらに、リング状部材71に複数の突起を設けてもよい。
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態の回転機械である蒸気タービンについて図面に基づき説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態のスワール案内部70Bのリング状部材71Bは、断面形状が径方向に延びるジグザグ形状とされている。換言すれば、リング状部材71Bは、第一実施形態と同様に周方向にわたって一様な断面形状とされているが、径方向外周側に向かうに従って軸方向一方側に傾斜する面73と、径方向外周側に向かうに従って軸方向他方側に傾斜する面74とを連続させた形状となっている。即ち、本実施形態のリング状部材71Bは第一実施形態のリング状部材71と比較して表面積が増加している。
上記実施形態によれば、リング状部材71Bの表面積が増加していることによって、蒸気SLとの濡れ面積がさらに増加するため、蒸気SLの旋回成分をより低減することができる。
なお、上述した実施形態においては、リング状部材71Bの断面形状をジグザグ形状としたが、リング状部材71Bの蒸気SLとの濡れ面積を増加させるような形状であればこれに限ることはない。
例えば、図5に示すように、リング状部材71Bを波形にしてもよい。また、図6に示すように、リング状部材71Bを矩形波状にしてもよい。
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態の回転機械である蒸気タービンについて図面に基づき説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態のスワール案内部70Cのリング状部材71Cを支持する支持部材72Cは、蒸気SLの流通方向に沿う案内面75を有する板形状とされている。具体的には支持部材72Cは、径方向内周側から外周側に向かうに従って回転軸30の回転方向Rに傾斜するように形成されている。
上記実施形態によれば、案内面75によって蒸気SLの旋回成分を低減しつつ擾乱発生を防止することができる。
なお、上述した実施形態の支持部材72Cの形状は、上述した形状に限ることはなく、断面を翼形状とし、一旦蒸気SLをその流通方向に沿わせるように案内した後、径方向に沿わせるような形状としてもよい。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等は一例であり、適宜変更が可能である。
例えば、上述した各実施形態においては、回転機械として蒸気タービンを一例に説明したが、蒸気タービンに限られるものではなく、静止体であるステータと回転体であるロータとの間に設けられ高圧と低圧との間をシールする前記動翼の先端と前記ケーシングとの隙間の上流側に旋回流が形成されるような回転機械であれば、例えば、ガスタービンや圧縮機などの回転機械に適用してもよい。
また、上述した各実施形態においては、スワール案内部70を最終段の動翼50の上流側に設置する例を示したが、これに限ることはなく、スワール案内部70は、いずれの動翼50の上流側に設置してもよい。
また、上述した各実施形態においては、作動流体として蒸気Sを用いる場合について説明したが、スワールが発生し得る作動流体であれば蒸気Sに限られるものではない。
また、シュラウド51をステップ状に形成するのに代えて、平坦状に形成してもよい。
1 蒸気タービン(回転機械)
11 仕切板外輪
12 環状溝
13 底部
14 仕切板内輪
10 ケーシング
17 シールフィン
20 調整弁
21 調整弁室
22 弁体
23 弁座
24 蒸気室
30 回転軸
40 静翼
31 軸本体
32 ディスク
50 動翼
51 シュラウド
52 ステップ部
60 軸受部
61 ジャーナル軸受装置
62 スラスト軸受装置
70,70B,70C スワール案内部
71,71B,71C リング状部材
72,72C 支持部材
73,74 傾斜する面
75 案内面
SL 蒸気(旋回流)

Claims (4)

  1. 回転軸と、
    前記回転軸の径方向に延在して、周方向に間隔をあけて複数設けられた動翼と、
    前記動翼を外周側から囲むケーシングと、
    前記動翼の先端と前記ケーシングとの隙間の上流側に設けられたスワール案内部とを備え、
    前記スワール案内部が、断面形状が周方向にわたって一様なリング状部材を有することを特徴とする回転機械。
  2. 前記スワール案内部は、前記回転軸の軸方向に直交する主面を有する板部材であることを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
  3. 前記スワール案内部は、前記断面形状が前記径方向に延びるジグザグ形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
  4. 前記スワール案内部の前記隙間とは反対側と前記ケーシングとを接続し、前記周方向に沿って複数設けられた支持部材を有し、
    前記支持部材は、旋回流を前記径方向に案内する案内面を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転機械。
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