JP2005126893A - 開口部耐震補強装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 施工性の良い開口部耐震補強装置を提供する。
【解決手段】 左右の柱2、2に各々固定する左右のベース材3、3と、左右のベース材3、3に各々固定する左右の取付材4、4と、左右の柱2、2間にX字状に配置するブレス材5、5とを備え、ブレス材5は両端部を左右の取付材4、4に室内外方向に配置した固着具72で固定するとともに、X字状に配置するブレス材5、5の一方と他方とは交叉位置を室内外方向に配置した固着具73で固定してあり、取付材4は左右方向のベース材3側に開口する呑み込み溝41を有してベース材3の一方側を呑み込むとともに、ベース材3と取付材4との間には左右方向の位置調整空間を有し、位置調整した取付材4とベース材3とは室内外方向に配置した固着具71で固定してあり、左右のベース材3、3及び左右の取付材4、4はブレス材5、5、・・・のみで連続している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば木造住宅軸組み工法などにおいて耐震性を向上させるために開口部に組み込む開口部耐震補強装置に関するものである。
従来、上記した開口部耐震補強装置として、軸心のずれに伴う偏心荷重を低減する為に耐力壁の構成材を軸組の見込面内に設置する方法(真壁納まり)が通常用いられ、例えば特許文献1では補強杆をX字状に取り付け増強した補強フレームを開口部の外側壁面または開口部の内周面に一体に固定して総体的な壁量を増加させることによって地震発生時の変形を抑えるようにしているものが開示されている。また、特許文献2では小断面中間部材の両端に大断面側方部材を直列に連設して中空部材内に嵌挿した制震用筋交い部材が開示されている。
特開2002−276050号公報 実開平5−57110号公報
ところが、上記した従来の開口部耐震補強装置では、例えば特許文献1の補強フレームを用いる場合、補強フレームを開口部の外側壁面に一体に固定するものであるから、軸組み構造に対応した取付寸法の微調整が困難で施工性に難があるという問題点があり、一方、例えば特許文献2の制震用筋交い部材では軸組み構造に適用するには特許文献1と同様に寸法の微調整が困難で施工性に難があるという問題点と同時に、筋交い部材は全長にわたって中空部材で覆われているために2本の筋交い部材同士を交叉して配置することが困難であるという問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
請求項1に記載の発明は、左右の柱に各々固定する左右のベース材と、左右のベース材に各々固定する左右の取付材と、左右の取付材にX字に架設するブレス材とを備え、ブレス材は室内外方向に配置した固着具で端部を取付材に固定してあり、取付材とベース材とは左右方向の位置調整自在に室内外方向に重合して固着具で固定してあり、左右のベース材及び左右の取付材はブレス材のみで連続している構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
請求項2に記載の発明は上記した請求項1の構成に加えて、X字に交叉するブレス材同士は交叉位置を室内外方向に配置した固着具で固定してある構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
請求項3に記載の発明は上記した請求項1または請求項2の構成に加えて、ベース材及び取付材の一方の部材は左右方向の他方側に開口する呑み込み溝を有して他方の部材の一方側を呑み込むとともに、一方の部材と他方の部材との間には左右方向の位置調整空間を設けてある構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
請求項4に記載の発明は上記した請求項1〜請求項3のいずれかの構成に加えて、ブレス材は長手方向の一部に断面積の小さい部分を有し、この部分に自己の座屈を防止するための補強材を取り付けてある構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
本発明の請求項1に係わる開口部耐震補強装置において、左右のベース材及び左右の取付材はブレス材のみで連続しており、そして、取付材とベース材とは互いに左右方向の位置調整自在に固定しているので、軸組み構造体において通常必要とされる水平部材の寸法調整が不要となり、左右の柱間隔が多少ばらついても取付材のベース材への固定位置を調整することによってブレス材の左右の柱間への取り付け固定位置を容易に調整することができ、加えて各部材間の取り付け固定は固着具を使って固定するだけなので施工も容易になる。
本発明の請求項2に係わる開口部耐震補強装置において、左右の取付材にX字に交叉して架設するブレス材は交叉位置を室内外方向に配置した固着具で固定してあるので、請求項1の効果に加えて、左右の柱間の面外方向の捩れ力にも抵抗できる。
本発明の請求項3に係わる開口部耐震補強装置においては、地震発生時などに際して軸組み構造体が左右方向の層間変位を受けたときに、ブレス材を介してベース材と取付材との間に左右方向のストレスが発生することとなるが、ベース材と取付材とはいずれか一方の部材に設けた呑み込み溝に他方の部材の一方側を呑み込んで固定してあるから、このような力を受けたときにも互いに室内外方向に屈曲変形することがなくこれを受け止め、従って請求項1または請求項2の効果に加えて、より一層確実にブレス材の補強効果を発揮させ得るものである。
本発明の請求項4に係わる開口部耐震補強装置においてブレス材は断面積を小さくした部分に自己の座屈を防止するための補強材を取り付けてあるから、上記した請求項1〜請求項3のいずれかの効果に加えて、補強材に支持された断面積の小さい部分が軸組み構造体の左右方向の層間変位による強い圧縮荷重を受けた場合に塑性変形することによってこの力を吸収し、より大きな層間変位力にも耐えることができるようになるものである。
本発明に係わる開口部耐震補強装置において、固着具には、各種の市販のボルト・ナットなどが適宜用いられる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第一実施形態の開口部耐震補強装置1を軸組み柱2、2間に取り付けた状態の正面図及び横断面図を表わしている。図2は図1の横断面図に示したA部及びB部を拡大して柱2とベース材3と取付材4とX字状に交叉して配置したブレス材5、5との取り付け固定状態を表わしている。図3は図1の正面図に示したブレス材5のC部を拡大してブレス材5及びブレス材5に設けた小断面積部51に取り付けてある補強材6の詳細を表わしている。
図1に示す如く、本発明の第一実施形態の開口部耐震補強装置1は左右の柱2、2と上梁8A及び下梁8Bとを軸組みして固定金具91、92及び93、94で固定した木造軸組み構造体に取り付けたものであり、左右の柱2、2に固定ねじ95、95、・・・で各々固定した左右のベース材3、3と左右のベース材3、3に各々固定する左右の取付材4、4と、左右の柱2、2間にX字状に配置したブレス材5、5とを備えており、この第一実施形態の開口部耐震補強装置1の場合はこのように備えたブレス材5、5を左右の柱2、2間で上梁8A及び下梁8Bの間に3組固定した場合を示している。ここで用いているベース材3及び取付材4は上下端部に上梁8A及び下梁8Bとの間で隙間を設けた長さの長尺形材である。
以下の説明では図1のA部及びB部を拡大した図2を用いて左方のベース材3及び取付材4について詳述するが、右方のベース材3及び取付材4の構成については以下の説明の「右方」を「左方」に、「左方」を「右方」に読み替えれば全く同様であるので説明を省略する。図1及び図2に示す如く、左方のベース材3は基部32を左方の柱2に複数の固定ねじ95、95、・・・で固定するとともに、右方に突出する突出部31を有している。左方の取付材4は左方に開口する呑み込み溝41と右方に突出するブレス材固定部44を有している。呑み込み溝41はベース材3の突出部31を呑み込むとともに、取付材4の呑み込み溝41の底部とベース材3の突出部31の先端部との間には左右方向の位置調整空間42を有し、ベース材3の基部32と取付材4の呑み込み溝41の開口端部との間には左右方向の位置調整空間43を有しており、位置調整した取付材4とベース材3とは室内外方向に配置した固着具71で固定してある。
ブレス材5は左方端部を取付材4のブレス材固定部44に室内外方向に配置した固着具72で固定してあり、且つ、X字状に配置したブレス材5、5の一方と他方とは交叉位置を室内外方向に配置した固着具73で、間にスペーサー73aを挟んで固定してある。尚、図1および図2の断面図においては交叉位置近辺(B部)を除いて一方のブレス材5のみを表記し、他方のブレス材の表記を省略したが、これは図面の重複部分を省略して紛れを無くす為にこのようにしたものであり、実際は、他方のブレス材5の端部も取付材4のブレス材固定部44に同様に固定してあって、スペーサー73aはブレス材固定部44と同一の厚みに設けてあり、一方のブレス材5と他方のブレス材5とはブレス材固定部44の互いに反対側面に各々当接して固着具72で固定してある。
本発明の開口部補強装置1は上記した構造によって地震発生時などに木造軸組み構造体の上梁8Aと下梁8Bとの間に発生する左右方向の層間変位力に対応し、X字状に配置したブレス材5、5によって左右の柱2、2にかかる左右方向の変形力に抵抗できるようにしたものである。そしてこのとき、ブレス材5を介してベース材3と取付材4との間に左右方向の圧縮力または引張り力が発生することとなるが、ベース材3と取付材4とは取付材4に設けた呑み込み溝41にベース材3の突出部31を呑み込んで固定してあるから、このような力を受けたときにも互いに室内外方向に屈曲することなく、これを受け止めることによってより確実にブレス材の補強効果を発揮させ得るものである。さらに加えて、ブレス材5、5の交叉位置を固着具73で固定してあるから、左右方向の変形力のみでなく、室内外方向のねじれ力にも抵抗できることとなって、左右の柱2、2、上梁8A及び下梁8Bからなる木造軸組み構造体をより強固に補強しているものである。さらに、第一実施形態の開口部補強装置1において、ブレス材5は以下に説明する構造を有してこの補強効果をより一層確実なものとしている。
この第一実施形態の開口部補強装置1に使用しているブレス材5は図3のD−D線断面図に示すように三連の中空部を有する断面外形略直方形の断面形状をしており、且つ、中間の中空部5aの外面部を凹ませて薄肉部とした形材を用いている。X字状に配置したブレス材5、5は交叉位置の両側で両端部に近い中間部に各々中間の中空部5aのみを残し両端の中空部を切除する部分カット加工を施した小断面積部51を設けてある。補強材6は2つの補強部材6a、6bを組み合わせて固着具74で固定し、図3のE−E線断面図に示す如くこの小断面積部51の周囲を覆って補強するものである。そして、この補強材6は長さがブレス材5を部分カット加工して設けた小断面積部の長さよりやや短く、断面外周はブレス材の部分カット加工前の外周と略同一の直方形に設けてある。
軸組み構造体の上梁8Aと下梁8Bとの間に左右方向の層間変位力が発生するとX字状に配置した一方のブレス材5には引張り力が作用し、他方のブレス材5には圧縮力が作用することとなり、これらの作用の影響はブレス材の耐力を超える大きな層間変位力を受けたときに一方のブレス材5の小断面積部51が延びて破断に至る方向に働き、他方のブレス材5の小断面積部51が圧縮されて座屈変形に至る方向に働くが、上記した通りに設けた補強材6は、ブレス材5の小断面積部51のほぼ全周を覆っており、且つ、補強材6の断面外形はブレス材5の部分カット加工前の外形と略同一に設けてあるから、ブレス材5の両端からブレス材5を強く圧縮する力が加わると小断面積部51が圧縮されて座屈しようとしても補強材6が小断面積部51の座屈変形を抑制する働きをするとともに、小断面積部51が圧縮されても補強材6の長手方向の端面がブレス材5の部分カットした端面に当接してそれ以上は縮まないこととなるので、軸組み構造体の上梁8Aと下梁8Bとの間に大きな層間変位力が発生しても小断面積部51のわずかな塑性変形によってより大きな層間変位力をも吸収して耐えうるようになっているものである。また、第一実施形態においては小断面積部51及び補強材6を各ブレス材5の両端部近くに2ヶ所設けてあるから、上梁8Aと下梁8Bとの間に大きな層間変位力が発生していずれか一方、より弱い方の小断面積部51が破断または座屈変形しても、この一方側の座屈変形による層間変位力の吸収によってもう一方の小断面積部51は破断または座屈変形を免れるので、より一層大きな層間変位力をも吸収して耐えうることとなっているものである。
以下に、上記した本発明の第一実施形態の開口部耐震補強装置1の施工手順を説明する。ブレス材5の小断面積部51の部分カット加工及び補強材6の取り付けや両端部の取付材への取り付け用のボルト孔72a及び中間部のブレス材同士の固着具止め用のボルト孔5Aの孔明け加工は予め工場出荷時に済ませてある。ベース材3を柱2に取り付け固定するための複数のねじ孔及びベース材3の突出部31に取付材4の呑み込み溝41を固定するための呑み込み溝41を挿通する複数のボルト孔41Aの孔明け加工も予め工場出荷時に済ませておく。一方、ベース材3の突出部31に取付材4の呑み込み溝41を固着具71で固定するための突出部31への孔明け加工は現地施工時に現物合わせ後に行うので孔明けをしてない状態で工場出荷される。
現地での施工は始めに、左右の柱2、2と上梁8A及び下梁8Bとを軸組みして固定金具91、92及び93、94で固定した木造軸組み構造体の左右の柱2、2の所定位置にに左右のベース材3、3を複数の固定ねじ95、95、・・・で固定する。次に、ベース材3の突出部31に取付材4の呑み込み溝41を合わせて呑みこませ、適宜位置に合せたうえで呑み込み溝41に設けてある複数のボルト孔41Aの内の1ヶ所の位置に合わせて1ヶ所のみ、図示しないが、突出部31に仮止め用のボルト孔31aを孔明けし、固着具71でベース材3と取付材4とを仮止めしておく。尚このとき、仮止めするためのボルト孔31aの孔明け位置は取付材4に設けてあるブレス材5を固定するためのボルト孔44Aの位置からできるだけ離れた位置を選択することが望ましい。これは、最終的に仮止め用のボルト孔31aが明け直されて長孔となった場合でもブレス材5からの力が直接にはこのボルト孔31aにはかからないようにするためである。その上で、ブレス材5の両端部に設けたボルト孔72A、72Aを左右の取付材4、4のブレス材固定部44、44に設けたボルト孔44A、44Aに位置合わせしてブレス材5を左右の取付材4、4に固着具72、72、・・・で固定する。X字状に配置するもう一方のブレス材5もブレス材固定部44の反対面側に同様に固定する。次にX字状に配置したブレス材5、5の交叉位置でブレス材5、5の隙間にスペーサー73aを挟み込み、ボルト孔5A、5Aを通して固着具73で交叉位置を固定する。同様に残るブレス材5、5、・・・も左右の取付材4、4間に固定する。尚、この間に左右のベース材3と取付材4とを仮止めしてあった各1ヶ所のボルト孔41Aとボルト孔31aとの間には歪みが生じてくるので左右のベース材3と取付材4とを仮止めしておいた固着具71、71の内の一方は適当なタイミングで一旦取り外してフリーの状態にしておく。
以上の取り付け作業によって左右の取付材4、4同士は交叉して配置したブレス材5、5、・・・のみで連結固定してあり、左右の柱2、2と上梁8A及び下梁8Bとを軸組みして固定金具91、92及び93、94で固定した木造軸組み構造体及び左右のベース材3、3に対しては1ヶ所の仮止め用のボルト孔31aとボルト孔41Aとのみが固定されていて、ここを中心に自在に動かせる状態となっているので、ここで最終的に左右のベース材3に対する取付材4の固定位置を決めて、予め工場出荷時に明けてあった呑み込み溝41を挿通するボルト孔41A、41A、・・・の位置に合わせて突出部31にボルト孔31A、31A、・・・を現地穴明けして、両者を固着具71、71、・・・で固定し、本発明の第一実施形態の開口部耐震補強装置1の取り付け施工を完了する。尚、上記した実施形態において、ベース材3と取付材4とは始めに仮止め用のボルト孔31Aを1ヶ所適宜位置に孔明けして仮止めする方法を取ったが、現場施工をより容易にするにはこの仮止め用のボルト孔31Aだけは1ヶ所左右方向の長孔として予め工場出荷前に加工してあってもよい。
本発明の第一実施形態の開口部耐震補強装置1は上記した通りの構成及び施工方法によって取り付け施工するものであるから、左右の柱2、2と上梁8A及び下梁8Bとを軸組みした木造軸組み構造体の柱間隔の多少の組み立て誤差は寸法調整なしに突出部31と呑み込み溝41との間で容易に吸収することが可能であり、従って施工も容易であるという効果を有する。また、突出部31に設けるボルト孔31Aは現場合わせであるから、一旦固着具71で固定したらベース材3と取付材4との左右方向の位置関係は完全に固定されるので、上梁8Aと下梁8Bとの間に大きな層間変位力が生じてもらベース材3と取付材4とは位置ズレすることなく、変位力が直接ブレス材5に作用してブレス材5が変位抵抗力を発揮することができるものである。
次に、本発明の第二実施形態の開口部耐震補強装置1について簡単に説明するが、第二実施形態の開口部耐震補強装置1の構成及び施工手順は第一実施形態のものと比較すると取付材4の形態が異なるだけなのでこれ以外の部分についての説明は省略する。図4は図2のA部と同様の配置における第二実施形態の開口部耐震装置1の柱2とベース材3と取付材4とブレス材5との取り付け固定状態を表わしている。第二実施形態の取付材4は第一実施形態の取付材4に設けてあった呑み込み溝41を有しておらず、略平板状の部材を用いてベース材3側を左右方向の位置調整自在にベース材3に重合して固定するベース材固定部45としてある。上記した第一実施形態の場合と同様にベース材3、3を左右の柱2、2に固定し、左右の取付材4、4のベース材固定部45、45をベース材3、3の突出部31、31の適宜位置に重合して各1ヶ所のみベース材3、3に仮止め後、交叉して配置するブレス材5、5、・・・を左右の取付材4、4に連結固定して取付材4のベース材3への取付固定位置を最終的に確定した後、取付材4のベース材固定部45に設けてあるボルト孔45A、45A、・・・の位置に合わせてベース材3の突出部31にボルト孔31A、31A、・・・を現地孔明けして固着具71、71、・・・で固定するものである。
第二実施形態の開口部耐震装置1は上記した通りに設けてあるから取付材4の形状が単純であり材料費が節減できるという特有の効果を有するが、一方では取付材4とベース材3とが互いに片面同士を重合して固着しているだけであるから、第一実施形態の開口部耐震装置1に比較して強い引張り力または圧縮力を受けたときに室内外方向への屈曲変形を起こし易いという弱点をも有するので、ベース材3と取付材4との固定方法は要求される強度レベルに対応して適宜選択すればよい。
次に、本発明の第三実施形態の開口部耐震補強装置1について簡単に説明するが、第三実施形態の開口部耐震補強装置1の構成及び施工手順は第一実施形態のものと比較するとベース材3の形態が異なるだけなのでこれ以外の部分についての説明は省略する。図5は図2のA部と同様の配置における第三実施形態の開口部耐震装置1の柱2とベース材3と取付材4とブレス材5との取り付け固定状態を表わしている。上記した第一実施形態および第二実施形態の各開口部耐震補強装置1はいずれも左右の柱2、2間に設けたものであったが、これに対して第三実施形態の開口部耐震補強装置1は図5に示す通り左右の柱2、2の室内側面にベース材3の基部32を固定ねじ95で固定したものである。ベース材3の取付材4側は取付材固定部33としてあり、取付材4の呑み込み溝41に取付材固定部33を呑み込ませてあり、上記した第一実施形態および第二実施形態の場合と同様にベース材3、3を左右の柱2、2に固定し、左右の取付材4、4の呑み込み溝41、41にベース材3、3の取付材固定部33、33を呑みこませて適宜位置に各1ヶ所のみベース材3、3と取付材4、4とを仮止め後、交叉して配置するブレス材5、5、・・・を左右の取付材4、4に連結固定して取付材4のベース材3への取付固定位置を最終的に確定した後、取付材4の呑み込み溝41に設けてあるボルト孔41A、41A、・・・の位置に合わせてベース材3の取付材固定部33にボルト孔33A、33A、・・・を現地孔明けして固着具71、71、・・・で固定するものである。
第三実施形態の開口部耐震装置1は上記した通りに設けてあるから、第一実施形態の開口部耐震装置1と同様の効果に加えて、例えば構造的に柱2、2間に耐震補強材を取り付けることができないような場合にも上記した形態で耐震補強を行うことが可能になるという効果をも有するものである。
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、請求項3におけるベース材と取付材との連結構造については、例えば上記した第一実施形態および第三実施形態の開口部耐震補強装置1では呑み込み溝41を取付材4に設け、ベース材3の突出部31或いは取付材固定部33を呑み込ませて固定する構成としたが、呑み込み溝をベース材に設け、取付材の一端を呑み込ませて固定する構成であっても良い。また、その他の取付材とベース材との連結構造、或いは、柱へのベース材の固定構造、取付材とブレス材との固定構造やベース材、取付材及びブレス材の形状及び取り付け施工の手順はいずれも上記した実施形態に限定されるものではない。
請求項4の開口部耐震補強装置1において、上記した各実施形態ではブレス材5に設けた小断面積部51及び補強材6を両端に近い2ヶ所に設けた場合を例示したが、小断面積部及び補強材は一本のブレス材に最低1ヶ所以上設けてあれば良い。ブレス材の形状及び小断面積部の形状・配置、また補強材の形状及び取り付け固定方法はいずれも上記した実施形態に限定されるものではない。
第一実施形態の開口部耐震補強装置の取り付け状態全体説明図である。 図1に示した第一実施形態の開口部耐震補強装置のA部(柱とベース材、取付材の連結固定部)及びB部(ブレス材の交叉位置)を拡大した説明図である。 図1に示した第一実施形態の開口部耐震補強装置のC部(ブレス材の端部および小断面積部)を拡大した詳細説明図である。 第二実施形態の開口部耐震補強装置の柱とベース材、取付材の連結固定部及ブレス材の交叉位置を拡大した説明図である。 第三実施形態の開口部耐震補強装置の柱とベース材、取付材の連結固定部及ブレス材の交叉位置を拡大した説明図である。
符号の説明
1 開口部耐震補強装置
2 柱
3 ベース材
31 突出部
4 取付材
41 呑み込み溝
42 位置調整空間
5 ブレス材
51 小断面積部
6 補強材
71、72、73、74 固着具

Claims (4)

  1. 左右の柱に各々固定する左右のベース材と、左右のベース材に各々固定する左右の取付材と、左右の取付材にX字に架設するブレス材とを備え、
    ブレス材は室内外方向に配置した固着具で端部を取付材に固定してあり、
    取付材とベース材とは左右方向の位置調整自在に室内外方向に重合して固着具で固定してあり、
    左右のベース材及び左右の取付材はブレス材のみで連続していることを特徴とする開口部耐震補強装置。
  2. X字に交叉するブレス材同士は交叉位置を室内外方向に配置した固着具で固定してあることを特徴とする請求項1に記載の開口部耐震補強装置。
  3. ベース材及び取付材の一方の部材は左右方向の他方側に開口する呑み込み溝を有して他方の部材の一方側を呑み込むとともに、一方の部材と他方の部材との間には左右方向の位置調整空間を設けてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開口部耐震補強装置。
  4. ブレス材は長手方向の一部に断面積の小さい部分を有し、この部分に自己の座屈を防止するための補強材を取り付けてあることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の開口部耐震補強装置。


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