JP2005126831A - 造花 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉢植え植物栽培時等における水分等の有無を花の開花、閉花により表示する造花を提供する。
【解決手段】造花1は、水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材10を備える茎と、茎の一端に第1の吸水材10に接するように取り付けられた第2の吸水材7を備える花蘂と、水膨張性を有し、その上面の一部が第2の吸水材7に接するようにされ、その一端の下面が茎の水膨張性を有さない一端に固定された複数の萼6と、複数の萼6に対応してその萼6に取り付けられた複数の花弁8とからなる。
【選択図】図4
【解決手段】造花1は、水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材10を備える茎と、茎の一端に第1の吸水材10に接するように取り付けられた第2の吸水材7を備える花蘂と、水膨張性を有し、その上面の一部が第2の吸水材7に接するようにされ、その一端の下面が茎の水膨張性を有さない一端に固定された複数の萼6と、複数の萼6に対応してその萼6に取り付けられた複数の花弁8とからなる。
【選択図】図4
Description
本発明は、造花に関し、特に、鉢植え植物栽培時における鉢中の水分又は生け花を挿した花瓶中の水分の有無(以下、土中水分等の有無)を花の開花、閉花により表示する造花に関する。
近来の園芸ブームの中で鉢植えの草花などを栽培する愛好家が増えているが、栽培時に水のやり過ぎなどで根腐れなどを起こす場合がある。また、花瓶中の水分がなくなったのに気付かずに花を枯らしてしまう場合がある。これらを回避するためには、水やりを適切に行う必要がある。現在、水やりのタイミングを知る表示具はあるが、その確認作業が煩わしく、また、価格も安くないため、殆ど普及していないのが実情である。
鉢植え栽培植物への水やりのタイミングを表示するものとしては、その都度土中に水分測定器を差し込み、表示を確認した上で水やりのタイミングを知る方法がある。また、測定器を土中に差し込んだままにして、水がある時は青色を、水がない時は赤色を表示し、色の変化で水やりのタイミングを知る方法がある。更には、造花の形状の表示器に水による動的変化を付与するものとして、100〜1000倍の水を吸収する吸水ポリマーを利用し、その膨張により花を開花又は閉花させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
なお、造花に開花、閉花の動的な変化を与える技術としては、形状記憶合金等を利用し熱を加えることによるもの、モーターの動力を利用するものなどがある。しかし、これらは、鉢植え栽培植物のために土中の水分の変化を表示するものではない上に、高価であったり、構造が複雑であったりする。
特開平10−140412号公報(第2頁〜第5頁)
前述の土中に水分測定器を差し込む方法によると、その都度測定器を差し込み確認する作業があり、鉢数が多い場合等は煩わしい。また、色の変化で水やりのタイミングを知る方法によると、目を近づけなければ表示部分が見にくい等の煩わしさがある。
そこで、本発明者は、前述の吸水ポリマーを利用しその膨張により花を開花、閉花させる技術について検討した。即ち、前述の吸水ポリマーを利用した造花とはやや構成が異なるが、図6に示す構成の造花を作成して、その特性について実験した。
図6は、前述の吸水ポリマーを使用した実験構成断面図であり、図6(a)は吸水前の花が閉じた状態を示し、図6(b)は吸水後の花が開いた状態を示す。図6において、100は吸水ポリマー、101は伸縮性ゴム、102は花弁、103は芯材、104は紙又は布等の吸水材、105は軟質樹脂を示す。
原理的には、図6(a)の状態で水が供給されると、吸水材104より吸収された水分は、毛細管現象により次第に上昇し、伸縮性ゴム101に封入された吸水ポリマー100に接触する。これにより、吸水ポリマー100は膨張を始め、伸縮性ゴム101も膨らみ始める。伸縮性ゴム101が膨らみ始めると、伸縮性ゴム101の下部に接着された花弁102は、膨張した伸縮性ゴム101に押され、図6(b)に示すように、膨張の程度に応じて花が次第に開いていく。
しかし、この実験の結果によれば、毛細管現象による吸水量の絶対量が封入された吸水ポリマー100の量に対して少ないため、これを膨張飽和させるまでに2〜3日かかる。また、飽和した吸水ポリマー100は伸縮性ゴム101に封入されているため、蒸発し乾燥状態に戻るまでに約3日かかる。このように、膨張、収縮に時間がかかりすぎるため、鉢中の土中水分状態と造花の開花、閉花の水分状態とが一致しない。特に、伸縮性ゴム101に封入された吸水ポリマー100に取り込まれた水分の蒸発時間は、鉢中の土中水分の花への吸収と空気中への蒸発時間に比べ、極めて遅くなる。従ってこの構成では、土中水分状態と造花の開花、閉花の水分状態とを一致させることは、困難であることが判った。また、伸縮性ゴム101には剛性が殆ど無いため、花弁102をうまく固定できず、花の形がうまく保てないことが判った。更に、また、伸縮性ゴム101は、繰り返し伸縮させると、その膨張率が大きく下がってしまい、水やりの回数を経る毎に劣化してしまうことが判った。
そこで、次に、本発明者は、前記の吸水ポリマー100に代えて、給水により膨張する素材として水膨張性ゴムを利用し、その膨張により花を開花、閉花させる技術について検討した。即ち、図7に示す構成の水膨張性ゴムを利用した造花を作成し、その特性について実験した。この構成は、造花の萼として、膨張率の異なる2種類の素材を貼り合わせた部材を用いることによりバイメタルのような効果(以下、バイメタル効果と言う)を持たせ、これを利用して花を開花、閉花させるものである。具体的には、水膨張性ゴム106と水膨張性を持たない合成ゴム107とを接着剤にて貼り合わせる。そして、水膨張性ゴム106に水が供給されると、水膨張性ゴム106は膨張するが、水膨張性を持たない合成ゴム107が貼り合わせてあるため、水膨張性ゴム106の膨張による伸びを逃げるために、合成ゴム107はバイメタルのように反り返る現象を利用している。
この実験によれば、図7(a)の状態で水が供給されると、第1の給水材104より吸水された水分は、毛細管現象により上昇し、スポンジ108に供給され、これを介して水膨張性ゴム106の表面に供給される。水分が水膨張性ゴム106の表面に触れると、水膨張性ゴム106がその表面から膨張を始める。更に水分が水膨張性ゴム106の表面に供給されると、図7(b)に示すように、水膨張性ゴム106は上方向及び外側方向に膨張する。しかし、水膨張性ゴム106の下面には水膨張性を持たない合成ゴム107が張り合わせてあるため、水膨張性ゴム106の膨張を逃げるために合成ゴム107は反り返る。これにより、水膨張性ゴム106の端に接着されている花弁102は開花状態になる。水膨張性ゴム106が膨張飽和しても、水膨張性ゴム106及び合成ゴム107は反り返った形状を維持することが判った。
ところが、図7の構成によると、水膨張性ゴム106に水が供給されなくなり、水膨張性ゴム106中の水分が蒸発した後において、図7(c)に示すように、水膨張性ゴム106と貼り合わされた合成ゴム107は完全に元の状態(平らな板状の状態)に戻らない場合があることが判った。即ち、完全に花が閉じない場合があることが判った。これは、本発明者の検討によれば、水膨張性ゴム106と水膨張性を持たない合成ゴム107とを貼り合わせた接着剤の影響ではないかと思われる。このように完全に花が閉じない状態では、鉢に水をやった方が良いのかどうか見る者にとって良く判らない。
そこで、本発明者は、水膨張性を持たない合成ゴムを省略して、水膨張性ゴムだけでバイメタル効果を持たせることができれば、完全に花が閉じないと言う状態を解消することができ、また、水膨張性ゴムと通常合成ゴムとの張り合わを省いて製造工程も簡素化できるのではないかと考えた。
本発明は、鉢植え植物栽培時等における土中水分等の有無を花の開花、閉花により表示する造花を提供することを目的とする。
本発明の造花は、水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材を備える茎と、前記茎の一端に前記第1の吸水材に接するように取り付けられた第2の吸水材を備える花蘂と、水膨張性を有し、その上面の一部が前記第2の吸水材に接するようにされ、その一端の下面が前記茎の水膨張性を有さない一端に固定された複数の萼と、前記複数の萼に対応して当該萼に取り付けられた複数の花弁とからなる。
また、本発明の造花は、水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材を備える茎と、前記茎の一端に前記第1の吸水材に接するように取り付けられた第2の吸水材を備える花蘂と、水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成され、前記第2の吸水材に接するようにされた複数の萼と、前記複数の萼に対応して当該萼に取り付けられた複数の花弁とからなる。
本発明の造花によれば、水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材に接する第2の吸水材に接する複数の萼を、水膨張性を有しその上面の一部が第2の吸水材に接するようにし、その一端の下面を茎の水膨張性を有さない一端に固定する。これにより、鉢中の土中水分を第1の吸水材の毛細管現象により吸い上げ、その水分を第2の吸水材を介し水膨張性ゴムに供給する。この結果、複数の萼が単一の層からなるにもかかわらず、その水分を供給された部分が膨張しその接着剤で固定された部分が膨張しないことにより、複数の萼をバイメタルのように所定の方向に反り返るようにすることができ、造花が咲いた(開いた)状態とすることができる。そして、水膨張性ゴムの水分が蒸発乾燥することにより、複数の萼が、単一の層からなるので綺麗にほぼ元の形状に戻り、ほぼ完全に造花が閉じた状態とすることができる。
また、本発明の造花によれば、水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材に接する第2の吸水材に接する複数の萼を、水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成する。これにより、鉢中の土中水分を第1の吸水材の毛細管現象により吸い上げ、その水分を第2の吸水材を介し水膨張性ゴムに供給する。この結果、複数の萼が、膨張収縮に適した水膨張性ゴム等の単一の層からなるので、水膨張性ゴム等への水分の供給により複数の萼が所定の方向に反り返り、造花が咲いた(開いた)状態とすることができ、水膨張性ゴム等の水分が蒸発乾燥することにより、複数の萼が綺麗にほぼ元の形状に戻り、ほぼ完全に造花が閉じた状態とすることができる。
このように、本発明によれば、前述の水分測定器のようにその都度土中に水分測定器を差し込み確認する必要がない。また、前述の色の変化による方法のように目を近づけなくとも、一見して表示されている状態を判別することができる。更に、図6に示す単純に吸水ポリマーを用いた造花のように、開花や閉花に2〜3日を要することはないので、鉢中の土中水分状態と造花の開花、閉花の水分状態とを一致させることができると共に、萼が水膨張性ゴムとこれに貼り合わされた実質的に水膨張性を持たない部材とからなるので、これに花弁を固定して花の形をうまく保つことができ、また、水やりの回数を経て膨張収縮を繰り返してもその膨張率が大きく下がることを防止することができる。更に、また、図7に示す水膨張性ゴムを用いたバイメタル効果を利用した造花のように、水膨張性ゴム中の水分が蒸発した後に、水膨張性ゴムと貼り合わされた合成ゴムが元の状態に戻らないと言うことは無いので、明確に水やりが必要である状態であることを表示することができ、また、再現性良く当該状態を表示することができる。
従って、本発明によれば、造花が開花している時は栽培植物への水やりが必要でない状態、造花が閉花している時は水やりが必要である状態であることを表示することができ、鉢植えの草花などの中にかわいらしい造花が咲いている(開いている)か又は閉じている状態を見て、水やりのタイミングを知ることができ、楽しく感じることができる。
図1は造花説明図であり、本発明の造花の利用形態の一つを示す。1は造花、2は栽培植物、3は植木鉢、4は土、5及び5’は土4が水分を含んでいるおよその位置(の上限)を示す。植木鉢3に土4が入れられ、これに本来の栽培植物2が植えられている。栽培植物2は土4中の水分をその根から吸い上げる。造花1は、栽培植物2の横において、栽培植物2の根の近傍に造花1の下端がくるように、土4に差し込まれる。
図1(a)に示すように、位置5までしか土4中の水分がない(即ち、水分が少ない)場合、栽培植物2は、当該位置5の水を吸い上げることができない。従って、水やりが必要な状態である。この時、造花1は閉じている。これにより、造花1は、水やりが必要である状態であることを、一目で判るように表示する。これを見た栽培者が栽培植物2(植木鉢3)に水をやる。これにより、図1(b)に示すように、土4中の水分位置5’まで上昇する。位置5’まで土4中の水分がある場合、栽培植物2は、当該位置5’の水を十分に吸い上げることができる。従って、水やりが必要でない状態である。この時、造花1は花を開いている。これにより、造花1は、水やりが必要でない状態であることを、一目で判るように表示する。
図2乃至図5は造花構成図であり、本発明の造花1の構成を示す。特に、図2は造花1が閉じている状態を示し、図2(a)は斜視図、図2(b)は平面図、図2(c)は図2(b)のc−c切断線に沿う断面図である。図3は造花1が開いている状態を示し、図3(a)は斜視図、図3(b)は平面図、図3(c)は図3(b)のc−c切断線に沿う断面図である。図4は造花1の断面拡大図を示し、図4(a)は図2(c)の拡大図、図4(b)は図3(c)の拡大図である。図5は造花1の部品構成図である。
図2乃至図5において、造花1の茎は、その中心から外側へ向かって順に、芯材9、第1の吸水材10、軟質樹脂11を備える。芯材9は、自然に咲いているようにするために繰り返し折り曲げることが可能で、ある程度の剛性を備える材質からなり、例えば針金等からなる。第1の吸水材10は、土4中の水分を毛細管現象により吸い上げる吸水材であって、例えば紙又は布等からなる。なお、ここでいう土4は、栽培植物2に水を供給し得るものであって、第1の吸水材10が水分を吸い上げることが可能なものであれば、他の種々の材質からなるものを含む。第1の吸水材10である紙等は、例えば芯材9に一重又は二重(乃至n重、nは正の整数)に巻き付けられる。外部被覆である軟質樹脂11は茎の外皮にあたるものであって、成型され表面に着色された軟質樹脂、例えばプラスチック、ビニル等からなり、従って、水膨張性を有さない。軟質樹脂11の下部は、植木鉢3内の土4に突き立てるために、その先端がやや尖った形状とされる。軟質樹脂11の下部には、水分取り入れのための開口部13が設けられる(図4、図5参照)。
茎の上端(上方の一端)において、図5に示すように、軟質樹脂11が存在しないようにされ、図2(C)等に示すように、第1の吸水材10が露出して萼6、第2の吸水材7及び第3の吸水材12に接するようにされる。軟質樹脂11の上端は、他の部分よりも大きな直径の円形状(鍔状又はフランジ状)とされ、その上面で複数の萼6の各々と接着剤により接着される。これにより、複数の萼が、各々、その一端の下面で茎の水膨張性を有さない一端に固定される。
造花1の花蘂(雄しべ及び雌しべに相当する部分)は、第2の吸水材7及び保水性を有する第3の吸水材12からなる。第2の吸水材7は、例えば高吸収性ポリマーを使用した周知の高吸収性素材(吸水材)からなる。高吸収性吸水材は、紙オムツや生理用品等で広く使用されているものである。第2の吸水材7としてこの高吸収性吸水材を使用することにより、水膨張性ゴム6への水分供給を早くすることができる。第3の吸水材12は、例えば保水性を有するスポンジ(以下、吸水スポンジ12)からなる。吸水スポンジ12は、半球形の花蘂に見えるような形状と形成される。
第2の吸水材7は茎の一端に第1の吸水材10に接するように取り付けられる。即ち、第2の吸水材7は、例えば円形(円板)状とされ、その中心部に設けられた円形の開口部を、芯材9に巻きつけられた第1の吸水材10が第2の吸水材7に接するように貫通している(図5参照)。また、保水性を有する吸水スポンジ12は、その半球形の底部が第2の吸水材7の上面に接するように取り付けられる。吸水スポンジ12は、その中心部に設けられた円筒状の凹部に芯材9に巻きつけられた第1の吸水材10が差し込まれており、第1の吸水材10の上端部に塗布された接着剤にて相互に固定される。第2の吸水材7の下面は、水膨張性ゴム6(即ち、萼6)の上面に接するように(接着することなく)取り付けられる。これにより、水膨張性ゴム6の一方の面のみに水分を供給し、萼6を効率よく所定の方向(図3に示す方向)に反り返らせることができる。
このように、造花1の花蘂として、吸水についての性質の異なる第2の吸水材7及び第3の吸水材12を用いることにより、水膨張性ゴム6からなる萼6に対して、最適な状態で水分を供給することができる。即ち、第2の吸水材7は、第1の吸水材10から速やかに水分を吸収し、これを速やかに水膨張性ゴム6からなる萼6の表面及び吸水スポンジ12に供給する。これにより、第1の吸水材10が吸い上げた水分をより速く多くの面積に速やかに供給する。吸水スポンジ12は、多くの水分を吸収して所定の時間だけ保ち、第1の吸水材10からの水分の供給がなくなった時に、保っていた水分を第2の吸水材7を介して水膨張性ゴム6からなる萼6に供給する。これにより、水膨張性ゴム6の蒸発乾燥までの時間を遅らせ、第1の吸水材10による水分の吸い上げが途絶えた後も、所定の時間だけ水膨張性ゴム6からなる萼6を反り返らせ、造花1を開花の状態に保つことができる。吸水スポンジ12に含まれる水分の蒸発乾燥と、第1の吸水材10からの水分の供給がなくなった時点での鉢3の土4中の水分の蒸発乾燥とは、周囲の湿度に依存するため、両者の間には大差ないと考えてよい。
造花1の萼6は、複数設けられ、その各々が、水膨張性を有する水膨張性ゴム6で形成されている。水膨張性ゴム6で形成された各々の萼6の上面は、第2の吸水材7の下面に接するように、また、各々の萼6の下面中心部付近は、外皮に当たる軟質樹脂11の上端に、萼6に対してほぼ垂直になるように接着され固定される。なお、接着固定する場合、必ずしも垂直でなく、斜めであってもよい。
造花1の萼6は、水膨張性を有する水膨張性ゴム6により形成しても良く、また、水膨張性を有するウレタンプレポリマー6により形成しても良い。いずれによっても、造花1の開花及び閉花について、ほぼ同様の結果を得ることができる。
造花1の萼6は、その上面の一部において第2の吸水材7に接するようにされ、また、前述のように、その一端の下面が茎の一端(軟質樹脂11の上端の広がった部分の上面)に接着剤により固定される。これにより、例えば図4(b)に示すように、水膨張性ゴム6の1層のみで、バイメタルのように所定の方向(接着された側)に反り返るようにすることができる。このように、複数の萼が単一の層からなるので、水膨張性ゴム等の水分が蒸発乾燥することにより、複数の萼が綺麗にほぼ元の形状に戻り、ほぼ完全に造花が閉じた状態とすることができる。また、造花1の萼6は、茎の一端に、第1の吸水材10に接するように取り付けられる。これにより、萼6の側面(内周面)には、給水時に速やかに第1の吸水材10から直接水分が供給される。
造花1の花弁8は、複数(この例では、5個)設けられ、複数の萼6に対応して取り付けられる。この例では、花弁8は、その一端(の中央部)が、水膨張性ゴム6の上面に接着剤等により固定される。なお、花弁8が水膨張性ゴム6の下面に接着剤等により固定されるようにしてもよい。花弁8は、例えば、当該花弁8の形に成型され着色された軟質樹脂、例えば、プラスチック、ビニル等からなる。なお、水等により容易に変形する物以外であれば、必ずしも軟質樹脂でなくてもよい。
ここで、第1に、本発明において用いられる水膨張性ゴム6は、吸水性ポリマーの配合の割合を、市販の建築用の水膨張性ゴム(例えば、王子ゴム化成株式会社製、アクアケルシーラー(Vシリーズ))におけるそれよりも増やしている。例えば、本発明の水膨張性ゴム6における吸水性ポリマーの割合は、前記市販品のおよそ20%増しとされる。これにより、本発明の水膨張性ゴム6は、水膨張性ゴム6への水の浸透を早くすることができる。また、第2に、本発明の水膨張性ゴム6は、ゴム及び吸水性ポリマーに加えて、例えばポリアルキレンオキサイド誘導体を配合して、水の浸透を早くなるようにしてある。ポリアルキレンオキサイド誘導体は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドを重合して得られる化合物であり、水膨張性ゴム6への水の浸透を容易ならしめる水路剤として配合される(例えば、特開平7−138413号公報参照)。これにより、本発明の水膨張性ゴム6は、更に、水膨張性ゴム6への水の浸透を早くすることができる。更に、第3に、本発明の水膨張性ゴム6は、その厚さを1.0〜1.5mmにしている。これにより、本発明の水膨張性ゴム6は、より一層、水膨張性ゴム6への水の浸透を早くすることができる。以上により、本発明の造花1は、水やりから約2〜3時間で、水膨張性ゴム6で形成された萼6は、膨張により反り返り、開花できる。
水膨張性ゴム6は、周知のように、ゴムの粒子に粉体状の吸水性樹脂を混合して、加硫工程を経て形成する。吸水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール−アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等があるが、水を分子内に取り込みゲル化し膨張する樹脂であれば、特に制限されない。
水膨張性ウレタンポリマー6は、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールに、主として、エチレンオキサイドからなるアルキレンオキサイドを付加せしめて得られるポリエーテルポリオールと、これとポリイソシアネートを反応させて得られる、親水性ウレタンプレポリマーである(例えば、特開昭62−44032号公報参照)。
本発明の造花1は、例えば以下のように使用される。最初に、造花1は、図1(a)に示すように、植木鉢3の土4に差し込まれる。この時、土4の中の水分の位置5が低いので、造花1の花弁8は、差し込んでから2〜3時間(即ち、開花に必要な時間)たっても、閉じたままである。即ち、図2又は図4(a)に示す状態である。そこで、これを見た栽培者は、植木鉢3の花2に水をやるタイミングであることを知って、水をやる。これにより、植木鉢3の土4の水分が、花2の根に水分が行き渡る位置5´(図1(b)参照)にまで上昇する。
この結果、図1(b)から判るように、土4中の水分が、茎の外皮である軟質樹脂11に設けられた開口部13に達し、この開口部13から茎内の第1の吸水材10の毛細管現象により吸い上げられ、第1の吸水材10に接している水膨張性ゴム6の端面と第2の吸水材7に供給される。第2の吸水材7に供給された水分は、これの底面に接している水膨張性ゴム6の表面に供給される。従って、水膨張性ゴム6からなる萼6は、その端面及び表面から膨張が始まる。水膨張性ゴム6の膨張が始まると、萼6は次第にバイメタルのように所定の方向に反り返る。これにより、水膨張性ゴム6で形成された萼6の端に接着されている花弁8は、図1(b)、図3及び図4(b)に示すように、水やりから約2〜3時間で開花状態になる。
この時、水膨張性ゴム6が十分に水分を吸収して飽和状態になっても、水膨張性ゴム6の下面の中心付近は、図2(c)、図3(c)、図4(b)に示すように、茎11の上端部に接着され固定されているために、第2の吸水材7の下面に接している水膨張性ゴム6の上部は外側方向に膨張するが、下部は外側方向の膨張が抑えられる。これにより、水膨張性ゴム6はバイメタルのように反り返った状態を維持する。即ち、当該飽和状態の間でも、造花1は開花状態を維持する。
また、この時、図3(c)及び図4(b)に示すように、水膨張性ゴム6が上方向(高さ方向)へ膨張した(厚くなった)分は、第2の吸収材7が収縮して吸収する。芯材9及び軟質樹脂11は変化しない。吸水スポンジ12の中心部には円筒形の凹部が設けられ、その底部が接着剤により茎の芯材9及び第1の吸水材10の上端(図5参照)に固定される。
これを見た栽培者は、植木鉢3の花2に水をやるタイミングではないことを知って、水をやらない。これにより、土4中の水分の位置5’は、次第に低下し、図5に示す茎の開口部13より吸水できなくなる位置まで低下すると、保水性を有する吸水スポンジ12から、第2の吸水材7を介して水膨張性ゴム6に水分が供給される。従って、この間も、水膨張性ゴム6は水分を吸収して飽和状態にあり、造花1は開花状態を維持する。
土4中の水分が位置5に低下すると、第1の吸水材10からの水分の供給がなくなり、更に、保水性を有する吸水スポンジ12からの供給もなくなり、水膨張性ゴム6は、飽和状態から水分を失い、これに伴って萼6は次第に元の形状に戻る。そして、最終的には、水膨張性ゴム6は、その内部の水分が蒸発した後は、水膨張性ゴムは完全に元の状態に戻る。この結果、造花1は閉じる状態になる。
水膨張性ゴム6が元の形状に戻ると、図2(a)及び図4(a)に示すように、第2の吸水材7も元の形状に戻り、水膨張性ゴム6の上面に接する。再度、第1の吸水材10より水分の供給があった場合は、第2の吸水材7から水膨張性ゴム6の上面に水分が供給され、水膨張性ゴム6からなる萼6は所定の方向に反り返り、造花1は開花状態となる。
以上、本発明をその実施の形態により説明したが、本発明は、その主旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、各々の造花1を水膨張率の異なる複数の水膨張性ゴム(又はウレタンプレポリマー)からなる萼6とすることにより、造花1毎に開花、閉花の時間をずらすことができる。これらの造花1を花瓶に挿して水をやると、早く咲く花や遅れて咲く花が得られるので、変化のある又は動きのある造花1として、実際の花を栽培しているのに近い感覚を楽しむことができる。
また、例えば、花瓶等に挿している生花等と一緒に当該造花1を挿すことにより、花瓶中の水分の有無を、当該造花1の開花、閉花により一目で判断でき、生花の楽しさと、造花1の開花、閉花の楽しさを味わうことができる。
本発明によれば、造花において、鉢中の土中水分を第1の吸水材の毛細管現象により吸い上げ、その水分を第2の吸水材を介し水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成された萼に供給することにより、複数の萼をバイメタルのように所定の方向に反り返らせ、当該造花が開いた状態とし、水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーの水分が蒸発乾燥することにより、複数の萼を元の形状に戻らせ、造花が閉じた状態とすることができる。また、本発明によれば、測定の都度土中水分測定器を差し込む必要がなく、一見して表示されている状態を判別することができ、鉢中の土中水分状態と造花の開花、閉花の水分状態とを一致させることができ、萼に花弁を固定して花の形をうまく保つことができ、水やりの回数を経てもその膨張率が大きく下がることを防止することができ、水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーの水分が飽和しても花が開いた状態を保つことができる。以上から、本発明によれば、造花が開花している時は栽培植物への水やりが必要でない状態、造花が閉花している時は水やりが必要である状態であることを表示することができ、水やりのタイミングを正確に知ることができる。
1 造花
2 栽培植物
3 植木鉢
4 土
5、5’ 水分を含んでいる位置線
6 水膨張性ゴム
7 第2の吸水材
8 花弁
9 芯材
10 第1の吸水材
11 軟質樹脂
12 第3の給水材(吸水スポンジ)
2 栽培植物
3 植木鉢
4 土
5、5’ 水分を含んでいる位置線
6 水膨張性ゴム
7 第2の吸水材
8 花弁
9 芯材
10 第1の吸水材
11 軟質樹脂
12 第3の給水材(吸水スポンジ)
Claims (3)
- 水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材を備える茎と、
前記茎の一端に前記第1の吸水材に接するように取り付けられた第2の吸水材を備える花蘂と、
水膨張性を有し、その上面の一部が前記第2の吸水材に接するようにされ、その一端の下面が前記茎の水膨張性を有さない一端に固定された複数の萼と、
前記複数の萼に対応して当該萼に取り付けられた複数の花弁とからなる
ことを特徴とする造花。 - 水分を毛細管現象により吸い上げる第1の吸水材を備える茎と、
前記茎の一端に前記第1の吸水材に接するように取り付けられた第2の吸水材を備える花蘂と、
水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成され、前記第2の吸水材に接するようにされた複数の萼と、
前記複数の萼に対応して当該萼に取り付けられた複数の花弁とからなる
ことを特徴とする造花。 - 前記第1の吸水材により吸い上げられた水分が前記第2の吸水材と前記水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成された複数の萼との接する面に供給された場合に、前記水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成された複数の萼が膨張し、所定の方向に反り返ることにより、当該造花が開き、
前記第1の吸水材により吸い上げられた水分が前記第2の吸水材と前記水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成された複数の萼との接する面に供給されなくなった場合に、前記水膨張性を有する水膨張性ゴム又はウレタンプレポリマーで形成された複数の萼が元の形状に戻ることにより、当該造花が閉じる
ことを特徴とする請求項2に記載の造花。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003360349A JP2005126831A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | 造花 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003360349A JP2005126831A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | 造花 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005126831A true JP2005126831A (ja) | 2005-05-19 |
Family
ID=34640683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003360349A Withdrawn JP2005126831A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | 造花 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005126831A (ja) |
-
2003
- 2003-10-21 JP JP2003360349A patent/JP2005126831A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070109 |