JP5663894B2 - 種子収納媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物等全般の種子を収納した媒体に関する技術である。
従来から、農作業において手作業にて種子を土中に散布する手間を省くため、若しくは、イベントの景品等として手軽に多数の人に植物等の種子を配布するため等に、基材表面や基材に設けた凹部に植物等の種子を配置し、種子の発芽の力で破壊可能な薄いカバーフィルム等で表面を覆う等して収納することが行われている。
特許文献としては例えば、土中において容易に腐食する紙、布、木版等の生地材に凹部を設け、種子を収納し、凹部を塗膜層あるいはカバーフィルムによって封止した種子収納シートが開示されている(特許文献1)。
また、紙等の生分解性を有する素材の表面に植物の種子と植物成長促進物質を配置し、その表面にカバーフィルムを被せたメッセージ伝達媒体が開示されている(特許文献2)。
特開2000−106714 特開平11−277952
しかしながら、基材に凹部を形成するのは、基材を打ち抜いてしまわないようにするために調整等が必要であり、加工の手間がかかるという課題がある。
また一般的に、植物の根は重力方向に発根し、伸張する性質がある為、図1(a)に示したように、凹部の開口部を上方にして土中に生めた場合、凹部の底部によって根の伸張が妨げられる場合があり、植物が十分に生長できないという問題があった。もし凹部の開口部から根がうまく出たとしても、凹部の開口部から基材上を横に伝い、基材の端部まで伸びてからでないと、下方には伸張することができないため、生長に影響する恐れがある。
この問題を解消するために、図1(b)に示したように、土中に斜めに種子収納媒体を突き刺して培養することが考えられるが、基材を斜めにすると、根が凹部から外に出て伸張する確率自体は上昇するが、凹部に複数の種子を収納している場合には、角に種子が密集してしまい、根の伸張を妨げたり、絡み合ったりして根腐れを起こす可能性が発生する。
さらにまた、凹部では開口部側から水分を与えられる必要がある為、水耕栽培等には対応できない、等の数々の問題が発生している。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、種子収納媒体が土中に埋められた方向、角度等の条件を問わずに、種子の発芽率を向上させ、且つ、土壌栽培だけでなく水耕栽培にも対応可能な種子収納媒体を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、孔部を設けた基材と、該孔部に収納された種子と、少なくとも該孔部の両方の開口部を覆うカバーフィルムと、を具備した種子収納媒体の製造方法であって、少なくとも一方の前記カバーフィルムは全面に接着層を設け、前記接着層の前記孔部に対応する部分に種子を仮固定しておいた該一方のカバーフィルムを前記基材に貼り合わせた後に、もう一方の前記カバーフィルムを前記基材の反対側に貼り合わせることを特徴とした前記種子収納媒体の製造方法としたものである。
また本発明は、前記カバーフィルムは、水溶性又は生分解性であることを特徴とする前記種子収納媒体の製造方法としたものである。
また本発明は、前記カバーフィルムと前記基材とは、生分解性の接着剤で貼り合わせられていることを特徴とする前記種子収納媒体の製造方法としたものである。
また本発明は、前記基材には、少なくとも前記孔部を含む形状に該基材を切り取り可能な切取部が設けられていることを特徴とする前記種子収納媒体の製造方法としたものである。
また本発明は、前記基材には、ICモジュール若しくは磁気記録層が設けられており、前記切取部は、少なくとも前記孔部を含む部分と、少なくとも該ICモジュール若しくは磁気記録層の一部を含む部分とに基材を分断可能であることを特徴とする前記種子収納媒体の製造方法としたものである。
本発明は、以上説明したような構成であるから、以下に示す如き効果がある。
即ち、本発明における種子収納媒体は、基材に設けた孔部に種子を収納し、該孔部を両面からカバーフィルムで封止したため、凹部に比べて孔部は形成加工が単純であり、土中に埋めた際に、種子収納媒体自体がいずれの方向、角度に向いていても、孔部の上下の開口部から芽や根が成長できるため、安定して高い発芽率が得られ、且つ水耕栽培にも対応可能であるという効果を奏する。
従来技術の課題を説明するための図である。 本発明における種子収納媒体の実施形態例を示す断面図である。 本発明における種子収納媒体における接着層の設け方を説明する断面図である。 本発明における種子収納媒体の使用例を説明する概要図である。
以下、本発明における種子収納媒体について、図面を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明における種子収納媒体の一実施例における断面図である。本発明における種子収納媒体1は、基材2に孔部3を設け、そこに種子4を収納し、これをカバーフィルム5で封止してなる。
このように、種子を凹部ではなく孔部に収納することにより、発根及び発芽が制限されずに植物の生長を妨げない種子収納媒体を提供することが可能である。また、この種子収納媒体を土中に埋める際に、天地、向き、角度等が制限されない。よって、種子収納媒体を土に突き刺した状態で栽培することも可能であり、手を汚さずに気軽にガーデニング等を楽しむことも可能となる。さらにまた、水耕栽培用スポンジを用いる際にも、天地を気にせずに置くことが可能となる。
基材としては、プラスチック、生分解性樹脂、紙等が使用でき、特に限定しないが、特に生分解性樹脂や紙は土中に埋めた際に徐々に分解されるので好ましい。生分解性樹脂の材料としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等の生分解性を有する脂肪族ポリエステル系、及び樹脂等が挙げられる。紙としては、一般的な紙、バルカナイズドファイバー等が挙げられる。また、基材は、花の香り等を芳香させるものであっても良い。例えば、収納する種子から発芽する植物がつける花又は実等の香りを芳香させるものであると、よりユーザを楽しませることが可能である。
基材の大きさ、形状については特に限定しないが、JIS規格に規定された、短辺が53.92〜54.03mm、長辺が85.47〜85.72mm、厚みが0.76±0.08mmの形状のカード基材を用いることが可能である。しかし、本発明における基材の形状は特にこれに限定されるものではなく、長方形、正方形、台形、星型、ハート型、その他諸々の自由な形状に設計して良い。また、基材は単層構造であっても、複数層からなっても良い。
孔部は、基材に抜き打ち加工を行うこと等により形成可能である。基材に設ける孔部の大きさ、形状については、収納する種子の大きさや量により適宜設定してよく、特に限定しない。また、1つの種子収納媒体に対して複数の孔部を設けることも可能である。
本発明における種子とは、花、草、野菜、果物、木等の植物全般における種子またはその断片、若しくは、菌糸類の胞子、地衣類の芽子等を指しており、孔部に収納が可能な大きさ、形状、性質を有しているのであれば、特に限定されるものではない。
カバーフィルムは、孔部の両側の開口部を封止するため、基材の両面に設ける必要がある。また、カバーフィルムは通常時には確実に種子を封止するため、一定の破裂強さを有する必要が有る。ただし、土中に埋めた際、又は水耕栽培用スポンジ状に置かれた際等には、種子の発芽率を向上させるために、破壊されやすい材料である必要がある。よって、水や微生物で分解、溶解可能な紙、でんぷん質、生分解性樹脂等を用いることが好ましい。また、カバーフィルムの厚みは、その材料によっても異なるが、数μm〜200μmとすることが望ましい。
カバーフィルムの材料として紙を用いる場合には、破裂強さ(kgf/cm{kPa}(10枚))が0.8{78}以上(参考:JIS P8112 紙及び板紙のミューレン低圧形試験機による破裂強さ試験方法)であることが望ましい。
上記破裂強さを有する紙として、例えば、トイレットペーパー等が使用可能である。ただし、すきむら、破れ、穴等の使用状の欠点がないものを用いる。また、トイレットペーパーは、吸水度が20(mm)程度(試験時間:1分間、水温:20±5℃、参考:JIS P8141 紙のクレム法による吸水度試験方法)であり、水を吸収し、ほぐれやすい性質を有するため、カバーフィルムとして適している。
また、カバーフィルムの材料として生分解性樹脂を用いる場合には、基材と同様、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等の生分解性を有する脂肪族ポリエステル系、及び樹脂等が挙げられる。
カバーフィルムの形状としては、少なくとも基材に設けられた孔部を覆うに足りるだけの面積を有していれば良いが、特にその形状は限定されるものではない。例えば、図2(a)に示すように、孔部の面積よりも少し広い面積を有するカバーフィルムを2枚用いても良いし、図2(b)及び(c)に示すように、いずれか片方は孔部の面積よりも少し広い面積を有するカバーフィルムを、もう片方は基材の全面を覆う面積のカバーフィルムを用いても良い。さらにまた、図2(d)に示すように、両面とも、基材の全面を追う面積のカバーフィルムを用いても良い。ただし、本発明におけるカバーフィルムの形状は上述した形状に限定されるものではなく、適宜設計可能である。
カバーフィルムには、基材の孔部を覆うため、少なくとも孔部の周辺部と重なる部分に接着層6を設けておく必要が有る。接着層は、種子を収納するため、土中に埋められる前の通常時には、基材からはがれないだけの接着力を有していることが求められる。接着層の材料としては、デンプン系、ゴム系、ウレタン系、シリコン系等が挙げられる。また、できれば接着剤も生分解性であることが好ましく、これには基材又はカバーフィルムと同様、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等の生分解性を有する脂肪族ポリエステル系、及び樹脂等からなる接着剤が挙げられる。
接着層の設け方について、図3を用いて説明する。なお、図3にはカバーフィルムが、孔部の面積より少し広い面積を有している場合についてのみ示しているが、これはカバーフィルムが基材の全面に設けられている場合であっても、その他いずれの形状で設けられている場合であっても同様である。
孔部に収納した種子を基材の両面からカバーフィルムで封止する場合、例えば、図3(a)に示したように、両面とも孔部の周辺に対応する部分に接着層を設けたカバーフィルムを用いる事が出来る。この場合、基材の片面に先にカバーフィルムを貼り合わせてまず孔部の片側を封止し、孔部に種子を収納した後に基材のもう一方の面にカバーフィルムを貼り合わせることにより種子を封止可能である。
また、図3(b)に示したように、片側のカバーフィルムには、孔部の周辺に対応する部分に接着層を設け、もう一方のカバーフィルムには全面に接着層を設けておくことも出来る。この場合には、全面に接着層を設けたカバーフィルムの孔部に対応する部分に、事前に種子を仮固定しておき、これを基材に貼り合わせることにより、種子を封止可能である。このような工程を採用することにより、ばらけた種子を各々の孔部に収納する際にかかる手間を省くことができ、生産効率を向上させることが可能であり、且つ製造工程中に種子が飛散することを防ぐことも可能である。さらにまた、種子の間隔を固定し、種子収納媒体が斜めに設置された場合であっても、孔部の角に種子が偏ることを防ぐことが可能となる。
他の方法としては、先に全面に接着層を設けたカバーフィルムを基材に貼り合わせ、基材の反対側から接着層上に種子を仮固定した後に、基材のもう一方の面にカバーフィルムを貼り合せても良い。この工程を採用しても、製造工程中に種子が飛散することを防止することが可能となる。
さらにまた、図3(c)に示したように、両面のカバーフィルムの全面に接着層を設けておくことも出来る。この場合にも、図3(b)にて説明したのと同様に、両面のカバーフィルムの孔部に対応する部分のいずれか一方若しくは両方に、事前に種子を仮固定しておき、これを基材に貼り合わせるようにしても良いし、事前に片側のカバーフィルムを貼り合わせた後に反対側から種子を接着層に仮固定し、もう一方のカバーフィルムを貼り合わせても良い。
図4には、本発明における種子収納媒体の使用形態例を示す。本発明における種子収納媒体は、図4に示すように、カード形状で形成された媒体から特定の部分を切り取って使用するSIMカード、ミニICカード、ミニ磁気カード等に有効に使用できる。
基材を切り取るためには、基材に切取可能な切取部を設けておく必要が有る。切取部は、片面若しくは両面からのハーフカット加工する、破線状等に一部を抜き打ち加工する等して得られる。
図4(a)は種子収納媒体をSIMカードに使用した例である。SIMカードは、接触式のICモジュール10を有し、全体としては通常の接触式ICカードと同じ形状をしている。この接触式のICモジュールの周囲に切取部を設けておくことで、携帯電話、パソコンのUSBアダプタ等に差し込み可能な形状のSIMカードを得ることが可能となる。そして、このSIMカードとして切り取られる部分以外の部分に、孔部を設け、種子を収納し、種子収納媒体となる。
図4(b)は種子収納媒体をミニICカードに使用した例である。図に示したミニICカードは、非接触式のICチップ11と通信用のアンテナ12を備え、全体としては通常の非接触式ICカードと同じ形状をしているが、非接触式のICチップの代わりに接触式のICモジュールを備えていても構わない。このICチップ及びアンテナを含む部分の周囲に切取部を設けておくことで、様々な形状を有するミニICカードを得ることが可能である。図においては、ミニICカードの形状は、長方形であるが、特にこれに限定されるものではない。そして、このミニICカードとして切り取られる部分以外の部分に、孔部を設け、種子を収納し、種子収納媒体となる。
図4(c)は種子収納媒体をミニ磁気カードに使用した例である。ミニ磁気カードは、磁気記録部13を有し、全体としては通常の磁気カードと同じ形状をしている。この磁気記録部を、外部の磁気読取装置との通信が可能な面積を少なくとも有するように、少なくとも一部含む形状に切取部を設けておくことで、ミニ磁気カードを得ることが可能である。また、ミニ磁気カードについても、その形状は図示したものに限定されない。そして、このミニ磁気カードとして切り取られる部分以外の部分に、孔部を設け、種子を収納し、種子収納媒体となる。
つまり、SIMカード、ミニICカード、ミニ磁気カード等は、従来の生産ラインを使用する為に、製造時には通常のカードの一部を切り取って使用し、残りの部分は廃棄されるため、エコロジーの観点から問題になっていた。この従来は廃棄される部分に、孔部を設けて種子を収納することにより、有効活用が可能となるのである。
基材として、厚さ0.75〜0.81mmのバルカナイズドファイバー(東洋ファイバー(株)製)を用い、基材の一部に接触型ICモジュールと、SIMカード形状に切取可能な切取部を設けた。そして、SIMカードに切取られる以外の部分に、直系5mmの孔部を設け、その中へ種子を収納し、該孔部の両面を接着層としてでんぷん糊を設けた厚さ0.06mmのトイレットペーパー(東洋製紙製TOIPER ソフトシングル)で封止し、図3(a)に示した形状の種子収納媒体を得た。この種子収納媒体の種子の種類を、スウィートバジル、ローズカスミソウ、忘れな草と変えることで、サンプル1−1,1−2,1−3とした。
サンプル1−1乃至1−3を1日直射日光の当たらない場所で乾燥させた後、SIMカード部分を切り取り、室温約23℃、湿度約50%の室内にて、残りの部分を土中に埋めて水をやり、その後も土が完全に乾燥しないよう、定期的に水を与えた。発芽に要する日数は、種子の種類によって異なるので一概に何日後とは明記できないが、各々の種子が発芽に要する日数を十分に経過した後、各サンプルの発芽率を測定したところ、表1の結果が得られた。なお、この発芽率は、種子を約10粒程度収納した種子収納媒体を各サンプル5つ作成して求めたものである。
Figure 0005663894
基材として、厚さ0.75〜0.81mmのバルカナイズドファイバー(東洋ファイバー(株)製)を用い、基材の一部に接触型ICモジュールと、SIMカード形状に切取可能な切取部を設けた。そして、SIMカードに切取られる以外の部分に、直系5mmの孔部を設け、その中へ種子を収納し、該孔部の両面を接着層としてでんぷん糊を設けた厚さ0.065mmの水溶紙30MDP(日本製紙パピリア(株)製)で封止し、図3(a)に示した形状の種子収納媒体を得た。この種子収納媒体の種子の種類を、スウィートバジル、ローズカスミソウ、忘れな草と変えることで、サンプル2−1,2−2,2−3とした。
サンプル2−1乃至2−3を1日直射日光の当たらない場所で乾燥させた後、SIMカード部分を切り取り、室温約23℃、湿度約50%の室内にて、残りの部分を土中に埋めて水をやり、その後も土が完全に乾燥しないよう、定期的に水を与えた。発芽に要する日数は、種子の種類によって異なるので一概に何日後とは明記できないが、各々の種子が発芽に要する日数を十分に経過した後、各サンプルの発芽率を測定したところ、表2の結果が得られた。なお、この発芽率は、種子を約10粒程度収納した種子収納媒体を各サンプル5つ作成して求めたものである。
Figure 0005663894
基材として、厚さ0.75〜0.81mmのバルカナイズドファイバー(東洋ファイバー(株)製)を用い、基材の一部に接触型ICモジュールと、SIMカード形状に切取可能な切取部を設けた。そして、SIMカードに切取られる以外の部分に、直系5mmの孔部を設け、その中へ種子を収納し、該孔部の両面を接着層としてでんぷん糊を設けた厚さ0.06mmのトイレットペーパー(東洋製紙製TOIPER ソフトシングル)で封止し、図3(a)に示した形状の種子収納媒体を得た。この種子収納媒体の種子の種類を、スウィートバジル、ローズカスミソウ、忘れな草と変えることで、サンプル3−1,3−2,3−3とした。
サンプル3−1乃至3−3を1日直射日光の当たらない場所で乾燥させた後、SIMカード部分を切り取り、室温約23℃、湿度約50%の室内にて、残りの部分を水耕栽培用スポンジ上へ静置して水をやり、その後もスポンジが完全に乾燥しないよう、定期的に水を与えた。発芽に要する日数は、種子の種類によって異なるので一概に何日後とは明記できないが、各々の種子が発芽に要する日数を十分に経過した後、各サンプルの発芽率を測定したところ、表3の結果が得られた。なお、この発芽率は、種子を約10粒程度収納した種子収納媒体を各サンプル5つ作成して求めたものである。
Figure 0005663894
基材として、厚さ0.75〜0.81mmのバルカナイズドファイバー(東洋ファイバー(株)製)を用い、基材の一部に接触型ICモジュールと、SIMカード形状に切取可能な切取部を設けた。そして、SIMカードに切取られる以外の部分に、直系5mmの孔部を設け、その中へ種子を収納し、該孔部の両面を接着層としてでんぷん糊を設けた厚さ0.065mmの水溶紙30MDP(日本製紙パピリア(株)製)で封止し、図3(a)に示した形状の種子収納媒体を得た。この種子収納媒体の種子の種類を、スウィートバジル、ローズカスミソウ、忘れな草と変えることで、サンプル4−1,4−2,4−3とした。
サンプル4−1乃至4−3を1日直射日光の当たらない場所で乾燥させた後、SIMカード部分を切り取り、室温約23℃、湿度約50%の室内にて、残りの部分を水耕栽培用スポンジ上へ静置して水をやり、その後もスポンジが完全に乾燥しないよう、定期的に水を与えた。発芽に要する日数は、種子の種類によって異なるので一概に何日後とは明記できないが、各々の種子が発芽に要する日数を十分に経過した後、各サンプルの発芽率を測定したところ、表4の結果が得られた。なお、この発芽率は、種子を約10粒程度収納した種子収納媒体を各サンプル5つ作成して求めたものである。
Figure 0005663894
[比較例1]
基材に設けた孔部を凹部とし、凹部の上面を、接着層を有するカバーフィルムで封止した以外は、実施例1と同様にして種子収納媒体を得た。この種子収納媒体に収納する種子の種類を、スウィートバジル、ローズカスミソウ、忘れな草と変えることで、サンプル5−1,5−2,5−3とした。
サンプル5−1乃至5−3を1日直射日光の当たらない場所で乾燥させた後、SIMカード部分を切り取り、室温約23℃、湿度約50%の室内にて、残りの部分を土中に埋めて水をやり、その後も土が完全に乾燥しないよう、定期的に水を与えた。発芽に要する日数は、種子の種類によって異なるので一概に何日後とは明記できないが、各々の種子が発芽に要する日数を十分に経過した後、各サンプルの発芽率を測定したところ、表5の結果が得られた。なお、この発芽率は、種子を約10粒程度収納した種子収納媒体を各サンプル5つ作成して求めたものである。
Figure 0005663894
実施例1乃至4及び比較例1を比較すると、本発明における種子収納媒体の構成を満たす実施例1乃至4では、いずれの種類の種子においても、比較例1と比べて発芽率が向上していることが分かる。また、実施例1乃至4においては、種子の種類によりばらつきはあるが、安定した発芽率が得られ、生育も順調であったが、比較例1においては、唯一発芽したスウィートバジルにおいても、カバーフィルムの端部から土中に抜けて発芽したものであり、土中の茎部はもやしのように白く、葉は実施例のものより黄緑がかっており、生育不良が見られた。
さらにまた、実施例1及び2は、いずれも基材及びカバーフィルムが生分解性若しくは水溶性を有しているため、土中に埋めた若しくは水耕用スポンジ上に静置した後、徐々に分解若しくは溶解し、エコロジー適性も高いことが分かった。
1・・・種子収納媒体
2・・・基材
3・・・孔部
4・・・種子
5・・・カバーフィルム
6・・・接着層
7・・・切取部
8・・・接触ICモジュール
9・・・ICチップ
10・・・アンテナ
11・・・磁気記録部

Claims (5)

  1. 孔部を設けた基材と、該孔部に収納された種子と、少なくとも該孔部の両方の開口部を覆うカバーフィルムと、を具備した種子収納媒体の製造方法であって、
    少なくとも一方の前記カバーフィルムは全面に接着層を設け、前記接着層の前記孔部に対応する部分に種子を仮固定しておいた該一方のカバーフィルムを前記基材に貼り合わせた後に、もう一方の前記カバーフィルムを前記基材の反対側に貼り合わせることを特徴とした前記種子収納媒体の製造方法
  2. 前記カバーフィルムは、水溶性又は生分解性であることを特徴とする請求項1に記載の種子収納媒体の製造方法
  3. 前記カバーフィルムと前記基材とは、生分解性の接着剤で貼り合わせられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の種子収納媒体の製造方法
  4. 前記基材には、少なくとも前記孔部を含む形状に該基材を切り取り可能な切取部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の種子収納媒体の製造方法
  5. 前記基材には、ICモジュール若しくは磁気記録層が設けられており、
    前記切取部は、少なくとも前記孔部を含む部分と、少なくとも該ICモジュール若しくは磁気記録層の一部を含む部分とに基材を分断可能であることを特徴とする請求項に記載の種子収納媒体の製造方法
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