JP2005126241A - エレベータ用制動装置 - Google Patents

Abstract

【課題】動作および安全の両面において最も効果的な特性を有する制動装置を提供する。
【解決手段】セルフセンタリング制動装置１において、制動モーメントは、通常の動作の場合と制動装置半体３が故障した場合とで同じに維持される。制動装置１は、断面がＵ字型のハウジング２からなり、Ｕ字の足部分は制動装置半体３に対応する。制動装置半体３は同一の構成である。能動的な制動ライニング４および受動的な制動ライニング５は、各制動装置半体３に設けられる。能動的な制動ライニング４は、圧縮ばね６のばね力によって負荷を受ける。制動装置半体３が故障した場合、受動的な制動ライニング５が、能動的な制動ライニング４の機能を取って代わる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、エレベータ用制動装置に関し、制動装置は、２つの制動装置半体からなり、制動装置を作動する圧縮ばねおよび制動装置を解除するアクチュエータは、各制動装置半体に設けられ、圧縮ばねおよびアクチュエータは、少なくとも一つの能動的な制動ライニングに対して作用し、アクチュエータが作動停止されると、制動表面で制動力を生成する。

リニアモータを用いて駆動可能なホイストフレーム用の制動装置は、独国特許出願公開第４１０６５５９５号１から知られており、ロードセルが解除用の信号を生成する。ホイストフレームに配置された制動装置は、運搬軸に設けられる案内レールを囲み、制動装置は各案内レールに設けられる。制動装置は、案内レールの各足側に制動シューを有する。作動素子は、各制動シューに対して、制動シューを用いて案内レールに制動力を生成し、ばねの作用は、制動装置を作動させ、流体圧シリンダは、ばね力に対抗して制動装置を解除する。

知られている機器の不都合な点は、制動装置が通常の動作の場合と制動装置半体が故障した場合とで、異なる制動モーメントを生成する点である。知られている制動装置において、一つの制動装置半体が、必要な制動モーメントを生成し、あるいは２つの制動装置半体が、一緒に２倍の制動モーメントを生成し、通常の動作の場合、ドライブプーリでケーブルの滑りを生じさせ得る。それにより鋼ケーブルの場合のストランド、および合成繊維ケーブルの場合のケーシングは、非常に負荷がかけられるか過剰に摩耗される。

制動キャリパが浮動するよう取り付けられた、ディスク制動装置を具備するエレベータドライブは、特開平４−１３３９８８号から知られている。制動装置は、圧縮ばねを用いて作動され、圧縮ばねに対して作用するアクチュエータを用いて解除される。制動装置が解除されると、制動キャリパは、更なる圧縮ばねによって初期位置に移動される。
独国特許出願公開第４１０６５９５号明細書 特開平４−１３３９８８号明細書 欧州特許第０６４８７０３号明細書

知られている機器の不都合な点は、ばねの破損、または制動ライニングの擦り減りにより、制動装置が故障する点である。

本発明は、解決策を提供する。本発明は、請求項１に特徴として記載されるとおり、知られている機器の不都合な点を回避する目的を達成し、動作および安全の両面において最も効果的な特性を有する制動装置を提供する。

本発明の有利な展開は、従属項に記載される。

本発明によって実現される利点は、実質的に、必要な制動モーメントが維持されるにもかかわらず、エレベータ駆動に必要な二重の冗長性が保障される点である。冗長性は、ばねが故障した場合または制動ライニングが擦り減った場合にも維持される。２つの独立した半体よりなる制動装置は、通常の動作に必要な制動モーメントを生成する。制動装置半体が故障した場合でも、本発明による制動装置は、必要な制動モーメントを生成する。故障の場合、乗客は、それほど高い負荷を受けず、エレベータには機械的により少ない程度の負荷を受ける。さらに、より穏やかな遅れにより、リミッタケーブルの質量慣性によって生ずる安全制動装置の望ましくない始動も回避される。緊急停止の場合、特に、大きな予備の牽引を有するエレベータ設備の場合には、過剰な減速は生じず、したがって機械的システムは保護され、ドライブプーリでのケーブルの滑りを回避する。モータシャフトの信号生成器から得られるケージの位置は、制御のために正確に維持される。

本発明は、添付の図面に基づいてより詳細に説明される。

図１は、通常の動作における本発明による制動装置１の概略的な図を示す。制動装置１は、断面がＵ字型のハウジング２からなり、Ｕ字の足部分は、制動装置半体３に対応する。制動装置半体３は、同一の構成である。能動的な制動ライニング４および少なくとも一つの追加的なまたは受動的な制動ライニング５が、制動装置半体３それぞれに設けられる。実施形態の更なる変形例では、追加的な制動ライニング５は、以下に更に説明するように省略されることができる。追加的なまたは受動的な制動ライニング５は、ハウジング２の足部分の内側に配置される。能動的な制動ライニング４は、圧縮ばね６のばね力によって負荷を受けている。以下に更に説明され、作動状態においてばね力に対抗するアクチュエータは図示されない。ハウジングは、浮動するように第１の軸７に取り付けられる。

通常の動作の場合、能動的な制動ライニング４は、制動表面８として機能し、かつドライブプーリ９の一部である制動ディスク８’に対して作用する。第２の軸１１を中心として回転するドライブプーリ９のケーブル溝１０に案内されるケーブル１２は、エレベータのケージ（図示せず）、またはエレベータの釣合い重り（図示せず）を移動させる。

本発明による制動装置１は、エレベータのケージまたは釣合い重りに配置されてもよく、例えば、案内レールの自由足部分が、制動表面として機能する。

制動装置１は、セルフセンタリングであり、第１の軸７に浮動で取り付けられているため、点で表される中心位置１３について移動することができる。制動装置１の可能な移動方向は、矢印Ｐ１または矢印Ｐ２によって表される。

図２は、一方の制動装置半体３が故障した場合における、本発明による制動装置１の概略的な図を示す。例えば、圧縮ばね６が破損するか能動的な制動ライニング４が摩耗すると、一方の制動装置半体３が作用しなくなる。他方の制動装置半体３の圧縮ばね６のばね力は、矢印Ｐ１によって表される方向にハウジング２を移動させ、その一方の制動装置半体３の受動的な制動ライニング５が、制動ディスク８’と接触する。制動装置１の初期位置は、破線によって示される。以下に更に説明するように、通常の動作の場合における制動力は、制動装置半体３が故障した場合にも維持される。

図３は、本発明による制動装置１の制動装置半体３の側面図を示す。能動的な制動ライニング４は、中央に配置され、ハウジング２に配置される追加的なまたは受動的な制動ライニング５は、各制動ライニング側に設けられる。

図３の線Ａ−Ａでの断面が、図４に示される。制動装置１の第１の軸７は、駆動ユニットまたはエレベータのケージあるいは釣合い重りの制動装置１４に配置される。制動装置１は、解放された状態で示され、かつ浮動するように取り付けられ、第１の軸７に沿って移動することができる。圧縮ばね６は、一端がハウジング２で支持され、他端が制動磁石１６の電機子板１５で支持される。制動磁石１６および電機子板１５は、上述のアクチュエータを構成する。図示する状態では、制動装置１は解除され、制動磁石１６が作動され、能動的な制動ライニング４を担持する電機子板１５が引き付けられ、制動磁石１６の力が、圧縮ばね６のばね力に対抗する。制動磁石１６が作動停止された場合、圧縮ばね６は、能動的な制動ライニング４とともに電機子板１５を制動ディスク８’に対して押し付け、能動的な制動ライニング４が、必要な制動力を生成する。両方の制動装置半体３が同等に作動する場合、制動装置１は、中央位置１３に自身を位置付ける。制動装置半体３が不均等に動作する場合、制動装置１は、第１の軸７に浮動するよう取り付けられているため、Ｐ１またはＰ２のいずれか一方の方向に変位する。

図５は、一方の制動装置半体３が切り取られている、本発明による制動装置１の平面図を示す。制動装置１は解除された状態で示されている。制動装置半体が故障した場合、能動的な制動ライニング４の代わりに、２つの追加的なまたは受動的な制動ライニング５が機能する。

実施形態の更なる変形例では、追加的な制動ライニング５は省略されてもよい。ばねが破損されている場合、能動的な制動ライニング４が、この場合追加的な制動ライニングとして機能し、図１および図２に象徴的に示される受面２．１に面する。図４および図５に示すように、制動磁石１６が受面として機能する。この制動装置の変形例は、ばねの破損の場合に冗長性を有し、必要な制動モーメントで動作し続ける。制動装置半体３全体が故障した場合、例えば、能動的な制動ライニング４が擦り減った場合、制動装置１は故障する。

制動装置１は、例えば、エレベータのケージまたは釣合い重りに配置されてもよく、例えば、案内レールの足部分に対して作用する。この場合、案内レールの足部分が、制動ディスク８’に取って代わる。それにより、制動ライニングは、欧州特許第０６４８７０３号に詳細に開示されるように案内レールの反対側に作用する。

通常の動作における制動モーメントは、以下の式に従って計算される。
Ｍ_ｎ＝２×Ｆ_ｎ×μ×ｒ （１）
Ｍ_ｎ 通常の動作における制動モーメント
Ｆ_ｎ 能動的な制動ライニング４に作用する制動力（圧縮ばね６）
μ 能動的な制動ライニング４と制動ディスク８’との間の摩擦係数
ｒ 第２の軸１１の中心点からの制動装置１の平均間隔

制動装置半体３が故障した場合の制動モーメントは、以下の式に従って計算される。
Ｍ_ｆ＝（Ｆ_ｎ＋Ｆ_ｐ）×μ×ｒ （２）
Ｍ_ｆ 制動装置半体３が故障した場合における制動モーメント
Ｆ_ｎ 能動的な制動ライニング４に作用する制動力（圧縮ばね６）
Ｆ_ｐ 追加的なまたは受動的な制動ライニング５に作用する制動力（圧縮ばね６）
μ 能動的／受動的な制動ライニング４／５と制動ディスク８’との間の摩擦係数
ｒ 第２の軸１１の中心点からの制動装置１の平均間隔

このとき、Ｆ_ｎ＝Ｆ_ｐであるとＭ_ｎ＝Ｍ_ｆである。

従って、制動装置の制動モーメントは、ｒが一定であり、軸７における摩擦を無視できるものと仮定して、通常の動作の場合と制動装置半体３が故障した場合において同じとなる。

通常の動作における本発明による制動装置の概略的な図である。 制動装置半体のばねが破損した場合における本発明による制動装置の概略的な図である。 本発明による制動装置の側面図である。 図３の線Ａ−Ａでの断面図である。 本発明による制動装置の平面図である。

符号の説明

１、１４ 制動装置
２ ハウジング
３ 制動装置半体
４ 能動的な制動ライニング
５ 受動的な制動ライニング
６ 圧縮ばね
７ 第１の軸
８ 制動表面
８’ 制動ディスク
９ ドライブプーリ
１０ ケーブル溝
１１ 第２の軸
１２ ケーブル
１３ 中心位置
１５ 電機子板
１６ 制動磁石

Claims (10)

1. エレベータ用の制動装置（１）であり、該制動装置は、２つの制動装置半体（３）からなり、制動装置（１）を作動するための圧縮ばね（６）および制動装置（１）を解除するためのアクチュエータ（１５、１６）が、各制動装置半体（３）に設けられ、圧縮ばね（６）およびアクチュエータが、少なくとも一つの能動的な制動ライニング（４）に対して作用し、アクチュエータ（１５、１６）が作動停止されると、制動表面（８）で制動力を生成する、制動装置（１）であって、
   該制動装置（１）が、制動表面（８）に対して垂直方向に浮動するよう取り付けられることを特徴とする、制動装置。
2. 一方の側で制動装置（１）が故障した場合、受動的に作動する制動ライニング（４、５）が、当該制動装置半体（３）に設けられ、かつ他方の制動装置半体（３）の圧縮ばね（６）によって制動表面（８）に押し付けられることができることを特徴とする、請求項１に記載の制動装置。
3. 少なくとも一つの追加的な制動ライニング（５）が、各制動装置半体（３）に設けられ、制動装置半体（３）が故障した場合に、故障した制動装置半体（３）の能動的な制動ライニング（４）の代わりに機能することを特徴とする、請求項１に記載の制動装置。
4. 非作動状態の制動ライニングキャリア（１５）が、受面（２．１、１６）に面し、結合される制動ライニング（４）が、ともに受動的な制動ライニングを構成することを特徴とする、請求項１または２に記載の制動装置。
5. 追加的な受動的な制動ライニング（５）が、各制動装置半体（３）に設けられることを特徴とする、請求項１から４のいずれか一項に記載の制動装置。
6. アクチュエータが、電機子板（１５）を有する制動磁石（１６）であり、能動的な制動ライニング（４）が、電機子板（１５）に配置されることを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載の制動装置。
7. 制動装置（１）が、駆動ユニットに配置されることを特徴とする、請求項１から６のいずれか一項に記載の制動装置。
8. 制動装置（１）が、エレベータのケージまたは釣合い重りに配置されることを特徴とする、請求項１から７のいずれか一項に記載の制動装置。
9. エレベータの案内レールが、制動表面（８）として機能することを特徴とする、請求項８に記載の制動装置。
10. エレベータ用の制動装置（１）を作動する方法であり、該制動装置が、２つの制動装置半体（３）からなり、制動装置（１）を作動するための圧縮ばね（６）および制動装置（１）を解除するためのアクチュエータ（１５、１６）が、各制動装置半体（３）に設けられ、圧縮ばね（６）およびアクチュエータが、少なくとも一つの能動的な制動ライニング（４）に対して作用し、アクチュエータ（１５、１６）が作動停止されると、制動表面（８）で制動力を生成する、制動装置（１）を作動する方法であって、
    通常の動作の場合と、制動装置半体（３）の少なくとも圧縮ばね（６）が故障した場合とで、同じ制動力が生成されることを特徴とする、方法。

Images