JP2005126001A - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 乗員の拘束保護性能の向上を図ることが可能な車両用乗員保護装置を提供する。
【解決手段】 車両用乗員保護装置1は、衝突を検知するための加速度計20と、衝突を予測するためのレーダ10と、可逆的に乗員を拘束する可逆拘束機構31,32と、非可逆的に乗員を拘束する非可逆拘束機構33,34とを備えている。さらに、車両用乗員保護装置1は、可逆、非可逆の拘束機構31〜34を制御するコントロールユニット40を備えている。このコントロールユニット40は、可逆、非可逆の拘束機構31〜34を制御するに際して、衝突時を基準として作動制御する構成となっている。このため、乗員を保護すべき衝突時に備えて、的確に乗員拘束を行うことができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車両用乗員保護装置に関する。
従来、衝突を予測した場合に可逆式の第1プリテンショナを作動させ、衝突の発生を検出した場合に非可逆式の第2プリテンショナを作動させて乗員を保護する乗員保護装置が知られている(特許文献1参照)。
また、衝突を予測した場合に第1の乗員保護装置を作動させると共に、第2の乗員保護装置を作動すべきタイミングを設定する乗員保護システムが知られている(特許文献2参照)。
特開平6−286581号公報 特開2003−175797号公報
しかし、従来装置等は、例えば以下に掲げる理由から、一層の性能向上が望まれている。
例えば、従来装置等では、衝突予測時に可逆式の拘束機構を作動させ、その後、非可逆式の拘束機構を作動させるようになっている。すなわち、従来装置は、可逆式、非可逆式の順で拘束機構を作動させることで、衝突予測されたが衝突を回避できた場合には、可逆式の拘束機構のみを作動させて、非可逆式の拘束機構を作動させないでよいようにしている。ここで、非可逆式の拘束機構は乗員の拘束及び拘束解除を1度しかできないことから、これを作動させてしまうと、次回の走行時には非可逆式の拘束機構を使えなくなるという不都合が生じてしまう。そこで、従来装置では、この不都合を解消するべく、可逆式、非可逆式の順で拘束機構を作動させるようにしている。
しかし、上記不都合の解消するために可逆式、非可逆式の順で拘束機構を作動させることは、所詮装置利便性向上に過ぎず、それぞれの装置にとって理想的な状態の動作タイミングと合致しない可能性もある。
本発明によれば、衝突を検知又は予測して乗員を拘束保護する車両用乗員保護装置であって、可逆的に乗員を拘束する可逆拘束手段と非可逆的に乗員を拘束する非可逆拘束手段との作動を、衝突時を基準として制御することを特徴とする。
本発明によれば、衝突時を基準として可逆拘束手段と非可逆拘束手段との作動制御を行っている。このため、従来のように、衝突の予測時を基準として、拘束手段の作動制御を行っているわけではない。すなわち、本発明は、乗員を拘束保護すべき衝突時を基準として制御を行うことにより、衝突時に備えて乗員を好適に拘束保護することができる。従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1は、車両の衝突を予測するためのレーダ(検知手段)10と、車両の衝突を検知するための加速度計(検知手段)20とを備えている。また、車両用乗員保護装置1は、乗員を拘束保護する拘束部(拘束手段)30を備えている。
レーダ10は、図1に示すように、車両前方に設置されるものである。また、加速度計20は、車両前後方向に加わる加速度を検出するものである。なお、レーダ10は、車両前方位置に限らず、例えば車両側方や後方に設置されていてもよい。また、加速度計20は、車両前後方向に限らず、車両横方向等の種々の方向に加わる加速度を検出できるようにしてもよい。
拘束部30は、可逆的に乗員を拘束するニーボルスタ(可逆拘束手段)31及びモータ駆動リトラクタ(可逆拘束手段)32、並びに非可逆的に乗員を拘束するエアバッグ(非可逆拘束手段)33及び火薬式リトラクタ(非可逆拘束手段)34を有している。すなわち、拘束部30は、可逆的又は非可逆的に乗員を拘束する2種類の拘束機構を、それぞれ複数有していることとなる。
さらに、車両用乗員保護装置1は、上記レーダ10及び加速度計20からの信号に基づいて拘束部30の作動を制御するコントロールユニット(制御手段)40を備えている。このコントロールユニット40は、上記レーダ10及び加速度計20から信号を入力し、衝突予測判断や衝突検出判断を行うものである。また、コントロールユニット40は、上記ニーボルスタ31、モータ駆動リトラクタ32、エアバッグ33及び火薬式リトラクタ34それぞれの駆動部(図示せず)に信号を出力し、これらの作動制御を行うものである。
次に、上記した各要素について図2〜5を参照して詳細に説明する。図2は、図1に示したコントロールユニット40の機能ブロック図である。同図に示すように、コントロールユニット40は、衝突予測判断部41、衝突検出判断部42、作動タイミング判断部43、及び複数の駆動指令部44a〜44dを備えている。
衝突予測判断部41は、レーダ10から信号を入力して衝突を予測判断するものである。すなわち、衝突予測判断部41は、レーダ10から信号に基づいて、衝突が発生し得るか否かを判断するものである。また、衝突検出判断部42は、加速度計20から信号を入力して衝突を検出判断するもの、すなわち加速度計20から信号に基づいて衝突が発生したか否かを判断するものである。
作動タイミング判断部43は、衝突予測判断部41及び衝突検出判断部42の判断結果に基づいて、ニーボルスタ31、モータ駆動リトラクタ32、エアバッグ33及び火薬式リトラクタ34の作動タイミングを判断するものである。また、各駆動指令部44a〜44dは、ニーボルスタ31、モータ駆動リトラクタ32、エアバッグ33及び火薬式リトラクタ34を作動させるべく、駆動指令を行うものである。
具体的に作動タイミング判断部43は、各拘束機構31〜34を作動させるべきタイミングを判断し、この判断したタイミングを作動タイミングとして決定するものである。また、作動タイミング判断部43は、決定した作動タイミングで各拘束機構31〜34を作動させるように、各駆動指令部44a〜44dに作動タイミングの情報を提供するものである。
また、具体的に各駆動指令部44a〜44dは、作動タイミング判断部43から提供された作動タイミングの情報に従って、各拘束機構31〜34の駆動部に駆動指令を行い、各拘束機構31〜34を作動させるものである。
次に、各拘束機構31〜34の詳細構成について説明する。図3は、モータ駆動リトラクタ32の詳細構成図である。モータ駆動リトラクタ32は、モータ32a、減速ギア32b及び遊星ギア32cが、一般的なリトラクタに付加された構成となっている。
モータ32aは、シートベルトの巻取りトルクを発生させるものであり、発生させたトルクを減速ギア32bに伝えるようになっている。減速ギア32bは、モータ32aからのトルクを減速して遊星ギア32cに伝達するようになっている。遊星ギア32cは、減速されたトルクをリール32dに伝えることで、シートベルトの巻取りを行うようになっている。
このように構成されるため、モータ駆動リトラクタ32は、モータ32aの非作動時において、ロックギア32e及びメカロック機構32fによりシートベルトの引き出しを阻止するという通常のリトラクタとして作動する。一方、モータ駆動リトラクタ32は、モータ32aの作動時において、モータ32aのトルクを減速ギア32b及び遊星ギア32cを解してリール32dに伝達し、シートベルトを巻き取ることとなる。
図4は、ニーボルスタ31の詳細構成図であり、(a)は全体を示し、(b)は要部を示している。ニーボルスタ31は、図4(a)に示すように、乗員の膝部前方のインテリアパネル内に設けられるモータ31a、ギア31b、及びシリンダ31cを有している。モータ31aは、ニーボルスタ31を作動させるべくトルクを発生させ、そのトルクをギア31bに伝えるようになっている。ギア31bは、図4(b)に示すように、回転方向の動きを直線方向の動きに変え、その動きをシリンダ31cへ伝達するように構成されている。また、シリンダ31cは、ギヤ31bを介して伝達されるモータ31aの動きに応じて伸縮自在に動作して、インテリアパネルを乗員側へ突出させたり、引き込んだりするものである。
このように構成されるため、ニーボルスタ31は、車両衝突時等にモータ31aが作動して、インテリアパネル表面を乗員側に突出させる。この結果、ニーボルスタ31は、衝突時等に、パネル表面にて乗員の膝部を抑えて、乗員の前方移動を抑制することとなる。一方、ニーボルスタ31は、衝突等の終了後にパネル表面を引き込むこととなる。
また、エアバッグ33は、発火材及び袋体等により構成されるものである。このエアバッグ33は、衝突時等に発火材を発火させて、生じたガスを袋体に流入させることにより、袋体を展開するようになっている。これにより、エアバッグ33は、図1に示すように、乗員の上半身がハンドルに近づきすぎないように乗員を拘束することとなる。
火薬式リトラクタ34は、シートベルトを瞬時に巻き取るように構成されている。この火薬式リトラクタ34は、衝突時等に火薬を爆発させて、生じた爆発力により、シートベルトをリトラクタに巻き取るようになっている。これにより、火薬式リトラクタ34は、図1に示すように、乗員の上半身を車両後方へ引き起こすように乗員を拘束することとなる。
次に、レーダ10について詳細に説明する。図5は、レーダ10の作動を示す説明図である。同図に示すように、レーダ10は、車両前方に取り付けられ、電波を照射するようになっている。また、レーダ10は、障害物等が車両前方に存在する場合、障害物等にて反射して戻ってくる反射波を受信するようになっている。また、レーダ10は、照射波及び反射波を送受信した時刻をコントロールユニット40の衝突予測判断部41に伝えるものである。
これにより、衝突予測判断部41は、照射波及び反射波を送受信した時刻に基づき、障害物等までの距離を推定することとなる。また、衝突予測判断部41は、距離が推定されると、その距離を時間微分して障害物との相対速度を求めることとなる。さらに、衝突予測判断部41は、上記距離と相対速度とから演算により、衝突までの時間を求めることができる。なお、上記の相対速度は時間微分に限らず、ドップラー効果を利用して測定することも可能である。
次に、加速度計20について詳細に説明する。加速度計20は、車両前後方向に加わる加速度を計測するものである。そして、計測により得られた加速度の情報をコントロールユニット40の衝突検出判断部42に伝えるようになっている。これにより、衝突検出判断部42は、送られてきた加速度と予め記憶される閾値Th1とを比較して、衝突が発生したか否かを判断することとなる。
次に、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1の動作を説明する。図6は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1の動作の一例を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、イグニッションスイッチがオンされて本装置1が起動すると、レーダ10は電波の照射を開始し、加速度計20は加速度の検出を開始する。その後、衝突予測判断部41は、照射波及び反射波について送受信の時刻情報をレーダ10から入力する(ST10)。
次いで、衝突予測判断部41は、入力した情報に基づいて衝突の予測判断を行う(ST11)。すなわち、衝突予測判断部41は、衝突が発生し得るか否かを判断することとなる。
判断後、衝突検出判断部42は、加速度の情報を加速度計20から入力する(ST12)。その後、衝突検出判断部42は、衝突が発生したか否かを判断する(ST13)。そして、衝突予測判断部41及び衝突検出判断部42は、判断結果等の情報を作動タイミング判断部43に出力する。
そして、作動タイミング判断部43は、各拘束機構31〜34の作動タイミングを判断すべく、作動タイミング判断処理を実行する(ST14)。その後、各駆動指令部44a〜44dは、作動タイミング判断部43により判断された作動タイミングで、各拘束機構31〜34を作動させるべく、駆動指令を行う(ST15)。
指令後、コントロールユニット40は、イグニッションスイッチがオフされたか否かを判断する(ST16)。ここで、イグニッションスイッチがオフされていないと判断した場合(ST16:NO)、処理はステップST10に戻ることとなる。一方、イグニッションスイッチがオフされたと判断した場合(ST16:YES)、処理は終了する。
図7は、図6に示した作動タイミング判断処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、まず作動タイミング判断部43は、衝突が予測されたか否かを判断する(ST20)。すなわち、作動タイミング判断部43は、衝突予測判断部41からの判断結果が衝突の可能性有りとするものか否かを判断することとなる。
ここで、衝突予測判断部41により衝突が予測されていた場合(ST20:YES)、作動タイミング判断部43は、衝突の「1.0秒前」であるか否かを判断する(ST21)。衝突の「1.0秒前」に該当しないと判断した場合(ST21:NO)、図7に示す処理は終了し、上記した図6のステップST16の処理に戻ることとなる。
一方、衝突の「1.0秒前」であると判断した場合(ST21:YES)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動すべきと判断する(ST22)。そして、その情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与える。これにより、図6に示したステップST16において駆動指令が行われ、ニーボルスタ31は作動させられることとなる。
以上から明らかなように、作動タイミング判断部43は、衝突予測がなされたとしても衝突時を基準として「1.0秒前」に該当しない場合には、処理を終了させてしまっている。すなわち、ニーボルスタ31は、衝突予測がなされたことにより作動するものではなく、衝突時を基準として衝突までの時間が「1.0秒前」に該当するか否かによって作動を制御されていることとなる。
ニーボルスタ31の作動決定後、作動タイミング判断部43は、衝突の「0.5秒前」であるか否かを判断する(ST23)。衝突の「0.5秒前」に該当しないと判断した場合(ST23:NO)、図7に示す処理は終了し、上記した図6のステップST16の処理に戻ることとなる。
一方、衝突の「0.5秒前」であると判断した場合(ST23:YES)、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動すべきと判断する(ST24)。そして、その情報をモータ駆動リトラクタ駆動指令部44aに与える。これにより、図6に示したステップST16において駆動指令が行われ、モータ駆動リトラクタ32は作動させられることとなる。
以上から明らかなように、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31と同様に、衝突時を基準として衝突までの時間が「0.5秒前」に該当するか否かによって作動を制御されていることとなる。
モータ駆動リトラクタ32の作動決定後、作動タイミング判断部43は、衝突が検知されたか否かを判断する(ST25)。すなわち、作動タイミング判断部43は、衝突検出判断部42からの判断結果が衝突発生を示すものか否かを判断することとなる。
ここで、衝突検出判断部42により衝突が発生していないと判断されていた場合(ST25:NO)、図7に示す処理は終了し、上記した図6のステップST16の処理に戻ることとなる。一方、衝突検出判断部42により衝突が発生していたと判断されていた場合(ST25:YES)、作動タイミング判断部43は、火薬式リトラクタ34を作動させるべき旨の情報を、火薬式リトラクタ駆動指令部44cに与える(ST26)。これにより、図6に示したステップST16において駆動指令が行われ、火薬式リトラクタ34は作動することとなる。
次いで、作動タイミング判断部43は、エアバッグ33についても火薬式リトラクタ34と同様に、作動させるべき旨の情報を与え(ST27)、エアバッグ33を作動させる。その後、図7に示す処理は終了し、処理は図6に示すステップST16に移行する。
ところで、衝突予測判断部41により衝突が予測されていなかったと判断した場合(ST20:NO)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31の作動を解除する(ST28)。すなわち、作動タイミング判断部43は、作動を解除すべき旨の情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与える。これにより、ニーボルスタ31の作動は解除されることとなる。
ニーボルスタ31の作動解除後、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32についても同様に作動を解除させる(ST29)。その後、図7に示す処理は終了し、処理は図6に示すステップST16に移行する。
ここで、図7から明らかなように、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33は、衝突が検知されることにより、作動が開始する。すなわち、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33は、衝突時を基準として、具体的には衝突時点に基づいて制御が行われている。このように、各拘束機構31〜34のすべてが衝突時を基準として制御されているため、作動タイミングが適切なものとなり乗員を的確に保護することとなる。
なお、各拘束機構31〜34の駆動部は以下のように動作する。図8は、各拘束機構31〜34の詳細動作の一例を示すフローチャートである。なお、図8においては、ニーボルスタ31の駆動部を例に説明するが、他の拘束機構32〜34についても同様である。
同図に示すように、ニーボルスタ31の駆動部は作動信号がオンか否かを判断する(ST30)。すなわち、駆動部は、ニーボルスタ駆動指令部44bから駆動指令があったか否かを判断すると共に、ニーボルスタ駆動指令部44bから解除の指令があったか否かを判断する。そして、駆動指令があり且つ解除指令がない場合、駆動部は作動信号がオンであると判断する。逆に、駆動指令がなく又は解除指令があった場合には、駆動部は作動信号がオンでないと判断する。
ここで、作動信号がオンでないと判断した場合(ST30:NO)、駆動部はカウンタの値を「0」とする(ST31)。そして、処理はステップST30に戻る。すなわち、駆動部は、作動信号がオンでないと判断する限り、カウンタの値を「0」で維持し続けることとなる。
一方、作動信号がオンであると判断した場合(ST30:NO)、駆動部はカウンタの値が予め定めた閾値Th2によりも小さいか否かを判断する(ST32)。カウンタの値が予め定めた閾値Th2よりも小さいと判断した場合(ST32:YES)、駆動部はニーボルスタ31の作動を開始させる(ST33)。また、既に作動している場合、駆動部はニーボルスタ31の作動を継続することとなる。
そして、駆動部は、カウンタの値をインクリメントする(ST34)。そして、処理はステップST30に戻る。その後、上記の処理を繰り返し、カウンタの値が予め定めた閾値Th2以上となったとする。この場合、駆動部は、カウンタの値が予め定めた閾値Th2よりも小さいものでないと判断し(ST32:NO)、ニーボルスタ31の作動を停止させる(ST35)。そして、処理はステップST30に戻ることとなる。
以上のようにして、ニーボルスタ31は動作し、乗員を拘束保護することとなる。なお、上記したように、他の拘束機構32〜34も同様に動作し、乗員を拘束保護する。
ここで、図6の衝突予測判断(ステップST11)は以下のような基準のもとに行われている。図9は、図6に示した衝突予測判断(ステップST11)についての説明図であり、(a)は車間距離と相対車速との関係を示すグラフであり、(b)は衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との関係を示すグラフである。なお、図9(a)において縦軸は車間距離〔m〕を示し、横軸は相対車速〔km/m〕を示している。また、図9(b)において縦軸は衝突を回避するのに必要な時間〔sec〕を示し、横軸は相対車速〔km/m〕を示している。
まず、車両が衝突しようとしている場合、乗員は、急制動により衝突を回避するか、又は急旋回により衝突を回避する。ここで、相対車速が低い場合(例えば40km/h以下の場合)には、急制動による方が急操舵よりも回避に要する車間距離が小さくなる傾向にある。このため、急制動にて衝突を回避できない場合は、急操舵であっても衝突を回避できないこととなる。従って、衝突予測判断部41は、回避に要する車間距離が小さい方である急制動を基準にして、衝突予測判断を行う。
具体的に、相対車速40km/h以下の場合、急制動にて回避に要する車間距離は、図9(a)の実線で示すように、2次曲線的なものとして表すことができる。そして、この2次曲線を、衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との相関関係に表すと、図9(b)に示すように比例的なものとなる。
故に、衝突予測判断部41は、相対車速40km/h以下の場合、図9(a)にて二次曲線的に示される車間距離に基づいて、衝突発生を予測する。また、衝突予測判断部41は、図9(b)にて比例的に示される時間に基づいて、衝突発生を予測する。
一方、相対車速が高い場合(例えば40km/hを超えるの場合)には、急操舵による方が急制動よりも回避するのに要する車間距離が小さくなる傾向にある。このため、衝突予測判断部41は、急旋回を基準にして、衝突予測判断を行う。
具体的に、相対車速40km/hを超える場合、急旋回にて回避に要する車間距離は、図9(a)の実線で示すように、比例的なものとして表すことができる。そして、この比例直線を、衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との相関関係に表すと、図9(b)に示すように比例的なものとなる。そして、これを、衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との相関関係に表すと、図9(b)のように一定の値を示すものとなる。
故に、衝突予測判断部41は、相対車速40km/hを超える場合、図9(a)にて比例的に示される車間距離に基づいて、衝突発生を予測する。また、衝突予測判断部41は、図9(b)にて二次曲線的に示される時間に基づいて、衝突発生を予測する。
例えば、相対車速40km/hを超える場合、衝突までの時間が約0.58secを切った段階で、衝突予測判断部41は、衝突を予測することとなる。
次に、可逆拘束機構31,32の作動を図7に示すフローチャートのように設定した理由を説明する。図10は、各拘束機構31〜34の作動開始時を示す説明図である。先に説明した図7では、ステップST21,ST23に示すように、ニーボルスタ31が先に作動し、その後モータ駆動リトラクタ32が作動していた。これは、以下の理由によるものである。
まず、ニーボルスタ31は、平常時においてインテリアに格納されている。このため、乗員はニーボルスタの存在を意識することはない。しかも、ニーボルスタ31は、作動したとしても乗員に接触しないようになっている。例えば、図4に示すように、乗員が前方に移動したならば接触するが、そうでない場合には乗員の膝部手前で停止し、接触しないようになっている。故に、ニーボルスタ31は乗員の触感感度が低いものであるといえる。
一方、シートベルトは、平常時から乗員の体に接している。このため、乗員は、シートベルトを引き込むと、シートベルトの引き込みを知覚し易いこととなる。よって、モータ駆動リトラクタ32は、ニーボルスタ31よりも乗員の触感感度が高いものであるといえる。
ここで、仮に触感感度が低いものから順に作動させるとすると、衝突が回避できた場合には、乗員に与える違和感を最小限に抑えることができる。例示すると、衝突が予測され且つ衝突の「1.0秒前」であると判断されると、図10に示すように、ニーボルスタ31が作動する。ここで、ニーボルスタ31の作動後、車両の衝突を回避できたとする。このとき、作動させたものがニーボルスタ31のみであるため、先にモータ駆動リトラクタ32を作動させる場合よりも、乗員に与える違和感を抑制することができる。
このため、図7では、ステップST21,ST23に示すように、まずニーボルスタ31を先に作動させ、その後モータ駆動リトラクタ32を作動させている。
なお、エアバッグ33及び火薬式リトラクタ34は衝突時に作動するものであり、素早く乗員を拘束保護するものであるから、触感過度はニーボルスタ31やモータ駆動リトラクタ32よりも高くなっている。
また、ニーボルスタ31が先に作動し、その後モータ駆動リトラクタ32が作動する理由は、上記の他に以下の理由にもよる。すなわち、ニーボルスタ31は、平常時にインテリアに格納されているため、乗員はニーボルスタ31の存在を意識することがない。このため、素早く作動をさせ異音等が発生してしまうと、普段意識することが無い分だけ、乗員は一層不快に感じてしまう。このため、ニーボルスタ31は、できるだけ異音が発生しないように、作動速度を遅くせざるを得ない。
一方、シートベルトは、平常時から乗員の体に接している。このため、乗員は、或る程度シートベルトの存在を意識しており、シートベルトを引き込んで乗員を拘束したとしても、普段意識している分だけ、不快感の増分は少ない。このように不快違の増分が少ないため、作動速度を速くしても支障が少ない。
ところが、可逆拘束機構31,32による拘束は衝突時に備えて行われるものであり、作動速度が遅いニーボルスタ31を衝突直前などに作動させてしまうと、衝突に間に合わない可能性がある。そこで、図7では、ステップST21,ST23に示すように、モータ駆動リトラクタ32よりも先に、ニーボルスタ31を作動させている。すなわち、動作速度が遅いものから順に作動させることで、不快感が少なく且つ衝突時に好適な拘束を行うようにしている。
なお、エアバッグ33及び火薬式リトラクタ34は衝突時に作動するものであり、動作速度はニーボルスタ31やモータ駆動リトラクタ32よりも速くなっている。
このようにして、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1によれば、衝突時を基準として各拘束機構31〜34の作動制御を行っている。このため、従来のように、衝突の予測時を基準として、拘束機構の作動制御を行っているわけではない。すなわち、本実施形態は、乗員を拘束保護すべき衝突時を基準として制御を行うことにより、衝突時に備えて乗員を好適に拘束保護することができる。従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
また、衝突時を基準として各拘束機構31〜34を制御するに当たり、衝突時点及び衝突までの時間に基づいて制御を行っている。特に、衝突までの時間に基づいて作動制御を行っている。このため、例えば拘束機構31〜34を作動させてから作動完了までに要する時間と、衝突までの時間とを考慮することにより、衝突時に拘束機構31〜34による保護が間に合わないという事態を防止することができる。従って、好適に乗員を拘束保護することができる。
また、衝突時点及び衝突までの時間をレーダ10や加速度計20からの信号に基づいて求めている。このため、既存の車両に搭載されるレーダや加速度計を利用して、衝突時点及び衝突までの時間を求めることができ、構成を簡素化することができる。
また、複数の可逆拘束機構31,32と複数の非可逆拘束機構33,34とを動作速度が遅いものから順に作動させている。このため、動作速度が遅い拘束機構については、早めに作動させられることとなり、衝突に間に合わなくなるという可能性を減じることができる。また、もともと動作速度が遅いものを無理に速く動作させると、乗員に強く意識させることとなり、不快感を与えてしまうが、そのような問題も生じ得ない。従って、不快感が少なく且つ衝突時に好適な拘束を行うことができる。
また、複数の可逆拘束機構31,32と複数の非可逆拘束機構33,34とを触感感度が低いものから順に作動させている。このため、例えば、車両衝突の予測後に、衝突を回避した場合には、触感感度が低い拘束機構のみが作動することとなり、触感感度が高い拘束機構の作動が行われないこととなる。従って、乗員に与える違和感を抑制することができる。
また、可逆拘束機構31,32と非可逆拘束機構33,34とを可逆、非可逆の順で作動させつつ、複数の可逆拘束機構31,32については、衝突時を基準とした順番で順次作動させている。すなわち、本装置1は、従来と同様に、可逆、非可逆の順で拘束機構を作動させているが、可逆拘束機構31,32については、乗員を拘束保護すべき衝突時を基準として制御を行っている。このため、可逆拘束機構31,32については衝突時に備えて好適に乗員を拘束保護することができる。
また、非可逆拘束機構33,34により乗員を拘束保護する前段階において、可逆拘束機構31,32を好適に作動させるので、非可逆拘束機能33,34についても好適に乗員を拘束することができる。例えば、可逆拘束機構31,32による拘束が衝突に間に合わなかった場合など、乗員の身体は大きく前方に移動している可能性がある。このような場合に、エアバッグ33や火薬式リトラクタ34を作動させると、乗員を急に後方へと引き込むなどすることとなり、乗員に与える不快感が大きくなる。ところが、可逆拘束機構31,32は衝突時に備えて好適に作動するため、このような問題が生じず、非可逆拘束機構33,34にて乗員を好適に拘束保護することができる。
従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
なお、本実施形態において各拘束機構の作動順は、図6のフローチャートに示すように、或る決まったものであるが、或る特定の順番に決めておかなくともよく、変更可能である。変更の一例としては、触感感度に基づく順番と動作速度に基づく順番とが相違している場合があげられる。この場合、例えば衝突の可能性が高いときに、動作速度に基づく順番で各拘束機構31〜34を作動させ、衝突の可能性が低いときに、触感感度に基づく順番で各拘束機構31〜34を作動させるようにしてもよい。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る車両用乗員保護装置2は、第1実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が第1実施形態のものと一部異なっている。
以下、第1実施形態との相違点について説明する。図11は、第2実施形態に係る車両用乗員保護装置2の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図11のフローチャートは、図6に示した作動タイミング判断処理(ステップST14)の一例を示すものである。また、同図に示すステップST40,ST41,ST49〜ST52は、図7に示すステップST20,ST21,ST26〜ST29と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態に係る車両用乗員保護装置2は、ニーボルスタ31の作動前、モータ駆動リトラクタ32の作動前、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33の作動前に、それぞれ第1実施形態には行われていなかった判断処理が追加されている。すなわち、作動タイミング判断部43は、衝突の「1.0秒前」であると判断した場合(ST41:YES)、障害物に対する自車両の相対車速が「30km」以上か否かを判断する(ST42)。
ここで、相対車速が「30km」以上でないと判断した場合(ST42:NO)、処理は図6に示したステップST16に移行する。一方、相対車速が「30km」以上でないと判断した場合(ST42:YES)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動すべきと判断する(ST43)。そして、その情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与える。これにより、後の処理である図6のステップST16において駆動指令が行われ、ニーボルスタ31は作動させられることとなる。
ニーボルスタ31の作動決定後、作動タイミング判断部43は、衝突の「0.5秒前」であるか否かを判断し(ST44)、衝突の「0.5秒前」であると判断した場合には(ST44:YES)、障害物との相対車速が「20km」以上であるか否かを判断する(ST45)。
ここで、相対車速が「20km」以上でないと判断した場合(ST45:NO)、処理は図6に示したステップST16に移行する。一方、相対車速が「20km」以上であると判断した場合(ST45:YES)、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動すべきと判断する(ST46)。そして、その情報をモータ駆動リトラクタ駆動指令部44aに与える。これにより、後の処理である図6のステップST16において駆動指令が行われ、モータ駆動リトラクタ32は作動させられることとなる。
モータ駆動リトラクタ32の作動決定後、作動タイミング判断部43は、衝突検出判断部42により衝突が検知されていたか否かを判断する(ST47)。そして、作動タイミング判断部43は、衝突が発生したと判断されていた場合(ST47:YES)、障害物との相対車速が「40km」以上であるか否かを判断する(ST48)。
ここで、相対車速が「40km」以上でないと判断した場合(ST48:NO)、処理は図6に示したステップST16に移行する。一方、相対車速が「40km」以上であると判断した場合(ST48:YES)、作動タイミング判断部43は、上記ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32の場合と同様に、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させる(ST49,ST50)。その後、図7に示す処理は終了し、処理は図6に示すステップST16に移行する。
このように、本実施形態では、各拘束機構31〜34を作動させるに当たり、障害物に対する自車両の相対速度を求め、相対速度に応じて作動させるか否かを決定している。すなわち、相対車速から明らかに衝撃が小さく、乗員拘束不要と判断できる場合には作動させないようにしている。
図12は、車両用乗員保護装置2における作動条件の一覧を示す説明図である。図11を参照して説明した内容をまとめると図12に示すようになる。すなわち、図12に示すように、障害物との相対車速が「20km」未満である場合には、いずれの拘束機構31〜34についても作動しないこととなる。
また、障害物との相対車速が「20km」以上「30km」未満である場合には、モータ駆動リトラクタ32のみが作動することとなり、障害物との相対車速が「30km」以上「40km」未満である場合には、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32のみが作動することとなる。そして、障害物との相対車速が「40km」以上ある場合に、すべての拘束機構31〜34が作動することとなる。
このようにする理由は、障害物との相対速度が低ければ衝突エネルギーが小さいので、すべての拘束手段を作動させる必要がないからである。なお、乗員を拘束保護する効果が最も高いものがシートベルトであるため、本実施形態では、最も低速でモータ駆動リトラクタ32が作動するようにしている。そして、モータ駆動リトラクタ32による保護だけでは、充分でない場合に、ニーボルスタ31を作動させ、上半身から下半身に至る全身の拘束を行っている。
さらに、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32による拘束だけでは、充分でない場合に、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させるようにしている。そして、衝突エネルギーに合わせた拘束を行うことにより、乗員拘束効果を十分発揮しつつ、作動の必要がない条件では作動を行わないようにしている。また、衝突エネルギーが小さいにも関わらず、拘束機構31〜34を作動させてしまうことを防止することにより、乗員に対し各拘束機構31〜34の作動を不必要に意識させず、且つ作動に要するエネルギーを節約している。
このようにして、本実施形態に係る車両用乗員保護装置2によれば、第1実施形態と同様に、乗員保護性能について向上を図ることができる。また、好適に乗員を拘束保護することができ、構成を簡素化することができる。
また、不快感が少なく且つ衝突時に好適な拘束を行うことができ、乗員に与える違和感を抑制することができる。
さらに、本実施形態に係る車両用乗員保護装置2によれば、障害物に対する自車両の相対速度に応じて、可逆拘束機構31,32と非可逆拘束機構33,34との作動を制御している。このため、例えば、障害物との相対速度が低ければ衝突エネルギーが小さくなるので、すべての拘束機構31〜34を作動させず、必要な拘束機構31〜34のみを作動させることができる。そして、各拘束機構31〜34のうち一部又は全部を作動させないようにすることで、乗員拘束効果を十分発揮しつつ、乗員に対し各拘束機構31〜34の作動を不必要に意識させないようにすることができる。また、作動に要するエネルギーを節約することができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る車両用乗員保護装置3は、第1実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が、第1実施形態のものと一部異なっている。
本実施形態に係る車両用乗員保護装置3は、レーダ10や加速度計20からの信号により、可逆拘束機構31,32と非可逆拘束機構33,34とについて作動優先度を変更するようにしている。ここで、作動優先度とは、各拘束機構31〜34の作動の可否、及び作動タイミングを決定するためのものである。具体的に、作動優先度を高くすると作動タイミングは早くなり、作動優先度を小さくすると作動タイミングは遅くなる。また、作動優先度を「0」とすると作動は行われなくなる。一例を挙げると、第1実施形態の場合、作動優先度は、ニーボルスタ31、モータ駆動リトラクタ32、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33の順で高くなっている。
以下、第1実施形態との相違点について説明する。図13は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置3の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図13のフローチャートは、図6に示した作動タイミング判断処理(ステップST14)の一例を示すものである。
まず、同図に示すステップST60〜ST67及びステップST72,ST73は、図7に示すステップST20〜ST27及びステップST28,ST29と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態に係る車両用乗員保護装置3は、図7に示したフローチャートに加え、衝突を予測できずに車両の衝突が検出された場合の処理、すなわちステップST68〜ST71の処理が追加されている。
以下、具体的に説明すると、まず、作動タイミング判断部43は、衝突予測判断部41により衝突が予測されていたか否かを判断する(ST60)。そして、作動タイミング判断部43は、衝突が予測されていなかったと判断した場合(ST60:NO)、衝突検出判断部42により衝突が検知されていたか否かを判断する(ST68)。
ここで、衝突検出判断部42により衝突が発生したと判断されていた場合(ST68:YES)、作動タイミング判断部43は、火薬式リトラクタ34を作動させるべき旨の情報を、火薬式リトラクタ駆動指令部44cに与える(ST69)。これにより、図6に示したステップST16において駆動指令が行われ、火薬式リトラクタ34は作動することとなる。
次いで、作動タイミング判断部43は、エアバッグ33についても火薬式リトラクタ34と同様に、作動させるべき旨の情報を与え(ST70)、エアバッグ33を作動させることとする。その後、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31についても同様に、作動させるべき旨の情報を与え(ST71)、ニーボルスタ31を作動させることとする。そして、図13に示す処理は終了し、処理は図6に示すステップST16に移行することとなる。
このように、衝突が予測されていないにも関わらず、衝突が検知されてしまった場合、すなわち、非常時には、まず非可逆拘束機構33,34を作動させ、その後可逆拘束機構を作動させるようにしている。つまり、衝突が発生しているため、まず非可逆拘束機構33,34を作動させて早期に乗員を拘束保護し、その後、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33では拘束し切れない下半身を、ニーボルスタ31にて拘束するようにしている。
また、衝突予測の後に衝突検知された場合(常時)には、図8と同様の処理が行われる。すなわち、可逆拘束機構31,32を非可逆拘束機構33,34より優先的に作動させることとなる。一方、本実施形態のように、衝突予測されずに衝突検知された場合(非常時)には非可逆拘束機構33,34を可逆拘束機構31,32より優先的に作動させるようにしている。これにより、本実施形態では、衝突の予測ができずに衝突が検知された場合、動作速度の速い非可逆拘束機構を優先的に作動させて早期に乗員を拘束できるようにし、且つ可逆拘束機構31にて補完的に乗員を拘束するようにしている。すなわち、本実施形態では、非常時に、可逆拘束機構31,32の作動優先度を非可逆拘束機構の作動優先度よりも低くして作動制御することで、乗員保護性能を向上させている。
具体的には、ニーボルスタ31の作動優先度をエアバッグ33の作動優先度よりも低くすると共に、モータ駆動リトラクタ32の作動優先度を「0」とすることで、乗員保護性能を向上させている。なお、モータ駆動リトラクタ32の作動優先度を「0」とするのは、火薬式リトラクタ34による保護が行われている状態で、モータ駆動リトラクタ32を作動させてもシートベルトを引き込むことができないからである。また、モータ駆動リトラクタ32を作動させて電力を不要に消費してしまうことを防止するためである。
このようにして、本実施形態に係る車両用乗員保護装置3によれば、第1実施形態と同様に、乗員保護性能について向上を図ることができる。また、好適に乗員を拘束保護することができ、構成を簡素化することができる。
また、不快感が少なく且つ衝突時に好適な拘束を行うことができ、乗員に与える違和感を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、レーダ10及び加速度計20からの信号に応じて作動優先度を変更している。このため、レーダ10及び加速度計20からの信号に応じて、各拘束機構31〜34を作動させるか否か、及び作動タイミングをどのようにするかを決定することが可能となる。これにより、レーダ10及び加速度計20からの信号によって推測される車両の状況に応じて、作動の可否及び作動タイミングを適切にすることが可能となり、好適な乗員拘束を行うことが可能となる。従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
可逆及び非可逆の拘束機構31〜34を複数有し、これらのうち2つの作動優先度を変更している。具体的には、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32の作動優先度を変更している。このように、可逆及び非可逆の拘束機構31〜34を複数有する場合であっても、それらの作動優先度を制御することで、複数の拘束機構31〜34を作動させるか否か、及び作動タイミングをどのようにするかを決定することが可能となる。これにより、作動の可否及び作動タイミングを適切にすることが可能となり、状況に応じて好適な乗員拘束を行うことが可能となる。従って、可逆及び非可逆の拘束機構31〜34を複数有する場合であっても、乗員保護性能について向上を図ることができる。
また、複数の可逆及び非可逆の拘束機構31〜34のうち、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32の作動優先度を変更している。このため、可逆拘束機構31,32についてのみ、作動の可否及び作動タイミングを適切なものとすることができる。
また、常時には可逆拘束機構31,32を優先的に作動させているので、従来と同様に、衝突を回避できた場合には、非可逆拘束機構33,34を作動させることなく、装置の利便性を向上させることができる。
また、非常時には非可逆拘束機構33,34を優先的に作動させているので、例えば、衝突予測されることなく衝突が検知された場合などに、即座に乗員を拘束保護することが可能となる。すなわち、非常時に状況に応じた好適な拘束ができることとなる。従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
さらに、非可逆、可逆の順で拘束機構31〜34を作動させている。このため、例えば、上記と同様に、衝突予測されることなく衝突が検知された場合などに、即座に乗員を拘束保護することが可能となる。すなわち、従来の方式に捕らわれることのない柔軟な制御が可能となり、一層好適に乗員を拘束保護することができる。なお、本実施形態においては、非可逆、可逆の順で拘束機構31〜34を作動させているが、可逆拘束機構31,32のみ、又は非可逆拘束機構33,34のみを作動させるようにしても、従来の方式に捕らわれることのない柔軟な制御を行うことができ、上記と同様の効果が得られる。また、非可逆、可逆、非可逆などの順番で作動させるようにしても、柔軟な制御を行うことができ、同様の効果が得られる。
また、第3実施形態では、衝突予測されることなく衝突検知された場合に、非常時として作動制御を行うようにしていたが、衝突予測された時点で、可逆拘束機構31,32の作動が間に合わない場合に、非常時として作動制御を行うようにしてもよい。すなわち、衝突予測時における衝突までの時間が拘束機構の作動に要する時間未満である場合には、非可逆拘束機構33,34を優先的に作動させるようにしてもよい。詳しく説明すると、例えば衝突予測された時点で、ニーボルスタ31の作動速度と衝突までの時間とを比較した結果、作動完了時には既に車両が衝突してしまっている場合には、非常時として非可逆拘束機構33,34を優先的に作動させるようにしてもよい。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係る車両用乗員保護装置4は、第3実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が、第3実施形態のものと一部異なっている。具体的に、第3実施形態では、衝突検知前に衝突予測されたか否かによって作動優先度を変更していたが、第4実施形態では、衝突形態に応じて作動優先度を変更している。また、第3実施形態では、可逆拘束機構31,32のみの作動優先度を変更していたが、第4実施形態では、非可逆拘束機構33,34のみの作動優先度を変更している。
以下、第3実施形態との相違点について説明する。図14は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置4の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図14のフローチャートは、図6に示した作動タイミング判断処理(ステップST14)の一例を示すものである。
まず、同図に示すステップST80〜ST85、ステップST89,ST90及びステップST91,ST92は、図13に示すステップST60〜ST65、ステップST66,ST67及びステップST72,ST73と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態に係る車両用乗員保護装置4は、図13に示したフローチャートのステップST68〜ST71の処理に代えて、衝突形態により作動優先度を変更する処理、すなわちステップST86〜ST88の処理が追加されている。
以下、具体的に説明すると、衝突検出判断部42により衝突が発生したと判断されていた場合(ST85:YES)、作動タイミング判断部43は、その衝突が2重衝突であるか否かを判断する(ST86)。
ここで、2重衝突であるか否かは、例えば、レーダ10からの信号によって判断できる。すなわち、過去において、レーダ10からの信号により2つの物体等との接近が確認され、所定期間内にその2つの物体等と衝突すると予測される場合には、2重衝突であると判断することができる。
2重衝突でないと判断した場合(ST86:NO)、作動タイミング判断部43は、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させるべき旨の情報を、火薬式リトラクタ駆動指令部44c及びエアバッグ駆動指令部44dに送信する(ST89,ST90)。そして、処理は、図6に示したステップST16に移行することとなる。すなわち、2重衝突でない場合には、1回の衝突と判断できるため、通常の通り、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させることとなる。
また、2重衝突であると判断した場合(ST86:YES)、作動タイミング判断部43は、その衝突が最初の衝突か否か判断する(ST87)。最初の衝突でないと判断した場合(ST87:NO)、作動タイミング判断部43は、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させるべき旨の情報を、火薬式リトラクタ駆動指令部44c及びエアバッグ駆動指令部44dに送信する(ST89,ST90)。そして、処理は、図6に示したステップST16に移行することとなる。すなわち、2重衝突であって最初の衝突でない場合とは、2回目の衝突と判断できるため、乗員を拘束保護すべく、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させることとなる。
一方、最初の衝突であると判断した場合(ST87:YES)、作動タイミング判断部43は、最初の衝突の衝撃が所定値を超えるものであるか否かを判断する(ST88)。
ここで、衝突の衝撃は、例えば加速度計20からの信号により判断することができる。すなわち、加速度計20からの信号が小さい場合には、衝撃は弱く、信号が大きい場合には、衝撃が強いといえる。従って、加速度計20からの信号と所定値とを比較することにより、ステップST88の判断を行うことができる。また、ステップST88の判断は、レーダ10からの信号によって行ってもよい。
最初の衝突の衝撃が所定値を超えるものであると判断した場合(ST88:YES)、上記と同様にしてステップST89,ST90の処理を行う。そして、処理は、図6に示したステップST16に移行することとなる。すなわち、2重衝突が予測されているものの、1回目の衝突が衝撃の強いものである場合には、乗員を拘束保護する必要性が高いため、火薬式リトラクタ34及びエアバッグ33を作動させることとなる。
また、最初の衝突の衝撃が所定値を超えるものでないと判断した場合(ST88:NO)、処理は図6に示したステップST16に移行することとなる。すなわち、2重衝突予測されている状態において、1回目の衝突が衝撃の弱いものである場合には、1回目の衝突時に非可逆拘束機構33,34を作動させないこととしている。つまり、1回目の衝突が衝撃の弱いものであるため、2回目の衝突時に非可逆拘束機構33,34を作動させた方が、乗員を好適に拘束保護することができるからである。
以上から明らかなように、2重衝突の1回目の衝撃が低い場合には、1回目の衝突時に非可逆拘束機構33,34を作動させないようにしている。すなわち、1回目の衝突時については、非可逆拘束機構33,34の作動優先度を「0」とすることで、好適な乗員拘束を行うことができる。
このようにして、本実施形態に係る車両用乗員保護装置4によれば、第3実施形態と同様に、乗員保護性能について向上を図ることができる。また、好適に乗員を拘束保護することができ、構成を簡素化することができる。
また、不快感が少なく且つ衝突時に好適な拘束を行うことができ、乗員に与える違和感を抑制することができる。
また、可逆及び非可逆の拘束機構31〜34を複数有する場合であっても、乗員保護性能について向上を図ることができる。また、多重衝突における1回目の衝突の場合などには、可逆拘束機構31,32のみを作動させるようにしているので、従来の方式に捕らわれることのない柔軟な制御を行うことができ、一層好適に乗員を拘束保護することができる。
さらに、本実施形態では、レーダ10が2重衝突を検知するので、コントロールユニット40は、衝突形態に応じて拘束機構31〜34を適切に制御することができる。従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
また、非可逆拘束機構33,34のみの作動優先度を変更するようにしているので、非可逆拘束機構33,34についてのみ、作動の可否及び作動タイミングを適切なものとすることができる。
なお、第3実施形態では常時と非常時とで制御を切り換えていたが、第4実施形態で常時と非常時との切り換え制御を行うようにしてもよい。この場合、例えば多重衝突が検知されなかったときに常時と規定し、可逆拘束機構31,32を優先的に作動させ、多重衝突が検知されたときに非常時とし、非可逆拘束機構33,34を優先的に作動させるようにしてもよい。これにより、第3実施形態と同様に、装置の利便性を向上させることができ、乗員保護性能について向上を図ることができる。
さらに、第3実施形態にて説明したように、衝突予測時における衝突までの時間が拘束機構の作動に要する時間以上である場合には、常時であるとして、可逆拘束機構31,32を優先的に作動させてもよい。これにより、可逆拘束機構31,32を優先的に作動させるべきタイミングで、不要に非可逆拘束機構33,34を作動させて、乗員に不快感を与えてしまうことがない。
また、衝突予測時における衝突までの時間が拘束機構の作動に要する時間未満である場合には、非常時として可逆拘束機構31,32を優先的に作動させてもよい。これにより、衝突までにがない状況であっても、非可逆拘束機構33,34により乗員を素早く拘束でき、乗員保護性能について向上を図ることができる。
なお、上記実施形態において、レーダ10は、2重衝突を検知できるものとして説明したが、2重以上の多重衝突について検知可能としてもよい。例えば、レーダ10は、車両前方に限らず、車両側方や後方に設置されることにより、多方向からの衝突を検知することが可能となる。
次に、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態に係る車両用乗員保護装置5は、第3実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が、第3実施形態のものと一部異なっている。具体的に、第3実施形態では、衝突検知前に衝突予測されたか否かによって作動優先度を変更していたが、第5実施形態では、障害物との相対速度に応じて作動優先度を変更している。さらに、第5実施形態では、作動優先度の他に可逆拘束機構32の作動速度についても変更している。
以下、第3実施形態との相違点について説明する。図15は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置5の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図15のフローチャートは、図6に示した作動タイミング判断処理(ステップST14)の一例を示すものである。
まず、同図に示すステップST112〜ST116は、図13に示すステップST65〜ST67、及びステップST72,ST73と同様であるため、説明を省略する。
以下、具体的に説明する。同図に示すように、まず作動タイミング判断部43は、衝突予測判断部41により衝突が予測されていたか否かを判断する(ST100)。ここで、衝突予測判断部41により衝突が予測されていた場合(ST100:YES)、障害物に対する自車両の相対速度が所定値を超えるか否かを判断する(ST101)。
所定値を超えると判断した場合(ST101:YES)、コントロールユニット40は、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を「高」に設定する(ST102)。その後、図13に示すST61〜ST67と同様の処理を行う。すなわち、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動させるべきタイミングか否かを判断するべく、衝突の「1.0秒前」であるか否かを判断する(ST103)。また、この後に、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動させるべきタイミングか否かを判断するべく、衝突の「0.5秒前」であるか否かを判断する(ST105)。そして、衝突が検知された場合には(ST105:YES)、非可逆拘束機構33,34を作動させると判断して(ST113,ST114)、処理は図6のステップST16に戻る。
ところで、障害物に対する自車両の相対速度が所定値を超えないと判断した場合(ST101:NO)、コントロールユニット40は、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を「低」に設定する(ST102)。すなわち、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を遅くすることとなる。
そして、作動タイミング判断部43は、衝突の「1.5秒前」であるか否かを判断する(ST108)。衝突の「1.5秒前」に該当しないと判断した場合(ST108:NO)、図15に示す処理は終了し、上記した図6のステップST16の処理に戻ることとなる。
一方、衝突の「1.5秒前」であると判断した場合(ST108:YES)、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動すべきと判断する(ST109)。そして、その情報をモータ駆動リトラクタ駆動指令部44aに与える。これにより、図6に示したステップST16において駆動指令が行われ、モータ駆動リトラクタ32は作動させられることとなる。
その後、作動タイミング判断部43は、衝突の「1.0秒前」であるか否かを判断する(ST110)。衝突の「1.0秒前」に該当しないと判断した場合(ST110:NO)、図15に示す処理は終了し、上記した図6のステップST16の処理に戻ることとなる。
一方、衝突の「1.0秒前」であると判断した場合(ST110:YES)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動すべきと判断する(ST111)。そして、その情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与える。これにより、図6に示したステップST16において駆動指令が行われ、ニーボルスタ31は作動させられることとなる。その後、処理はステップST112に移行し、上記と同様の処理が行われることとなる。
以上から明らかなように、作動タイミング判断部43は、障害物に対する自車両の相対速度が遅い場合には、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を遅くしている。
ここで、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を遅くすると、好適に乗員拘束を行うことができる。通常、障害物に対する自車両の相対速度が小さい場合、乗員が急制動を行ったとしても、乗員の前方移動量は少ない。このため、急速にシートベルトを引き込まず、徐々に引き込むようにしても充分に乗員の前方移動を抑制することができる。よって、障害物に対する自車両の相対速度が小さい場合に、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を遅くすることで、充分に乗員を拘束しつつ、乗員に与える不快感を少なくすることができる。
なお、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を遅くするためには、衝突時にモータ駆動リトラクタ32の作動が間に合うように、作動を早く開始する必要がある。このため、モータ駆動リトラクタ32についての作動優先度を高めることとしている。すなわち、本実施形態では、モータ駆動リトラクタ32についての作動優先度を高めることで、充分に乗員を拘束しつつ、乗員に与える不快感を少なくしているともいえる。
次に、第5実施形態に係る車両用乗員保護装置5の変形例を説明する。図15のフローチャートに示すように、モータ駆動リトラクタ32の作動速度は、相対速度が所定値を超えるか否かに基づいて2段階に変更されていた。ところが、2段階に限らず、図16に示すように、作動速度を連続的に変更するようにしてもよい。図16は、第5実施形態に係る車両用乗員保護装置5の変形例を示す説明図である。
同図には、モータ駆動リトラクタ32が作動までに要する時間(すなわち作動完了までの時間)が示されている。これに示すように、作動完了までの時間は、相対速度の上昇と共に減少するようにされている。また、相対速度が或る定数Cを超えると、その後相対速度が上昇したとしても一定となるようにされている。
ここで、モータ駆動リトラクタ32は、作動完了までの時間に応じた作動速度とされる。すなわち、衝突前又は衝突時に作動が完了するように、図16のグラフに基づいて、モータ駆動リトラクタ32の作動速度が決定されることとなる。これにより、モータ駆動リトラクタ32の作動速度が詳細に決定されることとなり、一層好適に乗員を拘束保護することとなる。なお、図16に示す時間にマージンを加え(作動完了までの時間)+αとし、作動速度を決定するようにしてもよい。
このようにして、本実施形態に係る車両用乗員保護装置5によれば、第3実施形態と同様に、乗員保護性能について向上を図ることができる。また、好適に乗員を拘束保護することができ、構成を簡素化することができる。
また、不快感が少なく且つ衝突時に好適な拘束を行うことができ、乗員に与える違和感を抑制することができる。
また、可逆及び非可逆の拘束機構31〜34を複数有する場合であっても、乗員保護性能について向上を図ることができる。可逆拘束機構31,32についてのみ、作動の可否及び作動タイミングを適切なものとすることができる。
さらに、本実施形態では、障害物に対する自車両の相対速度に基づいて、可逆拘束機構31,32の作動を制御している。ここで、例えば、通常、障害物に対する自車両の相対速度が小さい場合、乗員が急制動を行ったとしても、乗員の前方移動量は少ない。このため、急速にシートベルトを引き込まず、徐々に引き込むようにしても充分に乗員の前方移動を抑制することができる。よって、障害物に対する自車両の相対速度が小さい場合に、モータ駆動リトラクタ32の作動速度を遅くするなどの制御をすることで、充分に乗員を拘束しつつ、乗員に与える不快感を少なくすることができる。従って、乗員保護性能について向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、障害物に対する自車両の相対速度に応じて、可逆拘束機構31,32の作動優先度を変更するようにしたが、これに限らず、自車両の車速に基づいて可逆拘束機構31,32の作動優先度を変更するようにしてもよい。また、障害物に対する自車両の相対速度と、自車両の車速との高い方の値に応じて、可逆拘束機構31,32の作動優先度を変更するようにしてもよい。さらには、可逆拘束機構31,32に限らず、非可逆拘束機構33,34の作動優先度を変更するようにしてもよい。この場合であっても、自車両の車速に応じて、又は自車両の車速と障害物に対する自車両の相対速度との高い方の値に応じて、充分に乗員を拘束しつつ、乗員に与える不快感を少なくすることができ、乗員保護性能について向上を図ることができる。
また、本実施形態では、相対速度に基づいて各拘束機構31〜34を制御することで、好適な乗員拘束を行っているが、これは、相対速度に応じて、衝突時の乗員の前方移動量や、衝突前に急制動を行った場合の前方移動量が異なってくるからである。すなわち、乗員の前方移動量に併せて、各拘束機構31〜34を制御することで、好適な乗員拘束を行っている。このため、例えば、車両が衝突する衝突物の相違によっても、同様に前方移動量が異なってくる。例えば、同じ止まっているものであっても、衝突物が電柱である場合には衝撃が大きいため前方移動量は大きくなる。一方、障害物が車両である場合には車体が衝撃を吸収することから衝撃が小さくなるため、前方移動量は小さくなる。
従って、レーダ10に衝突物が何である判別する機能を付加することにより、相対速度に応じて制御する場合と同様に、適切な乗員拘束を行うことができ、乗員保護性能について向上を図ることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各実施形態を組み合わせてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態では、可逆拘束機構31,32と非可逆拘束機構33,34とを可逆、非可逆の順で作動させつつ、複数の可逆拘束機構31,32について、衝突時を基準とした順番で順次作動させる例を説明した。しかし、これに限らず、例えば、可逆、非可逆の順で作動させつつ、複数の非可逆拘束機構33,34について、衝突時を基準とした順番で順次作動させるようにしてもよい。
一例としては、衝突時にエアバッグ33を作動させ、衝突して乗員の身体が座席に当たり跳ね返るであろうタイミングで火薬式リトラクタ34を作動させるようにしてもよい。このように、可逆、非可逆の順で作動させつつ、複数の非可逆拘束機構33,34について、衝突時を基準とした順番で順次作動させる場合であっても、従来の方式に捕らわれることのない柔軟な制御が可能となり、一層好適に乗員を拘束保護することができる。
また、上記実施形態では、可逆拘束機構31,32としてニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32を示したが、特にこれらに限られるものではない。例えば、電動シートのシートスライド、シートクッション角度、シートバック角度、電動テレスコピックステアリング、パワーウィンドゥ、サンルーフ及び可動インテリアパッドなどであってもよい。
また、これらの他に、例えば以下のものであってもよい。図17及び図18は、可逆拘束機構の一例を示す説明図である。例えば、可逆拘束機構としては、図17に示すアクティブヘッドレスト35や図18に示す可動ドアトリム36であってもよい。これらは、作動することにより、図17及び図18に示すように、乗員の頭部や側部を拘束保護する機能を有している。このため、コントロールユニット40は、これらを作動させて、乗員を拘束保護するようにしてもよい。
また、可逆、非可逆の拘束機構31〜36を作動させる際の動力源としては、モータやソレノイドなどの電動アクチュエータ、空圧や油圧などの流体を用いたアクチュエータ、スプリング、及び火薬を用いたアクチュエータなどを用いてもよい。また、これらの組合せを用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、衝突を予測する手段としてレーダ10を例に説明したが、これに限らず、衝突を予測する手段であれば、他のものであってもよい。また、レーダ10は、電波を照射し受信するように構成されているが、光や超音波を照射し受信するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、車両の前面衝突を例に説明したが、特に前面衝突に限らず、側方衝突、後方衝突、車両横転などに応用することもできる。
さらには、衝突を検出又は予測する手段は、それ自体が衝突を検出又は予測してもよいし、衝突を検出又は予測せずに、衝突の検出又は予測に必要な信号のみを検知して他の演算部等に送信し、演算部等が衝突を検出又は予測するようにしてもよい。
第1実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成図である。 図1に示したコントロールユニットの機能ブロック図である。 モータ駆動リトラクタの詳細構成図である。 ニーボルスタの詳細構成図であり、(a)は全体を示し、(b)は要部を示している。 レーダの作動を示す説明図である。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図6に示した作動タイミング判断処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。 各拘束機構の詳細動作の一例を示すフローチャートである。 図6に示した衝突予測判断(ステップST11)についての説明図であり、(a)は車間距離と相対車速との関係を示すグラフであり、(b)は衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との関係を示すグラフである。 各拘束機構の作動開始時を示す説明図である。 第2実施形態に係る車両用乗員保護装置の動作の一例を示すフローチャートである。 車両用乗員保護装置における作動条件の一覧を示す説明図である。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置の動作の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置の動作の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置の動作の一例を示すフローチャートである。 第5実施形態に係る車両用乗員保護装置の変形例を示す説明図である。 可逆拘束機構の一例を示す説明図であり、アクティブヘッドレストを示している。 可逆拘束機構の一例を示す説明図であり、可動ドアトリムを示している。
符号の説明
1〜5…車両用乗員保護装置
10…レーダ(検知手段)
20…加速度計(検知手段)
30…拘束部(拘束手段)
31…ニーボルスタ(可逆拘束手段)
32…モータ駆動リトラクタ(可逆拘束手段)
31,32…可逆拘束機構(可逆拘束手段)
33…エアバッグ(非可逆拘束手段)
34…火薬式リトラクタ(非可逆拘束手段)
33,34…非可逆拘束機構(非可逆拘束手段)
40…コントロールユニット(制御手段)

Claims (21)

  1. 衝突を検知又は予測して乗員を拘束保護する車両用乗員保護装置であって、
    可逆的に乗員を拘束する可逆拘束手段と非可逆的に乗員を拘束する非可逆拘束手段との作動を、衝突時を基準として制御することを特徴とする車両用乗員保護装置。
  2. 衝突時を基準として作動を制御するに当たり、衝突時点、及び衝突までの時間との少なくとも一方に基づいて、制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  3. 前記衝突時点、及び衝突までの時間は、衝突を検知又は予測する検知手段からの信号によって求められることを特徴とする請求項2に記載の車両用乗員保護装置。
  4. 前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段とをそれぞれ複数有し、
    これら複数の可逆拘束手段及び複数の非可逆拘束手段を、動作速度が遅いものから順に作動させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用乗員保護装置。
  5. 前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段とをそれぞれ複数有し、
    これら複数の可逆拘束手段及び複数の非可逆拘束手段を、触感感度が低いものから順に作動させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用乗員保護装置。
  6. 障害物に対する自車両の相対速度に応じて、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段との作動を制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用乗員保護装置。
  7. 衝突を検知又は予測する検知手段と、
    乗員を拘束保護する拘束手段と、
    前記検知手段からの信号に基づいて前記拘束手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
    前記拘束手段は、可逆的に乗員を拘束可能な可逆拘束手段と非可逆的に乗員を拘束可能な非可逆拘束手段とを有し、
    前記制御手段は、前記検知手段からの信号により、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段とについて作動優先度を変更する
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  8. 前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段とをそれぞれ複数有し、
    前記制御手段は、当該複数の可逆拘束手段及び当該複数の非可逆拘束手段について作動優先度を変更する際、これらの少なくとも2つの作動優先度を変更する
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両用乗員保護装置。
  9. 前記制御手段は、前記複数の可逆拘束手段の少なくとも2つについて作動優先度を変更することを特徴とする請求項8に記載の車両用乗員保護装置。
  10. 前記制御手段は、前記複数の非可逆拘束手段の少なくとも2つについて作動優先度を変更することを特徴とする請求項8に記載の車両用乗員保護装置。
  11. 前記制御手段は、常時は前記非可逆拘束手段よりも前記可逆拘束手段を優先して作動させることを特徴とする請求項7に記載の車両用乗員保護装置。
  12. 前記制御手段は、常時は前記非可逆拘束手段よりも前記可逆拘束手段を優先して作動させ、非常時は前記可逆拘束手段よりも前記非可逆拘束手段を優先して作動させることを特徴とする請求項7に記載の車両用乗員保護装置。
  13. 前記常時とは、予測された衝突が多重衝突でなく、衝突予測時における衝突までの時間が前記拘束手段の作動に要する時間以上であることを特徴とする請求項11又は請求項12いずれかに記載の車両用乗員保護装置。
  14. 前記非常時とは、予測された衝突が多重衝突であり、衝突予測時における衝突までの時間が前記拘束手段の作動に要する時間未満であることを特徴とする請求項12に記載の車両用乗員保護装置。
  15. 前記検知手段は、衝突形態又は衝突物を検出することを特徴とする請求項7に記載の車両用乗員保護装置。
  16. 自車両の車速に基づいて、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段との少なくとも一方の作動を制御することを特徴とする請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の車両用乗員保護装置。
  17. 障害物に対する自車両の相対速度に基づいて、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段との少なくとも一方の作動を制御することを特徴とする請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の車両用乗員保護装置。
  18. 自車両の車速と障害物に対する自車両の相対速度とのうち、高い方の値に応じて、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段との少なくとも一方の作動を制御することを特徴とする請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の車両用乗員保護装置。
  19. 衝突を検知又は予測して乗員を拘束保護する車両用乗員保護装置であって、
    可逆的に乗員を拘束する可逆拘束手段と非可逆的に乗員を拘束する非可逆拘束手段との作動を制御して、
    衝突予測から衝突に至って所定時間経過するまでに、前記可逆拘束手段のみ、若しくは前記非可逆拘束手段のみを作動させて乗員を拘束保護するか、又は前記可逆拘束手段から前記非可逆拘束手段の順と異なる順でこれらを作動させて乗員を拘束保護する
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  20. 衝突を検知又は予測して乗員を拘束保護する車両用乗員保護装置であって、
    可逆的に乗員を拘束する複数の可逆拘束手段と非可逆的に乗員を拘束する非可逆拘束手段との作動を制御して、
    衝突予測から衝突に至って所定時間経過するまでに、前記複数の可逆拘束手段から前記非可逆拘束手段の順でこれらを作動させて乗員を拘束保護し、且つ前記複数の可逆拘束手段については衝突時を基準とした順番で順次作動させて乗員を拘束保護する
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  21. 衝突を検知又は予測して乗員を拘束保護する車両用乗員保護装置であって、
    可逆的に乗員を拘束する可逆拘束手段と非可逆的に乗員を拘束する複数の非可逆拘束手段との作動を制御して、
    衝突予測から衝突に至って所定時間経過するまでに、前記可逆拘束手段から前記複数の非可逆拘束手段の順でこれらを作動させて乗員を拘束保護し、且つ前記複数の非可逆拘束手段については衝突時を基準とした順番で順次作動させて乗員を拘束保護する
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009023382A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 Honda Motor Co Ltd 車両のシートベルト装置

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