JP2005161929A - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 好適な乗員保護を行うことが可能な車両用乗員保護装置を提供する。
【解決手段】 車両用乗員保護装置1は、車両衝突を予測するレーダ10及び検知する加速度計20と、乗員を拘束する拘束部30と、拘束部30の作動を制御するコントロールユニット40とを備えている。さらに、車両用乗員保護装置1は、コントロールユニット40内に、車両衝突によるリスク度を検出するリスク度検出部を備えている。このため、コントロールユニット40は、拘束部30を作動するにあたり、リスク度検出部にて検出されたリスク度に基づき、作動優先度を変更する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用乗員保護装置に関する。
従来、衝突を予測した場合に可逆式の第1プリテンショナを作動させ、衝突の発生を検出した場合に非可逆式の第2プリテンショナを作動させて乗員を保護する乗員保護装置が知られている(特許文献1参照)。
また、衝突を予測した場合に第1の乗員保護装置を作動させると共に、第2の乗員保護装置を作動すべきタイミングを設定する乗員保護システムが知られている(特許文献2参照)。
特開平6−286581号公報 特開2003−175797号公報
上記の如く、従来装置は、衝突予測時に拘束部を作動させるか又は拘束部の作動タイミングを設定するようにしている。これにより、従来装置は、乗員を適格に保護するようにしている。
ところで、従来装置では、例えば、車両衝突の状況に関わらず、拘束部が作動するようになっている。故に、従来装置は、乗員を適格に保護するものであるが、例えば車両衝突の状況を考慮して拘束部を作動させた場合に比べると、未だ乗員拘束の点で向上の余地を残すものであるといえる。
本発明の車両用乗員保護装置は、車両衝突を予測又は検知する検知手段と、可逆的に乗員を拘束可能な可逆拘束手段と、非可逆的に乗員を拘束可能な非可逆拘束手段と、検知手段からの信号に基づいて可逆拘束手段及び非可逆拘束手段の作動を制御する制御手段と、を備えている。さらに、車両用乗員保護装置は、車両衝突によるリスク度を検出するリスク度検出手段を備えており、制御手段は、リスク度検出手段にて検出されたリスク度に基づき、可逆拘束手段と非可逆拘束手段との少なくとも一方についての作動優先度を変更して、可逆拘束手段及び非可逆拘束手段の作動を制御する。
本発明によれば、車両衝突によるリスク度を検出しているので、車両衝突が発生したときに車両乗員にとって大きなリスクを伴うか、又は小さなリスクしか伴わないかなどを検出することが可能となる。また、リスク度に応じて可逆及び非可逆拘束手段の少なくとも一方について作動優先度を変更するようにしている。このため、拘束手段の作動を好適なものとすることが可能となる。
例えば、リスクが大きい場合には、作動優先度を高めて拘束手段の作動させやすくする。これにより、拘束手段を容易に作動させて、多くの拘束手段による拘束を可能とする。一方、リスクが小さい場合には、所定の条件を付与して一部の拘束手段を作動させにくいようにする。これにより、例えば、不要な拘束手段の作動を減じることができる。
従って、リスク度に応じた作動優先度の変更により、好適な乗員保護を行うことができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1は、レーダ(検知手段)10、加速度計(検知手段)20、複数の拘束部30、及びコントロールユニット(制御手段)40を備えている。また、車両用乗員保護装置1は、拘束部30として、ニーボルスタ(可逆拘束手段)31、モータ駆動リトラクタ(可逆拘束手段)32、エアバッグ(非可逆拘束手段)33及び火薬式プリテンショナ(非可逆拘束手段)34を具備している。
上記のレーダ10は、車両の衝突を予測するためのものである。また、加速度計20は、車両の衝突を検知するためのものである。ニーボルスタ31、モータ駆動リトラクタ32、エアバッグ33及び火薬式プリテンショナ34は、車両衝突時等に乗員を拘束保護するものである。また、コントロールユニット40は、レーダ10及び加速度計20からの信号に基づいて、拘束部30の作動及び停止を制御するものである。
以下、各要素について具体的に説明する。まず、レーダ10は、図1に示すように車両前方に設置され、車両前方側に向けて電波を照射することにより車両の前面衝突を予測するためのものである。図2は、レーダ10の説明図である。同図に示すように、レーダ10は、車両前方に取り付けられ、電波を照射するようになっている。また、レーダ10は、衝突対象物が車両前方に存在する場合、衝突対象物にて反射して戻ってくる反射波を受信する構成とされている。また、レーダ10は、照射波を照射した時刻及び反射波を受信した時刻の情報をコントロールユニット40に伝える構成とされている。
加速度計20は、車両前後方向に加わる加速度を検出して、車両の衝突を検知するためのものである。また、加速度計20は、検出した加速度の情報をコントロールユニット40に送信する構成とされている。
また、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32は、乗員を可逆的に拘束可能なものである。まず、ニーボルスタ31について説明する。図3は、ニーボルスタ31の詳細構成図であり、(a)は全体を示し、(b)は要部を示している。
ニーボルスタ31は、図3(a)に示すように、乗員の膝部前方のインテリアパネル内に設けられ、モータ31a、ギア31b、及びシリンダ31cを有している。モータ31aは、ニーボルスタ31を作動させるべくトルクを発生させ、そのトルクをギア31bに伝えるようになっている。ギア31bは、図3(b)に示すように、回転方向の動きを直線方向の動きに変え、その動きをシリンダ31cへ伝達するように構成されている。シリンダ31cは、ギヤ31bを介して伝達されるモータ31aの動きに応じて伸縮自在に動作して、インテリアパネルを乗員側へ突出させたり、引き込んだりするものである。
このように構成されるため、ニーボルスタ31は、車両衝突時等にモータ31aが作動して、インテリアパネル表面を乗員側に突出させる。この結果、ニーボルスタ31は、衝突時等に、パネル表面にて乗員の膝部を抑えて、乗員の前方移動を抑制することとなる。一方、ニーボルスタ31は、衝突等の終了後にパネル表面を引き込むこととなる。
次に、モータ駆動リトラクタ32について説明する。図4は、モータ駆動リトラクタ32の詳細構成図である。モータ駆動リトラクタ32は、モータ32a、減速ギア32b及び遊星ギア32cが、一般的なリトラクタに付加された構成となっている。
モータ32aは、シートベルトの巻取りトルクを発生させるものであり、発生させたトルクを減速ギア32bに伝えるようになっている。減速ギア32bは、モータ32aからのトルクを減速して遊星ギア32cに伝達するようになっている。遊星ギア32cは、減速されたトルクをリール32dに伝えることで、シートベルトの巻取りを行うようになっている。
このように構成されるため、モータ駆動リトラクタ32は、モータ32aの非作動時において、ロックギア32e及びメカロック機構32fによりシートベルトの引き出しを阻止するという通常のリトラクタとして作動する。一方、モータ駆動リトラクタ32は、モータ32aの作動時において、モータ32aのトルクを減速ギア32b及び遊星ギア32cを解してリール32dに伝達し、シートベルトを巻き取ることとなる。
次に、エアバッグ33を説明する。エアバッグ33は、乗員を非可逆的に拘束するものであり、発火材及び袋体等により構成されるものである。また、エアバッグ33は、衝突時等に発火材が発火されて、生じたガスが袋体に流入することで、展開するようになっている。これにより、エアバッグ33は、乗員の上半身がハンドルに近づきすぎないように拘束することとなる。
次に、火薬式プリテンショナ34について説明する。火薬式プリテンショナ34は、乗員を非可逆的に拘束するものであり、シートベルトを瞬時に巻き取るように構成されている。この火薬式プリテンショナ34は、衝突時等に火薬を爆発させて、生じた爆発力により、シートベルトをリトラクタに巻き取るようになっている。これにより、火薬式プリテンショナ34は、乗員の上半身を車両後方へ引き起こすようにして、乗員を拘束することとなる。
また、上記コントロールユニット40は、各拘束部31〜34作動の可否を、レーダ10及び加速度計20から信号に基づいて決定するものである。また、コントロールユニット40は、作動可否の決定後、各拘束部31〜34それぞれの駆動部(図示せず)に作動信号を出力し、これらを作動させるものである。
図5は、図1に示したコントロールユニット40の機能ブロック図である。同図に示すように、コントロールユニット40は、衝突予測判断部41、衝突検出判断部42、作動タイミング判断部43、及び複数の駆動指令部44a〜44dを備えている。
衝突予測判断部41は、レーダ10から信号を入力し、入力した情報に基づいて、車両の衝突を予測判断するものである。具体的に、衝突予測判断部41は、レーダ10から送信される照射波及び反射波の時刻情報に基づき、衝突対象物までの距離を推定するものである。また、衝突予測判断部41は、衝突対象物までの距離を推定すると、その距離を時間微分することにより衝突対象物に対する自車両の相対速度を求めるものである。さらに、衝突予測判断部41は、推定した衝突対象物までの距離、及び求めた衝突対象物との相対速度から演算により、衝突対象物が存する位置に到達するまでの時間を求めるものである。
そして、衝突予測判断部41は、上記の距離、相対速度、及び時間から車両が衝突対象物に衝突するか否かを判断するものである。なお、上記の相対速度は時間微分に限らず、ドップラー効果を利用して測定することも可能である。
また、衝突検出判断部42は、加速度計20から信号を入力しするものである。具体的に、衝突検出判断部42は、加速度計20から送られてきた加速度と予め記憶される閾値Th1とを比較して、衝突が発生したか否かを判断するものである。
作動タイミング判断部43は、上記判断部41,42の判断結果に基づいて、各拘束部31〜34の作動タイミングを判断するものである。具体的に作動タイミング判断部43は、各拘束部31〜34を作動させるべきタイミングを判断すると、判断したタイミングを作動タイミングと決定し、各駆動指令部44a〜44dに作動タイミングの情報を送信するものである。
各駆動指令部44a〜44dは、各拘束部31〜34を作動させるものである。各駆動指令部44a〜44dは、作動タイミング判断部43から送られてきた作動タイミングの情報に従って、各拘束部31〜34の駆動部に駆動指令を行い、各拘束部31〜34を作動させるものである。
さらに、本実施形態において、コントロールユニット40は、車両衝突によるリスク度を検出するリスク度検出部(リスク度検出手段)45を備えている。ここで、リスク度とは、車両衝突時における衝撃の度合いを示すものである。より具体的にリスク度は、乗員に加わる衝撃が大きくなると予測される場合に高い値とされ、乗員に加わる衝撃が小さくなると予測される場合に低い値とされるものである。また、本実施形態においてリスク度は、衝突自体の可能性が少なくなると、低い値となるようにされている。このため、リスク度は、乗員に加わる衝撃だけでなく、衝突の可能性をも示すものとなっている。
このような、リスク度は、自車両の車速、加減速度、旋回加速度及びヨーレート等の車両情報から求められるようになっている。すなわち、リスク度検出部45は、自車両の車速、加減速度、旋回加速度及びヨーレート等の車両情報を入力し、これらの情報に基づいてリスク度を検出するようになっている。ここで、リスク度検出部45は、上記自車両の車速、加減速度、旋回加速度及びヨーレートの情報を、図示しない検出手段からそれぞれ入力するようになっている。
さらに、リスク度検出部45は、作動タイミング判断部43に接続されており、検出したリスク度の情報を作動タイミング判断部43に出力するようになっている。このため、作動タイミング判断部43は、衝突予測判断部41及び衝突検出判断部42の結果のみならず、リスク度に基づいて各拘束部31〜34の作動タイミングを判断することとなる。
このような車両用乗員保護装置1においては、まず、レーダ10が電波を送受信したときの時刻情報を取得し、加速度計20が車両に加わる加速度の情報を取得する。そして、これらは取得した情報をコントロールユニット40に送信する。
コントロールユニット40内では、まず、衝突予測判断部41がレーダ10からの時刻情報に基づいて、衝突対象物までの距離、衝突対象物に対する相対速度、及び衝突対象物に到達するまでの時間を求める。そして、衝突予測判断部41は、これら距離、相対速度及び時間に基づいて、車両衝突が発生するか否かを予測判断する。
ここで、衝突予測判断部41による衝突予測について更に説明する。図6は、衝突予測判断部41による衝突予測判断の詳細を示す説明図であり、(a)は衝突回避に必要とされる車間距離と相対車速との関係を示すグラフであり、(b)は衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との関係を示すグラフである。なお、図6(a)において縦軸は車間距離〔m〕を示し、横軸は相対車速〔km/m〕を示している。また、図6(b)において縦軸は衝突を回避するのに必要な時間〔sec〕を示し、横軸は相対車速〔km/m〕を示している。
まず、車両が衝突しようとしている場合、乗員は、急制動により衝突を回避するか、又は急操舵により衝突を回避する。すなわち、乗員は、急制動により車速を「0」kmとして衝突を回避するか、又は急操舵により車両の進行方向を変化させて衝突を回避する。
ここで、相対車速が低い場合(例えば40km/h以下の場合)には、急制動による方が急操舵よりも回避に要する車間距離が小さくなる傾向にある。このため、急制動の方が回避しやすく、急制動にて衝突を回避できない場合は、急操舵であっても衝突を回避できないこととなる。従って、相対車速40km/h以下の場合、図6に示す領域イは衝突を回避できない領域となる。故に、衝突予測判断部41は、現状の状況が領域イに属するか否かを判断して、属する場合には、車両衝突が発生すると予測することとなる。
具体的に、相対車速40km/h以下の場合、急制動にて回避に要する車間距離は、図6(a)の実線で示すように、2次曲線的なものとして表すことができる。そして、衝突予測判断部41は、現在の衝突対象物までの距離が2次曲線的に示される距離を下回る場合に、衝突が発生すると予測する。
また、この2次曲線は、衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との相関関係に表すと、図6(b)に示すように比例的なものとなる。このため、衝突予測判断部41は、相対車速40km/h以下の場合、比例的に示される時間が確保されていないときに、前面衝突の発生を予測することとなる。
一方、相対車速が高い場合(例えば40km/hを超えるの場合)には、急操舵による方が急制動よりも回避に要する車間距離が小さくなる傾向にある。このため、急操舵の方が回避しやすく、急操舵にて回避できない場合には、当然ながら急制動によっても回避できない。従って、上記と同様に、40km/hを超える場合において、図6に示す領域イが衝突を回避できない領域となる。そして、衝突予測判断部41は、現状の状況が領域イに属するものである場合には、車両衝突の発生を予測することとなる。
具体的に、相対車速40km/hを超える場合、急操舵にて回避に要する車間距離は、図6(a)の実線で示すように、比例的なものとして表すことができる。このため、衝突予測判断部41は、現在の衝突対象物までの距離が比例的に示される距離を下回る場合に、車両衝突が発生すると予測する。
また、この比例直線は、衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との相関関係に表すと、図6(b)に示すように一定の値を示すものとなる。このため、衝突予測判断部41は、相対車速40km/hを超える場合、図6(b)にて一定の値として示される時間が確保されていないときに、車両衝突の発生を予測する。すなわち、衝突までの時間が約0.58secを下回る場合、衝突予測判断部41は、衝突を予測することとなる。
再度、動作を説明する。衝突の判断後、衝突検出判断部42は、加速度計20から加速度情報を入力し、入力した加速度と予め記憶される閾値Th1とを比較して、衝突が発生したか否かを判断する。
その後、これら判断部41,42は、判断結果を作動タイミング判断部43に送信する。また、上記処理が行われる一方で、リスク度検出部45は、車両情報を入力してリスク度を検出する。そして、リスク度検出部45は、リスク度の情報を作動タイミング判断部43に送信する。
その後、作動タイミング判断部43は、リスク度に基づいて、拘束部31〜34の作動優先度を変更する。ここで、作動優先度とは、拘束部31〜34のいずれに重きを置いて作動を行うかを示すものであり、具体的には作動条件や作動順番をいう。また、作動優先度は、作動条件及び作動順番に限らず、例えば作動速度を含むものであってもよいし、これらのうちのいずれか1つであってもよい。
作動優先度を変更した後、作動タイミング判断部43は、上記判断部41,42からの判断結果に基づいて、拘束部31〜34の作動タイミングを決定する。そして、作動タイミング判断部43は、作動タイミングの情報を各駆動指令部44a〜44dに送信し、各駆動指令部44a〜44dは、対応する拘束部31〜34を作動させることとなる。
なお、上記の如く、作動優先度を変更する場合、リスク度が高いときに作動優先度を高めることで拘束部31〜34の全体が作動しやすいようにしておくことが望ましい。リスク度が高い場合には、乗員に加わる衝撃が大きくなっており、乗員を好適に保護するためにはできるだけ多くの手段により拘束しておくことが望ましいからである。また、各拘束部31〜34を作動させやすくしておくと、各拘束部31〜34が早期に作動しやすくなり、早期の乗員保護を行うことができるからである。
次に、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1の詳細動作を説明する。図7は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、第1実施形態では、4つ拘束部31〜34のうち可逆拘束部31,32について作動優先度を変更する場合を例に説明する。
同図に示すように、まず、イグニッションスイッチがオンされて本装置1が起動すると、レーダ10は電波の照射を開始し、加速度計20は加速度の検出を開始する。その後、衝突予測判断部41は、照射波及び反射波について送受信の時刻情報をレーダ10から入力する(ST10)。次いで、衝突予測判断部41は、時刻情報に基づいて衝突の予測判断を行って(ST11)、衝突が発生し得るか否かを判断する。
判断後、衝突検出判断部42は、車両前後方向の加速度情報を加速度計20から入力する(ST12)。そして、衝突検出判断部42は、加速度情報により、車両衝突が発生したか否かを判断する(ST13)。
その後、各判断部41,42は、判断結果等の情報を作動タイミング判断部43に出力する。そして、リスク度検出部45は、入力した車両情報に基づいてリスク度を算出する(ST14)。このとき、リスク度検出部45は、自車両の車速、加減速度、旋回加速度及びヨーレートのそれぞれについて個別のリスク度を求め、これら個別のリスク度の和を車両衝突によるリスク度とする。
その後、リスク度検出部45は、算出したリスク度の情報を作動タイミング判断部43に送信する。送信後、作動タイミング判断部43は、各拘束部31〜34の作動タイミングを判断すべく、作動タイミング判断処理を実行する(ST15)。この処理により、作動優先度が変更されると共に拘束部31〜34の作動の可否が決定される。そして、各駆動指令部44a〜44dは、各拘束部31〜34のうち作動させると決定されたものについて作動を行うべく、駆動指令を行う(ST16)。
指令後、コントロールユニット40は、イグニッションスイッチがオフされたか否かを判断する(ST17)。ここで、イグニッションスイッチがオフされていないと判断した場合(ST17:NO)、処理はステップST10に戻ることとなる。一方、イグニッションスイッチがオフされたと判断した場合(ST17:YES)、処理は終了する。
図8は、図7に示したリスク度算出処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。また、図9は、図8に示す個別リスク度を求める際に用いられるマップの一例を示す説明図であり、(a)は車速によるリスク度についてのマップを示し、(b)は加減速度によるリスク度についてのマップを示している。(c)は旋回加速度によるリスク度についてのマップを示し、(d)はヨーレートによるリスク度についてのマップを示している。
まず、図8に示すように、リスク度検出部45は、車両情報のうち、自車両の車速によるリスク度を求める(ST20)。この際、リスク度検出部45は、図9(a)に示されるマップに従って、車速によるリスク度を求める。
ここで、車速によるリスク度は、図9(a)に示すように、車速の上昇に応じて高くなるようになっている。これは、車速が大きくなると衝突時に乗員に加わる衝撃が大きくなるからである。
また、車速が所定値以上になると、車速によるリスク度は上昇割合が低下する。これは、或る車速以上になると、高速道路走行と予測できるからである。すなわち、高速道路では市街地などのように交差点等が存在せず、衝突発生の可能性が少なくなるからである。このため、衝突による衝撃自体は、車速の上昇に伴って大きくなるが、衝突の可能性が少なくなるため、リスク度の上昇割合は小さくなっている。
車速によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、車両情報のうち、自車両の加減速度によるリスク度を求める(ST21)。この際、リスク度検出部45は、図9(b)に示されるマップに従って、加減速度によるリスク度を求める。
ここで、加減速度によるリスク度は、図9(b)に示すようになっている。すなわち、加減速度の絶対値が小さい範囲では、通常の走行と考えられるため、リスク度は上昇しない。これに対し、加減速度が或る値を越えると、乗員による車両制御の困難性が増して衝突の可能性も増すことから、加減速度の増大に伴ってリスク度が高くなっていく。ところが、減速度に関しては、或る値より増大してもリスク度は一定となる。これは、減速度が或る値を越えると緊急制動と考えられ、緊急制動における車両制御の困難性に差はないと考えられるからである。
加減速度によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、車両情報のうち、自車両の旋回加速度によるリスク度を求める(ST22)。この際、リスク度検出部45は、図9(c)に示されるマップに従って、旋回加速度によるリスク度を求める。
ここで、旋回加速度によるリスク度は、図9(c)に示すようになっている。すなわち、旋回加速度の絶対値が小さい範囲では通常の走行と考えられるため、リスク度は上昇しない。これに対し、旋回加速度の絶対値が或る値を越えると、旋回加速度の増大に伴ってリスク度が高くなっていく。これは、以下の理由による。
すなわち、車両は旋回加速度が大きくなるとスピンしてしまう。そして、車両がスピンしてしまうと、衝突は車両の前面で発生するとは限らず、車両側面で発生する可能性が増す。ここで、側面で衝突が発生すると、乗員に加わる衝撃は前面衝突に比べて大きくなる傾向がある。具体的に、前面衝突時の衝撃は車両前方側に設けられるバンパーによって軽減されるが、側面衝突時の衝撃は、乗降用ドアによって軽減されるのみであり、軽減量がバンパーに比べて少ない。故に、旋回加速度が増大すると、スピンの可能性が増して大きな衝撃を受ける可能性が増すため、リスク度も高くなることとなる。
さらに、車両がスピンした場合には、乗員による車両制御が困難となり、衝突の可能性自体も増すこととなる。このため、旋回加速度によるリスク度は、絶対値が或る値を越えると高くなっていく。
旋回加速度によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、車両情報のうち、自車両のヨーレートによるリスク度を求める(ST23)。この際、リスク度検出部45は、図9(d)に示されるマップに従って、ヨーレートによるリスク度を求める。
ここで、ヨーレートによるリスク度は、図9(d)に示すようになっている。すなわち、ヨーレートによるリスク度は、ヨーレートの絶対値が小さい範囲では上昇しない。ところが、ヨーレートの絶対値が或る値を越えると、ヨーレートの増大に伴って上昇していくようになっている。これは、旋回加速度によるリスク度と同様にスピンの可能性が増すからである。
そして、これら個別のリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、車両衝突によるリスク度を求める(ST24)。具体的に、リスク度検出部45は、個別のリスク度である車速、加減速度、旋回加速度、ヨーレートのそれぞれについてのリスク度の和を求める。そして、リスク度検出部45は、得られた和を車両衝突によるリスク度とする。その後、リスク度検出部45は、車両衝突によるリスク度の情報を作動タイミング判断部43に送信する。そして、処理は図7のステップST15に移行することとなる。
なお、車両衝突によるリスク度は、上記に限らず、例えば以下のようにして求めてもよい。すなわち、車速や加減速度等を総合的に判断して、自車両が車両運動の物理限界に対してどれだけの余裕を持っているかに基づいて、車両衝突によるリスク度を算出するようにしてもよい。具体的に、上記では旋回加速度によるリスク度及びヨーレートによるリスク度は、自車両がスピンする限界に達しているか否かによって求められているとも言える。このため、車両衝突のリスク度を、個別のリスク度の和とせず、スピンの限界に対する余裕分が大きい場合に小さい値とし、余裕分が小さい場合に大きい値とするなどしてもよい。
また、車両衝突によるリスク度を、衝突する際の自車両の運動状況に基づいて算出するようにしてもよい。例えば、衝突予測時における車速及び減速度に基づいて、衝突時における自車両の車速を求めることができる。このため、車両衝突時における車速を求めて、車両衝突によるリスク度を算出するようにしてもよい。
図10は、図7に示した作動タイミング判断処理(ST15)の詳細を示すフローチャートである。上記の如く、全体としてのリスク度が算出されると、作動タイミング判断部43は、ステップST11において衝突が予測されていたか否かを判断する(ST30)。
ここで、衝突予測判断部41により衝突が予測されていた場合(ST30:YES)、作動タイミング判断部43は、ステップST14において算出されたリスク度と予め記憶される所定値αとを比較して、リスク度が所定値αを超えるか否かを判断する(ST31)。
その後、以下のステップST32〜ST37に示すように、コントロールユニット40は、可逆拘束部31,32について作動優先度を変更して、これらを制御する。まず、リスク度が所定値αを超えると判断した場合(ST31:YES)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動すべきと判断する(ST32)。そして、その情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与える。これにより、図7に示したステップST16において駆動指令が行われ、ニーボルスタ31は作動させられることとなる。
ニーボルスタ31の作動決定後、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動すべきと判断する(ST33)。そして、その情報をモータ駆動リトラクタ駆動指令部44aに与える。これにより、図7に示したステップST21において駆動指令が行われ、モータ駆動リトラクタ32は作動させられることとなる。
そして、処理はステップST38に移行する。ところで、リスク度が所定値αを超えていなかったと判断した場合(ST31:NO)、コントロールユニット40は、衝突の「1.0sec」前であるか否かを判断する(ST34)。衝突の「1.0sec」前に該当しないと判断した場合(ST34:NO)、図10に示す処理は終了する。そして、処理は図7に示すステップST16に移行する。
一方、衝突の「1.0sec」前に該当すると判断した場合(ST34:YES)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動すべきと判断する(ST35)。そして、その情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与える。これにより、図7に示したステップST16において駆動指令が行われ、ニーボルスタ31は作動させられることとなる。
その後、コントロールユニット40は、衝突の「0.5sec」前であるか否かを判断する(ST36)。衝突の「0.5sec」前に該当しないと判断した場合(ST36:NO)、図10に示す処理は終了する。そして、処理は、図7に示したステップST17に移行する。
一方、衝突の「0.5sec」前に該当すると判断した場合(ST36:YES)、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動すべきと判断する(ST37)。そして、その情報をモータ駆動リトラクタ駆動指令部44aに与える。これにより、図7に示したステップST17において駆動指令が行われ、モータ駆動リトラクタ32は作動させられることとなる。そして、処理はステップST38に移行する。
以上のように、ステップST32,ST33と、ステップST34〜ST37とでは作動優先度が異なっている。ここで、作動優先度について詳細に説明する。図11は、作動優先度の一例を示す説明図である。なお、図11では、図10に示したステップST31にて「YES」と判断された場合、すなわちリスク度が高い場合をリスク度「高」と示している。また、ステップST31にて「NO」と判断された場合、すなわちリスク度が低い場合をリスク度「低」と示している。
まず、上記したように、作動優先度とは、拘束部31〜34のうちいずれに重きを置いて作動を行うかを示すものであり、より簡単に言うと拘束部31〜34の作動のさせ易さを示すものである。また、本実施形態において作動優先度は作動条件及び作動順番となっている。
まず、図10に示したように、ステップST31にて「YES」と判断された場合、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32が作動する。この際、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32は、何ら条件が付加されることなく、作動していく。このため、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32の作動条件は「なし」となる。なお、モータ駆動リトラクタ32は、図10に示すフローチャートにおいてニーボルスタ31の作動を契機として、作動を開始するようになっている。すなわち、モータ駆動リトラクタ32は、ニーボルスタ31の作動が作動条件となっているように思える。しかし、ニーボルスタ31の作動は、ステップST31にて「YES」と判断された時点で必ず実行されることから、ニーボルスタ31の作動という条件は必然的に満たされる。このため、モータ駆動リトラクタ32の作動条件は「なし」となる。
一方、ステップST31にて「NO」と判断された場合、衝突の「1.0sec」前であるときにニーボルスタ31が作動し、衝突の「0.5sec」前であるときにモータ駆動リトラクタ32が作動するようになっている。すなわち、ステップST31にて「NO」と判断された場合、ニーボルスタ31については衝突の「1.0sec」前が作動条件であり、モータ駆動リトラクタ32については衝突の「0.5sec」前が作動条件となっている。
このように、リスク度に応じて作動優先度の1つである作動条件が異なっている。ここで、作動優先度は、作動条件に制約がない方が高いと言える。従って、リスク度が「高」の場合には、何ら制約が無くリスク度「低」の場合に比して、作動優先度が高められているといえる。
さらに、ステップST31にて「YES」と判断された場合、まずニーボルスタ31が作動する。そして、モータ駆動リトラクタ32が、ニーボルスタ31の作動を契機として作動を開始している。しかしながら、作動順番は、ニーボルスタ31が「1」番目であり、モータ駆動リトラクタ32が「1」番目という位置づけになっている。ここで、図10に示すフローチャートにおいては、ニーボルスタ31が「1」番目に作動し、その後モータ駆動リトラクタ32が「2」番目に作動するかのようになっている。ところが、モータ駆動リトラクタ32はニーボルスタ31の作動を契機として作動を開始することから、両者の作動開始の差は殆どない。このため、ニーボルスタ31とモータ駆動リトラクタ32とはほぼ同時に作動することとなり、作動順番は双方が「1」番目という位置づけになる。
一方、ステップST31にて「NO」と判断された場合、まず、ニーボルスタ31が作動し、その後、モータ駆動リトラクタ32が作動することとなる。しかも、この順番は、衝突までの時間との関係上、不変のものである。このため、ステップST31にて「NO」と判断された場合、作動順番は、ニーボルスタ31が「1」番目であり、モータ駆動リトラクタ32についても「2」番目という位置づけになっている。
このように、リスク度に応じて作動優先度の1つである作動順番についても異なっている。ここで、作動優先度は、作動順番の早い方が重きを置いて作動させられていると言える。このため、作動順番が早いものは作動優先度が高いと言える。なお、本実施形態では、リスク度が「高」の場合、作動順番について言えば、ニーボルスタ31とモータ駆動リトラクタ32との作動優先度は同じである。また、リスク度が「低」の場合、作動順番について言えば、ニーボルスタ31の方がモータ駆動リトラクタ32よりも作動優先度が高いといえる。
また、リスク度「低」と「高」との場合で比較すると、リスク度「高」の場合は、作動順番が「1」番目とされており、「2」番目となることがない。従って、作動順番についていえば、作動優先度は、リスク度「高」の方がリスク度「低」のときよりも高められていることとなる。
以上をまとめると、作動優先度は、リスク度「高」のときに高められている。一方、リスク度「低」のときには、ニーボルスタ31の方がモータ駆動リトラクタ32よりも作動優先度が高められているものの、リスク度「高」との比較においては、作動優先度が低くなっている。
このように、上記の図11から、作動優先度は衝突のリスク度に応じて変更されていることがわかる。そして、リスク度が高い場合には、乗員に加わる衝撃が大きくなることから、作動優先度を高めることで可逆拘束部31,32が作動しやすいようにし、乗員を適格且つ早期に保護するようにしている。従って、好適な乗員保護を行うことができる。
再度、図10を参照して説明する。ステップST38において、作動タイミング判断部43は、ステップST13において車両衝突が検知されていたか否かを判断する(ST38)。ステップST13において車両衝突が検知されていなかったと判断した場合(ST38:NO)、図10に示す処理は終了する。そして、上記した図7のステップST16の処理に戻ることとなる。
一方、ステップST13において前面衝突が検知されていたと判断した場合(ST38:YES)、作動タイミング判断部43は、火薬式プリテンショナ34を作動すべきと判断する(ST39)。そして、作動タイミング判断部43は、火薬式プリテンショナ34を作動させるべき旨の情報を、火薬式プリテンショナ駆動指令部44cに与える。これにより、図7に示したステップST16において駆動指令が行われ、火薬式プリテンショナ34は作動することとなる。
次いで、作動タイミング判断部43は、エアバッグ33を作動すべきと判断する(ST40)。そして、作動タイミング判断部43は、エアバッグ33を作動させるべき旨の情報を、エアバッグ駆動指令部44dに与える。これにより、図7に示したステップST16において駆動指令が行われ、エアバッグ33は作動することとなる。
そして、図10に示す処理は終了する。また、ステップST11において衝突が予測されていなかったと判断した場合(ST30:NO)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32の作動を解除する(ST41,ST42)。すなわち、上記のステップST32〜ST37にて、ニーボルスタ31やモータ駆動リトラクタ32の作動が開始していた場合にはこれらの作動を停止し、作動していない場合には単に処理を先に進めることとなる。そして、図10に示す処理は終了する。
以上のように、リスク度に応じて可逆拘束部31,32について作動優先度が変更されている。なお、図10に示すフローチャートでは、拘束部31〜34のうちニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32について作動優先度を変更している。また、図10に示すフローチャートでは、可逆拘束部31,32について作動優先度を変更したからといって、非可逆拘束部33,34まで作動優先度を変更する必要がない。つまり、コントロールユニット40は、可逆拘束部31,32と非可逆拘束部33,34との作動優先度をそれぞれ独立に変更可能となっている。具体的には、可逆拘束部31,32について作動優先度を変更した場合に、それに伴って非可逆拘束部33,34の作動優先度を変更することがないようになっている。よって、可逆及び非可逆の拘束部31〜34について独立に作動優先度を変更して、可逆及び非可逆のそれぞれを最適に作動させることが可能となっている。
また、2つの可逆拘束部31,32について作動優先度を変更しているため、複数の可逆拘束部31,32について作動を適切なものとすることができるようになっている。
次に、各拘束部31〜34の駆動部における処理を説明する。図12は、各拘束部31〜34の詳細動作の一例を示すフローチャートである。なお、図12においては、ニーボルスタ31の駆動部を例に説明するが、他の拘束部32〜34についても同様である。
同図に示すように、ニーボルスタ31の駆動部は作動信号がオンか否かを判断する(ST50)。ここで、駆動部は、ニーボルスタ駆動指令部44bから駆動指令があったか否かを判断し、駆動指令があった場合には作動信号オンと判断し、なかった場合には駆動信号オフと判断する。なお、駆動部は、駆動指令の他に、ニーボルスタ駆動指令部44bから解除指令があったか否かを判断する。そして、解除指令があった場合には、過去に駆動指令があったとしても作動信号がオフであると判断する。
ここで、作動信号がオンでないと判断した場合(ST50:NO)、駆動部はカウンタの値を「0」とする(ST51)。そして、処理はステップST50に戻る。すなわち、駆動部は、作動信号がオンでないと判断する限り、カウンタの値を「0」で維持し続けることとなる。
一方、作動信号がオンであると判断した場合(ST50:YES)、駆動部はカウンタの値が予め定めた閾値Th2よりも小さいか否かを判断する(ST52)。カウンタの値が予め定めた閾値Th2よりも小さいと判断した場合(ST52:YES)、駆動部はニーボルスタ31の作動を開始させる(ST53)。また、既に作動している場合、駆動部はニーボルスタ31の作動を継続することとなる。
そして、駆動部はカウンタの値をインクリメントし(ST54)、処理はステップST50に戻る。その後、上記の処理を繰り返し、カウンタの値が予め定めた閾値Th2以上となったとする。この場合、駆動部は、カウンタの値が予め定めた閾値Th2よりも小さいものでないと判断し(ST52:NO)、ニーボルスタ31の作動を停止させる(ST55)。そして、処理はステップST50に戻ることとなる。
以上のようにして、モータ駆動リトラクタ32は動作し、乗員を拘束保護することとなる。なお、上記したように、他の拘束部32〜34も同様に動作し、乗員を拘束保護する。
次に、図10に示したフローチャート、及び図11に示した作動条件について補足設定する。図13は、各拘束部31〜34の作動開始時を示す説明図である。
まず、通常時においては、衝突が予測され且つ衝突の「1.0sec」前であると判断されると、図13に示すように、ニーボルスタ31が作動する。そして、衝突の「0.5sec」前であると判断されると、モータ駆動リトラクタ32が作動する。その後、衝突が検知されると、エアバッグ33及び火薬式プリテンショナ34が作動する。
一方、車速等が非常に高いことから、リスク度が高くなるとする。そして、リスク度が所定値αを超えたとする。この場合、ニーボルスタ31を衝突の「1.0sec」前に作動させ、且つモータ駆動リトラクタ32を衝突の「0.5sec」前に作動させたとしても、実際の衝突時に作動が間に合わない可能性がある。このため、本実施形態では、図10のステップST32,ST33に示すように、作動優先度を変更し、即時にニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32を作動させるようにしている。
以上の図1〜図13の説明から明らかなように、衝突のリスク度によって、作動優先度を変更するようにすることで、理想的な拘束部31〜34の作動が可能とされている。
なお、リスク度検出部45は、衝突が予測される前の車両情報に基づいてリスク度を求めることが望ましい。これにより、実際に衝突を予測した段階では、既にリスク度が求められている状態とすることができる。このため、可逆拘束部31,32を作動させるにあたり、前もって作動優先度を決定しておくことができる。
このようにして、本実施形態に係る車両用乗員保護装置1によれば、リスク度を検出しているので、車両衝突が発生したときに車両乗員にとって大きなリスクを伴うか、又は小さなリスクしか伴わないかなどを検出することが可能となる。また、リスク度に応じて可逆及び非可逆拘束部31〜34の少なくとも一方について作動優先度を変更するようにしている。このため、拘束部31〜34の作動を好適なものとすることが可能となる。
例えば、リスクが大きい場合には、作動優先度を高めて拘束部31〜34の作動させやすくする。これにより、拘束部31〜34を容易に作動させて、多くの手段により拘束を行うことが可能となる。一方、リスクが小さい場合には、所定の条件を付与して拘束部31〜34を作動させにくいようにする。これにより、例えば、不要な拘束部31〜34の作動を減じることができる。
従って、リスク度に応じた作動優先度の変更により、好適な乗員保護を行うことができる。
また、リスク度検出部45は、衝突が予測される前の車両情報に基づいてリスク度を求めている。このため、実際に衝突を予測した段階では、既にリスク度が求められている状態とすることができる。従って、拘束部31〜34を作動させるにあたり、前もって作動優先度を決定しておくことができる。
また、リスク度は自車両の車両情報に応じて決定される。このため、例えば、自車両が車両運動の物理限界に対してどれだけの余裕を持っているかに基づいて、リスク度を算出することが可能となる。また、車両情報を得ていることから、衝突する際の自車両の運動状況を予測でき、この運動状況に基づいてリスク度を検出することが可能となる。従って、リスク度を精度良く検出することができる。
また、リスク度検出部45は、可逆拘束部31,32と非可逆拘束部33,34との作動優先度をそれぞれ独立に変更可能となっている。このため、可逆拘束部31,32の作動優先度と、非可逆拘束部33,34の作動優先度とがそれぞれ影響を与えあうことなく、別個独立に変更できることとなる。例えば、可逆拘束部31,32についての作動優先度の変更に伴って、非可逆拘束部33,34の作動優先度が変更してしまうなどの事態が生じない。故に、それぞれについて作動優先度を適したものとすることができ、好適な作動を行うことができる。
また、2つの可逆拘束部31,32について作動優先度を変更するようにしている。このため、例えば、複数の可逆拘束部31,32について作動優先度を変更して、複数の可逆拘束部31,32を好適に作動させることができる。なお、本実施形態では、可逆拘束部31,32は2つであったが、3つ以上であっても、同様に、複数の可逆拘束部31,32を好適に作動させることができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る車両用乗員保護装置2は、第1実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が第1実施形態のものと一部異なっている。
以下、第1実施形態との相違点について説明する。図14は、第2実施形態に係る車両用乗員保護装置2の作動タイミング判断処理(ST15)の詳細を示すフローチャートである。
まず、第1実施形態は可逆拘束部31,32について作動優先度を変更していた。これに対し、第2実施形態に係る作動タイミング判断処理(ST15)では、非可逆拘束部33,34について作動優先度を変更するようになっている。以下、具体的に説明する。
作動タイミング判断部43は、図7のステップST11において衝突が予測されていたか否かを判断する(ST60)。ここで、衝突予測判断部41により衝突が予測されていた場合(ST60:YES)、コントロールユニット40は、衝突の「1.0sec」前であるか否かを判断する(ST61)。衝突の「1.0sec」前に該当しないと判断した場合(ST61:NO)、処理はステップST64に移行する。
一方、衝突の「1.0sec」前に該当すると判断した場合(ST61:YES)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31を作動すべきと判断する(ST62)。そして、その情報をニーボルスタ駆動指令部44bに与えて、ニーボルスタ31を作動させる。
ニーボルスタ31の作動決定後、コントロールユニット40は、衝突の「0.5sec」前であるか否かを判断する(ST63)。衝突の「0.5sec」前に該当しないと判断した場合(ST63:NO)、処理はステップST65に移行する。
一方、衝突の「0.5sec」前に該当すると判断した場合(ST63:YES)、作動タイミング判断部43は、モータ駆動リトラクタ32を作動すべきと判断する(ST64)。そして、その情報をモータ駆動リトラクタ駆動指令部44aに与えて、モータ駆動リトラクタ32を作動させる。
その後、作動タイミング判断部43は、ステップST13において車両衝突が検知されていたか否かを判断する(ST65)。ステップST13において車両衝突が検知されていなかったと判断した場合(ST65:NO)、図14に示す処理は終了する。
一方、ステップST13において車両衝突が検知されていたと判断した場合(ST65:YES)、作動タイミング判断部43は、算出されたリスク度と予め記憶される所定値αとを比較して、リスク度が所定値αを超えるか否かを判断する(ST66)。
その後、以下のステップST67〜ST69に示すように、コントロールユニット40は、非可逆拘束部33,34の作動優先度を変更し、これらを制御する。まず、リスク度が所定値αを超えると判断した場合(ST66:YES)、作動タイミング判断部43は、火薬式プリテンショナ34を作動すべきと判断する(ST67)。そして、その情報を火薬式プリテンショナ駆動指令部44cに与えて、火薬式プリテンショナ34を作動させる。
その後、作動タイミング判断部43は、エアバッグ33を作動すべきと判断する(ST68)。そして、その情報をエアバッグ駆動指令部44dに与えて、エアバッグ33を作動させる。そして、処理は終了する。
一方、リスク度が所定値αを超えていなかったと判断した場合(ST66:NO)、作動タイミング判断部43は、火薬式プリテンショナ34を作動すべきと判断し(ST69)、その情報を火薬式プリテンショナ駆動指令部44cに与えて、火薬式プリテンショナ34を作動させる。そして、処理は終了する。
以上のように、ステップST67,ST68と、ステップST69とでは作動優先度が異なっている。ここで、第2実施形態に係る作動優先度について詳細に説明する。図15は、第2実施形態に係る作動優先度の一例を示す説明図である。なお、図15では、図10に示したステップST66にて「YES」と判断された場合、すなわちリスク度が高い場合をリスク度「高」と示している。また、ステップST66にて「NO」と判断された場合、すなわちリスク度が低い場合をリスク度「低」と示している。
まず、図14に示したように、ステップST66にて「YES」と判断された場合、火薬式プリテンショナ34及びエアバッグ33が作動する。このとき、火薬式プリテンショナ34及びエアバッグ33は、何ら条件が付加されることなく、順次作動していく。故に、火薬式プリテンショナ34及びエアバッグ33の作動条件は「なし」となる。なお、エアバッグ33は、図14に示すフローチャートにおいて火薬式プリテンショナ34の作動を契機として、作動を開始するようになっている。しかし、火薬式プリテンショナ34の作動は、ステップST66にて「YES」と判断された時点で必ず実行されることから、火薬式プリテンショナ34の作動という条件は必然的に満たされる。このため、エアバッグ33の作動条件は「なし」となる。
また、ステップST66にて「NO」と判断された場合、火薬式プリテンショナ34が作動する。この際、火薬式プリテンショナ34は、何ら条件が付加されることないため、作動条件は「なし」となる。ところが、エアバッグ33は、図14のフローチャートに示されるように、作動しないようになっている。このため、エアバッグ33については、作動条件というもの自体がないと考えることができる。
このように、リスク度に応じて作動優先度の1つである作動条件が異なっている。ここで、作動優先度は、作動条件に制約がない方が高いと言える。従って、作動優先度は、リスク度が「高」の方がリスク度「低」のときよりも高められている。すなわち、エアバッグ33は、リスク度が「高」の場合、何ら条件が付与されることなく作動するようになっているが、リスク度「低」の場合、作動することはない。以上から、リスク度が低い場合、作動優先度が低められていると言える。
さらに、作動順番については以下のようになる。すなわち、リスク度が低い場合、エアバッグ33が作動しないことから、火薬式プリテンショナ34の作動順番は「1」番目となり、エアバッグ33について「順番なし」となる。一方、リスク度が高い場合には、火薬式プリテンショナ34及びエアバッグ33について共に「1」番目となる。
このように、リスク度に応じて作動優先度の1つである作動順番についても異なっている。具体的に、リスク度が「高」の場合、火薬式プリテンショナ34とエアバッグ33との作動順番は同じである。一方、リスク度が「低」の場合、火薬式プリテンショナ34の方がエアバッグ33よりも作動優先度が高いといえる。
また、リスク度「低」と「高」との場合で比較すると、リスク度「高」の場合は、作動順番が「1」番目とされており、「作動せず」となることがない。従って、作動順番についていえば、作動優先度は、リスク度「高」の方が「低」のときよりも高められていることとなる。
以上をまとめると、作動優先度は、リスク度「高」のときに高められている。一方、リスク度「低」のときには、火薬式プリテンショナ34の方がエアバッグ33よりも作動優先度が高められているものの、リスク度「高」との比較においては、作動優先度が低くなっている。
このように、上記の図15から、作動優先度は衝突のリスク度に応じて変更されていることがわかる。そして、第2実施形態において、リスク度が低い場合、乗員に加わる衝撃が小さくなることから、作動優先度を低めることで、不要な非可逆拘束部33,34の作動を抑制するようにしている。従って、好適な乗員保護を行うことができる。
ところで、図14において、衝突が予測されていなかったと判断した場合(ST60:NO)、作動タイミング判断部43は、ニーボルスタ31及びモータ駆動リトラクタ32の作動を解除する(ST70,ST71)。そして、図14に示す処理は終了することとなる。
なお、図14に示すフローチャートでは、第1実施形態と同様に、可逆拘束部31,32と非可逆拘束部33,34との作動優先度をそれぞれ独立に変更可能となっている。また、2つの非可逆拘束部33,34について作動優先度を変更しているため、複数の非可逆拘束部33,34について作動を適切なものとすることができるようになっている。
また、本実施形態においてリスク度検出部45は、衝突時の車両情報に基づいてリスク度を検出することが望ましい。これにより、衝突後に非可逆拘束部33,34を作動させる場合には、その作動の前にリスク度が検出されている状態とすることができる。従って、衝突後に非可逆拘束部33,34を作動させるにあたり、前もって作動優先度を決定しておくことができる。
このようにして、第2実施形態に係る車両用乗員保護装置2によれば、第1実施形態と同様に、好適な乗員保護を行うことができる。
また、リスク度を精度良く検出することができ、作動優先度を適したものとすることができ、好適な作動を行うことができる。
さらに、第2実施形態では、衝突時の車両情報に基づいてリスク度を検出するので、衝突後に拘束部31〜34を作動させる場合には、その作動の前にリスク度が検出されていることとなる。このため、衝突後に拘束部31〜34を作動させるにあたり、前もって作動優先度を決定しておくことができる。
また、2つの非可逆拘束部33,34の作動優先度を変更するようにしている。このため、例えば、複数の非可逆拘束部33,34について作動優先度を変更して、複数の非可逆拘束部33,34を好適に作動させることができる。なお、本実施形態では、非可逆拘束部33,34は2つであったが、3つ以上であっても、同様に、複数の非可逆拘束部33,34を好適に作動させることができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る車両用乗員保護装置3は、第1実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が、第1実施形態のものと一部異なっている。
図16は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置3のリスク度算出処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。また、図17は、図16に示す個別リスク度を求める際に用いられるマップの一例を示す説明図であり、(a)は乗車位置によるリスク度についてのマップを示し、(b)は頭部位置によるリスク度についてのマップを示している。(c)は体重によるリスク度についてのマップを示し、(d)は操舵によるリスク度についてのマップを示している。
まず、図16に示すように、第3実施形態のリスク度算出処理は、乗員の状態等からなる乗員情報に基づいてリスク度を求めている点で第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態では、車両情報に基づいてリスク度を求めていたが、第3実施形態では、乗車位置や乗員の体格などの乗員情報に基づいてリスク度を求めるようにしている。
以下、具体的に説明する。図16に示すように、リスク度検出部45は、乗員情報のうち、乗員の乗車位置、具体的にシートの位置によるリスク度を求める(ST80)。この際、リスク度検出部45は、図17(a)に示すマップに従って、シート位置によるリスク度を求める。
ここで、シート位置によるリスク度は、図17(a)に示すようになっている。すなわち、シート位置が後方にあるときはリスク度が低く、前方になるにしたがってリスク度が高くなっていく。これは、以下の理由による。
まず、シート位置が前方寄りに設定されている場合、乗員はステアリングに接近しており、ステアリングと干渉する可能性が大きくなっている。通常であれば、車両衝突時にはエアバッグ33が展開して乗員がステアリングに干渉してしまうことが防止される。ところが、乗員の身体がステアリングへ接近し過ぎると、衝突時等にエアバッグ33の展開が間に合わなくなる可能性が増してくる。そして、展開が間に合わなくなると、乗員がステアリングに干渉してしまう。このとき、乗員に加わる衝撃は、ステアリングに干渉しない場合に比して当然に大きくなる。よって、シート位置が前寄りである場合にリスク度は高くなり、後方寄りである場合にリスク度は低くなることとなる。
シート位置によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、乗員情報のうち、頭部位置についてリスク度を求める(ST81)。この際、リスク度検出部45は、図17(b)に示すマップに従って、頭部位置によるリスク度を求める。
ここで、頭部位置によるリスク度は、シート位置によるリスク度と同様に、図17(b)に示すようになっている。すなわち、頭部位置によるリスク度は、乗員の頭部位置が後方側に位置している場合に低くされ、頭部位置が前方にある場合に高くされている。
頭部位置によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、乗員情報のうち、乗員の体格、具体的に体重によるリスク度を求める(ST82)。この際、リスク度検出部45は、図17(c)に示すマップに従って、体重によるリスク度を求める。
ここで、体重によるリスク度は、図17(c)に示すようになっている。すなわち、体重によるリスク度は、乗員体重が増えるに従って高くなる。これは、体重が増すと、衝突時における乗員の運動エネルギーが大きくなって、衝突時の衝撃が増加すると考えられるからである。
体重によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、乗員情報のうち、運転操作、具体的に操舵周波数によるリスク度を求める(ST83)。この際、リスク度検出部45は、図17(d)に示すマップに従って、操舵周波数によるリスク度を求める。
ここで、操舵周波数によるリスク度は、図17(d)に示すようになっている。すなわち、操舵周波数によるリスク度は、操舵周波数が大きくなるほど高くなっていく。ここで、詳細には、操舵周波数が或る値以下であれば通常の走行であると考えられるため、リスク度の上昇割合は少ない。ところが、操舵周波数が或る値以上になると、リスク度は急激に上昇する。操舵周波数が或る値以上のときには走行の危険度が高くなっているからである。すなわち、走行の危険度が高い場合とは、乗員が荒い運転をしている場合であり、衝突の可能性が増している場合と考えられるからである。また、荒い運転をしている場合には、車両のスピンの可能性も増すと考えられるからである。このため、リスク度の上昇は急激なものとなる。
そして、これら個別のリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、車両衝突によるリスク度を求める(ST84)。すなわち、リスク度検出部45は、個別のリスク度であるシート位置、頭部位置、体重、操舵周波数のそれぞれについてのリスク度の和を求める。そして、リスク度検出部45は、得られた和を車両衝突によるリスク度とする。その後、リスク度検出部45は、車両衝突によるリスク度の情報を作動タイミング判断部43に送信する。そして、処理は図7のステップST15に移行することとなる。
なお、図16では、個別のリスク度の和から車両衝突によるリスク度を求めるようにしているが、これに限るものではない。例えば、シート位置や体重などから、衝突する際の乗員の挙動を予測し、予測した乗員挙動に基づいてリスク度を検出するようにしてもよい。また、個別のリスク度は、上記のシート位置、頭部位置、体重、操舵周波数に限らず、乗員の視線であってもよい。
このようにして、第3実施形態に係る車両用乗員保護装置3によれば、第1実施形態と同様に、好適な乗員保護を行うことができる。
また、作動優先度を適したものとすることができ、好適な作動を行うことができる。また、複数の可逆拘束部31,32を好適に作動させることができる。
また、衝突が予測される前の乗員情報に基づいてリスク度を求めるようにすれば、衝突後に拘束部31〜34を作動させるにあたり、前もって作動優先度を決定しておくことができる。
さらに、第3実施形態では、リスク度が乗員情報に応じて決定される。このため、例えば、衝突する際の乗員の挙動を予測でき、この乗員挙動に基づいてリスク度を検出することが可能となる。従って、リスク度を精度良く検出することができる。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係る車両用乗員保護装置4は、第1実施形態のものと同様であるが、コントロールユニット40の処理内容が、第1実施形態のものと一部異なっている。
図18は、本実施形態に係る車両用乗員保護装置4のリスク度処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。また、図19は、図18に示す個別リスク度を求める際に用いられるマップの一例を示す説明図であり、(a)は走行場所によるリスク度についてのマップを示し、(b)は時刻によるリスク度についてのマップを示している。(c)は天候によるリスク度についてのマップを示し、(d)は路面状態によるリスク度についてのマップを示している。
まず、図18に示すように、第4実施形態のリスク度算出処理は、車両の周囲の環境等からなる環境情報に基づいてリスク度を求めている点で第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態では、車両情報に基づいてリスク度を求めていたが、第4実施形態では、走行場所や時刻などの環境情報に基づいてリスク度を求めるようにしている。
以下、具体的に説明する。図18に示すように、リスク度検出部45は、環境情報のうち、走行場所についてリスク度を求める(ST90)。この際、リスク度検出部45は、図19(a)に示されるマップに従って、走行場所によるリスク度を求める。
ここで、走行場所によるリスク度は、図19(a)に示すようになっている。すなわち、走行場所が住宅街である場合、車速が低いことが多く、衝突時の衝撃も少ないと考えられる。このため、走行場所によるリスク度は低くなっている。また、走行場所が市街地である場合、車両の速度はそれほど高くはないが、他交通が住宅街よりも増加している。このため、衝突の可能性が増すこととなり、走行場所によるリスク度は住宅街よりも高めにされる。
また、郊外では、他交通が市街地よりは少なくなるが、速度が高くなる。このため、衝突時における衝撃は大きなり、リスク度は市街地よりも高めにされる。さらに、高速道路では、速度が一層高くなるが、交差点などが存在しない。このため、衝突の可能性は少なくなり、走行場所によるリスク度は郊外よりも低く、市街地と同程度とされる。
なお、自車両の走行場所は、例えばナビゲーションシステムの地図情報を元に特定するとよい。
走行場所によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、環境情報のうち、時刻についてリスク度を求める(ST91)。この際、リスク度検出部45は、図19(b)に示されるマップに従って、時刻によるリスク度を求める。
ここで、時刻によるリスク度は、図19(b)に示すようになっている。すなわち、時刻によるリスク度は、事故の発生統計に基づくものであり、深夜及び早朝において高くなっている。また、朝及び夕方の通勤時間帯では昼間に比べて交通流が増加するため、通勤時間帯でのリスク度は、昼間の時間帯のリスク度よりも高くなっている。
時刻によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、環境情報のうち、天候についてリスク度を求める(ST92)。この際、リスク度検出部45は、図19(c)に示されるマップに従って、天候によるリスク度を求める。
ここで、天候によるリスク度は、図19(c)に示すようになっている。すなわち、天候によるリスク度は、視界の悪化に伴って高くなっている。視界が悪い場合、衝突の可能性が増すだけでなく、ブレーキ操作等の衝突を回避する動作も遅れるため、衝突時の衝撃も大きくなるからである。具体的に、天候によるリスク度は、晴、曇、雨、雪、霧となるにしたがって、高くなっている。
時刻によるリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、環境情報のうち、路面状態によるリスク度を求める(ST93)。この際、リスク度検出部45は、図19(d)に示されるマップに従って、路面状態によるリスク度を求める。
ここで、路面状態によるリスク度とは、路面の摩擦係数μに基づくリスク度であり、具体的には図19(d)に示すようになっている。すなわち、路面状態によるリスク度は、路面摩擦係数μが低くなるにしたがって、高くなっている。
そして、これら個別のリスク度を求めた後、リスク度検出部45は、車両衝突によるリスク度を求める(ST94)。すなわち、リスク度検出部45は、個別のリスク度である走行場所、時刻、天候、路面状態のそれぞれについてのリスク度の和を求める。そして、リスク度検出部45は、得られた和を全体としてのリスク度とする。その後、リスク度検出部45は、車両衝突によるリスク度の情報を作動タイミング判断部43に送信する。そして、処理は図7のステップST15に移行することとなる。
なお、図18では、個別のリスク度の和から車両衝突によるリスク度を求めるようにしているが、これに限るものではない。例えば、走行場所や時刻などから、生じ得る事故形態を予測し、予測した自己形態からリスク度を検出するようにしてもよい。
このようにして、第4実施形態に係る車両用乗員保護装置4によれば、第1実施形態と同様に、好適な乗員保護を行うことができる。
また、作動優先度を適したものとすることができ、好適な作動を行うことができる。また、複数の可逆拘束部31,32を好適に作動させることができる。
また、衝突が予測される前の環境情報に基づいてリスク度を求めるようにすれば、衝突後に拘束部31〜34を作動させるにあたり、前もって作動優先度を決定しておくことができる。
さらに、第4実施形態では、リスク度が環境情報に応じて決定される。このため、例えば、自車両が走行している際の車両周囲環境によって生じ得る事故形態毎のリスク度を検出することが可能となる。従って、リスク度を精度良く検出することができる。(請求項6)
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各実施形態を組み合わせてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態において、リスク度は、車両情報、乗員情報及び環境情報のいずれかによって、求められているが、これに限るものではない。例えば、上記3情報のうち、いずれか2つ以上からリスク度を求めるようにしてもよいし、上記3情報以外の情報に基づいてリスク度を求めるようにしてもよい。
また、上記実施形態においてレーダ10は、電波を照射するようになっていたが、これに限らず、光や超音波を照射するようにしてもよい。
さらには、衝突を検出又は予測する手段は、それ自体が衝突を検出又は予測するものとして構成してもよいし、それ自他が衝突を検出又は予測せずに、衝突の検出又は予測に必要な信号のみを検知するようにしてもよい。後者の場合、検知した信号を他の演算部等が入力して、衝突を検出又は予測することとなる。
第1実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成図である。 レーダの説明図である。 ニーボルスタの詳細構成図であり、(a)は全体を示し、(b)は要部を示している。 モータ駆動リトラクタの詳細構成図である。 図1に示したコントロールユニットの機能ブロック図である。 衝突予測判断部による衝突予測判断の詳細を示す説明図であり、(a)は衝突回避に必要とされる車間距離と相対車速との関係を示すグラフであり、(b)は衝突を回避するのに必要な時間と相対車速との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図7に示したリスク度算出処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。 図8に示す個別リスク度を求める際に用いられるマップの一例を示す説明図であり、(a)は車速によるリスク度についてのマップを示し、(b)は加減速度によるリスク度についてのマップを示し、(c)は旋回加速度によるリスク度についてのマップを示し、(d)はヨーレートによるリスク度についてのマップを示している。 図7に示した作動タイミング判断処理(ST15)の詳細を示すフローチャートである。 作動優先度の一例を示す説明図である。 各拘束部の詳細動作の一例を示すフローチャートである。 各拘束部の作動開始時を示す説明図である。 第2実施形態に係る車両用乗員保護装置の作動タイミング判断処理(ST15)の詳細を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る作動優先度の一例を示す説明図である。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置のリスク度処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。 図16に示す個別リスク度を求める際に用いられるマップの一例を示す説明図であり、(a)はシート位置によるリスク度についてのマップを示し、(b)は頭部位置によるリスク度についてのマップを示し、(c)は体重によるリスク度についてのマップを示し、(d)は操舵によるリスク度についてのマップを示している。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置のリスク度処理(ST14)の詳細を示すフローチャートである。 図18に示す個別リスク度を求める際に用いられるマップの一例を示す説明図であり、(a)は走行場所によるリスク度についてのマップを示し、(b)は時刻によるリスク度についてのマップを示し、(c)は天候によるリスク度についてのマップを示し、(d)は路面状態によるリスク度についてのマップを示している。
符号の説明
1〜4…車両用乗員保護装置
10…レーダ(検知手段)
20…加速度計(検知手段)
31…ニーボルスタ(可逆拘束手段)
32…モータ駆動リトラクタ(可逆拘束手段)
33…エアバッグ(非可逆拘束手段)
34…火薬式プリテンショナ(非可逆拘束手段)
40…コントロールユニット(制御手段)
45…リスク度検出部(リスク度検出手段)

Claims (10)

  1. 車両衝突を予測又は検知する検知手段と、
    可逆的に乗員を拘束可能な可逆拘束手段と、
    非可逆的に乗員を拘束可能な非可逆拘束手段と、
    前記検知手段からの信号に基づいて前記可逆拘束手段及び前記非可逆拘束手段の作動を制御する制御手段と、
    車両衝突によるリスク度を検出するリスク度検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記リスク度検出手段にて検出されたリスク度に基づき、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段との少なくとも一方について作動優先度を変更して、前記可逆拘束手段及び前記非可逆拘束手段の作動を制御する
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  2. 前記リスク度検出手段は、衝突予測前に得られた情報からリスク度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  3. 前記リスク度検出手段は、衝突時において得られた情報からリスク度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  4. 前記リスク度検出手段は、自車両の車速、加減速度、旋回加速度及びヨーレートの少なくとも1つを含む車両情報からリスク度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  5. 前記リスク度検出手段は、自車両乗員の乗車位置、体格、視線及び運転操作の少なくとも1つを含む乗員情報からリスク度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  6. 前記リスク度検出手段は、走行場所、時刻、天候及び路面状態の少なくとも1つを含む環境情報からリスク度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  7. 前記制御手段は、前記可逆拘束手段と前記非可逆拘束手段との作動優先度をそれぞれ独立に変更可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  8. 前記制御手段は、少なくとも2つの前記可逆拘束手段について作動優先度を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  9. 前記制御手段は、少なくとも2つの前記非可逆拘束手段について作動優先度を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
  10. 車両衝突の予測又は検知を行い、衝突が予測又は検知された場合には衝突のリスク度を検出し、検出したリスク度に応じて作動優先度を変更して、乗員の拘束処理を変更することを特徴とする車両用乗員保護装置。
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