JP2005125832A - 操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操舵軸と連結ロッドとの間に介装された玉継手とこの介装部分の外側を覆う伸縮ブーツとの接触干渉による不具合の発生を、簡素な構成により有効に防止する。
【解決手段】 操舵軸としてのラック軸1と連結ロッドとしてのタイロッド4との間に介装された玉継手5の外側を、タイロッド4の外周に嵌着固定された球状のカバー部材7によって覆い、ラックハウジング10の端部とタイロッド4の中途部とに両端を嵌着して取付けられた伸縮ブーツ6がカバー部材7に当たり、玉継手5と直接的に接触しないように構成し、接触干渉に起因する不具合の発生を防止する。
【選択図】 図2
【解決手段】 操舵軸としてのラック軸1と連結ロッドとしてのタイロッド4との間に介装された玉継手5の外側を、タイロッド4の外周に嵌着固定された球状のカバー部材7によって覆い、ラックハウジング10の端部とタイロッド4の中途部とに両端を嵌着して取付けられた伸縮ブーツ6がカバー部材7に当たり、玉継手5と直接的に接触しないように構成し、接触干渉に起因する不具合の発生を防止する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、運転者によりなされるステアリングホイール等の操舵部材の操作に応じて車両を操舵せしめるための車両用の操舵装置に関する。
車両用の操舵装置として広く用いられているラックピニオン式操舵装置は、車体の左右方向に延設されて軸長方向に移動するラック軸(操舵軸)と、該ラック軸の中途に適長に亘って設けられたラック歯に噛合するピニオン軸とを備え、該ピニオン軸を操舵部材としてのステアリングホイールに連結する一方、前記ラック軸の両端を操舵用の車輪(一般的には左右の前輪)に各別のタイロッド(連結ロッド)によって連結してなり、操舵のためののステアリングホイールの操作に応じたピニオン軸の回動を、前記ラック歯との噛合部において運動変換してラック軸に伝え、該ラック軸を軸長方向に移動させて操舵を行わせる構成となっている。
このようなラックピニオン式の操舵装置において、ラック軸は、車体に固定された筒形をなすラックハウジングの内部に軸長方向への移動自在に支持されており、前記ラックハウジングの両側の開口部からの突出端が操舵用の車輪への連結端として利用されている。一方操舵用の車輪は、車体の左右両側に夫々の車軸と略直交する各別のキングピンにより所定の角度範囲での揺動が可能に支持されており、夫々のキングピンに基部を固定されたナックルアームの先端部がラック軸への連結端として利用されている。
これらの連結端の連結に用いられているタイロッドは、玉継手(ボールジョイント)を介してラック軸の端部に取付けられ、この玉継手を支点として種々の方向に傾倒することにより、前述した動作をなすラック軸とナックルアームとの運動軌跡の差異を吸収すべくなしてある。またこのような玉継手の介装部分は、ラックハウジングの端部外周とタイロッドの中途部外周とに両端を嵌着された蛇腹状の伸縮ブーツにより覆い、車両の走行中に路面から跳ね上げられる水、砂等の異物の進入を遮断するシール作用を行わせて、前記玉継手及びラック軸の損傷並びに動作阻害の発生を防ぐようにしてある。
ところが、以上の如き伸縮ブーツは、ラック軸の移動に応じて伸縮動作し、またタイロッドの傾倒に応じて撓み動作すべく、ゴム、樹脂等の弾性材料製とされる一方、ラック軸及びラックハウジングと共に車両前部のエンジンルーム内に配設されることが多く、高温下での伸縮動作中に蛇行変形して内側の玉継手に接触する虞れがある。
ここで玉継手は、ラック軸の端部に固定されたボールハウジングの内側に設けた球形の受け座に、タイロッドの端部に一体に設けたボールを内嵌保持させてなる公知の構成を有している。このような玉継手に前述した伸縮ブーツの接触が生じた場合、この接触部が前記ボール及び受け座の間に噛み込まれ、この状態で伸縮動作がなされたとき、噛み込み部分の近傍が破損して、本来のシール作用を果たし得なくなるという問題があった。
この問題を解消するための構成が、従来から種々提案されている。第1の構成は、タイロッドに嵌着される伸縮ブーツの小径側の立ち上がり部を、同位置に嵌着された円板形のリテーナにより内側から補強し、玉継手への接触を生じ易い小径部近傍の蛇行変形を緩和するようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
第2の構成は、伸縮ブーツの両端をラックハウジングの端部外周と玉継手のボールハウジングの外周とに嵌着し、伸縮ブーツの中途部が玉継手に接触干渉することを防止したものであり、ボールハウジングとタイロッドとの間には、接触式のシール部材を取付け、シール機能を果たすようにしてある(例えば、特許文献2参照)。
実開昭61−6471号公報
実開昭61−7669号公報
ところが、特許文献1に開示された構成は、リテーナの追加のみで簡易に実施し得る反面、伸縮ブーツの小径側がリテーナの作用により大径化されるため、周辺に存在する車両部品との干渉が生じる虞れがあり、配設スペースが限られた場所での採用が難しいという難点がある。また、リテーナにより補強された立ち上がり部と蛇腹状の伸縮部との境界部分が、伸縮時におけるリテーナの周縁との接触の繰り返しにより局所的に摩耗し、破損に至る虞れがあり、シール作用の喪失を招来するという不具合も存在する。
一方、特許文献2に開示された構成によれば、伸縮ブーツの伸縮が、ラックハウジングと玉継手との間にて生じるため、玉継手との接触干渉を完全に防止することができるが、玉継手とタイロッドとの間に別途介装されるシール部材の構成が複雑となる上、このような接触式のシール部材により、車両の走行中に路面から跳ね上げられる水、砂等の異物が衝突する過酷な条件下にて十分なシール作用を期待することは難しく、信頼性の低下を招来するという問題がある。
なお以上の問題は、ラックピニオン式の操舵装置に限らず、操舵に応じて軸長方向に移動する操舵軸を操舵用の車輪に連結して操舵を行わせるようにした車両用の操舵装置全般に発生する問題である。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵軸と連結ロッドとの間に介装された玉継手とこの介装部分の外側を覆う伸縮ブーツとの接触干渉を、簡素な構成により有効に回避することができ、この接触干渉に起因する伸縮ブーツの破損を防止し、また摩耗の発生を軽減して、長期に亘って良好なシール性能が維持され、操舵動作に支障を来すことのない操舵装置を提供することを目的とする。
本発明の第1発明に係る操舵装置は、操舵に応じて軸長方向に移動する操舵軸と操舵用の車輪への連結ロッドとの突き合わせ端部間に玉継手を介装し、該玉継手の介装部分の外側を、前記操舵軸を支持する筒形のハウジングの端部及び前記連結ロッドの中途部に両端を嵌着された蛇腹状の伸縮ブーツにより囲繞してある操舵装置において、前記連結ロッド又は操舵軸の端部外周に嵌着され、前記伸縮ブーツの内側において前記玉継手の外側を覆うカバー部材を備えることを特徴とする。
本発明においては、操舵軸と連結ロッドとの間に介装された玉継手の外側を、伸縮ブーツよりも内側において覆うカバー部材を設け、高温下での伸縮により蛇行変形する伸縮ブーツをカバー部材に接触させて玉継手との直接的な接触を排除して、接触干渉に起因する伸縮ブーツの破損を防止し、また摩耗の発生を緩和する。
また第2発明に係る操舵装置は、第1発明におけるカバー部材が、前記玉継手を内部に受容可能な中空の球状体としてあることを特徴とする。
この発明においては、カバー部材を球状体とし、このカバー部材との接触下にて伸縮する伸縮ブーツを球状面と接触させ、接触部分における摩耗の発生を軽減する。
本発明に係る操舵装置においては、玉継手の外側を覆うカバー部材を備える簡素な構成により、伸縮ブーツと玉継手との直接的な接触が回避され、接触干渉による伸縮ブーツの破損を防止し、また摩耗の発生を軽減することができ、長期に亘って良好なシール性能が維持され、操舵動作に支障を来す虞れが緩和される等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る車両用の操舵装置の全体構成を示す模式図である。図示の操舵装置は、操舵軸としてのラック軸1と、該ラック軸1の中途に噛合するピニオン軸2とを備え、操舵用の車輪(一般的には左右の前輪)3,3に操舵を行わせるラックピニオン式の操舵装置として構成されている。
ラック軸1は、円筒形をなすラックハウジング10の内部に軸長方向への移動自在に支持され、車体の一部、例えば、エンジンルームの内部に左右方向に延設されている。操舵用の車輪3,3は、夫々の車軸と直交するキングピン31,31により、図示しない車体の左右に支持されており、ラックハウジング10の両側外部に突出するラック軸1の両端は、夫々の側の車輪3,3のナックルアーム30,30に各別のタイロッド4,4を介して連結されている。ラック軸1の両方向への移動によりタイロッド4,4を介してナックルアーム30,30を押し引きし、車輪3,3を左右に操舵する構成となっている。
以上の構成によりナックルアーム30,30は、各別のキングピン31,31回りに揺動し、またラック軸1は、自身の軸長方向、即ち、車体の左右方向に移動する。このように異なる運動を行うナックルアーム30,30とラック軸1との運動軌跡の差異を吸収すべく、ラック軸1の両端とタイロッド4,4との連結部には、図中に丸印にて略示された玉継手5,5が介装されている。
またこの連結部は、車両の走行中に路面から跳ね上げられる水、砂等の異物の進入を防止し、これらとの接触による玉継手5,5の動作不良、及びラック軸1の動作不良の発生を防止すべく、後述の如く装着された伸縮ブーツ6,6により覆ってある。
ラックハウジング10の一側端部近傍には、これと軸心を交叉させてピニオンハウジング20が連設されており、該ピニオンハウジング20の内部には、軸回りでの回転自在にピニオン軸2が支持されている。ピニオン軸2の一部は、ピニオンハウジング20の上方に適長突出させてあり、この突出端は、中間軸22及びステアリング軸23を介して、操舵部材としてのステアリングホイール24に連結されている。
ピニオンハウジング20の内部に延設されたピニオン軸2の下半部は、適長に亘って大径化され、外周にピニオン歯を備えるピニオン21が一体形成されている。またラックハウジング10の内部に支持されたラック軸1には、ピニオンハウジング20の交叉位置を含めた適長に亘ってラック歯11が形成されており、このラック歯11は、ピニオン軸2の下半部に設けたピニオン21に噛合させてある。
以上の構成により、操舵のためにステアリングホイール24が回転操作された場合、該ステアリングホイール24にステアリング軸23及び中間軸22を介して連結されたピニオン軸2が回転し、この回転が、ピニオン21とラック歯11との噛合部においてラック軸1の軸長方向の移動に変換されてラック軸1が左右両方向に移動する。
この移動は、前述の如く、ラック軸1の両端に連結されたタイロッド4,4を介して左右のナックルアーム30,30に伝達され、これらのナックルアーム30,30が各別のキングピン31,31回りに揺動し、この揺動により操舵用の車輪3,3がステアリングホイール24の操作方向に操作量に対応する角度となるまで操舵される。
以上の如く構成された本発明に係る操舵装置の特徴は、ラック軸1の両端とタイロッド4,4との連結部の構成にある。図2は、ラック軸1の一側端部とタイロッド4との連結部近傍の拡大断面図である。
本図に示す如く、ラック軸1の端部とタイロッド4との間に介装された玉継手5は、ラック軸1の端面に同軸をなして固定されたボールハウジング50と、タイロッド4の端部に一体形成されたボール51とを備えている。ボールハウジング50の内部には、ボール51に対応する球形の受け座52が、ラック軸1への取付け側と逆側に開口を有して設けてあり、玉継手5は、前記開口を経て受け座52の内部に挿入されたボール51を受け座52の内面に抱持せしめて構成されている。
このように玉継手5を介してラック軸1に連結されたタイロッド4は、受け座52による抱持下でのボール51の転動により、受け座52の開口の範囲内にてラック軸1に対して適宜の方向に傾倒することが可能であり、この傾倒により前述した運動軌跡の差異が吸収される。
玉継手5による連結部を覆う伸縮ブーツ6は、ゴム、樹脂等の弾性材料からなり蛇腹状に成形された筒体の両端部に、適幅の環状をなす固定環60,61を一体に連設して構成されており、一側の大径の固定環60をラックハウジング10の端部外周に周設された固定溝12に嵌め込み、また他側の小径の固定環61をタイロッド4の中途部外周に周設された固定溝40に嵌め込んで、これらの固定環60,61を各別の締め付け環62,63により外側から締め付けて取付けられている。
このように取付けられた伸縮ブーツ6は、周面の蛇腹部の拡縮を伴って、全体的に又は局所的に伸縮することができ、この伸縮により、ラック軸1の軸長方向の移動及びラック軸1に対するタイロッド4の傾倒に追随変形して、前述した操舵動作中に、ラック軸1及びタイロッド4の連結部を封止する作用をなす。
本発明に係る操舵装置においては更に、玉継手5の介装位置に、これの外側を覆うようにカバー部材7が取付けられている。図3は、カバー部材7の外観斜視図である。
本図に示す如くカバー部材7は、玉継手5のボールハウジング50を内部に受容し得るサイズを有する中空の球状体であり、望ましくは、弾性を有する樹脂材料製としてある。カバー部材7の一部には、ボールハウジング50の挿通が可能な大きさを有する円形断面の開口70が設けてあり、この開口70と径方向に対向する位置には、タイロッド4の外径に対応する小径の開口が設けられ、この開口の外側に、適幅の環状をなす固定環71が一体に連設されている。
タイロッド4の外周面には、伸縮ブーツ6の固定溝40よりもボール51側に位置して、カバー部材7の固定溝41が設けられており、前述の如く構成されたカバー部材7は、図2に示す如く、固定環71を固定溝41に嵌め込み、締め付け環72により外側から締め付けて、球状をなす中空部の内側に玉継手5を受容するように取り付けられている。
このときカバー部材7の開口70は、玉継手5の介装位置を超えてラック軸1の端部外周に十分な隙間を隔てて対向した状態となり、この取付けによりカバー部材7は、ラック軸1の移動及びタイロッド4の傾倒に追随変位し、伸縮ブーツ6の内側において玉継手5の外側を覆う状態を維持することができる。
ここで、ラック軸1及びタイロッド4の移動に応じて前述の如く伸縮する伸縮ブーツ6は、その外側において、例えば、エンジンルーム内部の高温に曝されており、このような高温下での伸縮により、不定形に蛇行変形して内側に垂れ下がる場合がある。
本発明に係る操舵装置においては、以上の如く蛇行変形した伸縮ブーツ6は、カバー部材7の外面に接触するのみであり、カバー部材7の内側に位置する玉継手5との直接的な接触は生じない。従って、玉継手5のボール51と受け座52との間に、ボールハウジング50の一側の開口を経て伸縮ブーツ6が噛み込まれる虞れがなく、この噛み込みに起因する伸縮ブーツ6の破損の発生を防止することができ、該伸縮ブーツ6によるシール作用が損なわれる虞れを有効に解消することができる。
また伸縮ブーツ6に接触するカバー部材7は、前述の如く球状をなしており、カバー部材7の接触下にて伸縮する伸縮ブーツ6の摩耗を軽微に抑えることができ、該伸縮ブーツ6の伸縮動作を長期に亘って安定して行わせることが可能となる。なおカバー部材7は、球状体以外の形状とすることもできるが、伸縮ブーツ6の摩耗を抑えるためには、角部を有しない形状とすることが望ましい。
更にカバー部材7は、一側に設けた固定環71をタイロッド4の中途に嵌め込むことにより取り付けられており、前述した作用を簡素な構成により実現することができる。この取付けは、弾性を有する樹脂材料製のカバー部材7を用いることにより、一層容易に行わせることができる。
図4は、本発明に係る操舵装置の他の実施の形態を示すラック軸1の一側端部とタイロッド4との連結部近傍の拡大断面図である。本図に示すカバー部材7は、一側外部に設けた固定環74をラック軸1の端部外周に周設された固定溝13に嵌め込み、締め付け環75により外側から締め付けて固定されており、他側に開口する小径の開口73からタイロッド4を突出させて、玉継手5を内側に受容するように取付けられている。
他の部分の構成は、図2に示す実施の形態と同様であり、対応する部分に図2と同一の参照符号を付して、構成及び動作の説明を省略する。この実施の形態においても、蛇行変形する伸縮ブーツ6と玉継手5とが直接接触することがなく、伸縮ブーツ6の破損及び摩耗によるシール作用の喪失を効果的に防止することが可能となる。
なお以上の実施の形態においては、操舵に応じて移動する操舵軸としてラック軸1を備えるラックピニオン式の操舵装置への適用例について述べたが、本発明は、操舵に応じて移動する操舵軸と操舵用の車輪への連結部材との間に玉継手を介装してなる他の形式の操舵装置への適用も可能であり、同様の効果が得られることは言うまでもない。
1 ラック軸(操舵軸)
3 車輪
4 タイロッド(連結ロッド)
5 玉継手
6 伸縮ブーツ
7 カバー部材
10 ラックハウジング(ハウジング)
3 車輪
4 タイロッド(連結ロッド)
5 玉継手
6 伸縮ブーツ
7 カバー部材
10 ラックハウジング(ハウジング)
Claims (2)
- 操舵に応じて軸長方向に移動する操舵軸と操舵用の車輪への連結ロッドとの突き合わせ端部間に玉継手を介装し、該玉継手の介装部分の外側を、前記操舵軸を支持する筒形のハウジングの端部及び前記連結ロッドの中途部に両端を嵌着された蛇腹状の伸縮ブーツにより囲繞してある操舵装置において、
前記連結ロッド又は操舵軸の端部外周に嵌着され、前記伸縮ブーツの内側において前記玉継手の外側を覆うカバー部材を備えることを特徴とする操舵装置。 - 前記カバー部材は、前記玉継手を内部に受容可能な中空の球状体としてある請求項1記載の操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2003
- 2003-10-21 JP JP2003360895A patent/JP2005125832A/ja active Pending
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