JP2005125750A - インクジェット記録装置および当該装置の制御方法 - Google Patents

インクジェット記録装置および当該装置の制御方法 Download PDF

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尚次 大塚
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稔 勅使川原
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Abstract

【課題】 両面記録を行うインクジェット記録装置によって、記録媒体が搬送経路内と接触することによって発生するスミヤや、搬送経路内に付着したインクによって次からの記録媒体が汚れる2次的スミヤを確実に低減でき、高品質な画像を得ることができるインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【解決手段】 インクを吐出する記録ヘッドにより記録媒体の表面に記録を行った後、記録媒体を反転させて記録媒体の裏面に記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、記録媒体の表面に対応する領域を複数に分割してなる単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関連する情報を取得し、その取得情報に基づいて、記録媒体の表面への記録に関わる動作の終了から記録媒体の裏面への記録に関わる動作の開始までの時間である動作停止時間の長さを決定する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置および当該装置の制御方法、特に記録媒体の表裏両面に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置および当該装置の制御方法に関する。
一般に、プリンタ、複写機、およびファクシミリ等に適用される記録装置としては、記録情報に基づいて、紙やプラスチック薄板等の記録媒体上にドットパターンからなる画像を記録するものが知られている。
上記のようなドットパターンからなる画像を形成する記録方式には、インクジェット方式、ワイヤドット方式、サーマル方式、及びレーザービーム方式等がある。このうち、インクジェット方式は、記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)滴を吐出飛翔させ、これを記録媒体に付着させて記録を行う方式であり、比較的安価に構成し得るという利点を有している。しかし、このインクジェット方式には、水性の液体からなるインクを使用するため、記録画像を十分に定着させるためには、記録媒体に吐出されたインクに含まれる水分を揮発させる必要があり、そのための時間(定着時間)が必要になる。
記録速度の遅い装置においては、次のページが記録されるまでに時間があるため、インクの定着については余り問題視されていなかった。しかし、A4サイズで1分間に5枚以上を出力するような高速記録型のインクジェット記録装置、特に1分間に10枚以上の出力を行う記録装置では、排紙時にスミヤが生じる可能性があった。すなわち、高速記録が可能なインクジェット記録装置において、記録比率の高い領域が存在した場合、インクの乾燥が不完全なうちに次に記録された記録媒体が排出されて重なり、乾燥不完全なインクが次の記録媒体の裏面に付着して、先に排出された記録媒体の画像の劣化、および次に排出された記録媒体の裏面を汚すというスミヤの発生が懸念されていた。
また、インクジェット記録装置では、記録媒体の両面に対して自動的に記録を行う場合にも、スミヤが発生することがある。すなわち、両面記録機能を有するインクジェット記録装置では、記録媒体の一方の面(以下、本明細書では、「表面」、あるいは「第一の記録面」ともいう)に記録を行った後、再び記録媒体を反転用搬送経路内に送り込み、ここで記録媒体を反転させて、他方の面(以下、本明細書では、「裏面」、あるいは「第二の記録面」ともいう)の記録動作を行うようになっている。この場合、乾燥不完全な記録媒体を反転用搬送経路内に再び取り込むこととなり、記録媒体が反転用搬送経路で擦れて記録画像が乱れるというスミヤや、このようなスミヤによって搬送経路内に付着したインクが次の記録媒体に転写されて次の記録媒体が汚れるといった2次的スミヤが発生するという不都合がある。
よって、記録媒体の一方の面(表面)に対する記録終了後から、その記録媒体の他方の面(裏面)に対する記録開始までの間に乾燥時間を設け、インクを十分乾燥させてから記録媒体を反転させ、インク汚れが発生しないようにする事が望ましい。しかし、高速化・高画質化が望まれている現状においては、この乾燥時間をできるだけ短くする事が好ましい。そこで、記録媒体の一方の面全体のインク付与数に応じて乾燥時間を設定することにより、必要以上に乾燥時間をとらず、インクによる汚れを抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
米国特許第6,149,327号明細書
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、記録媒体の一方の面(表面)全体における記録ドット数に応じて乾燥時間を設定しているため、仮に印字デュ−ティーが高い小さな領域(例えば、小さなベタ印字領域)があったとしても、全体的には記録ドット数が少ないと判断されるので、乾燥時間が短く設定されることになる。すると、ベタ印字領域の乾燥がなされていない状態で、記録媒体が搬送経路内に再び取り込まれることとなるため、インクによる汚れが発生する可能性がある。
また、染料系のインクを用いて両面記録を行う場合、染料系のインクは記録媒体に対して浸透し易いため、一方の面に吐出されたインクが記録媒体内に浸透し過ぎる、いわゆるインク抜けが発生することがある。この場合、一方の面側の記録内容が他方の面側に映り、また同様に、一方の面側に吐出された記録内容も他方の面側に映って双方の面で記録内容が見にくくなるという問題が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、両面記録が可能なインクジェット記録装置において、記録媒体が搬送経路内と接触することによって発生するスミヤや、搬送経路内に付着したインクによって次からの記録媒体が汚れる2次的スミヤを抑制しつつも、その抑制のために設ける乾燥時間を極力短縮化できるインクジェット記録装置および当該装置の制御方法の提供を目的とする。
上記各従来技術の課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、本発明は、次のような構成を備えるものとなっている。すなわち、インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから、当該記録媒体の他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間の長さを決定するに際し、前記取得手段が取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定する決定手段と、を備える。
また、インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、記録媒体の一方の面に記録を行った後、当該一方の記録が行われた記録媒体を装置外へ排出する片面記録モードと、前記記録媒体の一方の面に記録を行った後、当該記録が行われた記録媒体を装置内で反転させ、当該記録媒体の他方の面に記録を行う両面記録モードのうち、指定された記録モードを判断する判断手段と、前記両面記録モードが指定された場合、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作を停止した後、再度搬送動作が開始されるまでの時間の長さを決定する決定手段とを有し、前記決定手段は、前記取得手段が取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定する。
また、第1の搬送経路によって沿って搬送される記録媒体の一方の面に対し記録ヘッドからインクを吐出して記録を行った後、前記第1の搬送経路と少なくとも一部が異なる第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送し、その後、当該記録媒体の他方の面に対し前記記録ヘッドによって記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、前記取得されたインク付与量に関連する情報に基づき、動作停止時間を決定する決定手段と、前記記録媒体の一方の面への記録に関わる動作の終了後、前記決定された動作停止時間が経過するまで、前記一方の面への記録がなされた記録媒体の前記第2の搬送経路に沿った搬送動作を開始しないように制御する動作停止手段と、を備える。
また、インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置を制御するための方法であって、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得工程と、前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから、当該記録媒体の他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間の長さを決定するに際し、前記取得工程において取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定する決定工程と、を有する。
以上の構成によれば、(1)記録媒体の一方の面に対応する領域を複数に分割してなる各単位領域についてインク付与量に関する情報(例えば、記録比率、インク付与量、記録ドット数等)を取得し、(2)その各単位領域毎のインク付与量に関連する情報に基づいて、記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間(以下では、動作停止時間、あるいは乾燥時間ともいう)を決定しているので、乾燥時間を短縮化しつつも、インク汚れの発生を抑制することができる。ここで、記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作の終了とは、例えば、最終スキャンが終了し記録動作が停止した時点、要するに、記録動作停止状態となった時点を指し、また、他方の面に対する記録に関わる動作の開始とは、上記記録動作停止状態が解除され、再び動作(例えば、他方の面への記録に必要な搬送動作、あるいは当該記録媒体を反転させるための搬送動作等)が開始された時点を指す。
なお、記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの期間は、動作が停止されている状態にあるので、以下では、この期間を動作停止時間と称することもある。また、機能面から鑑みると、上記期間は、一方の面に記録されたインクを乾燥(あるいは定着)させるために設けていることから、上記期間を乾燥時間(あるいは定着時間)と称することもある。
本発明によれば、インク付与量が多い(記録比率が高い)小さな領域が局所的に存在する場合であっても、最適な乾燥時間が設定され、これにより、スミヤの発生を確実に抑制できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、インクジェット記録装置の全体構成を図1ないし図3に基づき詳細に説明する。このインクジェット記録装置1は、主として、給紙部2、送紙部3、排紙部4、キャリッジ部5、クリーニング部6から構成されている。そこで、まず、これら各部の概略構成を以下の項目(I)〜(VI)に沿って順次説明する。なお、図1は記録装置1の全体構成を示す斜視図、図2は記録装置1の側面からの構成断面図、図3は反転ユニット90を含む記録媒体反転部9の簡略図であり、図1ないし図3を用いて(I)給紙部、(II)送紙部、(III)キャリッジ部、(IV)クリーニング部、(V)排紙部、および(VI)記録媒体反転部の説明を行う。
(I)給紙部
給紙部2は、記録媒体Pを積載する圧板21と、記録媒体Pを給送する給送回転体22とがベース20に取り付けられた構成となっている。圧板21には可動サイドガイド23が移動可能に設けられており、この可動サイドガイド23が記録媒体Pの積載位置を規制している。圧板21はベース20に結合された回転軸21aを中心に回転可能で、圧板バネ24により給送回転体22に向けて付勢されている。給送回転体22と対向する圧板21の部位には、記録媒体Pの重送を防止するために人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離パッド25が設けられている。さらに、ベース20には、記録媒体Pの一方向の角部を覆い、記録媒体Pを一枚ずつ分離するための分離爪26、この分離爪26が使えない厚紙等を分離するためにベース20に一体形成された土手部27、普通紙ポジションでは分離爪26が作用し、厚紙ポジションでは分離爪26が作用しないように切り換えるための切り替えレバー28、圧板21と給送回転体22の当接を解除するリリースカム29が設けられている。
上記構成において、待機状態ではリリースカム29が圧板21を所定位置まで押し下げている。このため、圧板21上に積載されている記録媒体Pと給送回転体22の当接は解除された状態となっている。そして、この状態で搬送ローラ36の有する駆動力が、ギア等により給送回転体22及びリリースカム29に伝達されると、リリースカム29は圧板21から離れるので、圧板21は上昇し、給送回転体22と記録媒体Pが当接し、給送回転体22の回転に伴い記録媒体Pはピックアップされて給送され始め、分離爪26によって一枚ずつ分離されて送紙部3に送られる。給送回転体22及びリリースカム29は記録媒体Pを送紙部3に送り込むまで回転し、記録媒体Pを送紙部3に送り込み終えた時点で、リリースカム2の作用により、再び記録媒体Pと給送回転体22との当接が解除されて待機状態となり、搬送ローラ36からの駆動力は遮断される。
(II)送紙部
送紙部3は、記録媒体Pを搬送する搬送ローラ36とPEセンサー32を有している。搬送ローラ36にはこれに従動して回転するピンチローラ37が設けられている。
ピンチローラ37はピンチローラガイド30に回動可能に保持され、ピンチローラガイド30をピンチローラバネ31で付勢することで、ピンチローラ37を搬送ローラ36に圧接させて記録媒体Pの搬送力を生み出している。さらに、記録媒体Pが搬送されてくる送紙部3の入口には記録媒体Pをガイドする上ガイド33及びプラテン34が配設されている。また、上ガイド33には記録媒体Pの先端および後端の検出を紙端センサー(PEセンサー)32に伝えるPEセンサーレバー35が設けられている。
上記構成において、送紙部3に送られた記録媒体Pはプラテン34、ピンチローラガイド30及び上ガイド33に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対へと送られる。この時、PEセンサーレバー35は、記録媒体Pの先端に押されて回転し、その回転をPEセンサー32が検知する。このPEセンサー32の検出信号に基づき後述の制御装置が記録媒体Pの記録位置を求める。また、記録媒体Pは不図示の搬送モーターによりローラ対36、37が回転することでプラテン34上を搬送される。
なお、記録ヘッド7は、後述のキャリッジ50に対して交換可能に装着されると共に、インクタンクを着脱可能に保持する構成となっている。また、この記録ヘッド7には、複数のノズルが配列されると共に、各ノズル内にヒータ等の電気熱変換素子が配置されており、この電気熱変換素子を駆動することによりインクに熱を与え、その熱によりインクに膜沸騰を発生させ、そのときの気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によってノズルからインクを吐出して記録媒体P上に画像を形成するようになっている。
(III)キャリッジ部
キャリッジ部5は、記録ヘッド7を交換可能に装着するキャリッジ50を有している。そしてキャリッジ50は、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)に対して直交する主走査方向に延出するガイド軸81と記録ヘッド7と記録媒体Pとの隙間を維持するガイドレール82とによって主走査方向に移動可能に支持されている。なお、これらガイド軸81及びガイドレール82はシャーシ8に取り付けられている。また、キャリッジ50はシャーシ8に取り付けられたキャリッジモーター(不図示)によりタイミングベルト83を介して駆動される。このタイミングベルト83は、アイドルプーリー84の間に適度な張りをもたせて支持されている。さらに、キャリッジ50には、電気基板9から記録ヘッド7へヘッド駆動信号を伝えるためのフレキシブル基板56が接続されている。
上記構成において、記録媒体Pに画像形成を行う場合には、ローラ対36、37の回転によって記録媒体Pを副走査方向へと搬送し、記録媒体Pをプラテン34上の記録位置へと移動させると共に、キャリッジモーター80によりキャリッジ50を駆動し、主走査方向における記録媒体P上の画像形成位置へと記録ヘッド7を移動させる。その後、記録開始指令に従って、キャリッジ50が主走査方向へと移動すると共に、電気基板9からの信号により記録ヘッド7から記録媒体Pに向けてインクを吐出して画像が形成される。
また、キャリッジ50に対する記録ヘッド7の着脱や、記録ヘッド7に対するインクタンクの着脱は、不図示の操作キーを押してキャリッジ50を所定の交換位置へと移動させた後、その交換位置で行うようになっている。
(IV)クリ−ニング部
クリーニング部6は、記録ヘッド7のクリーニングを行うポンプ60と、記録ヘッド7の乾燥を抑えるためのキャップ61と、搬送ローラ36の回転駆動力を給紙部2およびポンプ60に切り換える駆動切り替えアーム62とから構成されている。給紙、クリーニング以外の時は、駆動切り替えアーム62が、搬送ローラ36の軸心を中心に回転する遊星ギア(不図示)を所定位置に固定しているので、給紙部2及びポンプ60に駆動力は伝達されない。キャリッジ50が移動することで、駆動切り替えアーム62を矢印A方向に移動させると、遊星ギアがフリーになるので搬送ローラ36の正転、逆転に応じて不図示の遊星ギアが移動し、搬送ローラ36が正転したときは給紙部2に駆動力が伝達され、逆転したときはポンプ60に駆動力が伝達されるようになっている。
(V)排紙部
排紙部4には2本の排紙ローラ41,41Aが副走査方向の異なる位置に並設されると共に、搬送ローラ36と排紙ローラ41に当接する伝達ローラ40と、排紙ローラ41と排紙ローラ41Aに当接する伝達ローラ40Aとが設けられている。従って、搬送ローラ36の回転駆動力が伝達ローラ40を介して排紙ローラ41に伝達され、さらにその回転駆動力は伝達ローラ40Aを介して排紙ローラ41Aに伝達される。
また、排紙ローラ41、41Aに従動して回転し得るように、拍車42、42Aが排紙ローラ41、41Aにそれぞれ当接しており、また拍車42、42Aには、クリーニングローラ44が回転可能に当接している。以上の構成によって、キャリッジ部5で画像形成された記録媒体Pは、前記排紙ローラ41、41aと拍車42、42aとに挟持され、各ローラの回転によって搬送されて排紙トレー100上に排出される。
排紙ローラ41Aの下流側には、記録後に排紙される記録媒体Pを支持するための後述の排紙サポート104が設けられ、排紙サポート104は案内部材102に回転可能に取付けられている。案内部材102はプラテン34からの突出位置とプラテン34上へ退避位置との間を直線移動可能に支持されており、この案内部材102の移動に伴って排紙サポート104が回転動作を行うようになっている。なお、前記給紙部2から記録ヘッド7を経て排紙サポート104に至る記録媒体の搬送経路によって第1の搬送経路が構成されている。
(VI)記録媒体反転部
記録媒体反転部9は、前記第1の搬送経路に連なる給紙用搬送経路94と、前記搬送ローラ36およびインクジェット記録装置1の背面側(図2において右側)に位置する反転ユニット90とから構成される。ここで、反転ユニット90は、用紙押えローラ95と、反転用小ローラ92と、ループ状の反転用搬送経路93と、反転用大ローラ91とから構成されている。搬送ローラ36は、モーターによって正方向および逆方向に回転駆動が可能である。なお、前記給紙用搬送経路94と前記反転用搬送経路93とにより第2の搬送経路が形成されている。また、反転ユニット90は、記録装置に対し装着可能に構成されている。
そして、自動両面記録時には、まず、搬送ローラ36を正転させて、記録媒体Pを正方向へ搬送することにより、給紙部2から給紙された記録媒体Pの一方の面(「表面」、あるいは「第一の記録面」ともいう)に記録を行った後、搬送ローラ36を逆方向送りして、給紙用搬送経路94にある記録媒体Pを反転用搬送経路93に送り、ここで記録媒体Pの表裏が反転される。すなわち、記録媒体Pは、図3に示すようにA→B→C→D→E→F→Gの順で反転用搬送経路93を通り、表裏が反転される。この後、表裏の反転された記録媒体Pは、給紙用搬送経路94を経て再度プラテン34へと送られ、記録ヘッド7によって他方の面(「裏面」、あるいは「第二の記録面」ともいう)に記録が行われる。
次に、このインクジェット記録装置の制御系の概略構成について図4を参照しながら説明する。図4において、100はこの実施形態におけるインクジェット記録装置の各駆動部の制御を行う制御部であり、種々の演算、判別、制御などの処理を行うMPU101と、このMPU101によって実行するプログラムなどを格納してなるROM102と、入力されたデータを一時的に格納すると共にMPU101による演算処理のワークエリアとして機能するDRAM103と、ゲートアレイ(G.A)104などを有する。また、この制御装置100には、図外のホストコンピュータなどの外部機器との間で信号の授受を行うためのインターフェース105が接続されており、ここから入力された信号は前記ゲートアレイ104を介してMPU101及びDRAM103に入力される。また、この制御装置100には、記録ヘッド7の各ノズル内に設けられたヒータを駆動するヘッドドライバ108、搬送ローラ36などの回転駆動を行う搬送モーター109の駆動を行うモータードライバ110、キャリッジ50を駆動するキャリッジモーター111を駆動するモータードライバ112などが接続されている。
さらに、制御装置100には、キャリッジ50の位置を検出するエンコーダ111および前記PEセンサ113などが接続されている。
上記構成を有する制御系において、ホストコンピュータからの記録データがインターフェース105を介して送られてくると、ゲートアレイ104を通してDRAM103に記録データが一時蓄えられる。その後、DRAM103のデータをゲートアレイ104によって、ラスタデータから記録ヘッド7で記録するための記録イメージデータに変換し、再度DRAM103に記憶させる。そのデータを再度ゲートアレイ104によって、ヘッドドライバ108を介して記録ヘッド7に送り、対応したノズル位置のヒータを駆動して発熱させ、その熱エネルギーによってインクを吐出させて記録を行う。その際、記録させるべきドットのカウンタをゲートアレイ104上に保持しておき、記録ドット数を高速でカウントできる構成としておく。
キャリッジモーター111のモータードライバ112を介してキャリッジモーター111を動作させ、記録ヘッド7のドット形成速度に合わせて記録ヘッド7をキャリッジ50と共に主走査方向へと移動させる。ここでは、10msec毎にMPU100からゲートアレイ104に対して割り込み制御を行い、記録ドット数のカウンタ値の積算量を読み取る。これにより、単位時間の間に単位領域に記録すべきドット数に関する情報を取得することができ、更にはこの単位領域当たりの記録ドット数に基づいて単位領域当たりの記録比率を算出することが可能となる。ここで、単位領域の記録ドット数とは、図8に示されるように、記録媒体上の領域を複数に分割することで得られる複数の単位領域(ドットカウント領域W)それぞれに実際に記録されるドット数のことである。また、単位領域当たりの記録比率(記録デューティー)とは、下記式(1)で算出されるものである。
式(1):記録比率=(単位領域内の実際の記録ドット数)÷(単位領域内の記録可能ドット数)×100
記録比率についてより具体的に説明すると、図5に示すように、160個のノズルのノズル列幅を持った記録ヘッドにおいて、10msecの間(10kHzで記録ヘッドの駆動を行った場合、主走査方向において100ドット幅に相当する)の記録ドット数をカウントし、そのカウント値と時間(10msec)とに基づき単位領域の記録比率を算出することが可能となる。この場合、単位領域に相当するドットカウント領域W(検出領域)内の総ドット数は160×100=16000ドットとなり、この検出領域の範囲内に16000ドットが記録される場合に記録比率100%として定義し、各単位領域における記録比率を計算している。
ところで、本発明においては、記録媒体上の領域を複数に分割することで得られる複数の分割領域それぞれをドットカウント領域Wとして定めているが、このドットカウント領域Wのサイズはある程度小さく設定するのが好ましい。この理由を、図6を参照しながら説明する。
記録媒体上の記録領域R(ここでは、実際に記録がなされる領域を指す)とドットカウント領域Wとの間に図6に示すような位置関係があった場合には、同一の領域に対しても異なる検出結果が得られることとなり、これが検出誤差となる可能性がある。
すなわち、図6(A)は、100%の記録比率でベタ記録を行った記録領域Rとドットカウント領域Wとが完全に重なった状態を示し(なお、ここでは両領域R,Wを図示する都合上、記録領域Rとドットカウント領域Wとを若干ずれた位置に記載している)、この場合は記録領域Rに記録されたドットの全てがカウントされることとなり、検出結果として100%の記録比率が得られる。これに対し、図6(B)は本来記録されるべき位置に対して副走査方向(図では上下方向)に80ノズル分だけ記録位置がずれ、さらに記録データの読み込みタイミングが5msec分だけ主走査方向にずれている場合を示している。
この場合、図6(B)に示す記録領域Rが同図(A)に示す記録領域Rと全く同じ記録比率であったとしても、記録領域Rに記録されたドットの1/4のみがドットカウント領域Wと一致するため、同図(B)におけるカウント領域Wによって検出された検出結果は、25%の記録比率となり、検出誤差が生じたこととなる。こうした検出誤差は、ドットカウント領域Wより記録領域Rのサイズが縦、横両方向において広いものとなっていれば発生しにくくなり、検出精度は向上する。このため、ノズル列方向に分割してカウントするとか、割り込み間隔を早くするなどの手段によってドットカウント領域Wのサイズを縮小することは非常に有効である。しかも、このドットカウント領域Wのサイズが小さければ、読み込み誤差は、定着性の比較的良好な非常に小さいベタ領域に対して発生することになるので、スミヤを防止する上で問題が発生する可能性は低い。
但し、余りドットカウント領域Wを小さく設定すると、テキストなどの記録比率の低い領域に対しても高記録比率として検出がなされてしまうという不都合が発生する可能性もある。従って、ドットカウント領域Wのサイズは、以上のような事情も勘案し総合的に適宜決定するのが良い。なお、ドットカウント領域Wを小さくし過ぎた場合に生じる上記不都合を回避するためには、隣接する複数のドットカウント領域Wの検出結果を累積して、その累積値の大小に基づいてその複数の領域の記録比率の高低を判定する手法が好適である。
なお、本発明では、単位領域に付与されるべきインク量に関連する情報として、例えば、単位領域に記録される記録ドット数や、単位領域における記録比率(記録デューティー)を適用することができる。このように本発明ではインク付与量に間接的に関連する情報を好適に用いることができる。勿論、このような間接情報のみならず、この間接情報をインク付与量に換算して表した情報、すなわち、インク付与量を直接的に示した情報を用いてもよいことは言うまでもない。以上述べたように本発明では、単位領域(例えば、後述のドットカウント領域W)に付与されるべきインク量に関連する情報として、記録ドット数に関する情報、記録比率(記録デューティー)に関する情報、あるいはインク付与量を直接的に示した情報等を適用できる。要するに、単位領域あたりのインク付与量に直接的あるいは間接的に関連する情報のいずれも、上記単位領域に付与されるべきインク量に関する情報に含まれるものである。
また、本発明では、図8に示されるように記録媒体上の一方の面に対応する領域を主走査方向(図8中の左右方向)および副走査方向(図8中の上下方向)の両方について複数に分割することにより得られる分割領域を、ドットカウントの対象となる単位領域(ドットカウント領域W)として定めているが、この形態に限定されるものでははい。例えば、記録媒体上の一方の面に対応する領域を主走査方向(図8中の左右方向)にのみ複数に分割することで得られる分割領域を上記単位領域(ドットカウント領域W)として定めることもできるし、また、記録媒体上の一方の面に対応する領域を副走査方向(図8中の上下方向)にのみ複数に分割することで得られる分割領域を上記単位領域(ドットカウント領域W)として定めることもできる。但し、後述するように、スミヤ抑制の観点からすれば、単位領域(ドットカウント領域W)のサイズは小さい方が好ましいため、主走査方向および副走査方向の両方について分割することが望ましい。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態における特徴事項について説明する。
この第1の実施形態では、図8に示されるように、記録媒体上の一方の面に対応する領域を複数に分割してなる各単位領域(ここでは、ドットカウント領域W)毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関連する情報(ここでは、記録ドット数)を取得し、この取得した情報に基づいて、記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間(動作停止時間T、乾燥時間)を決定している。
つまり、上記特許文献1のように記録媒体の一方の面(表面)全体における記録ドット数に応じて乾燥時間を決定するのではなく、上記のような各単位領域毎の記録ドット数に応じて乾燥時間を決定するため、記録ドット数が多い(記録比率が高い)小さな領域が局所的に存在する場合であっても、乾燥時間が比較的長く設定され、これにより、スミヤの発生を確実に抑制できる。
ここで、記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作の終了とは、例えば、最終スキャンが終了し記録動作が停止した時点、要するに、記録媒体が待機位置に到達して記録動作停止状態となった時点を指し、また、他方の面に対する記録に関わる動作の開始とは、上記記録動作停止状態が解除され、再び動作(例えば、他方の面への記録に必要な搬送動作、あるいは当該記録媒体を反転させるための搬送動作等)が開始された時点を指す。なお、記録動作停止状態の際の記録媒体の待機位置としては、反転ユニット90に記録媒体が搬入される位置よりも手前の位置が好適であり、例えば、(1)最終スキャンが終了した位置、あるいは(2)最終スキャンの終了後に記録媒体を正方向へ所定量搬送した位置、あるいは(3)最終スキャンの終了後に記録媒体を逆方向へ所定量搬送した位置等が好適である。
ところで、本実施形態では、上記した動作停止時間T(乾燥時間)として、先に記録された一方の面の各単位領域におけるインク乾燥(インク定着)が概ね完了するまでの時間を設定している。そして、一方の面に対する記録に関わる動作の終了後、上記動作停止時間Tが経過するまでは、他方の面への記録のために必要な記録媒体の搬送動作を開始しないようにしておき、上記動作停止時間Tが経過してインク乾燥が概ね完了したら、上記記録媒体の搬送動作を開始するようにしておく。これにより、他方の面への記録のために行う反転搬送動作を行ったとしても、搬送経路と新たに接触することになる面(記録済みの一方の面)のインクは既に乾燥しているため、スミヤを発生させずに済む。
以下、この第1の実施形態におけるスミヤ抑制制御について図9および表1を参照しながらより詳細に説明する。
図9において、まずステップA1では、記録媒体の一方の面にのみ記録を行う片面記録モードと、記録媒体の一方の面および他方の面の両面に記録を行う両面記録モードのうち、いずれの記録モードが指定されているかを判断する。この記録モードの指定は、記録装置に設けられたモード指定スイッチにより行われも良いし、あるいは記録装置と接続されたホストコンピュータにおけるプリンタドライバにより行われてもよい。
このステップA1において両面記録モードが指定されていなければ、通常の片面記録を行い、本シーケンスを終了する。一方、両面記録モードが指定されていた場合には、ステップA2に進み、記録媒体の一方の面(表面)に対して記録を行う。その後、ステップA3に進み、表面に対する記録に関わる動作が終了したか否かについて判断する。ここで、表面に対する記録に関わる動作の終了とは、最終スキャンが終了し記録動作が停止した時点、つまり記録媒体が待機位置に到達した時点である。
次に、ステップA4に進み、表面に対する記録に関わる動作が終了してから裏面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間(動作停止時間T)を決定する。ここで、動作停止時間Tは、先に記録された一方の面の各単位領域におけるインクを完全に定着させるために必要とされる時間が設定される。
ところで、この動作停止時間Tは、上述したように予め定められた単位領域毎のインク付与量に関連する情報に基づいて決定される。特に、本実施形態では、動作停止時間Tを設定するか否かを決めるための閾値を予め設けておき、この閾値を超えるインク付与量(ここでは、記録ドット数)となる単位領域が存在する場合には動作停止時間Tを設定する構成を採用している。すなわち、記録媒体の表面を構成する複数の単位領域の内、予め定められた所定量(ここでは、所定数)を超えるインク付与量(記録ドット数)を示す単位領域が1つでも存在すれば、予め定められた一定の動作停止時間Tを設定し、上記所定量を超えるインク付与量を示す単位領域が存在しなければ上記動作停止時間Tを設定しない、言い換えれば、動作停止時間Tを0に設定するようにするのである。より具体的には、図8に示されるような記録媒体の表面に対応する領域を複数に分割してなる各単位領域(ドットカウント領域)毎に、当該単位領域に記録されるべきドット数をカウントし、そして、このカウント値を上記閾値と比較し、このカウント値が閾値を超える場合には予め定められた一定の動作停止時間Tを設定し、このカウント値が閾値を超えない場合には動作停止時間Tを0に設定する。
このようにして動作停止時間Tが設定されたら、ステップA5へ進み、その動作停止時間Tが経過するのを待つ。動作停止時間Tが経過するまでは、裏面への記録に関する動作、すなわち記録媒体Pを反転ユニット90で反転させるための、上記第2の搬送経路に沿った搬送動作を行わないようにし、その間に例え記録データが送信されて来たとしても、裏面に対する記録のための搬送動作は開始しない。そして、動作停止時間Tが経過した後には、裏面への記録に関する動作、すなわち記録媒体Pを反転ユニット90で反転させるための上記第2の搬送経路に沿った搬送動作を開始する。
その後、反転ユニット90にて記録媒体Pを反転させ、記録ヘッドに対向する位置まで記録媒体が搬送されたら、ステップA6において、未だ記録がなされていない記録媒体の他方の面(裏面)に対し記録ヘッドからインクを吐出し、裏面の記録を行う。以上により、本実施形態のシーケンスが終了する。
[変形例1]
ところで、上記実施形態では一定の動作停止時間Tを設定しているが、厳密に考えれば、単位面積当たりのインク付与量の多少に応じて、インクの乾燥(あるいは定着)に要する時間も多少するはずである。従って、インクの乾燥時間を必要最小限にするためには、インク付与量の多少に応じて動作停止時間Tの長さを可変に設定することが好ましい。つまり、インク付与量が多ければその分動作停止時間Tを長く設定し、インク付与量が少なければその分動作停止時間Tを短く設定するのである。
さて、記録媒体の表面を構成する複数の単位領域のうち、インクの乾燥(定着)に最も長時間を要するのは、記録ドットが最も多くなる単位領域であると考えられる。従って、上記動作停止時間Tは、複数の単位領域の内、最大の記録ドット数に該当する単位領域における記録ドット数に基づいて決定するのが好ましい。そこで、この変形例1では、複数の単位領域(ドットカウント領域)それぞれについて記録ドット数をカウントし、その中で最大の記録ドット数Xを取得している。そして、この取得した最大の記録ドット数Xに基づき、記録ドット数Xと動作停止時間Tとが予め対応付けられたテーブル(図19に示されるスミヤテーブル)を参照しながら、動作停止時間Tを決定する。詳しくは、図19に示されるように、記録ドット数X(個)が0≦X<N1の場合には動作停止時間T(sec)をTAと定め、記録ドット数X(個)がN1≦X<N2の場合には動作停止時間T(sec)をTBと定め、記録ドット数X(個)がN2≦Xの場合には動作停止時間T(sec)をTCと定めるようにしている。なお、N1、N2は0<N1<N2なる関係を満たし、また、TA、TB、TCはTA<TB<TCなる関係を満たす。従って、記録ドット数が最も多くなる単位領域における記録ドット数が多い程、動作停止時間Tが長く設定されることになる。
なお、ここでは、最大の記録ドット数Xに応じて動作停止時間Tを3段階(TA、TB、TC)に区分けしているが、3段階は好ましい一例であって、2段階でもよく、また、4段階以上であってもよい。
[変形例2]
上記では、表面の記録に関わる動作と裏面の記録に関わる動作との間に一定の動作停止時間Tを設けるものとしたが、インクの種類に応じて動作停止時間Tを設けるか否かを制御するようにすることも可能である。すなわち、インクジェット記録装置にて使用されるインクには、定着性の良い浸透系のインク(例えば、染料インク)と、定着性の悪い上乗せ系のインク(例えば、顔料インク)とがある。このうち、染料インクは記録媒体Pに対して浸透性が高く定着性が良いが、顔料インクは浸透性が低いので定着性が悪い。このため、前述のように動作停止時間を設けることによるスループットの低下を抑えることを考えると、使用するインクによっては、必ずしも動作停止時間を設ける必要がない場合、あるいは動作停止時間を短縮させることが可能な場合もある。
例えば、定着性の良いインク(例えば、染料インク)のみを使用して記録を行う場合は、表面の記録終了後の動作停止時間を、予め設定した動作停止時間Tよりも短くするか、あるいは動作停止時間Tを全く設けないようにし、逆に、定着性の低いインク(例えば、顔料インク)を使用して記録を行う場合には、表面の記録に関わる動作の終了後、上述のように動作停止時間T、あるいはこれより長い動作停止時間を設けて記録媒体P上のインクの定着を確実なものとすることも可能である。これによれば、インクの定着性を考慮することによって不要な停止時間を削減することができ、スループットの向上を図ることができると共に、確実にスミヤの発生を防止でき、信頼性を向上させることができ、汎用性を高めることができる。
[変形例3]
また、記録媒体Pの性質によっても、インクの定着性は異なるため、記録媒体Pの種類に応じて動作停止時間を変更し、無駄な定着時間が費やされるのを防止し、スループットの向上を図るようにすることも可能である。例えば、記録媒体Pの定着性の高さが、記録媒体C<記録媒体B<記録媒体Aである場合、前述の動作停止時間Tに対し、インクの定着に必要な動作停止時間を、記録媒体Aを使用する場合には3秒、記録媒体Bを使用する場合には5秒、記録媒体Cを使用する場合には8秒をそれぞれ前述の動作停止時間Tに加えるという補正を行い、その補正後の動作停止時間の経過後に裏面の記録に関する動作(搬送動作、反転搬送動作)を行うようにすることが考えられる。
[変形例4]
また、記録媒体におけるインクの定着性は、記録媒体に記録される文字などのフォントサイズによっても変化するため、これに応じて動作停止時間を補正しても良い。例えば、(フォントサイズ)≦25の場合は、動作停止時間へ追加する時間は0秒、25<(フォントサイズ)≦50の場合は、動作停止時間へ追加する時間は3秒、50<(フォントサイズ)の場合は、動作停止時間へ追加する時間は5秒といったように補正しても良い。
[変形例5]
なお、表面への記録に関わる動作の終了後の動作停止状態となっている時において、ドライバや本体におけるLEDなどの表示手段を用いて、動作停止中であることをユーザーへ示すようにすれば、その停止動作が装置の誤動作よる停止か、定着のための停止動作かをユーザーに判断させることも可能となり、信頼性およびメンテナンス性を高めることができる。
以上説明したように第1の実施形態によれば、記録媒体の一方の面(表面)全体におけるインク付与量に応じて乾燥時間を決定するのではなく、記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関連する情報に基づいて乾燥時間を決定しているため、インク付与量が多い(記録比率が高い)小さな領域が局所的に存在する場合であっても、最適な乾燥時間が設定され、これにより、スミヤの発生を確実に抑制できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
まず、第2の実施形態における特徴事項について説明する。この第2の実施形態では、単位領域毎のインク付与量に関連する情報のみならず、その単位領域の位置に関連する情報(位置情報、記録時間情報等)も考慮して、インクの乾燥に要する時間(乾燥時間、動作停止時間)を決定する点を特徴としている。
すなわち、記録媒体の表面における複数の単位領域の内、記録媒体の先端部寄りの単位領域は時間的に早い段階で記録が行われるので、表面への記録に関わる動作の終了時点にあってはインクの乾燥が比較的進んでいる。一方、記録媒体の後端部寄りの単位領域は時間的に遅い段階で記録が行われるので、表面への記録に関わる動作の終了時点にあってもインクの乾燥があまり進んでいない。このように記録媒体上における単位領域の位置に応じてインクの乾燥度合いは異なる。従って、単位領域の位置も考慮してインク乾燥時間を決定するのが好ましい。
そこで、本実施形態では、図7や図8に示されるように、記録媒体の表面に対応する領域を副走査方向に分割して複数の制御領域(領域1〜12)に区分けし、これら複数の制御領域それぞれについて、単位領域の最大記録ドット数情報とその単位領域の位置情報を取得し、これら取得した最大の記録ドット数とその単位領域の位置情報に基づいて動作停止時間を決定するようにしている。
以下、この第2の実施形態において実行されるスミヤ抑制制御について図7、図8、図10を参照しながらより詳細に説明する。この第2の実施形態においては、図7に示すように領域番号を割り当て、これに従って各種記録媒体Pの副走査方向における長さを検出するようになっている。すなわち、記録媒体P上の領域を副走査方向において1インチ毎に分割し、1インチ幅の制御領域Lに区分けしている。そして、給紙動作開始と同時に各制御領域のカウントを開始し、そのカウント値によって記録媒体Pの副走査方向における長さを検出するようになっている。例えば、図7の記録媒体P1は12インチの長さで、領域12までであることが、給紙時からPEセンサ(ペーパーエンドセンサ)を通過するまでの紙送り量の積算でわかる。また、記録媒体の最大長を17インチ以内と想定している本実施形態では、メモリ上の領域を17領域分確保している。また、記録媒体P2の長さは、最大の17インチであることが判定できる。ここで、確保するメモリ量は、記録装置に適用し得る記録媒体の副走査方向における最大長を想定すれば良い。
図8は、図7に示す記録媒体P1に、黒のべた記録を行った場合のような記録比率の高い記録領域と、テキストを記録した場合のような記録比率の低い記録領域とが混在する画像が記録される場合を示している。特に、ここでは、このような混在画像を記録媒体の表裏両面に記録する場合の両面記録動作について説明する。各ページの中で記録比率が高い領域、すなわち、黒のべた記録を行った領域はスミヤ抑制制御の対象となり、テキストのみが記録された領域はスミヤ抑制制御の対象にされない。より具体的には、複数の制御領域(領域1〜12)のうち、領域2、領域6、領域7、領域8がスミヤ抑制制御の対象となる。また、中央部に複数の領域にまたがって記録された黒のべた記録部分では、記録データ領域Rとドットカウント領域W、制御領域幅(副走査方向において間欠的に搬送される記録媒体の搬送ピッチに相当する幅)等との位置関係で、ドットカウント値の反映され方が異なることがある。例えば、連続した1つの画像でも、領域6、領域7ではスミヤ制御の対象にされるが、領域5に対しては、その制御領域内におけるドットカウント領域の最大記録ドット数が低いためにスミヤ抑制制御の対象にされない。
ここで、スミヤ抑制制御の対象とされるか否かは、制御領域に属する複数の単位領域(ドットカウント領域)の内、予め定められた所定数を超える記録ドット数を示す単位領域が存在するか否かに応じて決定される。つまり、予め定められた所定数(閾値)を超える記録ドット数を示す単位領域が存在する場合には、その単位領域を含む制御領域はスミヤ抑制制御の対象とされ、一方、予め定められた所定数を超える記録ドット数を示す単位領域が存在しない場合には、その制御領域はスミヤ抑制制御の対象とされない。そして、スミヤ抑制制御の対象とされる場合には動作停止時間が設けられ、一方、スミヤ抑制制御の対象とされない場合には動作停止時間は設けられない。
具体的な処理としては、まず、各制御領域について、複数の単位領域(ドットカウント領域W)それぞれについてドットカウントを行い、その中で最大のドットカウント値を取得する。そして、この最大のドットカウント値と予め定められた閾値とを比較し、最大ドットカウント値が予め定められた閾値を超えるか否かを判断する。つまり、スミヤ抑制制御の対象とすべき高記録比率の単位領域が、最初に記録が行われるページ(表面)の中に含まれているかどうかを、上記制御領域(領域1〜12)毎に判断するのである。そして、予め定められた閾値を超えるような高記録比率の単位領域が含まれている制御領域に関しては、その最大のドットカウント値とその単位領域の位置とを記憶する。例えば、図8の例では、領域2、領域6、領域7、領域8それぞれに関して、その最大ドットカウント値とその単位領域の位置を記憶するのである。なお、ここでは、制御領域の副走査方向における位置を、単位領域の位置として定めている。
次に、これら制御領域毎に、上記記憶した最大ドットカウント値を示す単位領域がスミヤを起こさなくなるまでに要する時間を、その単位領域の位置とそのドットカウント値に基づいて求める。具体的には、単位領域の位置およびドットカウント値と、スミヤを起こさなくなるまでに要する時間とを対応付けたテーブルを予め設けておき、単位領域の位置およびドットカウント値に基づいて、スミヤを起こさなくなるまでに要する時間を求めるのである。なお、記録媒体の先端寄りにある単位領域ほどインクの定着が進んでいるため、このことを考慮して前記テーブルは作成される。こうして、スミヤ抑制制御の対象とすべき高記録比率の単位領域を含む制御領域(領域2、領域6、領域7、領域8)毎に、スミヤを起こさなくなるまでに要する時間を求める。そして、これら制御領域それぞれに対応して求められた各時間の中で最長の時間が上記動作停止時間として定められる。
すなわち、表面の記録に関わる動作が終了した時点において、インクの定着状態が最も悪いと推測される領域を、単位領域の位置とそのドットカウント値とに基づいて決定し、その最も定着状態の悪い領域が完全に定着するまでに要する時間を上記動作停止時間として定められるのである。そして、このようにして定められた動作停止時間が経過した後、反転用搬送経路93へ記録媒体Pを搬送し、この反転用搬送経路93にて記録媒体Pを反転させた後、記録ヘッドに対向する位置まで記録媒体を搬送し、記録媒体の裏面に対し記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う。これによってスミヤの発生は抑制され、良好な記録結果を得ることができ、2次的なスミヤの発生も防止することができる。
なお、上記では、スミヤ抑制制御の対象となる単位領域を含む制御領域についてのみ、最大ドットカウント値を示す単位領域がスミヤを起こさなくなるまでに要する時間を求めているが、本実施形態はこれには限られるものではない。下記図10に示すように、記録媒体の表面を構成する複数の制御領域それぞれについて、最大ドットカウント値を示す単位領域がスミヤを起こさなくなるまでに要する時間を求め、その中で最も長い時間を上記動作停止時間として定めてもよい。
また、上記では、単位領域の位置情報を記憶する構成であるが、単位領域の位置に相当する情報であれば、位置そのものの情報でなくともよい。例えば、下記図10で説明するように、その単位領域を記録した時間Tsの情報を記憶してもよい。
ここで、本実施形態で適用可能なスミヤ抑制制御のシーケンスの一例を図10のフローチャートに基づき説明する。まず、ステップB1では、インターフェース105を介して入力されてくる記録データをドットデータとしてゲートアレイ(G.A.)104に入力した後、そのドットデータをラッチする。そして、ラッチされたドットデータ(2値データ)のドット数をカウントすることによって、記録すべき画像のドット数をカウントする。次に、ステップB2では、ゲートアレイ104でカウントしたドット数Dcを読み込む。ステップB3では、前回読み込んでおいたドットカウント値Dc’と最新のドット数Dcとの差分をとり、一定の時間内で記録したドット数Dotを算出する。
この実施形態では、一例として、ラッチをかける間隔を約10msecとして、記録ヘッド7の駆動周波数を10kHzとしており、各ラッチ間隔毎に主走査方向において100ドットの領域に対するドットカウントされるようになっている。また、記録ヘッドには、ノズル列方向に160のノズルが配設されているので、各ラッチ間隔毎にドットカウントされるドットカウント領域Wは160×100ドットのサイズとなり、このドットカウント領域W内のドット数をカウントすることとなる。
次に、ステップB4では、新たに読み込んだドットカウント値Dcを前回読み込んでおいたドットカウント値Dc’に上書きする。ステップB5では、各ドットカウント領域W内でカウントされたドット数Dotの中の最大値Dmaxを各制御領域幅L毎に記憶する。ここで、前記制御領域幅Lとは、副走査方向において間欠的に行われる記録媒体の搬送量に相当する幅であり、図7や図8において領域1、2、・・・、N(Nは正の整数)のように番号が割当てられる領域の副走査方向幅(図7や図8では1inch)のことである。
最後に、ステップB6では、各制御領域幅L毎に、記録を行った時間Tsを記憶する。ここではMPU101に内蔵されるタイマを用いて時間Tsの計測を行う。
以上のようにして、各制御領域幅L毎に、ドットカウント領域Wにおける最大ドットカウント値Dmaxと、その単位領域記録を行った時間Tsとを記憶する。ここで、最大ドットカウント値Dmaxは、上述したように予め定められた閾値を超える値を示すものだけを記憶してもよいし、予め定められた閾値を超えるか否かに関係なく記憶してもよい。
そして、各制御領域毎に、これら最大ドットカウント値Dmaxと、その単位領域に記録を行った時間Tsとに基づいて、最大ドットカウント値を示す単位領域がスミヤを起こさなくなるまでに要する時間を求める。そして、これら制御領域それぞれに対応して求められた時間の中で最も長い時間を上記動作停止時間として定める。
[変形例]
第2の実施形態における変形例について図17のフローチャートを参照しながら説明する。図17において、まず、ステップE1では、記録媒体の第一記録面(表面)を構成する複数の制御領域それぞれについて、最大ドット数Dmaxおよびその単位領域を記録した時のタイマー値Tsをそれぞれ取得する。
次に、ステップE2では、ステップE1で取得した最大のドット数Dmaxと複数の閾値(ここでは、3個の閾値TH1,TH2,TH3)との比較を行い、その大小関係を判定する。ここで、Dmaxが閾値TH2以上であれば、ステップC3に進み、Dmaxが閾値TH1以上でありかつ閾値TH2より小さければステップE4に進み、Dmaxが閾値TH1より小さければステップC5に進む。そして、各ステップE3、E4、E5では、図18に示されるスミヤテーブル4に従って、定着に必要と思われる時間T4を取得する。
なお、ここに示すスミヤテーブル4は、記録数ドットDmaxだけでなく、使用するインクの定着性をも勘案して動作停止時間T4を決定するものとなっている。すなわち、このスミヤテーブル4では、使用するインクの定着性が低い順に記録モード1、2、3が設定され、低い定着性を有するインクを用いる記録モードほど動作停止時間T4が長くなり、かつドットカウント値が大きくなるほど動作停止時間T4が長くなるように設定されている。
なお、記録モード3に示すように、使用するインクの定着性が高く、ドットカウント値が小さい場合には、表面の記録から裏面の記録へと移行する間に待機動作が行われないよう動作停止時間を0に設定している。更に加えると、低い定着性を有するインクとしては、例えば、顔料インクが該当し、高い定着性を有するインクとしては、例えば、染料インクが該当する。従って、上記モード1は顔料インクのみが使用されるモード、上記モード2は顔料インクと染料インクが使用されるモード、上記モード3は染料インクのみが使用されるモードとすることもできる。
次にステップE6に進み、各制御領域の記録時のタイマー値Tsと最後の制御領域の記録時のタイマー値Tlastより、各制御領域から最後の制御領域までに要した時間(Tlast−Ts)をそれぞれ算出し、その値を、定着に必要と思われる時間T4から引く事により、記録位置による時間差を考慮した定着に必要な時間T’を求める。
次にステップE7に進み、ステップE6で求めた時間T’を動作停止時間として設定し、この動作停止時間T=T’が経過した後、記録動作の停止を解除し、記録媒体の反転動作を始める。そして最後にステップE8に進み、裏面の記録を行う。
以上説明したように第2の実施形態によれば、単位領域毎のインク付与量に関連する情報のみならず、その単位領域の位置に関連する情報(位置情報、記録時間情報等)も考慮して、インクの乾燥に要する時間(乾燥時間、動作停止時間)を決定しているので、記録媒体上の位置に応じたインクの乾燥度合いの違いまでも考慮した乾燥時間の設定が可能となり、その結果、乾燥時間を短く設定してスループットを高い水準に維持しつつも、反転経路を含む搬送経路におけるスミヤの発生を抑えることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。この第3の実施形態では、単位領域毎のインク付与量に関連する情報のみならず、使用されるインクの定着性に関連する情報も考慮して、動作停止時間を決定している。
以下、図11のフローチャートに基づき、両面記録動作時のスミヤ抑制制御を含むシーケンスを説明する。まず、ステップC1では、前述の図10に示す制御動作によって、記録媒体の表面における各制御領域幅L毎に決定された複数の最大ドット数Dmaxの中から最大値を選出し、選出された最大値に基づいて最大の記録比率Rmaxを求め、これを記憶する。
次に、ステップC2では、ステップC1で取得した最大の記録比率Rmaxと複数の閾値(ここでは、3個の閾値TH1,TH2,TH3)との比較を行い、その大小関係を判定する。ここで、Rmaxが閾値TH2以上であれば、ステップC3に進み、Rmaxが閾値TH1以上でありかつ閾値TH2より小さければステップC4に進み、Rmaxが閾値TH1より小さければステップC5に進む。そして、各ステップC3、C4、C5では、図13に示されるスミヤテーブル1に従って、定着に必要と思われる時間T1を取得する。
次に、ステップC6に進み、上記ステップC5で取得した時間T1を動作停止時間として定め、そして、この動作停止時間T=T1が経過した後、記録動作の停止を解除し、記録媒体の裏面への記録に不可欠な反転動作を行う。そして最後にステップC7に進み、裏面の記録を行う。
ここで、閾値TH1を30%、閾値TH2を50%とした場合のスミヤテーブルを図13に示す。ここに示すスミヤテーブル1は、記録比率Rmaxだけでなく、使用するインクの定着性をも勘案して動作停止時間T1を決定するものとなっている。すなわち、このスミヤテーブル1では、使用するインクの定着性が低い順に記録モード1、2、3が設定され、低い定着性を有するインクを用いる記録モードほど動作停止時間T1が長くなり、かつ記録比率が高くなるほど動作停止時間T1が長くなるように設定されている。なお、記録モード3に示すように、使用するインクの定着性が高く、記録比率が低い場合には、表面の記録から裏面の記録へと移行する間に待機動作が行われないよう動作停止時間を0に設定している。
なお、低い定着性を有するインクとしては、例えば、顔料インクが該当し、高い定着性を有するインクとしては、例えば、染料インクが該当する。従って、上記モード1は顔料インクのみが使用されるモード、上記モード2は顔料インクと染料インクが使用されるモード、上記モード3は染料インクのみが使用されるモードとすることもできる。
以上のように、この第3の実施形態においては、記録媒体の一方の面(表面)における最大の記録比率およびその面の記録に使用されるインクの定着性に基づいて動作停止時間Tの変更・設定を行うことができるため、反転経路を含む搬送経路におけるスミヤの発生を抑えることができると共に、記録動作を効率良く行うことができ、スループットを高い水準に維持することができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
この第4の実施形態では、前述の第2の実施形態における変形例と同様に表面における最大の記録ドット数に基づき裏面への記録に関する動作の開始を停止させる動作停止時間T’を求め、かつ表面の記録動作時の環境温度や記録ヘッドの温度を勘案して前記記録動作停止時間T’に補正を加えることにより、より確実かつ効率的にスミヤの発生を抑制し得るものとなっている。
一般に、環境温度やヘッドの温度変化によってインクの吐出量は増加、減少するため、それに応じて記録媒体上のインクの定着に要する時間も変化する。そして、吐出量が多くなって定着時間が長くなった場合には、インクが完全に定着する前に、裏面への記録を行うための搬送動作、反転搬送動作などが開始されてしまい、スミヤや2次的スミヤが発生する可能性が高まる。このため、この実施形態では、上記のような温度によるスミヤの発生を防止すべく環境または記録ヘッドの温度が増大した場合には、より長い定着時間を設定する。また、一方、環境温度および記録ヘッドの温度が低く、記録ヘッドからの吐出量が減少した場合には、定着時間を短くし、インクジェット記録装置の性能を落とさずに、効率良く記録を行う。なお、この実施形態においても、図1ないし図4に示す構成を有するものとなっているが、記録ヘッドの温度を検出するヘッド温センサー、および装置近傍の温度を検出する環境温センサーを有するものとなっている。
ここで、図12に示すフローチャートに基づいて、この第4の実施形態における環境温度またはヘッド温度変化による記録動作停止動作時間の決定動作を説明する。
まず、ステップD1で、記録媒体の表面への記録終了後、記録装置の基盤に設けられている環境温センサーにより、環境温度Teを取得する。次に、ステップD2で、環境温度Teの値と予め設定した閾値TH3、TH4との大小関係を判定する。そして、環境温度Teが閾値TH2以上ならばステップD3に進み、Teが閾値TH3より小さくかつ閾値TH4以上ならば、ステップD4に進み、環境温度Teが閾値TH4より小さければ、ステップD5に進み、各ステップD3,D4,D5において図14に示すスミヤテーブル2に従って動作停止時の補正時間T2を取得する。
次に、ステップD6ではヘッド温検出センサーによってヘッドの温度Thedを取得し、ステップD7でヘッド温度Thedと環境温度Teとの温度差(Thed−Te)を求める。そして、この温度差(Thed−Te)が閾値TH5以上ならばステップD8へ進み、温度差(Thed−Te)が閾値TH5より小さくかつ閾値TH6以上ならばステップD9へ進み、温度差(Thed−Te)が閾値TH6より小さければステップD10へ進み、各ステップD8,D9,D10において図15に示すスミヤテーブル3に従って記録ヘッドと環境温度とに応じた補正定着時間T3を取得する。
次に、ステップD11では、ステップD6,D11にて取得した記録動作停止時間T2とT3との加算値(T2+T3)を求め、これを温度変化に応じた補正時間とする。この後、ステップD12では、前記補正時間T2+T3と、前述の第2の実施形態における変形例と同様にして求めた定着時間T’とを加算することにより、動作停止時間T(=T’+T2+T3)を取得する。
図14に示すスミヤテーブル2は、閾値TH3を25℃、閾値TH4を15℃とした例を示しており、図15に示すスミヤテーブル3は、閾値TH5を20℃、閾値TH6を10℃とした場合を示している。また、図14および図15に示す記録モード1,2,3は、インクの定着性を表しており、インクの定着性の低い順に記録モード1,2,3が設定されており、インク定着性が低いほど補正時間は長くなる。また、各モードでは、温度Teまたは温度差(Thed−Te)が高いほど補正時間が長く設定されている。このように、この実施形態は、環境温度やヘッド温度の変化によるインク定着時間のばらつきも考慮することができ、より確実かつ効率的に記録動作を行うことができ、スミヤおよび2次的スミヤの発生を抑制することができる。
(第5の実施形態)
上記各実施形態においては、記録ドット数、記録比率、環境温度、および記録ヘッド温度などを勘案して、表面記録から裏面記録へと移行するまでの間における動作停止時間を設定するようにしたが、この第5の実施形態のように、表面への記録を行う場合と、裏面への記録を行う場合とで適用するインクを変更することにより、より効率的に記録動作を行うようにすることも可能である。
すなわち、両面記録を行う際、インク定着性の低い黒の顔料インク(Bkインク)だけを使用して記録した場合、スミヤ制御のための記録動作停止時間が長くなってしまうため、この第5の実施形態では、C,M,Yなどの定着性の高い染料インクを用いた黒インク(PCBkインク)を黒の顔料インクに混合させることによって記録媒体への定着時間を短縮させ、これによって記録動作停止時間を短縮することが可能となり、より効率的に記録動作を行うことが可能となる。
この場合、裏面に移行するまでの動作停止時間をできるだけ短縮するため、表面の記録動作においては裏面の記録動作よりも染料系のインクからなるPCBkインクの比率を多くしかつ顔料系のインクからなるBkインクの比率を少なくする。但し、染料系のインクと顔料系のインクの比率を変えることによって濃度に差が生じる可能性があるため、これを考慮して比率の設定を行う必要がある。また、裏面の記録動作においては、逆に、染料系のインクからなるPCBkインクの比率を少なくし、顔料系のBkインクの比率を多くする。
また、このように染料系インクと顔料系インクとの比率を設定する場合には、表面を記録した際のインクが記録媒体の裏側へ染み込み過ぎる、いわゆる裏抜け現象に配慮する必要がある。染料系のインクは定着性が良い反面、インク量が多いと、記録媒体に染み込み過ぎて裏抜け現象が発生する可能性があり、この現象が発生した場合には裏面が汚れ、裏面に記録された画像の品位が低下するという不都合が生じる。従って、裏抜けが発生しない範囲、あるいは濃度の変動などが生じない範囲で、染料インクと顔料系インクの比率を設定することが重要である。なお、画像品質の低下は、裏面の記録によって裏抜けが発生した場合にも同様に生じる。
そこで、この第5の実施形態では、動作停止時間の短縮化を図り得る染料系インクと顔料系インクとの混合比の一例として、図16に示すような比率を設定した。
Bkインクにおいては、600dpiの記録密度で30pl打ち込んだ場合を100%とし、PCBkでは600dpiの記録密度で各色10plずつ打ち込んだ場合を100%とした。ここで、表面記録では、Bkを37.2%、PCBkを24.7%として記録を行い、裏面ではBkを43.5%、PCBkを12.2%として記録を行った。
上記のような比率でPCBkインクとBkインクとを混合させ、表面と裏面との記録を行った結果、表面におけるインクの定着時間が短縮化され、記録停止時間の短縮化が可能となる一方、表面と裏面とでインクの濃度が変化したり、裏抜け現象が発生したりすることもなくなり、より確実かつ効率的に両面記録を行うことが可能となった。
また、写真調画像などの記録に用いられる染料系の黒インク(PhotoBKインク)と顔料系のBkインクとを併用できるインクジェットプリンタの場合には、例えば、次のような組み合わせで記録を行うようにすることも有効である。
(1)片面記録時は、顔料系Bkのみを使用し、両面記録時は、染料系のPhotoBKのみを使用する。
(2)片面記録時は、顔料系のBkインクのみを使用し、両面記録時は、染料系のPhotoBKインクとPcBkインクとを併用する。
(3)片面記録時は、顔料系Bkインクのみを使用し、両面記録を行う時は、顔料系Bkと、染料系のPhotoBKインクと、PcBkインクとを併用する。
このような組合せでインクを使用することにより、記録動作停止時間を短縮化することができ、表面の記録から裏面の記録へと短時間で移行することが可能となる。このため、両面記録時におけるスループットの低下を抑えつつ、より効率的に記録でき、スミヤおよび2次的スミヤの発生も確実に抑制することができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、反転ユニット90が記録装置に対し装着可能な形態であるとして説明したが、記録装置と一体化していてもよい。その場合、自動両面記録部9が装置に内蔵することになる。
また、上述した実施形態では、単位領域のインク付与量に関する情報を取得する形態として、単位領域に対応する2値データの数をカウントする形態を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。インクの付与量に対応するデータであれば、2値データをカウントしなくとも、2値化処理が行われる前の多値データの濃度レベルを判定する形態であってもよい。
また、本発明は、上述したように複数の機器(たとえばホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても一つの機器(たとえば複写機、ファクシミリ装置)からなる装置に適用してもよい。
また、前述した実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施形態機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
またこの場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。例えば、先に説明した図9や図17等に示したフローチャートの少なくとも一部分に対応するプログラムコードは本発明の範囲に含まれる。
なお、本発明は、使用する記録ヘッドの個数、種類などに限定されるものではなく、種々の個数、種類の記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置に適用可能である。すなわち、記録装置の記録モードとしては、黒色等の主流色のみを用いた記録モードだけでなく、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーなどの記録モードを実行し得るインクジェット記録装置にも本発明は有効である。
また、いくつかの変更を、本発明の教示から逸脱することなく前述の実施形態に適用することができることを強調しておく。特に、本開示に含まれる全ての事項、または添付図面に示された全ての事項は、例示のためのものであると解釈すべきであり、限定のためのものであると解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に基づいて決定されるものである。
(実施態様)
以下、本発明の実施態様を列挙する。
(実施態様1)
インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、
前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから、当該記録媒体の他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間の長さを決定するに際し、前記取得手段が取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定する決定手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
(実施態様2)
上記実施態様1において、前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作の終了とは、前記一方の面に対する前記記録ヘッドの最終の走査が終了し記録動作が停止した時点であり、
前記他方の面に対する記録に関わる動作の開始とは、他方の面への記録に必要な搬送動作が開始された時点である。
(実施態様3)
上記実施態様1において、前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作の終了とは、前記一方の面に対する前記記録ヘッドの最終の走査が終了し記録動作が停止した時点であり、
前記他方の面に対する記録に関わる動作の開始とは、前記一方の面に記録がなされた記録媒体を反転させるための搬送動作が開始された時点である。
(実施態様4)
インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
記録媒体の一方の面に記録を行った後、当該一方の記録が行われた記録媒体を装置外へ排出する片面記録モードと、前記記録媒体の一方の面に記録を行った後、当該記録が行われた記録媒体を装置内で反転させ、当該記録媒体の他方の面に記録を行う両面記録モードのうち、指定された記録モードを判断する判断手段と、
前記両面記録モードが指定された場合、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、
前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作を停止した後、再度搬送動作が開始されるまでの時間の長さを決定する決定手段とを有し、
前記決定手段は、前記取得手段が取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定することを特徴とするインクジェット記録装置。
(実施態様5)
上記実施態様1〜4のいずれかにおいて、前記取得手段は、前記単位領域に対応する2値データの数をカウントすることによって前記インク付与量に関する情報を取得する。
(実施態様6)
上記実施態様1〜4のいずれかにおいて、前記取得手段は、前記単位領域に対応する多値データの濃度レベルに基づいて前記インク付与量に関する情報を取得する。
(実施態様7)
上記実施態様1〜6のいずれかにおいて、前記決定手段は、前記取得手段が取得したインク付与量に関する情報が示す付与量が多い程、前記時間の長さをより長い時間に定める。
(実施態様8)
上記実施態様1〜6のいずれかにおいて、前記決定手段は、複数の単位領域のうち、最大のインク付与量を示す単位領域の位置に基づいて、前記時間の長さを決定する。
(実施態様9)
上記実施態様1〜6のいずれかにおいて、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を副走査方向に複数に分割することで得られる複数の制御領域それぞれについて、最大のインク付与量を示す単位領域の位置に関連する情報とその最大のインク付与量に関連する情報とを記憶する記憶手段を更に備え、
前記決定手段は、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記時間の長さを決定する。
(実施態様10)
上記実施態様1〜6のいずれかにおいて、
前記決定手段は、前記単位領域それぞれに対応する前記インク付与量に関連する情報のうち、最大のインク付与量を示す情報に基づいて、前記時間の長さを決定する。
(実施態様11)
第1の搬送経路によって沿って搬送される記録媒体の一方の面に対し記録ヘッドからインクを吐出して記録を行った後、前記第1の搬送経路と少なくとも一部が異なる第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送し、その後、当該記録媒体の他方の面に対し前記記録ヘッドによって記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得されたインク付与量に関連する情報に基づき、動作停止時間を決定する決定手段と、
前記記録媒体の一方の面への記録に関わる動作の終了後、前記決定された動作停止時間が経過するまで、前記一方の面への記録がなされた記録媒体の前記第2の搬送経路に沿った搬送動作を開始しないように制御する動作停止手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
(実施態様12)
上記実施態様11において、前記第2の搬送経路は、前記一方の面への記録がなされた記録媒体を反転させる反転経路を含む。
(実施態様13)
上記実施態様11において、前記動作停止時間は、インクの種類に関する情報、記録媒体の種類に関する情報、フォントサイズに関する情報、前記記録ヘッドの周囲の環境温度に関する情報、前記記録ヘッドの温度に関する情報の内の少なくとも1つの情報および、前記インク付与量に関連する情報に基づいて変更される。
(実施態様14)
上記実施態様11において、前記動作停止手段による動作停止状態である旨を表示する表示手段を更に備える。
(実施態様15)
記録媒体を第1の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送経路と少なくとも一部が異なる第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送する第2の搬送手段とを備え、前記第1の搬送手段に沿って搬送される記録媒体の裏面に定着性の異なる種類のインクを吐出可能な複数の記録ヘッドの少なくとも一つによって記録を行った後、第2の搬送手段によって第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送し、その記録媒体の裏面に対し前記複数の記録ヘッドの中の少なくとも一つによって記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、
前記各記録ヘッドから吐出させるインクの吐出比率を制御する吐出制御手段を備え、
前記吐出制御手段は、前記記録媒体の表面と裏面とのうち、少なくとも表面に対して定着性の異なる複数種のインクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
(実施態様16)
上記実施態様15において、前記吐出制御手段は、前記記録媒体の表面および裏面に対して定着性の異なるインクを吐出させ、かつ前記表面において吐出される定着性の異なるインクの各々の吐出比率を、前記裏面において吐出される定着性の異なるインクの各々の吐出比率と異らせる。
(実施態様17)
上記実施態様15または16において、前記吐出制御手段は、記録媒体に吐出する顔料系のBkインクと染料系のPCBkインクの吐出比率を、記録媒体の表面への記録時と裏面への記録時とで変更する。
(実施態様18)
実施態様15ないし17のいずれかにおいて、前記吐出制御手段は、記録媒体の表面への記録時に吐出する顔料系のBkインクの吐出比率を裏面への記録時に吐出する顔料系のBkインクの吐出比率より高く、記録媒体の表面への記録時に吐出する染料系のPCBkの吐出比率を裏面への記録時に吐出する染料系のPCBkの吐出比率より低く制御する。
(実施態様19)
記録媒体を第1の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送経路と少なくとも一部が異なる第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送する第2の搬送手段とを備え、前記第1の搬送手段に沿って搬送される記録媒体の裏面に定着性の異なる複数種のインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドによって記録を行った後、第2の搬送手段によって第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送し、その記録媒体の裏面に対し前記インクジェット記録ヘッドによって記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、
前記各インクジェット記録ヘッドから吐出させるインクを選択する吐出制御手段とを備え、
前記吐出制御手段は、前記記録媒体の表面への記録時において、裏面への記録時に吐出させるインクよりも定着性の高いインクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
(実施態様20)
記録媒体を第1の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送経路と少なくとも一部が異なる第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送する第2の搬送手段とを備え、前記第1の搬送手段に沿って搬送される記録媒体の裏面に定着性の異なる複数種のインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドによって記録を行った後、第2の搬送手段によって第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送し、その記録媒体の裏面に対し前記インクジェット記録ヘッドによって記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、
前記各インクジェット記録ヘッドから吐出させるインクを選択する吐出制御手段とを備え、
前記吐出制御手段は、片面記録、両面記録において吐出させるインクを、顔料Bk、染料系のPhotoBk、染料系のPCBkの中から選択することを特徴とするインクジェット記録装置。
(実施態様21)
インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置を制御するための方法であって、
前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得工程と、
前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから、当該記録媒体の他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間の長さを決定するに際し、前記取得工程において取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定する決定工程と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の側断面図である。 本発明の実施形態における記録媒体反転部の概略構成を示す説明側面図である。 本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。 ドットカウントの対象となる単位領域に相当するドットカウント領域を示す図である。 ドットカウント領域Wと実際の記録領域Rとの位置関係を示す説明図であり、(A)は記録領域Rとドットカウント領域Wとが一致する場合を、(B)は記録領域Rとドットカウント領域Wとが一致しない場合を示している。 本発明の第2の実施形態における記録媒体上の領域を副走査方向に分割してなる複数の制御領域を示す説明図である。 記録媒体上の領域を主走査方向および副走査方向に分割してなる単位領域を、ドットカウント領域として定めたことを示す図である。 本発明の第1の実施形態における両面記録動作のシーケンスの一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態におけるスミヤ抑制制御のシーケンスの一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態における両面記録動作のシーケンスを示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態における両面記録動作のシーケンスを示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に適用するスミヤテーブルの一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に適用するスミヤテーブルの一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に適用するスミヤテーブルの一例を示す図である。 本発明の第5の実施形態における両面記録動作時に適用するBkインクとPCBkインクの吐出比率を示す図である。 本発明の第2の実施形態の変形例における両面記録動作のシーケンスを示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態の変形例に適用するスミヤテーブルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に適用するテーブルの一例を示す図である。
符号の説明
1 記録装置
2 給紙部
3 送紙部
4 排紙部
5 キャリッジ部
6 クリーニング部
7 記録ヘッド
9 自動両面記録部
36 搬送ローラ
90 反転ユニット
93 反転用搬送経路
94 給紙用搬送経路

Claims (15)

  1. インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、
    前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから、当該記録媒体の他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間の長さを決定する決定手段とを備え、
    前記決定手段は、前記取得手段が取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作の終了とは、前記一方の面に対する前記記録ヘッドの最終の走査が終了し記録動作が停止した時点であり、
    前記他方の面に対する記録に関わる動作の開始とは、他方の面への記録に必要な搬送動作が開始された時点であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作の終了とは、前記一方の面に対する前記記録ヘッドの最終の走査が終了し記録動作が停止した時点であり、
    前記他方の面に対する記録に関わる動作の開始とは、前記一方の面に記録がなされた記録媒体を反転させるための搬送動作が開始された時点であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
    記録媒体の一方の面に記録を行った後、当該一方の記録が行われた記録媒体を装置外へ排出する片面記録モードと、前記記録媒体の一方の面に記録を行った後、当該記録が行われた記録媒体を装置内で反転させ、当該記録媒体の他方の面に記録を行う両面記録モードのうち、指定された記録モードを判断する判断手段と、
    前記両面記録モードが指定された場合、前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、
    前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作を停止した後、再度搬送動作が開始されるまでの時間の長さを決定する決定手段とを有し、
    前記決定手段は、前記取得手段が取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定することを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記取得手段は、前記単位領域に対応する2値データの数をカウントすることによって前記インク付与量に関する情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記取得手段は、前記単位領域に対応する多値データの濃度レベルに基づいて前記インク付与量に関する情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記決定手段は、前記取得手段が取得したインク付与量に関する情報が示す付与量が多い程、前記時間の長さをより長い時間に定めることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記決定手段は、複数の単位領域のうち、最大のインク付与量を示す単位領域の位置に基づいて、前記時間の長さを決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記記録媒体の一方の面に対応した領域を副走査方向に複数に分割することで得られる複数の制御領域それぞれについて、最大のインク付与量を示す単位領域の位置に関連する情報とその最大のインク付与量に関連する情報とを記憶する記憶手段を更に備え、
    前記決定手段は、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記時間の長さを決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記決定手段は、前記単位領域それぞれに対応する前記インク付与量に関連する情報のうち、最大のインク付与量を示す情報に基づいて、前記時間の長さを決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 第1の搬送経路によって沿って搬送される記録媒体の一方の面に対し記録ヘッドからインクを吐出して記録を行った後、前記第1の搬送経路と少なくとも一部が異なる第2の搬送経路に沿って記録媒体を搬送し、その後、当該記録媒体の他方の面に対し前記記録ヘッドによって記録を行うようにしたインクジェット記録装置において、
    前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得手段と、
    前記取得されたインク付与量に関連する情報に基づき、動作停止時間を決定する決定手段と、
    前記記録媒体の一方の面への記録に関わる動作の終了後、前記決定された動作停止時間が経過するまで、前記一方の面への記録がなされた記録媒体の前記第2の搬送経路に沿った搬送動作を開始しないように制御する動作停止手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  12. 前記第2の搬送経路は、前記一方の面への記録がなされた記録媒体を反転させる反転経路を含むことを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記動作停止時間は、インクの種類に関する情報、記録媒体の種類に関する情報、フォントサイズに関する情報、前記記録ヘッドの周囲の環境温度に関する情報、前記記録ヘッドの温度に関する情報の内の少なくとも1つの情報および、前記インク付与量に関連する情報に基づいて変更されることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記動作停止手段による動作停止状態である旨を表示する表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  15. インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に走査させ、当該記録媒体の一方の面および他方の面に対して記録を行うことが可能なインクジェット記録装置を制御するための方法であって、
    前記記録媒体の一方の面に対応した領域を複数に分割することで得られる各単位領域毎に、当該単位領域に付与されるべきインク量に関する情報を取得する取得工程と、
    前記記録媒体の一方の面に対する記録に関わる動作が終了してから、当該記録媒体の他方の面に対する記録に関わる動作が開始されるまでの時間の長さを決定する決定工程とを有し、
    前記決定工程は、前記取得工程において取得した各単位領域毎のインク付与量に関する情報に基づいて前記時間の長さを決定することを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
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