JP2005125393A - 高エネルギービーム溶接方法 - Google Patents

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Toshio Hasegawa
壽男 長谷川
Shinji Koga
信次 古賀
Masayuki Inuzuka
雅之 犬塚
Mamoru Nishio
護 西尾
Enshiyo Kashiwabara
延章 柏原
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Abstract

【課題】 溶接部の硬度分布を制御するとともに靱性を向上させることができる高エネルギービーム溶接方法を提供する。
【解決手段】 互いに溶接されるべき鋼材の突き合わせ面1aのうちの高エネルギービーム4を照射する側と反対側の縁部を除いた部分に靱性を向上させる第1元素を主成分とする第1溶加材を取り付ける取付工程と、両鋼材をそれぞれの突き合わせ面1aが合致するように突き合わせて仮付け溶接により固定し、そのあと本溶接をする溶接工程と、本溶接によって形成される溶接部中の第1元素の濃度を希釈するため溶接部のうちの高エネルギービーム4を照射する側の部分を含む周辺部分を部分溶込み溶接をする部分溶込み溶接工程とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガス幹線パイプラインなどの溶接施工に用いられる高エネルギービーム溶接方法に関する。
高エネルギービーム(電子ビームまたはレーザビームなど)による溶接方法では、鋼板(母材)を特別の開先加工をしないで単に突き合わせて溶接するのが一般的である。すなわち、溶加材を使用しないで鋼材を溶接する。しかし、母材だけを溶融・凝固してできた溶接部の靱性は良好でないので、溶加材を用いて溶接部の靱性を改善することがある。そのような方法として、例えば、フィラーワイヤ法およびインサートメタル法が知られている。
このうちフィラーワイヤ法は、母材の表面近傍の電子ビームまたは溶融プール内へフィラーワイヤを連続的に供給しながら高エネルギービーム溶接を行う方法である。しかしこの方法では、フィラーワイヤの挿入位置の制御が難しく安定して挿入することができない。またこの方法では、溶接部の溶融金属の冷却速度が速いので溶融金属内にフィラーワイヤ中の元素が十分に拡散されず溶融金属中の元素の濃度にばらつきが生ずる。その結果、良好な靱性を得ることはできない。
これに対してインサートメタル法(例えば、特許文献1参照)は、最初から母材の突き合せ面間に金属箔(または金属薄板)状の溶加材を挟んで高エネルギービーム溶接をするものであり、溶加材中の元素を溶融金属内に拡散させることによって溶融金属の化学成分を調整し靱性を改善しようとするものである。この方法は、作業性の点でフィラーワイヤ法に比べて複雑であるが、所定の合金金属を溶融金属中へ均一に添加させる点では優れた方法である。
しかしながら、この方法では、靱性を改善することができる程度の金属箔を挿入すると、母材の板厚方向中央部に比べて冷却速度が速い母材表裏面両側の溶接部が硬くなることがある。この硬化に起因して、溶接部に、使用環境などによっては応力腐食割れまたは水素脆化割れなどが生じる場合がある。このような現象は、特に、Niなどを主成分とした溶加材を使用する場合に見られる。
特開昭49−24858 (第1図)
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、溶接部の硬度分布を制御するとともに靱性を向上させることができる高エネルギービーム溶接方法を提供することを目的とする。
本発明に係る溶接方法は、互いに溶接されるべき鋼材の突き合わせ面のうちの高エネルギービームを照射する側と反対側の縁部を除いた部分に第1溶加材を取り付ける取付工程と、両鋼材をそれぞれの突き合わせ面が合致するように突き合わせて仮付け溶接により固定し、そのあと本溶接をする溶接工程と、本溶接によって形成される溶接部中の上記第1元素の濃度を希釈するため溶接部の高エネルギービームを照射する側の部分を含む周辺部分を高エネルギービームで部分溶込み溶接する部分溶込み溶接工程とを備えており、第1溶加材が靱性を向上させる第1元素を主成分とすることを特徴とする。
この構成によれば、鋼材間に第1溶加材を挿入して両鋼材を溶接しているので、溶接部の靱性を向上させることができる。また、この構成では、部分溶込み溶接によって第1元素が溶接部の高エネルギービームを照射する側の部分を含む周辺部分に拡散される。その結果、この部分の第1元素の濃度を下げることができる。同時に、突き合わせ面の高エネルギービームを照射する側と反対側の縁部には第1溶加材を取り付けないことにより、この縁部に対応する溶接部の第1元素の濃度を溶接部の他の部分(上記部分溶け込み溶接した部分を除く)に比べて低くすることができる。その結果、冷却速度の速い母材(鋼材)の板厚方向両側の溶接部の硬化を抑制することができる。これにより、溶接部の硬度分布を制御するとともに靱性を向上させることが可能になる。
本発明に係る別の溶接方法は、互いに溶接されるべき鋼材の突き合わせ面に2以上の溶加材を重ねて取り付ける取付工程と、両鋼材をそれぞれの突き合わせ面が合致するように突き合わせて仮付け溶接により固定し、そのあと本溶接をする溶接工程とを備えており、上記溶加材が、少なくとも靱性を向上させる第1元素を主成分とする第1溶加材、および、該第1溶加材によって溶接部が硬化されることを抑制する第2元素を主成分とする第2溶加材を含んでいることを特徴とする。
この構成によれば、鋼材間に第1溶加材および第2溶加材を重ねて挿入して両鋼材を溶接しているので、溶接部の硬度分布を制御するとともに靱性を向上させることができる。
上記第1元素としてNi、Co、Tiなどを用いることが好ましい。これにより、溶接部の靱性の向上を図ることができる。また、第1元素としてNiを用いる場合、第2元素としてAlまたはTiを用いることが好ましい。これにより、Niによる溶接部の硬化を抑制することができる。
上記溶加材が金属箔または金属粉末であることが好ましい。この溶加材が金属箔である場合に、上記取付工程が金属箔を上記突き合わせ面に貼付または溶接する工程を備えるように構成されることが好ましい。また、この溶加材が金属粉末である場合に、上記取付工程が揮発性の溶媒に溶かした金属粉末を上記突き合わせ面に塗布する塗布工程を備えるように構成されることが好ましい。これにより、溶加材を突き合わせ面に容易に取り付けることができる。
本発明によれば、溶接部の硬度分布を制御するとともに靱性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る高エネルギービーム溶接方法の概略工程を示す斜視図であり、(a)は一の鋼管に第1溶加材を取り付ける状態を示し、(b)は一の鋼管を他の鋼管に突き合わせる状態を示し、(c)は2つの鋼管を溶接する状態を示している。図2は扇状の第1溶加材の製作および取付に関する説明図であり、(a)は突き合わせ面に第1溶加材を取り付けた状態を示す正面図であり、(b)は方形の金属箔から第1溶加材を切り出す場合の第1溶加材の平面図である。図3は、別の、第1溶加材取付方法を示す概略工程図であり、(a)は溶媒に第1溶加材を溶かす状態を示す断面図であり、(b)は突き合わせ面に第1溶加材を吹き付ける状態を示す斜視図であり、(c)は一の鋼管を他の鋼管に突き合わせる状態を示す斜視図である。図4は図1(c)の溶接の詳細工程図であり、(a)は仮付け溶接した鋼管の部分縦断面図であり、(b)は本溶接した鋼管の部分縦断面図であり、(c)は部分溶込み溶接した鋼管の部分縦断面図である。なお、ここでは、鋼管を溶接する場合を一例として説明する。
図1(a)に示すように、第1の実施の形態に係る方法では、互いに溶接されるべき鋼管1、1のうち、一方の鋼管1の軸方向一端部の突き合わせ面1aに後述の第1溶加材2を取り付ける(取付工程)。その後、図1(b)に示すように、一方の鋼管1を他方の鋼管1にそれぞれの突き合わせ面1a、1aの外周縁が略合致するように突き合わせる。その後、図1(c)に示すように、鋼管1、1の内側から鋼管1、1の突き合わせ部3の内周縁側に向かって電子ビーム4を照射して2つの鋼管1、1を溶接する(後述する溶接工程および部分溶込み溶接工程)。なお、ここでは、高エネルギービームとして電子ビームを用いているが、これに代えてレーザビームなどを用いても構わない。これにより、電子ビーム溶接のように溶接部を真空にする必要がなくなるので、作業時間の短縮を図ることが可能になる。
さらに詳細に説明すると、第1溶加材2は両鋼管1、1を溶接した後形成される溶接部5の靱性を向上させるために使用されるものであり、このような第1溶加材2として、例えばNi(ニッケル)、Co(コバルト)またはTi(チタン)などを主成分とする材料が使用される。そして、第1溶加材2内に含まれるこれらの元素が溶接時に溶融金属内に拡散することにより、溶接部5の靱性を向上させる。以下、これらの元素を添加元素(第1元素)という。
また図1(a)に示すように、この第1溶加材2は箔状(例えば、箔厚0.03mm)に形成されており、鋼管1の板厚より狭い幅でリング状に形成されており、かつ内径が鋼管1の内径と略同一となるように形成されている。従って、鋼管1の突き合わせ面1aに第1溶加材2をそれぞれの内周縁が合致するように取り付けた場合に、突き合わせ面1aの外周部の周方向全体に亘って第1溶加材2を取り付けない部分が形成される(図1(b)参照)。これにより、鋼管1、1の外表面側の溶接部5の添加元素の濃度を溶接部5の他の部分に比べて低くすることができる。なお、第1溶加材2の幅、箔厚等は、溶接条件に基づいて適宜設定される。また、ここでは、鋼管1、1の内側から電子ビーム溶接をしているが、鋼管1、1の外側から電子ビーム溶接をしてもよい。その場合には、第1溶加材2は鋼管1の板厚より狭い幅でリング状に形成され、かつ外径が鋼管1の外径と略同一となるように形成される。
また図2(a)に示すように、上記リング状の第1溶加材2に代えて、この第1溶加材2を周方向に例えば6等分したのものと略同一の形状、すなわち扇状に形成された第1溶加材2aを突き合わせ面1aにそれぞれの内周縁が略合致するように取り付けても良い。この場合、図2(b)に示すように、第1溶加材2aを方形の金属箔6から切り出すことができる。このように方形の金属箔を用いることにより、入手が容易となる上に箔厚の管理も容易となる。また第1溶加材2を製作するときの歩留まりも良くなる。また大きな鋼管や真円度の悪い鋼管にも第1溶加材2を精度良く取り付けることができるため、溶接部5内の上記添加元素の濃度の制御も容易となり溶接部5の品質向上にもつながる。また第1溶加材2の箔厚、幅、周方向長さ、材質または取付位置を部分的に変えることで局所的に溶接部5の靱性、硬さ、溶接金属組織などを制御することもできる。例えば、溶接管の長手方向の溶接部と上記周方向の溶接部とが交差するTクロス部の靱性が問題となる場合には、周方向溶接部のうちTクロス部だけ厚いNi箔(第1溶加材)を挿入することで必要とされる靱性を確保することができる。
以上のように構成される第1溶加材2は、溶接部5の品質に影響を与えないような無機質接着剤または抵抗溶接(スポット溶接など)により、鋼管1の突き合わせ面1aに貼付または溶接される(図1(b)参照)。
また第1溶加材2として金属箔6ではなく金属粉末7を用いても構わない。この場合、図3(a)に示すように、溶接部5の品質に影響を与えないような揮発性の溶媒8(例えば、アルコール類)に金属粉末7を溶かして泥状の混合体9を作る。その後、図3(b)に示すように、この混合体9は例えば吹きつけ器10を用いて突き合わせ面1aの外周部を除く部分全体に塗布される(塗布工程)。なお、ここでは、吹きつけ器10を用いて混合体9を突き合わせ面1aに塗布しているが、刷毛のようなものを用いても構わない。その後、図3(c)に示すように、一方の鋼管1を他方の鋼管1にそれぞれの突き合わせ面1a、1aの外周縁が略合致するように突き合わせる。その後、上述した図1(c)に示すように、鋼管1、1の内側から鋼管1、1の突き合わせ部3の内周縁側に向かって電子ビーム4を照射して2つの鋼管1、1を溶接する。以上のように第1溶加材2として金属粉末7を用いることにより、第1溶加材2の突き合わせ面1aへの取付作業が容易となる。また第1溶加材2を突き合わせ面1aに局部的に取り付けることも可能になる。例えば、上述した周方向溶接部のTクロス部だけ金属粉末を厚く塗布することにより、必要とされる靱性を確保することができる。
次に、溶接工程について図4に基づいて説明する。図4の上側が鋼管1の内側、すなわち電子ビーム4を照射する側である。また図4の下側が鋼管1の外側である。
図4(a)に示すように、鋼管1、1の内側から突き合わせ部3の内周縁側に向かって電子ビーム4を照射し鋼管1、1の板厚と略同じ溶け込み深さの仮付け溶接をして鋼管1、1を固定する。これにより、次の本溶接時に、割れが生じたり鋼管1、1の突き合わせ面1a、1aに挟み込まれた第1溶加材2がスパッタとして突き合わせ部3の外方に放出されることを防止することができる。その後、図4(b)に示すように、鋼管1、1の本溶接を行う。この本溶接および上記仮付け溶接が溶接工程に対応する。その後、図4(c)に示すように、鋼管1、1の内表面側の溶接部5およびその周辺部分に幅広の電子ビーム4を照射して部分溶け込み溶接を行う(部分溶込み溶接工程)。いわゆる化粧盛り溶接を行う。これにより、溶接部5内の添加元素がさらにその周辺部分に拡散する。その結果、化粧盛り溶接を行った部分近傍(鋼管1、1の内表面側の溶接部5内)の添加元素の濃度が下がる。同時に、上述した理由により、鋼管1、1の外表面側の溶接部5内の添加元素の濃度も溶接部5の他の部分(化粧盛り溶接した部分を除く)に比べて低くなる。その結果、鋼管1、1の内外表面両側の溶接部5の硬化を抑制することができる。さらに、添加元素の作用により、溶接部5の靱性を向上させることもできる。
以上により、溶接部5の板厚方向の硬度分布を制御するとともに溶接部5の靱性を向上させることができる。
<第2の実施に形態>
図5は第2の実施の形態に係る高エネルギービーム溶接方法の概略工程を示す縦断面図であり、(a)は第1溶加材と第2溶加材とを重ねる状態を示し、(b)は鋼管の突き合わせ面に第1溶加材および第2溶加材を取り付けた状態を示し、(c)は一の鋼管を他の鋼管に突き合わせる状態を示し、(d)は2つの鋼管を溶接する状態を示している。図6は別の、第1溶加材および第2溶加材の縦断面図であり、(a)は第1溶加材および第2溶加材を重ねる前の状態を示し、(b)は第1溶加材および第2溶加材を重ねた状態を示している。
上述した第1の実施の形態が互いに溶接されるべき鋼管の間に溶接部の靱性を向上させる第1溶加材を挿入するだけであるのに対して、第2の実施の形態に係る高エネルギービーム溶接方法は、この第1溶加材によって溶接部が硬化されることを抑制する第2溶加材を第1溶加材にさらに重ねて挿入する点が相違する。従って、第1の実施の形態と同等の部品には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5(a)に示すように、後述の第1溶加材2および第2溶加材11を重ね合わせた後、これを、図5(b)に示すように、互いに溶接されるべき鋼管1、1のうち、一方の鋼管1の軸方向一端部の突き合わせ面1aに取り付ける(取付工程)。その後、図5(c)に示すように、一方の鋼管1を他方の鋼管1にそれぞれの突き合わせ面1a、1aの外周縁が略合致するように突き合わせる。その後、図5(d)に示すように、鋼管1、1の内側から鋼管1、1の突き合わせ部3の内周縁側に向かって電子ビーム4を照射して2つの鋼管1、1を溶接する(溶接工程)。
さらに詳細に説明すると、第1溶加材2および第2溶加材11は箔状(例えば、板厚0.03mm)に形成されており、かつ鋼管1の板厚と略同一の幅でリング状に形成されており、かつ第1溶加材2および第2溶加材11の各内径が鋼管1の突き合わせ面1aの内径と略同一となるように形成されている。溶接部5の靱性を向上させる第1溶加材2としては、第1の実施の形態と同様に、Ni、Co、Tiなどを主成分とする材料が使用される。第2溶加材11としては、第1溶加材2によって溶接部5が硬化されることを抑制する材料が使用される。例えば、第1溶加材2がNiを主成分とする材料である場合、第2溶加材11としてAl(アルミニウム)、Tiなどを主成分とする材料が使用される。
第1溶加材2および第2溶加材11は、溶接部5の品質に影響を与えないような無機質接着剤により板厚方向にそれぞれの内外周縁が略一致するように貼り合わされ、リング状に形成される。この貼り合わされた第1溶加材2および第2溶加材11を一方の鋼管1の突き合わせ面1aにそれぞれの外周縁が略一致するように無機質接着剤または抵抗溶接で貼付または溶接する。またはこの方法に代えて、第1溶加材2の一面を突き合わせ面1aにそれぞれの外周縁が略一致するように無機質接着剤または抵抗溶接で貼付または溶接したあと、第2溶加材11を第1溶加材2の他面にそれぞれの外周縁が略一致するように無機質接着剤または抵抗溶接で貼付または溶接してもよい。なお、図5では、第1溶加材2を左側に配置し第2溶加材11を右側に配置しているがこの逆に配置しても構わない。
なお、ここでは、第1溶加材2および第2溶加材11の板厚および幅をほぼ同じにしているが、それぞれの板厚、幅を部分的に変えてもよい。例えば図6(a)、(b)に示すように、第2溶加材11を、その外径が第1溶加材2の外径と略同一となるように形成し、かつ内径が第1溶加材2の内径より大きくなるように形成して、第1溶加材2にそれぞれの外周縁が略一致するように貼り合わせる。そして、これらを図5(b)に示すように突き合わせ面1aにそれぞれの外周縁が略合致するように取り付ける。これにより、第1溶加材2による溶接部の硬化を抑制する第2溶加材11が突き合わせ面1aの外周部に配置されるので、第1溶加材2による鋼管1、1の外表面側の溶接部5の硬化を抑制することが可能となる。また、第1溶加材2および第2溶加材11の形状を第1の実施の形態で説明したように扇状にしてもよい。これにより、上述したように大きな鋼管や真円度の悪い鋼管にも第1溶加材2を精度良く取り付けることができるため、溶接部5内の添加元素の濃度の制御も容易となり溶接部5の品質向上にもつながる。さらに、ここでは、第1溶加材2と第2溶加材11とを重ね合わせたものを突き合わせ面1a全面に取り付けているが局所的に取り付けても良い。例えば、第1溶加材2と第2溶加材11とを重ね合わせたものを、図1(b)または図2(a)に示すように突き合わせ面1aの外周部を除く部分に取り付けてもよい。または第1溶加材2と第2溶加材11とを重ね合わせたものを、上述した周方向溶接部のTクロス部だけに取り付けても良い。これにより、溶接部5の靱性、硬さ、溶接金属組織などを局所的に制御することができる。
また、第1溶加材2または第2溶加材11、並びに、第1溶加材2および第2溶加材11を金属箔ではなく金属粉末にしても構わない。例えば、第1溶加材2および第2溶加材11が金属粉末である場合には、第1の実施の形態と同様、これらを揮発性の溶媒(例えば、アルコール類)に溶かして混合体を作りこの混合体を突き合わせ面1aに塗布する。これにより、溶接部5全体の硬度上昇が抑制される。または、第1溶加材2および第2溶加材11のいずれか一方を金属粉末とし他方を金属箔としてもよい。この場合には、金属箔の一面を突き合わせ面1aに取り付けたあと、金属箔の他面に溶媒に溶かした金属粉末を塗布する。その際、金属粉末の金属箔への塗布位置を、溶接部5内の板厚方向の硬度分布に応じて適宜設定することができる。これにより、溶接部5内の板厚方向の硬度分布を容易に制御することができる。
以下、実施例に基づいて上記第1の実施形態に係る高エネルギービーム溶接方法について詳述する。
〔実施例〕
互いに溶接される鋼管1、1として外径600A(609.6mm)、板厚14mmのものを使用し、この両鋼管1、1の間に挿入される第1溶加材2として外径601.6mm、内径581.6mm、幅10mm、箔厚0.03mmのNi箔(化学成分:Ni=99.5%,C=0.006%,Si<0.01%,Mn=0.25%,P<0.001%,S<0.001%,Cu=0.004%,Al=0.015%,Ti<0.001%,Co=0.016%,Fe=0.1%)を使用する。そして、この方法では、互いに溶接されるべき鋼管1、1のうち、一方の鋼管1の軸方向一端部の突き合わせ面1aに第1溶加材2を貼付し、一方の鋼管1を他方の鋼管1にそれぞれの突き合わせ面1a、1aの外周縁が略合致するように突き合わせた後、鋼管1、1の内側から鋼管1、1の突き合わせ部3の内周縁側に向かって電子ビームを照射して2つの鋼管1、1を溶接する。この溶接は、上述した仮付け溶接、本溶接および化粧盛り溶接の順で行われる。
〔比較例1〕
比較例1の第1溶加材2は、その外径および幅をそれぞれ609.6mm、14mmとした以外は実施例と同一条件で製造した。
〔比較例2〕
比較例2は第1溶加材2を使用しないこと以外は実施例と同一条件で製作した。
〔特性の評価〕
図7は溶接部の硬さ分布を計測した結果の一例を示す図であり、(a)は実施例に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の硬さ分布を示し、(b)は比較例1に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の硬さ分布を示している。図8は溶接部の衝撃試験結果(靱性)の一例を示す図であり、(a)は比較例2に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の衝撃試験結果を示し、(b)は実施例に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の衝撃試験結果を示し、(c)は比較例1に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の衝撃試験結果を示している。
図7(a)、(b)中、縦軸はビッカース硬さ(Hv10)を示し、横軸は鋼管の長手方向の測定位置を示している。図7(a)、(b)中の符号L1は管内表面から管外表面側に2mmの位置での硬さ分布を示し、符号L2は管板厚方向中央部の硬さ分布を示し、符号L3は管外表面から管内表面側に2mmの位置の硬さ分布を示している。横軸の符号Wは鋼管の長手方向の溶接部の中心位置を示している。
図7(a)、(b)に示すように実施例と比較例1とを比べると、比較例1に対して実施例の溶接部5の中心位置Wにおける管外表面側の硬さL3が下がっている。これにより、突き合わせ面1aの外周部の周方向全体に亘って第1溶加材2を貼付しないことにより、鋼管1、1の外表面側の溶接部5の硬化が抑制されることがわかる。また、実施例および比較例1ともに化粧盛り溶接をしているので、両者とも溶接部5の中心位置Wにおける管内表面側の硬さが管板厚方向中央部の硬さL2に比べて低くなっている。これにより、化粧盛り溶接することにより、鋼管1、1の管内表面側の溶接部5の硬化が抑制されることがわかる。
図8(a)、(b)、(c)中、縦軸は溶接部の吸収エネルギーを示し、横軸は溶接部の試験温度を示している。ここで、吸収エネルギーが大きいほど高靱性である。
図8に示すように、比較例2のように第1溶加材2を使用しない場合、試験温度0℃程度から溶接部5の吸収エネルギにばらつきが生じる。これは電子ビーム溶接またはレーザビーム溶接など高エネルギ−ビーム溶接特有の現象である。これに対して実施例および比較例1のように第1溶加材2を使用する場合、試験温度−30℃までは高い吸収エネルギを維持している。すなわち、第1溶加材2を使用することにより、溶接部5の靱性(特に、低温靱性)が向上することがわかる。
以上により、実施例に示す溶接方法を用いれば、鋼管1、1の内外表面両側の溶接部5の硬さを抑制することができるとともに靱性の向上を図ることが可能となる。
なお、上述した実施形態は一例であり、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る方法は鋼板などの溶接にも適用可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る高エネルギービーム溶接方法の概略工程を示す斜視図であり、(a)は一の鋼管に第1溶加材を取り付ける状態を示し、(b)は一の鋼管を他の鋼管に突き合わせる状態を示し、(c)は2つの鋼管を溶接する状態を示している。 扇状の第1溶加材の製作および取付に関する説明図であり、(a)は突き合わせ面に第1溶加材を取り付けた状態を示す正面図であり、(b)は方形の金属箔から第1溶加材を切り出す場合の第1溶加材の平面図である。 別の、第1溶加材取付方法を示す概略工程図であり、(a)は溶媒に第1溶加材を溶かす状態を示す断面図であり、(b)は突き合わせ面に第1溶加材を吹き付ける状態を示す斜視図であり、(c)は一の鋼管を他の鋼管に突き合わせる状態を示す斜視図である。 図1(c)の溶接の詳細工程図であり、(a)は仮付け溶接した鋼管の部分縦断面図であり、(b)は本溶接した鋼管の部分縦断面図であり、(c)は部分溶込み溶接した鋼管の部分縦断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る高エネルギービーム溶接方法の概略工程を示す縦断面図であり、(a)は第1溶加材と第2溶加材とを重ねる状態を示し、(b)は鋼管の突き合わせ面に第1溶加材および第2溶加材を取り付けた状態を示し、(c)は一の鋼管を他の鋼管に突き合わせる状態を示し、(d)は2つの鋼管を溶接する状態を示している。 別の、第1溶加材および第2溶加材の縦断面図であり、(a)は第1溶加材および第2溶加材を重ねる前の状態を示し、(b)は第1溶加材および第2溶加材を重ねた状態を示している。 実施例および比較例1の各溶接により得られた溶接部の硬さ分布を計測した結果の一例を示す図であり、(a)は実施例に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の硬さ分布を示し、(b)は比較例1に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の硬さ分布を示している。 溶接部の衝撃試験結果(靱性)の一例を示す図であり、(a)は比較例2に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の衝撃試験結果を示し、(b)は実施例に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の衝撃試験結果を示し、(c)は比較例1に示す溶接方法で鋼管を溶接した場合の溶接部の衝撃試験結果を示している。
符号の説明
1…鋼管
1a…突き合わせ面
2…第1溶加材
3…突き合わせ部
4…電子ビーム
5…溶接部
6…金属箔
7…金属粉末
8…溶媒
9…混合体
10…吹きつけ器
11…第2溶加材

Claims (7)

  1. 互いに溶接されるべき鋼材の突き合わせ面のうちの高エネルギービームを照射する側と反対側の縁部を除いた部分に第1溶加材を取り付ける取付工程と、
    上記両鋼材をそれぞれの突き合わせ面が合致するように突き合わせて仮付け溶接により固定し、そのあと本溶接をする溶接工程と、
    本溶接によって形成された溶接部中の上記第1元素の濃度を希釈するため溶接部のうちの高エネルギービームを照射する側の部分を含む周辺部分を部分溶込み溶接する部分溶込み溶接工程とを備えており、
    上記第1溶加材が靱性を向上させる第1元素を主成分とする、高エネルギービーム溶接方法。
  2. 互いに溶接されるべき鋼材の突き合わせ面に2以上の溶加材を重ねて取り付ける取付工程と、
    上記両鋼材をそれぞれの突き合わせ面が合致するように突き合わせて仮付け溶接により固定し、そのあと本溶接をする溶接工程とを備えており、
    上記溶加材が、少なくとも靱性を向上させる第1元素を主成分とする第1溶加材、および、該第1溶加材によって溶接部が硬化されることを抑制する第2元素を主成分とする第2溶加材を含んでいる、高エネルギービーム溶接方法。
  3. 上記第1元素がNi、CoまたはTiである、請求項1または2に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  4. 上記第1元素がNiである場合に上記第2元素がAlまたはTiである、請求項2に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  5. 上記溶加材が金属箔または金属粉末である、請求項1乃至4のいずれかに記載の高エネルギービーム溶接方法。
  6. 上記取付工程は、上記溶加材が金属箔である場合に金属箔を上記突き合わせ面に貼付または溶接する工程を備える、請求項5に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  7. 上記取付工程は、上記溶加材が金属粉末である場合に揮発性の溶媒に溶かした金属粉末を上記突き合わせ面に塗布する塗布工程を備える、請求項5に記載の高エネルギービーム溶接方法。
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